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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 民間企業の研究開発投資(4つの領域) Author(s) 小沼, 良直; 桑島, 修一郎; 榊原, 清則 Citation 年次学術大会講演要旨集, 27: 1043-1046 Issue Date 2012-10-27Type Conference Paper Text version publisher
URL http://hdl.handle.net/10119/11198
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2J22
企業の研究開発投資(4つの領域)
小 ( 日本 合研究 ) 一 ( 大 ) ( 大 ) 1. 要 研究開発を 技術の困難度 と 市場の不明確さ を に4つの領域に分け、 領域の研究開発投 資比率 などについて 企業 社に対してアン ート調査を実 し( 社から回答)、 ー を得た。 技術の困難度の い領域 や 市場の不明確な領域 は、研究開発や事業化においてリス クが い領域といえる。本発表は、得られた調査結果を に企業のリスクに対する考え方や、不確実な ものにチャレンジする場合の について考察するものである。 2.調査実 方 本発表に する ー は、 成 年度 経済 業 業技術調査 イノベーション創出に資する が国企業の中 期的な研究開発に関する実 調査 のものであり、国 企業へのアン ートにより調査 が行われた。(アン ート実 期 成 年 日~ 成 年 日) アン ート 調査対象 発 企業 社 研究開発に る業種から 出 上場 社 未上場 社 回収 社(回収率 ) 3. 4つの領域 とは か 本発表で する 4つの領域 とは、下の に示すように研究開発を 技術の困難度 と 市場の 不確実 の2つを として、4つに分けたものである。 ・領域1は、技術的難 度も低く、市場も明確であるため、 存の技術・ ・事業の 上のもの が多いと考えられ、連 イノベーションが中心で、さらにその中でも難 度の低いものが多いと考え られる。 ・領域2は、ニーズは明確だが、技術的に難しい領域であり、事業の連 性は強いが、 連 な技術が 求められる場合も多くあると思われる。このため、領域2への研究開発投資が多いということは、技 術面における 連 イノベーションに多くチャレンジしていると言える。 ・領域3は、技術的には難しくないが、市場が不明確な領域であり、市場開拓や市場創造が必要な領域 とも言え、事業における 連 イノベーションにつながる可能性がある。 ・領域4は、技術的に難しいだけでなく、市場も不明確であり、技術面・事業面 に 連 性が求めら れる可能性が くなると考えられる。リスクも大きいが、 に様 な可能性がある領域である。 大 市 市市 市 場 場場 場 の のの の 不 不不 不 確 確確 確 実 実実 実 性 性性 性 領域1 領域1 領域1 領域1 市場が明確で、技術的にも難しくな く、競争が激しい領域 領域4 領域4領域4 領域4 技術的に難しく、市場も不明確で先が 見えない領域 技術の困難度 技術の困難度 技術の困難度 技術の困難度 大 領域2 領域2 領域2 領域2 ニーズは明確だが、技術的に難しい領域 領域3 領域3 領域3 領域3 技術的には難しくないが、市場が不明 確な領域4.調査結果 4つの領域 に関する全体傾向 (1)研究開発投資 4つの領域に対する研究開発 のバランスは 下のようになっている。 の比率 1 年前との比較 5年後への期待 (2)期待される成功確率とインパクトの大きさ 期待される成功確率 インパクトの大きさ 4つの領域に対する研究開発 の 分は、 領域1 領域2 領域3 領域4の と なっている。 その中でも 的に領域1と領域2が多 くなっており、市場が不明確な領域3・4 への投資は少ない。言うなれば、企業は市 場のニーズが明確な領域に重点投資して いることが示されている。 市場が不明確 市場が明確 17.3 30.9 16.5 19.8 60.7 60.0 70.3 63.3 22.1 9.1 13.2 16.9 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 領域1(n=811) 領域2(n=828) 領域3(n=757) 領域4(n=723) 上 9.3 56.0 20.4 29.9 54.3 39.4 65.8 59.5 36.4 4.6 13.7 10.6 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 領域1(n=806) 領域2(n=829) 領域3(n=764) 領域4(n=736) 上 い い 65.3 43.4 32.0 18.8 領域1(n=801) 領域2(n=814) 領域3(n=738) 領域4(n=698) 単位:% 18.5 58.9 20.1 55.5 44.8 35.0 52.6 27.1 36.7 6.0 27.3 17.5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 領域1(n=799) 領域2(n=811) 領域3(n=718) 領域4(n=658) 大 中 小 領域について、期待される成功確率は 領域について、成功した場合のインパクト(売上など) 期待される成功確率は、研究開発投資の大きさと全く同 となっていて、企業は成功確率への期待 の大きさに て研究開発投資を行っていることがわかる。 成功した場合のインパクトは、領域2と4が大きいとなったが、い れも技術的難 度が い領域であ り、技術の 度さに重きを いていることがわかる。 1 年前と比較すると、領域2の研 究開発がやや えている。この としては、研究開発において技術的 な困難度が していることが考えら れる。 5年後への期待としては、領域1の 比率を下げて、領域2・3・4の比 率を上げたい傾向だが、特に領域2 への期待が大きく、領域4がそれに いている。
(3) 部連 の必要性 4つの領域 の研究開発 のバランスに対する傾向分 (クロス集 結果) (将来 ジョン 成の 無 集 ) 47.8 48.2 49.6 31.8 45.8 41.9 49.5 44.5 55.8 61.6 43.4 38.6 33.0 54.2 50.0 45.8 47.5 36.1 33.9 50.9 50.9 48.6 28.9 29.3 30.6 49.7 29.0 35.6 28.5 27.2 24.2 18.3 31.9 28.3 33.8 26.3 30.0 25.8 36.3 38.2 37.5 28.4 26.1 30.3 14.0 14.0 9.6 7.2 14.4 14.5 12.4 14.4 13.2 13.7 11.6 21.9 26.0 13.8 7.5 14.2 9.4 14.0 19.6 11.8 13.5 14.4 9.3 8.6 10.2 11.3 10.8 8.0 9.6 13.9 6.8 6.4 13.1 11.2 7.2 5.8 12.5 14.2 6.9 11.7 9.0 8.9 9.5 6.7 全体(n=874) 電気機器(n= 92) 輸送用機器(自動車)(n= 53) 輸送用機器(自動車以外)(n= 9) 化学(n= 88) 医薬品(n= 29) 機械(n= 97) 精密機器(n= 33) その他製品(n= 58) 食料品(n= 57) 繊維製品(n= 16) 情報・通信(n= 54) 電気・ガス(n= 10) パルプ・紙(n= 12) 石油・石炭(n= 4) ゴム製品(n= 12) ガラス・土石製品(n= 20) 鉄鋼(n= 28) 非鉄金属(n= 27) 金属製品(n= 51) 建設(n= 87) その他(n= 35) 領域1 領域2 領域3 領域4 (単位:%) 13.1 47.3 24.7 64.4 32.1 41.7 43.6 23.4 54.8 11.1 31.7 12.1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 領域1(n=795) 領域2(n=804) 領域3(n=713) 領域4(n=661) 大 中 小 47.8 47.5 48.3 48.1 28.9 30.4 27.7 26.2 14.0 13.0 15.0 15.1 9.3 9.2 9.1 10.6 全体(n=874) 大企業(n=459) 中堅企業(n=281) 中小企業(n=132) 領域1 領域2 領域3 領域4 (単位:%) 47.8 44.8 50.7 28.9 31.0 26.8 14.0 14.4 13.5 9.3 9.7 8.9 全体(n=874) 描いている(n=439) 描いていない(n=429) 領域1 領域2 領域3 領域4 (単位:%) (イノベーション創出による売上への貢献度 集 ) 47.8 52.7 50.6 45.1 44.3 28.9 26.6 25.2 32.2 31.2 14.0 11.7 14.1 14.4 14.2 9.3 9.0 10.2 8.3 10.3 全体(n=874) 0割以上1割未満(n=124) 1割以上2割未満(n=296) 2割以上4割未満(n=284) 4割以上(n=135) 領域1 領域2 領域3 領域4 (単位:%) 部連 の必要性は、領域4が最 も大きく、領域2がそれに次いで いる。連 の必要性は技術的難 度を中心に考えていることが示さ れている。 のイノベーション創出による売上への貢 献度は、最 1 年 で み出されたイノベ ーションが の売上に める割合を示して いる。 4つの領域に対する研究開発投資のバランスは、業種によるバラつきはあるものの、全業種的に 領域1 領域2が領域3 4を大きく上回っている。 企業規模 に見ると、大企業・中堅・中小企業でそれほど大きな差はないが、大企業の方が中堅・ 中小企業と比べて領域2の割合がやや く、中堅・中小企業の方が領域3・4の合 の割合がや や くなっている。 イノベーション創出による売上への貢献度 に見ると、貢献度の い企業群ほど領域1の割合が 低く、リスクある領域にチャレンジしていることが示されている。 将来 ジョンを いている企業群の方が、将来 ジョンを いていない企業群よりも領域1の割 合が低く、よりリスクある領域にチャレンジしていることが示されている。 (業種 集 ) (企業規模 集 )
5.まとめ・考察 (1)日本企業全体の研究開発投資に対する姿勢 ・研究開発を4つの領域に分け、それについて詳しく調査したのはまさに初めての試みである。 ・4つの領域に分けて調査したことにより、企業は市場が明らかな領域に対して重点的に研究開発を行 っていることを示すことができた。 ・5年後への期待として、比率を上げたい領域としては、領域2が最も多く、領域4がそれに次いでい る。このことは、企業が技術の困難な領域へチャレンジしたいという気持ちが表れていると言える。 ・しかしながら、その一方で領域3への関心は低い。本調査は企業の研究開発部門を対象としたため、 こうした結果が得られたことは理解できる面もあるが、特に成功した場合のインパクト(売上などへ の貢献)においても、領域3の評価が低いことは、技術の向上と比較して市場を切り開くことへのマ インドの低さが表れていると言える。 (2)時代の流れとの関連性 ・経済不況の中、企業の研究開発においても短期志向の傾向が表れていることは本要旨集の2J21に おいても述べたが、市場が明らかな領域である、領域1・2に対して重点的に研究開発を行っている ことは、無駄な研究開発はできる限りしたくないという効率追求の姿勢が表れていると言える。 ・その一方で、市場が明確な領域は多くの競合相手が参入する領域でもある。特に、研究開発投資が最 も多い領域1は、技術的な困難度も低いため、新興国も含めて競争が激しくなり、シェアや収益性の 低下にもつながりやすい。5年後への期待として、領域1の比率を下げたいと考えている企業が多い のは、できるだけ領域1では戦いたくないという気持ちの表れと考えられる。 (3)リスクある領域へのチャレンジ ・領域1を除いた領域2・3・4はリスクの大きな領域である。領域2は技術的なリスクへのチャレン ジであり、領域3は市場的なリスクへのチャレンジともいえる。領域4はその両方であるため、まさ に未知の領域へのチャレンジである。 ・領域1・2・3・4のバランスについて、業種による差が大きいのは当然と思われるが、企業規模に は大企業・中堅企業・中小企業のどの企業群においても領域1の比率はほとんど変わらない。リスク へのチャレンジに対するバランス感覚が企業規模には依存していないように見られる。ただし、領域 2~4のバランスにおいては、企業規模が大きくなるにつれて技術的に困難なことにチャレンジし、 企業規模が小さくなるにつれて市場開拓へチャレンジしているように見える。 (4)研究開発投資の少ない領域3・4をどう考えるか ・領域3・4は市場が不明確であるため、企業の研究開発投資の割合が少ないことは理解できるし、当 然であるとも考えられる。 ・領域3については全体的に関心が低く、どのようなものが該当するのか、回答した企業の方でもイメ ージをつかみにくかった可能性があるが、例えばアップル社のiPhone、iPad、iPod などは技術的な 困難さよりも、発想の斬新さから市場が本当に受け入れてくれるのかは開発時点では不確実であった と思われ、市場のニーズに合わせたというよりも市場を創り出していったという面が強く、これらの ものは領域3であったと考えられる。その他にも、最初から新興国向けに開発を行うようなもの(リ バース・イノベーション)も領域3と考えられる。 ・こうした事例を考えると、領域3は日本企業において必要なイノベーションであり、本調査では関心 が低いものの、市場開拓または市場創造につながるようなイノベーションにもっと積極的にチャレン ジすべきと考える。 ・前述のように、領域4は未知の領域へのチャレンジであり、多くの困難さを伴うが、領域3を拡げつ つもその中から領域4にもチャレンジする、あるいは領域2から新たな市場創造につながるようなも のを探していくなどのアプローチも考えられる。領域4についても、領域3同様に日本企業が将来に 向けて強化を検討すべき領域と考える。