企業分割と利益の実現
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(2) 78(78). 横浜経営研究 第26巻』第ユ号(2005). 図1 企業分割の類型 支 配. 持分. 維持. 喪失. ①. ②. ③. ④. 継続 清算. ①の例:親会社(P)を分割会社,その子会社(S)を承継会社とする分社型吸収分割. P. 株式. 50%超. P. S’ ]1喋. 』. P. P 5°鴫糟s ②の例. :独立会社間の分割型吸収分割・. if・・g ly;ms↑ 1 1. 旦 A , B 白. A 籍B ②の例2:子会社(S)を分割会社とし,.独立した会社(B)を承継会社とする分割型吸収分割. P 蹄式 s「L、、. 、、. B lnrm令 1 「. L−“・一.・■.. 』. j.
(3) 企業分割と利益の実現(大雄 智). (79)79. ③の例:親子会社間の営業譲渡 現金 50%超. VOO%未茜. 』. ④の例:独立会社間の営業譲渡 A 現金 ココ コ コココ. ↓. A灘. i喋↑. 丁. 注:楕円は株主,四角形は会社または支配株主を表している.実線の矢印は支配関係を示しており,数字は議決 権の所有割合を表している. ・ 一. 2.会社分割の会計処理. 分割,既存会社に移転するのが吸収分割である・. さらに,移転事業を承継する会社(新設会社ま. まず,会社分割の形態を確認しておこう.日. たは既存会社)が対価として発行する株式の割. 本の商法では,会社分割が,事業の移転先に応. り当て先に応じて,分社i型と分割型とに分類さ. じて新設分割と吸収分割とに分類されている.. れる.承継会社の株式が分割会社に割り当てら. 分割会社の事業が新設会社に移転するのが新設. れるのが分社型,分割会社の株主に割り当てら.
(4) 80(80). 横浜経営研究 第26巻一第1号(2005). れるのが分割型である.これらの分割のなかに. きは,その超過額をのれんとする.それに対し. は,前述のとおり,移転資産に対する支配が失. て,親子会社間の営業譲渡では,連結決算によ. われるものもあれば,維持されるものもある.. って譲渡会社の売却益が未実現利益として消去. 前者の例は,独立会社間の吸収分割で取得会社. されるとともに,譲り受け会社の資産の簿価が. を識別できるもの,後者の例は,親会社を分割. それだけ減額される.このように,独立会社間. 会社とし,その子会社を承継会社とする分社型. の営業譲渡では移転資産の含み益が実現するの. の吸収分割である.. に対し,親子会社間の営業譲渡ではそれが実現. 一方,アメリカの会社分割では,一般に,ま. しない.そこでは,資産に対する支配の喪失が. ず分割会社が事業を移転して新会社を設立し,. 含み益実現の条件となっているようにみえる.. それからその新設会社の株式を分割会社の株主. これは,会社分割にもあてはまるのであろう. に分配する.新設会社株式の分配方法には,ス. か.例えば,独立会社間の分社型の吸収分割に. ピン・オフ(Spin−off),スプリット・オフ. おいて,分割会社が分割後の承継会社の非支配. (Split・−off),スプリット・アップ(Split.up)の. 株主(少数株主)になるとき,分割会社は移転. 3つの方法があるといわれている.新設会社株. 資産に対する支配を失ったと判断される2}.日. 式を配当として分割会社株主に分配することを. 本公認会計士協会の会計制度委員会研究報告第. Spin−off,分割会社株式と交換すること,つま. 7号(2001,第29項)によれば,このような支. り,分割会社株式の有償消却の対価として交付. 配の移転を伴う分割には売買処理法とよぱれる. することをSplit−off,分割会社の清算に伴う残. 会計方法が適用される.分社型の吸収分割に売. 余財産の分配として交付することをSplit,−upと. 買処理法を適用すると,分割会社では,対価と. いう(武井・内問,1999)1).これらの分割に. して割り当てられた承継会社株式の時価と移転. よって,分割会社は移転資産に対する支配を失. 資産の簿価との差額が営業移転利益となり,一. うことになる.. 方,承継会社では,移転資産が時価で引き継が. ただし,どのような形態の会社分割であろう と,その対価が承継会社の株式であるかぎり, 移転事業の成果に対する分割会社株主の持分は. れ,対価として発行した株式の時価が承継資産. の時価を超えるときは:その超過額がのれん (連結調整勘定)とされる.. 継続する.それが,現金を対価とする営業譲渡. ここで,分社型の吸収分割と分割型の吸収分. と異なる点である.独立会社問の営業譲渡では,. 割のそれぞれに売買処理法を適用した結果を示. 譲渡会社が移転資産に対する支配を失うととも. しておこう3}.まず,A社の分割直前のバラン. に,譲渡会社株主は移転事業の成果に対する持. スシートを図2のように仮定する.このA社が. 分を清算する.また,親会社を譲渡会社,その. 分社型の吸収分割によってY事業をB社に移転 し,対価としてB社株式を受け取るとすると,. 10096未満子会社を譲り受け会社とする営業譲 渡では,親会社が移転資産に対する支配を維持 する一方で,親会社株主は移転事業の成果に対. 分割会社であるA社の会計処理は以下のように なる.ただし,B社株式の時価をV,とする.. する持分の一部を清算する,. ここで,会社分割と営業譲渡の会計方法を検. (借方)B社株式 Vv. 討してみよう.独立会社間の営業譲渡では,譲. (貸方)Y事業資産. Ar. 渡会社はキャッシュ・インフローと移転資産の. 営業移転利益. v,−A。. 簿価との差額を売却益とする.一方,譲り受け. 会社は移転資産を時価で引き継ぎ,キャッシ. 一方,承継会社であるB社の会計処理は,承継. ユ’アウトフローが承継資産の時価を超えると. 資産の時価をA三とすると,以下のようになる..
(5) (81)81. 企業分割と利益の実現(大雄 智). 、のれん 巧一A㌧. に,②を総資産簿価に対するY事業資産簿価の Av 割合によって求めるとすれば, ・1と A.+A,r. (貸方)払込資本 耳. なる.このとき,P社の会計処理は以下のよう. (借方)Y事業資産 A 3r. になる.. 図2 A社の分割直前のバランスシート. X事業の資産 Y事業の資産. Ar Ay. 払込資本. K. 留保利益. R. (借方)B社株式 (貸方)A社株式. A;d. ・工 A.r+A,・. 株主分酬益玲藷・∫. それに対して,A社が分割型の吸収分割によ. x ,’. ってY事業をB社に移転したとすると,A社の 会計処理は以下のようになる. 一. v)r. もちろん,A社株式への投資原価1をX事業分 とY事業分とに配分する方法は他にも考えられ. (借方)留保利益 Ay. る.ただし,その方法の違いは,株主分割利益. 留保利益 K−.A,. の額と同時に,分割後のA社株式とB社株式と. (貸方)Y事業資産 A,r. を合わせた投資勘定の額に影響を与えるため,. 営業移転利益 Vy ”” As. 結局,利益の実現のパターンを変えるだけであ る.. 分割型では,B社株式を受け取るのはA社では なくその株主であるため,それだけA社の純資. このように,吸収分割では,分割会社が移転. 産が減少する.したがって,資本勘定のいずれ. 含み益が実現すると考えられている.この考え. かが取り崩されることになるが,ここでは留保. かたにしたがうと,例えば,分割型の新設分割. 利益を取り崩している.一方,承継会社である. でも移転資産の含み益が実現するはずである.. B社の会計処理は以下のようになる4).. 分割型の新設分割では,分割会社がその事業を. 事業の資産に対する支配を失ったときに,その. 新設会社に移転し,その対価である新設会社株. (借方)Y事業資産 4. 式を分割会社の株主に割り当てる.分割後の分. のれん 巧」叫. 割会社と新設会社には資本閨係がないため,分. (貸方)払込資本 巧. 割会社は移転資産に対する支配を失う,そうで あれば,これにも売買処理法が適用されるはず. さらに,分割型の吸収分割における分割会社. であ・る.ところが,日本公認会計士協会. 株主の会計処理を示すため,A社の支配株主が. (2001,第64項)では,分割会社株主の持分が変. P社であったとしよう.P社はA社株式を100% 所有し,その投資原価が1であったとする.分 割後,P社がB社の非支配株主になるとすると;. 化しないことを理由に,これに簿価引継法を適. P社はY事業の資産に対する支配を失ったと判. は移転資産の簿価に見合う資本勘定を取り崩す. 用することにしている.この方法によると,承 継会社は移転資産を簿価で引き継ぎ,分割会社. 断される.このとき,日本公認会計士協会. だけである.. (2001,第61,109項)によれば,P社はA社株. アメリカの会計原則審議会意見書第29号. 式の一部を売却したとみなされ,①B社株式の 時価と②A社株式への投資原価1のうちY事業に. APBO 29)によると, Spin−offも上記の簿価引. 相当する額との差額が株主分割利益となる.仮. (Accounting Principles Board Opinion No.29:. 継法に近い方法で処理されてきた(par,23)SL)..
(6) 82(82). 横浜経営研究 第26巻 第1号(2005). 分割会社が移転資産に対する支配を失うにもか. ある.次節では,この問題を,事例分析をとお. かわらず,それは事業売却として処理されない.. して検討してみたい.取り上げる事例は,コナ. そこでは,支配の喪失が含み益実現の条件とな. ミ株式会社から株式会社ハドソンへの事業移転. っていないのである.むしろ,分割会社株主の. である.. 持分の継続性にてらして,その実現・未実現が. 判断されているといったほうがよい.確かに,. 3.会社分割と含み益の実現一コナミのケース. 分割会社株主にとっては,Spin−offも分割型の. 3.1 会社分割の概要とその会計処理. 新設分割も,保有持分を残存事業の成果に対す. 2001年7月,コ・ナミは,①ハドソンの第三者. る持分と移転事業の成果に対する持分とに分離. 割当増資を引き受けること,および,②株式会. するものでしかない.分割会社株主の持分は分. 社コナミコンピュータエンタテインメントスタ. 割後も従来どおり継続するのである.その観点. ジオ(コナミSTUDIO)の事業を分割型の吸収. からすると,この分割によって分割会社に損益. 分割によってハドソンに移転することを発表し. が計上されることはないはずである6,,. た.具体的には,コナミは,2001年8月にハド. このように,会社分割の会計方法は,移転資. ソンの発行する株式5,606千株を5,000,552千円で. 産に対する支配の継続性だけでなく,移転事業. 引き受けて同社の筆頭株主(持分比率38,81°1・). の成果に対する持分の継続性にも依存している.. となり,そのうえで,12月にゲームソフト制作. 分割型の新設分割またはSpin−offの会計処理を. 子会社であるコナミSTUD工Oの札幌事業をハド. みてもわかるとおり,支配の喪失だけが含み益. ソンに移転することになっていた(日本経済新. 実現の条件であるわけではない.かつての合併. 聞,2001年7月26日付゜夕刊).. の会計基準と同じように,分割も支配の継続性. ハドソンは,メインバンクであった北海道拓. と持分の継続性の双方からその実質が判断され,. それに応じて会計方法が決められているのであ. 殖銀行が1997年に経営破綻した後,ゲーム開発 投資の資金調達に苦しんでいたといわれている.. る.しかし,仮に,アメリカの財務会計基準書. 表1のとおり,同社は,2000年12月に,大阪証. 第141号(Statement of Financial Accounting. 券取引所ナスダック・ジャパン市場に株式を上. Standards No.141:SFAS 141)のように, i持. 場したものの,それによって調達できた資金は. 分の継続性という観点を否定し,もっぱら支配. 1,753,050千円であり,当初予定していた額には. の継続性から取引の実質を判断しようとすれば,. 遠くおよばなかったようである.さらに,表2. 分割型の新設分割もSpin−offも事業売却とみな. のとおり,2001年2月期の同社の売上高は. され,売買処理法または逆パーチェス法が適用. 7,031,491千円で前期より32%減少し,経常損益. されることになろう.そこでは,事業成果に対. も604,6ユ5千円の赤字に転落,上場時に公表し. する持分の継続性は含み益実現の条件とはなら. た業績予想を大きく下回っていた.ゲームソフ. ないのである.. トの開発を本業とする会社でありながら,資金. しかし,仮に,支配の継続性から取引の実質. 不足のため,有力作品を制作できなかったので. を判断するとしても,現実には,取得会社の識. ある.こうした状況のなか実施された第三者割. 別が容易でない吸収分割も存在しうる.この点. 当増資では,前述のとおり,コナミから. は,合併と同じである.ただし,支配の移転が. 5,000,552千円の資金が供給され,再び開発投資. 明らかでないとき,合併と違って分割では,持. に力を注ぐことになる似上,日経産業新聞,. 分法を適用することによってこれに対処するこ. 2001年7月27日付).. とができる.問題は,そこで適用される持分法. また,コナミも,ハドソンの携帯電話向けゲ. がどのような考えかたにもとづV・ているのかで. ームの開発力を評価しており,同社をゴナミグ.
(7) 企業分割と利益の実現(大雄 智). 窟. 露. 皇. 器鵠竃. 曇. 聖. 亡 El;. 琶. 1胃臣苔. 藏. trr. 旦. 輩. ぺ. 18Rgll “ロ ト トs 頃qq. 喜 曇. 電i書邉8... 鍵. ri 守 守 ou め ゆ 1−‡ αコ. ⑩ o 口 N o n ■◎ ト」. N . x ご. 7§. 庄. q ‡ 8忠恕忠 器i薯讐書 9. e ”f. 畏i量苫苫 1−i ・ポ 守 守. [. M. 8R81. e. 口 〔N マ. ,一・{ o oo. 1. 昂 o co o 田. K. 嘉. 詰寺日田 oo rホ ロ ロ 1−1 F司 F→. 88i召1 口 ㊤ ト ロ u5 一. 肩興禺 8豊亀亀亀豊. 霊. 8 N. 為. R l. 欝. ピ. 翼. 品 豊. 誓. 趨t. 婁. N. ξ. 翠毬 ‡曇. 堤 い. 章 tSJ 鋸覇 w虫 罰馨. ㌔・. 躍 蝶報暮繹 ’羅. 慰(1). k)P、. }. 晋. F 田. 8. ロ ぼ ト ト ト . asコ ロ. e八 ご 、. mぐ;二署2Eロコ. 疋. 昂8{1ilミ印萬忠:鵠鵠. 口. ト Pt ’ ト ド め ロ ト Ot ぐつ. cu N 囚 民. co iE:. ,s}:. ☆世. ロ8. 帯呈. N ヨ是三}:一塁晋呂塞器告 言“ 、.匝巳 8 豊鵠8N富8Eliぷ這畏 ←ぐく ;4’””ns §ry 8. 緊8 迷辞刃. ⊇慧毬 N 8置ミ.禺遣畏霞畏貫自 aコ ロ自一〇 N−C☆ O ・一→ 一 的 σ㌃ ㊤ co 卜 N 口 O Ch −→ 的 f,諏単 8 の の めト ト Pt ヰo.ス 自 目くN”v ’:. 認誌 部3e蔀. 8. . くkPP申. 艦一. 離巳柑騨. 柑i置田鯨 堤i患田槻. 堂頸民壌. 韻幽m癬. ee粋s)・. §鰻;. 1・r鍵. 一 一一親一糊一鍋. 桔. 寵暴棄一腐一輕罎虫涙くロ聖 日趣桑く. I:. §§§§. 口粥. F4ロコ 禺這ミ1畏邉電i号題謡豊 co za 口う 一4 尽1 r→ o oo 口) o coo 匝こ韓 a “コ 囚 ひ1 ト rポ 国 N 口) o くb e ゆ ゆ ト の o. 叫酔認i惑 韓提rl:K .蝶 瞑興田ミロ paooN づ 揖」昔母惜. 卍鮭. 8 崎〔一 @ 叶目一〇〇ぼ 掴m N. 慣111i嘉1隠. 聲. PE[ 墨Sil. ∼縁 gs詰閉鵠斜田讐警慧田 ;・・器苫H豊E}.9}呈器島 P斑 弍1葭 禺畏竃 8昌…ヨ日畏霞 和糸. ま. t°e°. tl」一¶. 讐v“‘t一 一一Hco 」8 8 雲 .8 興. ’L. く. 9}8一鵠言器き書嵩鵠$一. 岬一. 是 工. 至. ,、. 豊. 巴$8igy1lggR窪培E〈S. 藍. ‡. ロ ゆ ザ ド. 口 雨. 口. ㎡. e. 苫 、;i. 欝. 專き8専 一 〇 . 諜 撫 忠. 姿. 88i莞專 苫き8−8一 くコ . 蕪. 這. ca 守 ㊥. 芭. .挺. (83)83. 鑓. 報自{一一謂Ei〈L.一黒荏鵠溢一壷一 叫一獣一一泌宗…iミー 想一. H一製絹碁当. ヒ.継謹蕪一一描鑑某壇憲. 詩藻趣工 自嘉国一 ・・. @田. 想一 田.
(8) 横浜経営研究 第26巻 第1号(2005). 84(84). 図3 コナミによるコナミSTUDIOの会社分割. 魎 ∀ コナミ. コナミSTUD正・ [三三コ t ‘ , ‘. ‘ ‘. L■一一_一一一,一一一一一_r__r−___,_一一一一一一工一一一一一. 札幌事業. 且 ノ. 剛. 注1:実線の矢印は支配閲係を示しており,数字は議決権の所有割合を表している. 注2:ハドソンはコナミの持分法適用関連会社である. T. ループに迎え入れることによって,モバイルゲ. 図3は,この会社分割の概要を示したもので. ーム・才ンラインゲームの分野での事業展開を. ある.ハドソンは,承継する事業の対価として,. 優位に進めることができると判断していた(日 本経済新」聞,2001年 7月26日付夕刊).第三者. コナミSTUDIOの普逓株式(額面50,000円)1 株に対して884/3株の普通株式(額面50円)を. 割当増資の引き受けによりハドソンを持分法適. 発行したs).これにより,ハドソンは1,768千株. 用閲連会社にLた後,コナミはコナミSTUDIO. の株式を発行し,それがコナミSTUDIOの株主. の札幌事業をハドソンに移転するが,これには. であるコナミ(持分比率83.33%)とコナミキャ. ゲームソフトの開発体制を強化するねらいがあ. ピタル株式会社(持分比率1667%)に割り当て. った.ハドソンとコナミSTUDIOめ開発担当者. られた9).ハドソンの有価証券報告書によると,. を結集させ,両社のノウハウを活かしたゲーム. 同社がコチミSTUDIOから承継した資産の合計. 制作会社を誕生させようとしたのである7).. 額は571.436千円,負債の合計額は13ユ,672千円.
(9) 企業分割と利益の実現(大雄 智). ( 85)85. 図4 ハドソンが引き継いだ資産・負債と増加させた資本. 資本金 資本準備金. 88,400千円. 351,363千円. 出所:ハドソンの有価証券報告轡より作成.. 図5 コナミSTUDIOが移転した資産・負債と取り崩した資本 移転負債合計. 131百万円. 移転資産合計. 401百万円. 資本の取り崩し 1,733百万円 営業移転利益に見合う留保利益の 取り崩し 1.463百万円. 営業移転利益 1,463百万円i. i 出所:コナミの有価証券報告書より作成.ただし,営業移転利益は推測額である.. となっている.また,表1のとおり,資本金の. は第三者割当増資の引き受けによって取得され. 増加額は88,400千円,資本準備金の増加額は. たものであるから,残りの1,473千株が分割に. 351、363千円であった.つまり,ハドソンは. よって取得されたものである10),したがって,. 439,764千円の純資産を引き継ぐどともに,ち. この分割の対価として割り当てられたハドソン. ょうどそれと同額だけ払込資本を増加させたわ. 株式の時価は1株あたり980円(=1,443百万. けである.そこでは,資本の増加額が,対価と. 円÷1,473千株),総額ユ,733百万円(= 1,768千. して発行した株式の時価ではなく承継した純資. 株x@980円)になるものと推測される.. 産額によって測定されている.図4は,ハドソ. ハドソンに移転されたコナミSTUDIOの資産. ンが引き継いだ資産・負債と増加させた資本を. の合計額が401百万円,負債の合計額が131百万. 示したものである.. 円,その対価であるハドソン株式の時価が. 一方,コナミの有価証券報告書によると,ハ. 1,733百万円であるとすれば,分割会社である. ドソンに移転されたコナミSTUDIOの資産の合. コナミSTUDIOでは,1,463百万円め営業移転. 計額が401百万円,負債の合計額が131百万円と. ’利益が計上されることになる.ただし,対価を. なっている.対価として割り当てられたハドソ. 受け取るのはコナミとコナミキャピタルであっ. ン株式の時価は以下のように推測される.2002. て,コナミSTUDIOではないため,同杜ではそ の対価に見合う資本が取り崩される.日本公認. 年3月31日時点で,コナミが直接所有するハド このうち,5,001fi万円は第三者割当増資の引. 会計士協会(2001,第45項)によれば,資本の 取り崩しoiあたって,営業移転利益に相当する. き受けによって計上されたものであるから,残. 留保利益が取り崩されることになっている.し. ソン株式の簿価は6,444百万円となっている.. りの1,443百万円が会社分割にあたって計上さ. たがって,コナミSTUD工Oでは,営業移転利益. れたものである.また,同じ2002年3月31日時. の計上によって純利益が増加した一方,それと. 点で,コナミが直接所有するハドソン株式は. 同額の留保利益が減少したものと思われる.図. 7,079千株となっている.このうち,5.606千株. 5は,コナミSTUDIOが移転した資産・負債と.
(10) 86(86). 横浜経営研究 第26巻 第1号(2005). 取り崩した資本を示したものである.. 移転利益は全額計上されるかもしれない.ハド. こんどは,分割会社の支配株主であるコナミ. ソンの増資を引き受ける前,コナミはハドソン. の会計処理を考えよう,会社分割後のコナミの. 株式を1株も所有していなかったため,その時. ハドソンに対する持分比率は45.48%でありJV,. 点でコナミSTUDIOを分割すれば,それは,形. 形式的には,コナミはコナミSTUDIOの札幌事. 式的には資本関係のない企業間の取引である.. 業の資産に対する支配を失ったと判断される.. 表1一のとおり,分割によってコナミとコナミキ. したがって,コナミは,①分割によって割り当. ャピタルが計1,768千株のハドソン株式を受け. てられたハドソン株式の時価と②コナミ. 取っても,その時点の同社の発行済株式数は. STUDIO株式への投資原価のうち札幌事業に相. 10,608千株であるから,同社に対するコナミの. 当する額との差額を株主分割利益として計上す. 持分比率は16,67%程度である.この分割とその. ることになる.ただし,コナミSTUDIO株式へ. 後の増資の引き受けとのあいだに決算日があれ. の投資原価を残存事業分と札幌事業分とに配分. ば,コナミの連結損益計算書には営業移転利益. する方法は開示されていない.コナミの損益計. が全額計上され,保有するハドソン株式に持分. 算書をみると,特別利益項目として株主分割利. 法が適用されることもない.. 益が1,145百万円計上されている.コナミに割.. つまり,第三者割当増資の引き受けと会社分. り当てられたハドソン株式の時価が1,443百万. 割を2つの別々の取引とみると,取引の順序に. 円であったことを考えると,②は298百万円と. よって利益の実現額が変わることになる.ハド. 推測される.. ソンを関連会社にした後でコナミSTUDIOを分. ただし,連結損益計算書では,営業移転利益. 割する現実のケースでは,営業移転利益のうち,. が704百万円計上されているだけである.コナ. ハドソンに対するコナミの持分相当額が未実現. ミの株主分割利益とコナミSTUDIOの営業移転. 利益とみなされる.それに対して,コナミ STUDIOを分割した後でハドソンを関連会社に. 利益は,同一の会社分割によって計上されたも のであるため,連結ベースでは,コナミの株主. したと仮定すると,この分割は資本関係のない. 分割利益が分割会社とその支配株主との取引に. 企業間の取引であるため,それによる営業移転. よる利益として消去される(日本公認会計士協. 利益がすべて実現利益とみなされる.しかし,. 会,2001,第74項).また,前述のとお1} tコ. 独立した会社に事業を移転しても,その直後に. ナミは,分割前に実施された第三者割当増資の. その会社を吸収すれば,それは,結果的にはグ. 引き受けによリハドソンを持分法適用関連会社. ループ内での事業移転にすぎない.そうである. にしている.つまり,コナミは子会社の事業を. ならば,会社分割はその後に計画されてk・る第. 関連会社に移転させたのであり,連結ベースで. 三者割当増資の引き受けによる持分比率の増加. はこれを事業売却として処理することができな. を考慮して処理されるはずである.. い.したがって,コナミSTUDIOの営業移転利 益1,463百万円のうち,コナミのハドソンに対. 』このように,ある取引の会計処理が,その後. に計画されている取引または契約に制約される. する持分相当額が未実現利益として消去される』. ことはめずらしいことではない.例えば,かつ. ことになる12}.. てのアメリカの企業結合会計基準であるAPBO 16では,普通株式を対価とする合併であっても,. 3.2持分比率の変化と利益の実現 コナミのケースでは,第三者割当増資の引き. その後に存続会社による自社株の買戻しが計画. 受けの後で会社分割が行なわれているが,仮に,. ーリング法を適用することが禁止されていた. その順序が反対であったとしたら,前述の営業. (par. 48).連続する複数の取引を別々の取引と. されているようなときには,その合併に持分プ.
(11) 企業分割と利益の実現(大雄 智). (87 )87. して処理するよりも特定の目的にしたがった単. ているようにみえる.しかし,コナミがハドソ. 一の取引として処理したほうが合理的なことも. ンの財務と営業に重要な影響を与えることがで. あるのである.コナミのケ“スでは,第三者割. きるこζも事実であり,また,有価証券報告書. 当増資の引き受けと会社分割は,ハドソンをコ. で開示されているハドソンの「大株主の状況」. ナミグループに吸収する一連の取引であるため,. ’をみても,コナミ以外に実質的な支配株主は存. それらを別々の取引として処理する意味は乏し. 在しない.そうであるならば∴移転資産に対す. い.. るコナミの支配は継続しているとみることもで. したがって,仮に,第三者割当増資の引き受. きる.こうした解釈によれば,コナミSTUDIO. けよりも前に会社分割が行なわれていたとして. で計上された営業移転利益はすべて未実現利益. も,その分割は,増資を引き受けた後のコナミ. として消去される.. と移転事業との関係に応じて処理されるであろ. ただし,もし,この会社分割によってコナミ. う.一一連の取引の結果,移転事業の成果に対す. がハ・ドソンに対する支配を獲得したとすれば,. るコナミの持分は100%から45.48e/・へ減少して. この分割は逆取得として処i理され,そもそもコ. いる.したがって,持分法によれば,この分割. ナミSTUDIOに営業移転利益が計上されること. によって計上された営業移転利益のうち45.48%. はない.ハドソンの「大株主の状況」によると,. は未実現利益として消去される.いいかえると,. コナミ以外の重要な大株主は,ハドソンの名誉. 移転事業の成果に対する持分の減少分54.52%が. 会長と社長であり,それぞれの持分比率は. 実現利益となる.. 13.02%と9.79%である(2002年3月31日現在).. また,「役員の状況」をみると,分割契約が締. 3.3支配の継続性と利益の実現. 結』された後の2001年10月に,2名のコナミ役員. それに対して,持分比率にかかわらず,この. がハドソンの取締役に就任し,1名のコナミ役. 会社分割による営業移転利益をすべて未実現利. 員がハドソンの監査役に就任している(ハドソ. 益として消去する考えかたもある.資産に対す る支配の喪失が含み益実現の条件であるとすれ. ンの取締役は計8名,監査役は計4名).こう した事実は,コナミがハドソンの意思決定を左. ば,分割会社またはその支配株主が移転資産に. 右できるかどう’かの判断材料になるが,現実に. 対する支配を失ったときに含み益がすべて実現. は,コナミは同社を子会社としてではなくパー. 利益とされ,一方,それを維持するときにはす. トナーとして位置づけていたようである(日経. べて未実現利益とされる.コナミのケースでも,. 産業新聞,2001年7月27日付).. 同社がコナミSTUD工Oの札幌事業の資産に対す る支配を失えば,営業移転利益はすべて実現利. 3.4 持分の継続性と利益の実現. 益とされp−一方,それを維持すればすべて未実. このように資産に対する支配が失われたのか. 現利益とされるはずである.支配がゼロ・ワン. どうか明らかでないケースについて,支配概念. の概念であり,支配か非支配かのいずれか一方. によって利益の実現・未実現を決めるのはむず. の状況しか存在しないとすれば,営業移転利益. かしい.それは,資産に対一する排他的な力と定. も実現利益か未実現利益かのいずれか一方に分. 義される支配概念の限界といってよい.それに. 類される.. 対して,実際にコナミが適用した持分法では,. コナミのケースでは,前述のとおり,移転事. 事業体(entity)に対する持分比率に応じて実. 業に対する同社の持分が100%から45.48%へ減. 現利益が測定されている,そこでは,事業資産. 少している.持分が50%以下であるため,形式. に対する支配の喪失ではなく,事業成果に対す. 的には,コナミは移転資産に対する支配を失っ. る持分の清算が含み益実現の条件となっている.
(12) 88(88). 横浜経営研究 第26巻 第1号(2005). ようにみえる.前述のとおり,会祉分割の後,. たはその支配株主が移転資産に対する支配を失. 移転事業の成果に対するコナミの持分は100%. えば,たとえ移転事業の成果に対する持分が清. から45.48°/。へ減少している.したがって,減少. 算されていなくても,その実質は事業売却とみ. しt: 54,52%の持分に対応する営業移転利益が実. なされるのである.そうしたケースで含み益が. 現利益とされ,留保された45.48%の持分に対応. 実現することに異論が唱えられることはほとん. するそれが未実現利益とされている,つまり,. どない.しかし,コナミのように,移転資産に. 移転事業に投下された資本のうち54、52%は回収. 対する支配を失ったのか,あるいは逆に承継会. されたとみられているのである.. 社の資産に対する支配を獲得したのか明らかで. しかし,確かに,コナミは移転事業の成果に. ないケースでは,含み益をすべて実現利益とす. 対する持分を減少させているが,その対価は現. る考えかたも,すべて未実現利益とする考えか. 金ではなくハドソンの株式である.その株式は,. ハドソンの従来の事業と移転事業とを合わせた. たも説得的ではない. ・ おそらく,そうしたケースに対処する会計方. 成果に対する請求権を表しているため,分割後. 法として持分法が適用されるのであろうが,す. もコナミは移転事業の成:果のリスクを負担しつ. でに確認したとおり,そこでは,資産に対する. づけるといってよい.分割によρてコナミの持. 支配の喪失が明らかでないうえ,成果に対する. 分が減少するのは事実だが,事業への投資のリ. 持分も清算されない状況で含み益が実現してい. スクが解消されていない以上,この取引を持分. る.事業への投資のリスクが解消されないうち. の清算,あるいは投下資本の回収とみることは. に,利益が認識されているのである.その問題. できない.コナミが移転事業に期待したのれん. を解決するためには,簿価引継法を適用して営. は,その事業を承継したハドソンが利益を上げ. 業移転利益を計上しないことにするか,売買処. ることによって実現するのであり,ハドソンの. 理法を適用したうえで営業移転利益をすべて繰. 株式を取得することによってではない.. 延利益とするしかないであろう.結局,t’ナミ. このように,事業成果に対する持分の清算を. が会社分割によって営業移転利益を計上した根. 含み益実現の条件とすれば,コナミの営業移転. 拠は,支配の継続性や持分の継続性といった観. 利益はすぺて未実現利益とみなされる.ただし,. 点からは説明することができない.. その条件を機械的に適用すると,コナミのケー. それでは,コナミの会計処理を支えている考. スにかぎらず,あらゆる会社分割で含み益は未. えかたは何であろうか.おそらくそれは,会社. 実現利益とみなされる.前述のとおり,分割会. 分割を,①現金を対価とする事業移転と②その. 社株主は,承継会社株主と分割後の承継会社の. 事業成果に対する請求権を共有する.それは,. 現金による承継会社株式の取得という2つの取 引の合成とみる考えかたであろう.移転事業の. 移転事業の成果のリスクが解消されていないこ. 対価としてハドソンからいったん現金を受け取. とを意味する.どのような形態の分割であって. り,ただちにその現金でハドソン株式を取得し. も,対価が株式であるかぎり,承継会社株主の. たとみるのである.しかし,そのように実在し』. 持分も分割会社株主の持分も清算されずに継続. ない現金取引を擬制すること力預午されるならば,. するのである.. こんどは,あらゆる会社分割が売買処理法で処 理されることになろう.しばしば指摘されると. 3.5 現金取引の擬制と利益の実現. おり,その考えかたは,継続企業における保有. ただし,現実には,資産に対する支配の継続. 資産の評価替えと未実現の含み益の計上につなe. 性も考慮して取引の実質が判断されている.第. がる.. 2節で確認したとおり,分割により分割会社ま.
(13) 企業分割と利益の実現(大雄 智). 4.おわりに. (89)89. である.本稿で分析したコナミのケースでは, 個別ベースで計上された営業移転利益のうち,. 本稿の課題は,企業分割の会計方法をとおし. 移転事業の成果に対する持分の減少分が実現利. て,実現利益の測定にとって決定的な意味をも. 益とされていた.そこでは,移転事業の成果に. つのが,事・業資産に対する支配の喪失なのか,. 対する持分の清算が含み益実現の条件となって. あるいは,事業成果に対する持分の清算なのか,. いるようにみえるが,この分割の対価は承継会. それを確かめることであった.現金を対価とす. 社の株式であり,それによって移転事業への投. る営業譲渡でも,株式を対価とする吸収分割で. 下資本が回収されたとみることはできない.コ. も,移転事業の資産に対する支配を失ったとき. ナミは,移転事業の成果のリスクを負担したま. にその含み益が実現する.ところが,分割型の. ま,その含み益を実現させたのである.キャッ. 新設分割やSpin−offでは,分割会社の支配が失. シュ・フローを伴わない持分の変化が含み益を. われているにもかかわらず,分割会社株主の持. 実現させたということもできる.. 分が継続しているために,その含み益が未実現. 問題は,持分の減少を持分の清算とみなした. 利益とされる.そこでは,支配の喪失ではなく,. ことにある.確かに,持分法では関連会社に対. むしろ持分の清算が含み益実現の条件となって. する持分比率に応じて未実現利益を消去するこ. いる.したがって,企業分割の会計方法は,事. とになっている.しかし,そのためには,少な. 業資産に対する支配の継続性だけでなく,事業. くとも個別ベースで事業成果に対する持分が清. 成果に対する持分の継続性にも依存するといっ. 算され,投下資本が回収されている必要がある.. てよい.. 持分の減少は持分の清算の結果であって原因で. ただし,持分の継続性にしたがって処理され. はない.コナミが適用した持分法ではその因果. るケースが非常に限定されているのも事実であ. が逆転しているのである.結局,このケースで. る.前述のとおり,事業成果のリスクが解消さ. 含み益が実現した事実は,支配の継続性という. れないかぎり株主の持分が継続すると考えると,. 観点からも持分の継続性という観点からも説明. 株式を対価とするあらゆる会社分割は持分を継. することができない.. 続させる取引となる.ところが,日本公認会計 士協会(2001)によれば,持分の継続性にした. ただし,2005年1月に公表された企業会計基 準委員会の『「事業分離等に関する会計基準」. がって処理される分割は,分割型の新設分割以. の検討状況の整理』では,会社分割によって承. 外には,親会社を分割会社,その子会社を承継. 継会社が分割会社の関連会社になるとき,移転. 会社とする分割型の吸収分割ぐらいである13).. 損益は認識されないことになっている(第20項).. 原則として,支配の継続性が分割の実質を判断. そこでは,承継会社が分割会社の子会社になる. する第一義的な規準となっており,取得会社を. ときと同じく,移転事業への投資は継続すると. 識別できるものは事業売却(事業取得)とみな. 考えられている(第90項).支配の喪失は含み. されて売買処理法が適用され,取得会社を識別. 益の処理を決める絶対的な条件ではないという. できないものは持分の結合とみなされて簿価引. わけである.したがって,この考えかたを適用. 継法が適用される.. すると,コナミのケースで営業移転利益が計上. ただし,,合併と同じく,会社分割のなかにも. されることはない.結局,事業への投資の継続. 支配の移転が明らかでないものが存在する.そ. 性を,事業資産に対する支配の継続性と事業成. れに対処する方法の1つとして,持分法の適用. 果に対する持分の継続性という2つの観点から 総合的に判断し,それに応じて会計方法を決め るのが合理的なのであろう.支配の継続性や持. が考えられるが,問題は,そこで適用される持 分法がどのような考えかたにもとついているか.
(14) 90(90). 横浜経営研究 第26巻 第工号(2005). 分の継続性というのは,投資の継続性の下位概. を統括する会社である.. 念とみたほうがよいかもしれない.こうした概. 10)会社分割によってコナミが取得したハドソン の株式数は,ハドソンが発行した株式数1,768 千株にコナミのコナミSTUDIOに対する持分比 率83.33%をかけても求められる.この計算に よっても,コナミが取得した株式数は1,473千. 念の構造についての詳細な分析は今後の課題と したい.. 株となる.. 注. 1ユ)ハドソンの発行済株式数16,214千株のうち,コ ナミが直接所有する株式数は7,079千株である が,コナミの100e1e子会社であるコナミキャピ タルが294千株所有している.したがって,コ ナミのハドソンに対する実質的な持分比率は. 1)Split−upでは,分割会社は,すべての資産・負. 債を移転して複数の新会社を設立し,その新 会社の株式と自社株を交換することによって 消滅する. 2)分割会社が分割後の承継会社の支配株主とな るときには,.分割前の承継会社資産に対する 支配を分割会社が獲得したと.判断される.こ れが逆取得といわれるケースである. 3)企業分割における承継資産の評価や留保利益 の引き継ぎについては,Powell(1957), Culp (ユ960),Lembke(1969),醍醐(1981)で詳、 細に検討されている. 4)分割型の会社分割では,商法により承継会社. 45.48%となる. ・. 12)しかし,営業移転利益1,463百万目のうち 45.48%を消去すると798百万円となり,連結損 益計算轡に計上された額704百万円を94百万円. も上回る結果となる.この差額の原因は,公 表データからは明らかにすることができなか った.. 込資本を増加させる(Delaney et al.,2001, p.. 13)親会社を分割会社,その子会社を承継会社と する分割型の吸収分割では,親会社の事業が 子会社に移転し,その対価である子会社株式 が親会社の株主に割り当てられる.これによ り,親会社の子会社に対する持分比率が低下 ‘ し,親会社株主への子会社株式の割当数によ っては,親子会社関係が解消されることもあ る、親会社が移転事業に対する支配を失うケ ースには売買処理法が適用されてもよさそう だが,日本公認会計士協会(2001.第93項)で は,移転事業に対する親会社株主の支配に変 化がないことを理由に,これに簿価引継法を 適用することにしている.そこでは,本稿で 定義した支配概念と違って,支配の主体が親 会社の株主(分割会社の株主)とされている. 514).. (泉本,2001,77頁).本稿の定義によれば,上. 6)アメリカにおける企業分割会計の実務を調査 した山田(2003)によると,Spin−offによって. 記のケースは,親会社株主の支配が継続する ケースというよりはむしろ親会社株主の持分. 利益が計上されるケースは少ないものの,. が継続するケースといえる.. が分割会社の留保利益を引き継ぐことも認め られている(第288条ノ2第4項).. 5)分割型の単独新設分割に酢価引継法が適用さ れるとき,分割会社の資本勘定の取り崩しか たは,分割契約書等にしたがって株主総会の 決議で任意に決定できることになっている (日本公認会計士協会,2001,第50項).それ に対して,Spin−offでは移転資産の簿価に見合 う留保利益が取り崩される.つまり,株式配. 当と整合的な処理が適用されるわけである. なお,もし,移転事業に欠損があり,その資 産の簿価が負であるときには,その額だけ払. t. Split−offによって利益が計上されるケースは多. いようであるt 7)「コナミ株式会社と株式会社ハドソンの資本 提携を伴う戦略的業務提携のお知らせ一ハド ソンのコナミグループ入りによるグループカ の強化と業界内基盤の確立一」(200工年7月26. 参考文献 American Institute of Cert苗ed Public Accountants. {1970),Accounting Principles Board,」4PB Opinion」Vb.16: Business Com bination且. 日)参照(htt:www k。nami.c。. re臣s 21. {1973),Acc皿nting Principles Board,〆IPB. 7..7.2htm1).. OP加∫o刀ハb.29 Accoun tin宮for IVonmori e tヨry. 8)「会社分割による株式会社ハドソンへの株式 会社コナミコンtfユー一タエンタテインメント スタジオの札幌事業の承継に閲するお知らせ」. Trヨnsactions.. (2001年9月3日)参照(htt:www,hlldson.c。.. University ef Michiga皿.. ’CO Jnvestors df 」. df.. Culp, W. H.(1960),Accou刀亡∫刀9」fbr Busin ess 5ep日rヨ亡fo且5, Unpublished Ph. D. dissErtation, Delaney, R R. B, J. Epstein, S W. Budak, and R. 9,コナミキャピタルは,コナミの100%子会社で,. Nach(2001),醐ey GAAP 2002:丑]亡erpreta tiolコ. コナミグループの金融サービス・不動産管理. and APP lica tionσf Ge刀erヨ∬1y、4ccep亡ed.
(15) 企業分割と利益の実現(大雄 智). Accoun ting Principles, John Wiley、&Sons.. Financial Accounting Standards Board(200ユ), s亡a亡emen亡Of Financial Acc・unting Standards. (91)91. 企業会計基準委員会(2005)『「事業分離等に関する 会計基準」の検討状況の整理」. 醍醐聰(1981)「会社分割会計への逆プーリツグ法の. ハ「b,14」:B口S加eSS Com力力la亡「011S,. 適用条件」ぎ才イコノミカ(名古屋市立大学)』. Lembke, V. C.(1969}, Accoロnting fbr Divisive. 第17号第3・4号,49−66頁.. 、 Reorganiza tions, Unpublished Ph. D. dissertation, Un」iversity of Michigan,. 武井一浩・内聞裕(1999)「米国会社分割制度の実態 と日本への示唆(工)」1旬刊・商事法務』,第. Powel1, W.(195ア),“Business Separations,”The. 1525号,29−41頁.. Jou」ココ且∬Of Accoun tan cy, VoL 103, No.3, pp.54. 日本公認会計士協会(2001),会計制度委員会研究報 告第7号r会社分割に閲する会計処理」. 山田純平(2003),「ア・メリカにおける企業分割会計 の現状と課題」『産業経理」第63巻第工号,103.. 57.. 泉本小夜子(200コ)「会社分割の会計処理」監査法人 トーマツ編『会社分割会計の実務詳解』中:央経 i斉社, 69−188頁.. 112頁.. 〔おおたか さとる. 横浜国立大学経営学部助教授〕. 〔2005年5月2日受理〕. ノ. L.
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