盲児の点字解読についての実験的研究(I) : 左右示指の機能について
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(2) . 第7 巻 第1号. 北海道学芸大学紀要 (第一部増補). 昭和31年7月. ) 盲児の点 字 触 読につ いて の実 験 的研究 (1)1 -- 左右示指の機能について. 大. 居. 小. 一. 平. 柳. 郎 治. 恭. 北海道学芸大学旭川分校教育心理学研究室. i He i K( imentaI S j )YANAG[; An EXPer chi r6 0r and Kyo tudy ol . i l l the Br R d i 1 i h i l d 1 ) a e ea ng of B n C dren ( ions of Both lndex Fingers一-- --一on the Funct. 題. 問. l l 盲児が左右の示指を使用 して Brai e 式点字を読む場合、 両指はそれぞれどのような役割を果 し 2 ているか。) 現在、 これについての最も有力な学説として認められているものに草島時介氏のいわ. 3 ) がある。 彼によれば両指の機能はつぎのよ 動こ説明される すなわち ゴ ゆる 「 角 ー読-統制協働説」 。 、 両手を使用する盲児は普通両示指を軽く接触させながら読んでいるが、 事実鰍読そのものを主とし. て行っているのは左右いずれかの指であり (これを読指 reading 6nger と 呼ぶ)、 他 方 の 指 は 主 として眼球読書の如き間接視が不可能であるその読指をして行から逸脱させない安定感を与え か 、 つ 読 指 の行 間 運 動 を容 易 な ら しめ る 役 目を 果 して い る (これ を統 制 指 cont ing nnger と 呼 ぶ)。 rol. さらに叉、 統制指は読指が行間運動をする際には一時的に読指になったりあるいは読指が読んでい る間にでさえ前方の字を予備的に読んだり叉は読 指が読んだものを承認、 訂正、 補充したりするこ. る草島氏の説は数多くの盲児についてのきわめてすぐれた独創的ない くつかの実験的研究から導きだされたものであり、 叉それまで支配的 であった Theodor Hel l er の 4 ) る 「 綜合-分析触覚協 いわゆ 働説」 に対する反駁として提出されたものである。 しかしながら、 l l その結果の解釈や He er の学説の反証としてのそのとりあげ方にはや あいまいな点が二 三み 、 うけ ら れ る の で あ る。 こ に、 本実験はそれらの点を再吟味することによって草島説の長所をより とに 貢 献 し て い る、 と。 か. 積極 的 に 認 めん と したも の で あ る。. 手. 続. 被験者 : 全系列に参加した被験者は日常の読書において両手を使用している全 盲児6名 (小学. 5 年~中学3 年の男子3 名、 女子3名。 被験者の報告により左指の方を得意とする者3名 その逆 、. に右指の方を得意とする者3 名) である。 その他、 必要に応じ若干の被験者を追加した。 なお、 こ こではかりに左指での読みを得意とする者を 「左 績み」 、 右指での読みを得意とする者を 「右績み」 の被験者とし、 その得意な方の指を 「S指」 、 他方を 「U指」 と呼ぶことにする。 系列 1 ; 練習として有意味、 無意味の2種の材料を与えて、 指頭運動描織器を両示指につけた ま. 触読することにまず充分に慣れさせた。 叉、 全系列の材料がすべて1行からなっ ている故、 行. 間運動は必要でないことを前もって教示した。. - 81 -.
(3) . 大居平一郎・小 柳 恭 治 描録器は Fig.1 に示した如きものである。 その針 5 i 右指の方の の先端は前方の煤煙紙に接触して いる。. 針 は 左 指 の そ れ よ りも 2cm ほ ど長 く し て あ る。 な お、. 学 旨鏡速勃湛婦券. 蝶 燈縞. 裳g. 両針の根元は上下に回転するので先端はそれ自身の重 さにより常に煤煙紙から離れず・ きわめて微小な運勧 を も 記 録 す る こ とが で き る。. 練習の終了後、 下記の材料を音読させた。 できるだ け速くそして間違いなく読むよう教示し、 誤読があれ ば 直ち にそ れ を 訂 正 さ せた。 な お、 材 料 の 与 え る順序. ラウ署,ノ. は 被 験 者 に よ りラ ン ダ ム に した。. 材 料 読 み 方 両手使用 (S指- U指) A (有 意 味 ・普 通). ミ ソナ カ ラ. セ ソセイ ワ. ワ カイ. ト シノ. ). (. B (. ). ) C 構 蕎麦‐ 蝋 ). (. ア ネウ. キ キツ ケタラ. ッテ. キテ. 〃. ). D (. 〃. ). キキツケルデ オ モイ ダ シテ. ナイ ト. チ ガイ. オ アロ カエ. オ モイ. オ トートワ. マ シタ. アメリカワ タイセイ キ ガワニ ヒロイ ヘイヤガ アリ ナ ドノ. (. ドコ カ デ ジ ブ ソラ. ク レル ニ. ゃル フ ア フィ ラ テ ィ. ワ シ ント ン. 〃. ネラ キッ ト. フ ェノ. コノ. ー. マ ゴコロ ノ. コノ. ヨロ コバ シク. ド ソナ ニ. コ モ ッ タ ト ケイ ラ モ ラ ッ テ o アリマ シ ← モッ タテ ョ. オ「 キナ. ト. シ ュ← ベ ル ト ヨッテ. カ レラ ニ. 士 - ツァ ル. サッ キョ ク カニ ワ. ヨ ハ ソ シ ュ トラ ウ ス オ ← クノ. ア リマス. チホーニ. コノ. ト シモ ユ ー メイ ナ. オ ← ス トリ アノ. バ ッ ファ ロ. ニ ュー ヨ ー ク. イ マス. ナ ドガ. シ ン フォ ニ ー ヤ. オペラ ブ. ワ. ル ツ ナ ドガ. 〃. (. 〃. 片 手 使 用 (S 指) (U指). ツ ク ラ レマ シタ ユ フ セ ナ リ クイ チ ア ヌ ハ ス キ 6 ) E (無 意 味 ,普 通)) トイ ワ モ ヘ ル …… ワ トメ ロ ヘ ル サ ニ ツヤ カ マ エ … ハノ ンウ チ レ …… ヤ ケ ウ ハ マ ル F ( 同 〃 上 ) ヒ オ ナ トユ リ …… G (. 両手使用 ( 瀞 ヌ夢露) 日 (. 〃. 同. 上. …… エ フ ナ ト モヤ. ) メケトニレロ ー. 同. 上. ……ヨオニコチミ. メトモカ 一. 同. 上 (摩減) ……ハオクノユル. ). 〃. ケメ ル ヌ ツ ェ ……. (s 『 U指) ・(髪撃接ぎ 減) ウ (. 〃. ) i(蝋 容 黛 意). シンケン ナノワ ヘルサニッヤカマエ ソノ トキダケデ アッテ. (. ) K(騨. 撚. 孤立). ア ヌ ハ ス キ ワ トメ ロ. ナ リ クイ チミ. ワ ス レテ. ヤ ガテ. ソノ. コトモ. ユフセ. シマイ マ ス. 夕……タ 士ト…… トシナ……ナヤセ……セケユ……ユハメ…… メ ム フ …… フ ソ カ …… 力. 系列 2 : 両 示 指 で同 時 に 2 つ の 材 料 を 読 み得.る か否 か. 」用して を吟味する六 二 靴 下記の如き材料を行動記録器を糸. 1 字ずつ小窓から提示して読ませた。 その方法は Fig 2に 示 ば:如くである。 各材料 とも右指の方に1 字だけはやく . 下 行 = 左 指)。 現 わ れ る よ う に な っ て い る (上 行 = 右 指、. 材お. A. B は 両 指 と も 黙 読、 C.D は S 指 に 現 れ るも の を. 音読せしめた。 読み終った直後、 如何なる文章であったか / m s e c を報告させた。 文字の通過する速度はすべて3m ,でぁ r 82 -. と. }. :国; &. じ.ニささ 二 ・ も メも ← ご 鳥 ド 、 \ 、 *. ←. ……….一 ・一 一”“.…ー 「 く. ど. 謀り、2.
(4) . 盲児の点字触読についての実験的研究 り、 3 秒間隔で1 字ずつ現れるようになっている。 なお、 材料の与える順序は被験者によりランダ ムに した。 材料. (異なる材料). (同 じ 材 料). A. ′ユ キノ フ ル ヒ ワイ エ ニ イ タノ 1ユ キノ フ ル ヒ ワイ エ ニイ タノ. . B. ノオモ シ ロイ ホ ソ ラ ヨミ マ シタ ーオ モ シ ロイ ホ ソラ ヨミ マ シ タ. ′チ リ カミ ワ タ ク サ ソア リ マ ス ーオ ソ ナノ セ ソセイ ニ モ ナ ラ ウ. . . D. ;亭=ヰ事“喜多 { : 旨=. /ミ 力 ソノ カ ワ ラ ク ス リ ニ ス ル Lヨ シ オ サ ソワハ ヤ ク ハ シ レル. 結 果 及 び 考 察 (1) 左 右示指の指頭運動の比較 まず、 系列 1-材料 A における左読み及び右読みの被験者のそれぞれ典型的な描録線を示すと. Fig ,3 の如くになる (以下、 各図において A は左読み、 B は右読みの被験者の描録線を示す。. 叉、 それぞれ上の線 (R 線) は右指、 下の線 (L線) は左指の運動である。 なお 両者ともその運 、 動は図の下部に示した文字に対応する)。 一見して、 A,B のそれぞれ2本の線は大体において並 行 して い る こ とが 知 ら れ る。 か. る平易な普通の文章においては、 一方の指に時折後戻りあるいは. ld7 ) の い う い わ ゆ る上 下 運 動 up‐and‐down mot ピク ピク 運 動 (Max日e i on) が現 わ れ る の で、 他. 方の指は自然にそれに誘導され、 したがってこのような異なった文字の上での並行現象が現れてく るも のと 解 せ ら れ る。. 【 蒲 「 “ 榊 醐ノコ dhii 享ー モ′ クiHデモ テ璽 罰 ラテキ二三ヲ L I十すぎ Fig . 3. それでは、 か. l る並行現象は Hel er の説や草島氏の説に対してそれぞれどのような意味をもっ. l l l l i て い るか。 He er によれば Bra e 式 点字の触読はつぎのように説明される。 まず、 片手のみで. 読む場合には、 指頭の綜合触覚すなわち静的な皮膚の空間感覚によってそこに女字の概括的な全体 像が現れ、 つぎに微少な運動による分析触覚によっ てその女字は明瞭に知覚される。 ところが、 両 手を使用する場合にはこの継時的に行われる2種の触覚は両手に分担されるようになる。 たゞ し、. これは初心者の場合であって、 そこでは右指は静かに女字上を滑走して読み下しをなし、 左指はピ ク ピク運動をしながら分析していく。 それに反して、 熟達者にあっ ては通常両手は行の上をともに 静かに通過し、 もはやピクピク運動はみられない。 そこでは一方の指において同時 (綜合) 印象か ら直ちに継時 (分析) 印象が再生され、 他方の指は単に随行するのみである。 しかし、 一旦一 難読 語に直面した場合には分析触覚運動が現れてくる、 と。 さ て、 か. l る Hel er の主張がもしも正しいならば、 初心者の右指は滑めらかな線を描きながら 3- -8.
(5) . 大層平一郎・小 柳 恭 治 進み、 それに対して左指は鋸 歯状の線を描く筈である。 さらに叉、 熟達者にあっては普通の女章で l l er の か > る両者の違 の両 指 の運 動 は 滑 め らか に 並 行 して い く 筈 で あ る。 と こ ろ で、 草 島氏 は He いについての見解をあまり問題にせず、 その実験の結果、 平易な普通の文章においては1 人の例外 さえなく雨指の描録線は多かれ少かれ ピク ピク運 動を示しながら完全に並行している事実をもって. l l He er の 学 説 を 全 面 的 に 否 定 して い る の で あ る。 しか しな が ら、 こ. l l で い う平 易 な触 読 を He er. l l e r の熟達した触読の仕 のいう熟達者の触読に相当するものと解釈すれば、 むしろその結果は He 方についての見解を肯定することになる。 この点に関する限り前述 したわれわれの結果も叉これと l er の説に一致している。 同 様 に Hel それではつぎに、 難読語に直面した場合はどうであろうか。 Fig.4 は 系列 1-材料 D の場合 !バ 治績み ( ) 左右示 き 屈め む . . . . 右翼′ )左右示掲燈婿 ,Z( ソ. てき ”. ′鰐 ” 可1一仁三 r n ヘラド. カ しメモる-- ニニニニト 一 三ヒキ ン ば :ク ー. の 代 表 的 な 例 を 示 した も の で あ る。 一 般 に 「ツァム 「シ ュ」、 「フォ」、 「ニ ュ」 等 の 女 字 は 日 常 稀 に しか で > こ な い も の な の で 多 く の 盲 児 は そ こ で 激 しい ピク ピク 運 動 を 示 す の で あ る。 さ て、 こ に. おいてはS指に現れている小さな激しい上下左右、 あるいは円弧運動は U指にもはやみられず、 単 に大き な後戻り運動が現れているのみであり、 材料 Aの場合とは全く趣を異にしていることが知ら れる。 このように1 ヶ所で比較的長い間 S指に注意が集中するとU指はその間ほとん ど停滞してし まう事実は Fig.5 に示した 系列 1- 材 料 回 の 場 合 に い っ そ う 明 ら かに 認 め る こ と が で き る。 す 左 モ ‘ ホ 〃 Z( ) .. . . る 乞 ′ 〔 】 ′ 掠 り - ;. . な ゎ ち、 この 図 のA 図 の L 線 は 鋸 歯状 をな して い る の. . にもか わらず、 R線はきわめて潜めらかに進行して い る。 か>る材料では読み方が逐字的になり、 S 指の ピク ピク運 動があまりにも多く連続して現 れ る が 故 に、 U 指はもはや単に待機と前進運動をくりかえすよ うになる。 C 図に示 した如く、 文字を摩滅させた系列. 1-材料 1 の場合にも S指の運動がより激しくなるが 故に U指の運 動もそれにつれてや 乱れてはいるが、 両指が全く並行 していないことは A図と同様で ある。 ところで、 B 図にその1例を示した如く材料 Eを比較 的容易に読んでいる。 被験者にあってはかなり並行線 に近くなっている。 なお、 有意味材料と無意 味材料を. Fig . 5. 混合した 系列 1-材料 J では盲児をして著 しく疑念 を抱かせ、 したがって普通ならば平易なその有意味女. に お い て も両 指 の 運 動 はも は や並行;しな く な る 場 合 が ある こと が確 め ら れ た。 示 した。. Fig ,6 にその例を. 虫読が比較的困難な場合は両指はもはや並行せず、 U 指は大体において さて、 これらの結果から角 “ 84 一.
(6) . 盲児の点字鰍謙についての実験的研究. 兄. -. -. .. ぐ. r 、 .. ,. ′ }キ “ チ もチ アか けワト‘o rヴデ ″ コR 丁コナ ′ メノヶノ ナ′ヮ 、- ザニハリマエ 、 {十 リフ. .. …チシマ1平. 滑めらかな線を描き、 S 指は種々の方向に小さな激・ しい運動を示しながら進んでいくことが明らか になった。 草島氏は難読語あるいは奇異語、 摩滅文字などの特殊の条件の下では He l l er の い うよ うな両指の非並行現象を見出したこともあったがこれは条件の相違によるものでありもとより問題. 外 で あ る と 簡 単 に 述 べ て い る。 しか し、 この触 読 が 困難 な場 合 に 生ず る非 並 行 現 象は ま さ に He l l er の い わん と す る 初 心者 の場 合 の触 読 の 仕 方に相 当 す る も の と 考 える ことも 可能 で ある した が て っ 。 左読みの被験者に関する限 り、 か る場 合 の 摘録 線は Hel l er のいう如く右手が綜合、 左手が分析 を営 ん で い る こと を 示 して い る と も解 せ られる の で ある 。. かくして、 少なくとも左読みの被験者の平易な触読における両指の並行性 叉それと逆に困難な 、 場 合 の非 並 行 性 は He l l er 説と一応一致していることになる。 しか し、 それと同時に叉一方では草 島説とも一致しているのである。 というのは、 彼の立場からみれば、 かふる並行現象は単に両指の. 自然的な協応運動によるものであり、 それに対して非並行現象は U指が彼のいういわゆる統制指と して参加している場合、 それは触読そのものには何等重要な役割を演じていないことを示すものと. 解せられるからである。 したがって、 両示指の運動摘録線だけからでは両方の学説のいずれが正し l l い か は 決 定す る こと が不 可能 で あ る と い え る。 と こ ろ が、 こふ に He er の立場にとっては完全に 不 利 なも の で あ り、 それ に よ っ て っれわれは今まで考察 してきた描録線は実は草島氏の見解を積極. 的に支持するものと考えねばならない一つの事実があるのである。 つぎに考察する触読の時間の問. 題がそれである。 (2) 両手使用と片手使用の場合の鰯読時間の比較. l l He e r のいうようにもしも両指に綜合と分析という触読機能がそれぞれ分担され ・ていると す れ ば、 日常両手を使用 している被験者がいずれか一方だけで読むことを要求された場合には読みが不 可能になるかあるいは著しく困難になる筈である、 と仮定して、 草島氏は普通の両手使用の場合と. 両手を使用するが読みを不得意とする方の指は全く読めないようにした場合との触読時間を2 ,3 の 平易な文章を材料として比較している。 その結果、 何等そこに差がないことを見出し、 これをもっ l l て He er 説 に 対す る 第 2 の反 証 と して い る。 しか しな が ら、 か. l l る 問題 は He er のいう熟達者. の触読に相当する平易な触読においてはすでに述べた理由により云々することはできない。 そこで. われわれは一般に初心者のように読みが逐一的になる無意味材料のみをとりあげてこれを再吟味し て みた。. 今、 無意味材料において S指の摘録線が著しく乱れている左読みの被験者7名 (この中、 4 名は 新しく加えた) の両手使用 (S指-U指、 系列 1-材料蹴) 、 片手使用 (S指のみ、 系列 1-材料F) 1 両手使用 (S指-他方のクスリ指、 系列 -材 料 H) に お け る 同 一 部分 (ユフ セ ナリ …… ツ ヤ カマ エ) の触読時間を比較すると Table l の如 くに な る。 そ の 結果、 2 つの条件のいずれの比較にお いてもその差は. ) T‐test8. l er の学説が正しいならば、 によ り両 側 検 定 で 有意 で な い。 も しも、 Hel. S 指のみでは触読は不可能になるかあるいは困難になるであろうが、 結果はそれと一致せず、 叉 U. 指の代りにより不得意なクスリ指を使用しても時間に差違がみられないということは、 草島氏のい うように U指は触読そのものには重要な役割を果していないことを如実に物語るものである。 なお 一8 5-.
(7) . . 大勝平一郎・小 柳 恭 治 l 参考までに Tab e t に示した如く右読みの被験者においてもやはり3 つの 条件の時間はほとん ど等 しくなっている。 かくして、 これらの結果は両手を使用している場合の困難な触読においては l l er 説 を 明 ら かに 否定 して い る。 た ゞ し、 これ を 右 指 は 綜 合、 左 指 は 分 析 を 行 っ て い る と い う He. もって直ちに平易な触読についての彼の考え方までも否定することはできない。 同一の指における 同時印象と織時印象の関係は今後の問題として残されている。 Tab l el. 読み方 N. T. Na .T. Y. K. Y. S . ok .T. N. N I . T. K.. Mdn. 墓 撰 モ みの. 被 川. 無意味材料の触読所要時間. 両 手 使 用. U指) (罰旨-. 片 手 使 用. ) (鴇旨. 両 手 使 用. (瀞 三 鰭). 14 4 . 16 8 .. 0 14 . 15 2 . 6 20 .. 11 4 . 12 4 .. 20 4 . 13 4 .. 12 8 .. 20 8 . 2 14 . 22 8 . 2LO. 23 0 . 13 4 .. 29 6 . 18 9 . 27 4 .. 4 23 .. O 30 .. 18 9 .. 16 8 .. 20 8 .. 6 12 . 2 10 .. 11 6 . 12 8 .. il 2 . 10 8 .. 20 2 .. 15 8 .. 19 8 ,. さ て、 こ の よ う に U 指 が い わ ゆ る 同伴 指 と して 参 加 して い る場 合 に は通 常、 読 みを 行 っ て い な い. と い う こ と は Fig .7 に示 した 結 果 に よ っ て い っ そ う 明ら か に さ れ る。 A, B 図 と も に a は U 指 b の みで の触{読、 は両手使用における U 指の運動、 c は S 指のみでの鯨読の過程を示したもの. である。 単独で実際に読むことを要求された場合にはS 指以上に激 しいピクピク運動を示している U 指がS指に同伴する場合にはきわめて滑めらかな線を画いている。 もしも、 U 指が、 S 指が読ん. でいる間に、 常に明瞭に予読したりあるいは承認したりするならば、 両手使用の際の U指にはS 指 以上に ピク ピク運動が全体的に現れてこなければならない筈である。 しかし、 結果はそれと一致し. S 6 8秒、 0,T.=33 で参 考 ま で に U 指 の み で の触 読 時 間 を 示 す と、 M.M.=12 ,= , . , K. 4 35 0 6 の 如 く で ある)。 6 .T.=32 . . . . , N,T.=20 , Na , Y.K.=27 て い な い (こ. ) た 」 0 Z(ちま ) . .. ・ Fig , 7 左お示概a徽卿され i さ 示 。遂妙. 左右ず偽慶ぼ } ム“左ボ精りぼ秒 に. . . ↑. r. ー. ー ー ー: 〒. 三三三翌 だす*州需詣重認 定三三′ 甚. さらに叉、 孤立文字に対 して両指は どのような運動を行うか。 その典型的な例は Fi g .8 に示 し Z (あ U して 図中の 予言 売あるいは承認をしたとすれば、 た如くである。 もしも、 指が孤立女字に対 ′ ′ )の所と同程度に あるいはそれ以上に ピク ピク運動や後戻り ) の 所 に は × (あるいは X るい は .Z ′ ) の 所 に × (ある い は X ) の所の運動に誘導 運動が現れる筈である。 しかるに、 Y (あるいは Y′ - 86 -.
(8) . 盲児の点字角虹読についての実験的研究. きれた運動が現れているのみであって、 U 指は孤立した女字に対してさえ普通の条件の下では注意 して い な いと い う こ と が 知 られ る。. ふゴ コ ユ ユ E… … 一 触 には かユ F. 二頭 ト 1…′… … … “ ; ここ. Fgi .. (3) 雨指による2つの材料の同時讃みの構え. それ では 一体、 U 指 は どの よ う な 役 割 を 果 して い る の で あろ う か。 ま ず、 S 指を先導するかある いはそれに随伴することによってその進行に安定感を与えていることは確実である。 さらに 叉、 S 指が行の途中においてつぎの行へと移行するような場合、 U 指は読指としての機能を発揮してその 残 部 を担 当 す る こ と も あ る。 と こ ろ が、 こ. でもう一つの問題が残されている。 被験者の内省によ. れ ば、 S 指である語句を読んでいる際にときには同時に U指によっても他の語句を読んで いる場合. があるという。 しかし、 果してそのような両指による語句の同時読みが可能であろうか。 草島氏は その点を実際的に吟味した結果、 少数ではあるが全く異なった2つの材料できえ両指で同時に読 み 得る被験者があることを見出 している。 われわれは系列2においてこの点を再び検討してみた。 そ の結 果 は. Table = に 示 した 如 く で あ る。 表 中 の 数 値は 読 み 得 た 女 字 の 数 を 示 したも の で あ り 、 ,. S 指、 U 指ともに1 3の場合には両者が完全に所与の材料を読み得たことを意味する. 。. Tab l e = 左右示指による2つの材料の同時読み. 条. 件. 同. じ 材. 両指黙読 Ss .. M. M. ○. T. K. S. N. T.. 料 S U S U S U S U S U SU. Mdn. (S + U). 料. 異 な る 材 料. S指音読. C. 両指黙読. S指音読. A. B. C. D. 13 13. 13 13. 13 13. 13 13. 4 1. 13 4. 13 6. 8 1. 1 3 13. 13 13. 13 13. 13 13. 13 2. 13 1. 11 0. 13 4. 13 13. 13 13. 13 13. 13 13. 7 2. 1 9. 13 13. 13 13. 13 13. 13 13. 4 0. 13 1. 13 13. 13 13. 13 13. 13 13. 10 0. 4 0. 13 l. 13 o. 13 13. 13 13. 13 0. 13 6. 13 0. 7 1. 13 l. 13 o. 26. 26. 26. 26. 12. 15. 14. 9 5 ,. ) によ り両 側 検 定 で そ の差 は ign t ‐ est9 今、 両方の条件での結果を比較すると、 材料 C 以外は s 5%の危険率で有意である (表に示した Mdn は各被験者の S 指 と U 指の成績を合計 して算出し たも の で ある)。. まず、 この結果において、 同じ材料ならば両指による同時読みがきわめて容易であるということ - 87 -.
(9) . 大層平一郎・小 柳 恭 治 は、 日常両指を軽く接触させて読んでいるのであるから、 左読みの被験者は U指によって S指のす ぐ前方を予め読んでおり、 叉右読みの被験者は S指の読んだものをそのすぐ後で承認しているので は な いか と い う こ と を 一 応 暗示 す る。 しか し、 こ の 系 列 2 の 結 果 は あ く ま でも両 指 で読も う とす る. 構えがあってのことであって、 そこにおいては小窓の上の両指頭はともにきわめて激しい運動をし ており、 しかも、 彼等は普通の触読ではみられぬほ ど著しく緊張している。 そして、 彼等は読み終 っ た 後、 「と て も 難 し い」 とつ ぶや い て い る の で ある。 し か る に、 系 列 1 の 両 手 使 用 の 場 合 に S指 が多かれ少なかれピク ピク運動を示している文字の上で U指もそれと同程度にあるいはそれ以上に ピク ピク運動を示しているのはきわめて稀である。 したがって、 両指で同時に読もうとする特殊 な構えをもつならば同じ材料である限り逐一的な予読や承認は可能であるが、 しかしそれは彼等の 普通の読み方ではないといえる。 つぎに、 異なった材料においては一般に S指に注意が向けられ、 そのために U指の成績が著しく 劣っているという事実は両指にそれぞれ連続的に与えられたいくつかの異なった女字を同時にそれ. ぞ れ語 句と して ま とめ て い く こ と が如 何 に 困 難 で ある か を 物 語 っ て い る。 こ >において、 日常彼等 がときどき同時に異なっ た語句を読んでいるといってもそれは決して同時ではなくゞ いずれか一方. の指が単独で先に読みかつまとめてしまってから、 その直後に他方の指が読みかつまとめている場 合が大部分であろうと推定される。 それはとりもなおさず、 U 指はその場合、 一時的にもはや S指 に 代 っ て 読 指 と して の 位置 を 占めて い る こ と を 意 味 して い る。. かく して、 こ れ ら の 事 実 か ら多 く の 場 合、 U 指 は 各 行 内 に お い て は 主 と して S指の進行を安定 さ. ふ せ る の に役 立 っ て い る か も しく は 一 時 鋭旨に 代 っ て 明確 に触 読 を 営 む か の 働 ら き を して い る と いP. る。 この意味において、 U 指を草島氏の如く統制指と呼ぶことは当を得ている。. 約. 要. l l He e rの学説に対する従来の批判はあまりに単純すぎた嫌いがある。 左読みの被験者に関する限 り、 左右示指の指頭運動摘録線だけからでは彼の説を否定する何等の根拠も見出させない。 という よりはむしろ、 そこに見出されたいくつかの事実は彼の説と一致しているのである。 しかしながら. 読みの比較的困難な条件において左読みの被験者が右示指を使用してもしなくてもその触読所要時 l l 間 には 変 り が な い と い う事 実 は He er の立場からは説明できない。 しかるに、 草島氏の学説はい ずれの結果をも合理的に説明することが可能であり、 こ. にわれわれは彼の立場をより積極的に支. 持 す る こ と が で き る。 ・ 1) 本報は旭川盲学校教諭 前東孝儀氏との共同研究によるものである 、 。 2 ) 点字の構成理論に いては大河原欽吾 : 点字発達史、19 55 37 , . 榊原 清 : 盲児の心理と教育、19 を参照されたい。 :介 : 読書の科学、 1 3) 草 間時 9 49 37) .(点字の研究、 ー9 . l T S d i B i d h i 4) Hel ー l er t 1 : u e n z ー r n e n - s c o o e p g y . . , .(町 田 則 女 訳 : 盲 人 心 理 学、 1933) , 904 5) 離島氏の実験では横車 !カイ モグラフを使用し、 ダブル マグネッ ト マーカーによって時間も刻印でき る よ う に し て あ る。 6) 材料Eより1までの中間の2 7字はすべて同じであるが、 前後の27字はそれぞれ異なっている。 ind chi i l d and l 7 ) Max行eld, K. E.; The bl 1 ng sreadi . L928.. 8) 砦圧 箕信九日 ” : ノ ンバラメトリック法、 1955 . 9) 同 上. (後記) 本実験にあた り多大なる便宜を与えて下さった新潟大学助教授吉田専i 与氏、 旭川盲学校長宮崎安氏. 及び同校職 員一同に厚く感謝の意を表します。. - 88 一.
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児童について一緒に考えることが解決への糸口 になるのではないか。④保護者への対応も難し
父親が入会されることも多くなっています。月に 1 回の頻度で、交流会を SEED テラスに
雇用契約としての扱い等の検討が行われている︒しかしながらこれらの尽力によっても︑婚姻制度上の難点や人格的
ぎり︑第三文の効力について疑問を唱えるものは見当たらないのは︑実質的には右のような理由によるものと思われ
第三に﹁文学的ファシズム﹂についてである︒これはディー