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自己評定に要する反応時間と自尊感情との関係

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Academic year: 2021

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(1)自己評定 に要 す る反応 時間 と 自尊感情 との 関係 岡. 西. 美. 和. 要 旨 :自 尊感情 と自己関連情報処理 との関係 について,自 己評定 に要す る反応時間 を用 いて検討す る。評価 が明確 である肯定語 と否定語 ,評 価が はっき りしないあい まい語 を用 いて,「 漢字が含 まれ てい るか (形 態判断)」 と「 自分 に当 てはまる. (自. 己関連判断)」 について,「 yes」 「no」 判断 と判断. に要す る反応時間を測定 した。 自己関連判断 の反応時間 につい て, 自尊感情 ×関連 の有無 (「 yes」 「no」 )× 刺激語 の評価 の 3要 因分散分析 をお こな った ところ,関 連 の有無 の主効果 と刺激語 の評価 の 主効果が有意であ った。また,2次 の交互作用が有意傾向であ り,下 位検定 を行 った ところ,① 自尊 感情 の高 い者 は肯定的な特性語 に対す る「nO」 反応 で低 い者 よ り遅 く,「 nO」 反応 の方が 「yes」 反応 よ り時間がかか ること,② 自尊感情 の高 い者 の「yes」 反応 は肯定的 な特性 の方が速 いが ,「 no」 反応 では特性語 の評価 によって変 わ らず,自 尊感情 の低 い者 は「nO」 反応 で肯定的 な特性 の方が速 く反応 す ること,が わかった。肯定語 に対す る「no」 反応が否定語 に対す る反応 と同程度 の時間を要 してい たことか ら,自 尊感情 の高 い者 にとって,肯 定的 な特性 に当てはまってい ない とす る判断 には,否 定 的な情動 を喚起 させ る要素が含 まれると考 えられる。. 自尊感情 は 自己 に対 す る評価 を もとに した感情 とさ. 特性 の 望 ま しさに よって 自己評 定 が異 な る こ とが あ. れ て い る。 自尊感 情 な どの 自己価 値 に つ い て の 判 断. る。 自尊感情 の高 い者 の 自己概念 はその内容 が 肯定 的. は,自 己 に対 す る感情 を基 に してお り,学 習 を通 して. で あ る とされて い るが (Campbell&Lavalle,1989),. 情動 的 な反応 と連合 した 自己概念 の検索 ,情 動反応 に. 安定 した 自己表象 としての 自己概念 の望 ま しさを表す. 影響 す る記述 的 な 自己知識 の想起 ,一 時的 な情動 の評. とい う よ りも,自 己 に関す る情報 の評価 に対 す る反応. 価 に よって判 断 され る (wyer,Clore,&Isbell,1999)。. 傾 向 を反映 して い る とも考 え られ る。 しか し,自 尊感. Campbell&Lavalle(1989)は ,自 尊感 情 を 自己 ス キ. 情 を個 人 の 内的 な特 性 や資 質 の 表 れ と捉 え た研 究 で. ーマ の評価 的要素 ,自 己概念 を 自己 ス キ ーマ の知識 的. は,こ の よ うな 自己概念 の 内容 の違 いが , どの よ うな. 佃1面 として 区別 した。 しか し,こ の よ うに 自己 ス キ ー. 情報処理過程 と関係 して い るのか につい ては,あ ま り. マの評価 的要素 と して 自尊感情 を捉 え,知 識 的側面 と. 注 目されて こなか った。本研 究 で は,自 尊感情 に よる. しての 自己概念 との 関係 か ら位 置 づ け て ,内 在化 され. 自己関連情報 の処理 へ の影響 につい て検討す る。. た 自己表象 を基 に した評価感情 であ る とい う考 えか た. 自己 に関す る情報処理過程 を探 る方法 と して ,自 己 評定 に要す る反応時 間が あ る。 自己評定 に要す る反応. に疑 間 を提 唱す る動 きもあ る (遠 藤 ,1999)。 遠藤 (1999)は ,こ れ までの 自尊感情 に関す る研 究. 時 間 と 自尊感情 との 関係 では,自 尊感情 の低 い者 の 自. の 問題点 を挙 げ,自 尊感情 の高 さは望 ま しい行動特徴. 己概念 の不確 か さの指標 として用 い られ ,自 尊感情 の. と関係 して い る とされて い るが ,因 呆 関係 は曖味 で あ. 低 い者 は 自分 に当ては まるか ど うかの判断 に要す る反. る こ と を 指 摘 して い る 。 BrOwn,Dutton,&Cook. 応 時 間が 長 い と して い る (Campbell,1990;Baumgard―. (2001)は. ,望 ま しさが あ い まい な語 を用 い て ,「 望 ま. ner,1990)。. しか し,こ れ らの 研 究 で は ,主 に 肯 定. しい 特 性 を表 す」 あ る い は 「望 ま し くな い 特 性 を表. 的 ,あ るい は否定 的 な性格特性語 を使用 してお り,特. す」 と教示 して 自己 に当 ては まる程度 を評定 させ た。. 性 語 の 評価 に よる影 響 で 判 断 が遅 れ た と も考 え られ. 同 じ特性語 で も,自 尊感情 の高 い者 は否定 的 な気分 の. る。 自尊感情 の高 い者 が 肯定 的 な形容詞 を支持 し,否. ときに,「 望 ま し くな い特性 を表す」 とされた場 合 よ. 定 的 な形容詞 を否定す るの に対 して ,低 い者 は 中程度. り,「 望 ま しい特性 を表 す」 とされ た場合 の 方 が 当 て は まる と した。 この よ うに同 じ特 ′ 腔語 で もあ って も. あ るい は肯定否定 に関わ らず支 持 した り否定 した りす. ,. る と して い る (Campbell&Fchr,1990)。. 自尊感 情 の.

(2) 甲南 女子大学大学 院論 集 第 6号. ^. 人間科学研究編 (2008年 3月. ). 低 い者 は 自己 を極端 に肯定 的あ るい は否定的 に評価す. 習試行用 に 4語 ,フ イラー試行用 に 6語. るこ とに抵抗 が あ り,そ のため ,肯 定 的 な特性 や 否定. 評価 が中点に近 い語 を lo語 )を 選択 した。48語 につ. 的 な特性 を用 い た 自己評定 では反応時 間が遅 れた可 能. いては,自 己関連判断課題 (30語 )「 呈示 された語が. 性 が あ る。. 自分 に当て は まるか ど うか」 と形態判 断課題 (18. そ こで ,本 研 究 で は評価 が肯定 的 に も否定 的 に偏 っ. (肯 定否定 の. 語 )「 呈示 された語 に漢字 が含 まれてい るか どうか」. て い な い ,中 程度 の語 (以 下 ,あ い まい語 とす る)を. を行 った。. 用 い て ,自 尊感情 の高低 に よる 自己評定 に要す る反応. 手続 き seliesteem scJeへ の 回答後 ,実 験 を実施 し. 時 間 の差 につい て検討 し,自 己認知 の特長 につい て考. た。実験 の教示 ,及 び実験試行 は全 て cRTに 呈示 し. 察す る。. て行 った。教示 では,「 あ ま り考 え込 まず に,で きる (1999)は ,特 性判断 の過程 と して ,特. だけ速 く,か つ正確 に回答す るよう」 に求 めた。教示. 性 の解釈 とい う記述 的 な基 準 に基 づ く過程 と,情 動 的. の呈示後 ,練 習 を 4試 行行 い,手 順 を理解 で きたか ど. な反応 を特性語 に変換 す る とい う情動 的 な基準 に基 づ. うか確認 し,本 試行 に移った。本試行 では,フ イラー. く過程があ る と して い る。 自己評定 の対 象 となる特性. 試行 3試 行 ,実 験試行 48試 行 ,フ イラー試行 3試 行. 語 が 評価 的 で あ った場 合 ,特 性語 の概念 や特性 と関係. の順 で行 った。実験試行 では,自 己関連判断 と形態判. す る 自身 の過去 の経験 の想起 とい った記述的 な基準 よ. 断 をラ ンダム に呈 示 した。反応 は全 て ,「 はい (以. りも,自 己 に対す る感情 を特性語 の評価 に転移 させ る. 下 ,yes)」 と「いい え. とった情動 的 な基準が働 きやす い。 一 方 ,評 価 が 肯定. た。. Wyer,ct.al。. (以. 下 ,nO)」 の 2件 法 で求 め. 的 に も否定 的 に も偏 ってい ない あ い まい語 に対す る反 応 で は,自 己 に対す る感情 を特性語 の評価 に転移 させ. 結. 果. るこ とが 難 しく,記 述 的 な基準 に よる差が見 られ る と 考 え られ る。従 って ,評 価が肯定的あ るいは否定 的 な 特性語 に対 す る反応 時 間 には,情 動 的 な基準 に よる処. 自尊感情 尺度 self―. esteem scaleに つい て「 とて も当ては まる」 を 4. 理過程 が反映 されやす く,評 価 が あ い まい な特性語 に. 点 ∼「全 く当 て は ま らな い」 と 1点 と して得 点化 を行. 対す る反応 時 間 には,記 述 的 な基準 に よる処理 過程 が. い ,合 計 を自尊感情得 点 と した。 平均 値 は 23.51,SD. 反映 されやす い と考 え られ る。評価 の種類 だけな く. は 4.09で あ った 。 この うち ,上 位 下位 約 1/3ず つ を. 明確 さが異 なる特性語 を用 い る こ とで ,自 尊感情 が特. 高 自尊感情群 (16名. 性語 の 自己評定 の 反応時 間 に対 して ,情 動 的 な基準 に. 情群 (16名 ,得 点範 囲 ;12∼ 22)と した。. よる処理過程 で影響 して い るのか ,記 述 的 な処理過程. 反応 時間. ,. ,得 点範 囲. ;26∼ 31),低 自尊感. で 影響 して い るのか を探 る ことがで きるだ ろ う。肯定. 形態判 断課題 の反応 「yes」 「nO」 の 反応 か ら,誤 反. 語 や否 定 語 で 自尊 感情 に よる差 が 見 られ るの で あ れ. 応 が 18語 中 1/3以 上 にあ た る 7問 あ つた 2名 を分析. ば,自 尊感情 は情動 的 な基 準 に よる処理過程 で 自己評. 対 象 か ら除外 した。 また,自 己関連判断課題 で ,肯 定. 定 に影響 し,あ い まい語 で 自尊感情 に差が見 られ るの. 語 ,否 定語 ,あ い まい語 のい ず れかで 10語 全 て 当 て. であれ ば記述的 な基準 に よる処理過程 で影響す る と考. は まる と した 6名 も,当 ては まる語 と当 ては まらない. え られ る。. 語 の比較が で きな い ことか ら分 析対象 か ら除外 した。 上 記 の高 自尊感情群 16名 方. ,低 自尊感情群 16名 は,こ. れ ら 8名 を除 い た後 に決定 した。. 法. 次 に,自 己関連判 断課題 と形態判 断課題 の 反応 時 間 実験参加者. を求 め ,10g変 換 を行 った (以 降 は ,変 換 した値 を反. 女子大学生 51名 であ った。. 質 問紙 Rosenberg(1965)の seliesteem scale(訳. :. 応時 間 とす る)。 表 1に 平均値 と標準偏差 を示す。. 星野 ,1972)に つ い て ,自 分 に当 ては まるか ど うか に. 形態判断課題 の 反応 時間 につい て ,自 尊感情 の高低. つい て「 とて もあて まる」∼「全 く当 ては まらない」 ま. と刺激語 の評価 (肯 定語 ,否 定語 ,あ い まい語 )を 要. で 4件 法 で 回答 させ た。. 因 とす る 2× 3の 2要 因分散分析 を行 った ところ ,自. 実験刺激. 伊藤 (1998)と 青木 (1970)か ら,そ れぞ. 尊感情 の 主効果 ,交 互作用 は有意 で なか ったが ,刺 激. れ ,実 験試行用 に,肯 定語 16語 ,否 定語 16語 ,あ い. 語 の主 効果 が 有意 であ った (F(2,60)=3.56,p<.05)。. まい語 16語 ず つ 48語 を 2セ ッ トで合 計 96語 と,練. 多 重比較 を行 った ところ,肯 定語 やあ い まい語 に対 す.

(3) 西岡 美和 :自 己評定に要する反応時間 と自尊感情 との関係 表 3 自尊感情高低 による 刺激語 の評価別 の 自己関連 判断の「yes」 反応 と「no」 反応 の反応数. 表 1 自尊感情高低 による,刺 激語 の評価別 の形態判断 の反応時間 (log変 換後. ,. ). no反 応. yes反 応 低 自尊感情群. 3.08 0。. 高 自尊感情群. 3.07. 3.08. 14. 0。. 14. 0。. 3.10. 3.12. 3.08. 13. 0.13. 0.09. 0。. 上段 ;平 均値. 肯定語 咤:事. 17. 下段 ;SD. 否定語 肯定語 宅¥導. 低 自尊 感情群. 5.13 4.50. 4.50. 4.88. 5.50. 5。 50. 1.62. 1.32. 1.62. 1.62. 1.32. 高 自尊 感情群. 6.94 5.88. 3.38. 3.00. 4。 13. 1.95. 1.58. 1.97. 1.32. 6.63 1.58. 1.62 1.32. 上段 ;平 均値. 表 2 自尊感情高低 による 刺激語 の評価別 の 自己関連 判断 の「yes」 反応 と「no」 反応 の反応時間 (log 変換後). 否定語. 下段 ;SD. ,. 語 の評価 に よる交互作用 が有 意 であ り (p<.05), 「yes」 反応 で肯定語やあい まい語 よ りも否定語 に対す. no反 応. yes反 応. る反応時間が遅 いが (p<.05),「 no」 反応 では刺激語 低 自尊 3.22 感情群 o。 13. 0。. 高 自尊 3.22 感情群 o.o8. 3.24. 3.28. 3.28. 0.06. 0。 10. 0。 14. 3.21 14. 3.26 0。 10. 3.22 0.12. の評価 による差 は見 られなか った。 3.25. 3.27. 14. 0。 12. 3.28 11. 3.27 0.07. 0。. 0。. 上段 ;平 均値. 最 後 に ,自 尊 感 情 の 高低 に よる「 yes」 反 応 と 「no」 反応 の反応 に数 について,平 均値 と SDを 算 出 した (表. 下段 ;SD. 3)。. 低 自尊感情群 は「yes」 反応 と「nO」 反. 応 の数 に違 いは見 られないが,高 自尊感情群 では,肯 定語 とあいまい語 では「yes」 反応 の方 が多 く,否 定. る反 応 時 間が ,否 定 語 に対 す る反応 時 間 よ りも長 か っ. 語 では「nO」 反応 の方が多かった。. た 。 自尊 感 情 の 高低 に よる差 は見 られ なか った 。. 次 に 自己関連判断の反応時間について,「 yes」 反応. 考. 察. と「no」 反応 の反応時間 を,刺 激語 の評価 ごとに平均 値 を算 出 した (表. 2)。. 反応時間の平均値 につい て. ,. 自己関連判断での反応時間 を用 いて,自 己について. 反応 ,「 nO」 反応)を 要因 とす る 2× 3× 2の 3要 因分. の情報判断 に対す る 自尊感情 の影響 を検討 した とこ ろ,自 尊感情 による明確 な差は見出せなか った。そ こ. 散分析 を行 った。関連 の主効果 が有意 で (F(1,30)=. で,自 己評定 の反応時間での 自尊感情 の特徴 を探 ると. 自尊感情 の高低 ,刺 激語 の評価 ,関 連 の有無. 4。. (「 yes」. 40,p<.05),「 yes」 反応 の方が 「nO」 反応 よ りも反. い う観点 か ら,検 定力 は落ちるが有意傾向. (p<。 10). 応時間が短 いことがわかった。刺激語 の主効果 も有意. まで範囲 を広げた ところ,肯 定的 な特性語で 自尊感情. であ り (F(2,60)=4.83,p<.05),否 定語 に対する反応. による差が見 られ,「 no」 反応 に要する時間は自尊感. 時 間 が ,肯 定 語 や あ い ま い 語 よ りも遅 か った (p. 情 の高 い者 の方が低 い者 よ り遅 いこと,自 尊感情 の高. <。 05)。. い者 は「nO」 反応 の方 が 「yes」 反応 よ り時間がか か. 2次 の交互作用が有意傾 向 で あ り (F(2,60)=2.45,p <。 10),下 位検定 を行 った ところ ,肯 定語 での 自尊感. るが,自 尊感情 の低 い者 では反応 の仕方 による差は見. 情 と関連 の 有 無 に よる交 互 作 用 が 有 意 で あ っ た (p. 否定語 では 自尊感情 による差が見 られなか ったことか. <.05)。 単純 主効果 の検 定 を行 った ところ ,高 自尊感. ら,自 尊感情 は肯定的 な特性 に対する情動的な反応 と. 情群 は肯 定語 に対 す る反応 時 間が 「yes」 反応 よ りも. 関係す ると考 えられる。. 「no」 反応 の方 が遅 く (p<.05),「. no」. 反応 では低 自. られなかった。 しか し,同 じように評価的要素 の強い. 自尊感情 の高 い者 は,「 yes」 反応 に要す る時間 は. ,. 尊感情群 よ りも高 自尊感情群 の反応時 間が遅 か った. 特性語 の評価 によつて影響 を受けて肯定的 な特性の方. 反応 での 自尊感情 と刺激語 の. が速 いが ,「 no」 反応 では特性語 の評価 によつて変 わ. 評価 による交互作用 が有意 で (p<.05),高 自尊感情. らない。 これ らの ことか ら,自 尊感情 の高 さは肯定的. 群 では刺激語 の評価 によって反応時間 に差が見 られな. な特性 に対 して当てはまってい ない とす る判断 と関係. かったが,低 自尊感情群 では肯定語やあい まい語 に対. し,そ の判断 には否定的 な特性 に対す る判断 と同程度. す る反応時間 よ りも,否 定語 に対す る反応時間が遅か. の判断時間 を要する。. (p<.01)。. った. また,「 nO」. (p<。 10)。. 高 自尊感情群 では関連 の有無 と刺激. 特性 の判断では,肯 定的な情動 は記述的 な基準 と情.

(4) 甲南女子大学大学 院論集 第 6号. 人間科学研究編 (2008年 3月. ). 動 的 な基準 で判断す る こ とがで きるが ,否 定 的 な情動. で きない 。本研 究 で は 自己評定 での記述 的 な基準 と情. は さ ら に 他 の 基 準 が 加 わ る た め (wyer,ct.J。. 動 的 な基準 との差 を検 討す るため に,評 価が はっ き り. ,. 1999),否 定語 に対 す る判 断時 間 は肯 定語 や あ い まい. しな い あ い まい語 を用 い たが ,肯 定語 と同 じよ うな反. 語 に対す る判断時 間 よ りも遅 くなる。肯定語 に対す る. 応 を示 した。評価 が はつ き りしな くて も,評 価 が含 ま. 「no」 反応 が 否定語 に対 す る反応 と同程度 の 時 間 を要. れて い るため に情動 的 な基準 に よる処理過程 が働 い た. して い た こ とか ら,自 尊感情 の 高 い者 に とつて ,肯 定. ので あ ろ う。 自尊感情 による 自己関連情報 の処理過程. 的 な特性 に当 ては ま ってい な い とす る判 断 には,否 定. を検討す る指標 と して ,反 応 時 間 の測定 だ け で は十分. 的 な情動 を喚起 させ る処理 過程が含 まれて い る可 能性. とは言 えない 。今後 は,記 述 的 な基準が働 く過程 と情. が あ る。. 動 的 な基準 が 働 く過程 に焦 点 をあ て ,こ れ らの基 準. 「yes」 「nO」 の 反応数 を見 てみ る と,自 尊感情 の 低 い者 は評価 にかか わ らず ,反 応数が半数ず つ で あ るの. が ,自 己関連情報 の処理 に影響す る過程 につい て考 え る必 要 があ る。. に対 して ,自 尊感情 の 高 い 者 は肯 定 語 で は 「yes」 反 応 の方 が 多 く,否 定語 で は「nO」 反応が多 い。 自尊感. 引用 文 献. 情 の高 い者 には,自 己 を積極 的 に望 ま しく判 断 しよう. Baumeister,R.F。 ,Ticc,Do M。 ,&Hutton,D.G。 (1989)Self―. とす る 自己高揚動機が見 られ ,明 らか に望 ま しい特性 であ る肯定語 に対 して 「 当 ては まらない」 と反応す る こ とは,自 己高揚動機 に反す る。 そ のため ,否 定 的 な 情動 が喚起 され ,反 応時 間が遅 くな った とい う見方 も. presentatoinal motivations and personality differences in self. ― estecm.力 ′用α′げ P`用θηα′ り ,57,547-579。. Baumgardner,A.H.(1990)To knOw oneself is to like one― self: Self― certainty and self― affecto Jθ. α77グ. Psッ ε Sθ ε :θ ′ たθ′ θgy,. 58, 1062-1072.. jヶ α′q′ P`浴θκαι ““. (2001)From the. Brown,J.D。 ,Dutton,Ko A.&Cook,Ko E。. で きる。 本研 究 で は,「 yes」 反応 で は 自尊感情 の 高低 に よる 差 が 見 られず ,「 nO」 反応 で は 自尊感情 の 高 い 群 の 方. top down: Self― esteem and self― evaluationo COgれ. Campbell,J.B。 (1990)Self― esteem and clarity of the self― concept.Jθ. gardner(1990)と は 一 致 しな い 。 この 不 一 致 に は. 538-549。. ,. い う よ うに分 けて反応時 間 を比 較 して い ない とい うだ けで な く,自 尊感情 の文化差が関係 して い る可能性 も あ る。Baumeister,Tice,&Hutton(1989)は ,Rosenberg. (1965)の seliesteem scaleを 扱 った研 究 を概観 し,い ず れ も測定 された平均値 が 得点 の 中点 よ りも高 い こと を示 して い る。 しか し,本 研究 の実験参加者 の平均値 は 中点 よ りも低 く,高 自尊感情群が絶対 的 な基準 で高 い 自尊感情 を示 して い る とは言 い切 れ な い。 また ,反 応時 間 の個 人差 につい ての統制 につい て も 考慮 す る必 要 があ るだろ う。情動 的 な基準が反映 しな い判 断 と して ,「 漢字 が 含 まれて い るか」 とい う形 態 判 断 を実施 し,自 尊感情 に よる差が見 られな い こ とは. rれ. “. θ′げ P`だθ4α ′ れグ Sθ εjα ′JPsycん θι Jク α θgy, 59,. Campbell,Jo D,&Fchr。. (1990)Self_esteem and perceptions of. conveyed impressions;is negative affectivity associated with greater realism。. ノθ夕 α′(プ “. jク P′ だο κα′. αれグ Sθ εjα ′Pッ θ ttθ. J―. θgy, 58, 122-133.. 遠 藤 由美 (1999)「 自尊 感 情 」 を関係 性 か ら と らえ 直 す 実 験 社 会心 理 学 ,39,2,150-167. 星野. 命. (1970)感 情 の 心 理 と教 育. (二. )児 童 心 理 学. ,. 24, 1445-1477. Sanna,L.J。 ,Turley― Ames,K.J.,&Mcier,S。 self―. (1999)Mood,. cstecnl, and stimulated alternativcs:Thought― Provoking. affeclve iniuences on countettctuJ direction.力 P`rsθ 4α ′ カンακグSθ θjα ιPsyε んθ′ θgy, 76,543-558。. α′げ ““. Smith,So M.,&Petty,R.E。 (1995)Personality moderators of mood congruency effects on cognitiono Jθ. ″ァα7oグ. jα Sθ θ ′Psyε んθJθ gy,. Rosenberg,M。. ― αJ(プ'P`パθれαι. (1965)Social and the adolescent sel■ image.. Princeton: Priceton University Press.. ら,反 応時 間 の個 人差 を直接続制 した とは言 えな い。. Wyer,Ro S。 ,Clore,Go L。 ,&Isbell,Lo M。. 反応時 間 には様 々 な処理過程が含 まれお り,反 応時 間. s jれ information peocessing. Aグ ッ αれθ ι. 1-77.. rれ. “ 44, 1097-1107.. 確認 した。 しか し,そ れで は 自己評定 に要す る反応 か. を測定 しただけで は それぞれ の処理 を区別す るこ とは. れ αれグ. E“ θ′ れ,15,615-631.. が遅 い場合 もあ った。これは,campbell(1990)や Baum― これ らの研 究 で は判 断 を 「yes」 反応 と「nO」 反応 と. j′ jθ. jθ. (1999)Affect and. jα ′ Sθ θ たθ′ θgy, ′ッθ. 31,.

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