東北大学遺伝生態研究センター通信 No. 37
著者
東北大学遺伝生態研究センター
発行年
1997-07
遺伝生態研究センター通信 No.37
泉丸丸苧
腰iLflii聖誓__,_iB+
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1997. 7.日0.37 ′ 、 ′ー■■\イネアントシアニン転写制御因子をコードする
Pl遺伝子による形質発現の特徴
岡山大学・資源生物科学研究所 前 川 雅 彦 植物が合成するアントシアニンは,葉の表皮細胞 に蓄積し有害な紫外線の防御機構(Takahashi et α7. 1991)として働くばかりでなく,抗酸化作用や ファイトアレキシンとしても作用することが知られ ている。さらに,利用面においても安全で鮮やかな 食品着色料として,あるいは生体調節機能をもっ色 素としての価値があり,最近では,コレステロール の低下作用もあることが明らかとなった(Igarashi et al. 1990)。一方,アントシアニンは可視的形質として古くから二次代謝経路の研究対象となり,分
子生物学の進展もあってきわめて明瞭な合成経路が
解明された。さらに,最近では色素着色の組織特異
性や発現時期といった転写制御系の解明が盛んにな
り,トウモロコシでは色素着色の転写制御ネットワ-イネアントシアニン転写制御因子をコードするPl遺伝子による形質発現の特徴
シトクロムP450/酵母異種発現系の環境汚染化学物質分解への応用
平成9年度ワークショップ開催に向けて 一一 クが構築されようとしている。イネでもトウモロコ シと同様にアントシアニン着色は古くから遺伝分析 の対象になってきたが,トウモロコシと異なり合成経路も未だ明らかとなっておらず,また分子的転写
制御系も不明である。最近,インド型の紫米から関 与するアントシアニン種が特定された(Reddy et α7. 1995)。また, 1993年にイネとトウモロコシの シンテニーが明らかになった(Ahn eとαZ. 1993) ことから,イネのアントシアニン合成に係わる転写 制御遺伝子Raが単離され(Hu et al. 1996),イネでも転写制御遺伝子系のネットワークが解明されよ
うとしている。 1921年に竹崎嘉徳が紫稲のアントシ アニン着色の遺伝を報告して以来,紫稲のアントシ アニン着色を支配するPl遺伝子(山口, 1937)座に 吹 岡山大学・資源生物科学研究所 前川 雅彦 1 日日東北大学・反応化学研究所 柳田和孝・清水 透 5 --遺伝生態研究センター長 大瀧 保 7遺伝生態研究センター通借 No.37
Table l lsogenic lines for Plalleles bred
lsogenicline Goner. Gene Donorparent(female)
T-65 PI BC8F2 Fy Prl2, Murasakiine, Chyuo Agr. Expt. Stn., Hokkaldo
T-65 PIw BC7F2 FyLu A-5,Akamuro/Progenyofthecross,A-13, Chabo/ E-44, Pirurutong, Philipplnes
T-65 PlI BC7F2 P/'' H-79,日nkagetesterofHokkaidoUnivJProgenyof
the cross, A-58, Kokushokut0-2/H02, Fully purple,
lRRl
は3種の複対立遺伝子, Pl, PIw, Pllが存在する ことがアントシアニン着色の組織特異性に基づいて
明らかにされた(Nagao ef α7., 1968 ; Kinoshita
and Maekawa, 1986)。最近, PIwを有する準同
質遺伝子型系統から既に単離されている
Ra (Hu eとα7. 1996)と相同性の高いcDNAが単 離され(大森ら, 1996),今後各Pl遺伝子によるア
ントシアニン着色の組織特異性をもたらす機構を明
らかにできるものと期待される。そのために,詳細な組織特異性ならびに農業形質に及ぼす影響を明ら
かにしておく必要がある。1.各PJ遺伝子の準同質遺伝子型系統の特徴
そこで, Table lに示す各Pl遺伝子の準同質遺伝子型系統を育成した。反復親には準
同質遺伝子型系統の反復親としてよく用いら
れている日本型の台中65号(T-65)を用い た。それぞれの遺伝子の給源は, Plが北海道 立中央農試で維持されているPR-2, PIwが フイリッピンのPirurutong, E-44,そしてPl`がIRRIのFully purple, I-102で,
PR-2を除いてはいずれも花粉親として供試して
いる。育成した準同質遺伝子型系統を用いて
それぞれの遺伝子による着色の組織特異性を
明らかにした(Table 2)。 Table 2に示し た大半の特異性はNagao eと αZ. (1968)や
Kinoshita and Maekawa (1986)が明ら
かにしたとおりであるが,その他にPl遺伝子
では切穎した穎黒に着色する。これは以前か
ら解っていたことであるが,この着色した穎 栗を1%の塩酸メチル溶液に浸漬してもアン トシアニンは溶出してこない。また, PIwは 光条件下で根に着色することが判明した。一 方,完熟種子由来カルスはいずれの遺伝子で 仙Pt′lヽ〆1㌦ヽ も着色しない。さらに,準同質遺伝子型系統
を反復親のT-65とともに圃場 に栽植して(Fig.1)最高分け つ期での葉温の日変化を調べた。 この時期になるとTable 2で 示したようにPIwでは正常の緑 色になってくる。その結果,赤 外線放射温度計で測定した群落冠の葉温は正常のT-65とそれほど遣わなくなってきている。これは一枚 の水平葉の温度でも同様であった(Fig.3)。一方, 生育後期間までアントシアニン着色が認められるPl とPILでは,特に太陽光が照射する日中では群落冠 でも水平葉でも正常型より高くなり,中でもPlは特 に高くなる傾向にあった(宮下ら, 1996)。最終的 な収量とその構成要素を調べた。 Fig.4では, T-65の値を100としたときのそれぞれの準同質遺伝子 型系統の値を百分率で示した。その結果, T-65 PIwはT-65といずれの形質でもほとんど差異が認 められなかった。一方, T-65 PlとT-65 Pllは出 穂が遅れ,収量はT-65の約50%しかなかった。そ Table 2Differential plgmented patterns among Pl alleles
Part Py Pr Lu p/ i Pericarp leaf blade ligule CoHar Auricle Leaf sheath Pulvinus lnternode Root Ca‖us inthe light +十 十 十十 十+ 十十 十 十 > ・t r U HHL a m t a at maturity inthe Jight Margln +十 十十 十十 十十 十十 十+ n H a-g.H.・ M H H H・・・ H H H㌧ H H H +; purple-plgmented. ++: Dark purpJe-plgmented. ・; Not plgmented.
Margin; Marglnally plgmented.
遺伝生態研究センター通信 No.37 ⑳㊤㊦㊤◎㊤⑳9◎◎㊦◎ 和郎那加別封抑制即 一曲一欝 血畿¶_tI r\ ′′ 、
Fig. 1 Differential patterns of plgmentation
for Pl alIeles measured by infrared radiation
1996, -一 A;T165. B,・Tl65Pl. C;T-65Pl. D;T-65PIw. の減少要因は65 Plと65 Pllでは異なり, T-65 Plの場合には穂あたり粒数は多かったものの穂
数の減少と極端な整粒歩合の減少と千粒重の減少が
原因であった。 T-65 Pliの場合には,千粒垂の減少は大きくなかったが穂数,穂あたり粒数と整粒歩
合の減少が原因となったと考えられる。この収量の低下は,最高分けつ期の葉温の上昇と関連があるも
のと推定される。すなわち,夏の高温で稲体の温度
が上昇し光合成活性が低下してしまうことにより`, 一方T-65 PIwは葉温の上昇が正常稲と大きく異ならないため光合成活性も極端な低下を示さないもの
と考えられた。2.紫稲の利用の可能性
上記に示した各Pl遺伝子の特徴からは栽培に適し ているとは考えられない。もし品種として栽培?さ れていた地域があるとすると,そこには何らかの有 利性があったものと推定される。調べてみると, 1908年に出版された加藤茂竜の報告の宮城県の栽培 品種の中に「紫」という品種が記載されている。これが本当の紫稲を示しているかどうかは不明である
が,長尾・高橋(1951)のPlに関する遺伝子分析の 中で用いている紫稲として「紫」や「初紫」があり,実際に紫稲が栽培されていた可能性も考えられた。
また,当研究所の古くからのイネ保存品種の中に
「紫盆栽稲」という品種があり,その名前から推して実際栽培よりは鑑賞用?として用いられた可能性
もあった。 Pl遺伝子そのものの効果では収量は低く(left) and temperature (right) of isogenic lines thermometer at maximum tiller number stage
in-5 5
つム一 l
Timeくhr)
Fig.2 DaHy change Of differences of canopy temperature ( A Ts) between isogenic
lines for Pl alleles and T-65 at maximum tHer number stage in 1996.
A;T-65. B;T-65Plr. C;T-65 Pl. D;T-65 PIw
3 '一 1 0
(3.)]1V
Fig.3 DaHy change of differences of 一eaf surface temperature (ATi) between isogenic
lines for Pl aHeles and T-65 8t maximum tHer
number sta9e in 1996.
A;T-65. B;T-65Pl'. C;T-65Pl. D;T-65Plw.
遺伝生態研究センター通信 No.37 なり,決して実際栽培に適しているとは考えにくい
が,紫稲にはまだ未知の有利性が隠されていて栽培
されていた可能性も考えられる。その一例がFig. 5 に示したPltの原系統であるI -1Q2の無肥料栽培区 での結果である。横にあるT-65と比較してもその 草丈の大きさがわかるが, 160cm以上の草丈を示し /ている。出穂はT-65よりかなり遅いが, Pll遺伝子 だけを抽出したときの穂数等の減少によるバイオマ スの小ささからは想像もできず,たぶんPlB遺伝子 の負の効果を隠してしまう何かがあると考えられ,少肥適応型品種育成の一つの育種母材となりうるも
のと期待される。さらに,そのうえでアントシアニ ンを分布させているのは,何らかの生態的メリット があるものと推定される。今後はそのメリットが何 DAYS TO HEADING 120 ㊦◎◎009⑳9⑳㊤⑳㊤ であるかを探っていきたい。 引用文献Ahn S. and Tすnksley S.D. (1993) Proc Natl Acad S°i 90:7980-7984.
Hu J. et al. (1996) Genet 142:102111031.
Igarashi K. ef α∼.(1990) Agric BioI Chem 54:171-175.
加藤茂萄(1908)農事試験場特別報告 25:1-46.
Kinoshita T. and Maekawa M. (1986) a Fac Agr
Hokkaido Univ 62:453-466.
宮下晃一ほか(1996)日本農業気象学会1996年度全国大
会講演要旨 26-27.
長尾正人・高橋寓右衛門(1951)育雑1:129-136.
Nagao S. et al. (1968) I Fac Agr Hokkaido Univ
56:45-56.
140
NO. GRAINS/PANJCLE
+T-65Pl +T-65PJW +T165Pll + T165
Fig・4 Agnoromic performa,nces of isogenic ll'nes for Pl aHefes・
大森拓ほか(1996)育雑 46 (別2):
35.
Reddy V.S. et al. (1995) Theor A
ppl Genet 91
:301-312.
Takahasi A. et al.(1991) Plant
Cell Physio1 32:541-547.
竹崎嘉穂(1921)遺雑1:37-43.
山口禰輔(1937)達雄13:56-58.
Fig.5 Photography of T165 andト102 in the unfertilized condition in 1996.
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遺伝生態研究センター通信 No.37 ◎棚80紳㊦00◎
シトクロムP450/酵母異種発現系の
環境汚染化学物質分解への応用
東北大学反応化学研究所 柳 田 和 孝・清 水 逮 ′ 、 ′ \ はじめに 化学や生化学という研究領域内の情報しか得られない 私共にとっては,遺伝生態研究センターの運営協議会に 参加させて頂くことにより,センターのお役に立っとい うよりも,遺伝生態研究について非常に多くの貴重な情 報を得て勉強することができ大変に感謝している次第で ある。私共も,酵母,環境,遺伝子工学などというキー ワードで表現できる研究を一部進行中である。この研究 は本センター関連の研究とは程遠いものであるが,間接 的にでも何らかのつながりが兄いだせるかもしれないと 考えて,最近の研究の一部を紹介させて頂くことにした。 きっかけ 動物の肝臓には数千種類以上の薬物や毒物を代謝して 無毒化したり排出する仕組みを備えている。私共はこの 薬物/毒物代謝において重要な働きをするシトクロム P450 (P450)という酵素の構造一機能相関関係を遺伝子 工学的手法を用いて調べてきた1)。一万, -ロエタン, PCB,ニトロソアミン,ベンズピレンなどは発癌,育 形,不妊などを誘発するが,環境中で極めて安定であり, これらによる環境汚染が大きな社会問題になっている。 P450はこれらの毒物化学物質を基質にして,代謝したり 無毒化する。私共はこの動物由来薬物/毒物代謝酵素で あるP450を遺伝子工学的手法で酵母に発現させ,環境中 に存在する残留性有機毒性化学物質を効率良く解毒化し 除去できないかと考えた。 ハロエタンの脱ハロゲン化への試み ラット肝臓由来シトクロムP450 1A2 (P450 1A2)のc DNAを酵母(Saccharomyces cerevislae)に導入して, この酵素を大量発現させた。この発現した酵素は酵母中 で極めて安定であり,酵素失活の半減期は25℃で30L」, OoCで50日である。このことからこのP450/酵母異種発 現系は実用の可能性が大きいことを示唆する。 私共はこの系を最初の試みとして8種類の塩素化ユタ ン及び塩素化エチレンに適用した。その結果,この系は この8種類すべてを基質にして脱-ロゲン化反応を進め ることが兄いだされた。中でも特にトリクロロエチレン, ペンタクロロエタン及び-キサクロロエタンに対する活 性は高かった。トリクロロエチレンに対する反応は酸化 反応,転移反応及び還元反応を伴う複雑な反応であった が,ペンタクロロエタン及びヘキサクロロエタンに対す る反応は還元的脱-ロゲン反応であった。嫌気的条件に することやグルコースをこの系に添加することにより, いくつかの反応では2倍近い活性状況が認められた。現 在これらの反応機構について詳細に検討している。 P450の変異の効果 私共は以前より, P450 1A2の活性部位のアミノ酸が反 応においてどのような役割を果たすのかを部位特異的変 異法を用いて詳細に調べてきた1)。 p450 1A2は-酸素添 加酵素であり酸化反応を触媒する。しかし,今回見出さ れた反応がP450 1A2による反応であるとすると, P450 1A2が還元反応を触媒することになり,その反応機構を 研究する上でも非常に興味深い。そこで活性部位にある と推定されるいくつかのアミノ酸を他のアミノ酸に変異 させたP450 1A2を酵母に発現させて,変異の活性に及ぼ す影響を調べた。その結果,酵素や基質が結合すると推 定される活性部位(図1)のアミノ酸を変異させると, いくつかの変異体ではその反応活性に著しい増加が認め られた。図2にはThr319Al変異により基質であるヘキサ クロロエタンの減少速度が13倍上昇したことを示す。又, その生成物の組成も変異により著しく変化する場合があっ た。これらのことから,これら活性部位に存在するいく つかのアミノ酸が還元的脱-ロゲン化反応に直接的に関 わっていることが示唆されたo酸素の影響など反応機構 に関わる多くの興味深い点について現在詳細な解析を進 めている最中である。 まとめ 以上,非常に簡単に酵母,環境,遺伝子工学に関わる遺伝生態研究センター通信 No.37 私共の最近の研究を紹介した。肝臓P450は極めて幅広い 基質特異性を保持しており,現在問題になっているほと んどの有機汚染化合物はP450の基質になる。その為にこ のP450/酵母異種発現系は環境汚染物質分解/除去のた めに,将来有効な方法になる可能性がある。しかし,肝 臓P450のターンオーヴァ-数は高々5mln lで多くの反 応では1min l以下である。この値は酵素反応として極 めて低く,反応条件を検討したり,多くの変更体を構築 したりして,活性を大きく上昇させることが今後の課題 であろう。 引用文献 1)例えば
Mayuzumi, H.et al. (1993)
Biochemistry 32 : 5622-5628. Shimizu, T.et al. (1994)
J. Biol. Chem. 269 : 13296-13304. Nakano, R.et al. (1996)
J. Biol. Chem. 271 : 8570-8574. ヽ_ノ ヽ〆ヽNヽメldl′I 図1私共が用いているラット肝臓P450 1A2の推定される活性部位。 Glu318. Thr 319はヘム鉄の上部に位置して酵素の活性化に寄与しており, Lys250′ Arg251. Lys253は蛋白分子の表面に位置しており,基質結合部位の一つになっている ことが示唆されている。 4 2 22 (一O∈TJ)eUt2LJt00JOILJOt2×OH 0 5 Time (hr) 10 図2 空気存在下, P450 1A2が発現している酵母とヘキサクロロエタンを混合し, ヘキサクロロエタンが時間と共に減少していく様子を示す。ある変異体(Thr 319Ala)を用いるとヘキサク田口エタンの減少速度は野生型(Wild Type) を用いた場合より13倍も速いことがわかる。 ■り
遺伝生態研究センター通信 No.37 ◎脚紳棚◎一才
平成9年度ワークショップ開催に向けて
遺伝生態研究センター長 大 瀧 保東北大学遺伝生態研究センターでは,遺伝生態という新しい研究分野の開拓と発展を目指すため,全国共
同利用の機能を通して,これまで毎年ワークショップおよび共同利用研究を実施して参りました.とくにワー クショップにおいては,公募等によって採択された特定の研究課題に関して,比較的少数ながらセンター内 外の研究者によって深く討論され,その成果はこれまで23冊のIGEシリーズとして刊行され,多くの研究者 から高い評価をいただいて参りました。本センターの最終年度ともなります今年度のワークショップでは,これまで本センターの目指してきた遺伝生態研究を総括すると同時に,将来の遺伝生態研究を展望し,学問
としての遺伝生態研究へ発展させるための跳躍台にしたいと考えております。各研究分野で御活躍されてい
る諸賢の御参加と御指導を心からお願い申しあげます。
′ \ ′、\平成9年度ワークショップ
「遺伝生態研究の台頭,発展,そして未来への展望」
はじめに遺伝生態研究センターは全国共同利用施設として, 「生態系における生物種の遺伝的基礎の解明」を目的
として,いろいろな角度からの研究を発展させてきました。本センターが発足して10年が経過しようとしておりますが,今日および今後の人間社会における生物科学の方向性をみてみますと, 「遺伝生態研究」の重
要性がますます増人するものと思われます。そこで,今回のIGEワークショップでは,これまで果たしてき た「遺伝生態研究」の役割について総括するとともに,今後それをどのように発展させていくのか,われわれをとりまく環境や生態系の変動など生物科学が今日おかれた背景を整理しながら, 「遺伝生態研究」の将
来を展望します。内容骨子
1)遺伝生態研究 -この10年一 遺伝生態研究は,学際的な今日的研究分野として認識されつつあります。ワークショップの前半では, これまでの遺伝生態研究の動向を「遺伝子」と「環境」の二つのキーワードから概説していただき,その動向の中で遺伝生態研究センターが行ってきた各部門の研究,共同利用研究の成果を展示・議論するポス
ターセッションを設けます。その上で,参加者からのコメント等も含めて,これまでの遺伝生態研究に関 する総括的な議論をしていただきます。2)地球環境が変わると生物の生活と適応のしくみはどうなるか
今日的問題となっている地球環境・生態系の変化は「生態系における生物種の生活」に直接影響し,そ
れが遺伝生態研究の直接の研究対象ともなります。ワークショップの後半では, 「地球環境の変動」とい う観点から研究を進めている専門家から話題を提供していただき,地球環境の変動に伴って生物種の生活 にどのような変化がおこるのか,また,それを想定して展開されるべき遺伝生態研究の姿を,パネルディ スカッションによる討論をとおして探ります。遺伝生態研究センター通信 No.37