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「親になること」の今日的意義の再検討と青年期のための次世代教育プログラムの開発 ―経過報告

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Academic year: 2021

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「親になること」の今日的意義の再検討と青年期のための

次世代教育プログラムの開発:経過報告

奥田 雄一郎 後藤 さゆり 大森 昭生

呉 宣児 平岡 さつき 前田 由美子

1.はじめに 本論文は,平成 20 年度科学研究費補助金「『親になること』の今日的意義の再検討と青 年期のための次世代教育プログラムの開発」の経過報告である.本プロジェクトの問題意 識,研究意義については後藤ら(2010)に詳述されているため,本論文では述べないものとす る.研究プロジェクトはいくつかのステップに分割されているが,本研究ではプロジェク トの第一段階として,現代大学生の「親になること」に関する様々な意識を探索的に調査 するためにアンケート調査を行った.本研究では様々な独立変数を用いた分析を行ったが (奥田ら,2010),調査結果の全てを掲載することは誌面の制約上できない.そのため,本論 文では全体的な結果の記述統計を掲載し,本プロジェクトの経過報告とする. 2.方法 研究協力者:2009 年 9 月から 10 月にかけて関東の大学 2 校の学生,755 名に調査協力を 依頼し有効回答610 票を得た(男性 248 名,女性 362 名であった).年齢範囲は 18 歳から 29 歳であり,平均年齢は 20.08(SD=1.60)歳であった. 調査内容:質問項目は以下の14 尺度から構成されている. 1)フェイスシート項目 1.性別,2.学年,3.年齢,4.専攻,5.出生順,6.きょうだい構成の 6 項目であった. 2)「親になること」に関する意識 「親になること」についての意識を尋ねるために,9 項目(あてはまらない-あてはま るの4 段階評定)を作成した.本尺度は【親になるつもりがあるか(選択・意志)因子】, 【親になる自分を想像できるか(リアリティ)因子】,【親になる自信があるか(自己効 力感)因子】の3 つの因子から構成されている. 3)「親になること」の境界についての質問項目 どこまでが「親」であり,どこからは「親」ではないのかといった「親になること」 の境界を調べるために11 項目(あてはまらない-あてはまるの 4 段階評定)を作成した. 4)理想の子どもの数についての質問項目 大学生が,将来的に理想として何人の子どもを希望しているのかを尋ねるために,自 由記述で将来理想としている子どもの数を尋ねた.

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5)子どもは「つくるもの」「授かるもの」についての意識 大学生にとって子どもという存在の意味を尋ねるために,10 項目(あてはまらない-あ てはまるの4 段階評定)を作成した.本尺度は【子どもはつくるもの因子】,【子どもは授 かるもの因子】の2 つの因子から構成されている. 6)出産と結婚との関連についての質問項目 大学生にとって,現在パートナーとの間に子どもができたとしたら,1.独身のまま出 産するのか,2.結婚して出産/出産して結婚するのか,3.出産しないのかを尋ねた. 7)「親になること」の条件についての質問項目 大学生にとっての「親になること」の条件を尋ねるために15 項目(あてはまらない-あ てはまるの4 段階評定)を作成した. 8)「親になること」による変化についての質問項目 柏木・若松(1994)による,「親になること」の発達尺度の項目を,これから親になる可 能性のある大学生用に変更した.30 項目(あてはまらない-あてはまるの 4 段階評定). 柏木・若松(1994)においては,実際に親になった者に対して,「親になること」によって どのような点が変化したかを調査しているが,本研究においては親になる可能性のある 大学生を対象としているため,質問項目の語尾を未来形に修正し使用した.本尺度は【柔 軟さ因子】,【自己抑制因子】,【運命・信仰・伝統の受容因子】,【視野の広がり因子】,【生 き甲斐・存在感因子】,【自己の強さ因子】の6 つの下位因子が確認されている. 9)親としての生活スタイルについての質問項目 大学生にとって,将来子どもができたとしたら育児優先の生活を望むのか,それとも 仕事優先の生活を望むのかを尋ねた. 10)育児分担に関する意識についての質問項目 大学生にとって,将来子どもができたとしたらパートナー間での育児分担をどのよう に行うかを尋ねるために,5 項目(あてはまらない-あてはまるの 4 段階評定)を作成した. 11)「親になること」と職業についての質問項目 大学生にとって将来子どもができたとしたら育児と職業についての関係をどのように 考えるのかを尋ねるために6 項目(あてはまらない-あてはまるの 4 段階評定)を作成した. 12)理想の第一子誕生年齢についての質問項目 大学生にとって,将来的に何歳で第一子に誕生してほしいのかを尋ねるために,自由 記述で将来理想としている子どもの数を尋ねた. 13)「親になること」と結婚についての意識の割合 大学生にとって「親になること」と結婚がどのような関係にあるのかを尋ねるために, 6 項目(あてはまらない-あてはまるの 4 段階評定)を作成した. 14)理想の結婚年齢 大学生にとって,将来的に何歳で結婚したいのかを尋ねるために,自由記述で理想と している年齢を尋ねた.

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3.結果と考察 以下に本研究の全体的な結果の記述統計を示す.全体的な結果の記述統計については, 100%の中でのそれぞれの項目における度数を表記した. 1.大学生にとっての「親になること」に関する意識 Figure1 に示したのは,大学生にとっての「親になること」に関する意識の割合である. あてはまる,ややあてはまると答えた割合としては「私は,いずれ親になるだろうと思う」 と答えたものが最も多く,次いで「私は,親になった自分を想像できる」と答えていると 同時に,「私は,自分が親になる姿を想像できない」となっており,大学生にとっての「親 になること」に対するアンビバレントな態度が伺える. Figure1 「親になること」に関する意識 2.「親になること」の境界の割合 次のページの Figure2 に示したのは,大学生にとっての「親になること」の境界の割合 である.あてはまる,ややあてはまると答えた割合としては「結婚した相手との間に生ま れた子どもを育てること」と答えたものが最も多く,次いで「結婚していなくても,パー トナーとの間に生まれた子どもを育てること」,「養子縁組をした子どもを育てること」と なっており,一般的には子どもができることと結婚がセットとして捉えられている反面, 結婚を「親になること」の絶対的条件としては考えていないことが推察される. 22 30 33 68 79 36 96 73 322 42 73 96 169 164 208 167 191 191 147 122 206 225 195 277 194 203 70 397 381 274 141 170 86 150 135 26 0% 20% 40% 60% 80% 100% 私は、親になるつもりはない 私は、親になりたいと思ったことはない 私は、親になどなれないと思う 私は、親になる自信がある 私は、早く親になりたいと思う 私は、うまく親をやりこなすことができると思う 私は、自分が親になる姿を想像できない 私は、親になった自分を想像できる 私は、いずれ親になるだろうと思う あてはまる ややあてはまる ややあてはまらない あてはまらない

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Figure2 「親になること」の境界 3.大学生にとっての将来の理想の子ども数 Figure3 に示したのは,大学生にとっての将来の理想の子ども数の割合である.「2 人」 と答えたものが最も多く,次いで「3 人」,「1 人」の順であった.「2 人」と答えた者が全体 の 6 割以上を占め,大学生の多くが将来的には 2 人程度の子どもを希望していることが明 らかとなった. Figure3 大学生にとっての将来の理想の子ども数 20 59 61 60 103 175 139 163 208 213 353 63 109 166 204 192 191 228 229 235 230 210 223 201 231 219 186 135 167 141 113 99 32 304 239 150 127 127 108 75 76 54 64 15 0% 20% 40% 60% 80% 100% 血の繋がりは無い子どもに養育費などの金銭のみを提供す ること 血の繋がりがある子どもに養育費などの金銭のみを提供す ること 施設などの職員として子どもたちを育てること 親族や家族の他のメンバーの子ども(姪・甥・孫など)を 育てること 結婚していなくても、パートナーの連れ子を育てること 精子バンクを利用して誕生した子どもを一人で育てること 養子縁組をせず、子どもを引き取って育てること 結婚した相手の連れ子を育てること 養子縁組をした子どもを育てること 結婚していなくても、パートナーとの間に生まれた子ども を育てること 結婚した相手との間に生まれた子どもを育てること あてはまる ややあてはまる ややあてはまらない あてはまらない 28 36 356 150 12 51 持つつもりはない 1人 2人 3人 4人 5人 6人

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4.子どもは「つくるもの」「授かるもの」という意識の割合 Figure4 に示したのは,大学生にとっての子どもは「つくるもの」「授かるもの」という 意識の割合である.あてはまる,ややあてはまると答えた割合としては「産める状況でな ければ避妊すべきだと思う」と答えたものが最も多く,次いで「子どもの数は,親になる 人が決めることができると思う」,「避妊をしようが妊娠をコントロールできない時はある と思う」となっている. Figure4 子どもは「つくるもの」「授かるもの」という意識 5.出産と結婚との関連 Figure5 に示したのは,大学生にとっての出産と結婚との関連の割合である.「結婚して 出産する/出産して結婚する」と答えたものが最も多く,次いで「出産しない」,「独身のま ま出産する」の順であった. Figure5 出産と結婚との関連 16 34 52 63 120 159 197 176 224 442 29 37 70 143 175 215 227 287 248 83 127 151 94 231 180 163 125 91 99 33 436 388 394 171 131 64 60 54 37 48 0% 20% 40% 60% 80% 100% 自分の子どもの性別は親になる人が決めることができる と思う 基本的に避妊はするべきではないと思う 子どもはコウノトリが連れてくるものであると思う できちゃった婚は基本的に許されないと思う 妊娠しても育てられないなら、子どもは中絶すべきだと 思う 妊娠したら中絶はするべきではないと思う 妊娠の時期は、親になる人が決めることができると思う 避妊をしようが妊娠をコントロールできない時はあると 思う 子どもの数は、親になる人が決めることができると思う 産める状況でなければ避妊すべきだと思う あてはまる ややあてはまる ややあてはまらない あてはまらない 34 364 201 独身のまま出産する 結婚して出産する/出産して結婚する 出産しない

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6.「親になること」の条件 Figure6 に示したのは,大学生にとっての「親になること」の条件の割合である.あては まる,ややあてはまると答えた割合としては「責任感があること」と答えたものが最も多 く,次いで「十分な経済力」,「子どもを育てる力があること」となっている.大学生にと っての「親になること」の条件においては,大学生は「法律的に結婚していること」を除 くすべての項目において 8 割以上が「あてはまる」,「ややあてはまる」と答えており,大 学生らが「親になること」には様々な条件があると認識していることが推察される. Figure6 「親になること」の条件 7.「親になること」による変化についての意識 次のページの Figure7 に示したのは,大学生にとっての「親になること」による変化に ついての意識の割合である.あてはまる,ややあてはまると答えた割合としては「いろい ろな人に支えられていると感じるようになると思う」と答えたものが最も多く,次いで「協 力することの大切さがわかるようになると思う」,「自分の健康に気をつけるようになると 思う」となっている.全体的には多くの項目において,大学生にとって,自分が「親にな ること」によって大きな変化が起きるであろうと認知されていることが推察されるが,「運 命・信仰・伝統の受容因子」に含まれる項目に関しては,自分が親になったとしてもあま り変化しないだろうと認知されていることが明らかとなった. 147 263 238 248 256 294 291 297 374 378 398 340 381 371 495 232 241 267 271 270 244 251 247 207 206 187 246 208 224 107 161 81 80 71 65 56 51 55 21 20 20 21 15 12 5 70 25 25 19 19 15 17 10 7 5 5 3 6 3 3 0% 20% 40% 60% 80% 100% 法律的に結婚していること ある程度の年齢であること 子ども好きであること 自分より他者を優先できること 包容力があること 子育てに関する知識があること 周囲の理解があること 妊娠や出産に関する知識があること 精神的に成熟していること 他者のことを考えられること 社会的な常識を持っていること 十分な居住環境 子どもを育てる力があること 十分な経済力 責任感があること あてはまる ややあてはまる ややあてはまらない あてはまらない

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29 77 67 69 96 106 78 101 143 140 166 142 118 139 152 166 184 222 273 234 230 293 263 280 225 230 255 330 260 385 55 170 195 231 217 210 240 224 237 250 249 283 310 303 293 282 299 272 228 271 278 217 250 246 306 302 281 211 291 183 242 218 239 248 205 215 206 224 163 162 155 141 139 122 129 122 85 85 80 75 67 63 67 54 49 51 47 40 33 20 275 136 100 53 83 70 76 51 58 49 31 34 34 37 26 29 32 21 18 20 25 28 21 20 20 18 18 20 17 12 0% 20% 40% 60% 80% 100% 信仰や宗教が身近になると思う 人間の力を超えたものがあることを信じるようになると思う 物事を運命だと受け入れるようになると思う 多少人との摩擦があっても自分の主義は通すようになると思う 運や巡りあわせを考えるようになると思う 気持ちが安定すると思う 伝統や文化の大切さを思うようになると思う 妥協しなくなると思う 一人前になった気がすると思う 日本の政治に関心が増すと思う 小さなことにくよくよしなくなると思う 物事に積極的になると思う 角が取れて丸くなると思う 考え方が柔軟になると思う 自分の立場や考えはちゃんと主張しなければと思うようになると思う 他人に対して寛大になると思う 弱い立場の人に思いやりを持つようになると思う 自分本位の考えや行動をしなくなると思う 精神的にタフになると思う 自分の欲しいものが我慢できるようになると思う 目的に向かって頑張れるようになると思う 長生きしなければと思うようになると思う 児童福祉や教育問題に関心を持つようになると思う 生きている張りが増すと思う 自分の分をわきまえるようになると思う 他人の立場や気持ちをくみとるようになると思う 他人の迷惑にならないように心がけるようになると思う 自分の健康に気をつけるようになると思う 協力することの大切さがわかるようになると思う いろいろな人に支えられていると感じるようになると思う あてはまる ややあてはまる ややあてはまらない あてはまらない Figure7 「親になること」による変化についての意識

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8.親としての生活スタイルについての意識の割合 Figure8 に示したのは,大学生にとっての親としての生活スタイルについての意識である. 「どちらかといえば子育てや生活優先のスタイル」と答えたものが最も多く,次いで「子 育てや生活優先のスタイル」の順であった.大学生の多くが,仕事よりも育児,生活を優 先すべきである,という認識を有していることが推察される. Figure8 親としての生活スタイルについての意識 9.育児分担に関する意識 Figure9 に示したのは,大学生にとっての育児分担に関する意識についての割合である. あてはまる,ややあてはまると答えた割合としては「育児を相手と同じくらい分担したい と思う」と答えたものが最も多く,次いで「育児は私がメインに行い,相手にはサブ的に 補助してほしい」,「育児は私がサブ的に補助し,相手がメインでしてほしい」となった. Figure9 育児分担に関する意識について 113 382 77 6 子育てや生活優先のスタイル どちらかといえば子育てや生活優先のスタイル どちらかといえば仕事優先のスタイル 仕事優先のスタイル 3 9 57 95 246 21 21 119 151 214 177 66 244 217 121 398 502 179 135 18 0% 20% 40% 60% 80% 100% 育児はすべて自分一人でやりたいと思う 育児は相手にすべて任せたいと思う 育児は私がサブ的に補助し、相手がメインでして ほしい 育児は私がメインに行い、相手にはサブ的に補助 してほしい 育児を相手と同じくらい分担したいと思う あてはまる ややあてはまる ややあてはまらない あてはまらない

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10.育児と職業との関連についての意識 Figure10 に示したのは,大学生にとっての育児と職業との関連についての意識の割合で ある.あてはまる,ややあてはまると答えた割合としては「子どもが生まれるかどうかに かかわらず相手には職業に就き続けてほしい」と答えたものが最も多く,次いで「子ども が生まれたら相手が職業をやめ,大きくなったら再び職業に就いてほしい」,「子どもが生 まれたら自分が職業をやめ,大きくなったら再び職業に就きたい」となっていた. Figure10 育児と職業との関連についての意識 11.理想の第一子誕生年齢 Figure11 に示したのは,大学生にとっての理想の第一子誕生年齢である.「25 歳」と答 えたものが最も多く,次いで「28 歳」,「26 歳」と「27 歳」の順であった.回答の多くは 30 歳までの 20 代後半に集中しており,大学生らにとって 20 代後半が親になる時期と考え られていることが推察される. Figure11 理想の第一子誕生年齢 12 15 96 235 306 33 51 134 171 141 105 142 131 138 109 448 386 236 46 42 0% 20% 40% 60% 80% 100% 子どもが生まれたら相手には職業をやめ、その 後は職業には就いてほしくない 子どもが生まれたら自分は職業をやめ、その後 は職業には就きたくない 子どもが生まれたら自分が職業をやめ、大きく なったら再び職業に就きたい 子どもが生まれたら相手が職業をやめ、大きく なったら再び職業についてほしい 子どもが生まれるかどうかにかかわらず相手に は職業に就き続けてほしい あてはまる ややあてはまる ややあてはまらない あてはまらない 3 1 6 26 34 124 78 78 103 28 74 2 7 1 2 5 1 1 0 20 40 60 80 100 120 140 20歳 21歳 22歳 23歳 24歳 25歳 26歳 27歳 28歳 29歳 30歳 31歳 32歳 33歳 34歳 35歳 36歳 55歳

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12.「親になること」と結婚についての意識 Figure12 に示したのは,大学生にとっての「親になること」と結婚についての意識の割 合である.あてはまる,ややあてはまると答えた割合としては「結婚は個人の自由である から,結婚してもしなくてもよいと思う」と答えたものが最も多く,次いで「いつかは結 婚したいと思う」,「結婚しても必ず子どもを持つ必要はないと思う」となっていた. Figure12 「親になること」と結婚についての意識 13.大学生にとっての理想の結婚年齢 Figure13 に示したのは,大学生にとっての将来の理想の結婚年齢の割合である.「25 歳」 と答えたものが最も多く,次いで「24 歳」,「26 歳」の順であった. Figure13 理想の結婚年齢 30 61 95 149 279 407 394 63 124 112 216 212 133 152 149 227 199 158 83 39 38 365 194 196 85 35 28 25 0% 20% 40% 60% 80% 100% 生涯独身でいたいと思う 結婚する気はないがパートナーとは暮らしていき たいと思う 結婚しなくても子どもは欲しいと思う 結婚しても相手に満足できない時は離婚してもよ いと思う 結婚しても必ず子どもを持つ必要はないと思う いつかは結婚したいと思う 結婚は個人の自由であるから、結婚してもしなく てもよいと思う よくあてはまる ややあてはまる ややあてはまらない あてはまらない 4 1 15 54 78 149 78 68 63 15 40 1 5 2 1 1 1 1 1 0 20 40 60 80 100 120 140 160 20歳 21歳 22歳 23歳 24歳 25歳 26歳 27歳 28歳 29歳 30歳 31歳 32歳 33歳 34歳 35歳 40歳 52歳 60歳

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4.まとめ 本論文では,大学生を対象として質問紙調査を行うことによって,大学生にとっての「親 になる」ことを探索的に検討することを目的としていた.以下に,いくつか特徴的な点を まとめておく. 第一に特徴的だったのは,大学生にとっての「親になること」に関する意識や,育児分 担に関する意識,「親になること」と結婚についての意識などに見られる,大学生のアンビ バレントな態度である.多くの大学生にとって,「親になること」は将来の出来事であり, そしてまた一人で達成できる課題ではない.そこにはパートナーや,子どもといった他者 を不可避に要請する.あれもこれもといったアンビバレントな態度は,自分一人での課題 であれば自分自身で調整すればどちらかに選択できるが,他者と共に在る課題の中では, 自分のみならず,他者との調整も必要となる.実際に,大学生が「親になること」に直面 する際には,こうした他者との関係の調整が重要になるだろう. 第二に,大学生が「親になること」をとても困難な課題として認識している可能性があ るということである.例えば,約6 割の大学生が親になる自信はないと回答し,「親になる こと」の条件においては,法律的に結婚していることを除く14 項目において,その項目が 「親になること」の条件としてあてはまる/ややあてはまると回答している学生が 8 割を 超えていることからも,大学生が「親になること」を非常に高い条件が必要な課題である ととらえていることが推察される. 今後の課題としては以下の点が挙げられる.質問紙調査の結果から「親になること」に 対して,いくつかのグループがあることが推察された.こうしたいくつかのグループに対 してインタヴュー調査を行うなど,より詳細な検討が必要であろう. 付記 本研究は,平成20 年度科学研究費挑戦的萌芽研究(課題番号 21653086):「『親になるこ と』の今日的意義の再検討と青年期のための次世代教育プログラムの開発」(研究代表者: 後藤さゆり)の助成を受けている. 引用文献 後藤さゆり 奥田雄一郎 平岡さつき 呉宣児 大森昭生 前田由美子 2010 青年期に おける「親になること」の教育的意義の検討,共愛学園前橋国際大学論集,10, 207-218. 柏木惠子 若松素子 1994 「親となる」ことによる人格発達:生涯発達的視点から親を 研究する試み,発達心理学研究,5,72-83. 奥田雄一郎 後藤さゆり 大森昭生 呉宣児 平岡さつき 前田由美子 2010 大学生に おける「親になること」と時間的展望,共愛学園前橋国際大学論集,10,187-196.

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