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[講演要旨] 領主別被害合計資料から被害が起きた個々の集落を推定する手法 — 元禄地震(1703)の詳細震度分布推定研究への応用 —

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[講演要旨] 領主別被害合計資料から被害が起きた

個々の集落を推定する方法

-元禄地震(

1703)の詳細震度分布推定研究への応用-

都司嘉宣・上田和枝・伊藤純一(地震研究所) 房総半島での元禄地震の集落別詳細被害を記録 した「楽只堂年録」には、村名が明記されていないで 被害数字だけが書かれている記事がある。このような 記事は二種類に分類することができる。第1 種のもの は、村名は書いてないが、その村の領主と石高と被 害数が記録されているもの、第二種のものは領主の 支配する複数の村の被害合計数字だけが記録され ているものである。このような記事は従来、現代の地 図上に被害の発生地点を解明することができなかっ たため、有効に活用することができなかった。平凡社 発行の「日本歴史地名大系・12・千葉県の地名」には、 江戸時代の村ごとの石高、戸数、支配者の変遷が詳 細に述べられている。江戸時代には、安房国は、安 房郡(85 村)、平郡(74 村)、長狭郡(68 村)、朝夷郡 (65 村)、夷隅郡(44 村)の 5 郡 336 村から成っていた。 この 336 村郡について、データベース化し村名解明 作業を行った。 第 1 種の例:たとえば『楽只堂年録』の原文に「大 久保大膳 安房国知行所、村高三百七十六石二斗 余場、潰家二百八十三軒、怪我人五人」という記事 がある。 データベースで検索すれば、安房国で大久保氏 が 376 石を領した村といえば、朝夷郡川谷(かわや つ)村であり、この場所は、現代の地図の千葉県丸山 町川谷(139°58.1′E,35°04.1′)で、内陸の集 落あることが判明する。「地名大系」によると、この村 は大久保氏が 376 石余、酒井氏が 84 石余、幕府が 9 石余の合計 470 石の相給の村であって、大久保氏は 全石高のちょうど 80%を領していたことが分かる。時代 は下がるが天保 14 年(1843)には家数 58、人口 293 人の村であった(川谷村明細帳、川谷区有文書)。こ の場所で「潰家 283 軒」と記されているのであるから、 村の全戸倒壊に近く、この地点で震度 6 強から 7 に 達していたことが推定できる。 第 2 種の例:『楽只堂年録』に「京極対馬守知 行所安房国長狭郡朝夷郡十一ケ村、潰家六百八十 七、流家百八十六、死四十二人、うち津波死者二十 八人」の記事がある。京極氏領の 11 個の村と言うだ けで、それがどこなのかは全く明記されていない。とこ ろが上記データベースによれば、安房国長狭郡、朝 夷郡の133 ケ村のうち、長狭郡の太尾、京田、竹平、 二子、代野、宮野下、天面、西山の8 村(現在すべて 鴨川市内)、朝夷郡の大井(現在丸山町)、黒岩(和 田町)、吉浦(鴨川市)の11 村が元禄 16 年に京極領 であったことが判明し、上記の被害の発生地点11 集 落の位置がすべて正確に知られることとなった。後世 の天保年間のこの11 個の村の家数を合計すると 653 軒となる。この11 か村で 685 軒の潰家が出たのであ るから、おそらくこの11 個の集落のほとんどすべての 場所で震度6 強から 7 に達していたと推定される。 歴史地震 第20 号(2005) 272 頁

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