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福島原発事故をめぐる中国テレビメディアの報道研究 ――「日本大地震啓示録」の批判的談話分析を通して――

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【要旨】 東日本大震災により東京電力の福島第一原発に深刻な事故が発生後、日本国内に留まら ず、全世界の原発政策に重大な影響を及ぼしている。筆者の母国中国では、政府が同年の 3 月 16 日に原発の新規建設計画の審査・承認の暫定的凍結を決定したが、関連報道ではその 後原発運行・推進に傾いたことが見受けられる。 福島原発事故が発生した際に、中国のメディアは連日事故に関する報道を流し続けた。 その中で、中国中央電視台で東日本大震災と福島原発事故の情報を取得した人が 74.8%に 達した 1)。本稿は中央電視台で放送された唯一の長篇ドキュメンタリー番組シリーズ『日 本大地震啓示録』を分析することを通して、(1) 中国のテレビメディアは原発および福島原 発事故をめぐる報道中に隠されたイデオロギーを解明し (2) それらのイデオロギーを維持す るのに使用された言語要素を明らかにすることを目的とする。今まで、福島原発事故をめ ぐる中国メディアの報道に関する研究は多いが、談話分析の研究は殆どないため、本稿では、 分析にあったては主にトポス (Wodak 2001,2010) と前提 (Fairclough 2003) の理論枠組みを用 い、『日本大地震啓示録』におけるナレーション、ジャーナリストおよび専門家などの談話 から 5 つの抜粋を取り上げ、ミクロ分析を行う。それによって、福島原発事故の被害が悪 化することを避けられると主張し、事故の深刻化を東京電力と日本政府に帰責する意図を 解析できた。また、同番組において、専門家は原発の必要性・重要性を強調し、原発の稼 働を当然視するイデオロギーも読み解かれ、さらに『日本大地震啓示録』はそれらのイデ オロギーが視聴者に受け入れられやすいように使用された言語ストラテジーを明らかにし た。 【キーワード】 福島原発事故、中国テレビメディア、批判的談話分析、イデオロギー

福島原発事故をめぐる

中国テレビメディアの報道研究

――「日本大地震啓示録」の批判的談話分析を通して――

*大阪大学言語文化研究科 論 文

張 碩

*

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【Abstract】

The disaster at the Tokyo Electric Power Company(TEPCO)’s Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant following the Great East Japan Earthquake had a serious impact on nuclear power policy not only in Japan but also around the world . But in relevant reports from the Chinese media it can be seen that China will continue to promote nuclear power development in the future.

This paper uses the critical discourse analysis approach to analyze the Chinese documentary “The Great Japan Earthquake Revelation Record.” The purposes are (1) to clarify what ideologies were behind the Chinese TV media’s attitudes toward nuclear power and the Fukushima Nuclear Power Plant; (2) to reveal the linguistic elements used to maintain them.

In the analysis, I mainly use the theoretical framework of Topos (Wodak 2001,2010) and the Presumption (Fairclough 2003) to micro-analyze five discourse quotes by reporters and experts as well as voice-over in the documentary. The analysis showed that the documentary intends to (1) attribute the aggravated release of radioactive materials to TEPCO and the Japanese government, (2) Support continued operation of nuclear power plants, in addition, this paper analyzes the linguistic strategies which made the Chinese TV coverage more acceptable and convincing to the audiences. 【Keywords】

Fukushima nuclear accident, China Television coverage, Critical Discourse Analysis, Ideology

A study of Chinese TV coverage over the

Fukushima nuclear accident through a

critical discourse analysis of the “the great

Japan earthquake revelation”

* Osaka University Graduate School of Language and Culture

Article

(3)

1. はじめに

1-1. 研究背景 2011 年 3 月 11 日、日本の東北地方太平洋沖でマグニチュード 9.0 を記録する 大規模地震が発生した。この未曾有の大災害では地震・津波の被害のみならず、 東京電力の福島第一原子力発電所で冷却不能となった原子炉内の炉心溶融(メル トダウン)、ベント、水素爆発、格納容器の破損、冷却水漏れといった一連の原 子力事故が発生した。国際原子力事象評価尺度(INES)において最悪のレベル 7 に分類された。この事故により、大気中、土壌、溜まり水、立坑、海水、および 地下水に放射性物質が放出され、汚染は日本国内外に広がっている。 このような深刻な事故について、海外のメディアも高い関心を示した。特に筆 者の母国中国においては主に、原子炉の状況、汚染された物資などに関する報道 をする以外に、原発の安全性についての議論に報道の重点が置かれた。中国では 2008 年の時点で原子力発電所立地点 11 基、合計設備容量では 906 万 8000kW の 原子力発電所が稼働しており、原発推進策を採っていた。福島事故後、中国政府 は国内の原子力施設に対して全面的な安全審査を実施するとともに、「エネルギ ー中長期計画」が承認されるまでは新規原子力発電プロジェクトの審査・許可を 一時中止するなどの重要な決定を行った。しかしながら、中国メディアにおい ては原子力発電の重要性を強調し原子力発電の必要性を訴える報道が多く散見さ れた。また、2013 年1月に発表された「エネルギー発展第 12 次 5 ヵ年計画」に よると、2010 年時点で 1082 万 kW であった原子力発電の設備容量は 2015 年に 4000 万 kW に拡大し、第三世代原子炉の国産化を急いでいると述べ、今後も原 発運行・建設を推進すると考えられる。 1-2. 中国における原子力政策の動向 東日本大震災、そして福島第一原発事故はこれまで経験したこともない甚大な 被害をもたらした。特に東京電力福島第一原子力発電所による、炉心溶融、建屋 の爆発、住民避難、放射能汚染等、前例のないニュースが続き、原発の安全神話 は崩壊した。 このような背景にもかかわらず、日本政府は原発再稼働に踏み切った。そし て、その動きに抵抗の姿勢を示すように「脱原発」、「原発再稼働反対」などを訴 える市民集会やデモが、首相官邸前をはじめ全国各地で行われるようになった。

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また、2015 年に原発に対するイメージの世論調査において、「危険」(68.3%)、 不安(58.4%)、複雑(37.3%)という否定的なイメージの項目が上位にあがっ た。 さらに、福島原発事故は全世界の原発政策に深刻な影響を与えた。ギャラップ 2)は 2011 年 4 月 19 日に、世界 47 カ国・地域の原発意識の調査結果を発表した。 その調査によると、事故後、原子力支持は 57%から 49%に下落を示した。中国 でも、震災前に原子力発電に賛成する人が 83%を占め、反対の人が 16%にすぎ なかったが、震災後には原子力発電に賛成する人が 70%、反対の人が 30%にな っていた。2011 年 3 月 16 日、中国は国務院常務会議において、福島事故を受け て運転中原発の安全検査と原子力安全計画の策定をし、安全計画策定まで新規建 設計画の審査・承認の暫定的凍結を決定した。その後、2012 年 3 月 5 日、当時 の首相であった温家宝は全国人民代表大会の政府活動報告で、「安全の確保を前 提に原子力発電を発展させる」と表明し、同年の 10 月 24 日に、国務院常務会議 で、「エネルギー発展第 12 次 5 ヵ年計画」、「原子力発電安全計画」、「原子力発電 中長期発展計画」を承認し、凍結していた新規計画の承認手続きの再開見込みと いう決定を行った。つまり、福島原発事故が発生した後、中国の原発計画が一時 停止されたが、今後も原子力発電を発展し続けるという姿勢が示されたのであ る。 1-3. 研究目的 中国共産党の「喉と舌」としてのマスメディアは、原発事故をめぐっての報道 姿勢は政府と同じく、今後も原子力発電を推進すると推察される。名嶋(2015) は、事実を伝えるとされる報道には、その報道される事態に直接関わる行為者や 関係者が存在し、その上で、報道する組織・機関や記事を執筆・報道する担当者 も関わっており、報道には複数の第三者の「意図」が何らかの形で反映されてい ると考えるべきだと述べている。 本研究においてもその立場を踏襲し、原発及び原発事故について、中国のテレ ビ番組において、原発及び原発事故についてのイデオロギーとは何かを言語学の 視点から解明を試みる。

2. 先行研究

中国のメディアは 3.11 東日本大震災に高い関心を持っている。福島原発事故

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をめぐる中国メディアの報道に関する研究も多く、それらの研究は主に新聞の報 道研究(許 2011; 雷 2013)とテレビニュースの報道研究(曾 2011; 楊 2013)の二 つに大別される。 雷(2013)は中国の大衆紙『環球時報』と『南方都市報』を対象として、東日 本大震災をめぐる報道を取り上げ、分析を行っている。雷によると、福島の原 発・放射能に関する論点は3つある。一つ目は、放射性物質の拡散が中国社会に 放射能の脅威を再認識させ食品などの日常生活に大きな影響を与えたことであ る。二つ目は、日本の原発問題をきっかけに中国の原発事業の可否が問われ、結 果として原発推進に傾いたことである。三つ目は、日本の原発事故・東京電力に 対する否定的な評価を行い相対的に中国政府であればよりよい対応ができるとの 議論を行ったことである。 楊(2013)は中国国営メディア中央電視台(CCTV)の看板番組の一つである 「新聞調査」(2011 年 3 月 26 日放送)で取りあげられた「追問核電安全」を対象 とし、分析を行った。その結果、この番組は原子力技術の専門家である中国の大 亜湾原発の作業員へのインタビューを通じ、原子力の安全性に対する不安を緩和 し、最終的にある種の原子力安全神話を構築するイデオロギーを算出しているこ とが明らかとなった。 しかし、以上で取りあげた先行研究はジャーナリズムの視点から分析を行った ものであり、ディスコース分析の側面からミクロ分析をする論文ではない。その ため本研究においては、報道中の言語使用または言語的特徴に焦点を当て、中国 のテレビ番組は原発及び原発事故についてのイデオロギーをどのように表出し維 持したかについてミクロ分析を通して検討する。

3. 理論的枠組み

3-1. 批判的談話分析アプローチ

批判的談話分析(critical discourse analysis: 以下 CDA)は談話分析の1つのタ イプであり、主として、テクストや談話によって、社会における権力の濫用・支 配・不平等が生じ再生産される手法とそれに対する抵抗の手法とを、社会的・政 治的文脈において分析する。その反体制的分析と共に、CDA は自分自身の立つ ポジションを明示し、そしてそれ故に、社会的な不平等を理解し、人々の眼前に さらけ出し、究極的にそれに抵抗しようとする(Van Dijk 2008: 85; 名嶋訳 2015: 201)。

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CDA は一つの方法論ではなく、さまざまな形式があるものの、強固に理論に 基づいたものであるとされている。その種々の方法論はいかなる理論とも関連が ある。CDA の研究を行う時には、第一に、社会と権力の理論、社会認知論、そ して文法などのさまざまな理論的アプローチを体系づけることを目指す。第二 に、理論的概念の運用化の問題に関して述べる。ここでの主要な問題は、CDA のさまざまな方法論が、それらの理論的主張をどのように分析の道具立てにでき るのかということである。 また、CDA にとって「イデオロギー」は一つの中心的な概念である。「イデオ ロギー」という概念は 18 世紀末から使われ始めた。社会形態とプロセスを指す ものであり、その中で、またそれを介して、象徴的形態が社会的世界に広まって いった(Thompson 1990)。 Fairclough(2003) は、 イ デ オ ロ ギ ー を 次 の よ う に 再 定 義 し て い る。 “Ideologies are representation of aspects of the world which contribute to establishing and maintaining relations of power, domination and exploitation.” つまり、「イデオロギー は、世界の諸相の表象であり、それは権力・支配・搾取関係を構築・維持するの に与って力がある、というものである」(高木訳 2012: 11) CDA は日常的な信念の中に隠れている潜在的な固有のイデオロギーに関心を 持っている(Wodak & Meyer 2016; 野呂訳 2018)。現代社会において、イデオロ ギーは様々なテクストや談話が多様なメディアによって、ʻ 自然な ʼ 形で我々の 日常生活に埋め込まれ、それは権力を持つ個人・組織は自身の利害や価値観を正 当化・合理化するのに力を与える観念形態である。その中で、CDA は、特に政 府(政治家)またはマスメディアという社会への影響力の強い個人・組織はイデ オロギーを維持し、自然化するため、どのように談話の構造や方略を生産・再生 産することに探究している。 本研究では、中国のテレビメディアは原子力発電が安全そして不可欠というイ デオロギーを宣伝するために、どのような「姿勢を伴った」テクストを利用し, そして自身の主張をどのように合理化・正当化させるか分析することを目的とす るため、以下の理論的枠組みを利用して分析する。 3-2. トポス 権力の濫用や支配の生産および再生産における談話のさまざまな形式につ いては、多くの分析方法があるが、本研究の目的に合致する方法論として、 Wodak(2001, 2010) のトポスを採用する。「トポス」は、「論理学あるいは議論

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表 1 トポス(Wodak2001, 2010; 森本訳 2010) トポスの名称 論理命題 有利性・有用性の トポス ある特定の重要な観点からみて、ある行為が有用であれば、人はそれ を遂行すべきである。 無用性・不利性の トポス ある既存の決定事項が目的達成のために役に立たなかったり不利にな るのであれば、その決定は変えられなければならない。 危険・脅威のトポ ス もしある政治的な行為や決定が、特定の危険や脅威をもたらす結果に なるのであれば、それをすべきではない。もしある特定の危険や脅威 が存在するのなら、それらに対して何らかの手を打つべきである。 定義のトポス、名 前の解釈のトポス もしある行為、物事、あるいは人(人々の集団)が X と名付けられた り指定されたなら、その行為、物事、あるいは人(人々の集団)は X の(字義通りの意味)が含意する性質や特性、属性を持つ、もしくは持っ ているはずである。 人道主義のトポス ある政治的行為や決定が人権ないし人道的信念や価値観と一致するな らば、あるいは、一致しないならば、人はその行為や決定を行うべき である、あるいは、行うべきではない。 責任のトポス ある国家または人々の集団が特定の問題の出現に関与しているのだか ら、その国家ないしその集団はそれらの問題の解決策を見つけるため に行動すべきである。 正義のトポス もし人々や行為、状況が特定の観点から見て平等であるなら、その 人々 / それらは同じように扱われるべきである。 負担または負荷軽 減のトポス もしある個人や組織、国家に対して特定の問題により負担がかかって いるのなら、それらの負担を減らすよう行動すべきである。 財政のトポス もしある特定の状況や行為が、非常に多くの出費や収入の損失をもた らすのなら、その費用を減らすか、損失を避けるように行動すべきで ある。 現実のトポス 現実がその通りであるのだから、ある特定の行為 / 決定がなされなけ ればならない。 数のトポス 数がある特定のトポスの証拠となるのであれば、ある特定の行為が実行されるべきである。 法のトポスもしく は権利のトポス 法律、または成文化した規範が特定の政治決定上の行為を命じるか、 もしくは禁じるならば、その行為は実行されるか、もしくは実行され てはならない。 歴史のトポス 特定の行為が特定の帰結を生むということを歴史から学ぶことができ るため、言及された歴史上の例と比較できる(とされる)特定の状況 においては、特定の行為を実行するか、または実行してはならない。 文化のトポス ある特定の人々の集団の文化がそのようであるために、特定の問題が特定の状況で起こる。 悪用のトポス 援助に対する権利や申し出が悪用されるなら、その権利は変更される か、またはその援助が撤回されるか、悪用を防ぐための措置が図られ るべきである。

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過程(argumentation theory)において、義務的で、明示的かまたは推測可能な前 提に属する論証の一部」で、「結論と論証を結びつける、内容上の理由づけまた は「結論規則」である、あるいは「結論規則」であり、論拠と結論すなわち主張 と結びつけるものである。そのような点で、トポスは、論拠が結論へと至る過程 を正当化するものである(Kienpointner 1992: 194; 神田 2018: 50)。 Wodak(2010)は表 1 のような 15 のトポスを挙げている(pp.107-111)。 「トポス」はメディア・ディスコースでよく見られる。特にマス・メディアと いう公的で影響力ある媒介は、語彙、文法、レトリックなどの言語形式に、特 定の「トポス」を活性化させることにつながる引き金を仕込んでおけば(名嶋 2015)、オーディエンスを自身が望む結論へと誘導してゆくという可能性がある。 トポスは CDA にとっての有用性も検証された。具体例として、Wodak(2001) は 1992 年から 1993 年の「オーストリア主義」というオーストリア自由党の請願 について分析を行った。彼女によると、「オーストリア第一主義」は「定義のト ポス」、「有用性のトポス」、危険・脅威のトポス」などを利用し、オーストリア やドイツにおいての移民労働者が客または加害者として描かれ、したがって、彼 らは自分たちの母国に帰らなければないないというイデオロギーを伝達した。ま た、名嶋(2015)は特定秘密保護法に関する首相の記者会見記事を研究対象とし て、秘密保護法は施行すべきという結論を導くため、(当時の)首相には「数の トポス」、「無用性のトポス」、「責任のトポス」などが利用されたと指摘した。 本稿では、中国テレビメディアは中国の原子力政策の方針に沿って、「原発は 存続すべき」という結論へ導き、すなわち、「原発利用」をどのように正当化、 合理化させるか、トポスの理論を援用し考察していく。 3-3. 前提 前提 (presuppositions) とは、話し手がそうであるはずだと想定していることで ある。前提をもつのはあくまで話し手であり、文自体ではない。前提は話し手 の想定に過ぎないわけであるから、事実としては真でない場合もある。Levinson (1987)は、前提を “the common ground” embedded in an utterance which is taken for

granted by all the participants i.e. speaker & listener, or writer & reader(「前提」をす べての参与者、すなわち話し手と聞き手、あるいは作家と読者がおこなう発話 に当然のように埋め込まれた「共通基盤」(拙訳)と定義している。 Richardson (2007)は前提を “implicit claims inherent in the explicit meaning of a text or utterance

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にもともと備わっている暗示的主張」(拙訳))と定義する。すなわち、前提と は、特定の文脈の発話で参加者が真実として反駁することなく、特定の言語構 造によって誘発された非主張の情報を指す。つまり、「その情報を前提として扱 う」ということは、それを議論の土俵から降ろし所与のものとして扱うというこ とになる。 CDA は言語の中に現れた支配、差別、不平等など目に見えるものだけ分析す るアプローチではなく、「前提」のように、社会的権力、支配及びヘゲモニーに より生産された暗示的で、当然とされていることにも関わる研究である。 Fairclough(2003)は「権力関係は、所与のものとして広く受け取られている 意味によって最大限機能するといえるため、前提とされる意味は、とくにイデオ ロギー的に重要である」と主張した(Fairclough 2003: 58; 高木 2015: 19)。 Fairclough(2003)は、前提を以下の3つのタイプに分けている。 (1)存在の前提:存在しているものに関する前提。 (2)命題の前提:事実であること、事実でありうること、あるいは事実であろ うことに関する前提。 (3)価値の前提:優良なもの、あるいは好ましいものに関する前提。 本研究においても、前提の分析を用い、中国のテレビ番組で、福島原発事故が 人災であり、また原発の存続を当然視するイデオロギーの表出を観察することで その前提を見出していく。 端的に言えば、本稿は主に「トポス」と「前提」といった理論的枠組みを用い て、中国テレビメディアが福島原発事故に関する報道中に現れたイデオロギーを 考察し、そしてこれらのイデオロギーを維持するため、滲出された明示的または 暗示的な主張を明らかにする。 なお , 本稿の分析ツールには、テレビ番組の製作者あるいは管理者の心的 態度、姿勢、判断を表すモダリティや語彙の表現上のイデオロギー的意味 (Fairclough 2001b:129)についても検討する。具体的には、本稿の分析部分で詳 細に説明する。

4. 分析対象

本研究では、3.11 についての中国メディアにおける唯一の長篇ドキュメンタリ ー番組シリーズである以下のテレビ番組を分析する。

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分析対象:テレビ番組「日本大地震啓示録」 テレビ局:中国国営メディア中央電視台 (CCTV) の 13( ニュース ) チャンネル 放送日付:2011 年 4 月 23、24 日、25 日 シリーズ:「バタフライ効果」、「福島を救う」、「核の戒め」 合計放映時間:95 分 ドキュメンタリーとは、虚構によらず事実の記録に基づく作品である(スーパ ー大辞林 3.0 2010)。丸山(2013)は映像ドキュメンタリーをめぐる言説は出来 事をありのまま描く「客観的」な立場とドキュメンタリーの製作者の「主観的」 な主張の間で揺れ動いてきたと述べる。本研究の目的の一つはテレビ番組の製作 者あるいはテレビ局の管理者は報道の中でどのようなイデオロギーを維持するか 分析することであるため、ドキュメンタリーを対象とし、報道に隠されたイデオ ロギーを観察する。また、福島原発事故当時の 2011 年は様々な観点からの膨大 なテレビニュース番組が放映されており、それらを現在全てを収集することは困 難である。そのため、重要なニュースが製作者の観点からまとめられているドキ ュメンタリーを選択し、分析を行った。 このドキュメンタリー番組は中国で最も権威があるテレビ局、中央電視台で放 送された。テレビ局に関する詳細な紹介は下記の通りである。 中国中央電視台の公式ウェブサイトでは、中国中央電視台について以下のよう に説明する。

中国中央電視台(英語名は “China Central Television (CCTV)”)、中華人民共和 国の国営放送はテレビ局であり、1958 年 5 月 1 日に試験放送開始、9 月 2 日より 本放送が開始された。中央電視台は国家副部級の国家機関とされており、局内に は 24 箇所の副局級中心室および 6 箇所の附属部門が設置されている。 中央電視台は中国の重要なニュースや世論の発信機関であり、党、政府、そし て民衆の「喉と舌」である。中国における重要なイデオロギーおよび文化の拠点 で、現在の中国において、最も競争力、発信力を持つ主流媒体の一つである。 ニュース、社会教育、文化、娯楽、情報サービスなど、数多くの機能を備えてお り、全国の情報を集める最も主要なルートであると同時に、中国と世界の相互理 解を推進するルートである。 CCTV は、常に「国家責任、グローバルビジョン、ヒューマニズムセンチメン ト」の原則を遵守しており、基本的に開発とグローバルカバレッジを統合した 多様化、国際化の放送システムを確立し、今までに 13 個のデジタル有料チャン

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ネル、29 個のオープンチャンネルを含め、合わせて 43 個のテレビチャンネルと 529 個のテレビ番組を持っている(拙訳)。 そして、CCTV ニュースチャンネルの公式ウェブサイトでは以下のことが説明 されている。 (前略) CCTV11 は毎日 24 時間放送のチャンネルである。毎正時にニュース番組を放 送する。そして正時ニュースは、国内外のニュース情報をできる限り早く視聴者 に提供する。そして、ニュースの適時性と情報量を強調し、報道の繰り返し、ア ップデートを実現した。CCTV11 は スペシャル番組がある。スペシャル番組が ニュース解説、調査報道、世論監督、世論調査、法律などに関する番組に構成さ れ、正時ニュース番組を補充し、深める機能も果たす(拙訳)。 CCTV の説明から見ると、CCTV は自身の発信や世論監督の効能を重視する以 外に、国際社会への影響を強化している姿勢が見られる。しかし、中国では報道 の自由が制限されており、マスメディアは共産党政権の許容範囲内でのみ報道が 可能であるのに対し、西側諸国をはじめ、報道の自由を標榜する国々は中国のメ ディア政策を絶えず批判する。中国政府は、このような西側諸国のメティア報道 は外交上の障害であり、国際社会での影響力を強化させるには、自国のメディア の国際的影響力を強化して、国際社会における中国のイメージを改善することが 急務であると考えている(平野 2011)。また、ニューメディアの急速な発展によ って、政府は情報を完全に削除することが非常に難しくなる。それらの要因を考 えると、中国政府は情報を隠すより、情報を意図的に操作し、自身のイデオロギ ーを隠蔽させ報道すると推測する。

5. 『日本大地震啓示録』の内容分析

『日本大地震啓示録』というドキュメンタリー番組は東日本大震災が発生して から 1 ヶ月の出来事を記録するものである。この番組は「バタフライ効果」、「福 島を救う」、「核の戒め」3 つのシリーズに分けられ、福島原発事故を中心にし て、ナレーション、ジャーナリスト、専門家などによる原発事故の始末、原発事 故の処理や原発の意義について議論するものである。 本稿では、筆者は番組の一部を文字化3)し、内容によって現れるイデオロギ ーに着目しながら分析を試みる。

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(抜粋 1) 東京電力の対応への批判 J =ジャーナリスト F =冯毅 中国原子能機関研究員 X =薛澜 北京清華大学公共管理学院院長 1 J: この事故の一部始終を見ると、どんなポイントがありますか。もしあの 時こうして いたら、状況が違ったかもしれないというような。 2 F: いくつか重要なポイントがあります。 3 F: まず、東京電力が地震、津波が発生した後、被災状況に対する判断、そ して政府にどんな情報を報告したのか(ということです)。例えば、東 京電力は今回の事故を処理することができず、国に緊急救援を要求して いたら、政府の対応はずいぶん違っていたでしょう。私たちが思うに、 最初に報告した被災状況は保守的であって、またその情報を過小評価し ていた。だから、最初の四日間に国や政府の力があんまり動いておらず、 消防隊、自衛隊でさえ出動していなかった。 抜粋 1 は、ジャーナリストや専門家の東京電力の対応に対する批判である。ま ず、1 行目でジャーナリストは「もしあの時こうしていたら、状況が違ったかも しれない」という過去のことに対する仮説を語り始める。「もし〇〇したら」と いうセンテンスに「存在の前提」が見られ、すなわち、日本政府と東京電力はや るべきことをしなかったというミスがあると想定する。 つづく 2 行目と 3 行目においても、専門家 F はジャーナリストの仮説を踏ま えて東電の対処を評価する。 3 行目で、F は東京電力の問題点について説明する 時、「私たち」という一人称・複数の代名詞を使用する。汤(2015)によると、 学術及び技術に関わる話題において、この観点の権威性、一般性や客観性を表す ため、話し手は「私たち」という一人称の複数で自分を指す。ここで、F は「私 たち」を通して、東京電力は被災状況を保守的で過小評価していたという認識 を一般化、権威化させるとみられる。なお、下線部で F は「あまり…ない(几 乎…不)」という程度副詞の否定形を利用することで、国や政府の動きが遅い と言い表し、政府はどの程度の支援をしたのか不明瞭になってしまったが、張 (2000)、全(2005)によると、中国語の程度副詞の否定形には、「あまり…ない (几乎…不)」の程度が最も高く、ほぼ完全否定を意味する。 実際に、政府事故調査報告書(2012)によると、福島事故発生後、東京電力や

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日本政府の対処が不適切だったところが何箇所か見られる。例えば、東京電力が 原子力災害に対する備えの想定が甘い、政府諸機関が機能不全に陥ったこと、関 係組織の連携が不十分であったこと等の問題があった。しかし、政府事故調査報 告書と原子力災害対策本部の会議記録によると、原発事故発生した直後に、総理 大臣記者発表を一回、官房長官記者会見を四回行った。また、当日に防衛省は自 衛隊 80 名や陸上自衛隊化学防護車を福島第一原発へ派遣した。それらの取り込 みと専門家 F の発言が矛盾しているので、F は東京電力や政府の過失を誇張して いる可能性が高いと分析できる。つまり、抜粋 1 ではジャーナリストと F が事 故処理への日本の対応が不十分であることを前提にして、もし東京電力の処理が より迅速で、正確であったなら、事故の悪化を防止することができたと主張し、 そして , 責任を東京電力に帰結する意図が伝達されている。 次の抜粋 2 にも同じ傾向がみられる。 (抜粋 2)原子炉に注水する問題への推測 N =ナレーション X =薛澜 北京清華大学公共管理学院院長 4 N: 東京電力の応急処置を振り返ってみると、専門家は残念なことがたくさ んあると考えています。 5 N: 3 月 13 日に、原子炉が相次いで爆発しました。 その時、東京電力はやっと4つの原子炉に注水すると決めました。外部 の者は東京電力がぐずぐずしていて、決断しない原因は利益だと考えて いた、と一般的に思っています。 6 X: もしこの措置をもっと早く取っていたら、状況が違ったでしょう。直接 海水を利用するならば、この原子炉が今後使えなくなり、損失は大きく なります。損失と利得を天秤にかけることを企業がやるならば、問題が あります。 番組の映像から見ると、抜粋 2 も専門家の意見を尋ねる内容である。しかし、 この部分において、ジャーナリストの発話が収録されていない。そのかわりに、 東京電力に対するコメントがナレーションで流れる。4 行目の「残念」という望 ましくない事態を表す「価値的な前提」や 5 行目の「やっと(才)」と「ぐずぐ ずしない(迟迟不)」といった副詞を使用することで、東京電力の対応が不適切 であると批判する。張(2014)によると、「やっと〇〇した」、「ぐずぐず〇〇し

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ない」というセンテンスは、予想通りに〇〇するわけではなく、より早く〇〇 をするべきだという意味が伝えられる。それらの副詞を使用することで、原子 炉に注水するのは当たり前のことと表明されている。しかし、ここで注意した いのは、事故の処理を評価する時、ナレーションでは「専門家」や 5 の「外部 の者」、「一般的」といった不特定多数を指す代名詞が同時に使われ、これによっ て、東京電力は利益の考慮を優先したことが原因で、事故に対する処理が遅く、 不適切だという結論を再び一般化、権威化させていることである。 6 行目で、抜粋 1 の専門家 F と同じように、専門家 X は早く原子炉に注水し ていれば、原発事故の悪化は抑えられたという結論を出した。続いて、彼の発話 「直接海水を利用するならば、この原子炉が今後使えなくなり、損失は大きくな ります」には「財政のトポス」が使用され、「直接海水を利用するならば、損失 は大きい」という論拠と「東京電力は、出費や収入の損失を考えるため、なかな か原子炉に注水する決心がつかなかった」という結論と直接結びつけ、他の技術 的、政策的原因を全く言わず、東京電力は企業の損得を考慮するため、事故を悪 化させたと想定させる。最後に、6 行目の下線部のセンテンス「損失と利得を天 秤にかけることを企業がやるならば、問題があります」から見ると、企業が利益 優先という「事実前提」が提示され、原発事故という人命を脅かすようなことに 直面するような事態においても企業は利得を優先して判断するというイデオロギ ー、さらに抜粋 1 の 3 行目で東京電力は政府に正確な報告を怠っていたという言 説と掛け合わせると、他の機関 / 団体の介入、この場合は政府が必要であるとい うイデオロギーを暗に伝達していると考えられる、すなわち、東京電力という企 業で原発事故の処理をさせたら、特定の危険や脅威が存在するため、政府は何ら かの手を打つべきであるという「脅威のトポス」を利用し、したがって、処理す る権限を企業に持たせる政府政府、あるいは日本の制度を批判する意図が見られ る。 (抜粋 3) CNN の日本政府への質疑 C = CNN のアナウンサー 7 C: 「どうして残された 50 人の作業員にこういう局面を対処させるのか?か わいそうな 50 人。」 8 N: 悪化が進んでいる事態に対して、CNN のアナウンサーが次のような質 問を投げかけた。 9 N: 「なぜただのいち企業にその局面を対処させるのか、なぜ 50 名の作業員

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に 6 つの原子炉の責任を取らせるのか?」 10 N: 国際社会は福島 50 勇士に敬意を表すと同時に、日本の対応方法にも疑 問を投げかけました。 11 N: 実はこれらの作業員はもう最後の防御線となりました。もし、この防御 線を失ったら、その結果を負うのは決して日本だけではないのです。 抜粋 3 は、CNN ニュースの引用と、ナレーションの評論の二つの部分が組み 合わされたものである 7-9 行目は、『日本大地震啓示録』における CNN アナウン サー発言を引用したものである(ニュース番組「American Morning」3 月 16 日)。 Pape & Featherstone(2005)によると、ニュースにおける引用は人々の関心を引 きつけ、ニュースの真正性を支える重要な役割を果たす(坪井訳 2016)。それゆ え、報道の中立性や客観性を示すのに、報道中に他人の Voice(Bakhtin 1986)を 差し込むことが一般的になる。ただし、報道中で Voice の引用や Voice の順序付 けは社会的統制の対象とする(Fairclough 1995)。つまり、報道中に誰の発言ま たはどのような発言を引用することが編集者にコントロールされていると考えら れる。 取り上げられたニュースに目を向けてみると、CNN のニュースにおいて、ア ナウンサーは “my question is, where is the international atomic agency? Why are we letting a private tullety manager a situation in which 50 workers、50 poor workers are left to manage six reactors on their own”(Internet Archive参照)という発言によって、 50 人の作業員に 6 つ原子炉の責任を取らせるという行為を批判する。

まず、当番組は 7 行目で、CNN アナウンサーは “Why are we letting a private tullety manager a situation in which 50 workers、50 poor workers” と語っている映像 を取り上げ、中国語の字幕を付けて放送した。しかし、中国語に訳する際に、発 言の主語 “we” が省略された。Fairclough(2001)によると、受身の動作主を省略 することで、事件/事故の責任者が不明になった。ここで、「50 人の作業員に対 処させる」という主語を省略する使役形を利用することを通し、50 人の作業員 を対処させる責任者(組織)を明確的に指摘しなかったが、10 行目の「日本」 を加えることで、9 行目の主語は日本となり、50 名の作業員を原子炉に処理さ せることを日本に帰責すると考えられる。また、7 行目で、元の発言「50 poor workers are left to manage six reactors on their own」を中国語に訳する際に、主語 「50 poor workers」のみ焦点に当てられ、感嘆文として取り上げられた。さらに、 「残された」、「かわいそう」といった感情表現を含む言葉を加え、CNN アナウン

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サーは 50 名の作業員への同情と、日本の対処に対する感情面で納得できず、人 道主義に反することを強調する意図が見られる。

そ の 後 の 8–9 行 目 で は、 当 番 組 は CNN ア ナ ウ ン サ ー の 発 言 “where is the international atomic agency? Why are we letting a private tullety manager a situation in which 50 workers” を引用したが、二つ目のセンテンスの主語 “we” も省略された。 ここで、7 行目と同じように、9 行目の主語は日本となり、「international atomic agency(国際原子力機関)」の責任を全く言及せず、50 名の作業員に原子炉を処 理させることと東京電力という一つの企業だけに事故を対処させることを日本に 帰責させていると考えられる。したがって、「ある国家または人々の集団が特定 の問題の出現に関与しているのだから、その国家ないしその集団はそれらの問題 の解決策を見つけるために行動すべきである」という「責任トポス」を用いて、 日本の対応は非人道的で、不適切であると批判する。 まとめると、7-9 行目において、『日本大地震啓示録』は日本側を直接的に批 判するわけではなく、引用の形で日本の過失を批判する。しかし、本番組のコン テクストから見ると、ここで引用することで、CNN アナウンサーへの同意を示 し、そして、彼の声を借りて番組の論点の説得力を増大させると言える。 そして、10 行目の「国際社会」に注意すべきである。「国際社会」は英語の 「 international community」から訳し、世界の政府および人々のおおまかなグルー プのことであり、地政学や国際関係について使われるフレーズである。Michael & Georg(2003)も international community というフレーズは常に活動家、政治 家とコメンテーターに使われ、必要なアクションを求め、対象国へ政治的プレッ シャーをかけることに対して使われると述べる。つまり、政治的場面において他 国を連合し、対象国を非難するため多用される。ここで、「国際社会は日本の対 応方法にも疑問を投げかける」による、日本は国際社会から排除され、数多くの 国の非難の対象になるというイデオロギーを伝えている。 最後の 11 行目で、日本の不適切な対応は人道主義の原則に違反すると同時 に、「決して~ない(绝不)」という蓋然性の高さを表す否定的なモダリティの副 詞を加え、日本政府の無責任な行為は全世界に巨大な脅威をもたらすと強調す る。 (抜粋 4) 福島 50 人の救援活動に対する評価 J =ジャーナリスト F =冯毅 中国原子能機関研究員

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12 J: 東京電力の勇敢な職員 50 名は、最も危険な仕事を引き受けていた。こ れは称賛すべきことですが、実際に、原発事故の救援活動はそうするべ きではなく、50 名のヒーローだけによって行われるべきではないよね。 13 F: 如何にして、我々国際社会の原発事故を処理する能力を高めますか、原 発事故がいつか、どこかで起こるにしても、すべての力を動かせて、そ の危害をどのように最小限に抑えますか。 14 F: 国際社会がこの問題について検討に値すると思います。 15 F: 如何にして、さらに操作しやすい国際的ルールを作って、原子力発電を より安全にして、私たちの一般市民を確実に安全にさせるかという問題 が存在しています。 抜粋 4 は、ジャーナリストと専門家 F のインタビューを通し、福島 50 名の作 業員に対して評価をしている部分である。まず、福島 50 名の作業員を褒め、日 本政府や東京電力の対応を批判する主張が示されている。12 行目 J は「~すべ き(值得)」、「~すべきではない(不应该)」と当為評価のモダリティを使用し、 福島 50 名の作業員の行為を称賛すると同時に、この計画が不適切だと指摘して いるという価値観が伝えられている。抜粋 3 のコンテクストと合わせると、この 部分は、福島 50 名の作業員の行為を褒めているのに対して、福島 50 名の作業員 に救援活動を行わせる政府を批判するものとなっている。 また、抜粋 4 は原発事故の処理と救援は全世界に関連する事態であることを強 調する。抜粋 4 の 13 行目、14 行目で F は「国際社会」という言葉を何回も繰り 返し、原発事故の処理は一国のことではなく、多くの国に影響を及ぼすことにな ると主張するが、「国際社会(国际社会)」「国際ルール(国际规则)」といった複 数の主体を包摂し、抽象的な言葉を使用することで、動作の主体が特定できず (Fairclough 1995、2005)言い換えれば、 どの国/組織は「国際ルール」を策定・ 実施する責任を持つのか特定できず、もし新たな原子力事故が発生したら、国家 /組織の介入と責任の追及もかなり難しいのではないだろうかと考えられる。 その後、15 行目で、専門家 F は「私たちの一般市民を確実に安全にさせる」 と発言し、国際ルールを作ると提唱する。Fairclough(2001)によると、ʻweʼ を、 すべての国民(視聴者を含む)を指す包括的な ʻweʼ と、視聴者を除く、政府の 集合体を指す排他的な ʻweʼ といった用法がある。つづく言葉「一般市民」を見 ると、ここで、F の「私たち」は視聴者を含め、包括的 ʻweʼ だと言える。しか し、「私たち」の後で、「の(的)」という助詞をつけることによって、自分と一

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般市民の所属関係を示す(朱 1982、邢 1996)。つまり、F は専門家の立場に立 ち、自分たち(専門家、政府機関)は一般市民の安全のために尽力すると表象さ れている。 さらに、F は 13 行目の「原発事故を処理する能力を高めます」と 15 行目の「原 子力発電をより安全にして」を述べ、「原発の稼働」という「存在の前提」を利 用し、一般市民に原発をこれからもずっと使い続けることを受け入れるというイ デオロギーを伝えている。ここで注意したいのは、リスクから抜け出す方法につ いての内容である。つまり、国際ルールや国際体系のことに触れられているが、 最も直接的な方法、脱原発のことについては一切言及されないことである。 (抜粋 5)放射能が全世界に拡散している原因を説明すること 16 N: 21 世紀の現在、人類は経済発展がもたらした温室効果ガス、および様々 な汚染に向き合わなくてはなりません。また、(我々は)効率的で、エ コ、そして経済的な原子力が自然災害においてのリスクになることを正 視しなければなりません。 17 N: しかし、今回の原発事故の全貌を見渡すと、放射能が全世界に拡散して いることは、原子力を利用・防護するからではなく、むしろ原発事故の 発生当時、日本政府と運営企業の対処が不適切であったことが(多くの 人)に認識されました。 抜粋 5 はナレーターの独白である。すなわち、抜粋 5 はジャーナリストあるい は専門家な意見ではなく、ドキュメンタリー編集者の立場を直接に反映する内容 と言えるだろう。 16 行目で経済発展と汚染、 原子力とリスクの関係を叙述するとき、「向き合わ なくてはなりません(需要面对)」、「なければなりません(必须)」という「当為 的な主張」を利用する。「すべき(应、应该)」「せざるを得ない、しなければな らない、(得、需要、必须)」、「必要(必要 )」といった中国語の義務モダリティ 表現には、動作/事件の主体が動作 / 事件の責任と義務を受けることを意味する (邢 1992; 彭 2007; 薛 2018; 拙訳)。そのため、17 行目のナレーションによる、経 済発展と原子力のメリットを受けている我々が、汚染や原子力のリスクを背負う べきだと主張する。また、16 行目では、「現実がその通りであるのだから、ある 特定の行為/決定がなされなければならない」という「現実のトポス」と「命題 の前提」のディスコース・ストラテジーが用いられ、「経済発展=汚染」という

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フレームを作り、経済を発展させると同時に、環境の汚染は回避できない価値観 を伝えているのではないだろうか。 さらに、16 行目で原発は効率的で、エコ、そして経済的なエネルギーと定義 され、これらのメリットを利用すると同時に、原発のリスクを認め、回避すべ きではないと主張する。ここで注意してもらいたいのは、16 行目の主語は「人 類」であることである。「人類」は包括的な ʻweʼ として使われるが、「人間(人 们)」、「我々(我们)」といった言葉と比べ、個々の人間や民族などの相違点を越 える「類」としての人間のことである。この用語には、「生物種としてのヒト」 という側面と、ひとつの「類」として実現すべき共同性」という側面がある(阪 上 1998: 858)。それによって、地球上に住んでいる全ての人は「経済を発展させ ると、汚染は避けられない」、「原発のメリットを得ると同時に、原発のリスクを 認める」という現実は不可避であると強調する。 次に、17 行目で放射能が全世界に拡散している原因を日本政府と運営企業の 対処が不適切であったことに帰属させる。16 と 17 といった二つのセンテンスは 「しかし(而)」という逆接詞で結びつけられ、前文と後文は全部あるいは部分的 に正反対であると意味する(邢 1992,程 1998)。福島原発事故のように、放射能 が全世界に拡散していることは自然災害からに導かれる結果ではなく、東京電力 と日本政府の責任であり、すなわち、人為的なリスクであると主張する。つづく 下線部で、「多くの人(人们)」は不特定多数を指す人称代名詞を使用すること で、東京電力と日本政府は、専門家は言うまでもなく、一般の人まで察知される ほど重大な過失を犯すというイデオロギーが暗黙的に伝達されおり、東京電力や 日本政府の不備を再び批判する。 以上の 5 つの抜粋では、『日本大地震啓示録』はジャーナリストの発言、専門 家の意見とナレーションの叙述による組み合わせた。また、番組の客観性と権 威性を保つため、『日本大地震啓示録』は日本国民と国際社会の立場に立ってお り、専門家と CNN のアナウンサーの発言を引用することで、福島原発事故がこ のような深刻な状況になった原因は東京電力や日本政府の対処が不適切であった と指摘している。まずは東京電力を批判する。例えば、東京電力が日本政府に報 告した被災情報は保守的すぎ、また状況を過小評価しすぎたこと、さらに自社の 利益ばかりを追求したことで、原子炉に注水する時間が遅れてしまったと強調し た。次は日本政府を非難する。主に、日本の制度は問題があるため、原発事故の 影響は全世界に拡散したと主張し、そして政府の福島 50 人に原発で救助活動さ せるというような行為は不適切であり、全世界の批判を受けていると説明した。

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さらに、東京電力や日本政府を非難すると同時に、原発存続を前景化させ、原発 の必要性・重要性を宣伝し、より安全な国際ルールや国際体系を作ることを提唱 している。

6. まとめ

ニューメディアの急速な発展に至るまでは、言語学者 van Dijk(1991)も指摘 しているように、マスメディアは様々な情報にアクセスする手段を事実上独占し ていたため、一種の権力を持っており、視聴者に少なからぬ影響を与えてきた (1991, 1998 布尾訳 2008: 59)。中国の場合も、共産党に全面的に統制された中国 メディアは番組を通し、編集者、テレビ局、さらに中国政府の意見とイデオロギ ーを視聴者に伝えてきた。そして、これらのイデオロギーを視聴者に受け入れら れやすいように、いくつかのストラテジーを用い、談話を「再生産」している。 CTR1)(中国中央電視市場研台究股份有限公司)の 2010 年の調査によると、テ レビメディアを利用し、日常生活で情報を取得する人が最も多い、72.8%を占め ている。同社 2011 年の調査「2011 年上半期の重大事件の情報をどのように手に 入れた」によると、テレビメディア、特に中国中央電視台(CCTV)を利用した 人が最も多く、その中で、中国中央電視台で東日本大震災の情報を取った人が 74.8%といった結果がわかった。また。「転型期的中国伝媒公信力(変革されて いる中国メディアの信頼性)」は 2009 年―2012 年において中国の上海、北京、 広州などの 12 つ大都市の住民を対象として、メディアの信頼性について調査し た。その結果、「中央電視台は最も信頼性があるテレビ局」という点で、全ての 都市に共通していた。 それらの調査結果を通して、中国の視聴者にとって、ニューメディアが発達し た現在でも、その閲覧制限がある中国においては、マス・メディアの「再生産」 能力は、未だ無視できず、特に中国中央電視台という国営テレビ局の視聴者に対 する影響は依然として大きいと言える。 したがって本稿で、筆者は中国のドキュメンタリー番組『日本大地震啓示録』 を対象とし、批判的談話分析の観点から、ミクロ分析を行った。分析を通して、 『日本大地震啓示録』という番組の中において、原発事故の悪化を東京電力と日 本政府に帰責する上で、原発の必要性・重要性を宣伝し、原発を当然視するイデ オロギーが観察された。また視聴者に受け入れられやすいように、トポス、前提 化などの言語ストラテジーを使用することで、原発利用を正当化、合理化させる

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と明らかにした。 『日本大地震啓示録』は東日本大地震に関する唯一のドキュメンタリーである が、東日本大震災および原発に関するほかの特別報道番組もある。筆者は今後、 特別報道番組のデータを収集し、今回研究した『日本大地震啓示録』と、ほかの 報道番組との比較分析を行い、異なる番組で表出するイデオロギーが一致するの かどうか分析してみたい。 さらに、『日本大地震啓示録』の内容について、筆者は視聴者がどのように考 えるのかということに関心を持っている。先述のように、福島原発事故が発生し た時点で、中央電視台を信頼しており、中央電視台で情報を取った中国人が多い が、インターネットメディアが急速に発展してきたことに伴い、多くのマス・メ ディアで報道しないまたはできない 4 情報がネットメディアを通して伝達した。 それゆえ、今の時代において、政府は情報を完全に管制することはますます困難 になっている。例えば、2011 年温州市鉄道衝突脱線事故と最近の「新型コロナ ウイルス」に関する報道について、情報の不透明、報道の客観性の欠如などの点 で、ネット上で強い反発が見られる。そのため、『日本大地震啓示録』を調査対 象として、視聴者は番組で伝達されたイデオロギーを読み解けるのか、またこれ らの主張や価値観を受け入れるのかという点について、今後の調査を試みたい。 【注】 1) CTR とは本社を北京に置く中国の大手調査会社である。国内最大の調査網を持ち、市場調 査と分析、コンサルティングを業務とする。消費者指数、消費動向、メディア戦略、医療、 自動車、金融、電子通信機器などの幅広い分野で展開する。 2) G.H.ギャラップが 1935 年に設立したアメリカ世論調査研究所が行なっている世論調査. 科学的な方法論(統計学的な確率論)による標本抽出(回答者の選出)ならびに面接法に よる調査によって世論調査が精度の高いものであることを,全米および世界に知らせた功 績があり,現在も民間の世論調査会社の調査としてはギャラップ調査がアメリカで最も信 頼性が高い. 3) 本稿で取り上げられた抜粋は拙訳であり、中国語の原文は以下のように示す。 (抜粋 1)对东京电力的批判 J =记者 F =冯毅 中国核能行业协会研究员 1 J:在这个事件发生的前前后后,有哪几个关键点.当初如果那么做的话,情况可能会不一样. 2 F: 有几个非常重要的关键点. 3 首先就是地震,海啸发生后对灾情的判断.你报给政府到底是什么样的信息,你说我 公司不行了,我需要启动国家应急救援.那么政府他的响应是不一样的.我们感觉到, 刚开始报的信息应该说太保守了,或者说把这个信息讲得太轻.所以我们看到,前四 天几乎没有动员国家力量,政府也没有动员,连消防队,自卫队都没有上. (抜粋 2)对向原子炉注水问题的推测

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N =旁白 X =薛澜 清华大学公共管理学院院长 4 N: 回头再审视这之前东京电力公司的应急置,业内人士认为有诸多遗憾. 5 东京电力是在 3 月 13 日,其他反应堆相继出现爆炸之后,才决定向 4 个反应堆同时灌 水的,外界普遍认为,东京电力迟迟不愿意这样做,是出对企业利益的考虑. 6 X: 如果这个措施采取的更早我们现在看到的情况是不是可以避免.直接用海水的话,那 么有可能这个设备以后不能再用,损失可能很大.这种权衡,如果仅仅是由企业来做, 这背后就是有他的问题. (抜粋 3)CNN 播音员对日本政府的质疑 N =旁白 C = CNN 播音员 7 C: “ 为什么被留下来应对这种局面的是 50 个工人? 50 个可怜的工人! ” 8 N: 对于正在恶化的失态,CNN 评论员发出了这样的疑问-为什么会出现让一个企业来处 置如此局面的情况 , 为什么照料六个反应炉的责任落在了 50 名工人的头上 ? 9 国际社会在纷纷向五十勇士致敬的同时,也对日本的处置方式提出质疑. 10 这些工人实际上已经成了核电站的最后防线.然而,一旦这条防线失守,承担后果的 绝不仅仅是日本. (抜粋 4)对福岛 50 人的评价 J =记者  F =冯毅 中国核能行业协会研究员 11 J: 东京电力有 50 个勇敢的职员,承担最风险的工作,非常值得让人敬佩,但是实际上马 上会想,其实核电站的救灾,实际上不该是这样的.不应该是五十个英雄人物. 12 F: 如何能够提高我们整个国际社会,应对核事故的能力,不论核事故发生在何时何地, 能够把所有的力量动员起来,把危害降到最小. 13 我觉得这个问题,值得国际社会思考. 14 如何建立一个更具操作性的,这样一些国际规则,使核电更安全,让我们的公众真正 能够放心. (抜粋 5)关于核污染扩散的原因说明 N =旁白 15 N: 在 21 世纪的今天,人类需要面对经济发展所带来的温室效应,和各种污染,也必须要 正视高效 , 绿色,经济的核技术在自然灾难中需要面对的风险. 16 而纵观此次日本核事故的全过程,人们不难发现,整个核泄漏的全球扩散过程并不来 源于人类对核技术本身的利用和防护,而来源于在危机处理过程中,日本企业和政府 处理措施的失当。 4) 中国のジャーナリストは「憲法,法律及び宣伝規則を積極的に遵守する.党の理論,路線, 方針及び政策を確固として宣伝する.自ら取り扱うメディアを利用し,党中央の決定に反 する内容を宣伝してはいけない」と要求されている(金 2000: 100; 西訳,2008: 99). 【参考文献】

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表 1 トポス(Wodak2001, 2010; 森本訳 2010) トポスの名称 論理命題 有利性・有用性の トポス ある特定の重要な観点からみて、ある行為が有用であれば、人はそれを遂行すべきである。 無用性・不利性の トポス ある既存の決定事項が目的達成のために役に立たなかったり不利になるのであれば、その決定は変えられなければならない。 危険・脅威のトポ ス もしある政治的な行為や決定が、特定の危険や脅威をもたらす結果になるのであれば、それをすべきではない。もしある特定の危険や脅威 が存在するのなら、そ

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