接辞についての研究
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(2) 接辞についての研究. ︼H口次. 第一章 接辞の認定について ・. 接辞の基本的概念と分類. ・。・・⋮3. ・ ● ・ ﹁⊥. !. 第一節. 接頭辞とその分類 ・・. はじめに. 第二節. 接尾辞とその分類 ・・. 30. 24. 23. 22. 20. ・ ・⋮ 11. 第三節. 第二章 江戸時代後期の接辞の使用状況について 一﹃浮世風呂﹄ を中心に一. 第一節 ﹃浮世風呂﹄の国語資料性について ・・・・・⋮ 第二節 登場人物と接辞の使用の頻度・種類について ・・:. 第三節 登場人物と接辞の関係について ・・・・・・・⋮ 第一項 接辞と男女差との関係について ・・・・・・・⋮. 第二項接辞と年齢差との関係について ・・・・・・・⋮.
(3) 回四節. 第五潮. 第四項. 第三項. まとめ ・・・・・・・・・・・⋮. 接辞とその他の要因との関係について. 接辞と出身差との関係について ⋮. 接辞と階層差との関係について ⋮. 第三章 接辞を使用した表現の背景について. 形容詞・形容動詞に上程する接頭辞の種類と⋮機能. ﹃浮世風呂﹄に見られる動詞接頭辞の種類と⋮機能. 第二節. 強調・整調を表す接頭辞の特性 ・・・・・⋮. 第一節. 第三節. おわりに. 資料編. ﹃浮世風呂﹄に使用されている接辞用例一覧. ﹃浮世風呂﹄登場人物使用接辞一覧 ・⋮. 一国語辞典による接辞の認定比較 ・・・⋮ 二 三. 33. 39. 40. 41. 43. 55. 61. 64. 1. 19. 35.
(4) はじめに. 日本語の文法を扱う際、諸説が分れるものの一つとして﹁接辞﹂が挙げられる。接辞そのものについては、古. くからその存在が知られており、現代もまたさまざまな形をとりながら、その機能を果たしているが、文法的分 類上では必ずしも一定していないのが現状である。そこで、現代語における接辞の成立過程とその機能を明らか にするためにも、現代語の基礎となった江戸時代後期の接辞使用の実態を明らかにする必要があると思われる。 江戸時代後期の資料は多いが、接辞はその性格上、口語資料に多く現れることが予想される。さらに当時の各言 語位相を含む資料となれば、こうした条件を網羅した資料は少ないとい・つことになるが、﹃浮世風呂﹄という作 品がその条件を満たしている。そこで本稿では、第一章において対象とする接辞の認定について触れ、第二章で は江戸時代後期の言語生活を、最もよく写実的にとらえたとされる式亭三馬の﹃浮世風呂﹄を資料として、そこ に現れるすべての接辞を考察の対象とし、さまざまな観点からその特色を明らかにしたいと思う。また、第三章 では、そのうち特に、用言を下接する接頭辞をとりあげ、その機能を明らかにしょうとするものである。. 笛即一立早 接辞の基本的概念と分類 第一節 接辞の認定について. 日本語の文を構成する成分のうち、意味を有する最小の単位として接辞が挙げられる︵注1︶。接辞は大きく 分けると、語基の前につくか後につくかによって、 ﹁接頭辞﹂ ﹁接尾辞﹂の二つに分けることができる。この認 識については、どの文法学説においてもほぼ同じであるといえるが、阪倉篤義氏が﹁接尾語や接頭語については、. その考へ方が、人によって、はなはだまちまちである。その概念も、なほ明確には規定されてをらず、したがっ てまた、これに属するものとしてあげられる語も、まったく一定してみない。﹂ ︵注2︶と述べているように、 その内容や用語すらも決まったものがない。そこで、本稿では﹁辞﹂という表現に統一し、 ﹁接頭辞﹂ ﹁接尾辞﹂. 1.
(5) という表現を用いることにした。なお、現在、如何に認定の基準に差があるかを見るため、現在刊行されている 四種の国語辞典から、 ﹁接頭辞﹂ ﹁接尾辞﹂と明記されているものを抜き出し、それを一覧表にして示したもの が、資料一である。. 接辞は、単語の下位要素としての認識が強いが、その文法的位置付けについては不明確である。特に接辞と付 属語との関連について、その傾向が顕著である。橋本文法や学校文法で、助動詞とされている語についても、接 辞との違いは明確ではない。橋本進吉自身もその違いについて、 ﹁その附き方が自由で規則的である﹂という観 点から区別しており、 ﹁困者の別が根本的のものでなく、むしろ程度の差に過ぎない﹂ ︵注3︶と述べているの である。実際、はっきりと区別することは難しいが、その難しさの原因の一つとして、 ﹁接辞﹂と﹁語﹂との連. 続性が挙げられる︵注4︶。この連続性の解釈等により、違った角度の観点で接辞を扱うため、接辞の基準が大 きく違ってきているのである。 ことばには﹁知識﹂と﹁感性﹂の両面があり、 ﹁単語﹂は知識側に属するといえる。しかし、その単語だけで は、またはその単語を使った表現だけでは話し手の思いを強く訴えることができない。その思いを強調するため には、たとえばその単語の発音の強弱によるとか、単語ではない他の成分をつけることによって、その単語を強 めるなど、 ﹁感性﹂の力を借りなければいけなくなる。接辞はそうした﹁感性﹂とい・つ背景を基に発達してきた ものであると考えられる。. また、かつて単語であったものが、接辞となることもあるが、そうした接辞は、その形や機能から見て、完全. に本来の意味を失ったものと、まだ有しているものとの二つに大別される。しかし、これらも決して白か黒かの ようにはっきりと分れているのではなく、虹の色のように連続的であることは前述の指摘の通りである。 接辞は、その成り立ちの経緯から、いくつかに分類することができると考えられる。私は、その成り立ちを次 の三種に大別して考えている。. ①日本語の語義を豊かにするために、ほとんど自然発生的に成立したもの ②すでに単語として使用されていたものが、次第にその自立性を失い、他の単語の意味を補助するようになつ て成立したもの. 2.
(6) ③漢語に由来し、その意味を保ちながらも、日本語として成立したもの. ①は、いわゆる和語として、奈良・平安時代より継承されているものであり、 ﹁やはらかし ﹁ゆるやか﹂の ﹁らか﹂ ﹁やか﹂、 ﹁一つ﹂ ﹁二つ﹂の﹁つ﹂などがそれである。これらの接辞は、出自の語が求められにくく. なっている場合が多い。 ②は、﹁ぶっとばす﹂の﹁ぶつ﹂、 ﹁犬死に﹂﹁犬侍﹂の﹁いぬ﹂などのように、本来は動詞または名詞など、 自立語であったものが、複合語的に用いられていくうちに、次第にその自立性を失っていき、接辞としての性格 を強めていったと考えられるものである。 ③は、﹁不可能﹂の﹁不﹂、 ﹁無意味﹂の﹁無﹂、コ人﹂の﹁人﹂、 ﹁三里﹂の﹁里﹂など、出自が漢語と 考えられる接辞であり、今や日本語の打消しや助数詞としての働きを担っている接辞である。 このようなさまざまな成り立ちの経緯を持ちながら、接辞は日本人の言語生活になくてはならない重要な位置 を占めてきているのである。 以下、接頭辞・接尾辞について基本的概念と分類、及び本稿での基準について触れることにする。. 第二節 接頭辞とその分類. 接頭辞または接頭語は、西欧文法の等①津×を訳したものであるが、その概念を日本語にあてはめたとき、接頭 辞の文法的位置付けについては、人によって違い、どんな語が接頭辞にあたるのかということについて、さまざ まな例を挙げている。ここでは橋本、時枝、松下という三者の違った文法的解釈の上に立つ人々の用例を対比さ せてみたいと思う。まず、橋本は﹃国語法要説﹄において、 ﹁お﹂ ﹁ご﹂ ﹁み﹂を例として出し、 ﹁決して、他 の語の如く単凋にあらはれることなく、常に他の語に附着して、之に或意味を附加するものである。之を接鮮と 云ひ、他の前に附くのを接頭鮮﹂ ︵一五頁︶とい・つ簡単な説明を加えている。時枝は﹃日本文法口語篇﹄におい. て、 ﹁す﹂ ﹁お﹂ ﹁ま﹂ ﹁こ﹂ ﹁ひく﹂ ﹁ぶつ﹂ ﹁不﹂ ﹁無﹂ ﹁御﹂ ﹁全﹂を例として出し、 ﹁明治以後新しく. 加へられた文法學上の名目であって、猫立した一語としての機能を持たない造語成分を云ふ﹂ ︵一二七頁︶と説. 3.
(7) 明をしている。時枝の説で注目すべきところは、接辞は﹁本來、塗立した一語と認められるものもあり、かつそ れだけで一定の意味を有するものであるから、これがついて出來た語は、複合語と認むべきものである。﹂ ︵一 二七頁︶としたところにあると思われる。この﹁本來、戸立した一語﹂という考え方に重点をおいているのが、. 松下の考えである。松下は﹃改撰標準日本文法﹄において、接頭辞を原辞去の中に位置付け、 ﹁お﹂ ﹁ご﹂ ﹁み﹂. ﹁おん﹂を頭助辞、 ﹁初﹂ ﹁新﹂ ﹁さ﹂ ﹁小﹂ ﹁深﹂ ﹁真﹂を接頭辞、 ﹁不﹂ ﹁未﹂ ﹁非﹂は形式不熟辞として. 文法体系表の中に組み込んでいる。しかし、示された例を見て気づくようにそれぞれの接辞の文法的な解釈は違 っても、例として挙げられている接頭辞には大差がない。つまり接頭辞は、文法的に分類された枠は違っても、 三者ともに同じような働きを認めているとい・つことになる。従って、このよ・つな接辞の分類の違いは、どこまで を接辞とするかという違いであるといえる。 次に接頭辞の具体的な分類について触れるが、何を基準として分類するかによって、さまざまな分類が可能で あることはいうまでもない。その一例として、町博光氏、江端義夫氏、大橋勝男氏による接頭辞の分類を挙げる ︵注5︶。. 町氏は接頭辞を下接する語の品詞に着目し、次のように分類している。 ︵ ︶は用例である。 動詞接頭辞−[A動詞出自と考えられるもの ︵冨ρ張 張りつまる︶Bオノマトペ出自と考えられるもの ︵冒ρ くっ付く︶. 形容詞接頭辞 ︵目嘗帥生 生青さ︶. 一辞団雛難舘⋮楼 江端氏は接頭辞を働きに着目し、次のように分類している。 ︵ ︶は用例である。. 4.
(8) ︵御︶. いわゆる接頭助数詞としての接辞 ︵第︶. 意義添加の接辞漏辮 ︵荒 不︶. ︵大 中 小︶. ブン︶. 大橋氏は接頭辞の効果に着目し、次のように分類している。 ︵ ︶は用例である。 第一類 音的効果本位の接頭辞 ︵ケッ カッ ヒン 第二類 意義的効果本位の接頭辞 ︵御 大 馬鹿︶. 以上の分類は、いずれも優れた分類法であるが、それぞれに一長一短あると思われ、こうした先学の考え方を 考慮に入れながらも、接辞を扱うにあたっては、私なりの接辞の分類・認定をしなければならないと考える。 前述のよ・つに、接頭辞の分類には、何を基準とするかでさまざまな分類法が考えられるが、まず、下接する語 との密着度を基準とする観点からの分類を考えると、接頭辞と下接する語基とが切り離すことができるか、でき ないかという点で大きく二つに分けられ、できる場合でも、切り離しが簡単にできるのか、かろうじてできるの かという点で、さらに二つに分類できると思われる。従って次のような分類が考えられる。 ︵ ︶は用例であり、 傍線部が接頭辞であることを示す。. ︵おとうさん︶. 5.
(9) ﹁簡単に切り離しできるもの. しかし、密着度を基準とした分類の場合、大雑把な分類となり、それぞれの接辞の特色が出しにくいという欠 点がある。. 次に考えられる分類の観点としては、新編と同じく、下翼語基による分類が考えられる。そして次のような四. ︵ごゆっくり おゆるりと 等︶. ︵ご懇切 お静か 等︶. ︵お心 おん身 み仏 ご本 犬死 ど根性 等︶ ︵ぶっとばす たばかる さまよう お帰り 等︶ ︵ほの暗い いけずうずうしい ものさびしい お美しい 訓細い等︶. つの分類を試みた。 ︵ ︶は用例であり、傍線部が接頭辞であることを示す。. 名詞を下接 動詞を下接 形容詞を下接 形容動詞を下接 副詞を下接. しかし、 ﹁お﹂ ﹁ご﹂のよ・つに複数の項目にわたって該当するものがあり、絞りきれていない感がある。. 等︶. そこで接頭辞にはさまざまな意味や働きを持つものがあることに着目し、江端氏と同じく、働きに重点を置い て分類すると、大きく二つに分類できる。一つは話し手の敬意や強調といった﹁意図を増幅して相手に伝える働 き﹂であり、もう一つは否定や下接する語の状態を表す等、 ﹁意味を補足する働き﹂である。そしてそれぞれの 働きに該当する接辞は、その表す意味によってさらにいくつかのグループに分れると考えられる。そこで今度は 接頭辞の表す意味を基準として分類を試み、次の四つに分類した。 ︵ ︶は用例であり、傍線部が接頭辞である ことを示す。. 意図を増幅して相手に伝える働き ①敬意を表すもの ︵お年寄り・ご親切・おみ足等︶ ②強調・整調を表すもの ︵うち泣く・かっ飛ばす・小娘. 6.
(10) 意味を補足する働き ③否定・打消を表すもの ④その他の意味を表すもの. ︵不必要・不用心・無風流・未分化・非常識等︶ ︵新発売・初雪・大好き・もの珍しい 等︶. このうち﹁お﹂ ﹁ご﹂ ﹁うち﹂ ﹁もの﹂など、古くから用いられている接頭辞で、現在でも十分その役割をは たしているものも多くあることから、接頭辞はあまり史的変化を受けない性格を持っていると考えられる。この ことに関しては、接辞が文構成の最小の単位であり、しかも広く多種の語につくため、単語の意味の歴史的変化 の影響を受けにくかったという理由が考えられる。以下、それぞれのグループについて補足説明を加える。 [敬意を表すもの]. 敬意を表す接頭辞のグループは実に古くからあり、主に﹁御﹂の字をあてている。 ﹁御﹂は下接する語によっ て読み方が違っており、基本的分類としては、 ﹁お﹂ ﹁おん﹂ ﹁おほん﹂ ﹁み﹂は和語系の語を下接し、 ﹁ぎょ﹂ ﹁ご﹂は漢語系の語を下接するとい・つ役割を担っている。しかし、例外的に﹁おじょうずだ︵上手︶﹂ ﹁おけい. こする︵稽古︶﹂など、 ﹁お﹂が漢語を下接した用例も存在する。この理由としては、漢語が和語並みに一般に 浸透してきたためであると考えられる。こうした﹁お﹂ ﹁ご﹂などの接頭辞を美称・敬称に分けるということも 敬語論の中では行われることもあるが︵注6︶、今回は接頭辞全体の分類であるので、敬意を表すものの中に一 括して含めている。 [ 強 調 ∵ 整 調 を表すもの]. 強調・整調を表す接辞も、さらにいくつかのグループに分けることができる。このグループの接頭辞は、かつ て単語であったものが多く、その単語の意味を大きく残している点で、複合語的要素がある。しかし、複合語の. うち、複合動詞は二つ以上の動作を連続して行う動詞である。たとえば﹁きりたおす﹂という複合動詞は、﹁き る﹂+﹁たおす﹂という連続の動作を表し、 ﹁まきちらす﹂は﹁まく﹂+﹁ちらす﹂という連続の動作を表す。 しかし、 ﹁ぶっころす﹂という語の﹁ぶつ﹂は、本来の﹁打つ﹂という意味をもはや有していない。その証拠に、. 7.
(11) ﹁ぶっころしてやる﹂といって、包丁で刺し殺したという例を新聞等の報道で見かけることがある。決して刺す. [押]. [打]. ︵かいくぐる・かきならす・かっとばす︶. ︵押しつける・おっかぶせる︶. ︵うち続く・うっ傾く・うん飲む︶. [突]. ︵ついくぐる・つき進む・つっぱしる・つんのめる︶ ︵ひき起こす・ひっぱたく・ひんまげる︶ ︵ぶちのめす・ぶったたく・ぶんなげる︶. [引] [打]. ︵真北・真っ正面・真ん中︶ ︵とち食らう・もの静か︶. [真]. [掻]. からと言って、 ﹁さっころしてやる﹂とはいわないだろう。このよ・つに本来の﹁ぶつ﹂という言葉の意味をはず れて、強調などのために使われる用法を持つことが接辞の条件であると考えている。言い換えれば、複合語的な 形をとり、単語的意味を残しながらも、単語ほどの動作になりえないもので、重点が後の語にある語が、接辞の ついた語であるといえる。出自となった単語の意味を中心に、グループに分けると、次のような分類になると思 われる。. うち・うつ・うん おし・おっ かい・かき・かっ つい・つき・つつ・ つん. ひき・ひつ・ひん ぷち・ぶつ・ぶん ま・まつ・まん その他. このように分類すると、語形の面から共通した点として、促音便形・搬音便形の語が多いことが注目される。 これは強調・整調を表す接辞になりきった後、さらに促音便形・撞音便形となることによって、より一層の強調 意識を高めようとする話し手の意識を表しているものと思われる。また、森岡健二氏はこのグループの接頭辞の 自立語的要素が、敬意を表す﹁お﹂などよリ強いことを重視して﹁準接辞﹂と名付けて区別することを提唱して いる︵注7︶。 [ 否 定 ・ 打 消 を表すもの]. この否定・打消を表す接辞は、他の接辞と比べてやや異質な性質を持っている。それはこのグループの接辞は ﹁無情だ﹂ ﹁不快だ﹂など、自立しえない語と結合して形容動詞の語幹を形成するという点にある。自立しえな. い語と結合するという点では﹁ほのめく﹂などの例があり、形容動詞の語幹を形成するという点では﹁まっしろ. 8.
(12) だ﹂ ﹁まっくろだ﹂等の例もあるが、自立しえない語と結合して、形容動詞の語幹を形成するとい・つ両方の点を 兼ねているものは他に例がない。従って、接辞として扱って良いのかという疑問が生じる。しかしまた、 ﹁﹃無 届け・不確か・未払い﹄のよ・つに、和語とも自由に結合できること、また後に述べるように、二字漢語の場合と は異なる機能を持つものがあることなどの点で、接辞とみてよい用法もある﹂ ︵注8︶という野村雅昭氏の指摘 があるように、接頭辞としての働きも有している。このグループの語は、下接した単語の持つ意味を否定化する. という点で﹁意味を補足する働き﹂であると思われる。従って、ここでは意昧による分類上、このグル⋮プの語 を﹁否定・打消を表す接辞﹂として扱うことにした。 [ そ の 他 の 意 味を表すもの]. 尊敬や強調や否定の接頭辞のようにグループをなさず、さまざまな意味を下接する単語に補足する働きを持つ 接頭辞を﹁その他の意味を表すもの﹂という一つのグループにまとめた。このグループに属する接辞には、 ﹁新﹂. ﹁大﹂ ﹁初﹂などの接頭辞があり、 ﹁新発売﹂ ﹁新顔﹂ ﹁大事件﹂ ﹁大好き﹂ ﹁初舞台﹂ ﹁初雪﹂など、漢語・. 和語の両語基を下接する。また、このグループに属するものが、単語的意味を強く有しているという点では、強 調・整調を表す接辞と同じであるが、強調・整調を表す接辞が、もとの意味をほとんど失っているのに対し、こ ちらは強く残したままであるという点に違いがみられる。しかし、この両者は本来自立語であったという点で、 森岡健二氏はこのような自立語的要素を持つ接辞を﹁準接辞﹂と名付けて区別しているのである。森岡氏は﹁準 接辞﹂のうち、接頭辞にあたる例として次のような語を挙げている︵注9︶。. 和語系 うい︵初︶一 はつ︵初︶1,ひら︵平︶一 もろ︵諸︶1 ・つち・うっ︵打︶1 ぶち・ぶつ︵打︶i ひき. ・ひつ・ひん︵引︶一 おい・おっ・おん︵追︶1 おし・おっ︵押︶i. 漢語系 亜1 仮一 稀1 旧− 次− 小一 正i 重− 新− 全一 大−超− 半− 非一 被i 不一 復− 未一 無i 有− 外来語系 ノー ハイー オフー インー ミスー マイー タイi. 9.
(13) この﹁準接辞﹂として示された例の中には、私が﹁強調・整調を表すもの﹂として分類したものがふくまれて いる。また、漢語系として示された例の中には、二つの異なったものがあるように思われる。その二つの異なっ. たものとは、私の考えるところの﹁接辞﹂と﹁字音語素﹂である。 ﹁語素﹂とは、単語を構成する成分の総称で あり、 ﹁接辞﹂や﹁字音語素﹂も﹁語素﹂の一つである。そのうち﹁字音語素﹂とは、漢語を構成する成分のこ とを示し、例としては﹁亜熱帯﹂ ﹁全日本﹂ ﹁超高層﹂などが挙げられる。 ﹁接辞﹂と﹁字音語素﹂は、何を基 準として分類するかという問題があるが、私はこの基準と穿て、下接する語の語種によって区別することにした。 ﹁字音語素﹂は漢語を構成する語素である。従って、その点では﹁新発売﹂ ﹁大混乱﹂など、私が接辞と考える ﹁新﹂ ﹁大﹂ ﹁初﹂なども﹁字音語素﹂であるともいえる。しかし、これらのものはまた、先に挙げた例のよう. に﹁新顔﹂ ﹁大好き﹂ ﹁初雪﹂など和語をも下接することができ、和語語素と漢語語素の二面性を持っている点 で、漢語しか下接しない﹁亜﹂ ﹁全﹂ ﹁超﹂などの﹁字音語素﹂とは、少し性格を異にしているといえる。この 点を重視し、私は今回このような二面性を持つもの、つまり和語をも下接するというものは接頭辞として認定す ることにした。 [接頭辞の認定基準]. 単独では用いられないもの 意味・用法を中心とした分類を基準とし、単語の前について話し手の意図の増幅・補足を行う働きを. 以上のような考えから私は接頭辞を、次のいずれかの性格を持つものと設定した。 1. 2. もつもの 3 自立語的意味を失ったもの. 4 自立語的意味を残している語素のうち、和語を添接できるもの. この基準を先の分類にあてはめてみると、①の敬意を表すものは一と2、②の強調・整調を表すものは一と2 と3、③の否定・打消を表すものは一と2と4、④のその他の意味をあらわすものは一と2と4の基準に該当す. 1. 0.
(14) ることになる。. 第三節 接尾辞とその分類. 行き たい. 図2. 図團学校. 行きたい. 接尾辞または接尾語もまたさまざまな考え方があり、接頭辞以上に一定していないのが現状である。接頭辞と 同じく、橋本・時枝・松下の三者の接尾辞のとらえかたについて触れることからはじめる。まず、橋本は接尾辞 を助詞・助動詞と区別するところがらはじめ、結論としては、 ﹃国語法要説﹄において、第一の基準として﹁接 尾辞の有無によって承ける文節との関係がかはるのは、一般に接尾辞においては珍しくないことであって、之に 対して多くの助動詞においては、それが附いた為に、附いた語の他の文節を承ける関係をかへる事無﹂ ︵八○頁︶ いことを挙げ、その基準に漏れた語のうち、 ﹁どんな語にも自由に規則的に附くかどうか﹂ ︵入一頁︶という点 を第二の基準として助動詞を認定している。もちろん、橋本自身もそのあいまいさについては﹁両者の別が根本 的のものでなく、むしろ程度の差に過ぎない﹂ ︵二一頁︶と述べている。 時枝は、接尾辞の基準を接続や文節の関係に求めず、 ﹁詞﹂と﹁辞﹂の関係ととらえ、 ﹃日本文法口語篇﹄の 中で﹁国語の接尾語は、機能上、単語内部の要素と考へるよりも一語として取扱ふ方が適切である﹂ ︵一二入頁︶ と見て、皇尊性格を持つものであるとした。従って接尾語は﹁陳述性﹂を持たないものであると考え、辞である 助動詞とはっきり区別している。時枝の考えでは﹁れる・られる﹂や﹁たい﹂は接尾語となるが、その理由とし ては﹁れる・られる﹂ ﹁たい﹂という内容は、助動詞として導かれるものではなく、一単語として有する内容だ と考えるからである。 図!. 図團学校. 1 1.
(15) 右の例は私の作った例文を、時枝の考え方により図式化したものである。図1は﹁たい﹂を助動詞と考えた場 合の図である。 ﹁たい﹂は動詞﹁行く﹂の入れ子の外にあり、僕という動作主体に対する述語は﹁行く﹂である。 しかし、時枝は、図2のように述語中心主義的立場から、 ﹁たい﹂を接尾語として﹁行きたい﹂という一語に扱. い、僕という動作主体に対する述語は﹁行きたい﹂であるとするのである。時枝はこのよ・つな考えのもとで次の 用例を接尾語として示している。. 髄言的接尾語 云ひたげ あなたがた 泳ぎかた 訪ねがてら 寒さ 山下さま 悲しさうな顔 立ちし な 君たち 泥だらけ 私ども 讃みて 軒なみ 皮ながら あかみ 三番め 枕もと 書きやう わか らずや 曲った 職域 一年間 能率化 世界観 東海道線 政治家然 用言的接尾語 寒がる おしつけがましい 凄みがたい 食べきる 赤い 受けさせる 老人じみる あ るかす きはだつ 動きだす 見たがる 見たい 物心づく 行きつける 山なす大波 汗ばむ 大人ぶ る 春めく 男らしい 叱られる. 従って一番橋本文法と違う点は、﹁受身・使役・願望﹂を表すものを助動詞とせず、接尾辞としたところにあ ることになる。もう一例この時枝の論でいうと、たとえば﹁猫が餌を食べる﹂という文の場合、 ﹁食べる﹂とい う動作を行ったのは﹁猫﹂であり、これを受身文に変えると﹁猫が餌を食べられる﹂となる。すると、 ﹁食べる﹂ という動作を行ったのは、その猫以外のものとい・つことになり、 ﹁食べる﹂の承ける文節との関係が変化し、橋 本のいう第一の基準からはずれたものとなる。これに対し、時枝は、猫という主体は﹁食べる﹂ではなく、むし ろ﹁られる﹂の方と呼応していると考え、 ﹁食べられる﹂という一つの詞との掛り受けを重視して、橋本文法の 問題点を解決している。それゆえ﹁受身・使役・願望﹂を表すものが接尾辞として処理されることになる。私は この考えを受けて、 ﹁受身・使役・願望﹂を表すものは接尾辞として処理することにした。 また、松下は独自の分類をたてて、接尾辞を文法的に位置付けようと試みている。松下は接尾辞を、助辞の下 位項目におき、一般性のあるものを助辞とし、特殊性のあるものを接辞として処理している。従って、橋本・時 枝の文法理論では晶詞一覧表に組み込むことができなかった接辞を、松下文法では組み込んでいるところが特色. 2 1.
(16) であるといえる。しかし、松下は原出面と並行して再論を示しており、その無論の中でもまた、見方をかえて接 辞を分類している。そのため、同じ接辞が数箇所で位置付けられることになり、一貫性に欠ける感があるので、 今回は松下文法にはよらないことにした。 なお、日本には助数詞が発達しており、実にさまざまな種類のものがある。これらの助数詞は文法上は、語素 として扱われており、ここでは接尾辞の一つとして処理することにした。 [接尾辞の分類]. 接尾辞もまた、さまざまな観点からの分類が考えられる。以下いくつかの観点からの分類を試みる。上接皇基. ︵さわやか ほのめく 等︶. ︵少しつつ 等︶. ︵あだめく をこめく 等︶. ︵水っぽい 橋本さん あなたがた 汗ばむ 春めく 等︶ ︵行きかねる 食べたがる 等︶ ︵うれしがる 暑さ 深み 古めく 等︶. の品詞に重点をおいて分類すると次のようになる。 ︵ ︶は用例であり、傍線部が接尾辞であることを示す。 名詞につくもの 動詞につくもの 形容詞につくもの 形容動詞につくもの 副詞につくもの 語根につくもの. ︵田舎じみる 等︶. ︵悲しがる 涙ぐむ 春めく 行きかかる 等︶. しかし、上接細砂の品詞で分類すれば、 ﹁めく﹂のように多くの品詞を上接する接尾辞が位置付けられにくい という欠点が考えられる。 接尾辞が接頭辞と大きく違う点は、接尾辞には活用を持つ語が存在することである。そこで、活用の有無に重 点をおいて分類すると次のようになる。 ︵ ︶は用例であり、傍線部が接尾辞であることを示す。 活用するもの. 四段活用 上一段活用. 3 1.
(17) 活用しないもの. 甲轟ぱ騰輪舞等︶ ︵一枚 田中様 子供たち 灰だらけ 鬼ごっこ. 等︶. ︵二つ 五人 岡田君 三つめ 朝っぱら 君たち 等︶. この分類は接尾辞だけの特徴をとらえた分類であるが、実は接尾辞全体の一部しか活用するものが存在しない ので、活用するものの方は比較的細かな分類になるが、活用しないものの方は大雑把な分類となり、あまり適切 な分類法であるとはいいがたいと考えられる。 次に、接尾辞の特色の一つとして、他の品詞に転成させる働きを持つものがあることが挙げられる。そこで、 品詞転成能力の有無に重点をおいて分類すると次のようになる。 ︵ ︶は用例であり、傍線部が接尾辞であるこ とを示す。. 品詞転成しないもの. 売れっ子等︶. ーー耐難難墾辮難騨蜥羅. この分類も接尾辞だけの特徴をとらえた分類であるが、品詞転成するものは接尾辞全体のほんの一部でしかな い。従って、品詞転成するものの方は、比較的細かな分類になるが、品詞転成しないものの方は、大雑把な分類 となり、これもあまり適切な分類法であるとはいいがたいと考えられる。 このようにさまざまな観点からの分類が可能ではあるが、全体を分類するものとしてはいずれも不十分である。 そこで、ここでは接頭辞の分類の基準に合せ、意味・用法を中心とした分類を行うことにした。その分類項目は. 1. 4.
(18) いて補足説明を加える。. 次 の と お り で あ る。 ︵. 馬鹿め 等︶. ︶は用例であり、傍線部が接尾辞であることを示す。また、以下にそれぞれの項目につ. 意図を増幅して相手に伝える働き. ①敬意・卑意を表すもの ︵神様山田君花子ちゃん私ども ②強調・整調を表すもの ︵朝っぱらいきなり三宝等︶ 意味を補足する働き. ︵一本二足三劉四粒五台六羽七匹等︶. ③複数を表すもの ︵あなたがたきみたちおまえら等︶. ④助数詞 . ⑤その他の意味を表すもの ︵血だらけ 一つずつ 等︶ それ以外の働き. ⑥他の品詞に転成するもの︵春めく寒副言いたげ等︶. [敬意・卑意を表すもの] このグループの接尾辞が接頭辞と大きく違う点は、接頭辞に比べると複雑な構造を持っていることである。そ の構造の一つは、相手を卑しめる卑意に関するものを含んでいる点である。 ﹁馬鹿め﹂の﹁め﹂等が該当する。 もう一つの違う点は、敬意を表す場合、接頭辞は尊敬・丁寧の意を表す用法しかないのに対し、接尾辞は尊敬・ 丁寧を表す用法と、謙譲を表す用法の二種があるという点である。たとえば、 ﹁さま﹂ ﹁さん﹂ ﹁どの﹂等のも のは尊敬・丁寧を表す接尾辞であり、隔私ども﹂ ﹁私ら﹂というものは謙譲を表す接尾辞であるといえる。さら. 上接する語の品. に相手に対する敬意の高さや使用者の性別によって使用される接尾辞が違・つと考えられるため、その構造は実に 複雑なものであるといえる。 [ 強 調 ・ 整 調を表すもの]. このグループの接尾辞は該当するものが少なく、強調・整調ともに数動ずつしか見当らない。. 5 1.
(19) 詞は強調の場合、名詞︵朝っぱら︶、動詞︵黙りこくる︶、形容動詞の語幹︵いきなり三宝︶であり、整調の場 合は、名詞︵娘っこ︶、動詞︵駆けっこ︶、助動詞︵逢はずまに︶の用例がある。接頭辞における強調・整調を 表すものがよく使用されるのに対し、接尾辞のそれは種類も少なく、使用頻度も低い。それは何に起因するのか という問題については、先に見たように、上接または下接する語の品詞について考察する必要があると思われる。. たとえば、接頭辞の場合、下接するものは﹁・つち笑う﹂ ﹁ぶっとばす﹂ ﹁ひんまげる﹂等、用言である場合が圧. 倒的に多く、用言以外の語を下接する例は﹁しみ真実﹂ ﹁まつ最中﹂ ﹁まん中﹂等のわずかなものしかない。そ れに比べて接尾辞の場合、用言に下接する例はきわめて少なく、用言以外に下接する例もまた少ない。言い換え れば、動詞接辞の場合、動詞の内容・状態を強調するのは、動詞接頭辞で十分事足りていることになる。しかし ながら動詞接尾辞のついた例の存在理由を考える必要がある。そこで﹁黙りこくる﹂という動詞接尾辞のついた 表現を例にとると、動詞接頭辞では表しきれない用法を持っていると考えるのが妥当ではないかと思われる。そ の動詞接頭辞では表しきれない用法とは、 ﹁動作の継続﹂であると考えられる。つまり﹁黙りこくる﹂という表 現は﹁黙る﹂という動詞の状態を強調したものではなく、 ﹁黙る﹂とい・つ動作の継続を強調した表現であると考 えられるのである。従ってかなり限定された用法であるため、動詞接頭辞に比べて数が少なくなっているのでは ないかと考えている。 [複数を表すもの]. このグループに属するものの多くが、複数を表すときに思置の意識を伴うということが特徴である。この敬卑. あいつ. ○. がた たち ども ○. ○. ○. ら. の意識は上覧する人称にかかわる語によって決定する。 ﹁がた﹂ ﹁たち﹂ ﹁ども﹂ ﹁ら﹂という接尾辞が、どの. ら. ○ ○ ○. 三人称 あの方 彼. ような上接語と対応するかということについて内省し、次の表にまとめた。 が た たち ど も ○. 一人称. 私. ○. ○. 僕 俺. 6 1.
(20) がた たち ども. ○ ○. ら. ○ ○. ○. ○. ○. ○. ○. 一般名詞 男. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○○. ○. 山田君 馬鹿者 諸君 先生 虫けら. 二人称 あなたさま おまえさん あなた あんた 貴殿 貴兄 貴君. ○. 君. おまえ 貴様 うぬ. ら. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. がた たち ども. ○. このように見てみると﹁がた﹂は二人称・三人称・一般名詞共に敬意を払うべき対象の語に下接し、 ﹁たち﹂ と﹁ら﹂が多くの語に下接する。 ﹁たち﹂と﹁ら﹂の使用の違いは、 ﹁ら﹂の方にはやや卑意が含まれていると いう点にある。﹁ども﹂は卑しめるべき対象の語に下接する。従って使用範囲は狭い。さらに﹁ども﹂は一人称 の﹁私﹂などにつく場合、自分自身を卑しめて、相手に敬意を払おうとする思いが込められることになり、複数 としての意味が薄れ、敬意を表す接辞の性格を強めているといえよう。従って﹁私ども﹂は﹁敬意・卑意を表す もの﹂で処理することにした。 [助数詞]. 助数詞は単独で用いられることがなく、切り離してもその語基は本来の意味を有し続けることができる。 コ 本︵いっぽん︶﹂ ﹁二本︵にほん︶﹂ ﹁三本︵さんぽん︶﹂と、読みは変っても表すものは同じである。また、. 7 1.
(21) ﹁本数﹂という使い方はあっても、 ﹁本﹂だけで用いられることはない。 ﹁﹁つ﹂ ﹁一冊﹂ ﹁﹁枚﹂等の語は語. 形は違っても接尾辞を除けば、その語漏は二﹂という数の概念を表すことに変りがない。しかし、助数詞がつ くことによって、数詞を単なる数字から、背景を持った表現になることを補助していると考えられる。だからこ そ、日本語には数多くの助数詞が存在しているのである。しかし最近では、複雑になりすぎた助数詞の使用が、 ﹁一つ﹂等の表現に制限されつつあり、それでいてあまりさしつかえないというのも、助数詞が他の接尾辞と同 じく﹁意味を補足する働き﹂を持っていることによるからであると思われる。. [その他の意味をあらわすもの] 特に似通った性質を持ったグループを構成しない群である。単語に意味を添えて、その単語独自では表しえな い新しい意味内容を構成させる働きを持つ。従って、複合動詞や助動詞などの性格に近く、接辞の認定において 意見の分れるグループである。私はこのグループを﹁通りがかる﹂ ﹁走りかける﹂ ﹁わかりかねる﹂等の自立語. に近い意味を持つものと、 ﹁食べたい﹂ ﹁行きたがる﹂ ﹁受けさせる﹂等の助動詞に近い意味を持つもの、 ﹁家. ごと﹂ ﹁血だらけ﹂ 二つずつ﹂等助詞に近い意味を持つものの三種から成るグループであると考えている。自. 立語でないことは﹁かかる﹂ ﹁かける﹂ ﹁かねる﹂等は単独では使用されないことからも明らかであり、 ﹁たい﹂ ﹁たがる﹂ ﹁させる﹂等は上接する語だけに働きかけるものではなく文全体を包みこんだ表現性を有することか. ら助動詞と区別される。また、 ﹁ごと﹂ ﹁だらけ﹂ ﹁ずつ﹂等は助詞にはない表現性を添加することからも助詞 と区別される。. [他の品詞に転成するもの]. このグループの接尾辞はその意味からすると、 ﹁その他の意味をあらわすもの﹂のグループに入れるべきもの であるが、他の品詞に転成させる働きを持つという点で、別の項目を立てている。ここのグループの接尾辞は古. くから存在しており、和語の語彙を豊かにする活躍をしたようである。たとえば、 ﹁らか﹂ ﹁やか﹂ ﹁か﹂とい. う接尾辞を持つ語がどのようにして成立したかということについて関一雄氏が論考したものがある︵注10︶。こ れらはもはや一語として接尾辞のついた語であるということを感じさせないまでに我々のことばの中に浸透して. 8 1.
(22) いる。 る。. しかし、接尾辞の問題を取り上げるにあたっては、あえて切り離すことをしなければならないと考えてい. [接尾辞の認定基準]. もつもの. 単独では用いられないもの 意味・用法を中心とした分類を基準とし、単語の後について話し手の意図の増幅・補足を行う働きを. 以上のような考えから私は接尾辞を次のいずれかの性格を持つものと設定した。 1. 2. 3 働きの及ぶ範囲が一単語にとどまらないと考えられるもの 4 他の品詞に転成させる働きを持つもの. この基準をあてはめてみると、①の敬意を表すものは一と2、②の強調・整調を表すものは一と2と4、③の 複数を表すものは一と2、④の助数詞は一と2、⑤のその他の意味をあらわすものは一と2と3、⑥の他の品詞 に転成させるものは一と2と3と4の基準に該当することになる。. 以上、私なりに接頭辞・接尾辞についてその分類と認定基準について考察してきた。第二章では江戸時代後期 の﹃浮世風呂﹄に見られる接辞を、この分類と認定基準に基づいて考察することにする。. ︵注1︶最小の単位を語素であるとする考え方もある。本稿は語素を、語の構成成分の総称であると考えている。 従って、接辞も語素の一つであるが、ここでは特に接辞に焦点をあてて考えている。 ︵注2︶阪倉篤義﹁接尾語の位置﹂ ︵﹃国語国文﹄三五巻五号 昭和四一年五月︶ ︵注3︶橋本進吉﹃国語法要説﹄ ︵岩波書店 一九七九︶ ︵注4︶注2に同じ. 1. 9.
(23) ︵注5︶町博光﹁与論島方言の接頭辞﹂ ︵﹃方言研究年報第三〇巻﹄ 和泉書院 一九入入︶ 江端義夫﹁農事語彙における方言接辞について﹂ ︵﹃方言研究年報第三〇巻﹄ 和泉書院 一九入八︶ 大橋勝男﹁方言に方言人の心理を見つめて一関東起方言に見られる語形成法1﹂ ︵﹃方言研究年報第二 六巻﹄ 和泉書院 一九入四︶ ︵注6︶敬語論における接頭辞の分類については、西田直敏﹃敬語﹄ ︵東京堂出版 一九入七︶に詳しい記載が ある。 ︵注7︶森岡健二﹁接辞と助辞﹂ ︵﹃日本語学﹄ 明治書院 一九明六︶. ︵注8︶野村雅昭﹁否定の接頭語﹁無・不・未・非﹂の用法︵﹃ことばの研究﹄4 国立国語研究所 一九七三 年︶ ︵注9︶注7に同じ. ﹃浮世風呂﹄を中心に一. ︵注10︶関一雄﹁平安時代の形容動詞語幹を作る接尾語一和文にみえる﹁らか﹂﹁やか﹂﹁か﹂を中心にi﹂ ︵﹃山口大学文学会誌﹄20 一九七〇︶. ﹃浮世風呂﹄の国語資料性について. 胱田即一一立早 江戸時代後期の接辞の使用状況について 第一節. 接辞は各時代において多種多様に使用されている。たとえば上代についていえば﹁い隠る﹂ ﹁や雲﹂などのよ. うに上代にのみ使用された接辞や、上代を中心に造語力を大いに発揮した接辞が数多くある。また、これらの接 辞は後に一語意識の下に使われて、接辞と語根とが切り離せなくなるものが多いのも、この時代の接辞の特色と いえよう。例としては﹁さまよう﹂ ﹁たなびく﹂など、動詞の構成成分となっているものが挙げられる。また、 ﹁すめらみこと﹂などのよ・つに特別なものもある。接辞が用いられた語は、密着度を中心に分類した場合、三つ. に大別できることは先に述べたとおりであるが、このうち接辞と語根とが切り離せない接辞が上代には多いよう. 0 2.
(24) である。こうした語は日本語の語構成の問題とも深く関わっており、日本語の語彙を豊かにしていくことに貢献 したと考えられる。. 平安時代では、接頭辞よりも接尾辞の方が造語力をより一層発達させていった。その理由としては、和語によ. る文学が発達した影響で、心情などの微妙な違いを説明せざるを得なくなり、既存の語の持つ意味ではその違い を表現しにくくなったためであると考えられる。例としては、 ﹁こまやか﹂ ﹁ゆるらか﹂などが挙げられる。上. 代の頃には、 ﹁や﹂ ﹁ら﹂ ﹁か﹂という一語ずつの接尾辞であったものが、 ﹁やか﹂ ﹁らか﹂などの新しい一語. の接尾辞を構成することによって、豊かで繊細な和語の世界を作り上げていったと指摘されている︵注1︶。 本章がこれから取り上げる近世、江戸時代も、接辞が大変多く使用された時代であるといえる。一般に江戸時 代は大きく二つの時期に分けることができるというのが通説である。つまり、前期の上方文化と後期の江戸文化 である。特に後期の江戸文化の時代のことばは現代語の基礎となっていったことばであり、非常に興味深いもの である。. 江戸時代後期、文化の中心は上方から文字どおり江戸へと移っていった。当然江戸の町には多くの人々が各地 方から流れ込み、さまざまな文化やことばが集っていたと考えられる。当時世界一の人口を有していたといわれ ているが、もちろんそこに住む人々のことばは一様ではなかったはずである。さらに江戸時代には身分制度が確 立しており、特に武士と町入とではことばが違っていたとされている︵注2︶。武士は漢語を多用し、また助動 詞なども文語助動詞を一部使用するなど、再入の言語生活とはかなり違っていた︵注3︶。 今回資料として取り上げたのは、町人の言語生活を写実的に描写したとされる、式亭三馬作﹃浮世風呂﹄ ︵新 日本古典文学体系86 岩波書店︶である。この﹃浮世風呂﹄は四編から成り、文化六年︵一入〇九︶に前編と 二編を、文化九年︵一八一二︶に三編、圏翌文化十年︵一入=二︶に四編が刊行されている。その名の示すごとく、 江戸の町の風呂屋での町人の会話を書いたものであり、量的にも十分であり、表記などにも三馬は独特の工夫を しているなど、江戸時代後期の念入の言語生活を知る貴重な資料である。もちろん、﹃浮世風呂﹄という文学作 品を口語資料として使用するには、その文芸性を十分に考慮する必要があるのはいうまでもない。しかし、完全. な文語によって書かれた文学作品とは趣を異にしており、三馬の執筆態度の違いも随所に見られることは重要で あると思われるので、資料とする次第である。なお、 ﹃浮世風呂﹄が出版された当時は数多くの出版物があり、. 1. 2.
(25) 人情本や洒落本をはじめ、同じジャンルの滑稽本でも十返舎一九の﹃東海道中膝栗毛﹄などの作品もある。しか し、作者の三馬自身が安永五年︵一七七六︶に江戸浅草の下町の町入の子としてうまれており、自分の話すこと ばを基に登場人物に現実性を持たせるため、言葉遣いなどに工夫したことが伺える点が﹃東海道中膝栗毛﹄とは 違い、 ﹃浮世風呂﹄の特色となっている。たとえば、 ﹁おとつ.ざん﹂の﹁ざ﹂は﹁ツァ﹂の音を表すものであり、 ﹁常のにごりうちたる外に白圏をうちたるは、いなかのなまり詞にて、おまへがわしがといふべきをおまへがわ. しがといへるがぎぐ螺︺の濁音としり給へ﹂と凡例の内に記している。また、 ﹁わしい国サ居たとき﹂ ︵三〇・. 五︶ ﹁大金もうけべい﹂ ︵=二・八︶などの関東地方のことばや、 ﹁へ﹀関東べいが、さいろくをぜへろくとけ. たいな詞つきじやなア。お慮外もおりよげへ。観音さまも、かんのんさま。なんのこっちやろな。さうだから斯 だからト、あのまア、からとはなんじゃエ﹂ ︵一〇四・一六︶と上方のことばなど江戸以外の地方のことばをも 忠実に書き記そうとしているのである。従って、江戸町人のことばをも比較的忠実に書いたものとして信頼のお ける資料だといえる。. このような理由により、 ﹃浮世風呂﹄は、過去さまざまな方面からの取り組みがなされている。しかし、接辞 という観点からこの作品に取り組んだ資料は見当らない。そこで、本章はこうした町人たちのことばの中から、 江戸時代後期の接辞の使用状況及び使用方法について論を進めて行くことにする。. 第二節 登場人物と接辞の使用の頻度・種類について. 登場人物と接辞の使用の頻度・種類について論ずるにあたり、次のような研究の方法に従い、用例を調査した。 まず、接辞を使用している登場人物に通し番号をつけることにより、一六六名を今回の調査の対象とすることを 確認した。次に、その登場人物を、性別、年齢、職業、出身地、階層の五項目について調査した。ただし、全員 についてこの五項目を作中から読み取ることは不可能であった。従って、年齢については作中において具体的に 記されている者及びおおよその年齢が読み取れる者についても対象とした。職業については作中より判断できる 者のみを対象とした。出身地についても同様で、江戸以外の出身の者のみを対象とし、江戸っ子または判断ので きない者やすっかり江戸のことばになっている者については対象から除外した。次にこれらの登場人物が、どの. 2 2.
(26) 牽曹. 用使. 9 8. 6. 7. 1. 12. 2. 41 1. 1 37 12 4. 119. 1 122 1. 1. 壬 1. 196. 溶 .ガ. 1. 3 旛 ε3 59 19 41 1 1 4. 363. 1 1 1. 5 44 22 3皿23. 1 5. 居隠. い. 1 3. 嫡茜. 方. 1. 人. 35 23. 1 1. 3 16. 32. 913. 1. 61. 12. 51. 239. 36. 1. 132 1 1 1. 1. 331. 入七. 1. 2. 60 方. 人用. 六五. 女下し出. 1. 21. 2. 門ヱ左. 1. 詠歌亭賭. 師頭譜 匡. 陥く. 1. 九. 872 1. 21. 舩. 門ヱも. 才 齢齢. 30. 131. 民ば. 1. み礎. 六. 人のば. 入鋤. 21. 吉み. 助. m. 人 人. 1 3. 1 3 1 2 1 1. 八. 間 人. 13 18 39 21. 齢. 賭占m. 賭剤. 門ヱ右. 人. 540 2 1 0023 14 721 盟14姐2 24 63 12 31. 2 2 0 1 6 34.2 5 4 2 0 1 1 4 0 0 2 3 3 1 3 4 2 2 1. 971 12 5 3 2 2 15. 10. 41. 12. 師儲. 入 田角. 1. 2501 15 20. 2367. 1 1. 39. 計11. 1 1 1 1. 助斑. 269715. 11. 捌ば二. 叡、. 312. 12. 22. 0. 91 8 7. 31 51 2. 23. 1. 2. 11. 7 11. 1. 1 2. 3. 2. 317373. 1. 齢. まさ訪. 20342. 6 2. 3 5 5 1. 31. 1. 4 20. 2. 3. 11. 5. 1. 39. 13. 1. 4. 1. 14 12 12. 1. 1. 2 1. 1. 83. 1. 3 12. 4. 齢. ▲まさ翻. ●まさ琢. 凹か獣. 人用 人用. ▲女. 人. ●る球. 21. 2. 2 3 1 2. 1 1. 79. 1. 1. 8. 1 1 2. 5 5 6. 241 2. 8 12 16 16 15 14 5. 3 34 2. 9821. 52. 46249 1 7 13 16 13 11. 1 1. 1!. 4. 1. 213. 22 23. 2. 四三. 人用 入用. 男のみく. りも. 人. 五四. ば・つ. 1 1. んさ譲. さ漉 D、. W西にく. 1. 1. 16. 捌ばり. 茄. 兄子の痴. 1. 13. r. りかばつ. 妹子の兵. 2. 9. 1. 2. 5. 977. 12 10. 1. 1 1 23 1. まさ吻. 者一. 九八. 猫. 者臨. 幻廓. 文濾. 44. 1. 者一. ね慰. 者一. こ痴. 一十か. きかち、. ▲まさ翻. 八七. る遣 な沁 ぼ洗. 5. 女のましど. 05. りかばつ. ん盤創切. あ. 1 1. 1. 16. 22. 5. 12 11. 1. 6. 1. 1. 1 3 3. 8 13 5 3 3 1 1. 2. 1. 63331 10 1. 2 1. 1. 1 1. 2 1. 846 14. 1. 3 8 35 13 12 12. 2. 22 33 1 2 6 1. 69 3 3 12. 1. 4. ●まさ翻. きかち叶. ▲まさ翻. きかち汁. 1. こ惚. 人用. ば・つ. 13. 13. 人のば. 246 1 1. 人朔. 八七. ばぼ な比. E. 入1. 助一. 1. 8 0 2 56 1 1. 50 15 22. 8. 七六. 15 49 22. 糊. め遣 す宙 ●浩 ▲隊. 中緻 中徽. 2. 33. 2. 8 6 9 5 5 5. 1. 10. 22. 2. 1. 238. 人用. 舩汕洲嫁. べ鋤 子弼 子も. 2338 7 1 95. 39 25. 6. 女下し出. /人用. 方. 38 24. かm. 鞍. ⋮⋮. 351 1 5 05422 5 1 63541. 10 14 10. 2. 95 7 13 12 17 19 10. m m皿旧鵬鵬m囎囎㎜皿旧鵬鵬塒鵬枷鵬㎜㎜職㎜鵬悩燭. こ斑. 1 0. 19. 32. 1. 2 1 9. 1. 1 1 1 1 1. 2. 2. 14 30 33 24 33. 1. 一十か. ●まさ琢. 仇埆. 1. 5. 1. 1 1. 2. 4. − .. 1 1 1. 342. 2. 1. 2. 2. 2. 1. 1 1. 3L 8. 3 32. 1 1. 2. 1 2. 13. 1 1 3 1. 87. 331 3 11 11. 1. 4 2 4 5 58 2 9 7 1 15 11 15 16 11 13. 1. 1 1 2. 0 5 37 1 16065 22 4 468 5 2 8 16 19 19 18 14 17 22 27 38 37 13 17. 63 14. 2 44 10. 12. 5. 24. 2222. 814. 1. 12. 5. 43. 1. 2 7 1 24 1 1 2. 3 3. 3424. 1403. 13. 1. 1 3. 11. 1. 1 2 1. 321 0 2 0 57. 2. 4 2. 者方. 、. 供. 1. 供. キ. 1 1 1 2 1. 人. 剋酒. 、. 2 1. か士. ひゑまな. 人. 一. 1. 四士. へ兵. 旦. 2 3. 校検夜. 艦. 31 1. 人のば. 2. み礎. 唄頭 頭. 都の. のの. 1. 1 3. IJ. 夫 晶. 者一. 捌ば一. あ遥. 1. 人用. E. 男協酬. 捌ば八. .一. 1. 人,. 1. 1. 2 1. 69. 1 3 1. ぢ. 女の方. 方. 10 24 31. 42 1 7. 叶. ぬい. 靴 切. る. 14且24 38. 1. 8 9 14 11 25 39 12 14 25 32 10. 8. 人主. 誌みかの騨. 彬 踊. 五四十. 41. 1 1. い液. 者幽↓. 73 5. み踏. 九入 九入. 者悲. 3 40 3 6 1 23 0 0 74. 4 10. 25. 親母の. 蔵 一. 24631492 532. 名撫供. .供 供. 1. 1 1 4 2 0 1 1 1 3 1 0 1 2 7 64 1 4 9. 1. 1. 入. みく. ﹂. 10. 1 12 1 0 1 1 1 2 10 1 13 1 2 1 1 1341 30 16 12 1 0 0 1 271 1 2233 1 6 5 5342. 1 1. 1 1. 11 29 23. 4. 7511. 1 1. 10. 東. 人用. 助 人. 謹いぢきやは. 6621. ヨヱ鮪. 者. ん輔二. 兵八. ご漁. 74 1921 3 1 1 49 646 1 5 1 15 36 29 12 26 35 23 28 13 29 32 17. 人用. ちつ. めす. 1. 9524. 1. 1. 12 11 31. 551 2 1 1 94. 1. 42. 1. 翅“. 齢齢. 人 酩潴醐. 23 2432. 25. 1 0 1 5 1. 2. 劇あ. 1 9 5 9 16. 227 1 5 2 1 9 0 406403414 9 54 134 1781 5 4 1 14 8875 3 8 5 5 6 5 1 43 4 14 10 21 14 24 16 12 13 26 17 21 12 14. 燭捌鵬㎜蜘瑚幽協幽協螂瑚螂幽㎜ 齪鵬嘱慨鵬獅螂鵬㎜⋮⋮㎜鵬脳鵬鵬. 次. 人用. 1. 2. 3. 4. 種類. 用使. 身 業職. 齢年. ー. 3 物の 人そ 場 登. τ. 6 1. 23 1. 人のば. そ眠. 28 35. 1 0 1 O 1 1 42 9 2 5 182 14 2 1 1 22 3 33 2 23 3 642 1 54 1 0 3 13 1 1 74 2 52 1 43 3 1 2 2 0 1 2 1 1 1 1. 21 10. 13 1. 混. び比. 12. 、. 11. 4 722 1 0 0 1 3 88 1 5 1 21 16 25 11 15 38 38 18. 1 1 4 2 1 1. 5 11 20. 3. 3 432 計 13 32 3 3 1 0 5 0 23648 5 1 23 1 18 77 4 78 52 30 10 12 20 36 22 19 39 24 24 19 27 18 19 25 42 13 15 21 36 28 24 13 20 10 13 15 26 25 16. 種類 4 2. ・. 種類 昌口. 4 3. 女の例. 人用. 722. りかば磯. き筋 ゆ憾. りかば磯. 214. 喝働、. 4. りかば磯. つ隙 “、. 21. りかば磯. 21. 使. 身. 業職. 齢年. ー. 2 物の 人そ 場. る隠. 轟口. 3. 50 13. 2 32 1. 者f. 劇あ一. 龍あ. 衛兵. 助蔵. 21 11. ㎜皿㎜㎜鵬鵬鵬⋮⋮鵬畑. 70 71 69 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99. 5轟ロり0. 34. 1. 1 1. 1. 3. 71. 46 10. 2 6. 3. 1. 1 31 16. 61. 141. 5 1. 8 25. 62 5. 2 1. 77 1. 5. 9391. 071 1. 29. 62 0222 52241 9 種 類 6 8 9 2 3 15 7 3 2 1 0 1 0 2 4 5 1 2の 10 19 10. 尾. ﹁. 身 業職. 齢年. ー. 馬三. 劃. 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 22 23 24 25 26 27 28 29 31 49 50 51 52 53 21 30 32 33 34 35 36 37 38 39 40 姐 姐43 44 45 46 σ48 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68. のば. 覧 種類 4521 20 2 2 4 235 0 0 0 3 3 171 27 一 02 23 0 00772 32 27 13 17 13 12 28 辞 3 2 4 45 接. と. 物 人 場 登 一 表. 伽人そ 場. ん. 456789. 七就 ●人 ▲人. 1 23.
(27) ・出身地差︵地域差︶・階層差・その他. ような接辞をどのぐらい使用しているのかとい・つことについて調査を行った。以上の情報を一覧表にまとめたも のが、表一であり、個々の入物の使用している接辞については資料二に示した。 ﹃浮世風呂﹄は言うまでもなくすべて三馬の創作によるものであるから、全部三馬の使用した接辞であるとも いえるのであるが、前述のとおり登場入物の言葉遣いなどにかなり工夫しているので、ここでは登場人物の使用 した接辞として取り上げている。なお、表一・資料二のうち、序及び地の文に使用されている接辞は便宜上三馬 の項に入れて処理した。また、豊中の①から⑩までの数字はそれぞれ次のような分類項目に対応している。 接頭辞 ① 敬意に関するもの︵お・おん・ご等五種類 接頭辞全体の九%︶ ② 強調・整調に関するもの︵いけ・・つち・かつ・ぶつ・まつ等二九種類 接頭辞全体の五四%︶ ③ 否定に関するもの︵ふ・ぶ・む三種類 接頭辞全体の五%︶ ④ それ以外の意味・用法を添えるもの︵いぬ・こ・まる・もの等一入種類 接頭辞全体の三二%︶ 敬意・卑意に関するもの︵さま・さん・ご・め等一五種類 接尾辞全体の一〇%︶ 接尾辞 ⑤ ⑥ 強調・整調に関するもの︵さんぽう・しま・ばら等五種類 接尾辞全体の三%︶ ⑦ 複数を表すもの︵がた・たち・ども・ら等六種類 接尾辞全体の四%︶ ⑧ 助数詞︵日・冊・つ・枚等七一種類 接尾辞全体の四七%︶ ⑨ それ以外の意味・用法を添えるもの︵こい・だらけ・つつ等四一種類 接尾辞全体の二七%︶ ⑩ 他の品詞に転成する働きを持つもの︵がる・さ・ぽい・めく等=二種類 接尾辞全体の九%︶ 以上、主に意味・用法によって分類を試みた。 なお、今回調査した全用例については資料三として末尾に付した。 第三節 登場人物と接辞の関係について 登場入物と接辞の関係について、男女差︵性差︶・年齢差︵世代差︶ の要因という観点から使用された接辞を見ていくことにする。. 3 2.
(28) 第一項 接辞と男女差との関係について. 接辞は男女差とどのような関係があるのかを調べるため、接辞の分類ごとに男女別に使用している接辞の合計. =二. 一九. 五五. 四六. 一五一. 五〇. 一四〇. 四三九 二五入. 六入. 一四. 四一 七五 三九四 六二〇. 一二. 男 女 四一五 九〇四 九三 七〇. を出して、全体を見ることにした。その結果、次のよ・つな数値を得た。. 接辞の意味・用法 接頭辞 ①敬意に関するもの ②強調・整調に関するもの ③否定に関するもの ④それ以外の意味・用法を添えるもの 接尾辞 ⑤敬意・卑意に関するもの ⑥強調・整調に関するもの ⑦複数を表すもの ⑧助数詞 ⑨それ以外の意味・用法を添えるもの ⑩他の品詞に転成する働きを持つもの. さらにこれを語彙ごとに分けると、表二のようになる。数値は男女別の合計である。この数値から、以下のよ うな事がいえよう。. 男女差という観点において、明らかに差のあるものは、接頭辞・接尾辞ともに敬意に関するものである。これ は特に接頭辞では﹁お﹂、接尾辞では﹁さん﹂と云う語に顕著である。. 1 接頭辞﹁お﹂に関して ﹃浮世風呂﹄は前編と四番が男湯、二編と三編が女湯の会話を書いたものであり、いずれも定数に大差はない。 にもかかわらず、女湯での会話には﹁お﹂が男湯の倍以上使用されていることに注目させられる。 ﹁お﹂が女性. 4 2.
(29) 覧 一 数 総. 用. 使 辞. 接 別 女 男 二 表. 0 1 0 2 0 2 030 0 0 30. るれさ. 子し へめんざ. いだし. るみじ. 1 70 0 1 3 12 0. 17 11. 、齢. 偽幼. け腸 るぎ. しk. k. 1 1246 0. 14. い訳. 坊動. 040. 14. あめ勤 鵡. るれら. 1. 0 0. 13 14. 2 042 0 3 2 0 9. 13. ・つさ. いしあ. 漁. すか. いしら. 1 0 0 3 5 1 6 52 1 6 1 1 9 1 1 1 429 3 34 4 5 1 1 2 0 0 1 1 13 1 1 1 0 10 1 1 1 1 1 1 1 12 10 13 15. るせさ. 町・つや. 挺・つ. 手. 度ど 湯㎞. きと. 年しと. 静. 年ん. 0 !7 番晶. 疋き 分ぶ 疋. 幅駅 節糺 分んぶ. 0. 両・つやり. 割り. りた. 劃. 人大し・つ. 翁め. る鱒 掲耳. 蹴滑. し簗. らπ. 謄. る噛. 柄帖. 魅. りき. 卿扮. 鮎. いこ. こつご. てつご. いさ. 9 92 16 1 0 0 0 1 3 1 2 0 O7 O41 1 1 O 31 1 5 里り. 83 34. 文ん 夜よ. 763. 枚いま 前へま. 13. 遍ん 篇ん 本動. 5 1 37 1 1 2 3. 財貿. 杯いは. 布. 38 21. 日ちに 人んに. 0 2 1 1 041 1 0 5. 月き 粒ぶ. 76. しら むぐ ぢ る るら る. むし く か まさ まざ なし すさ 、 喝ず さ 0 0 0m 0P 燈 0 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 0 0n 燈 0 0 1 0 0 0 0 1 9 5 3 1 53 260 1 00 1 1 1 0 0 1 0 2 1340 0 1 08 1 2 0 0 65 31 0 0 1 801 1 9 11 22 11 13 39. 234. 日. 2O4 段靹. ら. んど. いがんさ ・つぼんさ. きし. ら は描. 1 1 1 1 0 19. こ. 14 32. 齢ら. 6 70. 19. 熊. 衆し. 16. 16. し. 日、. 15 10 20. もど. あら. 階串. 方斑. ゼ. け斑. 合ら. よ馬. 月b 切れ. 串しく. 口ちく 貫んわく. 軒柄. んけ. 言とこ. 才いさ. あ. 冊つさ 樟をさ. 日つじ. 品なし. 丈・つやじ. 升・つやじ. 尺くやし. 朱ゆし 株ゆじ. 所よし. 寸ん 銭ん 膳ん. 足く 代か. ・つ. 諮田. 2 9 9 1 0 0 1 2 42 1 1 52 0 0 09 6 0O 1 3 1 6 0 1 03 0 1 0 0 1 2 4. 0 9 2 0 1 1 1 0 40 0 341 120 2 2 1 0 0 1 5 6 02 2 50 1 1 0 3 1 3 782 3 90 2 1 32 2 14 21 21 19 18 24 36 42. り い こ 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 9 9 99 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9. 06. 0 02 0. 8. 10. んや のど もど. 10. 95. 2. 0 2 2 1 060 1 1 0 1 1 0 1 103. 13 11. ち・つ. D選 り痴 つ・つ づ・つ. しさ ちし. こ. みし 一. ちと い つん. ちど. き つと. つん. つふ. 洗. 真ま. つぶ. 不ふ. つま. 無不ぶ. 無、. 犬ぬい. 薄す・つ. な. 豚. 小こ. 小んこ. ら. 大熟. 生蛛 初お. ・つど. るま. 鵬訪. い. も の. 公ら 御ご. 前御んぜご. 様まさ. んさ. ㎜鵬. 謝. 1 2 0 5 1 1 1 0 3 1 3 4 1 1 1 1 0 02 1 240 5 01 10 10 96 11 18. 5 5555555556666666 777 7 7 7 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8. 罐騙 油 1 6 2. 蹴. 財し た. 0 60 12 0 0 1 147 1 1 70 2 0 2 11 40 4 1 4 6 14 400 1 0 32 0 140801 141861 5 11 14 98 12 31 20 25 御鴻 御よ 御ご 相い. 遜. 蹴. 、. 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 3 3 3 4 44 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 5 5 5 5 5.
(30) に好まれて使用されていたことを物語るものであろ・つ。下接する語の品詞の種類も多様である。そこで、以下に 下接する語を示し、その語に男女差による使用のかたよりがないかを調べることにした。語の前の記号は、○は 男性のみが使用している語を表し、●は女性のみの使用、◎は男女共に使用している語であることを示すもので ある。なお、活用語は終止形で示した。. ●けっかうじん︵結構人︶●こ︵子︶. ○ぎやうずい︵行水︶●くすり︵薬︶. ◎かほ︵顔︶ ◎かまい. ●かぜ︵風邪︶ ◎かた︵方︶. ●かうかう ◎かげ︵蔭︶. ◎うはさ ○うば︵乳母︶. ●いうじろ︵色白︶○うけ︵受︶. ○あんなんし ●あんばい ●いたこと ●いたづら. ◎あてがひ ○あと︵跡︶. ●あいそづかし ○あいて︵相手︶. ●こづかひ︵小遣︶●こと︵琴︶ ●ことに︵事煮︶. Oこころつかひ︵心遣︶●こころやすめ︵心休︶. ○くに︵国︶. ◎き︵気︶. ○かたがた. ●かげん︵加減︶. ●うまれ. ●うしろ︵後︶. ○いとま. ●くら︵蔵︶. ●ぎしき︵儀式︶. ●かはり. ●かご. ◎えど︵江戸︶. ○うた︵歌︶. ◎いはひ︵祝︶. ○いくたり︵幾人︶●いくつ. ●あととり︵跡︶ Oあにさん. ○あき︵明︶ ◎あし︵足︶. ○ぐし︵髪︶. ●きだて︵気立︶. ○かひご︵蚕︶. ●かざり︵飾︶. ●えん︵縁︶. ●うち︵内︶. ◎いも︵芋︶. ●いしゃ︵医者︶. ●あねさん. ○あたま︵頭︶. ●けいこ︵稽古︶. ◎きやく︵客︶. ●かへし︵返︶. ●かし︵菓子︶. ●かいちやう︵開帳︶. ●うちかけ. ②いもとこ︵妹御︶. ○いせ︵伊勢︶. ●あほむき. ○あつさ︵暑︶. [名 詞]. ●こしやう︵小性︶●こぞう︵小僧︶. ●さつ. ●ざうに︵雑煮︶. ●このみ︵好︶. ◎し︵師︶ ○しあはせ︵幸︶. ○ざっとう︵座頭︶●さと︵里︶. ◎さき︵先︶. ○こめ︵米︶. ○さきもの. ●こもち︵子持︶. ●じふろく︵十六︶●しまひ︵仕舞︶ ●じゃう︵嬢︶. ●しうと ●じうや︵十夜︶ ◎じぎ︵辞儀︶. ●さむさ︵寒︶ ○さむれへ︵侍︶ ●さらひ. ●さげおび︵下帯︶●さげがみ︵下髪︶◎さだまり︵定︶. ●こゑ︵声︶. ○こころよし ●ことば ●さいせん. ○さる︵猿︶. ●した︵舌︶ ●じばん︵王寺︶. ●ざ︵座︶. ●しせう︵師匠︶. ●しやうがつ︵正月︶◎しやうれう︵精霊︶●しゃむせん︵三味線︶●しゃらく︵洒落︶●しゃれ︵洒落︶●しょれい︵諸. 礼︶○しる︵汁︶◎すそわけ ●せいしょ︵清書︶●せいぼ︵歳暮︶ ○せき︵咳︶ ●せせ︵世話︶. 5 2.
(31) ●つや︵通夜︶ ●つり︵釣︶. ●ちよちう︵女中︶○ちんこ︵似指︶. ●ちかづき︵近付︶●ちから︵力︶. ●だっこ ○たな︵店︶. ●そねへ︵供︶ ●そばがた. ●せち ◎せつく︵節句︶. ●つれ︵連︶ ◎て︵手︶. ○つき︵月︶ ●つつう︵頭痛︶. ●ちぢ︵乳︶ ●ぢぶつ︵持仏︶. ●たぬき ◎たのしみ︵楽︶. ○だいもく︵題目︶○だうぐ︵道具︶. ●せなか︵背中︶ ◎せわ︵世話︶. ●ておけ︵手桶︶. ○つぶり. ●ちや︵茶︶. ○だんぎ︵談義︶. ●たか︵高︶. ○そうち︵掃除︶. ○てぎは︵手際︶. ◎つむり. ○ちやうに︵上人︶. ○ぢい. ●たがい︵互︶. ○そと︵外︶. ○ す き ●てつだひ︵手伝︶○てつぼう︵鉄砲︶●てならい︵手習︶○てぬぐひ て ○でめへ︵礼参︶ ○ 目 ︶ ◎ てら ○とくい︵得意︶ で も こ ︵ 題 ︵ 寺 ︶ ●てらまいり︵寺参︶○てん︵天︶ ◎てんき︵天気︶ ●としだま︵年玉︶●としより︵年寄︶●とっくり ○とっさん ◎となり ●となりごっこ ○となりごと ○とりこみ ◎とも︵供︶ ●ともだち︵友達︶●ともだちづきやい︵友達︶ ●どうぎ︵胴着︶ ●どうらく︵道楽︶●どくだて ●なか︵腹︶ ●ながもち ●ながやぢう︵長屋 ○にもつ︵荷物︶ ●によれへ︵如来︶○ぬかぶくろ︵糠袋︶○ねぎ ◎なぐさみ. ●みせ︵店︶. ●まんぶ. ○ぼん︵盆︶. ●ベベ. ●ふたり︵二人︶. 姓︶. ●ひとり︵一人︶. ◎ばう︵坊︶. ●はなみ︵花見︶. ●ねだり. ○むすめご︵娘御︶●むま︵馬︶. ○みたて︵見立︶ ●みまい︵見舞︶. ●まご︵孫︶ ●まじない ◎まんま ●まんまたき. ●へや︵部屋︶ ○へんじ︵返事︶. ●ぶつだん︵仏壇︶○ふとん︵蒲団︶. ○ひより︵日和︶. ●ひな︵雛︶. ●ひえ︵冷︶. ●はばもじ. ○ねだん︵値段︶. ○ひら︵平︶. ●ひぼ︵紐︶. ○ひげ︵髭︶. ●もの︵言︶. ◎め︵目︶. ●みみ︵耳︶. ◎まんまつぶ. ●まもり︵守︶. ●もり︵守︶. ●めざ︵目覚︶. ◎むかひ︵迎︶. ◎み︵身︶. ●まゆ︵眉︶. ●べんたう︵弁当︶○ほし︵星︶. ○ふね︵船︶ ●ふみ︵文︶. ●もりもの︵盛物︶. ●めざめ︵目覚︶. ○むごん︵無言︶. ○みき︵神酒︶. ●まる. ●ねんぶつ︵念仏︶○のぞみ ○はな︵鼻︶ ◎はなし︵話︶ ●はらかけ ○はらだち︵腹立︶○はりごふう ●ばあ︵婆︶. 中︶. ●むし︵味噌︶. ●めみえ︵目見︶ ○もちや︵持⋮遊︶. ●ほね︵骨︶. ◎ひと︵人︶ ●ひとかた ◎ひとがら︵人柄︶ ●ひま︵暇︶ ●ひや︵冷︶ ○ひやくしやう︵百 ●ひる︵昼︶ ◎びくに︵比丘尼︶◎ぶう ●へっつい. ●めしもの. 6. 2.
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