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上喉頭神経の両側同時刺激による嚥下反射の促進

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Academic year: 2021

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学 位 研 究 紹 介

学 位 研 究 紹 介

上喉頭神経の両側同時刺激による嚥下反

射の促進

Facilitation of the swallowing reflex

with bilateral afferent input from the

superior laryngeal nerve

新潟大学大学院医歯学総合研究科  歯科矯正学分野

高橋功次朗

Division of Orthodontics, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Science

Kojiro Takahashi

【研究の背景】

 嚥下反射を誘発する主な要因は,咽頭・喉頭領域で受 容する味などの化学感覚や食塊による触圧感覚が考えら れる。これらの刺激による求心性情報が,左右一対の舌咽 神経咽頭枝および上喉頭神経を経由して嚥下中枢に送ら れ,処理された後,嚥下反射が誘発される。これまでの嚥 下研究において,片側の上喉頭神経の電気刺激は,嚥下 反射の誘発に効果的であることが知られていた1)。また, 片側舌咽神経咽頭枝の電気刺激も同様に嚥下反射を誘発 することが実験的に明らかになっている(図1)。近年,咽 頭と喉頭領域からの求心性情報が,嚥下中枢に同時入力さ れた場合,嚥下反射を促進させていることが判明した2)

【目   的】

 本研究の目的は,食べ物や飲み物を飲み込むときに, 食塊によって刺激される喉頭粘膜の感覚を支配する左右 の上喉頭神経からの求心性情報が,嚥下反射の誘発に対 してどのような変調を与えるかについて,電気生理学的 手法を用いて検討した。

【方   法】

 ウレタン麻酔(1.0g/kg, ip)をしたラット(Wistar 系, 200- 400g)を背位に固定し,気管カニューレを挿入した。 左右上喉頭神経を剖出したのち切断し,両神経の中枢端に 双極ステンレス電極を取り付けた。電極と神経の接触部位 は,神経の乾燥または組織液による電気的な漏洩を防ぐた めに生体用のシリコンにより被覆された。嚥下誘発特性を 調べるため,電気刺激(10μA, 1.0ms, 5および 10-70Hz) を与え,嚥下誘発潜時および嚥下間隔時間を解析した。両 側および片側刺激群それぞれにおいて,5Hz と 10Hz 以 上のデータ比較には Dunnett 法を,両側と片側刺激群の 群間刺激には Tukey-Kramer 法を用いた。なお,嚥下運 動の指標には顎舌骨筋から導出した筋電図を用いた。 115 図1 咽頭および喉頭領域を支配している神経の電気刺激による嚥下誘発特性

(2)

新潟歯学会誌 44(2):2014 - 48 - 116

【結   果】

 片側および両側上喉頭神経の電気刺激により誘発された 嚥下反射の代表的な筋電図を図2に示す。片側刺激(図2 a)および両側刺激(図2b)で複数回嚥下反射が誘発され た。片側刺激および両側刺激で複数回嚥下反射が誘発さ れた。上喉頭神経を両側同時に電気刺激した場合,片側刺 激に比べ,嚥下誘発潜時の減少を認めた。この両側上喉 頭神経の同時刺激による嚥下反射の促進は,5,10 および 20Hz の低頻度刺激で顕著であった3)。しかしながら,刺 激頻度が 30Hz 以上になると嚥下誘発潜時において,同時 刺激と片側刺激に有意な差が認められなくなった(図3)。

【考   察】

 本研究結果は,上喉頭神経の左右同時刺激入力による 嚥下反射に対する空間的加重効果を示している。すなわ ち,口腔から入った後の飲食物の流れを考慮したとき, 食塊が左右喉頭粘膜を同時に刺激して発生する味・触・ 圧感覚などの求心性情報が,嚥下中枢において加算され, 嚥下反射を促通させていると考えられる。

【文   献】

1) Kitagawa J, Shingai T, Takahashi Y, Yamada Y: Pharyngeal branch of the glossopharyngeal nerve plays a major role in reflex swallowing from the pharynx. Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol. 282: 1342-1347, 2002.

2) Kitagawa J, Nakagawa K, Hasegawa M, Iwakami T, Shingai T, Yamada Y, Iwata K: Facilitation of reflex swallowing from the pharynx and larynx. J. Oral Sci. 51: 167-171, 2009.

3) Takahashi K, Shingai T, Saito I, Yamamura K, Yamada Y, Kitagawa J: Facilitation of the swallowing reflex with bilateral afferent input from the superior laryngeal nerve. Neurosci Lett. 562: 50-53, 2014.

図 3 上喉頭神経の片側または両側同時刺激における刺激頻度—潜時曲線 図2 上喉頭神経を片側 (a) または両側同時刺激 (b) による嚥下反射に伴う顎舌骨筋筋電図

図 3 上喉頭神経の片側または両側同時刺激における刺激頻度—潜時曲線 図2 上喉頭神経を片側 (a) または両側同時刺激 (b) による嚥下反射に伴う顎舌骨筋筋電図

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