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会 計 に お け る実 現 概 念 に つ い て
清
水
哲
雄
1 序 収 益 を把 握 す る方 法 とし て従 来 か ら現 金 主 義,発 生 主 義 お よび 実 現 主 義 が あ る。 現 金 主義 は 現 金 の 入手 を も って収 益 を認 識 し,実 現 主 義 は 現 金 以 外 の 債 権 の 受 入 れ を も認 め る とい う意 味 か ら言 えば,実 現 主 義 の方 が 現 金 主 義 よ りそ の 範 囲 は 広 い 。 しか し現 金主 義 はす べ て の収 益 勘 定 につ い て,た とえ ば 受 取 利 息 や 受 取 家 賃 の 場 合 に つ い て も言 い得 るの に対 して,実 現 主 義 は通 常 商 品 の売 却 や 役 務 の 提 供 に 限 られ て い るか ら,収 益 発生 の種 類 の観 点 か ら言 えば 現 金 主 義 の 方 が実 現 主 義 よ りも そ の範 囲 は広 い。 発 生 主 義 は何 等 外 部 との 問 の 取 引 を条 件 とせ ず,内 部 に お いて 経 済 的 価 値 の 増 殖 を 認 め る もの で あ る。 い わ ゆ る 内部 取 引 に よ って価 値 増 殖 す な わ ち 収 益 を 認 識 す るの で 外 部 との契 約,資 金,財 の移 動 に よる事 実 の認 識 を経 て 記 録,計 算 を 行 な うもの で は な く,収 益 の 発生 は 当事 者 の判 断 に よ って認 識 され る。 こ の よ うな 発 生 主 義 を商 品 そ の他 財 貨 の勘 定 につ い て適 用 す る と,財 の市 場 価 格 騰 貴 に 際 して は 評 価益 が認 識 され る。 しか し一 般 的 に は評 価 益 は 一 種 の 架 空 利 益 で あ り,利 益 は 財 を売 却 して は じめ て実 現 す る もの と伝 統 的 に 理 解 され て い る。 この 観 点 か ら言 えば 実 現 主 義 は発 生 主 義 に よる収 益 認 識 の歯 止 め の役 を果 して い る。 この よ うに 発生 主義 に制 限 を加 え る理 由 は,収 益 認 識 の確 実 性,保 守 主 義 お よび 企 業 活 動 は購 買 あ るい は生 産 した財 貨 を最 終 的 には 売 却 に よ って 完 了す るの で,そ れ まで は 未 決 算 の状 態 で あ り収 益 を計 上 す べ きで は な い と い う動 態 論 的 損 益 計 算 思 考 に よ る。 しか し企 業 に 関 係 を もつ 財 務 諸 表 の読 者 は 企 1) 太 田 哲 三:1実 現 主 義 に つ い て 」 『企 業 会lli'」 第18LU.4 。業 の損 益 計 算 を指 向す る人 達 の み な らず 多 くの 他 の 目的 を もった 人 達 がい る。 会 計 を情 報 の 一 環 と して み る立場 か ら,1957年 のAAA会 計 基 準 のい う会 計 の 目的 は企 業 の諸 活 動 の 理 解 に 不 可 欠 な 情 報 の蒐 集 な らび に伝 達 で あ るの文 言 に 照 し て実 現 概 念 の 意 義 を 考 察 して み よ う。 皿 実現概念 の発展 実 現 概 念 は利 益 測定 の過 程 に欠 くこ と ので きな い もの で あ り,経 済 学 的 に は 利 益 とは富 の増 加 と考 え られ る。 この こ とか ら期 間 利 益 は 期 首 に存 在 した資 本 を減 じる こ とな く所 有 主 に分 配 し得 る富 の 量 で あ る と定 義 され る。 この よ うな 利 益 につ い ての 純 資 産 増 加 説 は20世 紀 の10年 代 の 中 期 か ら末 期 に か け て会 計 学 に 広 く受 け 入 れ られ た 。G.0.メ イ も,会 計,法 律 お よび経 済 の文 献 に よれ ぽ 実 現 の 公 準 は 第 一 次 大戦 まで は受 け入 れ られ て い なか った 。1913年 に は 英 米 の これ らの 諸 領域 の指 導 的権 威 者 は 利 益 の純 資 産 増 加 概 念increase in net worth conceptに 同 意 し て い る と 思 わ れ る と 述 べ て い る。 こ の 段 階 で は 評 価 益 と い う 未 実 現 収 益 が 測 定 の 対 象 と さ れ た 。 固 定 資 産 に つ い て の 評 価 の 困 難 性 は こ の 純 賓 産 増 加 説 を くつ が え す こ と に 効 果 が あ り,ま た1909年 の 英 国 の 所 得 税 や 米 国 に お け る所 得 税 の 改 訂 も こ れ に 拍 車 を か け た 。1920年 の ア イ ス ナ ーEisner対 マ コ ー マ ーMacomber事 件 に お い て チ ャ ー ル ズ ・エ ヴ ァ ン ズ ・ ヒ ュ ー ズCharles Evans Hughes判 事 は,利 益
は 実 現 さ れ る こ と が 本 質 で あ る 。 利 益 は 必 然 的 に 離 脱 と実 現separation and realizationを 意 味 す る。 … … 都 市 の 成 長 と 繁 栄 と に よ る 土 地 の 増 価 は 実 現 す る の まで は利 益 では な い と述 べ て い る。 こ こに い う離 脱 とは財 が 自己 の 手許 か らは なれ て他 人 の手 に渡 る こ と,す な わ ち 販 売 を 意 味 し,実 現 とは販 売 の対 価 と し て再 び 販 売 の 過 程 を 経 な い で 現 金 また は 現金 等 価 物 た る流 動 的 資 産 を受 取 る こ とを 意 味 す る もの と理 解 され る。
2) The Realization Concept 1964 Concepts and Standards Research Study Com- mittee一``TheCom- Realization Concept" The Accounting 1∼θワ∼θτり, April,1965 p,313. 3) The Realization Concei)t:ibid. P,314.
会計における実現概念について 3 1934年 のAIAの 会 計五 原 則 に お け る実 現 概 念 は 利 益 は 通 常 の 営業 過 程 に お いて販 売 が遂 行 され た と き実 現 した も の とみ な され る。 た だ し販 売 代 金 の 回収 が 合理 的 に保 障 され な い ご と き事 情 のあ る場 合 は この限 りで は な い と して い る こ とか ら,営 業 収 益 につ い て は 実 現 は販 売 基準 に よ って行 なわ れ る と と もに 貸 倒 引 当額 を損 費 と して 収 益 か ら控 除 す る こ とを認 め て い る。 また 資 産 の 評 価 益 も前 受 収 益 の よ うな 未 実 現利 益 に つ い ては 当期 の収 益 と して の計 上 を や め,更 に,損 費 と未 実 現 利 益 とを相 殺 す る よ うな 処 理 も実 現 の 原 則 に 反 す る と して い の る。 1936年 のAAAの 会 計原 則 の利 益 の測 定(8)に,あ る特 定 の 期 間 の 損益 計 算 書 は 正 当 な会 計 的 認 識 を経 た す べ て の収 益 と,そ の 期 間 中 に 費用 と して落 され た す べ て の原 価 とをそ の期 間 の 営 業 活 動 の 結 果 で あ ろ うとな か ろ う と関 係 な く, こ とご と く示 す べ きで あ る。 した が って そ の 企業 の歴 史 上 の どの年 度 を と っ て もそ こで の 利 得 お よび 損 失 は こ と ご と く通 計 され た損 益 計 算 書 の中 に 示 され な 5) け れ ば な らな い と して い る。 こ こで の 実 現 の 内容 は 収 益 に つ い て 「正 当 な 会 計 認 識 を 経 た 」 との文 言 に よ って示 され てい る。 この こ とに よ って,た とえ ば 資産 の 評 価 替 に よ る 未 実 現 収 益 は 計 上 して は な らな い と み るべ きで あ る。 け だ し1936年 の会 計 原 則 にお け る資 産 の評 価 は 原 価 主義 を徹 底 させ て い るか らで 6) あ る。 1938年 のい わ ゆ るSHM会 計 原 則 の 皿の 損 益 計 算 書 原 則 のBに,財 貨 の販 売 また は 役 務 の 提 供 に よ って 実 現 され る利 益 だ けが 損 益 計 算 書 に計 上 され るべ き で あ り,未 実 現 利 益 は 記録 され るべ きで な い と と もに利 益 に対 す る正 当 な 費 用 7) を 償 うた め に使 用 され て は な らな い とし て未 実 現 利 益 の計 上 を 禁 止 して い る。 4)黒 沢 清:『 近 代 会 計 学 』 昭 和26年pp.145一 一146.
5) AAA:"A Tentative Statement of Accounting Principles Affecting Corporate Reports"1936.中 島 省 吾 訳:『AAA会 計 原 則 』 30頁 。
6)中 島 省 吾:「 実 現 概 念 の 発 展 」 『企 業 会 計 』 第17巻 第8号 。
7) T.H。 Sanders, H. R. Hatfield and U. Moore:AStatement of Accounting 1『7ザπご〃〕1θ∫ 1938 p. 114,
1940年 の ペ イ トン ・リ トル トン の 企 業 会 計 基 準 序 説 の 第4章 収 益 に お い て は,そ の実 現 の 基 準 を 明 確 にす る と と もに資 産 の評 価 替 を否 定 した 。 こ こで は 収 益 の 稼 得 と収 益 の実 現 とを 区別 して い る。 前 者 は生 産 の プ ロセ ス の よ うに 経 営 活動 の全 過程 に お い て達 成 され るが,実 現 は法 的 な販 売 そ の他 の過 程 に よ る 転 換 と流動 資産 の取 得 とい う二 つ の確 定 的 事 実 に よ って 達 成 され る。 会 計 諸 記 録 に お け る収 益 認 識 の基 礎 として は,一 般 的 に は 実 現 が 稼 得 の 過 程 よ り一 層 重 8)
要 で あ る。 自然 増 価accretion or natural increaseは 実 質 的 収 益 と して は 報 告 され な い けれ ども実 際 の資 産 は 物 的 な 生 長 過 程 に よ って 増 大 して お り,そ の 金 額 が合 理 的 に,ま た 正 確 に測 定 され 得 る こ とが 多 い 。 そ こで 資 産 の 増 加 分 が 帳 簿 記 入 原 価 を不 明確 に し ない よ うな 方 法 で 処 理 され,そ の 結 果 生 じた 貸 方 項 目 に 明瞭 な名 称 が 付 与 され,そ して 実 現 され て い る利 益 とは 別 個 に 報 告 され て い の る な ら,自 然 増 価 の記 録 は認 め られ る と して い る。 これ は 具 体 的 に は 固 定 資 産 増 価 引 当金 とし て実 現 利 益 に 加 えな い 方 法 が 考 え られ よ う。 また 販 売 基 準 を と って い る と き,貸 倒 れ お よび 事 篠 経 費 につ い て 引 当 金 を 設 定 す る こ とに よ り収 益 を実 現 可 能額 に修 正 す る こ とも必 要 で あ る。 更 に 特 殊 な 売 買 取 引 の 例 と して 販 売 基 準 に よ らず 収 益 測 定 上 の現 金 主 義 に よ る場 合 もあ る。 た とえ ば契 約 に よ ,っ てか な り長 い 期 間 を 単 位 と して用 役 を 供 与 す る こ とを と り決 め て い る場 合 に は,毎 期 の収 益 額 に は 用 役 供 与 の 過 程 に も とつ く場 合 と現 金領 収 に も とつ く場 合 とで は 相 当の 差 異 が あ る。 この よ うな 場 合 は 現 金 の 収 入 を基 準 と して収 益 の 実 現 とみ な す 。 また 割 賦 販 売 の場 合 に お い て も現 金 主 義 が 採用 され るの は つ ぎ の 三 つ の理 由に よる。 第 一 は そ の場 合 の受 取 債 権 が 少 くと も一 部 分 は 購 買 力 と して使 用 され る可 能 性 か らあ ま りに も遠 い 。 第 二 は 決 済 の 期 間 が 長 い た め に 掛
8) w.A. Paton and A. C. Littleton:An Introductinn to Corporate Accounting 8'硯4併451940.AAA. PP.48一 一49,中 島 省 吾 訳:『 会 社 会 計 基 準 序 説 』pp.85一 一86.
9) W.A. Paton and A. C. Littleton:ibid. pp.52.53.中 島 省 吾 訳1前 掲 雷pp.89 ∼90.
1`))W.A. Paton and A. C. Littletoni:bid. pp.55一 一56.中 島 省 吾 訳:前 掲 書PP.93 ∼94。
会 計におけ る実現概 念について 5 金 を徴 収 し損 う可 能 性 が 増 加 して い る。 第 三 は事 後 費用 一 主 と して請 求 な ら び に 徴 収 関 係 の 費用 一 が短 期 的 な掛 売 と比 較 して高 い。 こ こに い た って 未実 現収 益 は収 益 と して認 め な い とい う実 現 の基 準 は 確 立 し た が,こ こに保 守 主 義 に よ る未 実 現 損 失 を どの よ うにみ るか の 問題 が 生 じる。 コ も し未実 現損 失 を 損 失 とみ るな らば 収 益 との 関係 で矛 盾 が 生 じて くる。 こ の こ とを ペ イ トン ・ リ トル トン に よれ ば 保 守 主 義 のあ らわ れ で あ る低 価 法 に よ り, 販 売 に よ って損 失 が実 現 す る前 に暗 黙 裡 に生 じた 価 格 の縮 少 を 損 益 計 算 書 の 中 へ 収 益 よ りの差 引分 と して 持 ち込 む こ とに な る。 そ の結 果 実 際 に 販 売 され た 財 の原 価 数 字 は 未 だ 販 売 され てい ない 財 に つ い て の価 格 縮 少 推 定 額 に よ って 自動 の 的 に水 増 しされ る。 したが って実 現 され た 収 益 に 対 して 売 上 原 価 た る費用 は 必 ず しも実 現 され た も の とは な らな い。 1941年 のAAA会 計 原 則 で は 実 現 な る用 語 が 多 く用 い られ 収 益 の実 現 を強 調 して い る。 そ の会 計 原 則 の 基 本 的 仮 定 の 中 の 原価 とな らべ て収 益 の項 目で実 現 基 準 を扱 って い る。 す な わ ち,収 益 は 実 現 し得 る価 値 に よ って 測定 され る。 広 義 に は 収 益 が 生 産 過 程 の 進 行 に つ れ て 発生 す る とい う こ と もで き よ うが,会 計 記 録 の 中 で は 財 また は 役 務 の顧 客 へ の 引 渡 し とそ れ と同時 に起 る現 金 な い し現 の 金 等 価 物 の獲 得 とに よ って裏 書 きされ た場 合 に の み認 識 せ られ る のが 常 で あ る と して ド イ トン ・リ トル トンの考 え方 と軌 を一 に して い る も の の,広 義 に は 収 益 は 生 産過 程 の運 行 につ れ て発 生 す る とい う文 言 か ら,経 済 学 的 利 益 も意 識 の 底 に は認 め て い る が,こ の段 階 では 未 だ 表 面 には で て こな い 。 1948年 のAAAの 会 計 原 則 は1941年 の会 計 原 則 とは 全 く対 照 的 に,実 現 な る 用 語 は何 処 に も使 われ てい ない が,利 益 の項 目の 中 の収 益 と題 す る と こ ろで,
11)W.A. Paton and A. C. Littleton:ibid. pp.57一 一58.中 島 省 吾 訳:前 掲 書PP.96 {'97・ 〔
12) 中 島 省 吾:前 掲 論 文 『企 業 会 計 』 第17巻 第8号 。
13)W.A。 Paton and A. C. Littleton:ibid. P.127.中 島 省 吾 訳:前 掲 書PP.210∼ 211.
14) AAA=``Accounting Principles Underlying Corporate Financial Statements"1941, 中 島 省 吾 訳:『AAA会 計 原 則 』47頁 。
収 益 は 資 産 が 移 転 され,役 務 が 行 使 され あ るい は企 業 の財 が も う一 方 の 当事 者 に よっ て利 用 され,そ れ と同 時 に 資 産 の取 得 あ るい は債 務 の減 少 を と も な う場 の 合 に 認 識 され,ると して1941年 の 会 計 原 則 と同 じ内 容 とな って い るが,未 実 現 収 益 につ いて は,明 確 に つ ぎの よ うに 示 して い る。評 価 切 上 額 す なわ ち市 場 価 格 の上 昇 か ら生 じ る資 産 価 値 の 増 加 分 は,販 売 が 行 な わ れ る まで は収 益 とみ な さ ユの れ な い 。 こ の文 言 は ペ イ トン ・リ トル トン の 会社 会計 基 準 序 説 や1941年 の会 計 原 則 に おけ る 自然 増 価 や 市 場 価 格 の 変化 か ら生 じた価 値 の増 大 は収 益 とみ な さ な い とい う考 え 方 と同 一 で あ り,1948年 会 計 原則 で は実 現 とい う語 は使 わ れ て い ない が,こ こに 収 益 の 実 現 概 念 は 確 立 され た とみ るこ とが で き る。 皿 実現概念の拡張 実 現 の意 味 は 売 却 ない し換 金 を 指 す の で営 業 収 益 そ の 他 の収 益 は商 品 を は じ め とし て資 産 の 売 却 時 に これ を 計 上 す る こ とに な る。 しか し1957年 のAAA会 計 基 準 で は,実 現Realizationは 会 計 基 準 の 基 礎 概 念 の 一 つ と して 企 業 実 体 Business Entity,企 業 の 継 続 性Enterprise Continuity,貨 幣 に よ る測定Money Measurementと と もに あ げ られ て い る。 こ こで い う実 現 は つ ぎの よ うに定 義 され て い る。 す な わ ち,実 現 の 本質 的 な意 味 は 資 産 あ るい は 負債 に おけ る変 動 が 会 計 記 録 上 で の 認 識 計 上 を 正 当 化 す るに足 るだ け の 確実 性 と客 観 性 とを備 え るに 至 った とい うこ とで あ る。 この よ うな実 現 の認 識 は,独 立 の 当事 者 間 の交 換 取 引が 行 なわ れ た こ と,こ れ まで に 確 立 され た取 引 上 の実 践 慣 行 にか な っ て い る こ と,あ るい は,そ の履 行 が 実 質 的 に 確 実 視 され る よ うな契 約 諸 条 件 を基 礎 とし て行 なわ れ る こ と とな ろ う。 そ の 認識 は,銀 行 制度 の安 定 性,商 業 上 の 契 約 の拘 束 性,あ るい は,高 度 に 組 織 化 さ れ た市 場 が 資産 の他 の形 態 へ の転 形 の を 容 易 に し うる能 力 のい か ん に よ って 規定 され る と して い る。 この資 産 や 負 債
15),16) AAA:``Accounting Concepts and Standards Underlying Corporate Financial Statements"1948. Revision.中 島 省 吾 訳:『AAA会 計 原 則 』62頁 。
17) AAA=``Accounting and Reporting Standards For Corporate Financial Statements" 1957.Revision中 島 省 吾 訳:『AAA会 計 原 則 』132頁 。
会計 におけ る実現概念について 7 の 変 化 に よ って 会 計 記録 上 の認 識 をす る とい うこ とは,収 益 に つ い て の み な ら ず 損 費 に つ い て も これ を認 識 す る こ とが 望 ま しい が,損 費 に つ い て の実 現 は, 以前 の 会計 原 則 同様1957年 版 に お いて も考 慮 に 入 れ られ て い な い 。 しか し販 売 とい う特 定 の行 為,あ るい は 外 部 との 取 引 に よ る確 定化 は必 ず し も条 件 とは さ れ て い ない と こ ろに 従 来 の実 現 概 念 と非 常 に異 な る と ころが あ る。 実 現 概 念 に つ い て の さ きの 文 言 た る 「実 現 の本 質 的 意 味 は,資 産 また は 負 債 に お け る変 動 が 会 計 記 録 上 で の認 識計 上 を正 当化 す るに 足 るだ け の確 実 性 と客 観 性 とを 備 え るに い た った」 は 固定 資 産 の価 格 が 貨 幣 価 値 の 下 落 に よ って騰 貴 σ した こ とを各 種 の デ ー タ に よ って知 り得 る し,ま た 生 産 中 の 物 件 は価 値 増 殖 の 過 程 を追 う こ と もで きる。 こ の こ とは 従 来 の実 現 概 念 が 発生 主義 的思 考 に変 化 し,か つ 経 済 学 的 発 想 に転 換 した こ とを 意 味 す る。 け だ し1957年 の会 計 基 準 に い う会 計 の主 要 な役 割 が 企 業 の 諸 活 動 の理 解 に 不 可 欠 な情 報 の蒐 集 な らび に伝 達 で あ り,多 目的 に 役 立 た せ る情 報 を得 るた め に実 現 概 念 の拡 張 を迫 られ た か らで あ る。 した が って 従 来 とは異 な り,外 部 との取 引 に よる も の のみ な らず 保 有 に よ る利 得 あ るい は 損 失 ま で も会 計 記 録 上 で の認 識 計 上 を 認 め る こ とに な る の で あ る。 よ り厳 密 に言 えば 保 有 に よる損 益 は 実 現 で は な く,損 益 の 存 在 を 認 識 す るの で あ る。 AAAの1964年 の実 現 概 念 で は,1957年 版 の 実 現 概 念 を 受 け て つ ぎ の二 つ に 焦 点 を しぼ る。 一 つ は 資 産 の 認 識 と評 価asset recognition and valuationで あ の り,他 は 収 益 の 認 識revenue recognitionで あ る 。 し た が っ て1964年 の 実 現 概 念 で は 損 費 に つ い て は 論 及 して い な い。 この論 拠 は,実 現 の認 識 は 独 立 の当 事 著 聞 の 交 換 取 引,取 引 上 の実 践 慣 行,確 実 視 され る よ うな 契 約 諸 条 件,銀 行 制 度 の 安 定 や 商 業 上 の拘 束 力 さ らに 高度 に組 織 され た 市 場 を 前 提 と して い る こ と を 考 え る と,資 産 の増 加 と収 益 の発 生に つ い て の実 現 しか 取 扱 わ れ な い と考 え られ る。 つ ぎに1957年 の会 計 基 準 の資 産 の認 識 に お い て も,資 産 の総 額 に お け
18) The Realization Concept 1964 Concepts and Standards Research Study Committee 一``The Realization Concept" The Accounting Review, April,1965 p.312. 19) 木 村 重 義:「 実 現 概 念 の 問 題 点 」 『説 経 通 信 』 第20巻 第11号 。
る増 減 は市 場 で の取 引 あ る いは これ に準 ず る もの に よ って 裏 づ け られ るべ きで あ る。 た とえば,発 見,寄 贈,発 生 あ る いは 自然 増 加 の過 程,お よび, (あ る 種 の 契 約 の も とで の)生 産 が新 しい 賓産 の認 識 を とも な う こ と もあ る。 あ らゆ る場 合 に つ い て 客 観 的 測定 の要 件 が み た され ね ば な らな い。 実 現概 念 は資 産 増 の 加 認 識 の 一 般 的 基 準 を 供 す る と述 べ て い るが,こ こで も実 現概 念 は 資産 増 加 の 認 識 に よ る収 益 や 利 益 に 関 す る もの で あ り,費 用 ・損 失 に つ い て の 実 現概 念 で は な い 。 費 用 に つ い て の1957年 の 会 計 基 準 の 表 現 は 利 益 の 算 定 の と こ ろで,資 産 の 有 用 期 間 に数 期 間 に また が る場 合 が 多 く,ま た この よ うな 会 計 期 間 の 期 末 に あ た って各 種 の事 業 上 の取 引が 一 律 に 同一 完 成 段 階 に な らぶ と とは な い の で 利 益 の 算定 は 見積 数 字 の利 用 と判 断 の 行使 とを要 す る複 雑 な会 計 作 業 で あ る とい い, この 見積 りや 判 断 は実 現 し売 認 識 に は行 なわ れ な いか ら,こ れ は 未 実 現 の 事 象 につ い て の 予 見 の場 合 の こ とで あ り,期 間 費 用 の計 上 にお いて は 多 くの 重 要 な 例 を み る こ とが で き る。 た とえ ば減 価 償却 費 の計 上,費 用 の繰 延,見 越 の判 断 ラ な どが これ に あ た る。 さ らに資 産 の用 役 潜 在 分 の減 退 は所 有 権 の移 転,漸 進 的 あ るい は 急 激 な物 的 品 質 低 下,物 的変 化 は あ らわ で な い に もせ よ使 用 に よる用 役 潜 在 分 の消 耗 あ るい は 旧 式 化 も し くは 消 費 者需 要 の 変化 に よ る経 済的 品質 低 下 に よ っ て生 じ る とい う文 言 も未 実 現 の 費用 の こ とを 多 く語 って い るが,見 積 り と判 断 の所 産 で あ る こ の未 実 現 費 用 の 計 上 が存 在 す る限 り利 益 の 算定 は 複 雑 な会 計 作 業 とな る ので あ る。 こ の こ とは 前 に 述 べ た ペ イ トン ・リ トル トンの い う保 守 主 義 に よる損 費 の把 握 と収 益 の実 現 との矛 盾 の論 理 と同 一 で あ る。 ウイ ンダ ル に よれ ばAAA委 員会 の1957年 の実 現 概 念 で 重 要 な こ とは,資 産 あ るい は 負債 に お け る変 化 が勘 定 に認 識 され る ほ ど十 分 に 確 定 的,客 観 的 に な
20) AAA:``Accounting and Reporting Standards For Corporate Financial Statements" 1957.Revision中 島 省 吾 訳;『AAA会 計 原 則 』 133頁 。
21) AAA:ibid.1957. Revision中 島 省 吾 訳=前 掲 書 136頁 。 22)木 村 重 義:前 掲 論 文 『税 経 通 信 』 第20巻 第11号 。
会計における実現概念について 9 つた か ど うか で あ る。 注意 しな けれ ば な らな い こ とは,変 化 は 資 産 あ るい は 負 債 に起 って い る の で あ る。 か く して こ の定 義 か ら実 現 概 念 は 原 価,原 価 移 転, 費用,損 失,収 益,利 益,資 本 醸 出,投 資,負 債 の 返 済 あ るい は 貸 付 な ど資産 お よ び負 債 の 変 動 が 生 じるす べ て の 場 合 の 認 識 に 適 用 され る。 した が っ て実 現 の テ ス トは 勘 定 に 記 録 され る項 目に つ い て質 的統 制 を行 な う適 格 審 査 の方 法 で あ る とす る。 そ して ウイ ン ダル は それ ぞれ の項 目につ い て具 体 的 な実 現 の基 準 を 明 示 し,し か も実 現 基 準 で 共通 して い るの は そ の も の の貨 幣 量 が確 定 的 で あ るか,あ るい は か な りの 正確 さ で評 価 され 得 る と し てい る。 それ に して も1957年 の実 現 基 準 に い う確 定 的 か つ 客 観 的 とは 何 を 指 す の で あ ろ うか 。 ウイ ン ダ ル は これ を 客 観 性 と測 定 可 能 性 と解 し,会 計士 の だ れ が 測定 し て も 同 じ結 果 が 得 られ る こ とを い う。換 言 す れ ば あ る項 目が か な りの正 確 さ を も って 見 積 られ るな ら,そ の項 目は 測定 可能 と考 え られ る とい う幅 広 い実 務 が あ る。 こ こで は 会 計士 の判 断 が 入 って く るの で彼 の過 去 の経 験 や 技 術 的 背 景 は 彼 に健 全 な判 断 を与 え る基 礎 とな る が,も し会 計 士 が そ の 項 目は 測 定 可 能 で あ る と決 定 す る な らば,そ れ は客 観 性 の テ ス トに 適 合 した と考 え られ る。 また 確 定 的 とは 逆 戻 りし ない ことで あ り,永 久 とい うこ とで もあ る。 この永 久 性 も ・ 測 定 可 能 性 と同 じ よ うに 会 計 士 の 判 断 が 重 要 で あ る。 ウイ ソ ダル は 永久 性 の テ ィ ピカ ルな 例 と して 金 の 生 産 の 場 合 を あ げ,金 の価 格 は 固定 して,政 府 が 買 上 げ るの で 生 産 の 段 階 で 収 益 が実 現 した と考 え て よい とい う。 そ し て実 現 基 準 を 測 定 可 能 性 と永 久性 の フ ァ ク ター に化 体 させ た た め に測 定 技 術 あ るい は 経 済 条 件 の変 化 は,こ れ らの両 者 に大 きな影 響 を及 ぼ す こ とに な る。 た とえば 電 子 計 算 機 の 高 度 な利 用 は企 業 の将 来 を か な りの正 確 さで 予 想 す る こ とを 可 能 に し, また将 来 の安 定 レた 経 済 は会 計 士 の評 価 を 更 に 信 頼 で き得 る もの に す る。 この
24)Floyd W. Windal:"The Accounting Concept of Realization."T'28んCounting Rev'θ τo, April 1961. PP,250∼251.
25)Floyd W. Windal:ibid. PP.252-257. 26) Floyd、V. Windal:ibid. PP.251∼252. 27) Floyd W.、VindaI:ibid. P.258.
よ うに して 実 現 基 準 は 時 代 に 応 じて 極 め て フ レキ シ ブル な概 念 で あ る。 モ ブ レ イに よれ ば,実 現 は 企 業 利 益 の 測 定 と 報 告 に おけ る 統 制 的 概 念 で あ 28) る とい う定 義 を 与 え,つ ぎの 広 義 の実 現 の意 味 とそ の具 体的 認 識 の時 点 に つ い て つ ぎの よ うに い う。 す なわ ち,広 い 意 味 に お け る実 現 は,企 業 の経 営 活 動 に お い て収 益 が生 じ,あ る いは 実 現 した と認 め られ 得 るす べ て の時 点 を含 む 。 し か しな が ら この広i義の実 現概 念 は 特 定 の場 合 に は 適 用 され 得 な い 。 特 定 の実 現 の 時 点 は,す べ て の可 能 な時 点 か ら選 択 され る こ とに な るの で,そ の 時 点 は特 定 の利 益額 を決 定 す る 「て こ」 とな る。 し たが っ てそ れ ぞれ の異 な る実 現 の時 点 は,そ れ に応 じた 異 な る利 益 額 を生 ぜ し め る。 換 言 す れ ば 実 現 を どの よ うに み るか に よ って 利益 も変 化す る。 実 現 と利 益 の相 互 依 存 関 係 は ホ ー ン グ レン に よ って 指 摘 され て い る よ うに実 現 概 念 と利 益 概 念 の間 に は不 可 避 的 な重 複 が あ りr実 現 した 』 とい う用 語 は 通常 純 利 益 の算 定 に お け る正 式 の認 識 を意 味 して の い る。 を 援 用 して モ ブ レイ 自身 の 考 え 方 を 示 して い る。 モ ブ レイが 主 張 す る のは つ ぎの 二 点 で あ る。 第 一 は収 益 に つ い て異 な る有 用 な測 定 額 を生 ぜ し め る い くつ か の重 要 な実 現 の 時 点 が あ る こ と。 この 例 とし て 建 築 請 負 業 者 が そ の依 頼 者 に 与 え る完 成 日に つ い て の種 々の 見積 りを あげ て い る。 第 二 は あ る一 つ の妥 当 な利 益 額 を 算 出 す る場 合 に,単 一 組 の テ ス トを選 択 す る こ とは単 一 の 利 益 額 の 利 用 目的 のみ に 会 計 を不 必 要 に 拘束 す る こ とに な る。 した が って実 現 は いず れ か 一 つ の認 識 時 点 の み を 要 求 す る拘 束 物 とみ な さ れ るべ きで は な く,企 業 につ い て観 察 し,測 定 し,報 告 し得 る有 用 な 方 策 で あ 80) る と考 え な けれ ば な らな い とす る。 この考 え方 はAAAの1957年 の 会 計 基 準 と 同 じ実 現 概 念 で あ る。 先 きに も扱 った よ うに1957年 の会 計 基 準 に お け る会 計 目 的 が,企 業 の 諸 活 動 の理 解 に不 可欠 な情 報 の蒐 集 な らび に そ の伝 達 で あ る と し て い る こ とか ら,経 済 が ます ます 複 雑 に な る につ れ て会 計 資 料 に 対 す る必 要 性 を単 一 の利 益 額 に よ って 満 た し得 る可 能 性 は ます ます 小 さ くな って きて い る。 他 方 企 業 をめ ぐる い くつ か の利 害 関 係 者 グル ープ が企 業 に対 して もつ 関 心 は そ
28),29),30) Sybil C. Mobley:"The Concept of Realiaztion:AUseful Device" The Accounting Review, April 1966. p.292.
会計 におけ る実現概念 について 11 れ そ れ 異 な る。 た とえ ば 税 務 当 局 は主 に課 税 利 益 に関 心 を もち,投 機 的 投 資 者 は 配 当 額 や株 式 の 市価 に関 心 を も ち,投 資 株 主 は 長 期 的 展 望 に 関 心 を もち,債 権 者 は主 に そ の 貸 付金 の期 間 と同 じ程 度 に短 期 的 展 望 に 関 心 を もつ 。他 方 あ る 事 に対 す る意 思決 定 に は種 々 の見 地 か ら複 雑 な 考 慮 を払 う。 た とえ ば経 営 管 理 者,取 締 役,機 能 株 主,経 済 専 門 家 は 各 種 の 測 定 値 す な わ ち ス タ ッフ の能 率 と 生 産 性,利 益 の範 囲 と安 定 性,市 場 の反 響 と傾 向,市 場 に お け る地 位 や 将 来 の 収 益 力 に関 心 を も って い る。 この よ うに企 業 を と りま く利 害 関 係 者 の関 心 が 複 雑 で あ り,こ れ に こた え るた め の 会 計情 報 も複 雑 に な るか ら会 計 士 は つ ぎの 四 ヨ つ の 方 法 を選 ぶ心 要 が あ る とす る。 1)伝 統的 利 益 の報 告書 のみ を作 成 し続 け る。 も し必 要 な デ ー タが この 測定 値 の フ ォー マ ッ トに 一 致 しな い と きに は,こ の デ ー タ は 会 計 責 任 の地 位 を 得 ず,会 計 士 が 処 理 しな い項 目 と考 え る。 2)い ず れ の 測 定 値 が 最 大 の要 求 に 合致 し最 も有 効 で あ るか を決 定 す る。 も1 し これ が 現在 の 測 定値 で な い な らば これ を放 棄 し も っ と有 用 な もの を と る。 3) い ずれ に対 して も理 想 的 で な い場 合 は,多 くの 目的 に か な り適 合す る妥 協 的 な 測定 値 を求 め る よ う努 力 す る。 4)情 報 を 必 要 とす る種 々の 見 地 を 確 認 して 重要 な利 用 者 グル ー プ の各 種 の 要 求 に理 想 的 に 役 立 つ 種 々の 測 定 値 を 求 め る。 この うち1)は 販 売 基 準 を 示 す もの で あ り,モ ブ レイ は4)を 最 も妥 当 な も の で あ る とし て い る。 つ ぎにAICPAに よる 実 現 概 念 の 拡 張 を 考 えて み よ う。 AICPA会 計 研 究 叢 書 第1号 は1961年,第3号 は1962年 に 出 され てい るが,第1号 の会 計原 則 の 基 盤 とし て公 準C-2の 客 観 性 で は,資 産 お よび 負 債 に お け る諸 変動 な らび に (も し あれ ば)こ れ と関 連 して 収 益 ・費用 ・留 保 利 益 お よび そ の 他類 似 の諸 項 目が 受 け る諸 影 響 は,そ れ らの 諸 変 動 な らび に諸 影 響が 客 観 的 条 件 で 測 定 され 得 る 時 点 よ り 早 期 に 勘 定 へ の 正 式 な 認 識 が 与 え ら れ る べ き で は な い と し て い 31),32) Sybil C. Mobley;ibid. P.295.
33) AICPA:Accounting Research Studies No.1. Maurice Moonitz:"The Basic Postulates of Accounting"1961.佐 藤 孝 一,新 井 清 光 共 訳:「 会 計 公 準 と会 計 原 則 』 PP.90∼91.
・る。・これ は1957年 の 会 計基 準 を受 け て 「客 観 的 条 件 で測 定 す る」 と い う文 言 が 'あるか ら実 現 で な くて も認 識 は可 能 で あ る 。 この よ うな 考 え方 は 有 用 性 か ら生 じ る演 繹 的 思考 に よる もの で あ るか ら当為 的 公 準 といわ れ る。 こ のA.R.S. No.1の 基 本 的 会 計 公 準 論 と 確実 に首 尾 一貫 す る よ うに つ と や 作 成 され たA.R・S・No.3.の 企 業 会 計 原 則 試 案 で は ・G・0・ メイ の 「収 益 34) は生塵 め全過程か ら生Pる 」 脚 して矛矯 騨 に騎 の 嚇 だけではな く て,企 業 活 動o全 過 程 に起 因 す る も ので あ る と し,販 売 の時 に お け る実 現 主 義 は 生 産 物 の流 れ が か な り画 一 的 な 場 合 に だ け 満 足 的 な 結 果 を 得 られ る もの で あ っ て,利 益 は販 売 の 時 点 だ け で は な く 企 業 活 動 の 全 過 程 に 起 因ず る もの で あ 36) る 。 し たが って 販 売 主 義 に よ る実 現 は 営 業 活 動 や 経 済 活 動 を 正 確 に 反 映 す る と い う主 要 目標 を そ の経 済 活 動 の一 局 面 にす ぎな い 販 売 へ とず ら して し ま う もの で あ 馨)。と の考 えは 発 生 主 義 で あ り,AAAが1957年 の 会 計 基 準 以 後 に お い て 実 現 概 念 を質 的 に 変 形 し て用 い よ う とす る の に対 して,AICPAは む しろ これ を 更 に 深 化 させ よ うと して い る よ うに 考 え られ る。 1964年 の 概 念 お よび 基 準 委 員 会 の 任 務 は,1957年 の 会 計基 準 の 補足 意 見 護 の 作 成 に お い て,ど の よ うな 問 題 が 検討 され 研 究 され るべ きか を勧 告す る こ とで ヨきう あ る と し て つ ぎ の6つ の 基 礎 概 念 を あ げ て い る 。1)企 業 実 体Bus三ness Entity 2)対 応 の 概 命Th・M・t・hi・g C…ept 3)実 現Realiz・ti・n 4)重 要 性
Materiality 5)継 続 性Consistency 6)客 観 性Objectivityそ の う ち の 実
34) G.0.May:Financial Accounting.1943. p.30.
35) AICPA:Accounting Research Studies No.3. Robert T. Sprouse:``A Tentative Set of BroadA ccounting Princip!es for Business Enterprises"1962.佐 藤 孝 一 ・,新 非 清 光 共 訳:『 会 計 公 準 と 会 計 原 則 』 123頁 。
36)AICPA:Accounting Research Studies No.3.:ibid.佐 藤 孝 一,新 井 清 光 共 訳: 前 掲 書 127頁 。
37) AICPA:Accounting Research Studies No,3.:ibid.佐 藤 孝 一,新 井 清 光 共 訳: 前 掲 書 129頁 。
38) "Report of the Committee on Concepts and Standards-General."The Accounting Review April,1964, p,425.
会 計 に お け る実 現 概 念 に つ い て 13 ヨ ラ 現 につ い て 当委 員 会 は11項 目の問 題 提 起 を 行 な って い る。 1)実 現 と い う用 語 は会 計 概 念 と して 古 く不 明 瞭 な もの で,非 会計 担 当者 は 実 現 とい うこ とを 現 金 の受 取 りや 支 払 い を 意 味 す る と考 え る の で は な いか,し た が って キ ャ ッシ ュ ・フ ローや 現 金 収 益 の強 調 は現 金 の 収 支 を 反 映 す るか 。 (こ の こ とは 現 金 の 収 支 に か か わ ら しめ て実 現 を考 え る プ リ ミテ ィヴな 場 合 で あ る。) 2)通 常 の場 合 に収 益 の実 現 が 販 売 時 点 に発 生 す る と仮 定 す るな らぽ,も し あ る とし て ど の よ うな例 外 が 認 め られ るか 。 3)つ ぎ の実 務 は 実 現 の概 念 に 一 致 す るか 。 a.受 取 利 息 あ るい は 支 払 利 息 の 時 間経 過 的 金額 。b.長 期 契 約 の完 成 基 準 の パ ー セ ン テ ー ジ。c.役 務 の 提 供前 あ るい は販 売 前 に集 金 され た 繰 延 地 代, 糸襲延 米口,息0 4)割 賦 販 売 に お い て,頭 金 の 大 き さ,支 払 契 約 の条 件,分 割 法 の 回 数 の よ うな こ とが実 現 概 念 の適 用 に どの よ うに影 響 を 与 え るか 。 5)販 売 に お い て製 造 の進 行 あ る い は販 売 の 時 点 は実 現 とな るか 。 (以 上2 ∼5は 実 現 概 念 を収 益 に関 係 付 け て考 え る場 合 に 発 生 す る問 題 で あ る。) 6) 投 資 会 社 や 保 険 会 社 の 会 計 は 有 価 証 券 の 実 現 損益 と未 実 現損 益 とを区 別 す るが,こ の同 じ原 理 が 他 の 場 合 に 適 用 され るか 。 そ し て 更 に実 現,未 実 現 に 分 け る こ とは有 効 か(こ れ は実 現,未 実現 と と もに,こ の概 念 を収 益 のみ な ら ず 損 費 に まで 拡 大 し得 るか の 問題 を含 む)。 7) 引 当 金,訴 訟 費,査 定 前 の税 金 等 が 収 益 を決 定 す る な らば,そ れ らは 実 現 に どの よ うに 関係 す る か。 (こ れ は実 現 を費 用 に まで 拡 大 す る意 図 を もつ)。 8)実 現 は収 益 の認 識 だけ では な く他 の場 合 に も適 用 され る。 す な わ ち 資 産 と持 分 の記 録 に関 係 す る。 財 産 を使 用 す る権 利 が リー スに よ って 得 られ る と き 貸 借 対 照 表 の資 産 につ け 加 え られ た も のは 実 現 され た もの とみ るか 。 これ に対 応 す る義 務 は何 か 。 両 者 は どの よ うに して 測 定 され るか 。 有 形 資 産 は この よ う.
39) ``Report of the Committee on Concepts and Standards-General."The 146ω 瑚 ∫'ng ReviezひApril,1964. p.427。
な 権 利 と どの よ うに異 な るか。 9)財 の供 給 や 役 務 の 提 供 の契 約 は実 現 資 産 あ る いは 負 債 と して 認 識 され る か 。 (8,9は 実 現 を 資産 や持 分 に まで拡 大 す る。) 10)実 現 は 短 期 の 個 別 物 価変 動 や 一般 物 価変 動 に お い て どの よ うな 関 係 を も つ か 。 11) 未 実 現 収益 が あ る と き,こ れ を どの よ うに 表 示 す るか 。 この11項 目の 問 題 は実 現 概 念 拡 大 化 の程 度 に応 じて 提 起 され て い る。 した が って これ らの 問題 を検 討 す るた め に は実 現 概 念 を どの 程 度 に まで 拡 大 され るべ きか が 解 決 され な けれ ぽ な らな い。 当委 員 会 の実 現 概 念 の 拡 大 の程 度 は1957年 の会 計 基 準 の そ れ で あ りそ の方 向 に沿 う こ とを示 して い る。 IV 営 業 取 引 と実 現 AAAの 実 現概 念 委 員会 は実 現 概 念 を と り上 げ る基 本 的 立 場 を1957年 の 会 計 基 準 と同 様 に投 資 家 が 投 資 の意 思 決 定 を な し,ま た 経 営 を 統 制 す るに あ た って 40) 公 表 財 務 諸表 を利 用 す る こ とを第 一 に強 調 して お り,こ の よ うな 立 場 か ら実 現 概 念 が 現 在 お よび将 来 の投 資 家 に有 用 な資 料 に対 して どの よ うな 影 響 を 及 ぼ す か に つ い て研 究 し て い る。 営 業 取 引 に お い て実 現 テ ス トに適 合 す るた め の指 標 と して つ ぎの 三 つ が 考 え 41) られ る。 (1)受 取 った 資 産 の性 格 ② 市 場 取 引 の存 在 ⑧ 用 役 の達 成 程 度 (1)受 取 った 資 産 の性 格 … … 営 業 取 引 に お い て受 取 った 資産 の特 性 は流 動 性 と測 定 可 能 性 の二 つ で あ る。 この 二 つ の要 素 は 多 くの場 合結 合 し て い て現 金 の
40) AAA;The Realization Concept 1964 Concepts and Standards Research Study Committee一 一,`The Realization Concept" 7'heんoo乙`η 伽g R卯'θ ωApril,1965. p.312. 41) AAA:The Realization Concept 1964. ibid. The Accoz`π が ππ1∼θτ'θτびAprl1,1965 PP.314∼318.
会計におけ る実現概念 について 15 受 取 りの場 合 に 明瞭 に あ らわ れ て い る。 また市 場 性 の あ る有 価 証 券 も流 動 性 と 測 定 可 能 性 の 両 方 と も ラ ン クが 高 い の で,そ の受 取 りに よ って 収 益 が実 現 した と認 め られ る。 しか し貸借 対 照 表 の資 産 の側 を下 に さげ て み る と収益 の実 現 と は 言 え な い もの が あ る。財 の販 売 や 役 務 の提 供 の 対 価 と して 受 取 った比 較 的市 場 性 の あ る棚 卸 資産 で も通 常 は 実 現 テ ス トを 満 足 す る もの とは考 え られ な い。 まし てや 固定 的 設 備 資 産 を 得 た よ うな と きは 尚 更 そ うで あ る。 しか し実 現 テ ス トと して の 受 取 った 資産 の 流動 性 は一 般 に認 め られ た 会 計 実 務 を み る こ とに よ って 疑 問 視 され る。 た とえば 減 債 基 金 か ら生 じ る収 益 あ るい は 購 入 社 債 の 割 引 累 積 額 な どは実 現収 益 とし て取 扱 わ れ るの が 慣 習 で あ る。 こ の こ とに よっ て 流動 性 よ りも受 取 った 資 産 の客 観 的 測定 可 能 性 が 収益 の実 現 の 基 準 とな る。 委 員会 は収 益 の実 現 と し て受 取 った 資 産 の 評価 につ い て客 観 的 な 証 拠 を要 求す る こ とを勧 告 して い るが 多 くの 場 合 測 定可 能 性 の テ ス トは 非 常 に 厳 し い。 客 観 的 測 定 は 通 常 販 売 や 役 務 の提 供 の対 価 とし て商 品や 他 の棚 卸 資 産 の獲 得 に も用 い られ る とす るな ら,物 々交 換 に お い て も収 益 の実 現 が 認 め られ るべ きで あ る。 した が って委 員会 は収 益 の実 現 のた めに 要 求 され る特 性 と して は 流 動 性 で は な く測 定 可 能性 を強 調す る。 この こ と に よ り客 観 的 測定 可能 性 の 条 件 の な か で 資産 の評 価 替一 保 有 利 得 の計 上 を 可 能 に し ょ うとす る もの で あ 42) る。 ② 市 場 取 引 の存 在 収 益 が実 現 され るた め に は市 場 取 引 が必 要 で あ る とい う一 般 的 見 解 が あ り, そ れ を 記 録 す る会 社 が 直 接 に 市 場 取 引 に参 加 し て い る一 当事 者 で なけ れ ば な ら な い か ど うか は興 味 あ る問題 で あ る。 販 売 す る の にた い して 努 力 を 要 しな い 市 場 で は,市 場 価 格 で保 有 資 産 を100%販 売 す る こ とが で き る。 ジ ェネ ラル ・モ ー ター ズ の株 式 を100株 保 有 し て い る場 合,委 員 会 の構 成 メ ンバ ーの 一人 で あ るBiermanは そ の会 社 が 市 場 取 引 の 実 際 の 当 事 者 で は な くて もそ の利 得 は実 現 して い る と考 え る。 しか し委 員 会 の 多 数 意 見 は そ の会 社 を含 む市 場 取 引が 実 42),43) 加藤 盛 弘=「 営 業 取 引 に おけ る収 益 実 現」 『企 業 会 計』 第17巻 第8号 。
現 の た め に要 求 され る と考 え る。 有 価 証 券 の 価 値 変 化 は 未 実 現 利 得 と して 扱 か い,多 数 意見 の立 場 は実 現 の市 場 取 引 の側 面 を 強 調 す る。 この よ うに実 現 の要 件 の 一つ とし て市 場 取 引 の存 在 を要 求 す る委 員 会 の態 度 ・は厳 しい もの で あ り,証 券市 場 で売 却 が100%可 能 な有 価 証 券 に まで そ の増 価 分 を 実 現 利 得 と して 認 めず 未実 現利 得 とし て扱 か うの は,実 現 主 義 を単 に確 実 性 の 原 則 や 保 守 主 義 の 原 則 か ら発 生す る もの と考 えず,そ れ に独 自の意 味 を与 るヨ え よ う とす る も ので あ る。 ㈲ 用 役 の 達 成 程 度 … … 実 現 に 関 す る第三 の そ して最 も複 雑 な要 件 は会 計 実 体 に よっ て用 役 が 達 成 され る程 度 に 関 す る もの で あ る。 用 役 が 達成 され る段 階 は,受 注,受 注 商 品 の生 産,商 品 の 引 渡 お よび 代 金 の 回 収 で あ る。用 役 の達 成 程 度 に よ って つ ぎ の三 つ の タイ プが あ る。 1)現 金 の受 取 りを 含 む す べ て の 用 役 が 一 会 計 期 間 に お い て 完成 され る場 合。 ・2)営 業 取 引 に関 し て現 金 が 受 取 られ るが す べ て の 用 役 が そ の 期 間 の 終 りま で に 完 成 され な い 場 合 。 3)現 金 の受 取 り以 外 のす べ て の用 役 の完 成 が 一 期 間 に お い て な され るが, そ の 取 引 に 関 す る現金 の受 取 りが 後 の期 間 に な され う場 合 。 第 一 の タイ プは 最 も単純 な実 現 の状 態 で あ り,現 金売 上 に 代表 され る取 引 で あ る。 す な わ ち用 役 の す べ て が 完成 され,資 産 の質,市 場 取 引 の テ ス トに も叶 い現 金 受 取 の 金 額 の収 益 が 実 現 され て い る。 第二 の タイ プは前 受 され て い るが 用 役 は現 金 受 入 のあ った 期 間 に は 完 成 され て い な い か ら,受 取 った現 金 の 金額 を実 現 収 益 と して 処 理 す る こ とは 不 適 当 で あ る。 す な わ ち 収 益 は 現 金受 入 の 期 間 と用 役 の 完 成 の 期 間 に また が って い る ので,こ れ を 分割 しな けれ ば な らな い。 伝 統 的 に は会 計 士 は販 売 員 が ど の程 度 用 役 を 供 給 した か に よ って 収 益 を 分 割 した が,委 員会 は よ り適 切 な方 法 と して 収 益 稼 得 め過 程 にお いて 販 売 員 は 決 定 的 な こ とを 果 した か ど うか を 提 案 して い る。 た とえば 雑 誌 の 予 約 販 売 の と き,売 手 の観 点 か ら予 約 を と り現金 を受 取 る こ とは決 定 的 な こ とで あ る。 そ し て 予 約 を と り現 金 を 受 取 った 時 点 に お い て売 手 は あ る程 度 収 益 を認 識 しな け れ
会計における実現概念につ いて 17 ば な らな い。 残 りの収 益 は 雑 誌 が 発 行 され,つ ぎの 会計 期 間 に配 達 され た とき 認 識 され る こ とに な る。 雑 誌 の 予 約 の場 合 の よ うに顧 客 に対 す る義 務 を果 た す た め の商 品 の原 価 が 正 確 に予 測 され得 る場 合 に は収 益 の うち のか な りの程 度 が 受 注 と現 金 回 収 の期 間 に実 現 され る。 原 価 を見 積 る こ とが 困 難 な 場 合 に は,現 金 が 前 受 され契 約 が な され た期 間 に利 益 を認 識 す る こ とは 適 当で は な い 。 未実 現 と して繰 延 べ られ る最 小 限 の収 益 は 未 完 成 用 役 を 完 成 させ るた め に 発 生 す る と期 待 され る 費用 の現 在 価 値 で あ る。 も し実 際 費 用 が 予 想 費用 に一 致す るな らば,そ の契 約 に関 す る全 利 益 は 利 子 要 素 を 除 い て 最 初 の期 間 に記 録 され る。 し か し将 来 の費 用 の現 在 価 値 が 確 実 に 知 られ る特別 の場 合 を 除 い て は この 方 法 は合 理 的 で はな い。 未 完 成 用 役 を 完 成 させ るた め の 費用 は不 確実 で あ る。 け だ しそ れ らの 費 用 は 生 産要 素 の 価 格 変化 や そ れ らを使 用 す る能 率 の変 化 の よ うな要 素 に 影 響 を 受 け るか らで あ る。 この よ うな不 確実 性 の あ る場 合 に利 益 は 契 約 の と きに どれ だ け 実 現 され る と考 え られ るべ きか。 全 利 益 のか な りの部 分 が 現 金 前 受 の 期 間 に実 現 され た もの とし て通 常 記 録 され るが,一 般 的 に は 収 益 の 程 度 は 将 来 の 予想 費用 につ い て の評 価 に比 例 す る。 具 体 的 に は つ ぎの 方 法 に よ る。 す な わ ち この領 域 に お け る実 践 的 ル ール の発 展 が 非 常 に 必 要 で あ る。 こ の よ うな ル ー ルが 発 展 され 得 る まで は 各 発 生 原 価 は 等 しい 利 益 を 稼 得す る とい う仮 定 に会 計 は 依 存 す る。 第 三 の タイ プは 用 役 の 殆 ん どが 完 成 され,あ る い は 引渡 され て い るが,取 引 に 関 す る現 金 が 回 収 され て い な い 場 合 で あ る。 一 般 的 に は 販 売 に つ い て 二 種 類 の 型 が あ り,一 つ は 回 収 まで の期 間が 短 か い ときは 通 常 の掛 売 りと して 扱 か う。 他 は 回 収 まで の期 間 が 長 い とき は特 別 条 件 の販 売 で あ り屡 々分 割 払 を 行 な う。前 者 の場 合 は通 常 現 金 の 回収 が な くて も販 売 が な さ れ た と き収 益 は実 現 され た と して記 録 され る のが 慣 習 とな って い る。 しか もそ の 回 収 が 一定 期 間 内 に 達成 で きる もので あれ ば 通 常 の売 上 と同 じ く実 現 した も の とみ て よい が,回 収 の確 率 が 非 常 に不 安 定 で あ る場 合 は 掛 売 りか ら発 生 す る 受 取 勘 定 の評 価 は 重要 な問 題 とな る。 極 端 な 場 合 は 実 現 の 記 録 を 現 金 の受 取 と 結 び つ け る必 要 が あ る。 後 者 の特 別 条 件 に よ る販 売 は 一般 に通 常 の掛 売 り よ り も危 険度 が高 い。 け だ し支 払 い が 長 期 間 に わ た り,ま た取 引 が企 業 間 とい う よ
りも企 業 と個 人 の間 で 行 なわ れ,し か も個 人 の場 合 は購 入 の時 点 で資 金 が 無 い か らそ の よ うに す る ので 通 常 の掛 売 りよ り も危 険度 が高 い。 した が って こ の種 の取 引 に よ る収 益 は これ が 回 収 され る期 間 に割 当 て なけ れ ば な らな い 。 しか し 収 益 実 現 の 量 を現 金 の 回 収 高 に か か わ らしめ るの は 単 に 便 宜 的 で あ るに す ぎ ず,必 ず し も収 益 の 配 分 法 と して論 理 的 とは言 え な い。 この よ うに実 現概 念 を 市場 取 引 に結 びつ け収 益 の実 現 のみ を 扱 って い る。 こ の 意 味 か ら1957年 の 会計 基 準 の立 場 とは異 な る。 す なわ ち 伝 統 的 な 実 現 概 念 を 部 分的 に 残 しな が ら そ れ が 排 除 し よ うと した 評 価 差 額 の 計上 を 行 な お う とす る。 そ れ は実 現 で は な く認 識 で あ る。 この こ とが 保 有 損 益 の 認 識 に 結 び つ くの で あ る。 V 結 び 収 益 の実 現 テ ス トは 法 的 な 販 売 あ るい は 同 様 な過 程 に よる転 換 す なわ ち対 外 るの 取 引 の テ ス トと流 動 資 産 の 取 得 に よ る確 定 す な わ ち流 動 性 の テ ス トであ る。 賢 産 を 蓄 積 形 態 に よ って 貨 幣,信 用,投 資 の三 つ に区 分 す る な らば,実 現 の本 質 は 投 資 形 態 の 資 金 を貨 幣,信 用 の いず れ か の形 態 に還 元 す る こ とで あ る。 換 言 す れ ば 実 現 とは潜 在 的 な 不 可測 的 な投 資 形 態 の資 金 が 実 効 的 な 可 測 的 な 貨 幣, お 信 用 形態 の 資金 に変 化 す る こ とで あ る。 こ の観 点 は 実 現 概 念 を 測 定 可 能 性 に 求 め て い るが 同時 に流 動 性 を も実 現 の テ ス ト基 準 と して い る。 また 実 現 は 資産, 負債 した が って資 本 につ いて もそ の増 減 が 現 実 に 生 じた こ とを 意 味 し,同 時 に 収 益 費 用 が 現 実 に生 じた こ と も指 す 。 特 定 の経 営 内 部 に お け る資 産,負 債 の 状 態 が現 実 に認 め られ る場 合 は 直 ち に 会 計 記 録 に お い て認 識 され る とい うのが 実 現 の原 則 で あ る。 収 益 費 用 お よび 利 益,損 失 は 資 産,負 債 の変 化 を とも な
44)W.A. Paton and A. C. Littleton=ibid. p.49 .中 島 省 吾 訳:前 掲 書84頁 。 45) 岡 崎 虎 一:「 実 現 概 念 の 本 質 」 『会 計 』 第90巻 第4号 。 も っ と も 実 現 に つ い て は 認 識 お よ び 測 定 の 客 観 性objectiveと 取 引 の 証 拠i1,e videnceを 重 視 し て 流 動 性liquidity を 重 視 し な い 見 解 も あ る 。(Charles T. Horngren:"How should we interpret the reaIization concept?" The Accounting Review April,1965.)
会計における実現概念について 19 うか ら現 実 に 生 じた そ れ らの変 化 は実 現 を意 味 す る とい うよ うに 実 現 を広 く解 釈 す る。 そ の 例 と して燃 料 用 の貯 蔵 石 炭 は そ れ を ボイ ラー に 焚 くと燃 料費 とい う費用 を実 現 させ 貯 蔵 中 の も のは 資 産 と して 残 存 す る。 これ は経 営収 益 が 販 売 とい う事 実 に よっ て認 め られ る と同 様 に 費 用 に つ い て も一定 の 事実 に よ っ て認 識 され る とす る のが 実 現 につ い ての 広 い 解 釈 で あ り1964年 版 よ りもむ し ろ1957 年 版 の実 現解 釈 に近 い。 実 現 は伝 統 的 に は 企 業 の 対 外 取 引 とい う客 観 的 認 識基 準 と受 入対 価 が 容 易 に 支 払 手 段 化 す る とい う流 動 性 基 準 に よ って テ ス トされ て い る か ら,企 業 外 部 の 利 害 関 係 者 に 対 して 行 な う財 務 報 告 目的 に は最 も よ く適 合す る。 しか し内 部 経 営 管 理 的 目的 や 経 営 意 思 決 定 の 目的 に 役 立 つ情 報 を提 供 す る こ とを主 目的 とす る管 理 会 計 に おい て は,企 業 内 部 に 発 生 した収 益 や 費用 の把 握 を重 視 す る。 そ して そ れ らが 未 だ 外 部 取 引 の テ ス トを経 て実 現 す る に至 らな い場 合 で も,す で に あ る程 度 の 客 観 性 を も って そ の 発生 が認 識 され る ときは これ の会 計 記 録 を 要 るの 求 す る。 従 来 の 会 計基 準 で は 収 益 につ い て は実 現 主 義,費 用 に つ い て は 発 生 主 義 に よ って 把 握 す る こ とに な って い る。 こ の収 益 に対 応 させ る費 用 を 別 個 の 基準 で 把 握 す る こ とは い わ ゆ る会 計 の保 守 主 義 のあ らわ れ で あ る。 これ に 対 して発 生 主 義 的 発 想 に よ る 実 現概 念 の 拡 大 に よ って この 不 都 合 さ を 解 消す る こ とが で き る。1957年 の会 計 基 準 の最 大 の特 徴 は1936年 の 会 計 原則 試 案 以 来1948年 の 改 訂 版 に至 る まで 一 貫 して 強 調 して きた 取 得 原 価 主 義 一費用 配 分 原理 の 放 棄 で あ る。 そ の特 徴 的 現 象 と し て資 産 の 本 質 規定 と して の用 役 可 能 性概 念 の導 入 を あ げ る こ とが で き る。 この こ とに よ って 会 計 学 が 形 式 的 な計 算 機 構 論 の域 か ら脱 るおう し て経 済 の実 態 に 即 応 す る よ うに 価 値 的 な側 面 を と らえ よ う とし てい る。 そ し て更 に こ の資 産 本 質 規 定 の変 化 と結 び つ い た もの と して実 現 概 念 の変 化 を 理 解 46) 木 村 重 義:前 掲 論 文 『税 経 通信 』 第20巻 第11号 。 47)阪 本 安一:「 実 現 概 念 に 関 す る一 考 察」 『会 計 』 第89巻 第6号 。 48) 不 破1'M:「 実 現 主 義 の吟 味 」 『企 業会 計」 第18巻 第2号 。
す る こ とが で き る。 そ うで あ るか らとい って 会 計 実 践 に お け る事 実 は何 等変 っ て は い な い。 こ の意 味 か ら1957年 会 計 基 準 で い う新 しい実 現 概 念 は 「基 本 的 に は無 用 」essentially uselessと いわ れ るが,こ れ は伝 統 的 会 計 に お け る期 間 的 損 益 計 算 を第 一 義 的 に 考 慮 す る立場 か らの批 判 で あ って,1957年 会 計 基 準 の会 計 目的 た る情 報 提 供 的 考 慮 の 立 場 か ら言 えば 極 め て有 用 で あ り,そ の後 に公 刊 され た1964年 の実 現概 念 の 見解 はむ しろ後 退 の感 さ えす る といわ なけ れ ば な ら な い 。 49)加 藤 盛 弘:「AAA会 計 基 準 に お け る 実 現 概 念 拡 大 化 の 意 義 」 『企 業 会 計 』 第16巻 第11号 。
50) George G. Staubus:`℃omments on Accounting and Reporting Standards For Corporate Financial Statements-1957 Revision"p.21.