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吸光光度法による布中微量染料の簡易定量法

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Academic year: 2021

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(1)Title. 吸光光度法による布中微量染料の簡易定量法. Author(s). 森田, みゆき; 小松, 恵美子; 伊藤, 理恵. Citation. 北海道教育大学紀要. 第二部. C, 家庭・養護・体育編, 48(2): 1-7. Issue Date. 1998-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2036. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成10年 2 月 Febm 町! デ1998. 8巻 第2号 北海道教育大学紀要 (第2部C) 第4 2 IC)VOL48 Sec値on l i fEducadon( tyo lofHokkaido Univers J . ouma ,No. 吸光光度法に よる布中微量染料の簡易 定量法 森. 田. みゆき・小. 松. 恵美子・伊. 藤. 恵*. 理. 北海道教育大学札幌校家政科被服学研究室 . . . . *札幌市立手稲西中学校. . ion of Trace A mounts o fDye Simple Determinat Absorbedin Fabrics by Spectrophotometry . . 順 yt i l i ko Komatsu al t t& Eq e工 o ld Ri lki Mor . . Depa 1ねmentofHome Economi cs ,Sapporo Campus ,. ido Universiけ ofEduca桓on,Sapporoo02 Hokka *Te i ] ”;回uorHi oo06 neNi s ghSchooLSappor. Abstract. A stdlplespectrophotomet土ic method was developedto deterl山inetracesofor2江1ge 江infabrics .The i ing anend- ierspec i ol lphotomul観pl - c dyeus method rect measurementofabsorbanceoffabr ,based on d i ionofsuspens ivefor a determinat 廿ophotometer 1ge on ly e茸ect ‐A P1otoftheabsorbそmceoforzぽ ,wasve lded as官a idue methods ight 「ぽac口on 鉱ld res 口(歳rec )yi e t method)againstconcentra口onsofor2ロ1gell(ex 8 ‐ imi ionl 4 x lぴ7 ineそ tofl l ibrat ioncurve wasl l ine I rom the detect rovertherangef ‐8 x lo to 4 . .Theca ic iedto determine orangellin afabr icoforangel l s method wasappl mol/gfabr ‐Thi ,toobtainthe ion imple and accurate,com- ia lba lanceofdyesinthebleachingreact mater ‐Thepresent method wass t ± l o est a u ld鑓「d extracdon me p紅ed wi出 仕l. 1. 緒. 言. 布に染着した染料の定量は, 染色化学および洗浄科学の分野で重要である. 吸光光度法を用いて半透明試 料である布に染着した染料濃度を定量するには,二つの方法がある. ひとつは染色残浴中の染料を定量して, 初濃度との差から算出する残浴定量法である. この方法は, 染色終了後に残浴をそのまま測定できるため簡 便である. また高い染着率を示し大部分の染料が繊維に吸着される場合には, 高い精度で染着量を定量する 事ができる. しかし, 染着率が低く, 繊維に吸着される染料の量が少ない場合には, 精度は著しく悪くな ) もうひとつの方法は ピリジンなどを用いて染色布から染料を抽出して定量を行う抽出定量法である る1 . . , この抽出定量法は直接的で確実な方法といえるが, 有機溶媒を使用し操作が煩雑である. また染色布は脱色. (1).

(3) . 森 田 みゆき・小 松 恵美子・伊 藤 理 恵. 160. されるため, この後他の測定およ び処理を行うことができなくなる. 以上の理由から染色した布を処理する ことなく, 直接的な布中の微量染料の定量法の開発が必要である. ) また半透明試料 近年, エンドオン型分光光度計が開発され, 半透明色の濃度測定に利用されており2 , ) しかし 実際に布中の染料を微量定量し 応用 中の蛍光増白剤の吸収スペクトルが測定可能となっ た3 デ . , した例はない. そこで, 本研究では, エンドオン型分光光度計を用いて染色布の吸光度から染色布中の微量 染料濃度を簡便に求める方法を確立するために, 染料の残浴定量と染色布中の染料の抽出定量を行い, 染色 布の直接測定による吸光度との相関があるか検討を行った. また, 応用として, 漂白剤による染料の分解反 応での染料の物質収支を求めた.. -. 2一. 2. 実験方法 ′. -. 試料. 染料には, 最も一般的に用いられているアゾ染料の一つであるオレンジ江 (和光純薬) の試薬特級を再結 晶法で精製し, 漉紙分配クロマトグラムとUVスペクトルで純度を確認して使用した. その他試薬は全て市 販の特級品を使用した. 水はイオン交換水を1回蒸留し, ミリポアで超純水処理したものを用いた. 試験布 に は, Tabl e lに示す衣生活研究会の実験用ナイロン白生地を, 容量比1:1のメタノール‐水混合溶液中 で水溶性成分を除去して風乾し, ついでベ ンゼンで油性成分を除去し, 風乾して使用した.. Tab leI ProPeガロesofNyl i on 魚br c .. CO ion t S官uc I I. l i an p. VVa IP. W/ t ef. 50d. 70d. 1) iけ(cm- Ymlden s W岬. We救. 7 48 ‐. 35 3 ‐. Tmc如e s s (mm). 0 124 ‐. 2 -2 測定装置および半透明試料の測定原理 溶液及びナイロン布中のオレンジnの吸光度測定には, エンドオン型分光光度計である島津製紫外可視分 [ PS‐2000を用 い た. MPS‐2000は, ナイ ロ ンな どの布, 微粒 子の 懸濁 液, メ ン ブラ ン フィ ルタ ー, 光光度計 4. 植物の葉などの半透明試料の色素及 び紫外吸収物質の吸光度を直接測定できるように開発された装置であ る.. 半透明体の吸収を一般の分光光度計で測定すると,F )となって直進する光( ) i 工 d l g‐1に示すように散乱光( p が減少し, 吸収されたようになり, 誤差を生じる. この誤差を防止するために, 高透過性で光を完全に拡散 、 するオバー 、ルガラス板をセルまたは試料に密着させ, 直進する光を測定する方法がよく用いられるが, この 方法では比較的満足な結果が得られる反面, 光量損失のため感度が低下する. 今回使用したエンドオン型分 光光度計では, F i g.2に示すように試料と検出器部を密着させる方式の採用によって, 半透明試料を透過し たほとんどすべての平行透過光 ( l ) と散乱透過光 ( l d ) は, ビームミキサを経てエンド・オン型光電子倍 p 増管により有効に捕捉される. よって, スリッ ト幅が狭いままで, 半透明体のシャープな吸収を得ることが できる.. (2).

(4) . . 吸光光度法による布中微量染料の簡易定量法. 161. ld. Suspens lon. - 繍 回 B. ー. ・ .・ . . . DeteCtor. l i l i t t de er o-mu ) -onPho (Si p. I I. B1 ank. Suspens i on. ジーo. lo. De t t ec or. Beam Mi xer. Semi-i t l n egra i‐anenuance ; Log Quas. Anenuance=l og. lo. l lp十f d. ニー o g ÷. o <f ≦ I Fig. I. lucent Measurementofabsorbance oftra1 ls. l o. f嗣「 zr. l t=l d p十l Fig.2. e 傾 山 st amd縦dspecなophot omet er sampl ‐. Measurementofabsorbance oftrans lucent. ipl i thend-onphotomul t s鋼誼P1 e wi erspec - trophotometer ‐. 2-3 操 作 法 2‐3- 1 オ レン ジ= 染色 ナイ ロ ン布 の作成. ー 3 l 直ロ 55℃ のo‐o25M (M=mo ) トリスー塩酸緩衝液を含むオレンジn水溶液中でナイロン白布を撹拝しな がら60分間, その後室温で2 4時間静置浸潰した後風乾し, 染色布とした. 染浴中のオレンジn濃度は, lx ‐ 6M~lxlo - 5Mの 範 囲で段 階的に 設 定 した ま た 浴比 は1:50で行 た lo っ . . 2-3-2 染色 残 浴 から の オ レン ジ韮 の定 量. 染色残浴はオレンジBの極大吸収波長48 5n Lmでの吸光度を測定し, オレンジn水溶液の検量線から濃度を 求め, 初濃度との差からナイロン布への染着濃度を算出した (以下これを 「残浴定量濃度」 とする) . なお 染色布は吸光度を測定した後, 以下に示すピリジン水溶液による染料の抽出を行った. 2‐3-3 ピリ ジ ン抽 出によ る オ レン ジ 韮 の定 量 l% 水 溶 液 中 に染色 布 を浸 潰 し, 40℃ で20分 間 のイ ンキ ュ ベ ー シ ョ ン 浴 比1:50の 条 件 で, ピ リ ジ ン25vo. を行いながら抽出した. この操作を繰り返し, 抽出液に色素が確認できなくなったとき, 抽出終了とした. 得られたオレンジ=抽出液は, そのつ どピリジン水溶液中でのオレンジ江の極大吸収波長490nmでの吸光度 を測定し, オレンジローピリ ジン水溶液の検量線を用いてオレンジ=濃度を算出した (以下これを 「抽出定 量濃度」 とする) . また抽出を終了した染色布については, 風乾後に吸光度の測定を行った. 2-3-4 布中 のオ レン ジ= の吸光 度測 定. ナイロン布の吸光度は, 染色および染料抽出を行う前後に分光光度計を用いてオレンジDの極大吸収波長 485nm での 吸 収 を 直接 測 定 した. サ ン プル側 セ ル ホ ル ダー と 検 出 器部 と の 間 に布 を はさ み 1サ ン プル につ ,. ) によ て棄却検定を行い 平均値を算出した 得 き表裏あわせて1 8点測定を行っ た. 測定値はGrubbs法4 っ . , られた平均値から各処理前と後での吸光度の差を求め, 布中のオレンジBの吸光度とした (以下これを 「直 接測定吸光度」 とする).. (3).

(5) . 森 田 みゆき・小 松 恵美子・伊 藤 理 恵. 162. 2 -3- 5 酵素系漂白剤によるナイロン布へのオレンジ韮の移染防止反応と, オレンジ=の物質収支 酵素系漂白剤によるオレンジnの分解・残留・移染の物質収支を求めた. ナイロン白布0 .2gをバイ アル 7Mの ホース ラ ディ シ ュ ベ ルオ キ シ ダー ゼ (HRP) と7 9x 瓶 に入 れ, 浴 比 が・:50と なる よう に3.6xlo‐ ッ ‐ ‐ 4 ) 9.5 ) ま た はCarmody緩衝 液 ( lo Mの 過 酸化 水素 を含 む トリスー塩 酸緩 衝 液 ( cm PH7‐0~9‐0 pH7.0~9.0 ‐ 3Mオ レ ン ジ亘 水 溶 液o 5 直を加 え 20℃ で30分 間 を加 え, 撹洋 を 開 始 した. つ ぎに, バ イ ア ル瓶 に1‐oxlo .c ,. 反応を行った. 反応後バイアル瓶からナイロン布を取り出し, 風乾した. オレンジnの残留量は, 残浴中の オレンジ亘の吸光度を測定して求めた. またナイロン布に移染したオレンジ虹量は, ナイロン布の吸光度を 直接測定し求めた. 漂白反応によって分解したオレンジロ量は, オレンジロ初濃度からオレンジn残留量お よび布中のオレンジD量を引くことによっ て求めた.. 3. 結 果 お よ び 考 察. 3 - 1 直接測定吸光度と抽出定量濃度との相関 ま ず, オ レ ンジn 染色 ナイ ロ ン布 の抽 出 終了 後の 吸光. 8. △. ) と 度 (Ap) を, 染色 前 の ナイ ロ ン白 布 の 吸 光 度 (Ao 比 較 した と こ ろ, 全 て の 試 料 にお い てAoよ り わ ず か に 高 い 吸 収が確 認さ れた. こ れは, 染 料の 脱着 平衡 によ り. レン 細 れ,. 完全に“抽出. れず“ ご く微量が. も. れ‘残留したためと考えられる. そこで, オレンジ虹の. 屋. 染色 ナイ ロ ン布 の 吸光 度Adに対 しApを ブラ ンク と して. 昼 く. 求 め た 場 合 (Ad-Ap) の 直接 測 定 吸光 度と, Adに対 し. 1. 蚕. ○. △. ‐. 6. \. 4. Q. \ \ 2. 2. ) の直接測定 Aoをブラ ンクとして求めた場合 (Ad‐Ao し て プ ロ ッ ト し, 相 関 を 調 べ た. Fig‐3に 示 す よ う に,. どちらにも良好な相関関係が認め ら れ た が,. Aoを ブ ラ. ンク と して用 い た場 合, 直 線は原点 を通 らなか っ た (直. 線1). 一方, Apを ブラ ンクと し て 用 い た 場 合 に は, 4.l icの 範 囲 で /gfabr icか ら3.5xio‐7mol xlo‐8movg fabr. 0. 10. 20. 30. l/gf [orangeDI釧r i d/xloamo abr c aはe. l F i 3 Re tweenabsorbanceoffabhcand ahonbe g . d o t t ex race range ロ concenせadon. 1:Absorbance=Ad‐Ao. 相 関 係 数0‐977の ほ ぼ原 点 を 通 る 直 線 が 得 ら れ た (直 線. 2:Abs o rbance=Ad‐Ap. 2). その 回帰式 を下 に示す.. Ad:Absorbanceofdyed Nylonfabhc ,. -2 -4 y= -3‐5oxlo +1,olxlo x. 4o. icaf AP:Absorbanceofdyed Nylonfabr terex‐. (1). この 結 果 は, エ ン ドオ ン型 分光光 度計 によ っ て布 中の染. 料の量が微量まで正確に測定されていることを示してい. むa cdoル 1 Ao:Absorb紅I ceofno dyed Ny onf abhc ‐. る. また, 抽出定量法は染料の抽出が不完全であり, 布に残留した微量染料濃度分を補正しなければならな いため, 微量染料の定量は難しいことも明らかとなった. 3 -2 残浴定量濃度と抽出定量濃度の相関 つぎに, 残浴定量濃度と抽出定量濃度の間の相関について確認を行っ た. その結果, 両者の間にはほぼ原 ). i 点を通る約傾き1, 相関係数0 g‐4 、回帰式を次に示す. .997の直線関係が得られた (F ‐ 2 y= ー4.59xlo 十.‐12x. 2 ( ). (4).

(6) 吸 光 光 度 法 に よ る 布 中 微 量 染 料 の 簡 易 定 量 法. 163. こ れ は す な わ ち , 測 定 し た 濃 度 範 囲 で は 直 接 測 定 吸 光 度 と 残 浴 定 量 濃 度 の 回 帰 直 線 が 式 (1) と 一 致 す る こ と を 意 味 す る. こ の こ と か ら, 直 接 測 定 吸 光 度 に 対 し て そ の 残 浴 定 量 濃 度 を プ ロ ッ ト し た 検 量 線 を 作 成 す る こ と に よ っ て, 布 に 染 着 し た 染 料 濃 度 の 簡 便 な 定 量 が 可 能 で あ る こ と が 明 ら か と な っ た. 検 量 線 の 作 成. 3-3. 実 際 に 検 量 線 を 作 成 す る た め に, 広 い 範 囲 の 濃 度 に 渡 っ て オ レ ン ジ 亘 染 色 ナ 測 定 吸 光 度 と 残 浴 定 量 濃 度 の 関 係 を 調, ベ た . そ の 結 果 , 残 浴 定 量 濃 度 が 低 い 場 立 し た . し か し , 残 浴 定 量 濃 度 が 増 加 し , 1 ‐ 3 x l o m o l / g f a b ric 以 上 で は , 関 係 は 得 ら れ な か っ た. こ の 理 由 は, 布 は 固 体 で あ り, ま た, 光 路 長 す な わ ち 範 囲 で ナ イ ロ ン 布 中 の オ レ ン ジ 江 の 検 量 線 を 作 成 し た と こ ろ , 1‐ 8 x lo. の 間 で 良 好 な 検 量 線 が 得 ら れ た. 40 o 欄 十 匹 の \ 63 0 E のb r. 三. O. 0. , 0. 2 o. 3 0. N1 o r × \ ① ○ に 頓 Q 」o の Q く. 4 0. of 0 r a n g e. ロ. Fig.5. a n d t h e c o n c e n t r a ti o n. 亘 u si n g r e s i d u e 血 e t h o d. 4 0. C a li b r a ti o n c u r v e o f o r a n g e ロ o n N y l o n. A b s o r b を u l c e = A d 一 A 0‐ A d ; A b s o r b 紅 ・ c e o f d y e d N y 1 o n f a b d c, A o : A b s o r b 鎖 ・ c e o f n o d y e d N y 1 o n f a b n c‐. ロ o n o n f a b ric u sl n g r e si d u e m e t 力 ○ 4 亘 ] e x rta cte d : 0 r a n g e. 3 0. f a b r ic‐. [ 0 r a n g e 江 ] r e si d u e : 0 r a n g e 亘 c o n c e n t r を [0 ran ge. 2 0. ぬ 「 a n g e 虹 ]re sid u e / × 1 0 ‐8 m o ” g f a b 「i C. R e l a ti o n b e t w e e n t h e c o n c e n t r a t i o n o f e x - tr a cte d o r a n g e. 1 0. 0. l o r a n g e = ] e 瑚 a d e d / x l o ‐8 m o l / g f a b ri c Fig .4. ‐7 m ol/ g m o v g f a b ric か ら 4 ‐ 4 x l o. ( F i g ‐ 5) .. × \ 20 の 言 葉 五 ロ ① 1 0 ◎ ﹇ 叩 」 ○ 】 0. 直 接 測 定 吸 光 度 と の 間 に 直 線. 布 の 厚 さ も 薄 い た め, 布 中 に そ こ で, 直 線 関 係 の 成 り 立 つ 低 濃 度. 拡 散 し て い る 染 料 が 多 く な る と B eer 則 に 従 わ な い た め と 考 え ら れ る . f a b ric. イ ロ ン 布 を 作 成 し, そ の 直 接 合 は 両 者 の 間 に 比 例 関 係 が 成. 口 c o n c e n…. せ a d o n o n f a b r i c u s i n g e × せ a c d o n m e lll o d. 3-4. 染 料 の 物 質 収 支 へ の 応 用. 洗 浄 の 過 程 で, 染 色 物 か ら 脱 落 し た 染 料 が 他 の も の に 移 る 現 象 を 移 染 と い う . 漂 白 剤 の 移 染 防 止 能 の 評 価 に お い て 移 染 の 原 因 と な る 染 料 の 物 質 収 支 を 求 め る こ と は 重 要 で あ り, そ の た め に 布 共 存 下 で の 漂 白 浴 中 の 染 料 の 分 解 量 お よ び 残 留 量, 布 へ の 染 料 の 移 染 量 の 定 量 は 必 要 不 可 欠 で あ る. こ の 場 合, 残 浴 定 量 で 得 ら れ. た 染 料 残 留 量 と 染 料 初 濃 度 と の 差 は, 分 解 量 と 移 染 量 の 合 計 値 と な る た め, 移 染 量 す な わ ち 布 中 の 染 料 濃 度 が 定 量 で き な く て は,. 分 解 量 を 求 め る こ と は で き な い. (. 5. ).

(7) . . 164. 森 田 みゆき・小 松 恵美子・伊 藤 理 恵. 移染を防止する新しい酵素系漂白剤と して, 我々は, HI建と過酸化水素を用いるオレンジn退色反応が, ) そこで HI荘’法移染防止能における緩 白布へのオレンジ=移染防止に有効であることを既に報告した5 + , 衝液の種類がオレンジ亘の物質収支に及ぼす影響について検討するため, 吸光光度法による布中のオレンジ ロ直接定量法を応用した. オレンジ亘の移染量は, 移染布の吸光度を測定することによっ てF i g‐5に示した 検量線から布へ移染した染料濃度を定量して求めた. 緩衝液を変えた場合のオレンジロの分解量および残留 量, 布への移染量の定量結果をF カリ条件になるに従っ て移染量が減少し分解量 i g‐6に示す. どちらもアル、 が増加したが, どのpHにおいてもTns‐塩酸緩衝液の方がCa r ・ nody緩衝液よりも移染量が少ない結果となっ た. 従来の染料抽出定量法では, 有機溶媒を使うため溶媒効果によって染料のスペクトルが変化する場合が あり極大吸収波長のシフトやモル吸光係数の変化が生じやすい. よって, 抽出条件に合わせてあらかじめそ れらを確認した上で検量線を引かなくてはならない・ . また, はやく染料の脱着平行に到達させるには数回抽 出を繰り返す必要があり, 定量操作は煩雑とならざるを得ない. その点, 今回確立した吸光度による直接定 量法では, 残浴と同じ波長で吸光度を測定するため反応条件と同じ条件下で検量線を作成できた. また1試 料で布の表裏に渡っ て複数箇所の測定が可能であったため十分な数の測定値によって棄却検定が行え, 数値 の信頼性が高まった. また, 布を風乾後す ぐに測定できたことも加え, 抽出定量に比べて非常に簡便かつ正 確に移染量を定量することができた. この結果は視感による移染量の判定とも一致した.. 100“ こ;-「--一一 y. FI L‐ F 十 十 十 十 十 F十 十 十 十 I 十 十十十 L『” ” “ = …. . 60も. 卿. Degr i t ada on i Mi t on 9ra. - -. ポ \ロ①◎こ餌」 ○ も こoB 巴亡砺る≦. ′/. /. Mi i t r a on g. =. 20- 読 前言も 礼 ド ぶ 一. \ --‐r1. 。一 ぬ 7 .O. 20. 。総帥e. 8 O .. 7 0 .. 9 O . PH. Tr i s‐HC1buHer. 8 .0. 9 O .. Car f f r nodybu er. F ig. l 6 Eほectofbほぼerso t l i lba l for細1gel l i li th Ny u誼onont e mat er a a l l ceo nbl eac嵐山gsyst em wi abr c onf . 5 M [HRP ‐ Cond i霞ons:[or oxlo 4xlぴ7 M,[H202 5xl04 M,五quorraho=1:50 ]=3 1=7 2mge u]=5 ‐ ‐ . . ,. 4. 結. 言. 染色布の吸光度を直接測定することによって染色布中の微量染料を定量する方法を確立するために, 染色 残浴による定量と染色布からの染料の抽出定量を行い, 染色布の吸光度との相関を調べた. オレンジロ染色 ナイロン布で検討を行った結果, 残浴定量濃度と抽出定量濃度はともに染色布の吸光度と良い相関を示し, その回帰直線はほぼ一致した. よって, 染色布の吸光度に対してその残浴定量濃度をプロッ トした検量線を 作成することによって, 布に染着した微量染料の簡便な定量が可能であることが明らかとなった. つぎに,. 染色布の検量線を作成し, 酵素系漂白剤の移染防止能に及ぼす緩衝液の影響を調べるために染料の物質収支 (6).

(8) . Y易 疋 量・ 吸光光度法による 中微量 ^の〉 吸光光度法による布中微量染料の簡易定量法 ・. を求めた. その結果, 簡便に移染量を定量することができた.. 参考文献 1995 ) 1) 矢部章彦, 林雅子, 「新 版染色概説」 , 光生館( , p‐197 ) 2) 浦畑育夫, 「測色 による 色彩管理の知識」 1987 , p.50 , 関西衣生活研究会(. 2 4( 1 9 9 6 ) 3) 吉村由利香, 村田夏美, 浮田和也, 上田充夫, 繊維学会誌,5 ,7 4) 日本分析化学会北海道支部編, 「新分析化学実験」 4 6 化学同人 ( 1 9 8 9 ) p , ‐, 5) 森田みゆき, 小松恵美子, 上舘民夫, 渡辺魔人, 繊維学会誌,5 3 8 9( 1 9 9 7 ) ,2. (7). 165.

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