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触刺激計測システムの開発に関する研究

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Academic year: 2021

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触刺激計測システムの開発に関する研究

著者

野俣 拓也

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学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

医工博第32号

URL

http://hdl.handle.net/10097/59735

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氏名(本籍地) 学位の種類 学位記番号 学位授与年月日 学位授与の要件 研究科、専攻 学位論文題目 論文審査委員 のまた た〈や 野俣拓也 博士(医工学) 医工博第 32 号 平成 25 年 3 月 27 日 学位規則第 4 条第 1 項該当 東北大学大学院医工学研究科(博士課程)医工学専攻 触刺激計測システムの開発に関する研究 (主査)東北大学教授田中真美 東北大学教授山口隆美 東北大学教授出江紳一 東北大学教授田中徹

論文内容の要旨

第 1 章序論 ヒトが衣服を着用する際,皮膚と衣服との聞には締め付けや擦れなどの,皮膚に対する力学的な刺 激が生じ,これらの刺激が一因となり,かぶれなどの非アレルギー性接触皮膚炎が発生することがあ る.また,敏感肌やアトピー性皮膚炎などのある場合,衣服による触刺激によって,かゆみや痛みな どを感じる場合もある. 乳幼児は排世のコントロールが未発達なため,その多くは日常生活でおむつを身につけており, 日 本では 95% を超える乳幼児が紙おむつを使用している.乳幼児における非アレルギー性接触皮膚炎の 一例として,一般的にはおむつかぶれと呼ばれているおむつ皮膚炎がある.おむつ皮膚炎とは,狭義 には,おむつによる触刺激および、おむつ内の排植物による接触性皮膚炎を指し,広義には,乳児脂漏 性湿疹や乳児寄生菌性紅斑などを含めたあらゆるおむつに関連した皮膚炎のことを指し,おむつが直 接接触する部位の皮膚が炎症を起こした状態のことをいう. 乳幼児のおむつ皮膚炎の発生機徐において,紙おむつによる触刺激が重要な要因として考えられて いる.紙おむつによる触刺激が乳幼児の皮膚に与える影響を解明することができれば,非アレルギー 性接触皮膚炎の発生を軽減することができ,乳幼児や保護者の生活の質 (Quality

oflife,

QOL)の向 上につながると考えられる.しかしながら,乳幼児用紙おむつの着用によるおむつかぶれの要因に関 する研究は,使用実態調査に比較すると少ない.おむつと乳幼児のスキンケアに関する研究のうち, おむつかぶれのメカニズ、ムの解明や紙おむつが皮膚の性状に及ぼす影響などほとんどの研究が,皮膚 科や小児科の臨床医によって行なわれているのが実情である. ヒトが受ける色や味,触感などの感覚を調査する場合,一般的に官能評価が用いられるが,乳幼児 用紙おむつの場合,乳幼児は紙おむつから使用中に受ける触刺激がどのようなものかを言葉で説明す ることが困難であり,言葉によるコミュニケーションを必要とする官能評価を乳幼児に対して行なう ことが不可能である.従って,乳幼児が受ける感覚を基に紙おむつの触刺激を評価することは困難で

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つが乳幼児の皮膚に与える影響については未だ解明されていない. そこで,紙おむつが乳幼児の皮膚 に与える影響を解明するために紙おむつによる触刺激の適切な評価手法が求められている. 紙おむつ による触刺激を客観的に評価するためには,触刺激を計測 ・ 評価するセンサシステムの開発が必要で ある. 触刺激のように衣服を着用した際に衣服と皮膚との間に生じる力学的刺激は,静止時だけではなく 動作時にも生じる. そのため,紙おむつによる触刺激を評価するためには,紙おむつを着用して動作 した際の状態についても調査する必要がある. 以上に鑑み,本研究では,紙おむつを着用した際に生じる触刺激の計測が可能なセンサシスムの開 発を目的とする. 第 2 章触刺激計測のための乳幼児の動作調査 乳幼児の動作を考慮した触刺激計測システムを構築するため,乳幼児の動作についての調査を行な った. まず始めに,保育園にて自由遊び中の乳幼児を動画撮影し,乳幼児が行なう動作の種類,頻度 を調査した.その結果,乳幼児は自由遊び中において歩行動作を頻繁に行なっていることを明らかに した. 続いて,乳幼児の歩行動作についての画像解析を行ない,乳幼児の歩行周期, 歩行時の股関節 角度変化を分析した.その結果, 乳幼児の歩行周期および歩行時の股関節角度変化の範囲を明らかに した. これらの結果を基にして,触刺激計測システムに利用する動作として歩行動作を選択し,乳幼 児の歩行動作を再現するための目標値を決定した. 第 3 章触刺激の基礎的特性の評価 紙おむつを着用した時に生じる締め付けと擦れを触刺激と定義し,それらを計測するために触刺激 計測センサを作製した. また, ロール型触刺激計測システムの開発を行ない,紙おむつによる触刺激 の計測 ・ 評価を行なった. 始めに,

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-測するため,ロール型触刺激計測システムを開発した.図 1 に開発したロール型触刺激計測、ンステム の概略図を示す.本システムでは乳幼児の大腿部や磐部,股間周りなどの丸みのある体の構造を円筒 形で単純化している. 本システムの円筒型受感部上のセンサと紙おむつが接触するように配置し,ス テッピングモータにより円筒型受感部を回転運動させることで,センサと紙おむつとの聞に触刺激を 生じさせる. 本システムを用いて紙おむつによる触刺激の計測実験を行ない,触刺激計測センサ出力 の特徴から,触刺激を評価するためのパラメータを抽出した.最後に,ロール型触刺激計測、ンステム を用いて,複数の紙おむつの触刺激の計測 ・ 評価を行なった.その結果,紙おむつの構造的特徴によ って生じる触刺激が異なることを明らかにし,本研究で開発したロール型触刺激計測システムが紙お むつによる触刺激の計測 ・ 評価に有効であることを確認した. 第 4 章 ドール型触刺激計測システムによる触刺激の計測 乳幼児の動作を考慮した触刺激の計測を行なうために,乳幼児の体型を模擬した紙おむつ評価用ド ールを用いたドール型触刺激計測システムを開発した.始めに,乳幼児の体型を模擬したドールに触 刺激計測センサを貼り付けた触刺激評価用ドールを作製した.また,歩行動作時の触刺激を計測する ために紙おむつ評価用ドールを用いたドール型触刺激計測、ンステムを開発した. ドール型触刺激計測 システムの概略図を図 2 に示す. ドーノレ型触刺激計測システムを用いて歩行動作時の触刺激の計測を 行ない,紙おむつ評価用ドールの動作解析の結果から,本システムで実際の乳幼児の歩行動作を再現 できることを確認した. 続いて,歩行動作によって生じる触刺激の時間変化,動作との関連性につい て考察するためのパラメータとして,第 3 章で提案した触刺激評価パラメータに加えて,擦れと締め 付けについて時間情報を有したパラメータを提案し,歩行動作時の触刺激の評価に有効であることを 確認した.最後に,複数の紙おむつを用いて,歩行動作時における触刺激の計測を行ない,紙おむつ の構造によって触刺激の生じるタイミングや触刺激が生じる時間長が異なることを確認した. 以上の 結果から,紙おむつ評価用ドールを用いたドール型触刺激計測システムを用いた,歩行動作時に紙お むつによって生じる触刺激の計測 ・ 評価が可能であることを示した. Stainless steel screw Video camera

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第5章紙おむつを用いた触刺激の官能評価 成人に対する官能評価を実施し,紙おむつによる触感についての調査を行なった. 複数種類の紙お むつを用いて,紙おむつをヒトの前腕部に接触させ, 締め付けを変化させた時の触感についての官能 評価を行ない,紙おむつに触れた時の不快感についての調査を行なった. 調査結果を図 3 に示す. 官 能評価結果より, 不快感を表す触感は互いに高い相関関係にあるものが多いことが確認された. また, 官能評価結果について分析した結果, 紙おむつの種類によって「ちくちく感j と「ひりひり感」の感 じ方に違いがあることを明らかにした. さらに, 官能評価の結果を基に,第3章で提案した触刺激評 価パラメータとの関係を調査し,紙おむつによる締め付け, 擦れのいずれも「ちくちく感J および「ひ りひり感J と関係していることを示した以上の結果から,本論文で提案した触刺激評価パラメータ を用いることにより,紙おむつを着用した時の不快感と関連のある触感を評価できる可能性を示した. 第 6 章結論 本論文で得られた結果を総括し,結論を述べた. 本論文では,皮膚とおむっとの相対的なずれによって生じる圧力変動を擦れ, おむつによって皮膚 に加わる静的な押しつけを締め付けと捉えて それらを触刺激として計測 ・ 評価を行なうシステムの 開発を行ない,その有効性を示した. さらに, 本システムを用いて紙おむつによる触刺激と不快感と 関連する触感を評価できる可能性を示した. また,この結果は本論文によって得られた知見およびセ ンサシステムを用いることにより , 皮膚障害を引き起こす原因となる触刺激の計測 ・ 評価が可能であ ることを示唆するものであり,紙おむつによるおむつ皮膚炎発症の原因解明や, 衣服によって生じる 非アレルギー接触皮膚炎発症の軽減に大きく貢献することが期待できる.

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-論文審査結果の要旨

乳幼児は排世のコントロールが未発達で、あるため,その多くは日常生活でおむつを身につけてい る.乳幼児の皮膚は未熟であり,外的な刺激に対する抵抗力が弱いため,おむつを着用した際に生 じる締め付けや擦れなどの触刺激が原因となり,おむつかぶれなどの非アレルギ}性接触皮膚炎を 生じることがある.非アレルギー性接触皮膚炎の発症を抑制するためには,触刺激が乳幼児の皮膚 に与える影響を適切に評価する必要がある.しかしながら,乳幼児は言葉による意思伝達能力が未 発達であり,官能評価が行なえないため,触刺激の定量的な評価は行なわれていない.本論文は, 紙おむつによる触刺激を評価するためのセンサシステムの開発を行なうものであり,全編 6 章から なる. 第 1 章は序論であり,本研究の背景,目的および構成を述べている. 第 2 章では,保育園で乳幼児の動画撮影を行ない,それを基にして乳幼児が自由遊び中に行なう 動作の種類と頻度について調査している.調査結果を基に,最も頻繁に行なわれている動作の特徴 について分析し動作時間と股関節角度の変化を明らかにしており,これは乳幼児の動作を考慮し た触刺激計測システムを構築する上で重要な知見である. 第 3 章では,ロール型触刺激計測システムの開発を行なっている.紙おむつによる擦れと締め付 けを触刺激と定義し,それらを計測するための触刺激計測センサならびに,乳幼児の体型と動作を 単純化した計測システムを作製している.紙おむつの構造に起因する触刺激の評価に対する開発さ れた計測システムの有効性が示されており,これは触刺激の評価において有用な成果である. 第 4 章では, ドール型触刺激計測システムの開発を行なっている.乳幼児の体型を模擬したドー ルにより,実際の乳幼児の動作を再現して紙おむつによる触刺激を計測するシステムを作製してい る.動作中において触刺激が生じるタイミング、や時間長が紙おむつの構造によって異なることが報 告されており,これは触刺激と動作の関連性の解明において有用な成果である. 第 5 章では,成人に対して紙おむつに触れた時の触感についての官能評価が行なわれている.紙 おむつによる不快感を表す触感の中でも痛みを伴う触感と,開発された触刺激計測システムでの計 測結果の関係が強いことが報告されており,これは本論文で、得られた結果がヒトの不快感に基づい て触刺激を評価するのに有用であることを示唆するものであり,非常に重要なものである. 第 6 章は結論である. 以上要するに本論文は,乳幼児が紙おむつを着用した際に生じる擦れと締め付けを触刺激と定義 し,それらを計測し評価するための計測システムを開発し,紙おむつの構造に起因する触刺激な らびに動作時に生じる触刺激の評価が可能であることを示したものである.また,その結果はヒト の不快感に基づいて触刺激の評価が可能であることを示唆するものであり,医工学および医療福祉 工学の発展に寄与するところが少なくない. よって,本論文は博士(医工学)の学位論文として認める.

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*1 国土交通省(当時 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修士課程)

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