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企業における技術情報源の考察と効果的な活用法の提案
A study of Technical Information Sources and
Proposal on effective usage of Sources for Enterprise
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In this paper, technical information which plays an important role in the decision making of corporate research and development is focused to set up the corporate strategy on R&D. In particular, the effective usage of technical information sources is examined, since those are inevitable through the practice of Intelligence theory which focuses on new product or new technology development. In addition to existing sources, the social media which has recently gained strong attentions is studied.
As a result, necessary and enough sources of technical information sources are gathered and total view is unveiled. Furthermore, with a competitive advantage for enterprise technology strategy, an effective technical information sources and key notes are summarized and proposed. The effectiveness of the proposed method is verified by the case study of actual decision-making on new product planning and development of the A company. The report contributes to strategic planning of technology development for the enterprise who wants to increase competitiveness. �� 本論文では,企業における研究開発戦略を策定する意思決定に必要とされる重要な技術情報に着目した。特に製品 あるいは技術開発に焦点を絞り込んだ一連の理論と手法である技術インテリジェンスの実践活動の中で求められる, 信頼性の高い,有益な技術情報の情報源を分析した。さらに近年注目されているソーシャルメディアを情報源として の考察も行った。その結果,企業が技術情報を収集する情報源の実態と動向が明らかになった。 最後に効果的に活用できる技術情報源と留意点を取りまとめ有効化の方法を提案し,A 企業における新製品開発の 意思決定の事例を取り上げ有効性の検証を行った。本研究は競争力を強化したい企業の技術戦略の策定に寄与しよう とするものである。
*Fumiyuki Takahashi ●静岡大学創造科学技術大学院 博士課程 ●東海大学大学院電気工学研究科 ●工学修士/MBA ●〒432-8011 静岡県浜松市中区城北3-5-1 ●053-478-1467 ●[email protected]
●PhD Candidate, Graduate School of Science
and Technology, Shizuoka University
●Tokai University Graduate School
●MA of Engineering from Tokai University,
MBA from Nihon University
●3-5-1 Johoku, Nakaku, Hamamatsu 432-8011,
Japan **Teruhisa ICHIKAWA ●静岡大学情報学部特任教授 ●慶應義塾大学工学部管理工学科 ●博士(工学)(慶應義塾大学) ●〒432-8011 静岡県浜松市中区城北3-5-1 ●053-478-1540 ●[email protected]
●Professor, Faculty of Informatics, Shizuoka
University
●Faculty of Technology, Keio University ●Ph.D (Keio University)
●3-5-1 Johoku, Nakaku, Hamamatsu 432-8011,
Japan ***Hiroshi MINENO ●静岡大学創造科学技術大学院 准教授 ●静岡大学大学院理工学研究科 ●博士(工学) ●〒432-8011 静岡県浜松市中区城北3-5-1 ●053-478-1491 ●[email protected]
●Associate Professor, Graduate School of
Science and Technology, Shizuoka University
●Shizuoka University Graduate School ●Doctor of Engineering from Kyushu University ●3-5-1 Johoku, Nakaku, Hamamatsu 432-8011,
Japan ****Masakatsu NISHIGAKI ●静岡大学創造科学技術大学院 教授 ●静岡大学大学院電子科学研究科 ●博士(工学)(静岡大学) ●〒432-8011 静岡県浜松市中区城北3-5-1 ●053-478-1467 ●[email protected]
●Professor, Graduate School of Science and
Technology, Shizuoka University
●Graduate School of Electronic Science and
Technology, Shizuoka University
●Ph.D (Shizuoka University)
●3-5-1 Johoku, Nakaku, Hamamatsu 432-8011,
Japan *****Yoshio SUGASAWA ●日本経済大学(渋谷キャンパス)教授 ●米国ノースロップ工科大学大学院 ●工学博士(北海道大学) ●〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町24-5 ●03-3463-4112 ●[email protected]
●Professor, Japan Economical University
Shibuya Satellite Campus
●Graduate School of Engineering, Northrop
Institute of Technology
●Doctor of Engineering (Hokkaido University) ●24-5 Sakuragaoka-Cho, Shibuya-Ku, Tokyo
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今日の情報化社会においては,あまりにも多種多様な 情報が氾濫している。企業において迅速かつ適切な意思 決定,経営判断を下すために,「タイミング良く正確な情 報」を収集し,組織として活用することが必要不可欠で ある。[1] 情報が新しい経営資源として活用されるには,さまざ まなデータを集約,分析し,ビジネスの状況を可視化す るビジネス・インテリジェンス(BI)手法と,競合企業 あるいは競合相手に焦点を絞り込んで情報収集・分析・ 評価するコンペティティブ・インテリジェンス(CI)と 呼ばれている手法に係わる研究と企業での実践が欠かせ ない[2]。多くの企業では,BI ツールを導入しはじめ, 経営戦略やマーケティング戦略の構築を行っているよう に思われる。特に,企業の浮沈をかける新製品・新技術 開発あるいは新規ビジネスを展開するには,最新のリア ルタイムの技術情報が戦略構築の基礎として活用される ことが要求される。製品あるいは技術開発に焦点を絞り 込んだインテリジェンス活動には,テクニカル・インテ リジェンス(TI)[3] と呼ばれている手法が有用である。 インテリジェンス活動の第一歩は情報収集である。正 確な情報がどこにあるのかを知る,すなわち情報源を得 るには,それなりの経験と知識が求められる。企業は経 営活動を通じて,さまざまなシグナルを出している。従 って,それを正確に読み取ることができれば,競争戦略 の策定上,極めて役に立つことは確かである。ここで重 要なのは,真実のシグナルと見せかけのシグナルとの区 別であり,特に信頼できる情報源の見分け方及び正しい 判断が必要になる。 そこで本研究の目的は,企業のTI 実践活動の中で求 められる,高信頼性でかつ有益な技術情報の情報源を考 察し,企業が技術情報を収集する情報源の実態と動向を 明らかにし,その情報源を効果的に活用できる技術情報 の収集法を提案することである。 本論文の構成は以下の通りである。第2 章でまず技術 シグナルと情報源に関する先行研究のレビューを行い, 次に技術情報源の利用に関する調査分析の結果を述べ る。第3 章では企業の技術情報収集の実態と動向を明ら かにして,問題点を指摘し課題を明示する。第4 章で活 用すべき技術情報源とその効果的活用法,および情報収 集の留意点を提案する。第5 章では A 企業において新 製品開発の意思決定の事例を取り上げ,本提案の有効性 を検証する。最後に本論文のまとめを行うとともに,今 後の課題を述べる。� 技術シグナル���������
��1 ����������� インテリジェンス(Intelligence)という用語は情報 (Information)や知識という用語と密接に関連してい る。ここでは,今後本論で使われる情報という用語のよ り深い理解を得るために,ビジネス視点の理解と定義を 整理してみる。 一般的に情報は一次情報と二次情報に分類される。一 次情報は独自の調査設計で,オリジナルの情報が得られ るが,調査費用と時間がかかる。二次情報は入手費用が 比較的安価,短期間で入手できるが,目的通りの情報が 存在するとは限らず,情報の信頼性に問題がある場合も ある。 松平[4]は知識資源の視点から情報要素に4階層の構 造を定義している。第一階層は戦略情報,第二階層は戦 術情報,第三階層は管理情報とし,第四階層を業務情報 とする。最上部の戦略情報は,企業競争上必要な情報で あり,競争相手のM&A 情報や新製品開発情報など戦略 性が高い情報と定義されている。本研究では戦略情報と しての新製品開発のための技術情報の情報源を考察する。 情報爆発の時代にいかに役に立つ情報を信頼性の高い情 報源から収集し,組織として活用するかは不可欠な経営 課題であると思われる。 ��� �����シグナル�技術シグナル���� Michael E. Porter [5] の競争戦略にはマーケットシグ ナルという概念が提唱されている。これは,競争市場に おいて,企業が戦略や行動をとるに際し,企業自体が発 する意図,動機,目標,企業状況などを示す情報を指し ている。 マーケットシグナルの中には,脅しや警告を与えるも のもあり,ある種の行動の兆候として捉えることができ るものもある。こうしたマーケットシグナルの捉え方の 重要な点として,真実のシグナルと見せかけのシグナル との区別が挙げられる。競争する前に競争相手の意図を 知れば,競争を有利に導くことができると思われる。 図 1 技術シグナル出典:Merrill S. Brenner, Technology intelligence and technology scouting
技術情報に関しては,Merrill S. Brenner [6]はTI とテ クノロジスカウティング(TS: Technology Scouting)の 関係を議論するにあたって,新製品の開発から製品化ま での期間におけるいくつか技術情報のシグナル感度を表 す技術シグナルを提示した。図1は新製品,技術開発に おける情報源のシグナルの強さを示すものである。まず 新製品の開発開始時に,科学文献,企業間の共同研究, 提携事業,パートナーシップの噂や発表など弱いシグナ ルを見出すことができる。その後は特許が公表される。 ただし,特許は3,4年早く実施された開発を分析する ことが出来るが,的確に技術の変化を確認・整理するた めにはタイムリーな情報とは言えない。最後に最も強い シグナルが起こるのは,製品発表,製品売上の情報であ る。その後,Merrill はエアプロダクツ(Air products) 分析の事例[7]を介して,初期シグナルの技術情報収集の 重要性を指摘している。 しかし技術情報源に関しては,先行研究のどれもが概 念や利用法などの紹介に留まっている。技術シグナルが どういった条件の下で有効となるのか,有効な技術情報 シグナルを発する情報源の条件とは何か,についての示 唆は得られていないと考える。 情報源に関しては,Alan L. Porter ら[8]がデータベー ス,インターネット,人脈を重要な情報源として指摘し ている。(表1参照) 表 1 TI における情報源
Source Technological Content Contextual Content Databases
(empirical)
A. Compiled, filtered, organized R&D (publication, patent, etc.) information
B. Compiled, filtered, organized business and socioeconomic information Internet (empirical) C. Diffuse, up-to-the-minute, illstructured technical information D. Diffuse, up-to-the-minute, illstructured business and socioeconomic information Human
(tacit)
E. Technical expertise (tacit
knowledge) F. Business and contextexpertise (tacit knowledge)
出典:Alan L. Porter: Mining the internet for competitive technical intelligence 人的情報源で情報収集の有効性などの研究[9,10]が多 くあったが,最近ではSNS(ソーシャル・ネットワーキ ング・サービス)などソーシャルメディアが情報源とし ても注目されている[11]。Toni Wilson[12]は経済情報の情 報源とCI に関する公開情報源[13]を論じたが,企業の視 点から技術情報に関する明確な情報源,信頼できる情報 源を捉える方法などの先行研究は極めて少ない。また従 来の諸学問からのアプローチでは問題に到達することは できないでいる。 問題の解決には,企業において実際にどのように技術 情報を収集しているか,何が有効な情報源となっている かに関して,実態を把握する必要がある。ここでは,こ うしたシグナルが有効となる信頼できる技術情報源につ いて考えたい。まずは企業がどのように企業情報,技術 情報を収集しているかについて,近年の関連アンケート 調査結果を見てみよう。 ��� ��情報源に��る���� 現在多くの日本企業では,なんらかの技術関連の情報 を収集している。文部科学省科学技術政策研究所の平成 22 年 9 月の第2回全国イノベーション調査報告では,自 社内あるいは自社以外からの情報を利用して,イノベー ション活動を実施した企業を対象に,最も重要な情報源 について質問している。その結果は,「顧客またはクライ アント」,「自社内・グループ企業」,「供給業者」と回答 した企業が上位を占めており(図2),企業は自社を含む グループ企業や取引のある企業を主要な情報源としてい ることがわかった[14]。一方,大学を含めた研究機関や 競合他社を情報源としている企業や,技術情報に関する 重要シグナルである文献,特許情報を利用している企業 は少ないという結果であった。 図2 最も重要な情報源 出典:科学技術政策研究所全国イノベーション調査報告 (平成 22 年 9 月実施) また,財団法人経済広報センターの2007 年情報源に 関する意識・事態調査の結果[15]では,企業が一般的な 社会の動きを知ろうとするときに利用する情報源は「新 聞」(93%),「テレビ」(90%)がそれぞれ9割であり, 企業情報を収集するときに最も信頼する情報源は「新聞」 で57%という結果であった。これは平成22 年内閣府が 実施された科学技術と社会に関する世論調査[16]におい て,科学技術に関する知識(科学技術情報)の入手源が, 「テレビ」(87.1%),「新聞,雑誌」(58.8%)等のマス メディアに依存しているという調査結果と,ほぼ同様で ある。 ソーシャルメディア情報は,最近では非常に重要な情 報源となりつつある。調査会社ニールセン社2009 年の 宣伝媒体や情報源に対する信頼度に関する意識調査[17] では,世界全体でもっとも信頼されている宣伝媒体は「知 人による推奨」だと答えた人が全体の90%で最も多く,
続いて70%の人が「インターネット上の消費者の意見」 と「企業(ブランド)サイト」であると答えた。「新聞記 事などのニュース」もほぼ同等の信頼度を獲得している。 一方で,企業情報の情報源に関しては,民間企業日本ブ ランド戦略研究所の2010 年企業情報の情報源における 企業サイトの位置付けに関する調査結果において,最も 信頼できるメディアとして挙げられたのは「新聞」 (69.8%)と「企業の Web サイト」(63.7%)という結果で あった[18]。 これら二つの調査から,近年注目が高まるブログ・掲 示板・BBS・ツイッターなどのソーシャルメディアの活 用はマーケティング分野で先行し,企業情報に関する限 り一般にソーシャルメディアの信頼度がまだ低いことが わかる。 以上の調査分析の結果を踏まえて,次に企業が実際に どのように技術情報を収集しているかを考察したい。
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企業の意思決定には,正確な判断基準が常に要求され 続ける。つまり企業は,インテリジェンスとして意思決 定に資する優れた情報を求めている。今日の情報通信技 術の発展と普及により,あらゆる情報がネットワーク上 にリアルタイムで流通するようになった。これに伴い, 企業の経営環境と競争優位性は大きく変化した。本章で は企業の経営情報システムの発展を概観し,企業の技術 情報センターの役割を紹介すると同時に,企業が技術情 報を収集する情報源の実態と課題を明らかにしながら, 近年注目されているソーシャルメディアとしての情報源 の考察も行う。 ��� ������������ 経済・産業の構造変化,グローバリゼーションによる 各企業間の競争の激化によって,ビジネス環境の変化は 加速しつつある。今日の情報化社会では,情報の収集, 管理,活用が必須であり,意思決定に役に立つ優れた情 報を収集し,それを分析し,活用することが最も重要と 考えられている。近代的企業では正しい情報に基づき迅 速かつ的確な経営判断を実現するための情報システムが 求められる。その一方で,企業が活用する情報の量が年々 増加しており,経営者にとっては,この膨大な情報量を いかにハンドリングするかが大きな課題となっている。 より正確に先を見通した情報戦略を取り入れることによ って,より賢い意思決定が可能になる ����� �������������� 企業内外にある膨大なデータから有用な情報を引き出 し,企業の意思決定に活用するという考え方は,メイン フレーム時代からのテーマであった。1970 年代の MIS(Management Information System),1980 年代の DSS(Decision Support System)は経営者の意思決定 を支援することが目的であったが,企業の経営情報は主 に一部の情報専門家や専任アナリストしか利用できない システムだった。1990 年代に入ると,膨大な企業データ を蓄積するデータの格納庫としての DWH(Data Warehouse)が,また蓄積されたデータを活用するため の技術としてのOLAP(Online Analytical Processing) やデータマイニング(Data Mining)などいわゆる IT 技術が注目を集めてきた。しかし,OLAP やデータマイ ニングも専門性が求められ,データの抽出や加工などの 専門的作業が必要であった。2000 年代に入ると,IT が 業務の見える化と効率化を実現する中で,BI は企業の業 務システムなどから膨大なデータを蓄積・分析・加工し て,企業の意思決定を行うにあたっての非常に有用なツ ールとして注目された。経営層,企画部門あるいは一般 ユーザーが,情報の専門家に頼ることなく,自らが売り 上げや顧客などのデータ分析を行い,迅速に意思決定を 行うことができるようになった。 企業において,技術開発や技術戦略を策定する際に必 要且つ知りたい情報とは,その企業が所属している業界 情報,競合情報,製品情報,技術情報といったものが考 えられる。さらに新製品ニーズ情報を考えると,市場動 向や顧客の動向などの情報が含まれることになる。本研 究の目的は,企業が安易には入手困難とされる先進技術 情報にフォーカスすることにある。そこでまず日本の代 表企業が持つ特許や技術情報を扱う技術情報センターの 役割を考察していきたい。 ����� ������������������� 企業における技術情報を扱う情報センターの機能がこ こ数年大きく変化している。先進技術をキャッチアップ する時代には,新技術,新事業に関するインフォメーシ ョンをいかに収集するかが課題であったが,現在は競合 他社の価格攻勢や異分野からの新規参入,そしてグロー バル市場競争の時代に変わり,技術経営や技術マーケテ ィング,技術標準のための情報収集の必要性が増加して いる。 企業が新しい製品,技術開発を行う際に,研究開発の GO/NOGO を判断するためにも,正確な情報を収集し, 結果をフィードバックしなければならない。企業のイン テリジェンス活動が従来以上に重要になっているといえ る。例えば日本電気(株)の NEC 特許技術情報センターに おいては,グループ内に特化した技術知識および知的財 産権知識,意匠・商標実務知識を有するスペシャリスト が,開発・戦略策定時から出願,権利活用までの各場面 において必要な調査・サービス提供を行っている[19]。 グループ企業の知的財産の創造活動をサポートするとと もに,グループの知財管理業務(国内外特許取得・保全)
が効率的に行われおり,また学会,標準化活動の支援, 技術情報サービスも提供している。 (株)富士通の場合は,研究開発テーマに基づいて,集 中的に資料収集を行うワーキンググループを設立して, 各事業部や研究部の開発テーマに沿った資料の選定にも 取り組んでいる[20]。その他,多くの一般企業において, 社内に構築した情報システムのデータベースや社内のウ ェブサイト情報源が経営戦略や技術戦略の策定に積極的 に活用されている。 ࠰ࠪࡖ࡞ࡔ࠺ࠖࠕᖱႎߩᵴ↪ 近年,SNS,ツイッター,フェイスブックなどソーシ ャルメディアの普及に伴い,ソーシャルネットワークは ビジネスを変えてきている。ここで新たなソーシャルネ ットワークを情報源として,企業の取り組みの状況を述 べてみたい。 2010 年はツイッターをはじめ,ソーシャルメディアが 大きな話題となった。そのソーシャルメディアをビジネ スに活用する動きが本格化しつつある。ソーシャルメデ ィアを利用して,顧客のもつネットワークまでを情報源 とし,精度の高いデータベースを構築することができる ようになった。またブログやツイッターなどにより,社 内のコミュニケーション,コラボレーションを図りつつ, リアルタイムのサービス,サポートを実現することもで きる。このように,これまでのマーケティングを拡張し, オープンなソーシャルメディアを利用することにより, 正確な情報収集と収益アップを目指すという形で,顧客 関係管理(CRM: Customer Relationship Management) が進化しており,ソーシャルCRM と呼ばれている。企 業はこれらのソーシャルメディアに対応したマーケティ ングや営業,顧客サポートのあり方をより一層模索して 行く必要がある。こうした企業の取り組みが始まる中で, 野村総合研究所は2015 年度までのソーシャルメディア の進展とそれが企業のCRM に及ぼすインパクトを予測 した「IT ロードマップ」を取りまとめた。それによると, 2010~2011 年度は欧米で始まっているソーシャルメデ ィアの収集,分析が日本国内でも始まった「黎明期」と 捉えられている。2012~2013年度は,iPhoneやAndroid などのスマートフォンにソーシャルメディアが多用され, 顧客サポート分野で利用が開始される「発展期」となる。 2014~2015 年度は顧客の情報分析が進み,キャンペー ンや販促活動が行われる「普及期」になると見られてい る。結果的に早期からソーシャルメディアをマーケティ ングや販売に活用する企業は,既存の広告活動やマーケ ティング,コールセンターなどを組み合わせ,ソーシャ ルCRM を確立していくことになると予測されている。 ડᬺߩᛛⴚᖱႎ㓸ߩ⺖㗴 ここまで企業の企業情報,技術情報の収集について述 べてきたが,ここで課題について挙げておきたい。 グローバル競争に対し,競争優位を確立することが企 業に強く望まれている。BI ツールの導入には,企業の内 部情報にのみ注目するあまり,意思決定者がもっとも知 りたいとされる競合企業の外部情報の収集や,それらへ の対応が不十分とされている。持続的な競争優位を維持 するためには,過去のデータを分析するだけでなく,リ アルタイムな情報と合わせて,そこから将来起こりうる ことを予測し,ビジネスアクションに結び付ける判断情 報が重要である。この課題を解決できれば,CI を組み合 わせた形で,真に価値のある情報活用が実現されると考 える。 一般的には日本の大企業では技術情報センターの運用 及び充実した社内情報システムから技術情報の収集と活 用が可能であるが,中小企業においてはそのような体力 を有していないのが現状である。また大企業でも,技術 情報センターが十分に活用されるのは,新規事業の検討 など数少ないケースに限られている。個別事業部におけ る特定製品開発の場合には,時間やコストの制限がある ために,研究開発現場の技術者,企画者の判断で提案を 行うケースが多く見られる。従って,正確かつタイムリ ーな技術情報の収集,分析が実際に行われているか疑問 が残る。よって,技術者,企画者の有する経験や知識を 共用化し,ナレッジマネジメントを本格的に実施するこ とが望ましいことがわかる。 また,ソーシャルメディアの利用が普及拡大していく ことにより,利用者は不特定多数との情報の共有や交換 を容易に且つ素早く行うことが可能になってきた。情報 の発信頻度やフォローが多くなればなるほど,すなわち 情報の密度と多様性が高ければ高いほど,情報の信頼度 やインパクトは大きいと考えられるので、その情報に基 づいた将来の予測の確度は高まると期待される。 しかし,テレビや新聞,ラジオといった従来のメディ アには放送倫理をチェックする機構などがあり,ある程 度情報の質は確保されているのに対し,ソーシャルメデ ィアの場合には今のところそのような機能が存在してい ない。このため,特に企業情報に関しては,現時点にお いては技術情報源としての情報の提供というよりは,特 定企業名を挙げた批判的な内容の投稿が多く見られると いうのが現状であり,そういった投稿によって企業ブラ ンドが傷つけられることを多くの企業は懸念している。 従って,ソーシャルメディアに対しては,発信される情 報を活用して企業経営に役立てるだけでなく,発信され る情報を監視して迅速な対策を打つなどの対応の併用も 必要であると考えられる。 そこで,このような情報を活用する際には,まず情報 源の信頼性を知っておくことが重要である。関係のない 情報かどうかの判定や,あるいはノイズが多いソーシャ ルメディア情報の信頼性の検証が重要と思われる。すな
わち,ソーシャルCRM のチャネル拡大においては,情 報の管理面の課題があると言える。
� ����る技術情報源と��������
企業経営者は常にさまざまな経営判断を求められてい る。その際,より正しい結論を導くためには,自社を取 り巻く経営環境を正確に分析しておく必要がある。新製 品開発で必要とされる情報を考えると,法規制・人口統 計・物価などの社会情報,市場環境を構成する顧客・製 品・競合などに関する市場変化情報,あるいは技術環境 や将来技術の動向などに関する技術情報などが挙げられ る。このような情報を収集,分析,評価することにより, 新たなビジネスチャンスのヒントをつかむことが可能と なることを踏まえ,以下に主な技術情報源について論じ る。 ��� 技術情報源��� 研究開発のために必須となる技術情報の項目としては, 特定分野の新技術動向,技術規格,競合技術,代替技術 などが考えられる。例えば,技術開発企画書に盛り込む 市場ニーズ,技術ニーズ,技術動向,競合技術,代替技 術などの情報を深く調べることが重要となってくる。 何処の国々においても産業競争力の育成は重要政策の 一つとされている。行政機関は技術開発の支援や助成を 行っており,特に中央省庁においては技術政策を立案す るために,多くの技術者が専門分野について高度な技術 調査を行なっている。その調査報告書は技術開発動向の 重要な情報源になっている。また,政策案を実施に移す ために,審議会による検討が行なわれる場合が多く,そ こに提出された審議会資料には膨大な技術情報が含まれ ている。 技術文献,学会誌や専門雑誌なども技術情報源である。 学会の論文には,概ねその業界や技術分野の最先端のノ ウハウを発表したものが多い。新技術に関連する学会誌 や専門誌の技術解説記事など,情報源は沢山ある。 特許情報は,企業や大学等における研究開発の成果に 係る最新の技術情報及び権利情報である。よって,特許 情報の分析に基づく技術動向調査は,先端技術分野等の 出願状況や研究開発の方向性を明らかにするために利用 できると共に,企業や大学等における研究開発テーマや 技術開発の方向性を決定する上で極めて有効且つ重要と なるものである。 さらに,特許情報から競合会社の技術開発状況やその 技術力が見えたり,自社の潜在的顧客の発掘につながっ たりする。特にデータマイニング技術により,統計処理 や人工知能等の手法を用いて,大量のデータから,一定 の相関関係,パターンを見つけ出し,人の経験や勘では 気づかない発見をもたらすことができるようになった [21]。さらに特許・論文データを統合解析することで, 論文発表から特許出願へ,研究の芽生えから産業化・事 業化へと繋がっていった様子も見て取れる。IT の進展や 特許利用環境の整備により,実際に特許情報を調査・分 析し,活用しようとしている企業も多くなってきている [22] 。 以上述べたように,技術に関する外部公開情報源とし ては,研究論文,特許,新聞,雑誌,調査報告書及び展 示会,講演会など広告宣伝,製品カタログなどが考えら れ,これらに対し常にアンテナを張っておくことが重要 である。 一方で,企業において最も多用される一次情報は社内 情報源である。その中でも特に社内または事業部内の技 術報告書,技術標準,企画調査資料,技術ドキュメント, 実験報告書,マニュアル,各種議事録及び社内/部内新 聞,情報誌などは貴重な情報源と考えられる。しかし, 多くの企業において,貴重な社内情報,部内情報が散在 してしまっており,全社的には必ずしもそれらの自社内 の情報が有効活用されていない場合が多い。例えば技術 情報だが,社内情報については研究所や技術開発部門に あり,競合先の情報については営業現場サイドが直接的 にあるいは顧客などを経由して数多く入手しているとい う現状がある。 以上のことを踏まえて,社外及び社内における技術情 報源及びシグナルの強さの一例を図3に示した。技術関 連情報源は専門性,信頼性などの観点から多様な情報源 になると思われるので,使える情報,使えない情報,そ の違い,あるいは有益な情報かどうかを見極めることが 重要である。 図3 新製品・技術開発における技術情報源とシグナル ��� ����る技術情報源���る 信頼できる情報源から情報を収集することは極めて理 想ではあるが,得られた情報にはノイズと呼ばれる誤り 情報が含まれていることを想定した上で対処する必要が ある。 例えばウェブ情報は手早く探索できるのだが,用いら れる用語の定義や情報源が不明確な場合が多いことから,ノイズを除去することが求められる。具体的なノイズ除 去法の第一は,単一の情報源だけに依存ぜず,必ず複数 の情報源にあたって内容を確認することだ。第二は,デ ータの時系列チェックによる選別をすることである。あ る情報が単独で伝えられた場合には真偽が見分けにくい が,同類の情報を時系列的に整理しておくことでノイズ が見つけやすくなる。第三は,他の情報,情報源との関 連性を分析することである。不整合部分が発見された場 合には,第三者へ裏付けとなる情報を求め,深堀作業を 続ける必要がある。 近年は先端的技術の進展が著しいために,ニュースや 新聞記事になって現れた情報がすぐに陳腐化してしまう ことがある。従って,技術開発者は,知りたい情報を正 確に把握して,必要に応じてタイミングよく潜在情報源 にアクセスすることが重要である。 新製品,新技術開発の場合,H. Igor Ansoff [23]の製 品・市場マトリクスに示されている通り,現有技術-現 有市場,現有技術-新市場,新技術-現有市場,新技術 -新市場の四つの組み合わせの戦略の方向性があるとい える。この開発戦略の方向性により,収集すべき情報の ポイントが変わってくる。また製品が初めて新製品とし て市場に投入されてから衰退期を迎えるまでのライフサ イクルにはそれぞれの特徴がある。 従って,企業の市場ポジション,製品開発戦略,市場 参入戦略などによって,その際の技術開発に必要,且つ 有用な情報は時々刻々変化する。当然その情報を得るた めの情報源も変わってくるため,情報源を目的によって 使い分ける必要がある。そのため,研究開発関連の注目 される重要な情報源を実務に使いやすい視点を入れて付 表1にまとめた。利用費用などもわかる範囲で付記した。 ��� 効果的技術情報��の��� 以上を踏まえて,より効果的な技術調査を進めるため, 今後は情報源の信頼性,情報の関連性を考慮した情報収 集・分析手法のさらなる高度化が期待される。ここで技 術情報収集に関するいくつか留意点と知見をまとめた。 ① 情報には探す順番がある。情報収集には,まずウェ ブ情報/二次情報の確認が効率的な情報収集につながる。 ウェブ情報/二次情報を活用することによって,不要な 時間とコストを削減することができる。 ② ウェブ情報/二次情報収集での留意点としては,再 現可能な情報検索(検索式,情報源,入手手段など),情 報の出所を明らかにする(資料名,発行元,発行者など), 情報の作られた方を確認する(調査対象,調査年月,集 計方法など)といったことを心がけることが必要である。 ③ ウェブ情報と紙情報の整理整頓,官公庁,業界団体, 専門調査機関,複数の情報源からの数値の比較,ノイズ の選別等を駆使することにより,信頼できる技術情報源 を捉えることが重要である。 ④ 技術情報として重要な特許情報を収集する際には, 出願件数だけではなくて,出願件数の時間推移,全社出 願件数の比率についても留意すること,自社と比較する 視点で収集すること,特許,文献を統合解析することが 重要である。 ⑤ 競合企業に関する新製品,研究開発,特許,新事業 などの技術情報を見極めることが重要である。 以上のように,競争優位性を担保した上での企業の新 製品,新技術開発,技術戦略を策定することが必要であ る。効果的な技術情報源の活用法と情報収集については 以下に集約して述べる。 図4 技術情報源の効果的な活用の手順 図4に示すように,企画者や開発者が外部公開された 技術情報を自分で調査する場合において,新聞や雑誌の 記事,展示会から一般的な新製品ニュースに関する技術 情報を広く収集することができる。新技術動向,技術規 格,代替技術などの情報を探したい場合には,官公庁や 業界団体の技術調査報告書や調査会社のレポートが有効 な技術情報源になる。競合他社企業の開発状況について は,顧客や供給業者ヒアリングすることができるが,た だし,精度の高い正確な技術情報の入手は極めて困難と 思われる。その場合,シグナルは弱小ではあるが,競合 企業の技術文献や特許情報の収集・分析から,競合他社 企業の技術レベルや開発動向を予測するという手段を講 じることが可能である。 TI 手法を活用して,限られた時間で信頼できる外部情 報源から多くの情報を集め,その中から有力な情報をピ ックアップし,複数のチームメンバーがコラボレーショ ンしながら取捨選択し,社内内部情報のナレッジへと転 換していくことが重要となる。 次に,A 社における新製品,新技術開発の意思決定の 事例を取り上げて考察する。
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企業の具体的な新製品開発や新技術開発戦略の策定に おいて,研究開発を実行するかどうかの判断やその評価は困難を極める。ある技術開発の中止等の意思決定をす るにあたっては,技術そのものの情報だけではなく,技 術開発のテーマの性質や現行製品の販売状況により,そ れらの意思決定が大幅に変動することになる。各々の重 要度の認識と緊急度及び情報内容の質が,その時々の市 場の要請などにより,変動するためである。その決定権 は,事業部門の意思決定者が持つことになるが,その際 に重要となるのが,企画者がまとめた企画提案書の的確 性である。一般に研究開発をするかどうかの判断には, 評価の方法が重要である。開発が逐次決定され,進行す る段階では,段階的評価方法として,チェックリスト法, スコア法,ステージゲート法[24]などが提案され,実用 化されている。A 社においては,ステージゲート法を採 用している。 A 社で利用されている研究開発マネジメントの手法で あるステージゲート法ベースの新製品開発フローを図5 に示す。製品開発の一連のプロセスをいくつかのステー ジに分割し,各ステージで行うべきアクティビティを明 確にすると共に,ステージ間にゲート(チェックポイン ト)が設定されている。また表2は新製品開発の審査会 で審査会議を行う際のチェックリストである。 図5 A 社における新製品開発意思決定フロー 技術開発企画書に盛り込む内容の中でも,技術動向, 競合技術,代替技術などの技術情報の明確さは必要不可 欠である。A 社における P 事業部の企画者や技術者は自 社の経営資源や技術レベルを熟知しているものの,特に 他社情報の技術水準や開発戦略に対しては正確な情報入 手が困難なため,技術ベンチマークまたは優位性を十分 に説明することが難しく,以前はそれが理由で開発提案 が却下される場合が多かった。 しかし,一昨年からA 社における社内の特許技術情報 センターで開催された技術者・研究開発者・企画担当者 向けの情報収集セミナーを活用することによって,この 問題が大幅に改善された。具体的には,P 事業部の商品 企画者が表3に示す社内特許技術情報センター開催の情 報活用セミナーに参加した上で,技術情報収集の基本知 識,技術規格,電子ジャーナル及び特許検索の活用方法 を商品企画部内で共有し,2009 年 10 月から定期的に部 表2 新製品開発審査のチェックリスト 項目 備考(技術関連) 開発の背景 製品の概要 ○ 市場規模 顧客(商談)状況 競合状況 ○ 製品規格・仕様 ○ 開発ロードマップ ○ 知的財産権上の戦略 ○ 開発費用 開発スケジュール ○ ROI回収計画 開発上のリスク ○ 開発(生産)体制 ○ 販売計画 広報戦略 ○は技術関連項目 表3 技術者のための情報収集セミナーの一例 ビジネス情報セミナー マーケティング情報の収集法 官庁統計収集入門 日経 BP BizBoard の検索法 技術情報セミナー IEEE 電子ジャーナルを使いこなすコツ CiNii、Google Scholar からの電子ジャーナル活用法 規格情報の探し方(EST、IEEE Draft 他) 内技術情報収集セミナーを実施した。その結果,付表1 に示した研究・開発関連に役に立つ各種の重要情報源が 明確となり,活用が示唆された。これにより精度の高い 競合情報を把握することに大いに貢献した。 図6のP事業部の商品企画部内で実施された商品企画 担当者向け技術情報セミナーの参加者に対するアンケー ト結果から,このようなセミナーは商品企画の提案に対 して「役に立つ」,「満足している」といった結果がわか った。「事前資料の準備時間が約 1/4 も大幅に短縮でき た」という回答もあった。以前においては技術情報が散 在しているためわかりにくく,なかなか技術動向,競合 企業の開発情報にたどりつけずに情報収集をあきらめて しまう課題が存在したのに対して,セミナー後において は情報収集効率の改善が成されたことが確認された。そ して,その情報が競合分析業務に活用されることで,図 7に示すように審議会での開発提案の審議が捗り,部内 セミナーを実施する以前の2009 年上期(4 月-9 月)と 比較すると,2009 年下期(10 月-3 月)の開発提案の
達成率は118%になった。この事例により,本研究で提 案する技術情報収集の留意点や情報源の有効性が証明さ れた。 図6 商品企画部内セミナーのアンケート結果 図7 A 社 P 事業部の新製品開発実績の推移
� 結�
本論文では企業における研究開発,技術戦略を策定す る意思決定に必要とされる重要な技術情報に着目し,企 業が技術情報を収集する情報源の実態と動向を明らかに した。現在多くの日本企業ではなんらかの技術関連の情 報を収集しているが,顧客または供給業者を最も重要な 情報源としており,また新聞やテレビを通じての技術情 報の収集が主であり,偏った情報収集となっているとい う問題を指摘した。 近年注目されているソーシャルメディア情報に関して は,ソーシャルメディアCRM の活用は拡大していくが, 情報の管理面の重要課題が残ると考える。 本研究では企業の先進技術情報の収集にフォーカスす るための技術情報源の実用上の考察を行った。一般的技 術に関する外部公開情報源としては,研究論文,特許, 新聞,雑誌,調査報告書及び展示会,講演会など広告宣 伝,製品カタログなどが考えられるが,初期シグナルの 技術情報に対し,常にアンテナを張っておくことが重要 であることを指摘した。また社内情報である技術報告書, 技術標準,企画調査資料,技術ドキュメント,実験報告 書,マニュアル,各種議事録及び社内/部内新聞,情報 誌なども貴重な技術情報源と考えられる。 より効果的な技術調査を進めるために効果的に活用で きる技術情報源と留意点をまとめ,ガイドラインとして 提案した。そして,その有効性と有用性についてA 社に おける新製品,新技術開発の意思決定の事例を取り上げ て検証を行った。 本論文では信頼できる技術情報源を捉えることを強調 して論じた。初期シグナルに対して,使える情報,使え ない情報,あるいは有益な情報を見極めることが重要で あるため,その情報源の信頼性を確保したうえでの情報 間の関連性を考慮した情報収集・分析手法を考案する必 要がある。多様な情報源から得た情報を複数のチームメ ンバーがコラボレーションしながら、どのように取捨選 択し、意味づけし、ナレッジに転換するのかは,今後の 課題である。 本論文においては対象外としたが,日本企業において はあまり重視されていない「競合する技術情報の収集」 にフォーカスし,競争優位性がある技術開発,技術戦略 の策定の重要性と役割を示すという研究課題が残ってい る。一般的な技術情報源に加え,CI を含めた形で信頼で きる情報源の分析を行うことも必要であると考えている。 ���� [1] 菅澤喜男,岡村亮,技術マーケティングとインテリジェン ス,コロナ社 (2010) [2] 北岡元,ビジネス・インテリジェンス-未来を予想するシナ リオ分析技法,東洋経済新報社 (2009)[3] Coburn, M.M. Competitive Technical Intelligence, A Guide to Design, Analysis and Action, Oxford University Press (1999) 菅澤喜男訳, コンペティティブ テクニカル インテリジェンス, コロナ社(2003)
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付表1 研究・開発関連の注目される重要な情報源 分類 情報源 内容 信頼性 入手 容易性 費用 新聞記事 新製品 ニュース 日経 BP ビズボード http://bizboard.nikkeibp.co.jp/ 日経 BP 社発の膨大なビジネス情報のデータベ ース。(約 40 の専門雑誌、19 サイトの Web ニ ュース、さらに市場データや事典、辞書まで) 中 年間契約 が必要 ミニマムプラン は 10 万円/月か ら 日経 BP 社 Tech-on http://techon.nikkeibp.co.jp/ 日経 BP 社が運営する製造業/ハイテク産業に 携わる技術者・研究者に向けた総合情報サイ ト。技術速報,解説などコンテンツが豊富。 中 簡単 無料 新聞、雑誌記事の横断検索 http://business.nifty.com/gsh/RXC N/ 全国紙、地方紙、専門紙から雑誌まで、記事 探索が簡単。例:現在ニフティーのサービス の情報源は 148 紙誌。 中 簡単 有料。1 記事数十 円から数百円 日刊工業新聞新製品情報 http://www.shinseihinjoho.jp/ 生産財の新製品情報の記事・広告の検索。新 製品カタログ、展示会情報、セミナーの紹介。 ライバル企業の最新動向のチェックは可能。 中 簡単 無料。有料の記事 メール配信サー ビスもある 官公庁・ 業界団体 の報告書 NEDO ライブラリ http://www.nedo.go.jp/library/ind ex.html NEDO が実施しているプロジェクト、調査等を 取りまとめた成果報告書。技術戦略マップ。 (新エネルギー、産業技術など) 高 要登録 無料 文部科学省 http://www.mext.go.jp/a_menu/a003 .htm 科学技術・学術に関する基本的政策(科学技 術白書など) 高 簡単 無料 経済産業省 http://www.meti.go.jp/index.html 審議会・研究会、白書・報告書、統計など 高 簡単 無料 特許関連 特許技術出願動向調査報告書 http://www.jpo.go.jp/shiryou/gido u-houkoku.htm 重点分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、 ナノテクノロジー・材料、エネルギー、もの づくり、社会基盤、フロンティア)を中心に、 出願件数の伸びが大きいテーマ、今後の進展 が予想されるテーマの特許出願技術動向 高 簡単 無料 意匠・商標出願動向調査報告 書 http://www.jpo.go.jp/shiryou/gido u-houkoku.htm 意匠・商標出願戦略、研究開発・デザイン開 発戦略、ブランド戦略等の策定を支援するた めの有益な情報 高 簡単 無料 科学技術 文献 JDreamII http://pr.jst.go.jp/jdream2/ 日本最大の科学技術文献情報データベース。 科学技術や医学・薬学関係の国内外文献情報 を手軽に検索できる。 高 図書館、大 学、企業と 契約の場 合が多い 固定料金は数十 万円から。従量料 金は 2500 円+オ ンライン料金 J-GLOBAL http://jglobal.jst.go.jp/ 科学技術総合リンクセンター。研究者、文献、 特許などの情報をつなぐことで、異分野の知 や意外な発見できる。 高 簡単 無料(試行版) 国立情報学研究所(NII) 論文情報ナビゲータ http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所の日本語論文データベー ス。膨大な論文情報(約 1500 万件を収録)。 論文の引用関係を表示。無料公開と一部有料 閲覧。 高 要登録 大学所属の場合 登録料無料。個人 登録の場合、登録 料 2500 円/年間 Google Scholar http://scholar.google.co.jp/ Google 社が提供する学術情報に特化した検索 サービス。様々な分野の学術資料を容易に検 索。有料公開論文の閲覧可能の場合もある。 高 簡単 無料