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新生児の肛門周囲部への保湿剤塗布が1か月健診時の紅斑発生および皮膚バリア機能に及ぼす効果:非ランダム化比較試験 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 眞嶋 ゆか 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 看護学 ) 学 位 記 番 号 医工博甲第 461 号 学 位 授 与 年 月 日 令和 2 年 3 月 19 日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 ヒューマンヘルスケア学専攻 学 位 論 文 題 名 新生児の肛門周囲部への保湿剤塗布が 1 か月健診時の紅斑発生お よび皮膚バリア機能に及ぼす効果:非ランダム化比較試験 (Effects of moisturizing care in the perianal area of neonates on the occurrence of erythema and skin barrier function at the one month checkup: A non-randomized, controlled trial) 論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 浅川 和美 委 員 教 授 谷口 珠実 委 員 教 授 相原 正男 委 員 教 授 中本 和典 委 員 教 授 小林 康江

学位論文内容の要旨

【研究目的】 肛 門 周 囲部 へ の保 湿 剤塗 布 の 有無 に よる 生 後1か月健診の肛門周囲部の紅斑発生、および 角 層 機 能(バリア機能、水分保持機能、皮膚表面 pH)に対する効果を明らかにすることであ る 。 【研究方法】 1.研究デザイン 準 実 験 研究 デ ザイ ン を用 い た 介入 研 究 2.研究対象者 正 期 産 で出 生 した 新 生児110名と初産婦の母親110名(介入群55名、比較群55名) 3.介入方法 生 後1日から1か月健診までの間、介入群と比較群は以下のケアを行った。 介入群:おむつ交換およびシャワー浴後は毎回、肛門周囲部に保湿剤塗布の実施と指導するケア 比較群:おむつ交換およびシャワー浴後は、肛門周囲部への保湿剤塗布の実施と指導をしない これまで通りの通常ケア <介入内容> ①保湿剤はママ&キッズベビーミルキーローション(株式会社ナチュラルサイエンス製)を使用。

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②塗布範囲は肛門を中心に直径8cm の円内。 ③1 回の塗布量は 0.1g としおむつ交換毎に塗布する。 ④介入の説明は生後1 日のおむつ交換指導時に行う。 ⑤シャワー浴時に使用する全身洗浄剤と全身保湿剤、紙おむつ、おしりふきは 2 群とも同じ製品 を使用する。 ⑥介入のフォローアップとして、入院中は主な塗布者である母親の塗布状況を毎日確認し、2 週間 健診時は観察日誌と口頭で塗布状況を確認した。 4.評価指標と評価の時期 主要評価指標:1か月健診時の肛門周囲部の紅斑の有無 副次的評価指標:生後5 日と 1 か月健診時の①丘疹、びらんの有無、②肛門周囲部の常在細菌数 ③肛門周囲部のTEWL(経表皮水分蒸散量)、SCH(角層水分含有量)、皮膚表 面pH(生後 1 日、生後 5 日、1 か月健診) 5.測定方法 ①紅斑を含む皮疹の有無:観察法、デジカメによる写真撮影(2 名の皮膚科専門医が写真で判定) ②角層機能 TEWL:VapoMeter、SCH:Corneometer、皮膚表面pH:Skin-pH-Meter ③常在細菌数(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、大腸菌、大腸菌群):フードスタンプ「ニッスイ」 ④アンケート調査(聞き取りまたは自記式):児のスキンケアに対する母親の意識、おむつ交換状況 等 ⑤観察日誌への記録(退院後から1か月健診までの栄養、排泄、入浴、部屋の温湿度、保湿剤塗布回 数) 6.分析方法 統計解析にはSPSS Statistics Ver.26を用い、有意水準は5%とした。2群と紅斑の有無との関連は χ²検定、2群の群間比較および群内比較はMann-WhitneyのU検定、2標本t検定、3時点の角層機能の 推移は反復測定分散分析を行い分析した。 7.倫理的配慮 本研究は山梨大学医学部倫理委員会の承認を得て実施した。対象者に研究の目的・方法・倫理的配 慮について口頭と文書で説明し、本人あるいは代諾者の自由意思による同意を文書で得た。 【結果】 1.分析対象者は100名(介入群51名、比較群49名)だった。2群の背景において有意な群間差は認め なかった。 2.介入群の母親は、入院中は平均6.0回/日、退院後は平均9.4回/日塗布しており、1日のおむ つ 交 換 回 数 に 対 す る 塗 布 割 合 は80%前後で実施していた。多くの母親が1日1回以上は塗布 し て お り、 塗 布状 況 は良 好 で あっ た 。 3.1か月健診時の肛門周囲部の紅斑発生状況は、紅斑ありは介入群 40名(78.4%)、比較群42

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名 (85.7%)、紅斑なしは介入群 11名(21.6%)、比較群7名(14.3%)だった。比較群に 比 べ て 介 入 群 の 方 が 紅 斑 発 生 率 は 少 な い が 、 紅 斑 の 有 無 と 保 湿 剤 塗 布 の 有 無 に は 関 連 を 認 め な か った (p=.34)。 4.生後1か月間の角層機能は、 2群ともTEWLとSCHは増加し皮膚表面 pHは低下した。比 較 群 に 比 べ て 介 入 群 の 方 がTEWLの低下は有意に少なく、 SCHは有意に増加し、皮膚表面 pHは有意に低かった。 5.2群の生後5日、1か月健診の表皮ブドウ球菌は70-80%台、大腸菌群は60-80%台の児に、 黄 色 ブ ドウ 球 菌は20-40%台、大腸菌は30-50%台の児に検出され、細菌数は個人差が大きか っ た 。1か月健診の方が2群ともに細菌の検出は増加傾向だが有意な差は認めなかった。 6.本対象者のスキンケアの意識は元々高かったが、本研究よりさらに高まり、 9割以上が ケ ア に 関 心 が あ る と 回 答 し 、 新 生 児 の 保 湿 お よ び 肛 門 周 囲 部 に 対 す る ケ ア は 8 割 以 上 の 母 親 が 必 要と 回 答し た 。 【 考 察 ・結 論 】 1 か月健診の紅斑発生率は介入群の方が少なかったが、2 群と紅斑の有無には有意な関連を認めず、 肛門周囲部の紅斑発生に対する保湿剤塗布の効果はあったとはいえなかった。一方、角層レベルでは、 保湿剤の塗布はバリア機能の低下を防ぎ、角層水分量を増やし、皮膚表面pH は低下しており、肛門 周囲部の角層機能をよりよく保つことが示された。今後の課題として、紅斑発生に最も影響する要因 について探索すること、介入効果の指標を検討した上でランダム化比較試験による効果の再検証が挙 げられた。

論文審査結果の要旨

1.本学位論文の学術的意義 皮膚機能が未熟な新生児のオムツ皮膚炎のケアおよび予防アプローチにおいて、新生児の肛門周囲 への保湿剤の塗布が皮膚の角質機能を高めることについて、実証的データをもとに明らかにした。 2.本研究における新しい視点 新生児期の肛門周囲の皮膚のバリア機能と紅斑発生状況について、実証データに基づいて明らかに した。 3.本研究における争点 新生児期における1ヶ月間の臀部への保湿剤塗布は、皮膚の角質機能を保持し、皮膚の紅斑の発生 を抑制するか否かであった。結果として、皮膚の角質機能は維持され、バリア機能が保たれていたが、 皮膚の紅斑の発生を抑制する効果は認められなかった。 要因として、下記が考えられる。 ①介入期間の短さ(1か月であったが、紅斑発生を指標とする場合3か月は必要であった) ②対象群と介入群がランダム化されていないため、季節や住宅条件等の交絡因子が結果に影響を及ぼ している 等が考えられた。

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4.実験及びデータの信頼性 本研究では、信頼性のある機器を用いて、研究者1名によって、確実な測定手順をふみ、データが 収集された。一方、臀部の皮膚の紅斑の有無については、2名の皮膚科医が写真を用いて質的に判断 したため、紅斑の判断基準の妥当性、結果分析方法の妥当性に課題が残った。 5.学位論文の改善点 1)サンプルサイズを計算して、考察に加える 2)介入効果の指標となる紅斑発生の結果について再検討し、検定しなおす。2名の皮膚科医の判断 結果:紅斑ありとなしによる紅斑発生の分類を変更して試みる。 視点の新規性および、臨床実践への寄与の可能性が高いことから、本学位論文は博士論文として認め られた。

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