1887年から1897年における北海道の私立小学校
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第63巻 第1号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.63,No.1. 平成24年8月 August,2012. 1887年から1897年における北海道の私立小学校 坂 本 紀 子 北海道教育大学函館枚数青史研究室. ThePrivateElementarySchooIsofHokkaidofrom1887through1897 SAKAMOTO Noriko. DepartmentofEducation,HakodateCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 本稿は,1887年(明治20)から1897年(明治30)までの間に北海道内の私立小学校数が増加した要因を分 析することを通して,当該時期における北海道の初等教育の特徴を明らかにすることを目的としている。 従来の研究では,道庁の徹底した小学簡易科設置政策に反発した道内の人びとが,「簡易な」教育よりも「高. 度な」教育を求め,公立小学校よりも尋常および高等科を容易に設置することができる私立小学校を望んだ ためにその数が増加したとされてきた。道内各地域の実態を分析し,あらためて私立小学校数増加の要因を 明らかにして近代北海道教育の特徴を考察することが本稿の課題である。. はじめに. 1886年(明治19)の第1次小学校令の施行から第2次小学校令を経て第3次小学校令に至る,およそ1880 年代後半から1890年代末までの私立小学校数を概観すると,北海道におけるその数は全国的に見てもかなり 多い。文部省年報によると,北海道庁設置後の1887年(明治20)から私立小学校数は急速に増加し,1891年 (明治24)には72校となり,その後減少して,1896年(明治29)以降は25校前後に,そして1903年(明治36) 以降は15校前後となる。1886年(明治19)以降,北海道に限らず全国的に私立小学校の数が増加傾向にあっ たことは,麻生千明が指摘している。第1次小学校令によって,公立私立にかかわらず子どもを小学校に就 学させることがこれまでよりも推し進められ,さらにその後制定された第2次小学校令,そして「私立小学. 校代用規則」が子どもの就学を後押ししたからであると述べている1。全国的に私立小学校数が増加傾向に あったことをふまえつつ,北海道の私立小学校数増加の理由を地域の実態分析を通して検討し,そこに「開 拓」政策下にあったが故の特徴を析出していくことが本ノ稿のねらいである。. 北海道の岩内地域に設立された私立小学校を対象に分析した山下直樹,新田和幸,前田賢次は,1887年(明 治20)に北海道庁の教育政策により約96%の公立小学校が簡易科に指定(北海道庁令第17号「町村立小学等 科」)されたため,人びとが「高度な」教育を求め尋常科,高等科の設置が可能な私立を望んだと指摘し,. 57.
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