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アイロニーと嫌み : 周辺的アイロニーから見る「嫌み」を導き出す要因

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Academic year: 2021

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(1)1 8 巻 2号. 文学・芸術・文化. 2 0 0 7 . 3. アイロニーと嫌み 一一周辺的アイロニーから見る「嫌みJを導き出す要因一一. 春木茂宏. 1.序 本論の目的は、いわゆる「嫌みjがどのように認識されるのかを、周辺 的アイロニーと呼ぶ数種類の例から観察し、アイロニ一分析の理論化ヘ向 けての土台を築くことにある。アイロニー頚究においては、典型的アイロ ニーと周辺的アイロニーとに分けられる傾向にあるが、これらの区別は厳 密なものではない。そして、そのような援味な区裂をしまがら、これらが どのような点で関連しあっているのかは明確にされてい右い。本論で辻、 それらのアイロニーを繋げているのが「嫌み」という概念であると仮定し ている。そして、その嫌みがどのように導きだされるのかを詳しく観察す る 。 本論の構成は、 2節では 7種類の周辺的アイロニーを取り上げ、詳しく. 2 . 1節)、お 観察を行う。この観察により、「現実拒否j と「相対的劣位J( 2 . 2 .節〉という鍵となる概念が重要な役割を果たして よび、「非難命題J( p ることが論じられる。続く. 3節では、これらの概念を取り入れた理論化. への可能性を論じる。そこでは、嫌みの認識は特定の解釈プロセス全体の 認識であると考えるべきであるという点と、そのプロセスの中では「否 定j というステップが不可欠であるという点を示す。. 2 . データ観察 この節では、 7種類の周辺的アイロニーの例を取り上げ、一つずつ詳し 00. υ 日. (23).

(2) アイロニーと嫌み春木. く観察してしミく を進める. O. 特に、嫌みがどのように導き出されるのかを中心に観察. O. r. 2 .1 . 現実拒否j と f 相対的劣位J 2 .1 .1.事実観察 まず、 ( 1 ) の例を晃てみよう o (1)は発話の命題内容は話し手が思って いることであり、思考の忠実な描写であるように見えるが、最終的な効果 は嫌みを出している例である O. ( 1 ) [料理がとても上手な母親と一緒に料理をしている娘。娘誌母親の 料理は本当に上手であると認めており料理の出来にいつも惑心して いる. O. ただ、母親は料理の上手さをひけらかしてしまう人であるの. でその点は嫌いである。ここでも、出来た料理をひけらかしてい る。] はい泣い、〈どうせ)お母さんは料理が上手だよ。. この例では、比較的軽い嫌みの解釈が考えられる。この例において、軽 1'1嫌みが解釈できるのはどういう場合であろうか。典型的なアイロニーの 場合、本心は「母は料理が下手だ j と思っているのに反対のことを言う場 合である。しかし、ここでは本心は「母は料理が上手だ j と思っているの であるから、一見すると話し手の思考の忠実な描写である O しかし、話し 手の意図は「はいはい j という返答発話が間接的に示しており、また、 「どうせj の副詞が入るとさらに明確になるように、嫌みである o Lり や. r はいは. f どうせj はこのタイプの毘辺的アイロニーには慣習的な定型表現. になっているとも言えるので、 f はい泣い、どうせ ~J が嫌みの一種の標. 識になっていることは事実であろうが、この定型表現がなくても軽い嫌み として解釈することは可能であるし、さらに典型的アイロニーと誌異なり. (24). -79-.

(3) 文学・芸箭・文化. 1 8 巻 2号. 2 0 0 7 . 3. 「母親は料理が下手である j という反対の意味を表そうとしているわけで もないので、本心を言語化し一見詰誉めているように見えるが嫌みを伝え ているという愛想的な周辺的アイロニーである. O. では、この例では何が嫌みを導き出しているのであろうか。さらに、詳. ( 1 ) の発話を解釈すると、 しく観察してみる 0. f 本心であるが、本心ではな. いような感じ j や「母親の料理の上手さを認めているが、これ以上認めた くないような感じ j が解釈できる. O. もう少し日常的な言葉で言い換えると. 「お母さんは料理が上手ですよ。それはもうよ. く分かつてますよ J とい. う解釈である O ここから、考えられるのは、相手の肯定的な点を否定する、 しかも、認めているのに認めていないという特殊な方法で否定するという 点で、ある. O. 特殊な方法であろうとも、相手の肯定的部分を否定するという. ことは、椙子の長所を否定することになり、相手への非難として解釈され ることは可能である。 また、人間は入からより良く評面されたいという欲求や人よりも良く評 価されたいという欲求を持っていることを考えると、新しい視点も出てく る。母親が料理が上手であることを認めることは相対的に娘は料理におい て母親より劣っているという娘にとって望ましくない結論になり、その結 論を認めないようにしようとする欲求が毒る種の否定的意図を解釈させる 2 3 ) のような他人との比較を伴う周辺的 ことも可能である O この点は、 (. アイロニーの例と関連する O. ( 2 ) [ある屈の屈長が、バイトに還 2 8しか入れない聞き手の前で、選. 5司入る山田さんに向かつて。] 山田さんはよく働くね!. ( 3 ) [非意図的嫌み:デート中の男女]. 男:あそこの女の入、モデルさんみたいじゃない?. -78-. (25).

(4) アイロニーと嫌み春木. 女:どうせ私はあんなにきれいじゃないですよ i. ( 2 ) において、吉長は山田のことを誉めているが、週 28しか欝けない 開き手からすると、働く意欲や仕事量において聞き手は相対的に劣ってい. 2 ) の発話が意図的で{聞き手は欝かな Lリという ることになる。仮に、 ( ことを暗に述べているにしても、意罰的でなく聞き手が勝手に感じた罪悪 感から出て来る嫌みであるにしても、入から認めてもらいたい欲求を傷つ 3 ) における男の発話のように意図的でないこ ける発話である O さらに (. とが明らかであっても、自分の良さを一番認めてもらいたい入である恋人 が別の女性のことを長く評錨すると、認めて欲しいという欲求が強いだけ に、相対的な劣位が生み出され、否定されている、または、嫌みを言われ ているという解釈が出て来る O 以上のように、(1)の例では、本心ではあるがその本心をそれ以上認め ることを避けるという特殊な否定方法と、周囲から〈他人よりも〉良く認 めてもらいたいという欲求を満たさないことによる相対的劣位の認識とい う 2つの点が、嫌みを導く要屈であると考えてよいと思われる。 現れ方は全く違うが、この二つの要因に関係してくると思われるのが、 自慢発話である. O. 次の ( 4 ) の例を見てみよう。. ( 4 ) [スネ夫が特注の 48インチの大型テレビを自慢している。]. これをみたあとは、もうふつうのテレビなんてみられないね。おも ちゃみたいでさアハハ・・・。 (ドラえもん. 32 巻. 巨大立体スクワーンの中へ). 確かに 48インチの大きなスクリーンのテレビを見た後で誌、普通のテレ ビはおもちゃみたいに感じられてしまい物足りなくなるだろうから、スネ 夫の発話内容誌現実であると考えて差し支えない。もちろん、この場面で. (26). -77-.

(5) 文学・芸菰・文化. 1 8 巻 2号 2 0 0 7 . 3. は話し手のスネ夫は「のび太ら友人が自宅に帰ってから観るテレビはおも ちゃみたいなものでかわいそうだ。それに引き換え我が家のテレビは豪勢 だj というような含意を意図的に表していることは明白である. O. このよう. な意図的な嫌みの場合は聞き手である友人達は自分たちが蔑まれることで 相対的劣位を強く認識するし、また、「自分たちの家のテレビがおもちゃ みたいなものである Jというある意味の現実を否定するという特殊な否定 も行う. G. このように、やはり二つの要因が関係している. O. ここで、特殊会否定について、少し詳しく考えてみる 0 (1)と ( 4 ) にt s ける特殊な否定とは、どういう意味で特殊なのであろうか。(1)では「本. Jや 心でるるのに本心でな p. f 認めているがこれ以上認めたくな Lリ と い. 4 ) では「ある意味の現実を否定する j という説明を行っ う観察を示し、 ( た。これらの観察をまとめると、「現実であると認識している一方でその 現実を受け入れ主いようにする心的な否定作用 j であるといえる。なぜこ のような心理作用が起こるのかは明白で、日の前の現実を受け入れてしま うと自らの長所が否定されるからで島ろう O このように考えると、この心 的作用は特殊な毛のでも、場当たち的なものでもな~ ~o 会理的 i こ篇撃的右. ことを経験した入がその現実を志れたり受け入れなくするような心理作用 の延長線上にあるごくごく軽いケースであると考えると全く不思議でも特 殊でもない。そこで本論では、 後は. f 特殊な否定」と呼んで、いた心的作用を以. f 現実拒否の否定j と呼ぶことにする。ただし、これまで「特殊な j. と形容していたの詰また別の意味があるので説明を加えておかないといけ ない。それ誌. f 現実拒否j ということを考えると明らかになる 通常、現 O. 実を拒否するとは、人が抱いていた. f 現実である(だろう)と思っていた. こうでありたいという期 こと」や「こうであるべきだという理想Jや f 待 j とは逆の現実が本当の現実であり、その対立する現実を受け入れたく ないという意味での現実の拒否である。しかし、(1)や ( 4 ) では、「現実 である(だろう〉と患っていたこと」が意味的に本当の現実と同じである. -76-. (27).

(6) アイロニーと嫌み春木. のだが、しかし、それを認めると自分への不都合が生じるために、現実を 拒否するという特殊なものである 前者が. G. これらをより厳密に区揺する立らば、. f 対立現実拒否」であり、後者が「同等現実拒否j となり、後者泣. 前者との比較において特殊となるのである. O. ここで、これまでの例において嫌みを導き出す要菌を再度述べると、 「同等現実主否j と内需き子が抱く)相対的劣位j となる. O. 話を観察に戻し、続いて、卑下の{列を見てみる 0 1卑下自穫j とL ミう言葉 もあるように皐下は上で晃た岳慢の例と関連する O 意図的な卑下自慢であ れば、卑下から自慢へというプロセスがあるものの、最終的には自慢に よって嫌みが導かれる。この点は邑慢の部分で述べたので繰り返さない。 なぜ卑下から自慢になるのかというプロセスも興味深いが、ここではあえ て話し手は自慢までは意図していないが、卑下によって嫌みが導かれるプ ロセスを考えてみる。. ( 5 ) [スキ一部の合宿。部の中で群を抜いてうまいエース部員が部の中. ではうまくない部員に対して] なんか俺スキー下手になってる。. ( 5 ) の{売を考えるには、現実的にエース部員が下手になっているかどう か、自らのスキーの能力に対する認識、発話内容の 3つを考える感、要があ るc 発話内容は「エース部員はスキーが下手になっている」で固定してい るO また、現実に大会の成譲が下がっているような状態であるならば、認 識も「スキーの能力が下がっている j だけを考えればよいし、その場合は、 誠実な発話であるので、聞き手の部員もどう励ましていいのか迷 Lヰましで も嫌みには解釈しないであろう。したがって観察すべき問題は、現実の状 況から「スキーの能力が下がっていな Lリと判断できるにも関わらず、. J場合と「スキーの エース部員の認識が「スキーの能力は下がっていな p (2 8). -75-.

(7) 文学・芸帯・文化. 能力は下がっている j場合である. O. 1 8 巻 2号. 2 0 0 7 . 3. 後者の場合は比較的簡単でスキーの議. 力が下がっていない現実においてスキーの能力が下がっていると認識しス キーが下手になっていると発話するのはストイックな自分に厳しい態震を 持つアスリートの考えという解釈と同時にわずかに嫌みに需こえる場合も 考えられる. O. わずかに嫌みに解釈できるのは、間き子である部員の相対的. 劣位の要因が出て来るからである. O. しかし、この要因が出て来るといって. も、やはり自分に厳しいアスリートの発話としての解釈が擾先され、相対 的劣{立の解釈は話し手が意国したものであるとは解釈しにくく、あくまで も開き手側の被害妄想的解釈の域を出ない。ただ、嫌みが出てくる要因は 聞き手が相対的劣位を認識した点であると考えて間違いない。 一方、前者の場合、すなわち、スキーの能力は下がっていない現実にお いて、実はスキーの能力は下がっていないというエース部員の認識がある にも関わらず、スキーが下手になっているという発話をする場合、つまり、 開き子がそのように認識した場合、開き手にとっては程度の大きい嫌みで ある。この場合先のケースと異立るのは、エース部員の認識も現実も J という点、で黍離 「エース部員はスキーが下手になっていない(=うまい ). が会く、したがって、「エース部員自身が自分はスキーがうまいと思って いる j という考えは正しい〈といえるほど聞き手の確信誌高 Lサ と 聞 き 手 は認識する. O. それにも関わらず、発話内容は. f スキーが下手になってい. るj であるので、話し手がこうで為ろうと抱く現実、ここではあくまでも 発話内容が意味する言葉上の現実と、本当の現実〈及び話し手の認識〉が 対立する O つまりここで誌、上に述べた「対立現実拒否j という心的作用 を開き子が経験することになる. O. また、現実状況も話し手の認識も[話し. J というものであり、それにより聞き手 手のエース部員がスキーがうま p である部員は、現実においてもまた開き手自身の認識においてさえ、「話 し手は聞き手よりもスキーがうま Lリという相対的劣位という認識を起こ してしまう。このように、 ( 5 ) の例で誌、現実拒否の方法が ( 4 ) までの. -74-. (29).

(8) アイロニーと嫌み春本. ものとは異なるが、「現実拒否Jと「椙対的劣位jの二つの要因により嫌 みの解釈が導かれることは明らかである。 続いて、また別のタイプの例を考えたい。それは次のようなねたみの併 である。. ( 6 ) [バイトをしていない時に、バイトや学校で忙しくしている友人に]. 仕送りされているって楽ゃねえ。. ( 7 ) [お金を貸してあげた友達 B に]. A:返すのはいつでもいいよ。 B: さすが 1 )ッチな入は言うことがちがうな。. これらの例で共通しているのは、ねたみの発話者泣聞き手との関孫にお いて相対的劣位を認識している. O. そして、その相対的劣位を作り出すきっ. かけとなった罷き手に対して攻撃的右態度を表している. O. ただし、ここで. は、話し手の方が相対的に劣往にあると認識しているので、これまでのよ 2 )~ ( 5 )の うに聞き手が劣位にあるという認識とは反対になっている。 (. 併においては、開き手を劣位に桂置づけるという認識が聞き手にとっては 否定的な解釈につながる要因であったが、ねたみの併では語き手法優位な 6 ) では仕送りがありバイトをしなくてもよい立場、 ( 7 )で 立場にいる o (. はお金に余裕がある立場である。で誌、ねたみは聞き手を擾位な立場にあ ると意味している発話内容であるのに、どうして器き手は嫌みを感じてし まうのか。まず、ねたみを解釈するときに鐸られる惑 層的解釈の解釈過程 j. t斗 ミ ご から考えてみる。ねたみが伝える感常的解釈には「えらそうにj、 i 身分でj のような攻撃的な解釈がある。つまり、優位にいる聞き手に対す る反惑がある。この反惑は聞き手の震位を認めてしまうと相対的に話し手 自身の劣位を認めてしまうため、それを認めたくないという欲求からくる. (30). -73-.

(9) 文学・芸術・文化. 1 8 巻 2号. 2 0 0 7 . 3. ものであると考えられる O 認めないためには、需き手の優位を現実として ) では寵き 認めない選択を取るしかないが、現実状況から考えると、体7. 手が優位で話し手が劣位にある現実しかない。この条件で、現実を認めな いようにするには、字義的な意味では現実状況を意味している発話内容に ついて、現実であるとは受け入れないという態度を表すしかない。そこで、 出てくるのが、. f 同等現実拒否j という心的作用である。つまり、発話で. は現実状況を意味しているが、その発話内容(すなわち、現実)について 信じようとし右いという拒否の態度を示すのである の場合にも. O. このように、ねたみ. f 現実拒否j という要因と「相対的劣位j が関わっている. O. た. だし、ここでは f 相対的劣位j は異なる現れ方をしていることは注意すべ きである O 以上、個別に例文を観察してきた。そこでは、 f 現実拒否j という心的 作用と「椙対的劣位j という心理状態が嫌み解釈の要国として重要な役割 を果たしていることが誰測できる O そこで、次の節では、これら二つの要 因について、詳しく論じた l" 0. 2 . 1 . 2 . 嫌み解釈におサる現実拒否と梧対的劣位の役富 この節では、嫌み解釈における. f 現実拒否j と f 相対的劣位」の役裂を. 改めてみておきたい。まず、以下の例を観察すると、嫌み解釈には「椙対 的劣位j の要因の方が重要な役裂を果たしていることが分かる。. ( 5 ) [スキ一部の合宿。部の中で群を抜いてうまいエース部員が部の中. ではうまくない部員に対して] 立んか俺スキー下手になってる. O. ( 5つ[四つ葉のクローパー集めが得意で趣味にしている Aの話。 Aの友 入はクローパー集めには一切興味がない。]. -72-. (3 1).

(10) アイロニーと嫌み春本. なんか最近四つ葉のクローバー集めが下手になっている O. ( 5 " ) [2組のカップルが、四つ葉のクローパ集めで楽しんでいる。片方 0本採っており、もう片方 のカップルの男は四つ葉のクローパーを 1 0本取った方の のカップルの男は 2本しか取っていない。そして、 1. ] 男が以下のように言う 0 なんか最近四つ葉のクローパー集めが下手になっている. O. 上で述べたように、 ( 5 ) は開き子である部員にとって相対的劣位を認識 した場合、エース部員の認識と現実との聞に現実拒否の要因がある場合は 強い嫌みを解釈でき、ない場合でも弱い嫌みを解釈できると述べた。この 椀からだけでも、相対的劣位の方が嫌み解釈を導き出す際の中心的な役割 を果たしていることが推測できる。そこで、この点を例文の状況を操作し 5 ' ) は(訟のスキーの能力をクローパー集め て確認してみたい。まず、 (. という能力という状況に修正する. O. それにより、聞き手には興味のない、. つまり、その龍力を向上させたいとは思わ右い状況に操作する。すると、 話し手が本当は自分はクローパー集めの能力があると思っているにもかか おらずクローパー集めが下手に立っていると言おうが(現実拒否がある場 合)、本当にクローバー集めの能力が低下してきていると思いクローパー 集めが下手になっていると言おうが(現実拒否がない場合)、つまり、現. ' 0なぜなら、聞 実拒否の要因に有無に関わらず¥嫌みをほとんど感じな t き手にとってクローパー集めの龍力などあってもなくてもよいもので、し たがって、相対的劣位も一切惑じな L功ミらである O この例を観察すると、 現実拒否よりも栢対的劣位の方が嫌み解釈の中心になっていると言うこと ができる。 5 ' ) の例を ( 5 " ) のようにし文振条件を修正する。ここではク 次に、 (. ローパー集めの能力を優劣に関わるように状況を操作すると、 2本しか. (32). -71-.

(11) 文学・芸錆・文化. 1 8 巻 2号. 2 0 0 7 . 3. 採っていない方の男性は「下手になってきている男性よりもさらにクロー. J という相対的劣位が強烈に認識でき、嫌みは明確に パーは集められな p 5 " ) は状況としては ( 5 ) と同じタイプのものになって なる O つまり、 ( おり、やはり、椙対的劣{立が重要な役割を果たしている。 立にあることを意味していることを認識 また、自慢も開き手が栢対的劣f しなければ嫌みにならない。例えば、 ( 8 a ) のように子供の自'震は内容が どれだけすごいことでも、頭のど乙かで子{共のやることは大人の面子を脅 かすものではないと思っているからこそ、嫌みに関こえない。ただし、発 話内容が大人の面子に関わるようなものであったり、大人が劣位におかれ 8 b ) では経 るような内容であれば、嫌みとして解釈されることもある o ( 8 c ) では金魚すくいの 済的状況に関して開き子の大入の面子;主演され、 (. 結果に関して大人が劣位におかれており、どちらも嫌みを解釈することが 出来る。. ( 8 )a .おれな、このまえの日曜巨に、せみ 25匹もとったー!. b .おれのうちに、ベンツとジャガーとベントレーがあるぞ:. c .[金魚、すくいで父親が 2匹しか取れ右かったが子供は 1 0匹とった。 そして、このことを母親に報告する。]. 0匹も! お父さん 2匹で¥おれ 1. この観察からも分かるように、嫌み解釈ができるかできないかは「相対的 劣註」の方がより中心的な役割を果たしていると結論付けてもよい。 現実拒否j という要因は不必要になってくる しかし、以上の観察では f ように思われるが、「現実拒否」の役割はどのようなものであろうか。こ の点について、もう少し別の角度から考えてみたい。まず、以下の表を見 てみる. O. 表 1では、「現実拒否Jと「相対的劣位j の概念をやや分解しま. とめた表である. O. -70-. (3 3).

(12) アイロニーと嫌み. 春木. 表1 現実拒否. 発話内容が意味する相対的劣位. 現実拒否のタイプ 現実拒否する髄. 例文. {憂{立の{開. 劣位の概. 関等. 話し手. 聞き手. 話し子. ( 2 ) 他人比較. 対立的. 解釈者. 聞き手. 解釈者. ( 3 ) 他人比較. 対立的. 解釈者(聞き手〉. 第三者. 解釈者(聞き手). ( 4 ) 自慢. 同等. 解釈者(聞き手〉. 話し手. 解釈者(寵き手). ( 5 ) 卑下. 対立. 解釈者(聞き手〉. 話し手. 解釈者(毘き手). ( 6 7 ) ねたみ. 毘等. 話し手. 解釈者〈霞き手〉. 話し手. (1)愛想的. 一見すると、この表からは特徴がつかめないように思うが、「現実を主 否する髄」と「劣位の髄j を比較すると興味深いことが分かる. O. つまり、. それらは同じ会話参与者でるる。この点、は、[現実拒否」と「相対的劣桂j を結びつける重要な点、であると考えられる。すなわち、発話内容を認める と当該参与者の劣位を意味するため、その劣位を認めないようにするため に現実を拒否するという心理プロセスがあると考えると、これら二つの要 因が椙互に関連しあう. O. 単純に言い換えると、劣位の認識が現実拒否とい. う心理作用を引き起こすということである. O. これをまとめると扮)のよ. うなプロセスになろう。. ( 9 ) 嫌みの心理プロセス(仮説〉. a . 発話内容認識→ b .劣位認識→. C . 劣位回避欲求→. d .現実拒否. (( 9 a ) の拒否〉. しかしながら、この心理プロセスはもう少し詳しい検討の必要がある. G. それは、表 1 の ( 1,6 7 )と ( 2 5 ) では、劣位認識し現実拒否する参与者 が異なっているので、同じプロセスを考えるのはやや早計である。では、. (3 4). -69-.

(13) 文学・芸萄・文化. 1 8 巻 2号. 2 0 0 7 . 3. どのように異なっているかを考え、嫌みの心理プロセスを精綴化出来るか どうか検討してよう。まず、嫌昧を言われる側が解釈者側であるという通 常 の ケ ー ス (( 2 5 ))を考える o ( 2 5 ) の例では、発話内容を現実でるると 認めると解釈者側が劣位になることを認めることになる。つまり、話し手 は発話を行うことにより. f 話し手擾泣ー解釈者劣盈」の構留を提示する. ( ( 9 a b ))。この話し手の認識には攻撃的意雷、または、少立く見槙もって も否定的意留しか解釈できず、「話し手による開き手(=解釈者)の非難j という嫌みの解釈に結びつく. O. より典型的な嫌みはこのタイプであり、. ( 9 b ) までの段構である。乙れはまさにおっゃ ( 8 ) で議論した部分であ り、典型的な嫌みでは[現実拒否j の有無に関係なく「詔対的劣位」の認 識が中心的働きをする点、である O 一方、 ( 1,6 7 ) のより毘辺的立ケースでは、嫌み発話者は文脈状況に. 9 d ) までを認識している。たとえば、む)の慌では、 よって、すでに、 ( 母親の方が料理はうまく自分{娘〉は相対的には料理が下手であるという 劣位に量かれる. O. しかし、その劣位を回避したい欲求があり、それにより、. 現実拒否するための嫌み発話を行うのである。ではどうしてこれが優位に ある語き子にとって嫌みに解釈されるか。ここには通常のケースとは異な るプロセスが関与する。それは、毘辺的な嫌みの場合、嫌み発話が表す構 図は「話し手劣位ー解釈者(=開き子)擾{立j という認識である(( 9 a b ) )。 そして、ここで重要なのは、「龍き子も同じ認識をしているだろうという 話し手の認識Jを需き子が解釈することで島る. O. もっと平明に言うと「自. 分(語き子〉が偉いと思っているだろう j という認識を開き手が解釈する ことである。しかし話し手詰このような現実を認めると自分が劣位におか れるので、それを避けようとする O その為には開き手が擾位であることを 意味する発話を発話しながら、発話内容については拒否しようとする。こ の話し手の拒否という態度誌発話内容に向けられるが、発話内容は聞き手 の優位すなわち聞き手に関する良い評価であるので、発話内容を拒否する. -68-. (35).

(14) アイロニーと嫌み春木. とは開き子の良い評価を否定することを意味する。開き手の良い評倍を否 定すること法攻撃的意図としか解釈されず、ここに嫌みが示す語き子の非 9 d ) の現実拒否によってはじめ 難の解釈が導かれる。閤辺的嫌みで泣 (. て開き子への嫌みが解釈される。 以上のように、典型的な嫌みと周辺的な嫌みでは部分的に異なるが、 ( 9 ) のような心理フ。ロセスは必要になってくると思われる O. この節では、嫌みの例を観察することにより、「現実拒否(対立現実拒. J と「相対的劣位j という要因が嫌みの解釈にお 否および同等現実拒否 ) 9 ) のような いて重要な役割を果たしていることをみつけ、具体的には (. 心理プロセスを仮定することで、典型的な嫌みも毘辺的嫌みも一つのプロ セスの異なる現れ方として捉えることが出来た。. 2 . 2 . 嫌み解釈における会題(想定)の必要性 この節では、本心を述べる嫌みと諺辞疑問文による嫌みを観察する。そ して、この観察により、嫌みというのは感情や態度という漠然としたもの というよりも、命題(または想定〉により推論される意味論的なものに大 きく依存していることを示したい。. 11)から考える。この二つの例を考 まず、本会を述べる嫌みの例(10 1 0 ) の例では ( 1 0 ' ) のような意味を、(11)では(11 つのよう えると、 ( な意味を伝えたいと解釈できる. O. ( 1 0 )[Ad r i v e r ' scommentwhent h ec a ra h e a da b r u p t 1 yt u r n sl e f tw i t h o u ts i g n a l i n g ] 1l o v ep e o p l ewhos i g n a lwhent u r n i n g . ( 11 )[授業中に私語をしているゼミ生に向かつて]. 真剣に授業を開くゼ、ミ生の姿をみると本当に嬉しく思うんです。. (36). -67-.

(15) 文学・芸術・文化. 1 8 巻 2号 2 0 0 7 . 3. ( 10 ') 1h a t ep e o p l ewhod o n ' ts i g n a lwhent u r n i n g .. ( 1 1 ' )真剣に授業を関かないゼ、ミ生に対して残念に思う(怒りを覚える)。. ( 10 )が ( 1 0つ 、 ( 1 1 )が ( 1 1つ と い う 意 味 を 表 す 場 合 は 、 次 の よ う な 推論が背後に働いているはずである(小泉. ( 1 9 9 6 :回)。 ). ( 1 0 " )a . 曲がる時に指示器を出す入→そういう人は好きで易る[発話. から]. b . 指示器を出さず]こ曲がった入がいる i 現実状況] c . 指示器を出さずに曲がる人→そういう人は好きで誌ない(嫌 ( 1 0 " a b ) による裏的推論] いである) [. ( 1 1 " )a . 真剣に授業を開くゼミ生→嬉しく思う[発話から]. b . 私語をしているゼミ生がいる[現実状況] c . 真剣に授業を聞かないゼミ生→残念に思う(怒りを覚える) [( 11 " a b ) による裏的推論]. この二つの例から分かるのは、このようなタイプの国辺的アイロニーは ( 1 0 " 1 1 " ) のような意味論的な推論が介在していると考えるのが直感的に. もあっている。そして、このよう立推論が会在するということ誌感情や態 度という命題として扱いにくいものでなく、意味論的に明確な命題形式の 概念が関連していることを示唆している O そして、裏的推論の婦結として 1 0 ) では乱暴なドライ 出 て 来 る の は 、 嫌 み の 向 か う 先 で あ る 対 象 者 (( 11)ではゼミ生)に対する否定的な評価である。つまり、推論に パ一、 (. より出て来る命題が対象者に対する非難になっているのである O 非難をし. -66-. (3 7).

(16) アイロニーと嫌み春本. ていることが分かる命題が推論されるのであるから開き手法嫌みを解釈で きる. O. 繰り返しになるが、これらの例を見る摂りにおいては、嫌みの解釈. にも冷静なタイプのものもあり、命題形式という意味論的に明確なものが 関わるという可能性を排除することは出来ないことがわかる. O. 続いて、惨辞疑問文による嫌みの{売を観察してみる。特 i こ、試験問題的 疑問文との比較において考えてみる。. ( 1 2 ) a . [大学生に] 山田君、先週の確認。 B本の排他的経済水域での捕鯨は認めら れるか? 弘[携帯電話が授業中に鳴った大学生に] 山田君、先週の確認。授業での携帯電話は認められるか?. ( 1 2 a ) の試験問題的疑問文とは異なり、 ( 1 2 b ) の修辞疑詩文は嫌みが 1 2 b ) の惨辞疑問文に対する返答は「授業での携帯電話は認 解釈できる o (. J というものしかない。しかし、この命題は現実状況と矛盾す められな p る。良識的に考えると、. f 授業での携帯電話は認められな p J という命題. が適切で、「授業中に携帯電話をつかえる状態している j という現実状況 の方が不適切であると判断せざるを得ない。したがって、現実状況を引き 記こした大学生の責任. f 携帯電話の電源を授業中に切っておかない大学生. の責任」と p う推論(及び命題)を導くことになり、最終的に大学生への 非難と立る。開き子である大学生にこの発話が嫌みに感じるのは、以上の よう主題接的非難が行われ、そのようにしか解釈できないからである. O. そ. して、この ( 1 2 b ) においても重要なのは、嫌みの解釈が命題という意味 論的に明穫なものによって行われている点でるる. O. ここでも、態度や感靖. という暖昧な概念では十分に説明できないと考えられる. O. この館では、嫌みの解釈に意味論的に明議な命題が重要な役割をしてい にd. 。 円. (38).

(17) 文学・芸術・文化. 1 8 巻 2号. 2 0 0 7 . 3. ることが明らかになった。しかも、その命題は論理的な推論を経ることに よって、最終的には開き子や対象者を非難する内容という意味論的に明確 な形で現れている。この点は、理論的にも、非常に重要左ことを示唆して いると考えられる. O. すなわち、 G r i c eや発話行為理論的アプローチがいう. ような語用論的な推論を通して発話とは逆の意味を表すという意味反転分 析の経験的支持を表している。意味反転分析では、語用論的推論を経て発 話とは逆の意味を表すと説明するが発話とは逆の意味とは一般的に否定的 な内容であり、聞き手〈対象者)を非難する内容であるからである。もち ろん、この館の観察だけで意味反転分析がアイロニ一理論として唯一の適 切なものでるるとは言えないが、整えめに言っても、「論理的な誰論に関 わる」という点、と「語き手を非難する内容を示す命題」が推論を通して導 かれるという点を理論的枠組みにいれるようなアプローチが必要であるこ とは確かであろう O. 3 . 考察と理論化への展望 3蔀では、 2節で述べてきた観察の結果を考察し、それをふまえて、ア. イロニ一分析の理論化への震望を述べてみたい。. 2 . 1節および2 . 2 節での観察によって出てきた点を挙げると次のようにな るO. ( 13 )a .現実拒否:対立現実拒否と同等現実拒否 b .椙対的劣註 C. 嫌みの心理プロセス(叙説):. 9 ) ) 発話内容認識→劣位認識→劣位回避欲求→現実拒否(= (. d .論理的推論 e .爵き子を非難する内容を示す命題〈非難舎題と呼ぶ). -64-. (39).

(18) アイロニーと嫌み春本. 周辺的アイロニーで解釈される嫌みを導き出す要因は少なくとも(13 ) であり、適切なアイロニ一分析はこれらを枠組みの中にとり入れる必要が ある。これらの要菌をどう考えれば枠組みの中にとり入れられるだろうか。 1 3 b ) の相対的劣位と(13 e ) の非難命題は統 まず、考えられるのは、 (. 合的に取り扱うことが可能であろう. O. 相対的劣位は多くの場合には. f 話し. 手優笠-聞き手劣位」という認識であるが、個別の例においては、例えば. J ((5) の例)のようになり、 「話し手は龍力があるー開き子誌能力がな p 聞き手(または対象者)に関する否定的内容を表す。この相対的劣位を意 図的に認識させようとする意図的な層辺的アイロニーの例の場合は、聞き 手の否定的部分を意国的に取り上げるのであるから非難であり、そして、 これは命題の形式の非難命題として環れてくることになる O 確かに、非難 であっても相対的劣位によらない場合 ( ( 1 0 1 2 ))もあるが、相対的劣位 であるならば、聞き手への非難につながることはこれまでの観察で明らか. 2 . 1蔀) このプロセスは ( 1 4 a ) になる になっている ( 0. O. ( 1 4 )a . 発話内容認識および文脈靖報とのすり合わせ→開き子劣位認識 2 5 )) →聞き手に対する非難命題((. つぎに、 2 . 1節で見た ( 1,6 7 ) のような嫌みの中でも周辺的嫌みは複雑 b ) のようになる なプロセスであったが、忠実にまとめると(14. O. ( 1 4 ) b . 発話内容認識および文目素晴報とのすり合わせ→話し手劣位認識. →劣位回避欲求→現実拒否→聞き手優位(=現実)否定→聞き ( 1,6・7 ) ) 手に対する非難命題 (. 最後に、 2 . 2節で見てきたような論理的推論による非難命題解釈のプロ セスは(14りのようになる. (40). O. -63-.

(19) 文学・芸術・文化. 1 8 巻 2号 2 0 0 7 . 3. ( 1 4 ) c . 発話内容認識および文康情報とのすり合わせ→(論理的推論) ( 1 0 1 2 ) ) →開き子に対する非難命題 (. ( 14 a c ) を見ると、解釈プロセスの共通点は「発話内容認識および文振 情報とのすり合わせj と「聞き手に対する非難命題j だけになる. O. これだ. けでは直接的に非難する場合でも同じに右り、周辺的アイロニー特有のプ 1 4 c ) にある論理的推論の部分をもっ ロセスだとは言えない。しかし、 (. と異体的に考えると解決の糸口がつかめる。それは現実拒否にも関係する [否定j というプロセスである 0(10 ・1 1)では発話から論理的命題 (p→ Q) が想定できる O しかし、現実状況から考えるとその条件第は否定されてい る(---,到。したがって、発話内容と現実状況のすり合わせを行うと、元 , Q)、推論される(---, Q) そ の論理命題の裏命題ができ上がり(---, p→ 0. して、この裏命題の帰結第(---,む)は聞き手(または対象者〉の非難する ものである。ここで注目してもらいたいの誌、条件節にしても婦結節にし て、何らかの条件で否定されている点である. 7. また、 ( 1 2 ) のような併で. は、良識的に考えると[電源をきっておく j のが普通であり、「携帯の電 源をつけたままにしておいた j というのは不適切な行動になる。つまり、 この段階で適切な考えを保つ為には不適切な行動とそれを引き起こした考 えの方を否定しなければならない。そして、ここで否定される不適切な考 えは開き子(対象者)が抱いたものであるので、結果として聞き手が非難 c ) の論理的推論が関与する ( 1 0 1 2 ) されることになる。このように(14. の椀では推論の中の一つのプロセスに想定の否定という段階がある。もち 1 4 a b ) のようなプロセスでは現実拒否という現実であるにも関わ ろん、 (. らずその現実でさえ否定する段階がある。. 主任 5 ) のよう こうして考えてみると、より一般化したモデんとして l なものになる. O. -62-. (4 1).

(20) アイロニーと嫌み春木. ( 1 5 )a . 発話内容認識および文賑情報とのすり合わせ→ b .否定→. C .器. き子に対する非難命題. もちろん、上で述べたように否定の方法は個別の例では少しずつ異なっ ている。しかし、嫌みを解釈する上では、否定という作用が関連してくる と考えると、嫌みを認識した時の直惑とも合うように思われる. O. つまり、. 嫌みの場合、罵き手にとって言われたくないことを率直に言われるという 裏表のない言動ではなく、語き子を悪く思っていないように装っていなが ら腹の中では実はそう患っているという感じがある O まさに、この惑覚は 話し手が実は心の中では開き子に関わることを否定しているという のモデルに合うものである. ( 1 5 ). G. さて、(15 ) でまとめたモデルを具体的にどのように理論化するかは非 常に難し t) 0 特に、上で述べたように、 は例によって少しずつ異なっている. O. ( 1 5 b ) の否定に関わるプロセス. ただし、考えられる可能性としては、. それぞれの関では異なるプロセスが関連してくるとしても、総体として. ( 1 5 ) のような一連のプロセスを認識した時に、入は嫌みを解釈すると仮 定することは出来る。このように、特定のー殻化された解釈プロセス全捧 を認識した時に嫌みの認識が行われると仮定すると、本論で取り上げた周 辺的アイロニーだけでなく、典型的なアイロニーも毘様に扱うことが可能. ) では、発話内容と文康情報のすり合わせをすると、 となる。例えば、(16 発話命題は否定されることになる. O. 否定されるということは、{きれい会. Jや「汚い部屋だ j や「きれいな部屋だとは認めな Lリ の よ 部屋ではな p うな聞き手に対する非難命題を導く. O. このように、典型的なアイロニーも. ) のような解釈プロセス全体を経ることになる ( 15. O. そして、この認識が. アイロニーと呼ばれる嫌みの認識であり、典型的アイロニーも同様のアプ ローチで捉えるごとが可能になる. O. 。 戸 i 噌. (42).

(21) 文学・芸術・文化. 1 8 巻 2号. 2007.3. ( 16 ) [散らかり放題の息子の部屋に入った親] 本当にきれいな部屋だね。. 4 . 結語 以上、本論では、周辺的アイロニーの例を取ち上げ、嫌みの認識がどの ようにして導き出されるのかを分析した。十分な理論化には至らなかった が、(15 ) という解釈プロセス全体の認識とその中での「否定j という要 素が鍵概念であることを指描できたのは、重要であると考えた t~o もちろ ん、今後の展望としては、ここで挙げた「否定j という概念がどのような ものであるのか、例えば、認知的プロセスであるのか、認知的な状態であ さ要であ るのか、論理的なものか情諸的なものかなどのより詳細な議論が 1. r o n yはより理性的なニュアンスがあり sarcasm る 例えば、英語で言う l C. は感積的なニュアンスがあるが、このようなことを考えると何らかの関わ りを見つけ出すことが耳龍になるかもしれない。また、本論では司本語の 例を取り上げた為に、ここで挙げた?否定」と p う概念が、論理的・意味 論的否定ではなく、否認に近いかもしれない。そうなると「否定 j とは否. arcasmは扱 認のような概念になるが、その場合法日本語の皮肉と英語の s r o n yを扱うには不十分であるかもしれない。このような えても、英語の l 点の検討は本訴究の発展として今後稿を改めて行う予定である. O. 参考文献 A t t a r d o,S a l v a t o r e( 2 0 0 0 ) “IronyasR e l e v a n tI n a p p r o p r i a t e n e s s, "J o u r n a lo fPra 節n a t i c s,32,7 9 3 8 2 6 . C a r s t o n,RobynandS e i j iUchida ( 19 9 8 )R e l e v a n c eT h e o r y :A p p l i c a t i o n sandI m p l i c a t i o n s,J ohnBenjamins,Am sterdam,P h i l a d e l p h i a . C u t l e r ,An ne ( 1 9 7 4 ) “OnS a y i n gWha tYouMeanw i t h o u tMeaningWha tYouSay , " Papersfromt h e TenthR e ε i o n a l主 主e e t i n g -o ft h eChica g oL i ng u i s t i cS o c i e t y ,1 1 7 1 2 7 . G i o r a ,R a c h e l( 1 9 9 5 ) “OnI r o n yandNe g a t i o n, "D i s c o u r s eP r o c e s s e s,1 9,2 3 9 2 6 4 .. -60-. (43).

(22) アイロニーと嫌み. 春木. G i o r a,R a c h e l( 2 0 0 2 )“ L i t e r a lv s .F i g u r a t i v eL a n g u a g e :D i 立e r e n to rE q u a l ?, "Journalof P r a g m a t i c s,34,4 8 7 5 0 6 . 河上誓作 ( 1 9 9 3 )r O v e r s t a t e m e n tと U n d e r s t a t e m e n t :アイロニーを取りまく爵連語葉の 萌 究Jr 言語学からの挑望 j 九州大学出額会, 2 3 5 2 4 6 . 海上誓作(19 9 8 )r アイロニーの言語学 Jr 待兼山論叢j 第 3 2 号 文 学 篇 11 6大阪大学. 小泉保(19 9 6 )r 皮肉の語用論J 1 言語諜究の韻域一小泉保博士古稀記念論文集 j1 1 2 0 ・. 大学書林,東京.. M a r t i n,R o b e r t( 1 9 9 2 ) “I r o n yandU n i v e r s eo fB e l i e f , " 主主互主主 8 7,7 7 9 0 . 佐藤信夫 ( 1 9 9 3 ) rレトリック感覚』 講談社学術文章 1 0 2 9講談社,東京. S e t o,K e n i c h i ( 1 9 9 8 ) “OnN o n e c h o i cI r o n y , " i nC a r s t o nandUchida ,2 3 9 2 5 5 . e i r d r eWi 1 s o n( 1 9 8 1 ) “I r o n yandt h eUse-MentionDis t i n c t i o n, " S p e r b e r,DanandD i nC o l e,P e t e r( e d . )R a d i c a lPragmatic~, 2 9 5 3 1 8,AcademicP r e s s,NewYor k . S p e r b e r,DanandD e i r d r eWi 1 son( 1 9 8 6,1 9 9 5 ) Re ,l e v a n c e :CommunicationandCo交n i 2 n l <edition),Blackwell,Oxford. t i o n,( S p e r b e r,DanandD e i r d r eWi 1 son ( 19 9 8 )“ I r o n yandR e l e v a n c e :A R e p l yt oS e t o,H a mamotoandYamanashi, "i nC a r s t o nandUchida,2 8 32 9 3 . V e r b a lI r o n ya sImp 1 i c i tDis p l a yo fI r o n i cEnvironmen t :D i s t i n UtsumiAk i r a( 2 0 0 0 )“ g u i s h i n gI r o n i cじt t e r a n c e sfromNonirony, "J o u r n a lo fP r a g m a t i c s,3 2,1 7 7 7 1 8 0 6 . e i r d r eandDanS p e r b e r( 1 9 9 2 ) “OnV e r b a lI r o n y, " 主盟主主 8 7,5 3 7 6 . Wilson,D 岨. Qd. FO. (44).

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参照

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