• 検索結果がありません。

『千金記』版本考

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "『千金記』版本考"

Copied!
21
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)集刊東洋学 第一一三号 平成二十七年六月 二一. ﹃千金記﹄版本考. 一 はじめに. 四一頁. 土 屋 育 子. ︵. ︶. ﹃千金記﹄のテキストについては完本が数種類現存する. ほか、有名な段が複数の散齣集に採録されている。明代当. 時、比較的よく知られた演目だったことは確かであろう。 ︶. ﹃千金記﹄は、﹃史記﹄淮陰侯列伝で知られる韓信を主人. ﹃千金記﹄完本の書誌について確認しておきたい。括弧. 四巻、全五十折、金陵書坊富春堂繍梓、万暦刊、中国. 嘉定の人と伝わるが、詳しい行状については不明である。. 作者の沈采は明代中期ごろの人、字は錬川︵または練川︶、. 英︹約一四九四∼一五五二年︺の字︶ 、巻首題﹃重校. c.仇英本⋮封面題﹃仇実父絵像千金記﹄ ︵ ﹁実父﹂は仇. 明傳奇續編﹄︵天一出版社、一九九六年︶所収。︵世︶. 四巻、全三十六齣、万暦刊、中国国家図書館蔵。﹃全 ︶. 戯曲作品には﹃千金記﹄のほか、﹃還帯記﹄︵富春堂本・世. 千金記﹄、二巻、全四十六齣、万暦刊、傅惜華旧蔵。﹃傅. ︵. 徳堂本︶、﹃四節記﹄︵散齣集︹一幕ものの演目を収録する. ﹃臨潼記﹄︵現存せず︶が知られる。. 惜華蔵古典戯曲珍本叢刊﹄所収。版面の体裁が他の継. 戯曲集のこと。戯曲選集とも呼ばれる︺に複数収録あり︶、. b.世徳堂本⋮巻首題﹃新刊重訂出相附釋標註千金記﹄、. 国家図書館蔵。 ﹃古本戯曲叢刊初集﹄所収。 ︵富︶. a.富春堂本⋮巻首題﹃新刻出像音註花欄韓信千金記﹄、. い詰めて滅ぼし、その功績により故郷に錦を飾るまでを描. 話などを経て楚軍に身を投じる。しかし、待遇に不満を抱. 3. き漢軍に帰順、蕭何に見出されて大将軍となり、項羽を追. ︵. 公とした戯曲である。あらすじは次のとおりである。仙人. 内に本稿での略称を示す。. 2. から書と剣を授けられた韓信が、漂母一飯の話、股潜りの. −. く。外題の由来は、漂母の恩義に千金で報いたことによる。. 『千金記』版本考(土屋). 21. 1.

(2) ︶. 仇英本が同一版本系統、世徳堂本は別の版本系統であると. ︵. 志斎本と酷似しており、根ヶ山徹氏が継志斎本とされ. 結論づける。具体的には、 富春堂本と汲古閣本に関しては、. ︶. 全折数が同じであることから両者が密接な関係を持つこ. と、両者の異同箇所において汲古閣本は仇英本に従ってい. ︵. 氏論文にならい仇英本とする。︵仇︶. ているのに従うべきである。本稿では、後述する馬衍 d.汲古閣本⋮﹃六十種曲﹄﹁千金記﹂、二巻、全五十齣、. ることから、汲古閣本は基本的に富春堂本または富春堂祖. また、世徳堂本における改編について﹁文学的角度から改. 毛氏汲古閣、明末刊。﹃古本戯曲叢刊初集﹄所収。︵汲︶ 出﹁追信﹂は、題目のみで本文は無い。﹃傅惜華. ︵. ︶. ︶. 折・. 折 な ど、 ﹃九. 編しており、芸術性が高く、文人的な審美趣味を帯びてい る﹂との指摘は首肯しうる。 ︵. し か し 馬 氏 が 言 及 す る の は 一 部︵. 宮正始﹄に収録される 曲︶に留まり、先行作品の雑劇な 8. は安国梁・張秀華両氏による︺吉林人民出版社、二〇〇一. ことにより、諸本間の異同状況を明らかにし、諸本の継承. る韓信故事を題材とする後世の文学作品名を列挙するとと もに、 異同状況についても若干の指摘をしている。ただし、 汲古閣本が富春堂本に基づくという観点からの考察である ため、他の版本との異同状況や、﹃千金記﹄に先行する雑 ︶. 劇作品との関係に対する言及は十分とは言えない。 ︵. 馬衍氏﹁︽千金记︾明刻本考辨﹂は、富春堂本、汲古閣本、 5. う。附表は、先行研究及び今回の調査結果により、左から. 以下の議論においては、紙幅の関係から附表に基づいて行. まず、完本の異同状況から、各版本の関係を確認する。. 二 完本の異同状況. 関係を考察することを目的とする。. そこで本稿は、﹃千金記﹄完本と散齣集を校勘調査する. ついても検討の余地が残されていると筆者は考える。. 9. 年︶がある。当該論文は、﹃史記﹄淮陰侯列伝を端緒とす. 考辨与版本点摘﹂︵︽六十种曲评注︾第三册︹︽千金记评注︾. ﹃千金記﹄に関する先行研究としては、﹁︽千金记︾本事. 意味であって、直接的な関係であることを意味していない. それはあくまでもその版本が持つ本文の系統を引くという. なお、本稿では版本の名称によって継承関係を示すが、. 蔵古典戯曲珍本叢刊﹄所収。︵清︶. 第. 本に基づきつつ、 仇英本も参照して編集されたと指摘する。. 6. e.清抄本⋮乾隆年間内府抄本、不分巻、全二十四出。. 4. どとの関連性には触れられておらず、そのため版本系統に. 28. 7. 14. ことを付言しておく。. 5. 22.

(3) 最も古い本文を残す富春堂本、次に富春堂本あるいは富春 堂祖本に基づき編纂された汲古閣本、以下は富春堂本の次 に古い世徳堂本、仇英本、最後に仇英本に近い本文を持つ. 打ち砕く︵ 折︶。韓信が張良を訪問する︵ 折︶。. 仇英本は、富春堂本 折前半の韓信の任官を曹無傷の中. 16. 折︶ 、 項 羽・ 虞 美 人 の 酒 宴 を 張 良 の 謝 罪. の後︵ 折︶に移動させている。つまり仇英本では、鴻門. 傷の前に置き︵. 14. ∼. の会の直後に張良の謝罪を配し、鴻門の会に関わる内容が. 折と 折のそれぞれに対応する場面は無いが、. 13. 折となっている。. なっており、世徳堂本が全 が全. ︵ ︶. 次に内容の順序については、富春堂本・汲古閣本は全く 同じである。世徳堂本は折数が少ないが、基本的に富春堂. 折である。富春堂本 ∼. 折. 折に対応する、仇. ・清抄本 ︶が見える。. 本・汲古閣本の順序と同じである。一方、仇英本と清抄本 には順序の入れ替え︵仇英本 折と清抄本 ∼. 入れ替えの一つ目は、富春堂本 ∼ ∼. ・. ・. 折に対応する仇英本にのみ見える。 当該箇所において、. 入れ替えの二つ目は、物語の後半部である、富春堂本 ∼. 折と. 折と. 折となり、. 折. 仇英本と一致することの多い清抄本で見ると、仇英本の. は目録題﹁遣沮﹂、本文題﹁點将﹂︶である。この箇所を、. 文で不一致︵ 折は目録題﹁歃血﹂ 、本文題﹁遣沮﹂、. 順序が入れ替えられている。しかも、折の題目が目録と本. 折に相当する部分がそれぞれ. 折に対応する部分︵趙王の登場と趙国討伐︶が削除され、. 富春堂本・汲古閣本の順序は一致する。富春堂本. 27. 折の一曲と 折の曲に対応する内容を、 折として一つの. 28. のあらすじは次のとおりである。. 折後半︶を催す。張良らが謝罪. 28. 10.  漢の曹無傷が項羽に使いして劉邦を中傷する︵ 折︶。 鴻門の会︵ 折︶、韓信が項羽から官職を賜り︵ 折前半︶、 項羽と虞美人が酒宴︵. 29. 28. 1. 16. 29. ていると考えられる。これらの点から、仇英本の順序の入. 折にまとめていることから、連続する場面として認識され. 17. 16. 12. 31. 36 2. 13. に訪れ、項羽は玉璧を喜んで受け、范増は怒って玉斗を. 29. 30. 12. 12. 15. 27. 張良の謝罪の後に項羽らの酒宴が続く。清抄本は仇英本あ. 折に対応する場面があり、それらの順序は仇英本と同様に. 本. 名をあげている。曲牌名の下線は、一種でも他のテキスト. ︶. まず折の数について、馬氏も指摘するように、富春堂本 ︵. 折で一致しており、両者の関係が密. 15. 連続するように改編したと考えられる。清抄本は、富春堂. 清抄本の順に並べた。諸本の列は左が折の題目、右が曲牌. 15. 12. に収録されていない曲牌を示す。. 16. 16. るいは仇英本に近いテキストに基づいているのであろう。. と汲古閣本がともに. 12. 折、仇英本が全 折、清抄本. 9. 接 で あ る こ と を 示 し て い る。 他 の テ キ ス ト は そ れ ぞ れ 異. 50 11. 14. 13. 31. 24 12. 28 30. 46. 14. 英本. 『千金記』版本考(土屋). 23.

(4) れ替えは誤りによる可能性もあろう。 ここからは、富春堂本が四巻に分けるのに従い、巻ごと. 城下閑歩一回。. 正是未能鑿井難逢玉、畢竟淘沙始見金。邇日得暇、. 不免往淮陰城下閑歩一回。. 汲. 正是未能鑿井難逢玉、畢竟淘沙始見金。今日無事、. 不免到淮陰城下閑歩一回、多少是好。 ︻懶画眉︼︵曲辞. 世. 堂祖本﹂を想定して話を進める。なぜなら、結論をやや先. 略︶呀、遠ヒ望見、兩个道者来了。不免躱在路傍。待. 折︶である。. ︶. 見、兩個道者来了。看他烟霞色相、雲水形骸。若是知. 城下閑歩一回、多少是好。 ︻懶画眉︼︵曲辞略︶遠ニ望. 正是未能鑿井難逢玉、畢竟淘沙始見金。不免往淮陰. 他来時、多少是好。. ∼. 清 今日閑下、不免往淮陰市上閑歩一回、多少是好。[内. 音、定成良會。不免□□︵二字缼︶相見。. 曲、世徳堂本は︻西江月︼︵︻満庭芳︼に似る︶. 嗖]呀、遠遠望見、兩個道者来了。待我上前、迎他一. 語便了。正是未能鑿井難逢玉、畢竟淘沙始見金。 [老外]. 折. では、曲牌はほぼ同じである。しかし、台詞を詳細に見る. まさにこれ〝井戸を掘るあたわざれば玉に逢. い難し、畢竟沙を淘って始めて金を見る〟 。淮陰の街を. ︵仇英本. 徒弟走吓。[小生]師父請。. 折、韓信が二人の道士にめぐり逢う場面から. ひとつ散歩すれば、 どれほどよいだろう。 ︻懶画眉︼ ︵略︶. 富春堂本. ︻沽美酒︼前の台詞を挙げる。傍線部は他の版本との異同. ︺ ︵生︹韓信︺の台詞︶. このように、富春堂本と汲古閣本が一句を除き一致し、. 会いになろう。 ︵?︶お目にかかってみよう。︶. 風采、雲水のなり。もしも知音であれば、きっとよき出. 遠くを望めば、二人の道士がやってきた。見れば神仙の. ︹例. 富 正是未能鑿井難逢玉、畢竟淘沙始見金。不免往淮陰. 1. 異同箇所には波線を附すこととする。. 箇所を示すが、特に世徳堂本・仇英本・清抄本に共通する. 2. 係を示す異同がある。. と、富春堂本と汲古閣本、世徳堂本・仇英本・清抄本の関. のみ、仇英本・清抄本は︻沁園春︼のみである。 ∼. 園春︼の. 仇. 取りして言えば、富春堂本より遅れて刊行されたと思われ. まず、富春堂本巻一︵. 11. 折については、富春堂本・汲古閣本は、︻満庭芳︼︻沁. 12. 6. 2. 2. 1. 1. キストから別々に作られたことがうかがえるからである。. ︵. ることが出来ないものの、富春堂本に近い本文をもったテ. る世徳堂本・仇英本は、富春堂本に直接基づいたと判断す. める。また、テキストの継承関係を述べる際には、﹁富春. に異同状況を確認する。以下の議論でも、附表を前提に進. 24.

(5) 仇. 績麻為活、組絡成紗。 累尺難成丈愁深怨嗟。. 汲古閣本が富春堂本或いは祖本に基づき改編したと考えら. 清 績麻為活、組絡成紗。 畧尺難成丈愁深怨嗟。 傍線部が異同箇所である。曲牌名は一致するが、字句で. 閣本以下四種の版本では、異同箇所に傍線を附す。. ︻不是路︼から後の曲牌は、富春堂本のみ異なる。汲古. は世徳堂本に異同が生じている。. れる。一方、世徳堂本・仇英本・清抄本は、富春堂本と共 通する句が見えることから、富春堂本の本文を継承するこ とは明らかである。しかし、富春堂本とは異なる台詞や曲 ︵傍線部︶が見え、改編・増補が施されている︵波線部︶。 ︻懶画眉︼曲は、世徳堂本と仇英本とに見えるが、世徳. 堂本と仇英本の曲辞は、それぞれまったく異なっている。 ︹例 ︺︵貼︹岳母︺の唱︶ このことから、両者が同じ祖本に基づくものの、別々に改 折・. 折を削除し、 折を 折とする。. 折については、世徳堂本は一つの折にし、仇英. 編された版本であると考えることができる。 本・清抄本は. 我孩兒久去從軍。到如今杳沒音信。可留心。通一信。. 汝功名。必唾手、不須愁悶。. 世 ︻皂角児︼嘆郎君匆匆遠行。恨家貧一無物相贈。我. ︺ ︵旦︹高氏︺の唱︶. 清 ︻皂羅袍︼嘆郎君忽ヒ遠行。奈家遥乏物相贈。我孩. 汝功名。必唾手、不須愁悶。. 我孩兒久去從軍。到如今杳沒音信。可留心。通一信。. 仇 ︻皂角児︼嘆郎君匆匆遠行。奈家遥乏物相贈。賢婿. 功名。必唾手、不須愁悶。. 半の︻不是路︼の後は、富春堂本の︻一封書︼以下の曲と、. ︹例. 世 績麻為活、縷寸成紡紗。比我目前事攬如亂麻。. 2. 致する︵曲辞は太字で示す。以下同じ。訳は省略︶。. だけが一部異なっており、仇英本と清抄本のほうがよく一. ︻下山虎︼の曲辞を一部挙げると、次のように世徳堂本. 孩兒遠去從軍。到如今死生難准。可留心。通一信。汝. 英本・清抄本には︻下山虎︼が増補されている。また、後. 汲 ︻皂角児︼嘆郎君匆匆遠行。奈家庭乏物相贈。賢壻. そ家は援助すべきもの、何度も悲しむことはない。 ︶. れるのを嘆くなかれ、功名のため故郷を去るのを。およ. ︵一杯の酒でそなたを送る。旅路に禍無きよう。遠く離. 為功名辞故里。凡事家中當週濟。不用叮嚀惨悽。. 富 ︻一封書︼一杯酒送伊。願登程無禍危。君休嘆遠離。. 3. る場面である。曲牌の構成を見ると、︻菊花新︼︵世徳堂本. 折は、韓信が軍に投じるため、妻高氏・姑と別れ. 7. は︻梅花引︼だが、曲辞はほぼ同じ︶の後、世徳堂本・仇. 続く. 8. 8. 9. 7. 7. 対応する他の版本の︻皂角児︼以下の曲とでは全く異なる。. 『千金記』版本考(土屋). 25.

(6) 児久去従軍。到如今杳無音信。可留心。通一信。汝功. 富春堂本 折・汲古閣本 折に対応する仇英本. 折では、. ︻卜算子︼の後に富春堂本 折︵汲古閣本 折︶の︻風入松︼. 12. の︻前腔︼と、諸本には見えない︻好姐姐︼という 曲が. にひどく事欠いてはいかんせん。婿殿よわが子︵妻高氏. 置かれている。これは、ここに韓信任官の場面を移動させ. 折である。. 折の鴻門の会は、 仇英本冒頭に他のテキストにない︻点. 富春堂本巻二は、 ∼. ているからである。世徳堂本では、富春堂本 折に対応す. はならぬ。︶. 12. 腔︼第一・二句に類似し、仇英本には富春堂本. 9. 折に対応. い。したがって、この例においても、富春堂本或いはその. する折が無いことから、仇英本による改編と考えられる。. 折では、対応する仇英本 折・清抄本 折の 9. 富春堂本 折は、先述のように、仇英本のみ韓信の任官. 仇英本・清抄本では︻前腔︼の後に移動している. 39. 士募集に応じ一旗揚げようという男︵道化役︶が登場に際. 集では﹁夜宴﹂に韓信任官を含むことから、富春堂本の形. の場面を移動している。しかし、﹃摘錦奇音﹄などの散齣. から例を挙げてみよう︵富春堂本は︻前腔︼の標示なし。. が原型に近いのであろう。次に、︻香柳娘︼第三支︻前腔︼. ︶. 定である。いずれも本来の物語の筋とはあまり関係の無い. 児︼に見え、こちらも道化役が仕事を探しにくるという設. 折︶ 。. 汲古閣本 折・世徳堂本 折・仇英本 14. 12. 16. 13. 新旋来的酒、再吃一盃。 [浄云]美人、新旋来的、我. 富 [ 旦 ] 把 夜 宴 且 收。 ヒ ヒ ヒ ヒ。 歓 娯 良 久。 ⋮ 大 王、. 4. 折・清抄本. 笑劇で使われていることから、定型化したものと推測され 仇英本. で、他の版本には見えない。. 折﹁入関﹂は、秦の子嬰が劉邦に投降する場面. ︹例 ︺. 14. る。仇英本はそのような曲をはめ込んだのであろう。. ︵. して唱う曲である。ほぼ同じ句が﹃玉環記﹄. 折︻水底魚. 冒頭に︻水底魚︼曲が増補されている。これは、楚国の兵. 富春堂本. 祖本が改編されて他の版本の曲辞が成立したと考えられ. 39. たが功名を挙げるのは、きっとたやすきこと、心配して. の兄高杞のこと︶は久しく従軍して、今まで杳として音. 嘆くは婿殿が慌ただしく旅立つに、家は餞別. 14. る場面は無い。. 2. 名。必唾手、不須愁悶。. 14 12. 22. 絳唇︼曲がある。この曲は富春堂本 折︻水底魚︼の︻前. 13. また、富春堂本第二支︻点絳唇︼後の台詞が、世徳堂本・. 26. る。また、世徳堂本は改編の度合いが大きいと言える。. このように、曲辞は異なるものの、内容は似通う点が多. 13. 信無し。心に留め置かれよ、一通の手紙を送れと。そな. ︵仇英本. 12. 14. 10. 10. 12.

(7) 『千金記』版本考(土屋). 27. 吃不得。⋮[浄]碧月照金甌。銀河燦珠斗。. 銀河は珠の酒器を輝かす。[合わせて]しばし胸襟開き. 大王、新旋来的酒、再吃一杯。[浄]美人、新旋来的、. 富春堂本では、虞美人が酒宴をお開きにしようと唱った. しんだ。覚えず知らずしたたか酔った。 ︶. て酒を飲む、しばし胸襟開きて酒を飲む。ずいぶんと娯. 我吃不得了。⋮[浄]⋮碧月照金甌。銀河燦珠斗。 [合. 直後、項羽に再度酒を勧めている。世徳堂本もほぼ同じで. 汲 [浄]把夜宴且收。把夜宴且收。來朝進酒。⋮[旦]. 前]且開懷飮酒。且開懷飮酒。歡娛良久。不覺玉山頽. ある。仇英本では、お開きを告げた直後に虞美人が酒を勧. めるのは不自然と考えて、項羽が酒宴のお開きを告げ、虞. 後。 世 [貼]把夜宴来且休。ヒヒヒヒ。懽娯良久。⋮大王、. 美人が酒を勧めて項羽を引き留めるという改変をしたもの. 富春堂本. 折については、世徳堂本. 折は﹁子房訪信﹂. 折には、︻棹角児︼曲が、仇英本には見. 折︵汲古閣本 折・世徳堂本 折・仇英本. えず、汲古閣本には収録されている。. 続く富春堂本. 詞ともに全く異なる。. として張良から韓信を訪問するように改編され、曲辞・台. 富春堂本. と思われる。汲古閣本は仇英本に従っている。. 再請一盃。 [浄]吃不得了。⋮碧月照金盃。銀河燦珠斗。 [合前]︵ここの貼は虞美人︶ 仇 [浄]把夜宴且收。把夜宴且收。來朝進酒。⋮大王 爺、新旋来的酒、再請一盃。[浄]美人、我吃不得了。 [衆]大王若不吃、負了娘娘來意。再請一盃。[浄]⋮ 碧月照金甌。銀河燦珠斗。[合]且開懷飮酒。且開懷. 且開懷飮。且開懷飮酒。歡娛良久。不覺玉山退後。. 折は、世徳堂本では削除されている。. 富春堂本巻三は、 ∼ ・. 折である。. 折︶は有名な﹁追韓信﹂の場面であり、その曲辞は元刊雑. 18. 飮酒。歡娛良久。不覺玉山頽後。. 14. 劇﹁追韓信﹂ 折を由来とする。詳しくは後述する。. 22. 33. 人︶ ]大王さま、お燗したてのお酒です、もう一杯どうぞ。. が、富春堂本とも関係が深いことを示す例と言える。. 徳堂本・汲古閣本に見え、仇英本には見えない。世徳堂本. 2. ︵仇英本訳 [浄︵項羽︶]夜宴をひとまずお開きに。夜. 23. 來朝進酒。⋮[二旦]這是娘ヒ新鏇来的。大王若不飲、. 23. 19. 辜負娘ヒ的来意。⋮看碧月照金甌。銀河燦珠斗。 [合]. 清 [浄]与我把夜宴且収。⋮与我把夜宴且収。⋮直待. 16. 22. 2. 折は、富春堂本の︻下山虎︼と︻前腔︼の 曲が、世. 24. [ 浄 ] 虞 美 人、 も う 飲 め ぬ。 ⋮ 碧 月 は 金 の 杯 を 照 ら し、. 宴をひとまずお開きに。明日酒を飲もう。⋮[旦︵虞美. 25 23.

(8) ・. ・. 折は、仇英本に対応する折がなく、. 30. 折については、雑劇の影響が見られるので後述する。. 富春堂本 29. 折に対応する. 折に︻画尾序︼と︻前腔︼の 曲、 折. 項羽を滅ぼし斉王に封じられる前に行われており、雑劇が. 韓信の斉王受封後としているのとは異なる。さらに史書の. 記述では、武渉は項羽の使者として離反を勧め、蒯通は韓. 信の部下として独立を進言する。ところが﹃千金記﹄では、. 蒯通を項羽側の人物とし、武渉とともに登場させる改編を. 施している。では、なぜ﹃千金記﹄はこのように改編して. いるのであろうか。要因の一つとして、 ﹃千金記﹄が斉王. 折・ 折に対応する 折・. 字のみでほぼ同文である。このように世徳. 29. 合いは次のように異なる。史書・雑劇では、蒯通らの進言. を入れず、覇権を握る機会をみすみす逃したことが、韓信. の悲劇を招く一因となったと読むことができる。一方﹃千. 決して孤立した版本ではないことを示していよう。 折は、世徳堂本では曲の入れ替えと 曲の減少、仇英. 金記﹄では、独立をいさぎよしとせず劉邦への恩義に背か. 折である。. える︻包子令︼と︻前腔︼の 曲が、対応する仇英本. 富春堂本 折は、末︵張良︶が漢軍の兵士に楚歌を教え. には見えない。清抄本には該当する箇所はない。. 折. 富春堂本 折・汲古閣本 折・世徳堂本 折の末尾に見. 結びついたとする改編を行っていることになるのである。. なかったことが、論功行賞によって故郷に錦を飾る結末に. 折を一つにして. 折は、世徳堂本に対応する折はなく、. 曲減っている。清抄本は 折と. 折 と し て い る。. 本でも. ∼. 逆に仇英本は富春堂本とほぼ同じである。 富春堂本巻四は、. 折は、蒯通と武渉が項羽の使者として韓信を訪問する. 場面である。蒯通と武渉が韓信の説得を試みる話は、﹃史記﹄. 26. 31. 淮陰侯列伝に基づく。雑劇では﹁賺蒯通﹂劇︵脈望館鈔本・ 折に. る場面である。冒頭の︻楚歌引︼は、汲古閣本 折・仇英 本. 折ともに曲辞もほぼ共通するが、対応する世徳堂本. 35. 50. 折で配下の蒯通が、斉王となった韓. 34. 折は曲辞が全く異なり、曲牌も︻鷹追鶏引︼としている。. 27. 元曲選︶があり、第. 32. 34. 2. 信に劉邦からの独立を献策する。一方、﹃千金記﹄. 34. 2. 34 2. 35. 33. 32 3. ことが考えられる。したがって、蒯通らの進言が持つ意味. 折に入れ替えが見られることは先述したとおりである。. ている。仇英本では、富春堂本. 折に︻臨江仙︼など 曲がそれぞれ増補され. 29. 29. に対応する. 2. 受封を結末とする、韓信の立身出世を軸とした物語である. 世徳堂本 両者の異同は. 21. 堂本と仇英本とに類似箇所が見られることは、世徳堂本が. 3. 折に見える︻画眉序︼は、仇英本 折にも見え、. 31. 3. 28. 22. 21. 汲古閣本は富春堂祖本に基づいたことになる。世徳堂本は. 27. 26 28 28 32 17 34. おける蒯通らの説得は、背水の陣によって斉を攻略した後、. 33. 28.

(9) が亭長に、閔子奇︵役柄は丑︶が田夫に扮するよう命じら. れる。その後項羽が自刎する場面では、項羽は部下の呂馬. 折は︻引︼で、︻楚歌引︼前半部のみである。清. 通に己の首級を挙げ、 漢で褒賞に預かるようにと言い残す。. 清抄本 抄本に見える︻引︼の曲辞は、対応する他の版本に比べて. する。富春堂本の問題点は、 ﹁呂馬統﹂と﹁呂馬通﹂とい. 項羽の首級は陳希が届け、韓信とともに項羽の亡骸を確認. 富 楚漢兩爭鋒。未決雌與雄。畧施求歸策、吹散楚營戎。. う似通った名前の人物が二人登場することであろう。そも. ︺ ︵末︹張良︺の唱︶. 汲 楚漢兩爭鋒。未決雌與雄。畧施求歸策、吹散楚營戎。. そも史書の記述では、 項羽の最期に登場するのは﹁呂馬童﹂ ︵ ︶. 世 為國忘陰隙、 奇謀勝。我王管取山河一統。那時有輝光。. である。世徳堂本では、処刑されるのは魏豹、亭長が閔子 ︶. 仇 楚漢兩爭鋒。未決雌與雄。畧施東歸策、吹散楚營戎。. ︵. は特に名前が与えられず、項羽の首級は閔子奇が届け、そ. の後項羽の亡骸を確認するのは呂馬童としている。 これは、. を踏まえた曲辞となっている。ここでの世徳堂本は、全く. であるのに比べ、世徳堂本は﹁陰隙﹂﹁輝光﹂という典故. 富春堂本をはじめとする諸テキストの本文が比較的平易. 東に帰る策を弄し、楚軍の兵士を吹き散らす。︶. 鍾離昧とし、首級を届け、確認するのは陳豨とする。この. 汲古閣本では順に、魏豹、呂馬童︵亭長︶ 、閔子奇︵田夫︶、. は鍾離、首級を届け、確認するのはいずれも閔子琪である。. 順に、魏豹、閔子奇、呂馬通は世徳堂本にほぼ同じ、部下. ∼ 折について、世徳堂本では 折に対応する折を削 39. ∼ 折は、烏江の渡し場の場面であるが、ここは登場. 除している。詳しくは後述する。. 39. 人物の名に異同が生じている。富春堂本では、 折末尾で. 41. 39. 項羽を逃がした罪で呂馬統が処刑され、陳希︵役柄は外︶. 長・田夫、首級を届け確認する陳豨は富春堂本をそれぞれ. 取り入れたのであろう。清抄本は、項羽の部下の名を鍾離. 莫とするほかは、仇英本にほぼ同じである。. 折冒頭の︻破陣子︼は、世徳堂本に異同が見える。 50. 38 40. の参照の状況が確認できる。魏豹・鍾離昧は仇英本を、亭. ような人名の混乱からも、汲古閣本における先行テキスト. ︵仇英本. 王は必ずや天下を統一なさる、そのときは輝光あり。︶. 14. 史書の記述に近づけた改編であろう。仇英本ではそれぞれ. 国のために時も忘れ、奇謀は優れる。我が. 13. 楚と漢が争い、未だ雌雄を決せず。いささか. ︵世徳堂本. 琪︵役柄は外︶、田夫が呂馬童︵役柄は丑︶ 、項羽の部下に. ︹例. 半分程度の長さである場合が多い。. 18. 清 楚漢兩爭鋒。未決雌與雄。. 5. 異なる曲辞に改編したのであろう。. 『千金記』版本考(土屋). 29.

(10) ︹例. ︺. ︻小桃紅︼までである。語句レベルで見ると、汲古閣本は、. 微細なものだが世徳堂本との異同がかなり多く見え、逆に. 仇英本とはよく一致する箇所が多い。したがって、汲古閣. 本が基づいたのは、現存する富春堂本ではなく、末尾部分. を収録する他のテキスト、しかもそれは現存する仇英本に. し、世徳堂本は夫の出世と帰郷に対する期待を唱う。ここ. 富春堂本などが夫の留守中、妻の心の内面を唱うのに対. 最初に離縁しなかったことを悔いはせぬ。︶. を映す︶。薫草の帳の独り寝も、蘭の部屋にひとりきりも、. 鏡のうちに食事するにも飽きた菱花の化粧︵を施した私. ︵汲古閣本︵旦︹高氏︺︶鴉の羽の如き鬢の影は朝に乱れ、. いることは先行研究で指摘されているが、どういう場面で. 汲古閣本が富春堂本に依拠しながら、仇英本も参照して. 或いはその祖本に基づくテキストと考えるべきであろう。. たがって、世徳堂本は別の版本系統というより、富春堂本. 本との異同箇所で、仇英本と一致する場合も散見する。し. 富春堂本や仇英本と一致する箇所も多く、さらには富春堂. かに他の版本との異同が多いとはいえ、詳細に比較すると. ここまで見てきたように、別系統とされた世徳堂本は確. 近い本文を持ったテキストということになる。. には、先行研究で指摘される、テキストによる読者層の違. 仇英本を選択しているのだろうか。富春堂本の誤りを訂正. ︵補注︶. い、 特に世徳堂本が男性読者向けであることが現れている。. 折では︻縷々金︼ ︻大環着︼ ︻前腔︼ ︻越. 折・. 折は、富春堂本が︻小桃紅︼第二支︻前腔︼のあ. 折・仇英本. 曲が続いている。清抄本 折は. 折︶ 、富春堂本が省略している箇所は仇英本︵或いは. 識して改編を行ったことが推察される。. 折︶、などである。仇英本の編纂者は、 ﹃千金記﹄全体を意. 現存しない仇英本に近い本文を持つテキスト︶で補う︵. 同. したことが明らかな箇所は従わない ︵仇英本 折 ︻水底魚︼ 、. するのはもちろんではあるが、それ以外に従う場合の傾向. ・ ・. 世徳堂本には先述のように、典雅な語句の多用、妻や岳母. 世徳堂. との曲を大幅にカットしているのに対し、汲古閣本. また. らも読者層を反映していると言えよう。. 23. 恁好︼ ︻前腔︼︻尾聲︼の. 50. 33. 6. 37. 24 46. 50. 24. 50 36. 38. が登場する折︵. らしきものはあるようである。まとめると、仇英本が改編. 栄耀回家。. 世 鬂髪朝鬆鴉翅、青鏡冷落菱花。忽聞門外、傳到夫婿、. 悔不當初休嫁。. 汲 鬢影朝鬆鴉翅、鏡中餐飽菱花。蕙帳孤眠、蘭房獨守、. 悔不當初休嫁。. 富 鬂影朝鬆鴉翅、鏡晨餐餞菱花。蕙帳孤眠、蘭房獨守、. 6. 折︶の削除が見られるが、これ. 30.

(11) 三 雑劇と﹃千金記﹄. ﹁追韓信﹂第二折は、逃げ出した韓信を蕭何が追いかけ. て 連 れ 戻 す と い う、 ﹃ 史 記 ﹄ で も お な じ み の 場 面 で あ り、. 散齣集でも収録数が最も多い演目である。今回調査しえた. 散齣集 種のうち、 種に収録されている︵うち 種は残 本のため、目録のみ︶。. ではどのように雑劇を取り入れているのであろうか。﹃千. いずれの散齣集にも見えない。︻水仙子︼では主に太公望. 十一曲が散齣集に見えるが、︻水仙子︼ ︻夜行船︼の. 無名氏﹁隋何賺瘋魔蒯通﹂︵﹁賺蒯通﹂︶脈望館抄本. 無名氏﹁韓元帥暗渡陳倉﹂︵﹁暗渡陳倉﹂︶脈望館抄本. 金仁傑﹁新刊関目全蕭何追韓信﹂︵﹁追韓信﹂︶元刊本. が官職をお前に軽んじられるのを我慢できようか︵誰受你. 尋ね、韓信が唱で応じる形式であるが、韓信の台詞に﹁わ. 削 ら れ た の で あ ろ う。 ︻ 夜 行 船 ︼ は、 蕭 何 が 入 れ ぜ り ふ で. ︶. 那小覷我的官職︶﹂とあり、蕭何が韓信を侮ることを前提. ︵. とした内容が前後の文脈にそぐわないと判断されたからか. ︶. 折、. 折に見える。﹁追韓信﹂雑劇の作者に擬せられ. 完 本 系 の 版 本 で は、 ︻天下楽︼ ︻金索掛梧桐︼ ︵︻金落索︼. とも︶︻随事典︼が増補されている。また︻新水令︼以下. で は、︻ 双 勝 子 ︼ ︵ ︻ 双 声 子 ︼ と も ︶ 曲 が 複 数 に 挿 入 さ れ、. 曲での韓信と蕭何の掛け合いとなっている。. 弋陽腔系の散齣集︵ ﹃摘錦奇音﹄ ﹃詞林一枝﹄ ﹃万象新﹄ ﹃天. ︶. に︻幺篇︼ ︵ 直 前 の︻ 掛 玉 鈎 ︼ と 同 じ 節 回 し を 繰 り 返 す こ. 下春﹄︶では、冒頭に︻菊花新︼︻天下楽︼などの曲、後半 ︵ ︶. る金仁傑︵?∼一三三〇前後︶は金人傑にも作り、字は志. ︵. もしれない。. 無名氏﹁大埋伏﹂ ︹﹃雍煕楽府﹄巻四︻仙呂宮︼ ︻點絳唇︼︺. 2. 甫、杭州の人である。胡士瑩氏﹃話本小説概論﹄は、生年. 第三折が. ﹁追韓信﹂は、富春堂本の折数で示すと、第二折が. プロットの一部が共通する。. 16. を一二六〇年から一二六四年の間と推定している。 18. 17. 26. 22. る。 ﹁ 賺 蒯 通 ﹂ 雑 劇 に つ い て は、 前 節 で 言 及 し た と お り、. ︵. 曲は、. 金記﹄に関連する雑劇作品︵散曲集に収録されるものも含. と傅説の故事が唱われるが、話の本筋からは逸れるため、. 曲牌を対照させると、 ﹁追韓信﹂第二折全十三曲のうち、. 1. ﹃千金記﹄では、一部に雑劇の曲辞が取り込まれている。 ﹃ 千 金 記 ﹄ に 限 ら ず、 南 曲 で は し ば し ば 雑 劇 の 一 折 が は め 込まれることがあり、例えば﹃金貂記﹄に、雑劇の﹁敬徳. 17. む︶を次に挙げてみよう︵丸括弧内は本稿における略称︶。. 不 伏 老 ﹂ が 使 わ れ て い る が 如 く で あ る。 で は、﹃ 千 金 記 ﹄. 30. このうち、﹃千金記﹄に曲辞が直接使われているのが、﹁追. 15. 韓信﹂雑劇と、﹃雍煕楽府﹄に収められる﹁大埋伏﹂であ. 『千金記』版本考(土屋). 31.

(12) とを示す。︻前腔︼に同じ︶及び︻山歌︼がそれぞれ増補. 録する。. 折後半の曲牌構成は次の通りである。ここでは、曲辞. ︻ 満 庭 芳 ︼ 後 の 台 詞 に 見 え る 韻 文 と 全 く 同 じ で あ る。 両 者. 増補された曲のうち、︻山歌︼は、﹁王粲登楼﹂雑劇第三折. の一方で、末尾の︻奈子花︼︻前腔︼は共通して見えない。. 重傍線部は﹃千金記﹄諸版本における増補箇所をそれぞれ. 数字で示す。傍線部は﹁追韓信﹂雑劇にのみ見える曲、二. を付した。富春堂本は台詞の順序が異なるため、順序を丸. れる台詞には、便宜的に仇英本を基準にしてA∼Hの記号. 本文の代わりに曲牌を挙げることにする。曲の間に挿入さ. ︶. に直接的な関係を想定することはできないが、同時代の小. ︵. 唄の類を取り込んだものと考えることは可能である。仮に. 菁菜︼ ︻十二月︼︻尭民歌︼︻上小楼︼ ︻耍孩兒︼ ︻三煞︼ ︻二煞︼︻煞尾︼. 台詞①A・②E・③C・④G︵一部︶ ・⑤H. 定できるであろう。. 富. 台詞Cのみ. 次は、 ﹁追韓信﹂第三折の曲辞が見える 折である。 折. 世. つの場面と認識されていたことがわ. A︻粉蝶兒︼B・C・D︻十二月︼E・F・G・H. 半部分、﹃呉歈萃雅﹄﹃珊珊集﹄﹃詞林逸響﹄﹃怡春錦﹄﹃萬. か、そのほかの戯曲集では﹃綴白裘﹄と﹃六也曲譜﹄が前. 点将﹂ 、 ﹃楽府南音﹄が﹁推輪﹂と﹁北点将﹂としているほ. 成されている。その台詞も、②Eと③Cにおいて他の版本. いる。まず、富春堂本は曲辞が全く見えず、台詞のみで構. 継承されているが、テキストによってかなり違いが生じて. このように、﹁追韓信﹂雑劇の曲辞が後世のテキストに. ︻山枝子︼. 汲. 裡梅︼H︻山枝子︼. 隊子︼D︻十二月︼ ︵ ︻尭民歌︼ ︶E︻上小楼︼F・G︻雪. 仇 ︻粉蝶兒︼ ︵ ︻酔春風︼ ︶B︻北石榴花︼︻又︼C︻出. 状況を見ても、元来. 壑清音﹄﹃酔怡情﹄﹃納書楹曲譜﹄が後半部分をそれぞれ収. かる。具体的には、﹃歌林拾翠﹄が﹁築壇拝将﹂と﹁登壇. 2. このような前半後半の二部構成は、散齣集における収録. 第三折の曲辞は、このうち後半部分に用いられている。. は前半と後半に分けられ、前半は韓信が大将軍に任命され. 26. 年ごろには、弋陽腔系の散齣集の原型も成立していたと推. の古名家本が刊行された万暦十六・十七︵一五八八・八九︶. 19. る場面、後半は韓信が諸将を点呼する場面である。 ﹁追韓信﹂. 26. 追︻粉蝶兒︼ ︻酔春風︼ ︻石榴花︼ ︻闘鵪鶉︼ ︻剔銀燈︼ ︻蔓. 示す。. 26. そうであれば、﹁王粲登楼﹂雑劇を収録する最も古い版本. されており、これらは弋陽腔系にのみ見える曲である。そ. 32.

(13) と順序が逆になっている。. つの曲︵傍線部︶の曲辞は明. を持って来て止めたので、罰の代わりに樊噲に桟道修理. を命じ、項羽討伐軍を編成する。. 劇テキストは台詞・ト書きをほとんど載せないため、内容. では、﹁追韓信﹂雑劇の内容を見てみよう。元刊本の雑. 敵対する人物として登場することは、史書にみえる﹁鴻門. 命と樊噲の桟道修理が付け加えられている。樊噲が韓信に. つまり、明刊本では、殷蓋の処刑及び蕭何による樊噲の助. 波線部は、 元刊本と明刊本とで異なる箇所を示している。. が判然としないところもあるが、次のような内容である。. ︵﹁追韓信﹂雑劇︶あるいは﹁丑﹂ ︵富春堂本など︶の役柄. やすく滅ぼすことができると言い︵︻上小楼︼∼︻耍孩. かける︵︻十二月︼︻尭民歌︼︶。項羽の罪を数え挙げ、た. 将ににらみをきかせ、樊噲に対しては切肉大将軍と呼び. 何を使者にして、大元帥の韓信に出陣を催促する。韓信.  項羽︵冲末︶は劉邦討伐のため諸将を集める。桟道修 復の隙を狙い攻撃を仕掛ける手はずを整える。劉邦は蕭. 先に示した﹁暗渡陳倉﹂雑劇である。あらすじは次の通り。. さて、この二つの話柄は一体何に由来するのか。それが、. の会﹂からは想像もつかないが、 古典劇における樊噲は﹁浄﹂. 劉邦・蕭何・樊噲が登場。韓信が登場して貧しい生活   から一転して大将軍に任命されることに感謝を述べ︵冒. が当てられており、滑稽な悪役として形象されている。. 兒︼ ︶ 、諸将を十方向に配置する︵︻三煞︼∼末尾︶。. ︵正末︶は蕭何の前で諸将に軍令違反は斬首と告げ、召. 集に応じなかった英蓋︵殷蓋に同じ︶を斬首する︵第一. 折︶。劉邦は英蓋の斬首を知り、軍令違反の樊噲を蕭何. では諸将が集められ︵劉邦は終始登場しない︶、︻粉. に連れて行かせる。韓信は処刑せず、樊噲に桟道修復を. 樊噲は﹁自分は皇族︵劉邦の娘婿︶だから罰せられない﹂. た殷蓋を処刑する。樊噲が怒りだしたので縛り上げると、. していた︵第二折︶。物見の者が張良に韓信の戦況を説. が始まり、桟道修復とは見せかけで実は楚軍を待ち伏せ. 命じる︵楔子︶。蕭何が樊噲に韓信の計略を話す。戦い. 韓信が侮るなと唱う。. という。︻十二月︼では、直前の樊噲の台詞に反論をし、. D. 明する︵第三折︶ 。捕虜となった丁公と雍歯が漢軍に斬. はほぼ同じである。. ∼ では、諸将を点呼し、遅刻し. 台詞. 仇英本で、この場面を比較してみよう。. ︵ ︻剔銀燈︼︻蔓菁菜︼︶、生まれは貧しくとも侮るなと諸. 頭∼︻闘鵪鶉︼︶、謙遜しつつも、項羽を破る決意を唱い. が付け加えられている。. 本に継承されていないかわりに、新たに台詞・ト書き・曲. 6. 蝶兒︼∼︻又︼︵元刊本の︻闘鵪鶉︼︶は、元刊本と曲辞. A. ∼︻山花子︼では、蕭何が聖旨. C. E. 『千金記』版本考(土屋). 33.

(14) られる︵第四折︶。 折から. 折にかけてプ. このように﹁暗渡陳倉﹂雑劇は、曲辞そのものが取り入. れられてはいないが、﹃千金記﹄ ロットが使われている。. ︻水底魚児︼ ︻双勧酒︼ 、 折︻岐魚急︼ ︻水底魚︼ ︻前腔︼. 折︵冒頭部分︶︻強弓矢︼. ︻水底魚︼ ︻前腔︼. 折 ︻点絳唇︼ ︻混江龍︼ ︻水底魚︼ ︵富春堂本. 世徳堂本 仇英本. 39. れば、諸版本の継承は次のように考えられる。世徳堂本も. く台詞のみであったと推定される。仮にその推定が正しけ. 立っていることから、富春堂が基づいた祖本もこれと同じ. は、一部の改編が見られるものの、仇英本に類似している。. の他の曲を省略したと考えればよいであろう。清抄本 折. 世徳堂本が︻強弓矢︼のみなのは、富春堂本に見えるそ. 四門︼ ︻勝葫蘆︼︻後庭花︼ ︻耍孩児︼︻尾︼ ︻水底魚︼. 踏枝︼ ︻寄生草︼ ︻村里迓古︼ ︻元和令︼ ︻上馬嬌︼︻遊. ︶. 富春堂祖本に基づき、台詞を簡略化させて継承した。仇英. ︵. 本及びその他の散齣集では、﹁追韓信﹂雑劇第三折由来の. 21. 20. の冒頭︻点絳唇︼後の台詞は富春堂本 折︻強弓矢︼後の. 26. に配置する場面である。この場面では、富春堂本・汲古閣. ﹁十面埋伏﹂は、対項羽戦に備え、韓信が諸将を十方向. いるのである。. 礎に、曲の間に富春堂本の台詞をはめ込む形で取り入れて. り、仇英本は﹃雍煕楽府﹄に見える﹁大埋伏﹂の曲辞を基. 富春堂本 折︻水底魚児︼後の台詞に類似している。つま. 曲牌の構成は次のとおりである︵清抄本は附表を参照︶。. 成立後は仇英本﹁十面埋伏﹂が広く伝播したと考えられる。. に先んじて成立していた可能性は否定できないが、仇英本. 流れを引く。仇英本に見える﹁十面埋伏﹂の本文が仇英本. なお、散齣集収録の﹁十面埋伏﹂は、いずれも仇英本の. 38. 富春堂本・汲古閣本︵ ∼ 折︶ 折︻強弓矢︼ ︻粉蝶児︼. に類似した曲辞が見える。. 先述した﹃雍煕楽府﹄巻四﹁大埋伏﹂は、仇英本・清抄本. 本・世徳堂本が一つのグループ、仇英本・清抄本で別のグ. 台詞に、同じく仇英本︻水底魚︼︵曲辞は別︶後の台詞は、. 38. ループに分けられ、両グループの曲辞は全く異なっている。. 採用して構成したということであろう。. に富春堂本も参照し、曲数を減らして台詞はほぼそのまま. このように曲は全く異なるが、台詞に注目すると、富春. 折︻前腔︼に類似︶︻油葫蘆︼ ︻天下楽︼︻那吒令︼︻鵲. 39. 29. 36. 曲辞を取り込み、そこへ富春堂祖本の台詞を分割して曲の. 折後半がほぼ台詞のみで成り. 28. 堂本 折と同じような状況が見られる。すなわち、仇英本. 26. 間にはめ込んで再構成した。汲古閣本は、仇英本をベース. 話 を 戻 す と、 富 春 堂 本. 26. 34. 38. 39. 38.

(15) 次に、﹃歌林拾翠﹄を見てみよう。﹃歌林拾翠﹄は明末清. 初の刊行であり、﹃千金記﹄ から 折分を収録している。﹁楚. 営夜宴﹂﹁鴻門別駕﹂ ﹁韓信私帰﹂﹁月下追賢﹂ ﹁栄帰餞別﹂. 四 散齣集と﹃千金記﹄ ﹃千金記﹄由来の演目の散齣集における収録状況につい. 折は、仇英本とも一致するが、細かな点で汲古閣本と. の. ︶. 折分から一部の曲. 比較的多い﹃群音類選﹄﹃歌林拾翠﹄﹃萬壑清音﹄について まず﹃群音類選﹄は、﹃千金記﹄の. のみ簡単に述べておきたい。 のみを収録する。このうち﹁僊賜書剣﹂﹁受辱胯下﹂﹁夫妻 折は、題目がいずれも世徳堂本とほぼ一致す. 分別﹂ ﹁鴻門會宴﹂ ﹁覇王夜宴﹂ ﹁虞姫自刎﹂ ﹁羽刎烏江﹂ ﹁報 信淮陰﹂の. 折では﹁信封執戟﹂となっている。これは、世徳堂. る。一致しない題目は、例えば﹁覇王夜宴﹂の場合、世徳 堂本. 本が前半の韓信任官と、後半の項羽酒宴のうち前半の内容. 一致する部分がある。 ﹁築壇拝将﹂ ﹁登壇点将﹂ ﹁十面埋伏﹂. は、仇英本に近い本文を持っている。 ﹃歌林拾翠﹄の場合は、. 複数のテキストから集めて収録した可能性がある。. ﹃萬壑清音﹄は、 ﹃千金記﹄から﹁撃碎玉斗﹂ ﹁月下追信﹂. 折 を 収 録 し、. 仇英本に近い本文を持つ。例えば、 ﹁月下追信﹂では、仇. ﹁ 吹 散 楚 兵 ﹂﹁ 轅 門 聽 點 ﹂ ﹁十面埋伏﹂の計. 英本と同じく︻随事典︼及び第一支︻双勝子︼の二曲が見. 種の散齣集とそれらが基づく明刊本について述. えないといった共通点が見られる。 以上、. べたが、具体例をあげよう。次に引用するのは、富春堂本. 折・. ﹁撃砕玉斗﹂ ︵いずれも外︹范増︺ 、浄︹項羽︺ ︶である。傍. ﹃群音類選﹄ ﹁砕玉斗﹂ ・ ﹃歌林拾翠﹄ ﹁鴻門別駕﹂ ・ ﹃萬壑清音﹄. 折・仇英本. ﹃ 群 音 類 選 ﹄ が 世 徳 堂 本 本 文 を 収 録 し て い る こ と か ら、. 線部は他本との異同箇所、特に、二重傍線部は汲古閣本と. 折・世徳堂本. 諸本の刊行年代を次のように推定することが出来る。﹃群. 折︻滾綉毬︼ ・汲古閣本. 音類選﹄は、万暦二十一︵一五九三︶年から二十四︵一五九六︶. ﹃歌林拾翠﹄の一致箇所、波線部は世徳堂本と﹃群音類選﹄. ︺. 年にかけての刊行であり、世徳堂本の刊行年代はそれより. は遅くとも万暦前半であると考えられる。. ︹例. の一致箇所、二重波線部は仇英本と﹃萬壑清音﹄の一致箇. 14. を全体の題目とすることによる。﹃群音類選﹄は、後半部. 5. ︵. ては先行研究でまとめられているが、ここでは、収録数が. 8. 所をそれぞれ示す。. 13. 11. 早いことになる。したがって、ここまで見てきたように、. 15. 21. 分のみを収録しているためと思われる。. 3. 7. 5. 15. 12. 富春堂祖本は世徳堂本・仇英本に先行するので、その成立. 『千金記』版本考(土屋). 35. 7.

(16) 36. 富 俺本待要斬三關定四方。掃秦灰興楚王。則這五年間 枉費了我精神莽撞。[淨云]那見費了你精神莽撞。[外 云]怎麼不費了我的精神。⋮⋮他到做了千年計、[淨怒] [外唱]我覰看你有勇無謀、一旦亡。 汲 俺本待要斬三關定四方。掃秦灰興楚王。則這五年間 枉費了我精神莽撞。[淨]那見費了你精神莽撞。[外] 怎麼不費了我的精神。⋮⋮他到做了千年計、[淨怒介]. 我覰着你有勇無謀、一旦亡。. 俺本待要斬三關定四方。掃秦灰興楚王。則這五年間. 枉費了我精神莽撞。[淨]那見費了你精神。我淘了你. 萬. 五年氣。[外]⋮⋮他到做了千年計、 [淨]孤家。[外]. 我覰着你有勇無謀、一旦亡。. わしはもともと三関を攻撃し四方を安定させ、. 秦の灰を払って楚王をもり立てようとしたのに、この五. ︵仇英本. 年わが気力を費やしたのもあだであった。 [浄]どうし. 五 年 分 の 気 力 を す り 減 ら し た か。[ 外 ] ⋮⋮ 彼︵ 劉 邦 ︶. [外]我覰看你有勇無謀、不細商。 枉費了我精神莽撞。[淨]那見費了你精神莽撞。[外]. は千年の計を立てたが、[浄]わしは。 [外]おぬしは勇. ておぬしの気力を費やしたというのだ。わしがおぬしの. 怎麼不費了我的精神。⋮⋮他到做了千年計、[淨怒介]. は有れども謀は無し、いつか亡ぶとわかったわ。 ︶. 歌 俺本待要斬三關定四方。掃秦灰興楚王。則這五年間. [外]我覰看你有勇無謀、不細商。. ︵. ︶. 最後に、仇英本の挿絵についてふれておく。仇英本の挿. 絵には、弋陽腔系散齣集の一つ﹃摘錦奇音﹄とほぼ同じも. 俺本待與你斬三關定四方。[淨]亜父、你斬甚三関. 定 甚 四 方。[ 外 ] 呸、 氣 殺 吾 也。 ヒ。 掃 秦 灰 興 楚 王。. のが二枚見える。一枚目は、項羽が虞美人と酒宴を催す第. 世. 只這五年間、枉廢我精神莽撞。⋮⋮先年有。我咲你有. 折の見開きの挿絵である。二枚目は、蕭何が韓信を追い. 間枉廢我精神莽撞。⋮⋮千年計。我咲你有勇無謀、一. 群 俺本待與你斬三關定四方。掃秦灰興楚王。只這五年. は、両者の前後を判断するのは非常に難しい。例えば第. かける第 折にある、半葉の挿絵である。一見しただけで. 名だけなのに対して、﹃摘錦奇音﹄ は岩山の線が細く、. 枉費了我精神莽撞。[淨]那見費了你精神。我淘了你. 蕭何の従者が 名となっている。一般的には、シャープな. 者が. 23. 23. 線で彫られ、構図が複雑なもののほうが先行すると考えら. 1. 五年氣。[外]⋮⋮他到做了千年計、[淨]孤家。[外]. 仇 俺本待要斬三關定四方。掃秦灰興楚王。則這五年間. 折の挿絵は、仇英本では背景の岩山の線が太く、蕭何の従. 勇無謀、一旦亡。. 22. 旦亡。. 16. 2.

(17) せよ、仇英本と﹃摘錦奇音﹄との間には、なんらかの関係. れるが、ここではあえて断定しないこととする。いずれに. まった。これについては、今後の課題としたい。. りについても言及すべきであるが、ここで紙幅が尽きてし. 本来ならば、﹃千金記﹄完本とその他の散齣集との関わ. ︶. (. の一種のみであ. ︶  根 ヶ 山 徹﹁ 陳 氏 継 志 斎 と﹃ 綴 白 裘 合 選 ﹄﹂︵﹃ 山 口 大 学 文. を記すが、筆者が影印を目睹しえたのは る。. の抄本について、傅惜華氏はこの他に. 種が現存すること.  注 ( ︶  明・呂天成﹃曲品﹄巻一︵﹃中国古典戯曲論著集成 六﹄ 中 国 戯 劇 出 版 社、 一 九 五 九 年、 二 一 〇 頁 ︶、 傅 惜 華﹃ 明 代 伝奇全目﹄ ︵人民文学出版社、一九五九年、十九∼二十頁︶ を参照。 ( ︶ 拙著﹃中国戯曲テキストの研究﹄ ︵汲古書院、二〇一三年︶ 巻末一覧表を参照。 ( ︶ テ キ ス ト の 書 誌 に つ い て は、 ﹃古本戯曲叢刊初集﹄ ︵上海   商務印書館、一九五四年︶ 、傅惜華﹃明代伝奇全目﹄ ︵人民 文学出版社、一九五九年、十九∼二二頁︶、荘一払編著﹃古 典戯曲存目彙考﹄ ︵上海古籍出版社、一九八二年、九九頁︶ 、 郭英徳編著﹃明清伝奇綜録﹄ ︵河北教育出版社、一九九七年、 十九∼二一頁︶、李修生主編﹃古本戯曲劇目提要﹄︵文化藝 術 出 版 社、 一 九 九 七 年、 二 三 四∼ 五 頁 ︶、 王 文 章 主 編﹃ 傅 惜華蔵古典戯曲珍本叢刊提要﹄ ︵学苑出版社、二〇一〇年、 七∼八頁︶ 、 謝 雍 君 箋 証﹃ 傅 惜 華 古 典 戯 曲 提 要 箋 証 ﹄ ︵学苑 出版社、二〇一〇年、六九∼七〇頁︶を参照。なお、清代. が あ っ た こ と が 推 測 さ れ よ う。 刊 刻 時 期 は、﹃ 摘 錦 奇 音 ﹄ が万暦三十九︵一六一一︶年刊である。仇英本は刊行年等 が不明であるが、他の継志斎本の刊行年代について、根ヶ ︵. 山徹氏が万暦二十六年から四十年の版本︵陳大来による出 版物︶を挙げている。以上のことから、仇英本﹃千金記﹄ の刊行もその前後と考えられる。. 五 おわりに ここまでの内容をまとめておく。﹃千金記﹄の現存する テキストの中では、富春堂本がもっとも古い本文を残す。 世徳堂本はかなり改編の手が入っており、諸本との異同は 多いものの校勘可能な範囲に留まり、富春堂本などと祖本. を同じくするテキストと考えられる。世徳堂本文を継承す. るのは﹃群音類選﹄以外に現時点で見つからない。世徳堂. 本は、汲古閣本成立との直接的な関係は薄い。仇英本は、. 富春堂本或いはその祖本に基づき、折や曲の入れ替えや、. 先行する作品︵﹁登壇拝将﹂・﹁十面埋伏﹂︶を取り込むなど. の改編を経て成立したテキストである。世徳堂本を一部参. 照した可能性もある。. 3. e. 23. 1. 2. 3. 4. 『千金記』版本考(土屋). 37.

(18) (. ( ︶  世徳堂本が富春堂本より 折分少なくなっていることに ついて、馬衍氏は、﹁過場戯︵場面と場面をつなぐ幕︶﹂を 減らしている︵一是减少了过场戏︶、関連する つの折を 一 つ に ま と め て い る︵ 二 是 将 相 关 联 的 两 折 内 容 合 并 成 一 出︶ 、項羽の英雄的気概を描いた 折を削除している︵三 是将突出项羽英雄气概的第三十九折删除︶、の つの状況 を挙げている︵注 前掲論文三一頁︶。 ( ︶ 馬衍氏も富春堂祖本に言及しているが、世徳堂本・仇英 本との関係としてではなく、汲古閣本が基づくテキストと して富春堂本或いは富春堂本の祖本を想定している。注 前掲論文三七頁。 ( ︶ ︻水底魚︼仇英本原文﹁[丑]一對精拳。強如百畝田。江 湖 遊 遍。 道 咱 會 賺 錢。 ﹂ 、﹃ 玉 環 記 ﹄ 原 文﹁ 一 對 精 拳。 強 如 百畝田。江湖行遍。道咱毎能撰錢。因貧快楽、花街柳巷眠 嚢 金 散 尽 衣 裳 不 得 穿。 ヒ ヒ ヒ ヒ。 ﹂ 。﹃ 玉 環 記 ﹄ の 底 本 は、 富春堂本︵黄仕忠・金文京・喬秀岩編﹃日本所藏稀見中國 戲 曲 文 獻 叢 刊 第 一 輯 ﹄ 第 十 一 冊、 廣 西 師 範 大 學 出 版 社、 二〇〇六年所収︶を使用した。 ︶ ﹁顧見漢   例 え ば﹃ 史 記 ﹄ 項 羽 本 紀 に は 次 の よ う に あ る。 騎司馬呂馬童曰、若非吾故人乎。馬童面之。指王翳曰、此. ( ( (. 。 学会誌﹄四九、一九九九年、六九頁︶ ︶ 《千金记》明刻本考辨﹂ ﹃文献﹄二〇一三年七月四  馬衍﹁ 期、二七∼三七頁。 ︶ 注 前掲論文二八頁。 ︶ 注 前掲論文三四頁。 ︶  馬 氏 の 論 考︵ 注 前 掲 論 文 三 一∼ 三 二 頁 ︶ で は、 ﹃九宮 正始﹄ ︵ 嘉 靖 年 間 刊 行 ︶ と、 富 春 堂 本︵ 仇 英 本 も ほ ぼ 同 文 として処理する︶及び世徳堂本とを比較しているが、異同 状 況 に つ い て、 不 正 確 な 点 が 箇 所 あ る。 . ﹁第五处选 的〝 姐 姐 上 锦 堂 〟 ⋮⋮ 富 本 曲 牌 为︻ 锦 堂 犯 画 尾 序 ︼, 曲 词 全同,而世德堂本曲牌作︻画尾序︼ ,有六个字不同。﹂とす るが、世徳堂本では、六文字の異同に合わせて、三文字増 補されている。 . ﹁第七处选的︻水叨令︼ 〝宝殿祥云〟一 段,富本和世本曲牌曲词全同,与《九宫正始》曲牌也相同, 曲 词 仅 有 两 字 不 同。 ﹂ と す る。 し か し、 こ の 曲 は 世 徳 堂 本 にはなく、富春堂本と仇英本の両者には存在するが、両者 に は 一 字 違 い が あ る︵ ﹁ 靄 ﹂ が 富 春 堂 本 に は 無 く、 仇 英 本 にはある︶ 。 ﹃九宮正始﹄との異同については、富春堂本と は二字の異同︵富春堂本は﹁靄﹂が無く、九宮正始本﹁畫﹂ が富春堂本では﹁花﹂に作る︶ 、仇英本とは一字の異同︵九. 項王也。項王乃曰、吾聞、漢購我頭千金邑萬戸。吾為若徳。 乃自刎而死。︵︵項王は︶振り返って漢の騎司馬呂馬童を見. (. 宮正始本﹁畫﹂が仇英本では﹁花﹂に作る︶がある。なお、 ﹃ 九 宮 正 始 ﹄ は﹃ 善 本 戯 曲 叢 刊 ﹄ 第 三 輯︵ 臺 灣 學 生 書 局、. 4 4. 一九八四年︶の影印を用いた。. 5. 2. 1. ( ︶ 版 本 に よ っ て、 ﹁折﹂ ﹁齣﹂ ﹁ 出 ﹂ と 表 記 が 異 な る が、 本   稿では便宜的に﹁折﹂で統一することにする。. 4. 14. 39. 2. 3. 王 は そ こ で 言 っ た。 ﹁ 聞 く と こ ろ で は、 漢 は わ し の 首 に 千. を向けて、王翳に指さして言った。﹁これが項王です。﹂項. て言った。﹁お前はわしの古なじみではないか。 ﹂馬童は顔. 4. 10. 11. 12. 8 7 6 9. 13. 4. 2. 38.

(19) 金と邑万戸の賞金を掛けているそうだ。お前のために善行 を施してやろう。 ﹂そうして自ら首を刎ねて死んだ。 ︶ ﹂ ( ︶  天一出版社の影印では、版面の端の文字がつぶれて判読 し が た い。 ﹁ 賞 賜 千 金 ﹂ の 後 字 分 の ス ペ ー ス が あ り、 他 の 版 本 の 本 文 か ら、 ﹁ 官 封 萬 戸 ﹂ が 入 る と 思 わ れ る。 続 く その葉のウラは﹁你毎随我一場﹂から始まることから、特 定の人物名が記されているとは考えにくい。 ( ︶ ﹁追韓信﹂ ﹁暗渡陳倉﹂ ﹁賺蒯通﹂﹃古  底本は次のとおり。 本戯曲叢刊二集﹄ 、 ﹁大埋伏﹂﹃雍煕楽府﹄ ︵ ﹃四部叢刊續編﹄ ︹臺灣商務印書館、 一九七六年︺所収。嘉靖四五︵一五六六︶ 年序刊本の影印︶ 。 ( ︶ ︵底本は文学古籍刊行社、一九五五年、嘉靖  ﹃詞林摘艶﹄ 四︵一五二五︶年刊、北京図書館蔵の影印︶丙集にも、王 子一﹁十面埋伏﹂の一折が収録されている。しかしこの一 折は、語句レベルでの共通点は見えるが、曲辞自体は﹃千 金記﹄と全く異なっており、直接的な関係は見いだせない。 また、今回目睹し得たテキストの中に﹃詞林摘艶﹄収載の 曲辞を継承したものは見当たらなかった。 ( ︶ ︵ ﹃ 新 校 録 鬼 簿 正 続 編 ﹄ 巴 蜀 書 社、   鍾 嗣 成﹃ 録 鬼 簿 ﹄ 一九九六年を使用した。一二四頁︶巻下に小伝がある。雑 劇作品は七種が知られ、﹁追韓信﹂ ﹁蔡琰還朝﹂ ﹁鼎鑊諫﹂ ﹁東 窓事犯﹂ ︵孔文卿作とする説あり︶ ﹁抱子摂朝﹂ ﹁韓太師﹂ ﹁西. 4. 湖夢﹂ ︵ ﹁追韓信﹂以外は散佚︶がある。 18. ( ︶ 原文﹁暑退金風覺夜長、蝉声不住︵ ﹃摘錦奇音﹄は﹁覚﹂ に 作 る ︶ 送 秋 凉。 山 川 滿 目 黄 花 綻、 雁 過 南 楼 思 故 郷 ﹂ 。底 本 は、 古 名 家 雑 劇︵ 万 暦 十 六・十 七︵ 一 五 八 八・八 九 ︶ 年、 新安徐氏刊。 ﹃古本戯曲叢刊二集﹄所収︶を用いた。 ( ︶ ﹃傅惜華蔵古典戯曲珍本叢刊﹄所収の影印では、 ︻遊四門︼ ︻勝葫蘆︼ ︻後庭花︼三曲が︻那吒令︼の後にある。この影 印本は版心の葉数が不鮮明なため判然としないが、一六一 頁・一六二頁が下巻三十二葉、一六三頁・一六四頁が下巻 三十一葉であると思われ、原本が誤った順序で綴じられて いる可能性がある。本稿では散齣集に従っておく。 ( ︶ 注 前掲書参照。   ( ︶ ﹃ 善 本 戯 曲 叢 刊 ﹄ 第 一 輯︵ 臺 灣 學 生 書 局、 一 九 八 四 年 ︶ 所収の影印を用いた。 ( ︶ 注 根ヶ山氏前掲論文六八∼七〇頁。   ︵補注︶ 小松謙﹁明代戯曲刊本の挿絵について﹂ ﹃中国古典文 学と挿画文化﹄勉誠出版、二〇一四年、一二四頁。 19. 4. 2.  本稿は、平成 年度科学研究費補助金・基盤研究︵ ︶課題 番号二五三七〇四〇〇﹁﹃六十種曲﹄を中心とする中国古典戯 曲の研究﹂による成果の一部である。. 22 21. 20. 23. 27. C. 14. 15. 16. 17. ( ︶ 胡士瑩﹃話本小説概論﹄中華書局、一九八五年、二八七   頁。. 『千金記』版本考(土屋). 39.

(20) 40 富春堂本 四巻50折. 汲古閣本 二巻50齣. 世德堂本 四巻36齣. 金銭花・神仗児・大 金銭花・神仗児・水 叨令・園林好・前腔・ 26「漢王築 賞宮花・前腔・大環 叨令・園林好・前 壇拝将」「韓 巻之三 腔・賞宮花・前腔・ 26登拝 着・前腔・合喬松・越 信斬殷盖打 20登壇拝将 恁好・尾声/北中呂 大環着・前腔・合喬 樊噲」 松・越恁好・尾声 粉蝶児・十二月・山 花子 27折. 仇英本 二巻46出 清抄本 二本24出 金銭花・神仗児・水 (半葉缺)・神仗児・ 叨令・園林好・又・ 園林好・前腔・大環 15拜将 金銭花・神仗児・園 大環着・又・喬合 着・橋合生・越恁 林好・前腔・賞宮 松・越恁好・尾声/ 好・尾声 花・前腔・大迓鼓・ 27登壇 北中呂粉蝶児・(酔 粉蝶児・石榴花・闘 前腔・前腔・越志 春風)・北石榴花・ 鵪鶉・出隊子・四門 好・尾声 又・出隊子・十二 16点将 子・上小楼・快活 月・上小楼・雪裡 三・朝天子・滴流 梅・山花子 子・煞尾. 菊花新・前腔・紅繍 菊花新・前腔・紅繍 (なし) 27預防 鞋・前腔 鞋・前腔. 満庭芳・(前腔)・ 満庭芳・前腔・菊花 満庭芳・前腔・菊花 (菊花新)・画眉序・ 28歃血「韓 新・画眉序・滴溜子・ 新・画眉序・滴溜 21三傑同盟 前腔・画眉序・滴溜 28定謀 信点軍修棧 前腔・前腔・前腔・尾 子・前腔・前腔・前 道」 子・前腔・前腔・前 声 腔・尾声 腔・尾声 臨江仙・金銭花・前 水底魚・前腔・前 水底魚・前腔・前腔・ 腔・水底魚・前腔・ 22韓信破趙 29征趙王 腔・(前腔)・(前 29破趙 前腔・前腔・排歌 前腔・前腔・(前 腔)・排歌 腔)・排歌 粉蝶児引・前腔・梁 粉蝶児・前腔・梁州 30「韓信決 粉蝶児・前腔・梁州 23訪計左車 30延訪 州序・前腔 序・前腔 策李左車」 序・前腔. 40折 41「烏江遇 渡」 42折. 43折 44折 45折. (なし). 趙国が韓信の攻撃 に備える。 韓信・蕭何・張良が 義兄弟の契り。趙 国征伐を謀る。. (なし). (なし). (なし). (なし). 趙国を征伐する。 韓信、李左車に燕 征伐について相 項羽は龍沮に相談 し、斉へ援軍を出 す。. 紅衲襖・又・節節 高・又・尾声 僥僥令・番鼓児・ 又・四辺静・又・又・ 朝元歌・又 桃源憶故人・二犯 傍粧台・又・酔羅 歌・又・水底魚児・ 鎖南枝・香柳娘・ 又・又. 17斬沮. 紅衲襖・僥僥令・四 辺静. (なし). 49折. 韓信が龍沮の軍を 水攻めにする。. 高氏と岳母が、韓 信戦死の誤報を受 ける。. 蒯通らが、国を三 分割すべきと韓信 に説く。 引・楚歌曲・(滾綉 張良が漢兵に楚歌 楚歌引・倘秀才・滾 18教歌 毬) を教える。 綉毬 楚歌曲・脱布衫・小 漢兵の楚歌を聞 楚歌引・酔太平 19吹散 梁州・太平令 き、楚兵が逃亡。. 行香子・桂枝香・ 又・又・又. (なし). 虞美人引・玩仙灯・ 虞美人・又・泣顔 引・引・泣顔回・青 泣顔回・錦上花・前 回・青天歌・又・又・ 四面楚歌の場面。 靝歌(富本37-7)・ 腔・前腔・前腔・泣 虞美人が自害す 35別姫 又・泣顔回・又・賺・ 20別姫 泣顔回・不是路・撲 顔回・前腔・不是 撲灯蛾・又・水底魚 る。 灯蛾・前腔 路・撲灯蛾・(前 (富38-3に同じ) 腔)・尾声 仙侶点絳唇・混江 点絳唇・混江龍・油 龍・水底魚(富本 強弓矢 葫蘆・靝下楽・哪吒 39-5)・油葫蘆・天 令・村里迓古・上馬 韓信は諸将を十方 下楽・那吒令・鵲踏 嬌・賞宮花・青歌 向に配置し(十面 36埋伏 枝・寄生草・村里迓 21十面 埋伏)、項羽を迎え 児・鵲踏枝・勝葫 古・元和令・上馬 芦・遊四門孩児・元 撃つ。 嬌・遊四門・勝葫 (なし) 和令・寄生草・寄生 蘆・後庭花・耍孩 草 29羽刎烏江 児・尾・水底魚 項羽が田夫に間 山歌・又・水底魚・ 水底魚・前腔・玉交 37指澤 違った道を教えら 山歌・水底魚・山 山歌 枝・前腔・前腔・尾 れる。 歌・山歌・水底魚・ 声・前腔・尾声・水 22烏江 部下は項羽に江東 玉胞肚・前腔・水底 水底魚・玉胞肚・ 底魚・(前腔)・水仙 へ逃げるよう説得 魚・水底魚・水仙子 38自刎 又・又・尾声・水底 子 するが、項羽は自 魚・又・水仙子 刎する。 胡搗練・綿搭絮・憶 胡搗練・綿搭絮・憶 高氏と岳母が、韓 30好音伝奇 多嬌・満江紅・五更 39朔奠 多嬌・満江紅・五更 (なし) 信の立身出世の報 転・(前腔) 転・又 に接する。 韓信は項羽討伐の 称人心・高陽台・ 称人心・高陽台・ 功績により斉王に (前腔)・花厳海会・ 40封王 又・華厳海会・酔太 22烏江 引・太平令 31封信斉王 封じられ、帰郷を 酔太平・(前腔)・中 平・又・四辺静・又 許される。 央閙・尾声 蕭何と張良が韓信 満江紅・排歌・又・ 菊花新・排歌・前 (なし) 41祖餞 32挙觴奉餞 を見送る。 又・尾声 腔・前腔・尾声 女冠子・大聖楽・前 女冠子・大聖令・ 韓信の帰郷が高氏 33報信淮陰 腔・不是路・棹角 42佳報 又・不是路・皂角 (なし) らに伝えられる。 児・前腔・尾声 児・又・尾声. 岐魚急・水底魚・前 岐魚急・水底魚・前 39鏖戦 腔・水底魚・前腔 腔・水底魚・前腔. 山歌・山歌・水底 魚・山歌 水底魚・前腔・玉胞 肚・前腔・前腔・尾 声・水底魚・前腔・ 水仙子 胡搗練・綿搭絮・憶 多嬌・満江紅・五更 転・前腔 称人心・高陽台・前 腔・花厳海会・酔太 平・前腔・四辺静・ 前腔 満江紅・排歌・前 腔・前腔・尾声 女冠子・大聖令・前 腔・不是路・皂角 児・前腔・尾声. 40問津. 41滅項. 42佳音. 43封王 44餞別 45通報. 山歌・山歌・水底魚・ 山歌 水底魚・前腔・玉胞 肚・前腔・前腔・尾 声・水底魚・前腔・水 仙子 胡搗練・綿搭絮・憶 多嬌・満江紅・五更 転・前腔 称人心・高陽台・前 腔・花厳海会・酔太 平・前腔・四辺静・前 腔 満江紅・排歌・前腔・ 前腔・尾声 女冠子・大聖令・前 腔・不是路・皂角児・ 前腔・尾声. 霜天暁角・石榴花・ 霜天暁角・石榴花・ 霜天暁角・石榴花・ 46「州判点 (前腔)・剔銀灯・ 前腔・剔銀灯・前 46遊仙 前腔・剔銀灯・前腔・ 34棄職帰山 (なし) (なし) 人夫接韓信」 (前腔)・麻婆子・尾 腔・麻婆子・尾声 麻婆子・尾声 声 光光乍・臨江仙・六 光光乍・臨江仙・六 光光乍・臨江仙・六 (なし) (なし) 43撥役 47折 么・前腔・前腔・前 47仰役 么・又・又・又 么・前腔・前腔・前腔 腔 48折. 韓信が武将を点 呼。遅刻した殷蓋 を斬首、樊噲に桟 道修復を命じる。. 虞美人・前腔・泣顔 虞美人・前腔・泣顔 回・青天歌・前腔・前 回・青天歌・前腔・ 巻之四 37別姫 腔・前腔・泣顔回・前 前腔・前腔・泣顔 28虞姫自刎 腔・賺・撲灯蛾・前 回・前腔・賺・撲灯 腔・尾声 蛾・前腔・尾声. 強弓矢・粉蝶児・水 38「韓信垓 強弓矢・粉蝶児・水 38設伏 底魚児・双勧酒 下十面埋伏」 底魚児・双勧酒. 39折. 詔が下り韓信が大 将軍に任命され る。. 満庭芳・又・菊花 29歃血 新・画眉序(世本 (本文 21-4に近い)・又・滴 (なし) 「遣沮」) 溜子・又・又・又・尾 声. (なし). 28遣沮 紅衲襖・前腔・節節 紅衲襖・前腔・節節 31「韓信嚢 紅衲襖・前腔・節節 (本文 24楚謀救斉 31救斉 高・前腔・尾声 高・前腔・尾声 沙計執龍沮」 高・前腔・尾声 「点将」) 僥僥令・前腔・耍孩 番鼓児(富本32僥僥令・前腔・耍孩 児・前腔・哭岐婆・ 4)・彩旗児(富本 児・前腔・哭岐婆・前 32折 25韓信伐斉 32-1)・中央閙(富 30嚢沙 前腔・四辺静・前 32嚢沙 腔・四辺静・前腔・前 本32-7)・前腔・朝 腔・前腔・朝元歌・ 腔・朝元歌・前腔 元歌・前腔 前腔 桃源憶故人・二犯傍 桃源憶故人・二犯 妝台・前腔・酔羅歌・ 傍妝台・前腔・酔羅 33「韓信母 31訃音 33訛伝 前腔・水底魚児・鎖 (なし) 歌・前腔・水底魚 妻聞凶信」 南枝・香柳娘・前腔・ 児・鎖南枝・香柳 前腔 娘・前腔・前腔 行香子・桂枝香・前 四巻 行香子・桂枝香・前 香行子・桂枝香・前 34「子房命 腔・前腔・前腔・包 34游説 腔・前腔・前腔・包子 26貳客説信 腔・前腔・前腔・包 32説友 軍士吹笛」 子令・前腔 令・前腔 子令・前腔 楚歌引・倘秀才・滾 楚歌引・倘秀才・滾 鷹追鶏引・混天歌・ 33悲歌 35楚歌 35折 綉毬 綉毬 27楚歌散兵 (滾綉毬)/急回 帰・酔太平 36折 楚歌引・酔太平 36解散 楚歌引・酔太平 34散楚. 37折. 内容. 望遠行・排歌・前 腔・前腔・皂羅袍・ 前腔・前腔. 望遠行・排歌・前腔・ 48釈怨 前腔・皂羅袍・前腔・ 前腔. 送遠行・云眉手・前 望遠行・排歌・又・ (なし) 44栄帰 腔・前腔・皂羅袍・ 又・皂羅袍・又・又 35衣錦還郷 (前腔)・前腔/赤 豆靴・香柳娘・(前 引・金銭花・引・香 金銭花・臨江仙・香 金銭花・臨江仙・香 金銭花・臨江仙・香 23贈金 45贈金 49報徳 腔)・前腔 柳娘 柳娘・又・又 柳娘・前腔・前腔 柳娘・前腔・前腔. 平和になれば功臣 は不要と、張良は 隠遁を決める。 逃げた男と里長と の笑劇。 帰郷の途中、韓信 は恩人の夏侯滕公 の墓参をする。 韓信は漂母に一飯 の恩を千金で報い る。. 破陣子・遶地女・下 破陣子・遶地遊・小 破陣子・遶地遊・小 山虎・前腔・前腔・ 桃紅・前腔・前腔・縷 破陣子・遶地遊・小 桃紅・又・又・縷縷 韓信が帰郷し、家 50栄帰 36合宅団円 縷縷金・大環着・前 46団円 24団円 大聖楽・引・小桃紅 桃紅・前腔・前腔 族と団円する。 縷金・大環着・前腔・ 金・大環着・又・越 腔・越恁好・前腔・ 越恁好・前腔・尾声 恁好・又・尾声 尾声 凡例 1.( )で括った曲牌は、原本に曲牌表示がないが、曲辞があることを示す。2.下線は1種でも他の版本に見えない曲牌であることを示す。3.曲牌の後の括弧内は異同状況 の注記である。例:「富本39-5」は「富春堂本39折第5曲(上の表で【前腔】)」を示す。4.仇英本・清抄本の「又」は、「前腔」と同じである。 50「旌封韓 信夫妻爵」.

参照