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特別養護老人ホーム利用者の医療ニーズ への対応のあり方に関する 調査研究事業

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Academic year: 2021

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(1)平成20年度厚生労働省老人保健事業健康増進等事業報告会. 特別養護老人ホーム利用者の医療ニーズ への対応のあり方に関する 調査研究事業 日本老年看護学会 発表者 水野 敏子 平成21年8月21日.

(2) 医療ニーズ班のメンバー 氏名. 所属. 氏名. 所属. 水野 敏子 (班長). 東京女子医科大学. 松岡 文子. 板橋ナーシングホーム. 亀井 智子(副班長). 聖路加看護大学. 岡本 恵子. 加賀地域包括支援 センター. 小長谷百絵(副班長). 東京女子医科大学. ラウ 優紀子. 東京女子医科大学. 岡山大学大学院 保健学研究科. 坂井 志麻. 東京女子医科大学. 東京都医学研究機構 東京都神経科学研究所. 井澤 玲奈. 東京女子医科大学. 金川 克子 (政策検討委員). 石川県立看護大学. 西田 真寿美. 中山 優季. 川崎 千鶴子. 特別養護老人ホーム みずべの苑.

(3) 目 的 特別養護老人ホームという高齢者の生活の場にお ける医療的ケアの質の向上を計り、高齢者が安心 して生活が継続できることを目指す。 全国の特別養護老人ホームの喀痰吸引と経管栄養 の処置を受けている利用者への実施体制について 調査し、医療的ケアについての基本的考え方を示 す。 特別養護老人ホームにおける二つの医療的ケアに ついて、看護職がケアの推進役として機能できるよ うエビデンスに基づいた判断根拠を示し、標準ケア プログラムを作成する。.

(4) 研究の進め方 実態調査 特別養護老人ホームにおける喀痰吸引と経管栄養 を実施している利用者へのケアに関する実態調査から 医療的ケアについての基本的考え方を示す。 ↓. 喀痰吸引と経管栄養のケアプログラムの作成 ↓. ケアプログラムの精錬 専門家、実務者へのヒアリングから実行可能性、 内容妥当性の検討にケアプログラムを修正する.

(5) 実態調査 全国の特別養護老人ホームのうち、喀痰吸 引と経管栄養を行っている施設 縁故法によって選出され、承諾の得られた 42施設 1施設1~2名の利用者(喀痰吸引1名、経管 栄養1名)について、看護職と介護職各1名に ケアの実施状況について聞き取り調査を実 施.

(6) 調査内容 施設のケア体制と方針 喀痰吸引と経管栄養を実施している利用者 の状況 看護職と介護職の当該利用者についてのケ ア実施時の観察、判断、実施、評価、情報交 換等 分析:得られたデータは内容ごとに分類し頻度を集計.

(7) 利用者の要介護度 (人). (人). (n=37). 40 32. (n=42 ). 40. 36. 35 30. 30. 25 20. 20. 15 10. 10 5 0. 0. 0. 要介護1. 要介護2. 要介護3. 6. 5 0. 0. 0. 要介護1. 要介護2. 要介護3. 0. 0 要介護4. 要介護5. 喀痰吸引. 要介護4. 経管栄養. 要介護度5が85%以上を占める *32名が喀痰吸引と経管栄養の両方を実施. 要介護5.

(8) 認知機能(認知症高齢者の判断基準) (人). (n=36). (人). 25. 25. 20. 20. (n=42). 18. 17. 15. 15. 12. 12. 10. 10 5. 5 1. 1. 2 0. 2. 1. 未記入. 重症度の高いⅣ・Mが80%から71%を占める. M. 経管栄養. Ⅳ. Ⅲ. Ⅱ. Ⅰ. 認知障害 な し. 0 M. Ⅳ. 喀痰吸引. Ⅲ. Ⅱ. 認知障害 なし. Ⅰ. 認 知 障. 0. 0. 5. 7.

(9) 調査日の利用者の状況 0. 5. 10. 心身が安定し1週間以内での変化が認め られない. 喀 痰 吸 引. (人) 20. 15 13. 16. 熱発などの状態の変化がある. 3. ターミナル期(看取り期). 5. その他. (n=37) 0. 経 管 栄 養. 10. 20. 心身が安定し1週間以内での変化が認めら れない. 25. 14. 熱発などの状態の変化がある. 2. ターミナル期(看取り期). その他. (人) 30. 1 (n=42).

(10) 喀痰吸引の実施状況. 概要版p4-7. 10時. 18時. 35.0. 30.0. 25.0. %. 20.0 33.3. 33.3. 15.0 27.3 24.2 21.2. 10.0. 18.218.2 15.2 15.2 12.1 12.1. 18.2 15.2. 15.2 12.1. 5.0. 9.1 6.1. 24.2 21.2. 21.2. 24.2 21.2. 24.224.2 21.2. 24.2. 18.2. 21.2 18.218.2. 18.2 15.2. 12.1. 12.1. 15.215.2. 12.1. 12.112.1. 9.1. 9.1 9.1. 9.1. 6.1. 6.1 3.0. 6.1. 6.1. 3.0 9: 30 10 :0 0 10 :3 0 11 :0 0 11 :3 0 12 :0 0 12 :3 0 13 :0 0 13 :3 0 14 :0 0 14 :3 0 15 :0 0 15 :3 0 16 :0 0 16 :3 0 17 :0 0 17 :3 0 18 :0 0 18 :3 0 19 :0 0 19 :3 0 20 :0 0 20 :3 0 21 :0 0 21 :3 0 22 :0 0 22 :3 0 23 :0 0 23 :3 0 24 :0 0. 8: 30. 9: 00. 8: 00. 7: 00. 7: 30. 6: 30. 6: 00. 5: 00. 5: 30. 4: 30. 4: 00. 3: 00. 3: 30. 2: 30. 1: 30. 2: 00. 1: 00. 0: 30. 0: 00. 0.0. 時間. 吸引を実施している時間帯と実施割合 日中と同様に夜間の吸引が多い.

(11) 利用者一人当たりの喀痰吸引回数 度 数. 度 数 6. 12. 10. 8 4. 6. 4. 2. 2 0 0.00. 2.00. 4.00. 6.00. 8.00. 日勤帯吸引回数. 10.00. 12.00. 0 0. 5. 10. 夜勤帯吸引回数. 平均吸引回数. 4.0±2.6回. 3.7回±3.0回. 15. 20.

(12) 吸引している部位 (人) 0. 5. 10. 15. 20. 25. 16. 咽頭手前の口腔内まで. 25. 咽頭まで 22. 咽頭から喉頭まで 気管まで 鼻腔. 30. 12 27 (n=37). 複数回答. 35.

(13) 喀痰吸引の必要性の判断 看護職:バイタルサインや呼吸音の聴診など を踏まえて総合的に判断していた。 しかしその基準は必ずしも明確ではなく、 看護職によって差がみられていた。 介護職:看護職に判断を委ねていた 口腔ケアの後やある一定の時間に吸引が 必要と考えている場合が多かった。 今後、利用者の個別の状況を考慮した吸引の実施基準 適正評価、予防的方法の指針、介護職が担える吸引の 範囲と条件などについて、具体的な指針を明確にして いくことが望まれる。.

(14) No.. 4:00. 利用者の経管栄養に関するタイムレコード 11 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 5:00. 概要版p8-11 15:00 16:00. 17:00. 18:00. 19:00. 20:00. 21:00. 時間*. 1. 4.5. 2. 7.5. 3. 4.5. 4. 5.5. 5. 5.5. 6. 3. 7. 7. 8. 4.5. 9. 3. 10. 8.5. 11. 6. 12. 7. 13. 3.5. 14. 6.5. 15. 4.5. 16. 7. 17. 5.5. 18. 0.5. 19. 0.5. 20. 0.5. 21. 0.5. 22. 0.2. 23. 0.5. 24. 12. 25. 11. 26. 3. 27. 6. 28. 6. 29. 7. 30. 3. 31. 1.5. 32. 1.5. 33. 6. 34. 5. 35. 5. 36. 3. 37. 4.5. 38. 1.5. 39. 8.5. 40. 6. 41. 4.5. 42. 7 :半固形タイプの栄養機能食品を使用 :経管栄養注入時間. 時間*:1日の合計注入時間.

(15) 半固形と流動タイプの栄養剤の注入時間の比較 (n=42) 栄養剤の種類 半固形タイプの栄養機能食品 その他の流動タイプの栄養剤. 人数. 平均(時間) 12 1時間20分 30 6時間. p値 < .05. *半固形タイプにより、注入後の安静時間が短縮し、注入と注入の間隔 があき、リハビリテーションなどに利用する時間が増える。 *栄養剤は体調によって種類が異なり、体調が安定している場合には半固形 タイプの栄養剤が利用可能であるため体調管理が重要.

(16) 1日の合計水分量(経管栄養量+白湯)と 吸引回数 吸 引 回 数. 30 25. (. r s   = .45. 回. 20. *. ). 15 吸引回数 10 5 0 0. 1000. 2000. 3000. 4000. 合計水分量(m l) *=p≦.05.

(17) 一日当たりの口腔ケアの回数 0%. 20%. 40%. 看護職 1回 2回 8.1% 8.1% (n=37). 60%. 80%. 100%. 4回 8.1%2.7%. 3回 73.0%. 5.7% 2.9% 介護職 8.6%. 14.3%. 65.7%. 2.9%. (n=35). 1回. 2回. 3回. 4回以上. なし. 未記入.

(18) 自己喀出を促すケアの実施の程度 (複数回答) 0% 気管内加湿法. 10%. 20%. 30%. 5.4% 2.9% 40.5%. 体位ドレナージ スクイージング ハッフィング. 34.3% 10.8% 2.9% 5.4% 0.0% 24.3%. パーカッション バイブレーション. 40%. 17.1% 5.4% 2.9% 看護職 (n=37) 介護職 (n=35). 50%.

(19) スタッフの困難 喀痰吸引 痰が十分にとりきれない、吸引による粘膜損傷、呼吸困難、 嘔吐、吸引の刺激による痰の増量、酸素低下、食事中の吸 引に関するもの、利用者が吸引チューブを噛む、口を閉じる、 手を出すことなどにより吸引チューブ挿入が困難な人への対 応の難しさが挙げられた。 経管栄養 胃瘻からの経管栄養法で技術的な難しさやチューブの抜去、 つまりの防止対策、胃瘻刺入部の皮膚ケア等、嘔気・嘔吐等 のトラブルに不安があり、具体策や防止方法についての要 望があげられた。 実施に対する不安や業務の責任の重さ、栄養剤注入自体の 技術の大変さ等を感じていた。 喀痰吸引、経管栄養に関する新たな知識や技術を得たいと いった声が多く聞かれている。.

(20) 医療的ケアについての基本的な考え方 概要版p13. 看護職と介護職との連携により利用者の喀痰吸引 や経管栄養が安全に苦痛なく実施されるためには 看護職のアセスメント能力とマネージメント能力の一 層の向上が求められる。 医療的ケアは単にどのように実施したらよいかに注 目しがちであるが、何よりも生活リズムの構築や水 分管理、嚥下訓練など予防的な視点の重要性が示 唆された。このような点に注目してケアをするために は看護職の一層の能力向上が必要である。.

(21) 医行ニーズへの対応を行うことによるリスクマネジメ ントを看護職が責任を持って行う必要がある 看護職の教育のみならず、介護職への教育が不可 欠である。将来特別養護老人ホームにおいても介 護職による吸引が認められるようになることを想定 した場合には、施設職員として備えるべき標準的な 技術を明確にし、教育目標や内容、リスクや留意点 を具体的に示す必要がある。.

(22) 介護職に喀痰吸引、経管栄養の実施が認 められたと想定した場合の実施条件 介護職の実施可能範囲 利用者の状態が安定しており、通常の行為が可能 な状況においてのみである。利用者の状態に異常 があった場合には実施せず看護職に連絡する。 行為の初期対応 医療的ケアに関する初期対応は看護職が利用者 の状態をアセスメントし実施範囲や観察点を明確に して介護職に説明する。最初は看護職がともに実施、 あるいは実施場面に立ち会い危険がないことを確 認する。.

(23) 介護職に喀痰吸引、経管栄養の実施が認 められたと想定した場合の実施条件2 1日1回は医療的ケア行為の実施後、利用者 の状態について看護職と情報を共有する。 看護職は少なくとも1日1回は実施、あるいは 実施の場面を確認し、安全に実施されている かアセスメントする。 実施方法の変更はお互いの情報に基づき看 護職が判断する。 介護職が吸引、経管栄養の操作について研 修等を通じて基礎知識を有している。.

(24) 安全な医療的ケア 看護職. 情報の共有. 治療的側面. 介護職 ケア的側面. 1. 観 察. 2. ア セ ス メ ン ト. 3. 計 画. 4. 実 施. 5. 評 価. 安全な医療的ケアの提供に向けた看護と介護の連携の概念図. *連携が円滑に機能すれば、患者は安心して療養生活を送ることができる。そのために情報交換、 情報の共有化、役割分担 総合的な質の高い支援、急変時の対応連携の整備が必要である。.

(25) ケアプログラムの構成 概要版P15-19参照. 1. 2. 3. 4. 5.. はじめに:医療ケアに対する基本的考え方 定義 適用となる対象者の条件 実施者の要件 ケアプログラム表 看護職版・介護職版.

(26) STEP2:吸引対象者のアセスメント 手順. 手順の細目. 観察事項等. 注意事項. 水分摂取状況の観察. ・舌や口の中が乾燥 していれば、吸引 チューブで容易に粘 膜を傷つける恐れが ある ・口の粘膜の乾燥、 舌の亀裂、舌の乾燥 、腋下の乾燥、嘔吐 や下痢などがあれば 脱水症状を疑う必要 がある. ・右心不全、腎不全 など水分摂取の制限 が必要な場合は、そ れを優先する. 本人の訴え. 息苦しさ、痰がた まっている、痰が出 しにくいなど. 2.口腔内吸引の必要性の確認. ・看護職とともに痰 を出しやすくする援 助をまず行い、どう しても必要な場合に 限り吸引を実施する ・気管内吸引は看護 職が実施する. 口腔内 と全身 の観察. 本人の 訴え. 口腔内 吸引の 必要性 の確認. ・口の中の吸引で取 れる位置に痰がある かを確認する. 理由根拠 ・水分摂取の不足があれば、 気道で痰を運ぶ機能が低下し たり、痰が硬くなる. 息苦しさなど、本人の訴えを 傾聴する. ・口の中のつばは ティシュペーパーで ぬぐうなどして、吸 引しないで除去する 方法を試みる ・吸引の適応である かを確認する ・吸引により起こり うる合併症を理解し ておく 【口腔内吸引】 ・口をあけることに よるつばの気道内へ の落ち込み. 吸引の適応 自分で咳払いができない、自 分で痰が出せない、認知機能 が低下していて、痰出しに理 解が得られない、脱水症状が あり、痰が硬くなっていて自 分で出せない、痰の貯留部位 が深い、肺に雑音がする、喘 鳴がある ・気道には、痰を外に出そう とする働きがあるため、気道 や喉の付近には分泌物が貯り やすい.

(27) 特別養護老人ホームにおける胃瘻からの経管栄養に関するケアプログラム<介護職版> 本プログラムは介護職に経管栄養が将来法的に認められたと想定した場合の実施方法について検討したものである。 STEP1:実施前の安全確認 手順 栄養 剤を 利用 者に 注入 して よい か確 かめ る 連絡 感染 予防 利用 者の 確認. 説明. 手順の細目. 観察事項. 注意事項. 理由根拠. いつもの状態と変わり がないか利用者の様子 や看護職からの情報か ら確認する. 体温上昇、血圧の 変動、吐き気、嘔 吐、お腹の張りな どを観察する. 朝食の場合は前日より の情報を確認する. 栄養剤が準備してある 場合は、いつもと違う 医師の指示内容の確認. 栄養剤の種類. 栄養剤の種類や量の指 示の変更があれば看護 職に確認する. 栄養剤の種類や量が変更すると、例え ば消化管に濃度が高い栄養剤がはいる と、急激に水分を吸収して下痢を引き 起こす可能性もあり、注入後の観察し なければならないことがあるからであ る. 実施の確認と、注入中 の安全確認. 実施モレなど看護職と介護職が連携し て安全に実施するため. 中止要件を参照し、看護職に連絡をする。. 栄養剤の量. 看護職は介護職に実施 することの連絡をする 手洗い 本人であることを確認 する. いつもと違うと思ったら看護職に連絡 し相談する. 食事の前に手を洗う 失語症*や認知症 **への配慮が必要. 利用者の取り違いの防止. 名前をはっきり呼びか ける 利用者に説明する. ゆっくり、はっきり話 しかける. 利用者の不安を軽減し、協力を得る. *失語症:話しはわかっても話すことができない場合などがあり認知症とは区別が必要 **認知症:ご自分がいる場所が分からないなど、認識したり、記憶することや、判断することができなる症状。話しているこ とが分からなくなるのも症状の一つである.

(28) ケアプログラムまとめ 特別養護老人ホームにおける利用者特性や、介 護・看護職の力量、体制に対応でき、加えて予防的 側面をも加味したケアプログラムの作成を試み、ヒ アリングによってさらに精錬した。 イラストをふんだんに使用し、親しみやすく、そして 分かりやすいプログラムを作成することができた。 今回、介護職が実施するとの想定に基づき看護職・ 介護職連携による実施の可能性を探るために、基 本的な考え方やエビデンスに基づいた判断根拠の 明確なケアプログラムを作成した意義は大きい。.

(29) 今後の取組の方向性 特別養護老人ホームにおいて、今後医療的管理が 必要な利用者の増加が見込まれることから、より複 雑なニーズに答えていくための看護職のアセスメン トやマネージメント能力がより一層求められる。 作成したケアプログラムがテキストとして活用可能と なるように精錬し、DVDなどわかりやすい教材も併 せて整備する必要がある。 看護職、介護職へ効果的な研修を実施するための 教育モデルを構築する。 これらの能力を高めることにより、利用者の療養生 活を守り、質の高い生活を保障することができる。.

(30) ご清聴ありがとうございました.

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