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人工知能学会編集委員会委員長就任にあたって

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Academic year: 2021

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390 人 工 知 能  33 巻 4 号(2018 年 7 月) この度,人工知能学会編集委員会委員長に就任させていただきました.大役を仰せつかり,非常に身が引き締まる 思いです.振り返ってみると,初めて,人工知能学会の編集委員に就任したのは,2006 年で,それ以来,シニア編 集委員も含めて 10 年以上,人工知能学会の編集委員会に籍を置き,編集に携わらせていただいております.その間, 委員長も西田豊明先生,山口高平先生,松原 仁先生,松尾 豊先生,栗原 聡先生,山川 宏先生と代わり,編集のスタ イルも徐々に進化していきました.先人から良いところを引き継ぎつつ,新たな試みを行う精神をもち,より良い学 会誌,論文誌の発行を目指して委員長を務めて参りたいと考えております. そもそも,筆者と人工知能学会の関わりは,筆者が高校生の頃に遡ります.大学進学を控え,これから何の学問を 勉強するかを模索する中で出合った本が,溝口文雄先生が執筆された「知識工学」という本でした.当時は,第二次 人工知能ブームでもあり,人工知能の技術の背景や,重要性,魅力などを語っていたこの本を通して人工知能に興味を もちました.そこで,ぜひ,人工知能を勉強してみたいと思い,入学する学科を探していったのですが,当時の人工 知能は航空工学などに付随する技術として存在し,情報技術がメインとなる情報科学科,情報工学科自体でさえ,大 学にはほとんどない時代でした.そのような中で,どこに入学すれば「人工知能」とその周辺技術を教えてもらえる のかがわからず,いろいろと探す中で,たまたま見つけた人工知能学会が関係した本に,人工知能学会で志村正道先 生が中心の一人として活躍しているとの記述を見つけ,そこに行けば間違いなく「人工知能」を教えてもらえるだろ うと思い進学を決めました.つまり,人工知能学会は筆者の将来(現在)を決めるのに,大きな役割を果たしています. さて,現在を見ると,第三次人工知能ブームであり,ネコも杓子も人工知能と言っている状況です.筆者が大学に 入学後,実際に人工知能の研究を始め,人工知能学会に入会する頃には,第二次人工知能ブームは去っており,企業 の人と話をすると「まだ,人工知能なんてやっていたの?」と言われる状況であり,その頃と比べると隔世の感があ ります.言うまでもなく,現在の人工知能ブームを支えているのは,深層学習であり,深層学習により従来の人工知 能でできなかったことが格段にできるようになったことは間違いないでしょう.その一方で,一世代前の頃から人工 知能を学んできた者として,現在を見ると,残念との思いがあります.人工知能は,単一の要素技術ではなく,多く の要素技術を含んでおり,技術を適切に選択し,目的の領域に対して適用することで大きな能力を発揮します.さらに, それらの要素技術を複合させることにより,より多くのことができるようになります.しかし,社会では,人工知能 ブームに乗り,深層学習という一つの技術を適用して問題を解く試みだけがなされ,結果として,それだけではうま くいかないと,困惑している話を多く聞きます.そのような場合に,詳細を聞いてみると,深層学習以外の人工知能 技術のほうが,より精度高く,容易にできそうなことがしばしばあります.人工知能の技術は,深層学習だけではなく, いろいろな技術があり,第一次人工知能ブーム,第二次人工知能ブームなどで中心となった技術も,その後の技術革 新によりさまざまな技術が開発されております.しかし,現在の深層学習ブームにより,人工知能に興味をもった方々 には,そういった技術を深く知る機会がないのかと思います. 上記の経験を踏まえ,人工知能学会の編集委員長として,二つのことを行いたいと考えております.まず,1 点目 は,将来の人工知能を支える人々の養成です.筆者は,人工知能ブームの中,人工知能について書かれた本により, 人工知能の世界に入ってきました.人工知能が社会的に興味をもたれている中で,次世代の人工知能を支える子供達, 若者達が人工知能に興味をもつ可能性は多いでしょう.そのような中で,最新の人工知能技術に触れる機会を提供す ることで,将来の人工知能の発展を支える人材が少しでも増えるような企画を考えていきたいと思います.2 点目は, さまざまな人工知能技術の普及です.人工知能技術は深層学習のみならず,さまざまな要素技術があるにもかかわらず, それらが社会的に認知されていないのは,非常にもったいないと考えています.そのようなさまざまな技術を,学会 誌を通して皆様にお伝えすることができれば,技術革新につながり,社会的にも大きな意義があるのではないかと考 えております. 今年から,編集委員会では,「読者の見解」という皆様からのご意見を受ける仕組みを整えました.些細なご意見 でも構いませんので,ご意見をいただけると,編集委員一同,励みになります.これからも,ご指導とご鞭撻のほど, よろしくお願いいたします.

人工知能学会編集委員会委員長

就任にあたって

市瀬 龍太郎

(国立情報学研究所)

参照

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