要旨 目的:クリニカル・コーチ(以下 CC)による教育活動の語りから、中堅看護師のキャリア 発達のプロセスを探究し、キャリア発達を促進する支援方法についての示唆を得る。 方法:A 大学附属病院に勤務する 6 名の CC に対し、半構造的面接法を用いて質的記述的研 究を行った。インタビューガイドを作成し、CC 研修から実践に至るまでの思いについての 語り、成⾧に繋がっていることについて聴取した。逐語記録を作成し、対象の変容のプロセ スを明らかにすることに優れている M-GTA に準拠して分析を行った。研究期間は 2018 年 8 月中旬~10 月中旬の合計 6 日間であった。また、聖路加国際大学研究倫理審査委員会(承 認番号:18‐A021)、A 大学倫理委員会(承認番号:4911)の承認後実施した。 結果:分析の結果、4 つのフェーズ(『成⾧停滞の感知』『考え方の価値転換』『自律的な実 績の積み上げ』『針路へのビジョンの獲得』)、17 のカテゴリー(13 の内的キャリア発達カ テゴリー、4 つの外的影響因子カテゴリー)、36 の概念が抽出された。 結論:CC として教育役割を担う中堅看護師のキャリア発達プロセスは、看護師としての【成 ⾧停滞を感知】することに始まり、内省による【考え方の価値転換】を契機に、【自律的な 実績を積み上げ】、【針路へのビジョンの獲得】をしていく内的キャリアの変容プロセスであ る。また、このプロセスは、理想と現実とのギャップ、或いは、他者との捉え方のズレによ る《看護師としての限界と行き詰まり感》《低い自己評価》《自信の喪失》《高い目標値によ る孤高》といった内的キャリア発達が停滞する時期を必ず伴う。しかし、内的キャリアが停 滞、或いは発達する時期に合わせて〔師⾧、先輩 CC による自己変革への動機付け〕〔CC 研 修参加による内省促進〕〔CC フォローアップ研修への参加や部署異動〕〔役割賦与〕などの 外的影響因子との相互作用、CC 自身が停滞に対する内省を繰り返すことにより、自己の前 提の再構築が進み、柔軟にズレやギャップを受け止めることができるようになる。柔軟性が 増すことにより思考が深まり、新たな知見を見出し《針路を展望》していくことが明らかと なった。従って、師⾧による成⾧停滞時期に対するメンタリングを介した内省支援、積極的 な CC 活動を展開している時期の見守りと承認、及び、具体的なフィードバックは CC の自 律性を高め、自信と責任感を育む。さらに、新たな役割賦与は、期待に応えようとする CC の内的キャリア発達を促進する。加えて、互いに関心を持ち理解し合う関係性の構築は、CC が周囲の様々な思考に触れ、自身の思考を深め、内的キャリアを自発的にも発達させていく。
クリニカル・コーチとして教育役割を担う中堅看護師のキャリア発達プロセスの記述
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