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特許情報にみる世界トップ100企業と日本企業の動向

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Academic year: 2021

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特許情報にみる世界トップ

100 企業と日本企業の動向

○棚橋佳子1),褚冲 1),澤谷弾1) クラリベイト1) 〒107-6119 東京都港区赤坂 5 丁目 2 番 20 号赤坂パークビル 19 階 Tel: 03-4589-3218 E-mail:[email protected]

Trends of the world's top 100 companies and

Japanese companies from the perspective of

patent information

TANAHASHI Yoshiko1), CHU Chong1), SAWAYA Hazumi1)

Clarivate 1),

Akasaka Park Bldg.,19F. 5-2-20, Akasaka, Minato-ku, Tokyo 107-6119 Japan E-mail:[email protected] 【発表概要】 本研究では、基本特許数、成功率、グローバル率、影響度の4 つの指標に基づい て、9 年間にわたり世界のトップ 100 機関を毎年特定している Derwent Top 100 Global Innovator の各年の結果をまとめ、2014 年―2020 年の 7 年の経年変化を調 査した。Top 100 に入るには、出願者全体の中で、4 つの指標がどの指標においても バランスよく良い位置を占めることが要求される。9 年間の Top100 の総合点は上昇続 け、特許数とグローバル性で抜きんでていた大企業も、出願すべき特許を厳選し、影 響力を与える特許を出すこと、特許のエコシステムを牽引することが要求されるつつあ る。9 年間における100社選出は日米の企業が拮抗する中、2 国で 70%を占めてきた。 しかしながら、出願者数や特許数そのものが増加し続ける中、4 つの指標の重みが変 わってきた。トップの情勢が変わりつつあることを2020 年のレポートで考察する。 【キーワード】 特許指標,イノベーション指標,企業開発力

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1. はじめに 企業のR&Dの発明と技術開発の力 を客観的なデータで表すものが少ない 中、Derwent Top100 グローバル・イノ ベーター(以下Top100)は、特許データ ベースの定量的なデータを用いて毎年 同じ基準で分析し、世界の企業・機関 100 社を特定してきた。2012 年以来(当 時トムソン・ロイター社)、9 年にわたり毎 年1 回定期的な発表を行っている。クラ リベイト社の例年の発表レポートでは前 年比較分析までで、歴年の比較はなか った。直近2020 年 1 月の発表では、 2014 年―2020 年の歴年データを分析 し、グローバル視点で公開されたので、 これを機に日本の企業のポジションに着 目し、100 社の中でどのように変化して いるかを考察する。 2. 100 社選定のための4つの基準 調査に利用したデータベースは Derwent World Patent Index(以下 DWPI)と Derwent Patents Citation Index(DPCI)および Derwent Innovation(DI)である。DI では、90 ヵ 国以上の特許公報データを収録し、対 象調査機関中のレコード数は、5771 万 件以上である。そのうちDPCI では、32 ヵ国の特許発行機関による審査官、発 明者、著者等によって参照された特許お よび文献の引用・被引用を索引化してい る。またDWPI においては世界の特許 を発明単位で1 レコードにする DWPI 独自の特許ファミリーを設定し、当該機 関のファミリー数は 952 万件以上である。 なお当該期間中の各国の発行機関の割 合は、US 24.45%、日本 13.04%、中国 11.99%、EPO9.56%、WIPO9.08%、 韓国6.21%で全体の 70%以上を占め る。 Top100 の選定プロセスは、4 つの基 準を計測する。最初の基準は『特許発明 数』で、直近5 年間に 100 件以上の特許 発明を取得した企業・機関を特定して、 残り3 つの基準を比較する母集団を作る。 これは特許公報発行数ではなく、2020 年1月のレポート1)では2014 年―2018 年の5 年間のDWPIの「ベーシック特 許」数(以下、基本特許)に基づき対象と なる母集団を選んでいる。次に『成功率』 として先述の直近の5 年間で公開された 特許出願のうち実際に登録された特許 の割合を各社において計測する。3 つ目 の『グローバル性』ではDWPI の特許フ ァミリーのうち、米国、欧州、中国、日本 の4 つの主要市場に出願された基本特 許の件数を過去3 年(2016 年―2018 年)特定し、グローバル率を計測する。4 つ目の基準『影響力』は、特許取得後に 他社の発明に引用されている頻度を計 測する。自己引用は除いている。これら 4 つの指標をスコア化して合算したところ から上位100 社を選出する。 3. 100 社の国/地域別内訳の変遷 最初に2012 年―2020 年の各年の発 表における国/地域別の経年変化を調 べた。日本の企業・機関は9 年間の延べ 数は、62 社 1 機関で、そのうち 9 年間連 続して選出されたのは11社である(図1)。 直近2020 年の日本企業総数は 32 社で 全体の34%を占める。世界で 9 年間連 続選出されたのは、31 社1研究機関で ある。2012 年―2020 年の内訳を国/ 地域別にまとめると、2012-2014 年の 3 年間は米国が 40%以上を占めていたが、 2015 年以降、日米が拮抗している(図 2)。日本が米国より多い年、2015 年、 2018 年、2019 年の特徴は、どの年も化 学工業・化粧品産業の割合が多く、同分 野において2015 年は 100 社中 14 社全 体を占める中、日本の企業7 社、2018 年は12 社中 8 社、2019 年は 10 社中 7 社であった。

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(図1)2020 年 Top 100 の日本企業 星印は9 年連続受賞 (図2)各国の受賞企業数の変化 4.発明数の増加と上位企業の市場シェ アの推移



DWPI に 毎 年 追 加 さ れ る 発 明 数 (DWPI ファミリー単位)は増え続けている (図3)。2014 年の 2,210,000 件から 2019 年の 3,530,000 件へ 5 年間で 60%増し となった。2020 年レポートでは、科学・工 学・テクノロジー関連の学位取得者がこ れまでになく増加したことが、課題解決 のためにアイデア創出を増やす一因で はないかと推測する。2) 全特許出願人 による新規の発明数は増え続ける反面、 上位 1000 企業が占める割合は 2014 年 に全体の 25%以上を占めていたが、 2019 年には 17%にまで減少している(図 4)。 Top100 の選出プロセスで見ると、 2015 年は直近 5 年間(2009 年―2013 年)で 100 件以上の特許発明を取得した 企業・機関数は 647 であったが、2020 年 は直近(2014 年-2018 年)で 2095 であ った。対象となるプレーヤーの数が増え る中、アイデア創出市場のシェアに変化 が起こっている。図6によると、各年の上 位 1000 企業・機関による新規発明数の 割合(上部)とその他の全特許出願人に よる新規発明数の割合の変化は、より小 さな組織による多くの発明が出されてい ることを表している。こうして出願人が細 分化する傾向は、業界を超える協業の 必然性が出てきていることの表れでもあ る。 (図 3) DWPI に追加されたファミリー数 2020 年 1 月末日現在 (図 4)上位 1000 社の企業・機関の発明数の シェアの推移 5.Top100 の総合点の閾値の変化と評 価基準のスコア変化 Top100 に必要な総合点の閾値、す

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なわち4つの指標の総括点は、年々上 昇している。各年の母集団が異なるので、 閾値を正規化した比較によれば、2019 年の閾値は 2014 年の閾値に比べ 22% 上がっている。4 つの評価基準のバラン スも、2015 年と 2020 年を比較したところ、 ベーシック特許数が多いことは優位性で はなくなった。閾値スコアで比較した場 合、30%少ない値で 100 位に入った 2020 年の企業がある。グローバル性に おいても 2020 年の閾値スコアは 24%小 さい。それに比べ、成功率の閾値スコア は 14%、影響力にあっては 55%高い閾 値となった。 (図5)Top100 の基準値比較 2015vs2020 2015 年度と 2020 年度の最低スコアに基づく (図6)Top100 の必要なスコアの変化 (各年の閾値を正規化して比較) 6.Top100内の企業の日米比較  2020 年の日本企業 32 社は 2019 年 の 39 社に比べ、新しく参入した件数 も加味すれば、実質9 企業が 100 位内 から抜けた。この抜けた9 企業と米国 の選ばれた企業をそれぞれに総括し て、各指標についての推移を比較した。 米国企業では影響力が緩やかに上昇 しているが、ランク外となった9 企業 では影響力が下降している(図7)。 上記5で述べたように相対的に影響 力の閾値が上がっているので、イノベ ーションに導く発明は、イノベーショ ンエコシステムに則った他者影響型 にシフトしていく必要があるように 見える。 (図 7)米国受賞組織と日本非受賞組織の比較 7.おわりに 今回のデータ比較では、単純に国別

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の受賞数など各年の実数値のみで比較 する場合は2012-2020 年の 9 年間で 比較した。また、各年の母集団の大きさ が異なるため、比較において正規化が 必要である場合は、2014 年―2020 年 の6 年間の比較とした。 受賞した企業数だけ見れば、Top100 は日米の企業が7 割を占めてきたが、中 国、韓国、台湾、とアジア圏の国々がじ わじわと増え、企業の顔ぶれは明らかに 変わりつつある。日本の受賞企業数が 安定していたのは、2015 年以降、日本 の成功率が相対的に高いことが、2020 年に抜けた9 社の特長として現れ、日米 拮抗する位置を保ってきた。一方、9 社 が抜けた理由は影響力の相対的落ち込 みにある。ここにきて影響力のある特許 を、相対的なレベルとして出すことが、日 本の企業は果たして得意であろうか? 今後も引き続き日本の企業のポジション について注視していきたい。 参考文献

[1] Derwent Top 100 Global Innovators 2020,

https://discover.clarivate.com/2020-T op100-jp, (参照 2020-4-10)

[2] Tooze, J. “STEM student numbers on the rise”.

http://www.sciencecampaign.org.uk/ news-media/case-comment/stem-stu

dent-numbers-on-the-rise.html (参

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