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<企画論文> 産業集積のダイナミズムと政策

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Academic year: 2021

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<企画論文> 産業集積のダイナミズムと政策

著者

山口 隆之

雑誌名

産研論集

38

ページ

1-2

発行年

2011-03-26

URL

http://hdl.handle.net/10236/7307

(2)

1 -  企業や産業の集積や立地に関わる問題は、80 年代から 90 年代にかけて新たな研究視点と議 論が加えられた結果、今日では経済学や経営学はもとより、多くの学問分野の関心を惹くよう になった。しかもこの問題は、今日、研究領域のみならず、広くビジネス界や政策領域からも 注目を集めている。  わが国についてみれば、特に90 年代以降の産業集積に関わる政策的動きが顕著である。こ の背景には、バブル崩壊後の長引く不況、経済のグローバル化の進展と、それに伴う旧来型産 業集積の疲弊、企業の開廃業率の逆転を背景とした新産業振興やイノベーション支援の要請の 高まり、といった複合的な問題があるが、われわれにとって興味深いのは、広義の産業集積に 着目し、それを経済や企業活性化の為の起爆剤にせんとする動きが、日本のみならず多くの国 にみられ、なおかつ、これが一つの潮流となって、実際の企業行動や実態経済に少なからずの 影響を及ぼしつつあるという事実である。  こうした認識に基づいて、今回の企画では、構造およびダイナミズム、および政策という側 面から産業集積に接近する事にした。執筆陣の専門領域は多岐に渡るが、前者については、主 として小林論文、山鹿論文、町田論文、大西論文が担当し、後者については、梅村論文、山口 論文が取り組む構成になっている。  小林論文は、近年、地域の産業構造の高度化や知識集約化を進める際に注目される知識集約 度の高い対ビジネス支援サービス業(KIBS)に焦点をあてている。ここでは KIBS に関わる 先行研究が整理されたのち、産業連関表を用いて各都道府県における集積状況等が明らかにさ れる。  山鹿論文では、地理情報システム(GIS)を用いた産業集積の分析手法、特に集積を構成す る事業所の動向を計量経済学的に分析する際に有益な方法を示し、この方法を基に近年の都心 回帰といわれる現象を分析している。後半においては、小売業の事業所数や従業者数の増加と 地価との関係が示される。  町田論文が分析対象とするのは、大都市工業圏における生産構造の変遷である。まず、工業 圏として一つのまとまりを持つ地域として、東京工業圏、愛知工業圏、大阪工業圏の3 つを挙 げ、1980 年代、1990 年代、2000 年以降という時間的経過とともに、各工業圏の比重が、いか に推移したのかを分析している。  大西論文では、内陸型都市で資源の乏しい地域の事例は、地域資源を有効に活用した内発型 企画論文

産業集積のダイナミズムと政策

山 口 隆 之

(3)

2 - 産研論集(関西学院大学)38 号 2011.3 経済発展を目指す日本の産業の今後の方向性に少なからずの示唆を与える、との観点から京都 という地域に着目し、その産業の特徴、および競争力を生む中核的要素を抽出している。  梅村論文は、地方自治体による産業集積振興上の課題を明らかにするものである。地方自治 体や都市型産業集積を対象に実施されたアンケート調査の分析等を通じて、域内の産業振興と まちづくりに向けた政策の融合、地域における問題の共有化の促進、補完性の確保という観点 からの集積間連携の促進等を政策課題として指摘している。  山口論文は、地方分権改革が大規模に進められてから30 年近くを経たフランスにおける産 業クラスター政策を、その理念やツールに着目しながら分析している。フランス政府が外部機 関に委託した産業クラスター政策に対する評価資料を分析し、わが国の政策に対するインプリ ケーションや集積活動における課題を示している。  以上の執筆陣および論文により構成される今回の企画が、当該テーマに関わる多くの人々の 興味を刺激し、研究発展の一助となる事を願う。

参照

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