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新人看護師教育における看護師長の役割行動:構成概念の検討(予備的研究)

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Academic year: 2021

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The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol. 24, No. 1, 113-122, 2020

資料

新人看護師教育における看護師長の役割行動:

構成概念の検討(予備的研究)

Role Behaviors of Nurse Managers in Postgraduate Education for Newly-graduated Nurses: An Investigation of Construct Concepts (A Pilot Study)

大森美由紀

1)*

 寺岡幸子

2)

 伊東美佐江

3)

Miyuki Omori1) * Sachiko Teraoka2) Misae Ito3)

Key words : novice/newly-graduated nurse, education, nurse manager, role action

キーワード : 新人看護師教育,看護師長,役割行動

Abstract

This study aimed to develop a scale for assessing the role behaviors of nurse managers in postgraduate educa-tion for newly-graduated nurses and investigate its reliability and validity. An initial scale composed of 37 items was developed based on published papers. An anonymous questionnaire was administered to nurse managers (N=107) who worked at university or general hospitals with over 500 beds in the Chugoku and Shikoku regions and were accepting newly-graduated nurses in his/her ward. Principal factor analysis (promax rotation) was performed to verify the construct validity, determine the factor structure, and compare the factor structure with the initial structure set. The following six factors (comprising 23 items; cumulative contribution ratio, 57.5%) of role behaviors of nurse managers for newly-graduated nurses were identified: “maintenance of an educational system”; “mental health support”; “support for developing as a nurse”; “support for gaining confidence”; “fostering of work environment”; and “instructor selection”. Regarding reliability, Cronbach’s alpha was 0.84 for the entire scale, and ranged from 0.79 to 0.84 for each factor, which demonstrates internal consistency. Significant positive correlations were observed between each factor on this scale and the Role Behavior of Nurse Managers in Preceptorships scale (r=0.26~0.67, p<0.001), except for 3 factors that did not show correlations with “instructor selection” (r=0.13~0.16). The initial construct concepts were mostly con-sistent with the factors of the created scale, needed to be reinforced construct validity.

要  旨  本研究の目的は,新人看護師教育における看護師長の役割行動を明らかにするための質問紙 を作成し,その信頼性,妥当性を検討することである.先行研究で明らかになっている新人看 護師教育において看護師長が果たす役割行動から37項目の質問項目を作成した.中四国地方の 500床以上の大学病院または総合病院に勤務し新人看護師を受け入れている看護師長を対象に自 記式無記名質問紙調査を行い,107名を分析対象とした.因子分析(主因子法・プロマックス回 転)を行い,得られた因子構造と設定した構成概念を比較し,因子的妥当性を検討した.新人 看護師教育で看護師長が果たす役割行動は,「教育体制整備」,「メンタルヘルス支援」,「成長支 援」,「自信獲得支援」,「職場環境の醸成」,「指導者人選」の 6 因子23項目で構成され(累積寄 与率57.5%),尺度全体の Cronbach’s α係数は 0.84,各因子で0.79~0.84で,内的一貫性が確 認された.プリセプターシップにおける看護師長の役割行動評価尺度の各因子と有意な正の相 関であった(r=0.26~0.67,p<0.001)が,「指導者人選」で 3 因子(r=0.13~0.16)に認め 受付日:2015年 8 月 8 日  受理日:2019年11月25日

1) 川崎医科大学総合医療センター Kawasaki Medical School General Medical Center 2) 安田女子大学看護学部 Yasuda Women’s University

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なかった.設定した構成概念は,本尺度の各因子とおおむね一致したが,構成概念妥当性につ いてさらなる検討が必要とされた.

Ⅰ.緒言

 医療技術の進歩,急速な高齢化に対し,看護職員 の需要が高まる中,看護師・准看護師数が,2025年 には,191万 9 千人が必要となり,現在より50万人近 く増員する必要性が指摘されている.そして,新卒 看護職員の就業者が2015年には現在の 5 万人から 5 万 3 千人に増加する見込みである(厚生労働省, 2010).看護職員のマンパワーがますます必要となる 中,新人看護師の効果的な教育が課題といえる.プ リセプターシップに関する先行研究は多く,新人看 護師の深刻なリアリティショックに対する有効性と 共に,近年,プリセプターの役割が多面的となり, プリセプターの負担感が問題となっている(伊津美, 松田,2008;神開ら,2007;西川,向井,2003;里 田ら,2001;寺田ら,2000;衛藤,鵜沢,1997).  新人看護師教育には,Off-JT はもちろん,OJT に おける教育を効果的に行う必要がある.スタッフ全 員で新人看護師を育成する体制を構築するためには 責任者である看護師長の役割が重要であることは否 めない.伊津美ら(2011)は,プリセプターシップ における看護師長の役割行動評価尺度を開発し,看 護師長の役割行動として「対象者へのフィードバッ ク機能」,「システムへのフィードバック機能」,「説 明機能」,「調整機能」,「ペアリング機能」が示され, 信頼性と妥当性を検証していた.しかし,昨今の新 人看護師教育の体制は,プリセプターシップ以外に もパートナーシップナーシングシステム(橘,上山, 2013)などの看護提供体制に伴う教育やアプリコッ トナースサポートシステム(福井,2008)など,プ リセプターシップに限定しない教育体制もみられる ようになってきた.新人看護師の増員,指導者の低 年齢化,病院の機能分化等による看護現場の変化を 想定し,看護管理者は時代の変化に即した教育体制 を構築していくことが求められている.OJT におけ る新人看護師教育の体制に関わらず,教育が効果的 に行われるための看護師長が行う教育や役割を明確 にすることが必要であると考える.  先行研究から,新人看護師教育における看護師長 の役割は,①担当部署の教育方針の決定と周知 ② リアリティショック防止 ③個人の能力に応じた段 階的・継続的な教育 ④担当部署の教育体制の整備  ⑤専門職業人としての自律促進 ⑥システムへの フィードバックである.看護師長は,新人看護師が 職場に問題なく適応し,看護実践能力を獲得できる ようにさまざまな戦略が求められていた.今回,こ れらの概念枠組みから新人看護師教育の看護師長の 役割行動尺度として項目を精選し,信頼性と妥当性 を検証し,役割行動を具体的に提示する.つまり, OJT における新人看護師教育で,その体制に関わら ず,管理者としての看護師長が果たす役割を具体的 に記述されることによって,新人看護師の実践力育 成環境を整理し,組織や社会から求められる看護実 践力の確保に寄与することができる.

Ⅱ.目的

 新人看護師教育における看護単位責任者(看護師 長)の役割行動を明らかにするための質問紙を作成 し,その信頼性,妥当性を確認することである.

Ⅲ.方法

1.用語の定義  新人看護師免許を取得後に初めて就労する看護師 であり就労後 1 年以内とする.  新人看護師教育:看護基礎教育を修了後,医療機 関に就職後 1 年間行われる教育とする.  看護師長:看護師長,看護副師長,看護主任,看 護副主任,看護課長等の役職名に関わらず,看護単 位の責任を担っている者とする.  役割行動:新人看護師に行われる教育において看 護師長が必要と考え,意図的に行う行動とする.

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2.質問項目 1)属性 (1)看護師長の背景  年齢,看護師長経験年数,役職名,最終学歴,管 理者研修の受講状況を質問した. 2)質問内容の精選  新人看護師教育で看護師長が果たす役割について, 医学中央雑誌 Web 版,CiNii を用いて2002年 1 月~ 2014年 9 月までの文献検索を行った.キーワードは 「新人看護師」と「教育」と「看護管理者」あるいは 「看護師長」として検索した.PubMed では,“nov-ice/newly graduated nurse”, “education”, and “head nurse” をキーワードとして検索した.キーワード検 出論文の中から会議録を除き,268件が該当した.こ れらの研究題目より,新人看護師教育の看護師長の 役割について記載の可能性があるもの140件の文献を 選択し,精読したところ,本研究の目的に沿うもの として34件が該当した.さらに関連文献の引用文献 リストから,新たに 4 件を選択した.よって38件の 文献を分析対象とし,新人看護師教育の看護師長の 役割について文献検討を行い,内容をカテゴリー化 した後,概念枠組みを検討した.その結果 6 つのカ テゴリー「担当部署の教育方針の決定と周知」,「リ アリティショック防止」,「個人の能力に応じた段階 的・継続的な教育」,「担当部署の教育体制の整備」, 「専門職業人としての自律促進」,「システムへの フィードバック」から構成された73項目を作成し, 看護学研究者,看護管理の経験のある研究者のスー パーバイズを受け56項目へ選定した.内容妥当性と 表面妥当性を検討するために,概念枠組みに沿って 質問項目が,測定したいと考えた内容を測定してい るかを検討し,独自に作成した質問項目の精選を 行った.その結果,「担当部署の教育方針の決定と周 知」 3 項目,「リアリティショック防止」11項目, 「個人の能力に応じた段階的・継続的な教育」 5 項 目,「担当部署の教育体制の整備」15項目,「システ ムへのフィードバック」 1 項目,「専門職業人として の自律促進」 2 項目,計37項目の質問項目を作成し た.回答肢は,「 4  あてはまる」から「 1  あては まらない」の 4 段階とした.その後,調査対象者と 同条件の大学病院の看護師長 9 名を対象に,看護師 長の役割行動の質問として適切か,質問,回答項目 の分りやすさを確認し質問紙項目を確認した.結果 削除した項目はなかった.  そして,併存妥当性の検討を行うために,伊津美, 松田(2008)が作成したプリセプターシップにおけ る看護師長の役割行動評価尺度の,調査票35項目を 含めた.なお,調査票中の尺度の使用に関しては, 開発者の伊津美孝子氏から書面による承諾を得て 行った. 3.対象と調査方法 1)対象者  中国四国地方にある500床以上の大学病院または総 合病院に勤め,新人看護師を受け入れている看護師 長であり, 1 年以上その任務を行っている者とした. 2)調査期間  2013年 6 月~10月. 3)調査方法  対象施設の看護部門の責任者(看護部長)から書 面で同意を得た後に,看護部長宛てに,協力人数分 の看護師長に対する依頼文書,無記名自記式質問紙 および返信用封筒を送付し,看護部経由で配布し各 研究協力者が記入後,質問紙を封入した返信用封筒 を投函し,研究者が受け取る郵送による回収法を用 いた. 4.分析方法  データは,統計解析パッケージソフト SPSSIBM ver. 22.0. を用いて,因子分析(主因子法・プロマッ クス回転)を行なった. 1)新人看護師教育における看護師長の役割行動 尺度の作成 (1)信頼性の検討  尺度全体および各下位尺度における Cronbach’s α 係数を求め,内的一貫性を検討した. (2)妥当性の検討  構成概念妥当性:項目間相関,因子分析(主因子 法・プロマックス回転)を行い,新人看護師教育で 看護師長が果たす役割行動の構成概念の 6 概念と, 因子分析によって得られた因子構造を比較し,因子 的妥当性を検討した.  基準関連妥当性:信頼性・妥当性が認められたプ リセプターシップにおける看護師長の役割行動評価 尺度(伊津美,松田,2008)との相関係数を求め, 併存妥当性を検討した.

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5.倫理的配慮  調査への協力は自由意思にもとづき,回答しなく ても不利益を受けることはないこと,結果は統計的 に処理し個人が特定されることはないこと,調査票 およびデータの管理は厳重に行うことを説明書に明 記し,研究の目的・意義,方法,自由意思に基づく 協力,無記名回答,プライバシー保護などについて 説明した依頼文を質問票に同封し,質問票の返信を もって同意を得たとした.なお,本研究は,川崎医 療福祉大学倫理委員会の審査により承認(承認番号 392)を得て行った.

Ⅳ.結果

 31病院のうち,16病院の看護部門の責任者から同 意を得た後,236名に質問紙を郵送した.調査票の回 収は136件(回収率57.6%)で,欠損値のあるものを 除外し107件(有効回答率45.3%)を分析対象として 因子分析を行った.  なお,併存妥当性の検証は,調査票の回収136件中 (回収率57.6%)の中で,プリセプターシップを行っ ている対象者のうち,研究者作成の質問紙およびプ リセプターシップにおける看護師長の役割行動評価 尺度(伊津美,松田,2008)に回答のある対象で欠 損値のある者を除外した105件(有効回答率44.5%) を分析対象とした. 1.回答者の属性  対象者の所属施設は,大学病院が50人(46.7%), 総合病院が51人(47.7%),無回答が 6 人(5.6%) であった.看護師長の平均年齢は50.8±4.5歳(範囲 37-59歳)であった.看護師長経験年数の平均は4.3± 3.7年(範囲 1 -18年),最終学歴別にみると,専門 学校卒72名(67.3%),短期大学卒21名(19.6%),大 学卒 8 名(7.5%),大学院卒 6 名(5.6%)であった.  役職名は,看護師長・課長が98人(91.6%),副看 護師長・係長が 6 人(5.6%),その他が 3 人(2.8%) であった.  認定看護管理者研修修了者は,100名(93.5%), このうち,ファーストレベルのみ修了者は34名 (31.8%),ファーストレベルを含めセカンドレベル 修了者は63名(58.9%),ファーストレベル,セカン ドレベルを含めサードレベル修了者は 3 名(2.8%) であった. 2.因子分析による構成概念妥当性の検討  質問項目37項目における記述統計による得点分布 を確認した.本研究で使用する質問紙の内容は,い かなる教育体制にも関わらず,看護師長が新人看護 師教育において実践している役割行動を前提とした 内容であった.それらを明らかにするための予備的 研究として,本研究の概念枠組みに基づき,質問項 目は削除しがたいものであり,そのまま尺度化を行っ た.  37項目の質問項目を用いて因子分析(主因子法・ プロマックス回転)を実施した.因子負荷量が0.4に 満たない項目は尺度全体の寄与率が低いと判断し該 当する項目を除外しながら,因子パターンが単純構 造になるまで,繰り返し分析を行った.その過程で, 14項目が除外され,最終的に 6 因子からなる23項目 が OJT における新人看護師教育の看護師長の役割行 動尺度の質問項目として採択された(表1).尺度全 体に対する 6 因子の累積寄与率は57.5%であった (表2).  第 1 因子は, 8 項目で構成され,看護手順の整備, 新人看護師が指導を受けられる体制,新人看護師の 能力に応じた指導をスタッフや指導者での検討等, 新人看護師の教育体制に関する内容であったことか ら,「教育体制整備」と命名した.  第 2 因子は,新人看護師の心の状態把握のための 手段である 3 項目から構成され,「メンタルヘルス支 援」と命名した.  第 3 因子は,新人看護師教育の目標の周知,目標 達成のための体制,新人看護師の個別性に応じた関 わりや支援等の 5 項目から構成された.直接看護師 長が,新人看護師の成長を支えることや,スタッフ が行えるよう指導している内容であり,「成長支援」 と命名した.  第 4 因子は,新人看護師ができたことを褒め,次 に進めるよう自信を持たせる内容 2 項目から構成さ れ,「自信獲得支援」と命名した.  第 5 因子は,新人看護師が個別的段階的に指導を 受けられるよう指導者の配置,および安心できる人 間関係の構築,施設全体での教育体制の検討の 3 項 目から構成された.新人看護師が安心して指導が受

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けられるような環境を整える内容であり「職場環境 の醸成」と命名した.  第 6 因子は,新人看護師の成長を促進するための 指導者の人選とさらにそれをより強化する権限委譲 の 2 項目から構成され,「指導者人選」と命名した. 3.内的一貫性による信頼性,安定性の検討  新人看護師教育における看護師長の役割行動の 6 つの因子における Cronbach’s α係数は,「教育体制 整備」がα=0.79,「メンタルヘルス支援」がα= 0.81,「成長支援」がα=0.79,「自信獲得支援」が 表1 新人看護師教育における看護師長の役割行動37項目(n=107) 質問項目 最大値 最小値 あてはまる やや あてはまる あまり あてはまら ない あてはまら ない 人数 人数 人数 人数 担当部署の 教育方針の 決定と周知 1 看護単位の新人の教育目標を全スタッフへ自分の言葉で話している 4 2 36 36.6 57 53.3 14 13.1 0  0 2 新人看護師の能力に応じて段階的に教育するようスタッフに話している 4 2 74 59.8 31 29 2  1.9 0  0 3 新人看護師には新人への教育目標の周知を図っている 4 2 64 59.8 36 33.6 7  6.5 0  0 除外 リアリティショック防止 4 新人看護師に入職時早期からは社会人としての規律ある行動がとれるよう 指導している 4 2 65 60.7 38 35.5 4  3.7 0  0 除外 5 新人看護師の入職時には,スタッフ自ら自己紹介をする迎え入れ等につい て指導している 4 2 52 48.6 41 38.3 14 13.1 0  0 除外 6 新人看護師の個人情報を守り他のスタッフに他言しない 4 2 64 59.8 41 38.3 2  1.9 0  0 7 新人看護師が自由に発言できるような雰囲気作りをしている 4 2 39 36.4 58 54.2 10  9.3 0  0 除外 8 新人看護師に毎日声をかけ,新人の存在を承認する行動をとっている 4 1 37 34.6 63 58.9 6  5.6 1  0.9 除外 9 勤務割振りは,新人看護師も他のスタッフ同様に公平にしている 4 1 46 43 27 25.2 16 15 18 16.8 除外 10 新人看護師の心の健康状態を把握するため,表情や態度を観ている 4 3 80 74.8 27 25.2 0  0 0  0 11 新人看護師の心の健康状態を把握するため,新人に声をかけている 4 2 71 66.4 33 30.8 3  2.8 0  0 12 新人看護師の心の健康状態を把握するため,他のスタッフから情報を得て いる 4 2 73 68.2 33 30.8 1  0.9 0  0 13 新人看護師へ仕事と生活が充実するための指導を行っている 4 1 32 29.9 56 52.3 18 16.8 1  0.9 14 新人看護師の心の健康状態に支障があると判断したら,専門家にコンサル トしている 4 1 39 36.4 41 38.3 19 17.8 8  7.5 除外 個人の能力に応じた 段 階 的 ・ 継 続 的 な 教 育 15 新人看護師の看護実践能力の到達度を把握している 4 2 48 44.9 53 49.5 6  5.6 0  0 16 新人看護師の能力に応じた指導が行われるよう指導者と話し合っている 4 2 70 65.4 34 31.8 3  2.8 0  0 17 新人看護師の能力に応じた,業務分担をしている 4 1 67 62.6 33 30.8 4  3.7 3  2.8 除外 18 新人看護師の指導について,できたことを褒め,次に進んでよいことを保 証している 4 2 52 48.6 49 45.8 6  5.6 0  0 19 新人の指導について,できたことを褒め,次に進んでよいことを保証する ようスタッフへ指導している 4 2 55 51.4 46 43 6  5.6 0  0 担当部署の教育体制の整備 20 患者の看護目標達成における責任者(看護体制のリーダーあるいはチーム リーダー)には,新人看護師指導における役割を明確にしている 4 1 54 50.5 41 38.3 11 10.3 1  0.9 21 新人看護師が教育を受けやすい人員配置(チーム編成)にしている 4 4 46 43 46 43 14 13.1 1  0.9 除外 22 スタッフ全体で新人看護師を育てるために,カンファレンスの機会を作り 教育方法を検討している 4 2 52 48.6 42 39.3 13 12.1 0  0 23 指導者には,新人看護師の成長を支える人選をしている 4 2 76 71 29 27.1 2  1.9 0  0 24 指導者には選定理由を話し動機づけを行っている 4 2 70 65.4 32 29.9 5  4.7 0  0 25 指導者と新人看護師の人間関係を調整している 4 1 51 47.7 51 47.7 4  3.7 1  0.9 除外 26 新人看護師が個別に指導が受けられるよう,新人と指導が同一勤務になる よう調整している 4 1 37 34.6 52 48.6 15 14 3  2.8 27 新人看護師教育について指導者と新人の目標の照合を行っている 4 2 45 42.1 45 42.1 17 15.9 0  0 28 指導者が指導に困難を来していないか把握している 4 2 46 43 57 53.3 4  3.7 0  0 除外 29 新人看護師教育において指導者間で問題解決の機会を設けている 4 2 54 50.5 45 42.1 8  7.5 0  0 30 指導者が相談できる体制にしている 4 2 59 55.1 42 39.3 6  5.6 0  0 31 新人看護師が,業務遂行において常に誰かの指導を受けれられる体制にし ている 4 2 84 78.5 20 18.7 3  2.8 0  0 32 スタッフが指導できるように,業務整理を行っている 4 2 40 37.4 52 48.6 15 14 0  0 除外 33 統一した指導ができるように,看護手順を整理している 4 2 64 59.8 40 37.4 3  2.8 0  0 34 統一した指導ができるように,新人看護師の看護実践能力到達度のチェッ クリストを整備している 4 1 89 83.2 17 15.9 1  0.9 0  0 除外 専門職業人 としての 自律促進 36 看護実践モデルを示し自己の看護観を伝えている 4 1 30 28 53 49.5 22 20.6 2  1.9 37 新人看護師が行った看護の意味や根拠を考えさせている 4 2 39 36.4 56 52.3 12 11.2 0  0 除外 シ ス テ ム へ の フ ィ ー ド バ ッ ク 35 新人看護師教育における問題は看護単位のみならず,教育部委員会等,新 人サポート・教育担当部門へ提出し,看護部全体で検討している 4 1 67 62.6 32 29.9 6  5.6 2  1.9

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α=0.81,「職場環境の醸成」がα=0.83,「指導者 人選」がα=0.84であり,すべての下位尺度におい て,高い内的一貫性による信頼性が確認された(表 2). 6 因子全体ではα=0.84と強い内的一貫性が確 認された.以上の結果から,本尺度の信頼性は支持 されることが確認された. 4.下位尺度間の相関  新人看護師教育における看護師長の役割行動の 6 つの下位尺度間の Pearson の相関係数を算出したと ころ(n=105),すべてにおいて,下位尺度間に有意 な正の相関(r=0.26~0.67, p<0.001)が示された (表3). 5.併存妥当性の検討  新人看護師教育おける看護師長の役割行動の 6 つ の下位尺度と,プリセプターシップにおける看護師 長の役割行動評価尺度(伊津美ら,2011)の下位項 目である 5 領域の「対象者へのフィードバック機能」 (α=0.80),「システムへのフィードバック機能」 (α=0.83),「説明機能」(α=0.81),「調整機能」 (α=0.80),「ペアリング機能」(α=0.87)との 表2 新人看護師教育における看護師長の役割行動の因子構造(n=107)  全項目α=.84 変数(質問項目) 抽出因子 共通性 第 1 因子 第 2 因子 第 3 因子 第 4 因子 第 5 因子 第 6 因子 第 1 因子:教育体制整備(α=.79) 33 統一した指導ができるように,看護手順を整備している .81 -.06 .22 -.25 -.04 -.27 .47 31 新人看護師が,業務遂行において常に誰かの指導を受けられる体制にしている .71 .18 -.21 .06 -.11 .04 .53 29 新人看護師教育において,指導者間で問題解決の機会を設けている .71 -.10 -.03 .31 -.08 .07 .73 22 スタッフ全体で新人看護師を育てるために,カンファレンスの機会を作り教育方法を検討している .61 .06 .07 -.33 .16 .12 .50 16 新人看護師の能力に応じた教育が行われるように指導者と話し合っている .51 -.01 .13 .10 -.10 .08 .57 30 指導者が相談できる体制にしている .45 -.06 -.06 .29 .15 .03 .58 27 新人看護師教育について指導者と新人の目標の照合を行っている .45 -.05 .18 .02 .26 .00 .53 15 新人看護師の看護実践能力の到達度を把握している .44 .08 .02 .06 .15 .09 .47 第 2 因子:メンタルヘル支援(α=.81) 11 新人看護師の心の健康状態を把握するため,新人に声をかけている -.01 .86 .15 .01 .08 -.10 .85 10 新人看護師の心の健康状態を把握するため,表情や態度を観ている -.06 .77 .04 .05 -.09 .03 .60 12 新人看護師の心の健康状態を把握するために,他のスタッフから情報を得ている .21 .61 -.09 .18 -.01 -.03 .62 第 3 因子:成長支援(α=.79) 1 新人看護師の教育目標を全スタッフへ自分の言葉で話している .13 .05 .70 -.11 -.02 -.18 .43 37 看護実践モデルを示し自己の看護観を新人へ伝えている -.02 -.18 .53 .38 .10 .05 .61 20 患者の看護目標達成における責任者(看護体制のリーダーあるいはチームリーダー)には,新人看護師指導における役割を明確にしている .18 .05 .51 .12 -.15 .22 .68 13 新人看護師へ仕事と生活が充実するための指導を行っている -.15 .23 .48 .00 .25 .01 .55 2 新人看護師の能力に応じて段階的教育するようスタッフに話している .00 .38 .44 .05 -.14 -.03 .44 第 4 因子:自信獲得支援(α=.81) 18 新人看護師の指導について,できたことを褒め,次に進んでよいことを保証している -.10 .16 -.11 .89 .17 -.12 .81 19 新人看護師の指導について,できたことを褒め,次に進んでよいことを保証するようスタッフに指導している -.07 .06 .14 .78 -.12 .07 .70 第 5 因子:職場環境の醸成(α=.83) 26 新人看護師が個別に指導が受けられるよう,新人と指導者が同一勤務になるよう調整 している -.08 -.17 .10 .08 .82 -.02 .62 6 新人看護師の個人情報を守り,他のスタッフに他言しない .01 .20 -.17 -.13 .50 .20 .36 35 新人看護師教育における問題は看護単位のみならず,教育委員会等,新人サポート・教育担当部門へ提出し,看護部全体で検討している .20 .02 -.09 .19 .45 -.21 .36 第 6 因子:指導者人選(α=.84) 23 指導者には,新人看護師の成長を支える人選をしている -.06 -.09 -.07 .02 -.08 .85 .55 24 指導者には,選定理由を話し,動機づけを行っている .01 .04 -.03 -.09 .11 .80 .67 固有値 1.65 1.45 1.38 1.27 1.16 寄与率 5.29 4.5 4.14 3.81 3.16 累積寄与率 41.9 46.4 50.54 54.34 57.5 主因子法-プロマックス回転 α=Cronbach’ α係数

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Pearson の相関係数を算出したところ(n=105),新 人看護師教育における看護師長の役割行動の「指導 者人選」とプリセプターシップにおける看護師長の 役割の「対象者へのフィードバック機能」と「シス テムへのフィードバック機能」と「ペアリング機能」 以外は有意な正の相関が示された(r=0.26~0.67, p<0.001).因子別にみると,「教育体制整備」は, 0.41~0.50(p<0.001),「メンタルヘルス支援」は, 0.29~0.42(p<0.001),「成 長 支 援」は,0.44~ 0.67(p<0.001),「自信獲得支援」は,0.34~0.53 (p<0.001),「職場環境の醸成」は,0.26~0.48(p< 0.001),第 6 因子「指導者人選」は,0.13~0.26(う ち 2 因子と p<0.001)であり,低から中程度の相関 があり,尺度全体としてはプリセプターシップにお ける看護師長の役割行動評価尺度と有意な相関が認 められたため,外的基準とした併存妥当性を概ね支 持された(表3). 6.構成概念妥当性の検討  質問紙原案を作成するにあたり,新人看護師教育 における看護師長が果たす役割行動の 6 つの構成概念 と因子分析によって得られた結果を比較した(図1). 表3 因子間の相関ならびにプリセプターシップにおける看護師長の役割行動評価尺度との相関(n=105) 教育体制 整備 ( 8 項目) メンタル ヘルス支援 ( 3 項目) 成長支援 ( 5 項目) 自信獲得 支援 ( 2 項目) 職場環境の 醸成 ( 3 項目) 指導者 人選 ( 2 項目) 新人教育の看護師長の役割行動(n=105) 尺度の相関 メンタルヘルス支援教育体制整備 1.00 .55** 1.00 成長支援  .67**  .60** 1.00 自信獲得支援  .55**  .54**  .56** 1.00 職場環境の醸成  .55**  .34**  .43**  .41** 1.00 指導者人選  .43**  .37**  .44**  .34**  .26** 1.00 プリセプターシップにおける看護師長の役割行動評価尺度(n=105) 妥当性 システムへのフィードバック機能対象者へのフィードバック機能  .42** .41**  .30** .29**  .45** .55**  .39** .34**  .37** .37**  .14 .13 説明機能  .45**  .36**  .67**  .42**  .36**  .26** 調整機能  .50**  .42**  .67**  .53**  .48**  .26** ペアリング機能  .42**  .37**  .44**  .39**  .26**  .16 相関係数:pearsom r,** p<.001 図 1  質問紙原案の 6 概念と因子分析後の比較 新人教育における 看護師長の役割行動 構成概念(因子分析後) 担当部署の教育方針の決定 と周知 リアリティショック防止 担当部署の教育体制の整備 個人の能力に応じた段階的・ 継続的な教育 専門職業人としての自律促進 システムへのフィードバック 第1因子「教育体制整備」 第2因子「メンタルヘルス支援」 第3因子「成長支援」 第5因子「職場環境の醸成」 第6因子「指導者人選」 第4因子「自信獲得支援」 新人教育における 看護師長の役割行動 構成概念(原案)

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当初設定した「担当部署の教育体制の整備」と「個 人の能力に応じた段階的・継続的な教育」の一部は 第 1 因子「教育体制整備」に集約された.「リアリ ティショック防止」の一部は,第 2 因子「メンタル ヘルス支援」に集約された.「担当部署の教育方針の 決定と周知」と「リアリティショック防止」と「担 当部署の教育体制の整備」と「専門職業人としての 自律促進」の一部が第 3 因子「成長支援」に集約さ れた.「個人の能力に応じた段階的・継続的な教育」 の一部が第 4 因子「自信獲得支援」に集約された. 当初設定した「リアリティショック防止」および, 「担当自部署の教育体制の整備」,「システムへの フィードバック」の一部は第 5 因子「職場環境の醸 成」に集約された.「担当部署の教育体制の整備」の 一部が第 6 因子「指導者人選」に集約された.よっ て,当初設けた構成概念 6 つの全てはいずれかの因 子に集約され,各因子の構成概念は概ね一致した.

Ⅴ.考察

1.尺度の信頼性と妥当性  本尺度の内的一貫性を Cronbach’s αの信頼性分 析により検討したところ,いずれも0.8以上であり, 全体的に内的一貫性は認められた.  プリセプターシップにおける看護師長の役割行動 の遂行能力が高ければ,新人看護師教育の看護師長 の役割行動の遂行能力も高い状態であると考え,本 質問紙と,プリセプターシップにおける看護師長の 役割行動評価尺度を外的基準とした併存妥当性を検 討した.その結果,尺度全体として,プリセプター シップの役割行動評価尺度の下位尺度との相関が認 められたため,本質問紙の構成概念妥当性は支持さ れたといえる.  本研究とプリセプターシップの役割行動評価尺度 の違いは,第 2 因子,第 3 因子,第 4 因子の看護師 長が直接新人看護師を支援する行動内容が具体的に 示された.なお,新人看護師教育を行う看護単位が, どのような教育体制をとっていても,看護師長が看 護単位のスタッフに普遍的に行う行動を網羅した内 容である.  しかしながら,今後,看護師長が果たすべき役割 行動の構成概念を明確にしながら,質問項目の天井 効果や床効果,時間安定性における信頼性,下位尺 度項目数の検討等,尺度の信頼性や妥当性をさらに 高める必要がある. 2.新人看護師教育における看護師長の役割行動尺 度の構造  段階を踏んだ調査より,新人看護師教育における 看護師長の役割行動に対する質問項目を作成し,「教 育体制整備」,「メンタルヘルス支援」,「成長支援」, 「自信獲得支援」,「職場環境の醸成」,「指導者人選」 の 6 つの構成概念が抽出された.新人看護師教育に おける看護師長の役割行動に関する当初設けた構成 概念 6 概念のうち,削除される概念はなく,大きな 相違はなかった.  本研究における因子分析の過程で14項目が除外さ れ,最終的に 6 因子からなる23項目となった.これ ら削除された項目について,新人看護師教育におい て,本研究への参加者である看護師長は実際にこれ らの認識に対して低かったかもしれないが,今後さ らなる新人看護師教育における看護師長の役割行動 について,構成概念をはじめ質問項目について文章 表現も含めて再考する必要がある.  第 1 因子「教育体制整備」は,当初設けた構成概 念「担当部署の教育体制の整備」と「個人の能力に 応じた段階的・継続的な教育」から集約された.新 人看護師の看護実践能力を把握していること,さら に指導者と,新人看護師の能力に応じた教育が行わ れるよう話し合いをすることで,新人看護師の能力 に応じた業務の分担(高谷,2008)も必然的に可能 になる.スタッフ全体で新人看護師を育てるために, カンファレンスの機会を作り教育方法を検討し,新 人看護師が業務遂行において常に誰かの指導を受け られる体制にする(坂東,2006)ことは,新人看護 師が指導を受けやすい人員配置となっていることを 示すと考える.  第 2 因子「メンタルヘルス支援」は,新人看護師 の心の健康状態を把握するために,新人看護師に声 をかける行為に含まれ,看護師長自らが観察し把握 することと他のスタッフから新人看護師の情報を得 ることである.新人看護師が上司に相談しにくいこ とを理解したうえでの対応が求められており(長谷 川ら,2007),スタッフからの新人看護師に関する情 報を得て対応することも重要である.新人看護師が

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自由に発言できる雰囲気作りと新人看護師に声をか け承認行動をとること(田代ら,2009)も含まれて いた.このような新人看護師の心の健康状態の把握 を行うことや新人看護師との直接的なコミュニケー ションにより新人看護師と指導者の人間関係の調整 (長谷川ら,2007)が含まれたと考える.  「14.新人看護師の心の健康状態に支障があると判 断したら専門家にコンサルトする」については,第 2 因子「メンタルヘルス支援」の,新人看護師の心 の健康状態の把握や自己対応は認識があるが,専門 家へ相談をするまでの事例が少ない場合も考慮し, 削除に至ったと考える.「 4 .新人看護師に入職早期 から社会人としての規律ある行動がとれるよう指導 している」については,組織社会化を促進する内容 であるが,off-JT として職場に入る前に集合教育で まず行われるべきものであることもあり,どの因子 にも含まれなかったと考える.「 5 .新人看護師の入 職時にはスタッフは自ら自己紹介をする迎え入れ等 について指導している」については,新人看護師が 組織に早く溶け込み,情緒の安定やリアリティ ショックの防止にあたる内容である.これはどの因 子の項目にも共通性は見当たらなかったことから, 新人看護師教育における看護師長の役割の概念に含 まれていないことが推測された.  第 3 因子「成長支援」は,当初設けていた構成概 念 5 つより集約された.「36.看護実践モデルを示し 自己の看護観をへ伝えている」は,看護師として自 律を促すことであり,看護師としての成長そのもの であることを示している.患者の看護目標に責任を 持つことは,新人看護師を含めスタッフと共に看護 実践能力を獲得(深澤,2010)するためにリーダー シップを発揮することである.よってリーダーを含 め,スタッフ,新人看護師が成長する仕組みとなる. 新人看護師が,看護師として生き生きと末永く成長 するためには,仕事だけでなく生活も充実させる (高谷,2009)必要がある.この構成概念のうち 「37.新人看護師が行った看護の意味や根拠を考えさ せている」は削除された.この内容は,日々新人看 護師に限らずスタッフと関わる中で自然に行われる 振り返りや分析をするものであるため,当然のこと であっても,新人看護師教育の一環としての認識が 低かったことが考えられ削除されたが,今後内容の 重要性を熟考する必要がある.  第 4 因子「自信獲得支援」は,当初設けていた構 成概念「個人の能力に応じた段階的・継続的な教育」 に含まれた,新人看護師が自信を持てるよう支援す る 行 動(松 本,2011;高 谷,2009,2010;坂 井, 2009;長谷川ら,2007;佐藤,粕谷,2007)を示し ている.看護師長自らがこの行動を重要視している 場合,看護師長以上に共に業務を行い指導する機会 が多いスタッフにも同様に,新人看護師に関わるよ う指導していることが推測された.これは看護師長 だけではなく,スタッフ全員が,新人看護師の教育 方針に沿って指導することはさらに効果があること が期待されている.  第 5 因子「職場環境の醸成」は,新人看護師が入 職当初に段階的,個別的に指導を受け,教育効果を 上げることを目的としている.自分を理解している 指導者に継続して指導を受けることを新人看護師が 期待していること(唐澤ら,2008)と一致している. また,新人看護師の個人情報を守り他のスタッフに 他言しないこと(高谷,2010,2011)は,新人看護 師がその職場で安心して心を開くことができ,でき ない自分を表出することも可能となる安全な職場風 土である.そして,新人看護師教育における問題は 看護単位のみならず,教育委員会等,新人看護師サ ポート・教育担当部門へ提出し,看護部全体で検討 (伊津美,松田,2008;伊津美ら,2011)しており, 積極的に看護部とのフィードバックを通して,より 良い職場環境を形成することを示している.  第 6 因子「指導者人選」は,新人看護師の成長を支 えることができるスタッフを人選(伊津美ら,2011; 高谷,2011;関井,2010;伊津美,松田,2008;穴 沢,2007;坂東,2006)し,さらに,人選された指 導者がやりがいや目標を持ち,意欲的に指導ができ るための動機づけを行うこと(伊津美ら,2011;関 井,2010;伊津美,松田,2008;穴沢,2007)であ る.よってこの動機づけは,指導者の選定と同時に 重要な行為であることを示している. 3.研究の限界と今後の課題  本研究は,中四国地方の500床以上の16病院の236 名の看護師長を対象として質問紙を配布した.しか し,回答者が各病院からどの程度の割合で回収され たものかどうかは不確かである.そのため,得られ たデータが,少数の病院に集中している可能性もあ

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り,回答の偏りがある可能性も考慮にいれて活用す る必要がある.  また,本尺度の質問項目の天井効果や床効果,時 間安定性における信頼性,下位尺度項目数の検討等, 信頼性や妥当性をさらに探求し,対象範囲を拡大し て,尺度の精度を高める必要がある.  今後,新人看護師教育における看護師長の標準的 な役割行動を明らかにし,役割行動に影響する看護 師長の背景との関連を調査することで,新人看護師 教育における看護師長に必要な学習,研修の示唆を 得ることも可能である.

Ⅵ.結論

 本研究では,新人看護師教育における看護師長の 役割行動として,「教育体制整備」,「メンタルヘルス 支援」,「成長支援」,「自信獲得支援」,「職場環境の 醸成」,「指導者人選」の 6 因子23項目で構成される 役割行動尺度を作成した. 6 つの尺度の Cronbach’s α係数の信頼性が確認され,併存妥当性,構成概念 妥当性も概ね支持されたが,新人看護師教育の看護 師長の役割行動を測定する尺度として,今後さらな る構成概念や質問項目の検討が求められる. ■引用文献 穴沢百合子(2007).プリセプター・プリセプティが共に育つ ために.HANDS-ON, 2(3),26-29. 坂東桂子(2006).成功の鍵は師長の支援姿勢2007年度は臨床 研修制度導入へ.HANDS-ON, 1(3),24-27,2006. 深澤優子(2010).新人がやってきた時に師長として何をする か.ナースマネジャー,11(11),33-39. 福井トシ子(2008).新卒看護師教育「アプリコットナースサ ポートシステム」プリセプターシップの限界を超える・ チームで共に成長する,14,メディカ出版. 衛藤由美,鵜沢陽子(1997).新人看護師教育におけるプリセ プターシップの課題―プリセプターシップの実態調査よ り―.日本看護研究学会雑誌,20(2),47-48. 長谷川真美,今川詢子,田中佳士枝,小磯玲子,小井川悦子, 他(2007).新人看護師の「早期離職」防止指針,ナース マネジャー, 9(1),6-14. 伊津美孝子,松田琴美(2008).プリセプターシップにおける 看護師長の役割行動評価に関する研究.日本看護管理学 会誌,11(2),26-35. 伊津美孝子,清水房枝,平野加代子(2011).プリセプター シップにおける看護師長の役割行動評価 全国 S 系病院 における調査より.三重看護学誌,13,117-121. 唐澤由美子,中村惠,原田慶子,太田規子,大脇百合子,他 (2008).就職後 1 ヶ月と 3 ヶ月に新人看護者が感じる職 務上の困難と欲しい支援.長野県看護大学紀要,79-87. 厚生労働省(2010).第七次看護職員需給見通しに関する検討 会(概要).(2014年 1 月 5 日,http://www.mhlw.go.jp/ stf/houdou/2r9852000000z68f-img/2r9852000000z6c1. pdf) 松本千香江(2011).新人看護師の支援.看護,63(4),51-54. 西川京子,向井章子(2003)プリセプターの負担感の調査 ―プリセプターになる前の負担感―.日本看護協会論文 集 看護管理, 3(34),48-50. 坂井慶子(2009).新人看護師を育む職場づくりのために.師 長主任業務実践,14(293),5-9. 里田佳代子,今里とみ子,小野有美,田阪裕子,岡崎有加 (2001).プリセプターのストレス認知とコーピング.第 32回日本看護学会論文集.看護管理,132-134 佐藤昌子,粕谷久美子(2007).新人の早期離職・職場不適応 対策の取り組みと管理者の関わりのポイント.ナースマ ネジャー, 9(1),15-21. 関井愛紀子(2010).新人看護師の勤務継続意欲に関連する職 場環境要因.新潟医学会雑誌,124(9),501-511. 神開知子,小路真由,池本まゆみ(2007).プリセプターの困 難と望む支援.日本看護学会論文集 看護管理, 4(37), 240-242. 橘幸子,上山香代子(2013).新看護方針 PNS 導入・運営 のコツ研修.セミナー資料,2013年11月23日,日総研出 版. 高谷嘉枝(2008).看護師長がとらえた新人看護師の適応状況 と看護師長の対応に関する質的分析.兵庫県立大学看護 学部・地域ケア開発研究所紀要,15,29-41. 高谷嘉枝(2009).新人看護師の適応促進を目的とした看護師 長のための支援プログラム項目の検討.兵庫県立大学看 護学部・地域ケア開発研究所紀要,16,97-110. 高谷嘉枝(2010).新人看護師が臨床現場に適応するための看 護師長の工夫.兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研 究所紀要,17,103-115. 高谷嘉枝(2011).新人看護師の適応促進を目的とした看護管 理者が用いる支援方法の開発,兵庫県立大学看護学部・ 地域ケア開発研究所紀要,18,91-107. 田代清美,西辻美佳子,西岡恵子,森山ひろみ,下村智美, 他(2009).新人看護師のストレスの実態とコーピングへ の支援の試み.日本病院会雑誌,56(2),192-196. 寺田慎子,久保田美智子,麻上ゆかり,西出久子(2000).プ リセプターの役割遂行に対するストレス・コーピングの 経時的変化.日本看護学会論文集 看護教育,31,110-112.

参照

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