ミツバチ科学24(1):35-40 HoneybeeScience(2003)
中国養蜂産業 の現状
張 夏興,陳 賛紅
中国養蜂学会の会長であり,昨年 まで農業科 学院蜜蜂研究所の所長を務め られた張 夏興氏 は2002年 11月にアジア養蜂研究協会の招 き で陳 架紅研究員 と共 に来 日した.同年 1月に 発動 された中EEl産ハチ ミツに対する EUの輸入 禁止措置に関 して,中国の行 った対応を日本の ミツバチ生産物関係者 に直接説 明 したい とい う,張会長の意を汲み,全 日本 はちみつ協同組 合のご尽力で,関係各団体の委員を対象 とする 講演会が急速企画 された. 本稿 は11月 5日に 東京八重洲 で行われた張会長 による講演 と,そ れにつづ く同組合理事長野 々垣孝氏 との一問-答を,提供 いただいた資料を含め,まとめた も のである. 中国養蜂 の概略 中Egの養蜂の歴史は大変に古 く,上古の時代 か らすでに始め られていたと思われる. しか し 文字のない問は記録がな く,商の時代 (紀元前 1600年,日本の縄文時代)になり,中Eg初期の 比較的完全な甲骨文が形成 されたときに, はじ めて 「蜜」 という文字が出現 している.中国の 養 蜂業 を この時点 か ら計算 す る と して も, 3000年以上の歴史を有す ることになる. 養蜂 は農業 に伴 って発展 した.春秋時代 (紀 元前770年∼,日本の縄文時代後期)の終わ り に鉄器が現れ農業生産が促進 されると,養蜂業 も次第 に拡大 した.漢 の時代 (紀元前206年 ∼, 日本の弥生時代の初期)には,養蜂業 はす でに 1つの専門業種 とな っていた.我国には数 千年にわたる養蜂知識の遺産が残 されている. 例えば越Egの政治家,範姦 (はんれい)が著 し た 「致畜全書」,北末の王高額 (お うぐとう)の 「蜂記」,元代王の 「農書」,清時代の 「蜂衡 (揺 うが)小記」等の著作はいずれ もミツ/ヾチとそ の飼育技術について詳述 している.従 って,少 しも誇張せずに云えることは,中EElは古 い養蜂 の国であり,養蜂の史話 は,実 に悠々数千年で ある. 19世紀末, 20世紀初期にセイヨウミツパテ (イタ リア ン) と可動巣枠式巣箱の養蜂新技術 が導入 された.採蜜量が高 く,収益 も大 きいた め,セイ ヨウ ミツバチ養蜂 は一時大変流行 し た. しか し急速な養蜂業の発展に飼育技術の基 礎が伴わなか ったため,蜂病が大流行 し大多数 の養蜂場が破産 した.新 中国が成立する直前 に は,全国で飼育 されている西洋蜂 はわずか10 万群,中国蜂 は40万群であった. 1949年新中国が成立 してか らは,国が養蜂 の発展に力を入れ,飼養技術 と理論的研究はと もに大 きな発展を遂げた.特 にローヤルゼ リー の生産技術,人工授精の技術および中国蜂の可 動巣枠 による飼育技術の研究 と普及 は,わが国 養蜂業の発展の上で大 きな推進力 となった.吹 革開放以来,養蜂業 はさらに飛躍的な発展を見 せ,現在わが国の蜂群数 はすでに700万群 に達 し, 建Eg当時の14倍である. その うち中国蜂 は200万群以上で,世界第一位である. ミツバ チ生産物の年間生産量 は,-チ ミツ20万t,ロ ーヤルゼ リー2000t以上,花粉 3000t以上,プ ロポ リス300t以上で,いずれ も世界一である. 科学技術の進歩 によって, ローヤルゼ リーの生 産, ミツバチの育種, ミツバチの飼育技術,秦 蜂器具の開発および ミツパテ生産物の研究等に 大 きな実績を作 ることができた.現在,中国に は国立の養蜂研究所が 1ヶ所,地方 ・省 クラス36 の研究所が3ヶ所,国立の養蜂教育機関が 1つ あり,各地方で養蜂科学の研究 と普及に従事す る教授 クラスの研究者 は
1
00
名近 くお り,その うちの30%
以上が博士・修士 クラスである.秦 蜂知識の普及啓蒙のために,全国的な 「中国養 蜂」,
「蜜蜂」,
「養蜂科技 (養蜂の科学技術)」の 三つの雑誌が刊行 され,養蜂の専門書や養蜂に 関す る映画・テ レビの作品 も絶えず世 に現われ ている. 新 たな発 展 へ の可 能性 中国養蜂業の発展による目覚 ましい成果は, 人類の健康のために豊富な製品を提供 しただけ ではない. ミツパテが中国の農産物,森林 と牧 草の授粉を促進 したことにより,その生産量 と 品質を大幅に向上 させ,中国農業の持続的発展 を可能 に し,大 きく貢献 したのである.では中 国養蜂業の発展 はこれで極限に達 したことにな るのか.答えは明 らかに否である.その理由は: 1.中国に分布す る野生 の蜂 と飼育蜂群 の質 と種類 はす こぶ る豊富で,大変豊かな遺伝子バ ンクをな している.従来の交配技術ではうまく 取 り込めなか った形質で も,現代の遺伝子工学 技術によって移転が可能 になり, この遺伝子バ ンクは私達 に豊富な資源を提供できるようにな った.野生種の もっ優れた性能,すなわち耐 日 照 ・耐寒 ・耐雨 ・耐風性があり,保温能力に優 れる,病気 ・害虫にも強 いなどを,飼育蜂に組 み込むことがで きたな らば,極めて大 きな生産 力を新たに生み出す こととなる. 2. Bg土が広 く, 養蜂植物種 も大変豊かなの で,開花 シーズンは間断な くつづ き,養蜂の発 展のために豊富な物質的基礎を提供 している. 3.ミツバチ科学研究および養蜂研修施設が 完備 し,科学技術面の実力 も比較的強 く,養蜂 業発展のために人的,技術的支援を提供で きる4.1
3
億の人口を有す る大国であり,国内の 潜在需要 マーケットは大 きい.改革開放の進展 により,人々の生活水準 は日増 しに向上 し,衣 食が足 りた後 は,健康 と長寿がすでに人々の追 い求める主な目標になっている.保健意識の向 上に伴 って,す ぐれた健康食品であ り,保健医 薬品 ともなりうる, ミソバチ生産物 に関する知 識が普及すれば,人々の健康の友である ミツバ チ生産物の消費は必ず勢 いよ く拡大 して行 くこ とが期待できる. 国内の ミツバチ生産物消費 レベルは現在, ま だ極 めて低 く,郡市 と農村 の差 もかな り大 き い.発展 した大都市 における消費量 は高 く,港 在市場 は大変大 きいといえよう.一方全国で年 間生産 され る- チ ミツは約2
0
万t,その うち 毎年輸出される約1
0
万t
を除けば,人口1
3
億 に対 し,1
人当た りの消費量 は1
00
g
未満 とな る. これは-チ ミツ消費 の多 い国のわずか1
/
1
4
で しかない.また,我国は年間生産量2000
t以上,世界 シェアの 95%以上を占める, ロー ヤルゼ リー生産大国である. しか し輸出量の約700t
を除 くと残 りの国内消費量 は1
30
0t
,1
億 人あたり1
0
0
t
で,一人あた りの消費量 は僅か 1gである.現状では,ハチ ミツ,ローヤルゼ リ ーともに,一人あたりの年間消費量 は一 日の摂 取量 にも足 りない程度であり,我国自身の ミツ パテ生産物の市場潜在力の大 きさが うかがわれ よう. ミツバチ生産物 は保健上顕著な効果をもつ天 然物であるが,価格 は他 の保健食品より低廉で あることか ら,現在の生活 レベルで も相当多 く の国内消費者が負担できる.事実中国の ミツパ テ生産物国内消費市場 は近年急速に発展 してお り,かなりの ミツバチ生産物が海外市場 にたよ る局面を変えて,国内で消費されるようになっ た.数年後 には,中国は世界の ミツバチ生産物 の消費大国になるのはまちがいない. 5.養蜂 は貧乏を脱 して富裕 に至 るよい道で もある.中国には豊富な労働資源がある.広大 な農村 で は,おおかた人 に対 して土地が少 な く,労働力 にゆとりがある.富裕 な穀物生産農 家が生 まれた地区 もあるが,小規模農家 は往々 に して労働力が過剰であ り,丘陵や山地の室困 地区ははかの経済発展 は難 しい.そのような場 合で も養蜂資源に恵 まれているな ら,養蜂を習 得することは富裕への道 の一つ となろう.施設 農業が益々発展 している中で,ハ ウス栽培のイ チゴやキュウリなどは ミツバチによる送粉 を必要 とす る.養蜂者 は施設作物 に授粉蜂群を供給 したり,かわって野菜や果物 に授粉することで 新たな収入を得 られる. ハ チ ミツ輸 入禁 止措 置 問題 このように,中国養蜂業の発展 は前途有望で ある. ところが,中国の養蜂業は現在未曾有の 困難に直面 している.原因は
E
Uの中国-チ ミ ツ輸入禁止措置である.200
2
年1
月25
日に,E
U は中国の-チ ミツ及 び動物源食品に対 して 包括的輸入禁止措置を発動 した. これにより日 本, アメ リカ ・カナ ダへの輸 出 も影響 を受 け た.実際には日本への-チ ミツ輸入が禁止 され たわけではな く,今年 も楽観的な数量が輸入 さ れている. しか し日本の養蜂 ・ハチ ミツ業界 と 広 く消費者 に,よ くない影を落 としたことも事 実である,-チ ミツの輸入禁止措置はまたロー ヤルゼ リーにも波及 してお り,中国がWTO
に 加盟 してまもないこの時期に, このような挫折 にあったことは,非常 に残念なことであった.E
U は中国産-チ ミツに抗生物質 クロラムフ ェニ コールが0
.
1ppb
の基準値 を超 えて残留 していることを理由に輸入禁止措置をとった. この前後の事情を少 しお話 ししたい.2001
年11
月にE
U視察団が中国を訪問 し,私達 は北 京でお会 い した.-チ ミツ検査を専門にする女 性 もお られたが,11月で中国の ミツバチは基 本的に越冬に入 ってお り, このときは中国各地 の養蜂事情を真剣に視察 されたわけではなか っ た. 今回の輸入禁止措置は,中国産のエビの問題 か ら波及 した. エ ビのクロラムフェニコール残 留問題が生 じて,派生的に-チ ミツに及んだの である. このエ ビも実際には飼料 に含まれてい たのではな く,加工の過程で混入 した ものと解 明されている. 禁輸措置後の 2月 3日に,私 は ドイツのハチ ミツ研究所 に,E
U視察団 メンバーだ った-チ ミツ検査専門の女性を訪 ねた. この方 に, しっ か りと中国の養蜂事情を説明 しようと思 ったの だが,
「彼女 はフランス語だけで,英語 は話せま せん」 という理由で面会 はかなわなか った. し 37 か し北京 では彼女 は英語 を話 してお られたの で, これは礼儀ある謝絶,拒否 という風 に理解 するしかあるまい. 残留値0
.
1ppb
以下 とは,十万 tの-チ ミツ 中に,1gのクロラムフェニコールを許 さない という基準である.今回のE
U の行動 は, ヨー ロッパの狂牛病事件で国民が政府 に対 して抱い た不信感を打ち消すため,国民の健康に真剣な 関心を持 っていることを表すために行 った,動 物源食品及びハチ ミツに大げさな禁止措置, と いうのが ドイツの友人の見解であった. もう 1つの理由は,E
U内で生産 される-チ ミツ価格 はやはり高 く,輸入-チ ミツ,特に中 国産ハチ ミツが安 いことである.欧州諸Egの養 蜂農家 は中国に対 して不満を抱 いて きた.従 っ て明 らかに今回の禁輸措置 は,E
U 自身の利益 か ら出発 した措置であるといえよう. 中国養蜂 の課 題 と国 の対 策 一方で,中国産ハチ ミツにも問題がないとは 言えない.大部分の中国産-チ ミツは品質が良 く,今年 も相 当量 のハ チ ミツが輸 出 されてい る. しか しクロラムフェニコールが基準を超え て残留 した原因は,やはり中国の養蜂の手法が 古 く,伝統的なパ ターンに従 って生産 されたこ とによるのであろう.中国は養蜂大国ではある が,その生産方式が先進国 よ り立 ち後れてお り,養蜂農家 の相対 的文化 レベルは比較的低 い.抗生物質の残留問題 は,-チ ミツ生産 に使 う獣薬 (動物薬品)の使用が正 しく着実に実施 されていないことなど,あるべ き指導を しっか り受 けていなか ったためであり,またそれを監 督検査す るシステムが完全ではなか ったためと 言えよう.蜂病対策に抗生物質を使用すること は,中国だけのことではな く,世界の大多数の 国々で行われている.ただ,それ らの国々では 抗生物質の使用方法,使用時期,使用量が,安 全な基準 に従 って守 られている. ミツバチに蜂 病が生 じて,蜂群を焼却 した場合,それに対 し て国が補助を出す国 もある. しか し中国は多 く の補助金は出せない事情 にある.従 って政府 は 新 しい養蜂技術の指導 と, ミツバチ生産物への38 残留物のコントロールに力 を入れていく方針で ある. すでに1999年 に中国政府 は, 比較的安全な 動物源食品及 び動物薬残留量規制計画 を制定 し,最初の通知 は同年9月に農業部が畜産広報 で発表 した. この通知 は2001年 に EU に対 し て も行われた.規制計画 は出来たのだが,養蜂 農家 は広大な中国の各地 に分散 しており.短期 間に計画内容を周知徹底 させるのは,やはり困 難であった. クロラムフェニコールの問題を受 けて,中国政府及び農業科学院 もミツパテ生産 物の品質管理問題を大変重要視 して矢継 ぎ早 に 対 策 を実施 して い る.農 業部 は2002年 3月 に,養蜂 に使用できる薬 の リス トを中華人民共 和国農業部広告第193号本件 として発表 した. 中国養蜂学会 「全国養蜂業者 に告げる」を発表 し,そのなかで養蜂生産 において使用を禁止 さ れた薬品 リス トをわか りやす く細分化 し,提示 した. 7月には農業都主催全国養蜂業発展 フォ ーラムを開 き,中国養蜂業発展の指針,発展 に ついて規範を制定 した.農業部 はその後 も2回 にわたって養蜂生産規範 と ミツパテ生産物基準 を発表 し, まもなく 「養蜂業管理規定」 も改訂 して発表する予定である. これ らの新 しい基準 はすべてわが養蜂学会が草案を作成 したもので あり,各地への伝達 も我 々が行 っている.養蜂 業の重点的省 と自治区である,断江省,江蘇省, 湖北省,安徽省,上海,四川省,青海省,広東 省でそれぞれフォーラムを開 き,全国養蜂業発 展 フォーラムで定め られた指針を地域の養蜂家 にいかに徹底 させていくかについて,具体的対 策を取 り決めた. 各省 とも2002年の年末 まで に,大 ・中規模の養蜂会議 または養成訓練 クラ スを開 き,養蜂農家 に,規範 に準 じて生産する よう協力 し,蜂産品の品質の向上を図るよう促 す予定である. 中国養蜂 学会 の果 たす役割 わが中国養蜂学会は 「小 さい規模 ・大 きな群 れ」発展戦略を実施 している.全国に養蜂業の 機関車企業 (牽引企業)をっ くることを支援 し, 「現代化養蜂生産無公害 ミツパ テ生産物基地
」
中国の養蜂業重点省と自治区 の設立をめざす ものである.「小規模」とは,中 国の養蜂農家の規模,飼育群数が5
0
群∼80
群 と少ないことを指 している. アメ リカ ・カナダ のように, 1人で数千群,数万群 という規模で はな く, しか も広 く分散 している. これ ら小規 模の養蜂農家を,中核になる養蜂関連企業 +秦 蜂農家の形の大 きな集団,大 きな群 に組織 しよ うという戦略で,組織化 を中国養蜂学会が力を 出 して指導する.実際には 「養蜂業管理規定」 の公布 に併せて,全国の養蜂事情を普遍的に調 査 し,蜂種の確立,蜂薬の鑑定等の管理 システ ムをつ くり,養蜂生産及 び製品品質基準・監督 ・ 検査 システムを確立する.同時に専門家を組織 して養蜂農家に対する養成訓練に力を入れる. これは科学的飼育水準を高め,職業道徳教育を 強化 して,養蜂農家 自身の素質向上を図るもの である.具体的には,中核企業が 「こういう製 品を作 ってほ しい」 とい う希望をグループ内の 養蜂農家に伝え,中Eg養蜂学会は 「どうやった らそのような ものが出来 るか」を指導す る.秦 蜂農家は指導に従 って企業が希望 した製品を生 産 し,企業 に供給する, というシステムで,中 国養蜂学会は,養蜂農家 に対 してどういう薬品 を使 うか, どういうタイ ミングに使 うか, どれ ぐらいの量を使 うか, ということをよく指導 ・ 教育する.一方それに基づいて生産 された ミツ バチ生産物の品質を企業 に対 して保証する.秦 蜂農家 には薬品以外 に も使用 す る蜂具,飼養 法,採蜜方法,あるいはローヤルゼ リー採取法 など,あた らしい養蜂技術を伝え,逐次従来の 伝統的で立 ち後れた工法か ら脱するよう導 く. 養蜂農家 と蜂産品ユーザーである企業 との関係を作 り,中国養蜂学会が両者を結ぶ橋 となると いうことで製品の均一 な品質を保証する.そ し て過去 のいわゆる加工工場 を漸次淘汰 して い き,中国の養蜂農家が,無公害の製品を作 るよ うにもっていきたい.企業 と養蜂農家 は,互恵 の関係 にある.企業 は養蜂農家 と生産について の契約を結び,養蜂農家が, きちっとそういう 商品を作れば,合理的な価格で買い取 る.養蜂 農家 は契約 に基づ き,規範に則 って蜂産品を生 産 し,基準 に合格の ものを企業 に提供する. 「小 さい規模 ・大 きな群れ」発展戦略による モデル事業 を
200
2
年1
1月25
日に安徽省 に おいて実施する.収容人数200
人以上の研修 ク ラスを開 き,ユーザーである企業が,その場で 直接養蜂農家に会 う予定である. こういう形を 全国的に押 し広めてい くことで,短期間の うち に中国産ハチ ミツの品質 を,大幅に向上できる ことを信 じている. 中国養蜂学会起案の新 たな養蜂管理規定は, 釆年初 めに発表 され,公布後 に政府 は実施状況 を全国的に調査する. ミツバチ飼養方法 と養蜂 生産及び製品品質の基準監督 ・検査 システム, これを速 やかに確立 したい.専門家 を組織 し て,養蜂農家に対する養成訓練 に力を入れ,職 業倫理の強化 も図 る.養蜂農家 自身の資質向上 を図 り科学的飼育水準を高める. これ らが中国 養蜂学会のこれか ら取 り組む対策内容である. 中国 ミツバチ生産物の品質 は必ずや短期間の うちに大幅に改善 され,中国養蜂業の未来はさ らによ くなることを確信 している. なぜ水分の多いハチ ミツが生産 されるか 次に中日双方で共に関心を持つ問題について 意見交換をいた したいと思 う. 野々垣 :中国の養蜂が,世界の一般的養蜂 と 異なるのは水分含有量の高 い-チ ミツを生産す ることである.中国では毎 日で も蜜を絞 り, し たが って水分が多 くなる.す ぐに発酵するよう 吃-チ ミツははっておけないので, これを各地 の工場で濃縮加工する.発酵 しないように,栄 箱の中で成熟す るまで待 ってか ら採 るのが普通 で, こんなことはアメ リカ ・カナダ ・オース ト EE ラリア,よそのどこの匡卜でもおこなわれていな い.抗生物質などいろいろな問題があるが,世 界中か ら不信感を もたれているのはこれが一番 の原因ではないか. 私 どもはもう30年 も中国 と貿易をや ってお り,講演会や年一回の中 日交流会でいっ も, こ の採蜜方法が良 くないと指摘 してきた. しか し そこに来 る人達 は輸出業者であって,張先生の ように直接養蜂に関わってお られる方ではない ためか,私の声が生産者団体にまで伝わ らなか ったのではないかと思 う.せっか くアカシア, レンゲとか,いろいろな花が もっている特有の 香 りが,機械的に濃縮す ることによって飛んで しまう.中国では,蜜源 というより,色によっ てハチ ミツを種分 け しているだけだか ら,いい ハチ ミツが90%あって も,悪 いというか,ち ょ っと色の着 いたものを5-10%入れれば,全部 が色の濃い,悪い-チ ミツになって しまう.わ ざわざ工場で悪 くしているようなもので,だか ら中Egの-チ ミツは値段 も安 くなる. 数量 は少ないけれど,私 どもは直接養蜂家や 収穫業者 に依頼 して,十分に熟成 した-チ ミツ を生産 して もらい,相当高 い価格で買 って輸入 している.先程お っしゃった 「小 さい規模 ・大 きな群れ」発展戦略によるモデル事業が今月杭 州であるな ら,私 も直接出かけていって,養蜂 家 と先生方の集 まりでそ ういう話を したいと思 う.私の申 し上げたことは,広 く行われている 生産形態を変えることであり,す ぐには出来な いか も知れないが,是非 とも張先生のような指 導的な立場の方にそういう方向にもっていって いただきたい.そうすれば,中国の-チ ミツの 値打ちはもっと上がる. 日本 も30-40年前 に, -チ ミツが外国か ら 輸入 されることになったときに,同様の問題が おきている.生産者の方 は往々に して,完熟す るまで待っ と収穫量がへ るか ら,水分の高 い ミ ツで も,早 く採 って売 った方が得だという間違 った考えを もつ. しか し実際には濃縮のコス ト をかけて,値段の安 い蜜 に しているのである. 中国全体の養蜂効率か らみて も,生産段階で完 熟 した-チ ミツを採れば,濃縮加工の手間がかLIO か らない分 コス トは下が り,品質の良 い-チ ミ ツは高 く売れるわけで,中国 にとって こんない いことはないと思 う.す ぐは出来な くて も,時 間をかけて指導 していただ きたいと希望す る. 張 :肝心な問題 を,双方 にとって重要 な問題 をは じめか らお出 しいただいた野 々垣会長 に感 謝す る. 私 は11月1日に来 日したが, 前 日の 10月31日には,北京で ドイツの関係者 と,-チ ミツについて シンポジウムを開 き,論 じ合 っ ていた.ハチ ミツは天然 の産物であるか ら, そ の中に何かを加えて も,何かをひいて もいけな い, と ドイツの友人 はい っていた. これは非常 に正確で正 しいと思 う. これが成熟 ミツの概念 であ り, また,-チ ミツ中にいかなる残留物質 も含んではいけないとい うことなのである. 中国の養蜂農家 も20世紀半 ば,50年代 まで は成熟 ミツを作 って いたのだが,60年代後半 に
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「花を折 って, ミツを奪 い取 る」というスロ ーガ ンが生 まれた.-チ ミツの需要が増加 し, また-チ ミツ中の水分を飛 ばす濃縮機械,技術 が導入 され,加 えて当時の計画経済の価格問題 も加わ って,漸次,未成熟のハチ ミツが増 えて いった . 実際,糖度40度, 39度, この違 いがあって ち,買い取 られる-チ ミツの値段の違 いは微 々 たるものであ り, この問題がすべて養蜂農家の 非 とはいえないであろう.合理的な価格で買 い 取 られ るのな らば,完熟 したハチ ミツを彼 らは 生産す る.野 々垣会長がお っしゃったように, 現状では水分の多い-チ ミツを作 りなが ら,紘 構労力,手間, コス トがかか ってお り,養蜂農 家の得 るものは少 ない. ユーザーである企業 と 養蜂農家がちゃん と リンク して,協力す ること が肝心であろう.企業がのぞむな らば,養蜂農 家 は成熟 ミツを提供す る,一方企業 は,合理的 な価格でそれを購入す る, という信頼で きる安 定 した関係の設立が必要 である.十分成熟 した 良質ハチ ミツの価格で も,世界各国 と比べて, 中国産 ははるかに安価であろう. 世界の取引の中で,等品質であ ったと して も アルゼ ンチ ン産 には高 い値段を払 いたい,中国 に対 しては安 い値段 しか払 って くれない, とい う現実がある.中国のハチ ミツ価格 は,すでに 世界 においてひとつの問題 にな ったようにお も う.そ ういう-チ ミツを生産 しなが ら,実際 に 中国の養蜂農家 自身 は,大 して利益を得ていな い.お金 は全部,中間業者 あるいは濃縮 ・加工 す る業者 に取 られている.先 ほど野 々垣会長か ら,意見を毎年出 しているのに,一体,養蜂農 家の耳 に入 っているのだろうか というご指摘が あ ったが,私 はちゃん と養蜂農家の耳 に入 って いると申 し上げたい.で はなぜ現状が改善 され ないのか. ひとつは価格 の問題であり, もう一 つは,なぜか分か らないけれ ども,-チ ミツ収 穫 の シーズ ンになると,わざと水分のある薄 い ミツを買 いたが る多 くの人達が現れ るためであ る. もしユーザーが皆水分のある-チ ミツを も う買わないという態度 に出れば,おそ らく養蜂 農家 はす ぐに,そ ういう-チ ミツを生産 しな く なると思 う. (著者の住所 は下記参照 翻訳 鈴木 稔昭) 参考文献 松番光 夫.2002.ミツバ チ科 学 23(2):91-92. Fu-XINC ZHANG and LH10NG CHEN.Current statusofbeekeeplng industry inChina.Hone y-beeScience(2003)24(1):35-40.ApicultureSci -enceAssociation ofChina,Ⅹ1angShan,Beijing,China100093.
ThepresentstatusofChheseapicultureafter
theimpactofthebanonimportofallChlneSe honey into theEU isglVem Smooth reactions havebeentakenbythegovernment,andASAC willplaytheactiveandimportantroleingul d-ing the beekeepers to acquireadvanced te ch-niquesaccording tothenew guldelines.Italso planstoorganlZethebeekeepersgroups,whlCh willdirectlylinkwiththebeeproductmakers, so thateach may know and respond to the rightmarketdemand.
The p1-0blem ofhlghermoisturecontentof ChinesehoneylSdiscussedbetweentheauthor andMr.T.Nonogaki,tlleCharman,Japanhoney cooperativeassoc.