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青年期における同性愛への態度に関する研究-ジェンダー・アイデンティティおよび同性愛についての知識との関連から-

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(1)

青年期における同性愛への態度に関する研究-ジェ

ンダー・アイデンティティおよび同性愛についての

知識との関連から-著者

登坂 如恵

学位授与機関

Tohoku University

URL

http://hdl.handle.net/10097/00113176

(2)

平 成 28年 度 (2016年 度 ) 修 士 論 文

青 年 期 に お け る 同 性 愛 へ の 態 度 に 関 す る 研 究

ー ジ ェ ン ダ ー ・ ア イ デ ン テ ィ テ ィ お よ び 同 性 愛 に つ い て の 知 識 と の 関 連 か ら

-東 北 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 総 合 教 育 科 学 専 攻 人 間 発 達 研 究 コ ー ス 発 達 心 理 学 分 野 博 士 課 程 前 期 2年 の 課 程2年 B5PM1503 登 坂 如 恵

(3)

要 旨

青 年 期 に お け る 同 性 愛 へ の 態 度 に 関 す る 研 究 ー ジ ェ ン ダ ー ・ ア イ デ ン テ ィ テ ィ お よ び 向 性 愛 に つ い て の 知 識 と の 関 連 か ら

-B5PM1503

登 坂 如 恵 現 代 社 会 に お い て , 性 の あ り 方 が 多 様 に 存 在 す る こ と が 認 知 さ れ る よ う に な り , そ れ に 伴 っ て 性 の 多 様 性 が 尊 重 さ れ る 社 会 作 り が 進 ん で き て い る 。 し か し な が ら , い ま だ に 性 , 特 に セ ク シ ャ リ テ ィ に 関 す る 差 別 や い じ め が 生 じ て い る 。 そ こ で , 本 研 究 で は 同 性 愛 へ の 態 度 に 焦 点 を 当 て た う え で , 青 年 の 持 つ ジ ェ ン ダ ー ・ ア イ デ ン テ ィ テ ィ (GI)がジェンダ ー ・ ス テ レ オ タ イ プ

(

G

S

)

と 合 致 す る か 否 か と い う こ と と , 同 性 愛 に つ い て の 知 識 の 多 寡 に よ っ て , 同 性 愛 へ の 否 定 的 な 態 度 に 違 い が 見 ら れ る か に つ い て 検 討 し た 。 大 学 生 お よ び 大 学 院 生 を 対 象 に 質 問 紙 調 査 を 実 施 し た 。 質 問 紙 は ,

GS

尺度,

G

I

尺度, 同 性 愛 態 度 尺 度 , 同 性 愛 知 識 を 問 う 項 目 , 年 齢 ・ 性 別 ・ 性 的 指 向 を 問 う 項 目 か ら 構 成 さ れ ている。

GI (GS

と 合 致 ・ 非 合 致 ) と 同 性 愛 知 識 ( 多 ・ 少 ) の 群 分 け を 独 立 変 数 , 同 性 愛 へ の 否 定的態度を従属変数とした,

2

要 因 分 散 分 析 を 施 し た 。 そ の 結 果 , 否 定 的 態 度 得 点 に 対 し て 同 性 愛 知 識 の 主 効 果 が 有 意 で あ っ た 。 ま た , 補 足 分 析 を 行 っ た 結 果 , 男 性 同 性 愛 態 度 の 下 位 領 域 で あ る 男 性 「 嫌 悪 ・ 拒 否 」 に お い て

G

I

と 知 識 の 交 互 作 用 が 見 ら れ , 知 識 多 群 に おいて,

GS

非 合 致

G

I

群よりも

GS

合 致 群 の ほ う が , ま た

GS

非 合 致

G

I

群 に お い て , 知 識 多 群 よ り も 知 識 少 群 の ほ う が , 男 性 「 嫌 悪 ・ 拒 否 」 が 高 い こ と が 男 性 に お い て 認 め ら れ た 。 ま た , 男 性 同 性 愛 お よ び 女 性 同 性 愛 態 度 の 下 位 領 域 で あ る 男 性 「 容 認 ・ 寛 容 」 お よ び 女 性 「 容 認 ・ 寛 容 」 に 対 す る 知 識 の 主 効 果 が 男 性 に お い て 有 意 で あ っ た 。 本 研 究 の 結 果 か ら 同 性 愛 に つ い て の 知 識 を 多 く 持 つ こ と が 同 性 愛 へ の 否 定 的 態 度 を 緩 和 す る 重 要 な 要 因 と な り う る こ と が , 特 に 男 性 に お い て 示 さ れ た が , 男 性 同 性 愛 へ の 嫌 悪 感や拒否感については,

G

I

に よ っ て は 知 識 が 十 分 に 機 能 し え な い 可 能 性 も 示 唆 さ れ た 。 こ れらから,

GS

と合致する

G

I

を 持 つ 場 合 に 嫌 悪 感 を 軽 減 し う る 要 因 を 改 め て 検 討 す る 必 要 が あ る 。 ま た , 同 性 愛 に つ い て の 知 識 は , 単 語 の 意 味 や 社 会 制 度 に お け る 同 性 愛 の 扱 い な ど に 関 す る も の か ら 向 性 愛 者 に つ い て の エ ピ ソ ー ド な ど さ ま ざ ま で あ る た め , 知 識 に 関 し て 検 討 の 余 地 が あ る だ ろ う 。 さ ら に , 鹿 内 ・ 後 藤 ・ 若 林 (

1

9

8

2

)

や 和 田

(

1

9

9

6

2

0

0

8

2

0

0

9

)

な ど の 先 行 研 究 と は 異 な り , 青 年 の 多 く が

GS

を そ れ ほ ど 強 く 持 た な い 傾 向 に あ る ことも示唆された。

(4)

目次

第 1章 問題と目的...・H ・-……ィ…... ... ... ... ... ... ... .'... ... -1・ 第 1節 現代社会における性の多様性に関する諸問題………...・H ・...・H ・..-1・ 第 2節 ジェンダー・アイデンティティとは…...・H ・..………...・H ・..………...・...-1・ 第 3節 同性愛(者)への態度についての関連要因………...・H ・..………-2・ 第 4節本研究の仮説...-6・ 第 5節 本研究の意義...-8・ 第 2章方法...-9・ 第 1節手続き...-9・ 第 2節調査対象者.…...-9・ 第 3節 質問紙の構成...ー...-9・ 第 3章結果.…・…...-13・ 第 1節 各回答データの検討...-13・ 第 2節 GIおよび向性愛知識と向性愛への否定的態度との関連...………....・H ・.-22・ 第 4章考察...-47・ 第 1節 GIおよび同性愛知識と同性愛への否定的態度との関連………....・H ・-…・ 47・ 第 2節総合考察...-51・ 第 3節今後の課題...-53・ 文献.……・...ー 55・ 謝 辞e・g・-……・…・...-58・ 資料...ー

59

(5)

第 1章

問題と目的

第1節 現代社会における性の多様性に関する諸問題 現代社会において,性のあり方が多様に存在することが認知されてきており,それに伴って徐々に LGBTなどの性的少数者(セクシャル・マイノリティ)への配慮、が進み始めている口たとえば,文 部科学省は,

2

0

1

6

4

月に『性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細や かな対応等の実施について』を学校現場における理解促進のために公表しており,性的少数者にあた る生徒に対する合理的配慮について述べている。また, 日本弁護士連合会

(

2

0

1

5

)

は「障害Jの定 義のなかに性同一性障害(性別違和)を含めており,合理的配慮の必要性を指摘している。このよう に,まだ十分とはいえないものの,行政や社会レベルで、の性の多様性を受容する姿勢は築かれつつあ る。 一方,個人における性の多様性の受容を考えた際,いまだに性に関する他者へのいじめや差別は認 められる。日本労働組合総連合会

(

2

0

1

6

)

の調査から,就業者の

8%

は性的少数者であり,就業して いる性的少数者のうち 「ゲイは気持ち悪しりといったLGBTに対する嫌がらせを受けたり見聞きし たりした人は

22.9%

を占めていることが明らかになっている。また,日高・古谷野・松高・星野

(

2

0

1

5

)

の調査では,同性愛者・両性愛者である男性の

1

1

歳から

1

9

1

0

9

6

人のうち,

4

割が学校でいじめ られた経験があることが分かつている。

2

0

1

6

5

月に行われた

HumanR

i

g

h

t

s

Watch

による性的少 数者を対象とした調査では,性的少数者によるインタビ、ューから,彼らが学校生活のなかで同級生か ら「キモしリ「ホモ」などと異質な存在として扱われた経験があることが明らかになっている。この ように,社会において性の多様性が認められてきているものの,教育現場をはじめとするさまざまな 場面において,性的少数者の立場にある人々への差別や嫌がらせ,いじめがいまだ、残っており,問題 視されている。 第2節 ジェンダー・アイデンティティとは ところで,我々は,文化や宗教,社会などのさまざまな要因からアイデンティティを形作っている。 その中でも特に性に関するアイデンティティは重要で、ある。一般的には変えることのできない生物学 的な性に基づくアイデンティティを意味し,自らの核となる部分のアイデンティティと言えるためで -1・

(6)

ある。 このような性に関するアイデンティティ,すなわちジェンダー・アイデンティティ(以下, GI) は,研究分野や依って立つ理論によって,その定義は異なる。たとえば,インターセックス(半陰陽) やトランスジェンダー(性同一性障害,性別違和)などの非定型的発達が見られる人々を対象にする 臨床研究においては,主に 2つの定義が存在するo 1つは, I自分が所属している性別について知っ ているとしづ感覚のこと。すなわち‘私は男性である'もしくは‘私は女性である'とし1う認識のこ と (Stoller,1964) Jであり,もう 1つは「男性あるいは女性,あるいはそのどちらとも規定されな いものとしての個性の統一性,一貫性,持続性 (Money,1965東優子訳, 2000)Jである。一方, ジェンダー研究や発達心理学の分野では, GIを「社会的性役割に対する志向性J, I自分自身の男ら しさや女らしさに関する自己評価や認識」と定義されている。すなわち,社会化過程における性役割 の獲得が問題とされ,個人が自分の生物学的性に期待されたジェンダーを,どのようにして内面化し 性別化するかについての研究が進められてきており,いわゆるジェンダーの社会化という点に着目し ている。本研究では, GIを後者の「社会的性役割に対する志向性」と定義しすすめることとする。 GIは,一定の発達段階において確立され,安定化する。 Kohlberg (1966)によれば, 2歳ごろに GIの発達が始まり, 3'"'-'4歳ごろに人のジェンダーが時聞を超えて安定した属性であるというジェン ダーの安定性を獲得し, 5歳ごろになるとジェンダーの恒常性を獲得し,行動と状況がどう変化しで もジェンダーは変わらないことを理解すると言われている。また, Serbin

&

Sprafkin (1986)によ ると,ジェンダーに関する知識は 3'"'-'7歳にかけて増加し続けるが,同時期に性役割に関する柔軟性 も増加し,性役割に対する柔軟性も急増する。このように,幼児期・児童期に確立されたGIは,ジ ェンダー・ステレオタイプ化されたものとなるが,児童期後半に入ると,自らの持つ GIに柔軟性が 伴うようになり,ジェンダーのあり方は多様に存在することを認知するようになる。 第3節 同性愛(者)への態度についての関連要因 1.ジェンダー・ステレオタイプと合致する GI しかし,児童期後半に入り,自らの持つGIに柔軟性が伴うようになり,ジェンダーのあり方が多 様に存在することを認知するといわれているにもかかわらず,必ずしもジ、エンダーの多様性が受容さ れるわけではない。その要因のひとつとして,ジェンダー・ステレオタイプ(以下,

G

S

)

が挙げら れる。

GS

とは,男性・女性という生物学的性によって単純化されたイメージに基づく固定的な認知

(7)

の枠組みあるいは信念のことを指し,社会が期待する性格特性のことを意味する(鈴木, 2006)。男 女の典型的なイメージを体現している現実の男女はほとんど存在しない(東, 2003) が, GSが男女 の行動を規制する役割規範となり,規範から外れると非難や差別の対象となることがある(鈴木, 2006)。たとえば,異性愛の大学生を対象に,青年の同性愛に対する態度を性別および GIに着目し て検討した和田 (1996) の研究から, GSと合致する GIを持つ男性ほど,男性同性愛の社会的容認 度を低く見ており心理的距離感が大きいこと, GSと合致する GIを持つ女性ほど,男性同性愛と女 性同性愛両方に対して好ましくない態度を持っていることが示されている。また, GSと合致しない GIを持つ女性は,男性同性愛と女性同性愛両方の社会容認度を高く見ており,心理的距離感も大き くはないことも示されている。このように, GIのあり方によって青年の同性愛に対する態度に違い が見られる理由として,青年の持つGSが影響していることが考えられる。すなわち,青年が GSと 合致する GIを持っていることが同性愛への否定的な態度に関連していることが考えられる。同様の 結果は,複数の研究で認められている(和田, 2008, 2009)。くわえて, Goodman & Moradi (2008) の研究では,伝統的なGI,すなわち GSと合致する GIを持つ青年は,反同性愛的な態度を持ち,向 性愛に対して肯定的な行動を取らず,否定的な行動を取る傾向にあることも明らかになっている。ま た,石丸 (2008) の研究では,平等主義的性役割観を持つ者ほど同性愛に受容的であることが示さ れている。平等主義的性役割観とは,伝統的な性役割観を持っていないことを意味するといえるため, 石丸 (2008) の研究においても,和田 (2008) などの研究と同様の結果が支持されているといえる だろう。 2. 男性役割規範 GS と関連して, Keiller (2010) は,異性愛男性の大学生を対象に,男らしさを志向する信念の 程度と男性同性愛者や女性同性愛者への態度との関連について検討している。結果として,伝統的な 男性役割規範に全体的に従って行動することと,男性の同性愛者への態度との聞には強い関連が見ら れることが明らかになっている。また,男性役割規範のなかの「女性への権力 (PowerOver Women) J と「同性愛への軽蔑 (Disdainfor Homosexuals) Jに従って行動する者は 男性同性愛者に対する 好意的な態度との関連が見られる一方,男性役割規範のなかの「遊び人 (Playboy)Jに従って行動 する者については,女性同性愛者を好ましく思う態度との関連が見られ,男性同性愛者との関連は見 られていない。くわえて, i同性愛者への軽蔑」については 女性同性愛者においても男性同性愛者 においても同程度の強い関連が見られている。

-3

(8)

3

.

宗教信仰

ホモフォピアとは,同性愛,または同性愛者に対する恐怖感・嫌悪感・拒絶・偏見,または宗教的 教義などに基づいて否定的な価値観を持つことを意味するが, McDermott, Schwartz, Lindley,

&

Proietti (2014)によれば,異性愛の男子大学生において,性役割葛藤および原理主義的信仰が,そ れぞれ独立にホモフォビアと正の関連が見られることが明らかになっている。しかし, Reese, Steffens, & Jonas (2013)の研究では,これまで宗教を信仰していることや原理主義的な立場を取 ることが,男性同性愛に対して否定的な態度をとることと関連しているとされてきたことに対して, 宗教信仰と同性愛への否定的な態度との聞を介在する心理的な変数が存在すると仮定し,男性異性愛 者の大学生を対象にその検討を行っている。その結果,キリスト教信者よりもイスラム教信者のほう が男性同性愛者に対して否定的な態度を示したものの,男性同性愛者の男らしさについての信念およ び男性同性愛者に強要された男らしさの脅威の経験に関する信念が部分的に媒介しており,反男性向 性愛的態度に対する宗教信仰の直接的な影響は低いことが示されている。したがって,宗教への信仰 が必ずしも同性愛への否定的態度と強く関連しているとは言えないだろう。 4.同性愛者との接触経験 和田 (2008)は,同性愛者との接触経験を向性愛への態度の関連要因のーっとして取り上げてお り,研究結果から同性愛者との接触が多い者ほど,同性愛(者)を拒否しないことが明らかになって いる。しかしながら,先述のReese,Steffens, & Jonas (2013)による研究からも,異性愛男性に おいてのみではあるが,同性愛男性との接触経験の内容によっては同性愛への否定的な態度と関連か ら見られる場合もあるといえるだろう。 5.同性愛者との類似性知覚および、ジェンダー・自尊心 鈴木・池上 (2015)は,異性愛者自身が持つ「自分が男性/女性であることを誇りに思っている」 など性別に基づくアイデンティティへの自己評価を意味するジェンダー自尊心に着目し,大学生を対 象に同性の同性愛者に対する態度について実験的に検討している。その結果,男性において,異性愛 者と同性愛者との聞に生物学的差異が見られるという架空の解説文が明示された場合,男性同性愛者 に対する否定的な態度や偏見が消失する一方,異性愛者と同性愛者との聞に生物学的に相違がないと いう架空の解説文が明示された場合,ジェンダー自尊心が高い者ほど男性同性愛者に対して否定的な 態度をとることが示されている。また,女性においては,異性愛者と同性愛者との聞に生物学的差異

(9)

が見られるとドう架空の解説文が明示された場合,女性同性愛者に対して好意的な態度をとるが,性 愛者と同性愛者との聞に生物学的に相違がないという架空の解説文が明示された場合,女性同性愛者 に対する好意的な態度が消失することが示されている。すなわち,鈴木・池上 (2015)の研究結果 は,向性の同性愛者との類似性知覚とジェンダー自尊心が,向性の同性愛者に対する態度に差異を生 じさせる可能性を示唆している。 6.同性愛についての知識 和田 (2008)は,同性愛者との接触経験のほかに,向性愛についての知識の多寡について検討し ている。その結果,同性愛についての知識が多い男性ほど男性同性愛者を嫌悪・拒否しないこと,向 性愛についての知識が多い女性ほど同性愛者を嫌悪・拒否せず,容認・寛容する傾向にあることが示 されている。 7.本研究において取り上げる関連要因 これまで,同性愛態度研究のなかで同性愛についての知識を関連要因として取り上げて検討してい る研究は非常に少なく,園内研究では柳原(2000),和田(2008),海外研究ではWorthington,Dillon, & Becker-Schutte (2005)である。しかし,他の関連要因と比較した場合に, GIや宗教への信仰, ジェンダー・自尊心などは,後天的に変えることが難しい要因であると考えられる。また,同性愛者 との接触経験については,今後経験することはできると考えられるものの,即時的に実現可能である とは言いがたい。しかし,向性愛についての知識は,今後身につけることのできるものであり,また 先行研究からも同性愛態度への否定的な態度を緩和する要因としても認められていることから,どの ような知識が効果を持つのかなど,同性愛への態度の関連要因としてのさらなる検討が必要であると いえる。そこで,本研究では,同性愛についての知識を同性愛への態度との関連要因のーっとして取 り上げることとする。 ところで,和田 (2008)において,青年が GSと合致する GIを持っか否かということと同性愛に ついての知識がそれぞれ同性愛への態度とどのような関連が見られるかについて検討がなされてい るものの, GSと合致する GIを持ち同性愛についての知識を多く持つ青年が,同性愛に対して肯定 的な態度を取るか否かについては,和田 (1996,2008)などのこれまでの研究において検討されて いない。そこで,本研究では, GSと合致する GIを持っか否かということを同性愛への態度とのも う一つの関連要因として取り上げ,青年の持つGIがGSと合致するか否かということと,同性愛に ・5・

(10)

ついての知識の多寡が,青年の同性愛への態度とどのような関連が見られるかについて検討すること とする。 以上より,本研究の目的は,「GIがGSと合致しているか否か」と「同性愛知識の多寡」の 2つを 要因として取り上げ,同性愛への態度との関連を検討することとする。 和田 (1996,2008, 2009)の研究では,現在の青年が,鹿内・後藤・若林 (1982) の研究で得ら れた性役割に関するステレオタイプ (GS)を持つことを前提として,青年が鹿内ほか (1982) にお ける GSと合致する GIを持っか否かについて検討している。すなわち,現代社会における GSにつ いて考慮することなく,検討を進めているといえる。鹿内ほか (1982) の研究はすでに 30年以上経 っており,当時の GSと現在のGSとでは,違いが見られる可能性がある。したがって,和田 (1996, 2Q08, 2009)での青年の GIが現在の GSと合致するか否かについての検討は,十分な手続きを踏ん でいるとは言いがたい。そこで,本研究では,現代社会における GSと青年自身のGIの両方をたず ねることで,現在における GSを確認するとともに,青年がGSと合致する GIを持っか否かについ て検討することとする。 第4節 本 研 究 の 仮 説 以上を踏まえ,青年の同性愛に対する態度について考えた場合に,以下のことが考えられるだろう。 まず,社会が期待する性格特性を指す GSと合致する GIを持つ青年は, I男性(女性)はこうある べきだ」という信念を体現したGIを持つことを意味するため, GSと合致しない GIを持つ青年より も,同性愛(者)に対して否定的な態度をとることが考えられる。また,和田 (2008) より,向性 愛についての知識が少ない青年は,多い青年よりも,同性愛(者)に対して否定的な態度をとること が明らかになっている。 GSと合致する GIを持ち,向性愛についての知識が少ない青年は, I男性(女 性)はこうあるべきだ」という信念を体現しており,かっ自分とは異なるジェンダーのあり方をして いる人々についての知識も少ないため同性愛についての知識が多い青年よりも同性愛に対して否定 的な態度をとることが考えられる。また, GSと合致しないGIを持つ青年においては,和田 (1996, 2008, 2009)などでも示されているように,同性愛に対して嫌悪・拒否は低いことから,同性愛に 対して肯定的な態度をとることが予測されるが, GSと合致しない GIを持つ青年においてで、あって も,同性愛についての知識が多い青年は,知識が少ない青年よりも同性愛に対してより肯定的な態度 をとることが考えられるだろう。しかし,これまでの研究において同性愛に対して否定的な態度を取

(11)

ることが示されている

GS

と合致する

GI

を持つ青年においてのほうが,同性愛についての知識を多 く持っか否かが,同性愛への否定的態度により大きな差異が見られるだろう。すなわち,同性愛への 否定的な態度に対する向性愛についての知識の主効果が,

GS

と合致しない

GI

を持つ青年よりも,

GS

と合致する

GI

を持つ青年のほうが大きいことが予測され,また同性愛への否定的態度に対する

GI

および同性愛知識の交互作用が見られると考えられる。 以上より,本研究では次の仮説を設定する。なお,ここで指す青年は,異性愛の青年を意味してい る。 仮説 1:ジェンダー・ステレオタイプと合致するジェンダー・アイデンティティを持つ青年は,ジェ ンダー・ステレオタイプと合致しないジェンダー・アイデンティティを持つ青年よりも,同性愛に対 して否定的な態度をとる。 仮説2:ジェンダー・ステレオタイプと合致するジェンダー・アイデンティティを持つ青年において, 同性愛についての知識が少ない青年のほうが,知識が多い青年よりも,同性愛に対して否定的な態度 をとる。 なお,以上2つの仮説を検証するための作業仮説は以下の2つである。それぞれ,作業仮説 1は 仮説 1~こ i 作業仮説 2 は仮説 2 に対応している。 作業仮説

1

:GS

と合致する

GI

を持つ青年(男性は

HL

,女性は

LH)

は,

GS

と合致しない

GI

を持 つ青年(男性は

HL

以外,女性は

LH

以外)よりも,同性愛への否定的態度得点が高い。 作業仮説

2:GS

と合致する

GI

を持つ青年(男性は

HL

,女性は

LH)

において,同性愛についての 知識に関する得点が低い青年は,向性愛についての知識に関する得点が高い青年よりも,同性愛への 否定的態度得点が高い。 -7・

(12)

第5節 本 研 究 の 意 義 本研究の意義として,以下のことが挙げられる。本研究では,検討する関連要因として,青年の持 つGIがGSと合致するか否か そして同性愛についての知識を多く持っか否か,の2点を取り上げ ている。これまでの同性愛態度に関する研究では, GIおよび同性愛知識それぞれと同性愛態度との 関連についての研究はなされてきているが,たとえば, GSと合致する GIを持つ青年が向性愛知識 を多く持つ場合など 検討されていない点はまだ、残っている。 先行研究によって GSと合致したGIを持つ青年は向性愛に対して否定的な態度を持つ傾向にあ ることが示されているが(和田 1996, 2006, 2009) 本研究を通して,同性愛についての知識を 多く持つ場合とそうでない場合とでは,同性愛に対する態度に違いが見られることが示された場合, 同性愛態度研究に新たな知見を増やすことができるといえる。くわえて,青年期における同性愛への 態度を研究することで,他の発達段階やさまざまな場においての性の多様性が尊重されるような環境 づくりに向けての示唆を得ることができるという点も,本研究の意義として挙げられるだろう。

(13)

第 2章 方 法

第 1節 手 続 き

2

0

1

6

1

0

月下旬から

1

1

月下旬にかけて,学部を問わず,複数の授業内で質問紙調査を実施した。 また集団実施だけでなく,個人的に質問紙を配布し,回答を求めた。調査を行う前に,データは個人 を特定されるように扱わないこと,アンケートへの参加・不参加によって不利益を被らないこと,得 られたデータは本研究の目的以外に使用しない旨を話した。質問紙調査への説明について一通りした 後,同意を得た上での回答を依頼した。また,質問紙内に同性愛に関する知識を問う項目を設けたた め,正答と解説を載せたプリントを配布することで,同性愛に関する正しい知識を広げる機会を設け た。なお,プリントについては,調査対象者が前もって正答を知ることを防ぐために,すべての質問 紙調査が終わった後に配布した。 第2節 調 査 対 象 者 宮城県内の大学生および大学院生を対象に質問紙調査を実施した。回答者数は

3

0

2

人で,無効回 答や欠損回答を除外した有効回答者数は

2

7

0

名で、あった(有効回答率

8

9

.4%)0

2

7

0

名のうち,男性

1

6

8

名 (lId=19.5歳, S.D=1.33),女性

1

0

0

名 (lId=19.2歳,S.D=.76)で、あった。また, 1どちらでも ないJ

1

名, 1わからなしリ

1

名で、あった。また,性的指向については, 1異性愛J

2

5

5

名, 1同性愛」

0

名, 1両性愛J

1

2

名, 1どれにもあてはまらなしリ

1

名,無回答

2

名で、あった。 第3節 質 問 紙 の 構 成 1.

GS

を測定する尺度

(GS

尺度)

GS

を測定する尺度として,鹿内ほか

(

1

9

8

2

)

の性役割タイプ尺度を用いた。男性性

9

項目,女性 性

1

0

項目,中性性7項目の計

26

項目から成っている。本研究では,全項目を用いてたずねること で,改めて男性性を表す項目,女性性を表す項目について検討した。「以下の項目は,私たちの社会 のなかで,男性にとって望ましいものだと思いますか。それとも女性にとって望ましいものだと思い ますかJという教示のもと,回答を 11.男性にとって望まししリ'""17. 女性にとって望まししリ

-9

・‘

(14)

の7件法で求めた。

なお,男性性に関する項目は, iたくましいJ,i頼もしし¥J, i指導力のあるJ,i決断力のあるJ,i視 野の広しリ, i野心のあるJ, i強し、J, i意志強固なJ, i自主的」の 9項目である。また,女性性に関 する項目は, iおしゃべりなん「おしゃれなJ,i派手なん「家庭的J,i細やかなJ,i気持ちの細かしリ,

「繊細なJ, i優雅なJ, i線の細し、J, i魅力のある」の 10項目,中性性に関する項目は, i活発なJ, 「社交的J,_i明るし¥J, i親切なJ, i誠実なJ, i頭のよし¥J, iまじめな」の 7項目である。 2. GIを測定する尺度 (GI尺度) GIを測定する尺度として, GSを測定する尺度と同様,鹿内ほか (1982)の性役割タイプ尺度を 用いた。 f以下の項目は,あなたご自身にどの程度あてはまりますか」という教示のもと,回答を il. まったくあてはまらなしリ'"'-'i7. 非常にあてはまる」の 7件法で求めた。

3

.

同性愛に対する態度を測定する尺度(同性愛態度尺度) 和田 (2008)の同性愛に対する態度尺度を用いた。「嫌悪・拒否J, iネガティブ・イメージJ,i容 認・寛容」の3下位尺度から成る。和田 (2008)の尺度の項目数は合計41項目(i嫌悪・拒否J16 項目, iネガティブ・イメージJ12項目, i容認・寛容J13項目)から成っており,調査対象者が全 項目に回答する負担を軽減するため,本研究では,和田 (2010)同様,和田 (2008)による同性愛 に対する態度尺度の 3因子から因子負荷量の高い順に 5項目を採用した。ただし,和田 (2008)に おいて採用されていた「容認・寛容」に関する 5項目中 4項目について,同性愛を容認し寛容な態 度を持っているかを尋ねる内容とは考えにくく,むしろ同性愛への逆差別的な表現を用いている内容 であるといえる。したがって, i容認・寛容jに関する項目に関してのみ,因子負荷量の高さに関係 なく 5項目採用し,質問紙に用いることとした。「以下の男性(女性)の同性愛に関する項目につい て,あなたの考えはどの程度あてはまりますか」という教示のもと,回答を il.あてはまらない」 r.v i 5. あてはまる」の 5件法で求めた。なお,同じ項目を用いて,男性の同性愛および女性の向性 愛両方についてたずねた。 各下位尺度の項目については,以下の通りである。「嫌悪・拒否jに関する項目は, i同性愛者とか

かわりあいたくないJ,i同性愛者には近寄りがたいJ,i同性愛と聞くとっし¥特別視してしまうJ,i向 性愛者と共同生活(寮など)を送ることができる(逆転項目)J , i同性愛者を同僚に持ちたくない」 の 5項目である。「ネガティブ・イメージJに関する項目は, i同性愛者は気が弱し、J,i同性愛者は

(15)

TV・映画(フィクション)の中でのみ存在しでもよしリ, i同性愛者は暗い人が多し、J,i同性愛は社 会から排除されるべきだJ,i同性愛は異常な人の行為だ」の5項目である。「容認・寛容」に関する 項目は, i向性同士の結婚も法律的に認められるべきだJ,i同性愛は愛の一つの形態であるJ,i恋愛 に性別は関係ないJ,i同性愛が存在するのは当然だ、J,i同性愛者は普通の人と変わらなしリの 5項 目である。 4.同性愛についての知識(同性愛知識) 伊藤 (2000)の著書を参考に和田 (2008)が作成した 15の文章の一部と,独自作成した計 10の 文章を用いた。「以下の項目のうち,正しいと思うものには『正しい』に,間違っていると思うもの には『正しくなし叫に,正しし、か間違っているかわからない場合は『わからなし叫のどれか 1つに Oをつげてお答えくださし¥J という教示のもと, i正ししリ「正しくなし、Jiわからなしリのいずれか に回答するよう求めた。項目は以下の通りであり,真偽については()内に示した。1.現在、向性 愛は性同一性障害のひとつとして定義されている (X), 2. 現在、同性愛は精神障害ではないとさ れている (0),3. レインボーカラーは、セクシャル・マイノリティーズ(性的少数者)の象徴で ある (0),4.性的指向と性的噌好(しこりは同じ意味である (X),5. 日本では、これまで同性愛 者たちの存在や権利を訴えるパレードが行われたことはない (X),

6

.

LGBT

は、「レズビアン」、「ゲ イ」、「バイセクシュアルJiトランスジェンダー」を意味する総称である

(

0

)

7

.

同性愛を法律で 禁じている国がある (0),8. 同性愛者が婚姻に相当するような権利を受けられる制度は、まだど この日本の自治体にもない (X),9. 日本では、同性愛であるがゆえに学校でいじめられたことの ある人はいない (X),10. アメリカでは、すべての州で向性婚が法律的に認められている

(

0

)

5.年齢,性別 性別をたずねる際に, i性別とは,ここでは生物学的性別ではなく, ~あなた自身が認知している性 別』のことを指します」と性自認についての回答を求める旨を付け加えた。 6. 性的指向 「あなたが恋愛対象としている相手について,その性別をお答えくださしりという教示のもと, i異 性Ji向性Ji異性・向性どちらもJiどれにもあてはまらなしリのいずれかに回答するよう求めた。 なお,倫理的配慮を踏まえ, i個々人のデータを明らかにすることはありませんので,できるだけお -11・

(16)
(17)

3

章 結 果

第1節 各 回 答 デ ー タ の 検 討 1.調査対象者の性別および性的指向の扱いについて 本研究では,性別が男性もしくは女性で,かっ異性愛者の青年を調査対象者とした。そのため,欠 損値の見られなかった調査対象者 270名から,性別については「どちらもあてはまるん「わからな しリに,性的指向については「同性愛J,1両性愛J,1どれにもあてはまらなしリ,または無回答に該 当した計16名を取り除いたうえで分析を施した。最終的な調査対象者の内訳は,男性 163名 (1kf=19.6 歳, S

D=

L33),女性91名 (1kf=19.2歳,S

D=

.78)の計254名となった。 2. ジェンダー・ステレオタイプ (GS) 尺度について GS尺度について,各項目において平均得点が 3.5以下のものを男性性項目, 4.5以上のものを女 性性項目として分類したところ,男性性 7項目(11.たくまししリ,「4. 頼もしいJ,17. 指導力の あるJ,110. 決断力のある J,115. 誠実なJ,116. 野心のあるん 119.

5

齢、J),女性性 7項目(15. おしゃれなJ, 111.家庭的J, 114. 細やかなJ, 117. 気持ちの細かしリ,「20. 繊細なJ, 123. 優 雅 なJ,125. 線の細しリ)が得られた (Table1)。男性性項目,女性性項目それぞれについて信頼性係 数を算出したところ,男性性項目についてはα=.84,女性性項目について α=.79であり,どちらに ついても十分に高い値が認められた。得られたこれらの GSに関する項目が高いか低いかによって, 青年の持つGIがステレオタイプ的か否かを検討する基準とした。 3. ジェンダー・アイデンティティ (Gl)尺度について GS尺度で得られた男性性項目および女性性項目各 7項目を参考にし,ジェンダー・アイデンティ ティ

(

G

l)尺度において,同様の男性性 7項目および女性性7項目を採用した。その上で,各項目 の得点を足し,項目数で、割って平均得点を算出した (Table2)。 4. 同性愛知識について 同性愛知識をたずねた各項目についての正答数および正答率をTable3に示す。本研究では,質問 項目に対して「わからなしリと回答した者についても,正しい知識を持たない者として捉え,不正解 圃 13・

(18)

の数に加えた。なお,最も正答率が高かった項目は, 19. 日本では、同性愛であるがゆえに学校で いじめられたことのある人はいなしリ (91.7%) であり,最も正答率が低かった項目は,「 10. アメリ カでは,すべての州で向性婚が法律的に認められているJ(3.1%)で、あった。 5.同性愛態度尺度について 同性愛態度尺度について,本研究で、は同性愛に対する否定的な態度について検討することを目的と しているため,天井効果や床効果が見られうるような項目についても削除せず,残したまま分析を進 めることとした。各下位尺度について信頼性係数を算出する際,先行研究より 3下位尺度から成る ことが確認されているため,本研究においても同様に 3因子構造を取るものとして扱った。その結 果,男性同性愛および女性同性愛どちらの 3下位尺度についても十分に高い値が認められた(男性 「嫌悪・拒否」はα=.82,男性「ネガティブ・イメージ」は α=.76,男性「容認・寛容」は α=.78, 女性「嫌悪・拒否」はα=.80,女性「ネガティブ・イメージJは α=.82,女性「容認・寛容」は α =.81)。したがって,男女それぞれについて, 1嫌悪・拒否J5項目, 1ネガティブ・イメージJ5項 目, 1容認・寛容J5項目すべてを採用し,各項目の得点を足し項目数で、割った平均得点を各下位尺 度得点とした (Table4)。 男性同性愛態度および女性同性愛態度の各 3下位尺度について,それぞれ相関係数を算出したと ころ,.Table5のような結果となった。すなわち,男性同性愛においても女性同性愛においても, 1嫌 悪・拒否」と「ネガティブ・イメージ」との聞に正の相関(男性「嫌悪・拒否Jと男性「ネガティブ・ イメージJr=.55, p<.Ol ;女性「嫌悪・拒否」と女性「ネガティブ・イメージJr=.52, p<.Ol), 「嫌悪・拒否」と「容認・寛容」との聞に負の相関(男性「嫌悪・拒否」と男性「容認・寛容Jr= ー.62,p<.Ol;女性「嫌悪・拒否」と女性「容認・寛容Jr= -.5,1p<.O 1), 1ネガティブ・イメージ」 と「容認・寛容」との聞に負の相関(男性「ネガティブ・イメージJ と男性「容認・寛容Jr=-.53, p<.Ol ;女性「ネガティブ・イメージ」と女性「容認・寛容Jr= -.56, p< .01) が見られた。項目 内容から, 1嫌悪・拒否Jおよび「ネガティブ・イメージ」は同性愛に対する否定的な態度を示すも のであり,

r

容認・寛容J は同性愛に対する肯定的な態度を示すものであるといえる。また相関係数 から,男性同性愛および女性同性愛ともに, 1嫌悪・拒否」および「ネガティブ・イメージ」と「容 認・寛容」との聞には負の相関関係が見られることが示された。そこで,本研究では,仮説を検証す るために, 1容認・寛容」項目を逆転項目化した上で,男性同性愛および女性同性愛両方の「嫌悪・ 拒否J,1ネガティブ・イメージJ,1容認・寛容」の項目すべての下位尺度を合計し項目数で、割ったも

(19)

のを,同性愛全体への「否定的態度」得点として扱うこととした。「否定的態度」の信頼性係数を算 出したところ, α=.94と十分に高い値が見られた (Table2)。 なお, i否定的態度」として得点化する以前の,同性愛全体の各下位尺度「嫌悪・拒否J,iネガテ ィブ・イメージJ,i容認・寛容」それぞれの信頼性係数を算出したところ, α=.88,α=.81,α=.90 と,すべて十分に高い値が見られた (Table4)。また,同性愛全体の各下位尺度「嫌悪・拒否J,iネ ガティブ・イメージJ,i容認・寛容」について相関係数を算出したところ, i嫌悪・拒否」と「ネガ ティブ・イメージ」との間に正の相関 (r=.59, p<.O 1), i嫌悪・拒否」と「容認・寛容」との聞に 負の相関 (r=-.62,p< .01), iネガティブ・イメージ」と「容認・寛容」との聞に負の相関 (r=・.56, p<.Ol) が見られた (Table6)。したがって,同性愛全体への否定的態度とした場合でも,相関関係 は変わらないことが示された。 -15・

(20)

Table1

採用された男性性,女性性項目の記述統計量

(N=254)

m

i

n

.

Max.

M

SD

.

9

4

1

.04

.

9

3

1

.05

.

9

6

.

9

7

1

.18

2

.

4

5

2

.

7

3

.

2

2

3

3

.

3

4

2

.

8

9

2

.

7

5

5

5

6

6

7

4

7

可 -1 i -i 可 i 可 i 1 i τ i

1

.02

1

.17

.

9

2

.

8

8

.

9

7

.

9

8

.

9

8

4

.

8

1

5

.

1

2

4

.

9

2

4

.

6

9

4

.

7

6

5

.

0

9

4

.

9

6

円 i 門 i 門 i 門 t 門 i 門 i 門i

2

1

1

3

2

2

2

男性性

(7

項目)

1

. たくましい

4

. 頼もしい

7

. 指導力のある

1

0

. 決断力のある

1

5

. 誠実な

1

6

. 野心のある

1

9

.

強し、

女性性、

(7

項目)

5

. おしゃれな

1

1

. 家庭的

1

4

. 細やかな

1

7

. 気持ちの細かい

2

0

. 繊細な

2

3

. 優雅な

2

5

. 線の細い

(21)

Table2

各変数の記述統計量

(N=254)

mln.

Max.

M

SD

α

男性性

1

7

3

.

8

7

.

9

7

.

8

4

女性性

1

6

.

4

3

3

.

5

2

.

9

0

.

7

9

向性愛知識

10

5

.

2

4

2

.

0

7

否定的態度

1

4

.

3

3

2

.

1

1

.

6

3

.

9

4

-17・

(22)

Table3同性愛知識の正答数および正答率(N=254) 項目 正解 (%) 不正解 (%) わからない 1.現在、同性愛は性同一性捧害のひとつとして定義されている 88 34.6 166 65.4 2.現在、同性愛は精神障害ではないとされている 157 61.8 97 38.2 3. レインボーカラーは、セクシャル・マイノリティーズ(性的少数者) 90 35.4 164 64.6 の象徴である 4.性的指向と性的噌好(しこう)は同じ意味である 142 55.9 112 44.1 5.日本では、これまで同性愛者たちの存在や権利を訴えるパレードが 141 55.5 113 44.5 行われたことはない 6. LGBTは、 「レズピアン」、 「ゲイ」、 「パイセクシュアノレ」、 172 67.7 82 32.3 「トランスジェンダーJを意味する総称である 7.同性愛を法律で禁じている国がある 174 68.5 80 31.5 8.同性愛者が婚姻に相当するような権利を受けられる制度は、まだ 127 50 127 50 どこの日本の自治体にもない 9.日本では、同性愛であるがゆえに学校でいじめられたことのある人 233 91.7 21 8.3 はいない 10. アメリカでは、すべての州で向性婚が法律的に認められている 8 3.1 246 96.9

(23)

Table4 男性同性愛態度,女性同性愛態度 および同性愛全体への態度の記述統計量 (N=254) mIn. Max M SD α 男性「嫌悪・拒否」 1 5 2.70 .90 .82 男性「ネガティブ・イメージ」 1 4 1.76 .62 .76 男性「容認・寛容J 1.2 5 3.95 .78 .78 女性「嫌悪・拒否J 1 5 2.38 .82 .80 女性「ネガティブ・イメージ」 1 4 1.77 .66 .82 女性「容認・寛容」 1 5 4.00 .81 .81 「嫌悪・拒否j 1 5 2.54 .80 .88 「ネガティブ・イメージ」 1 4 1.77 .63 .81 「容認・寛容J 1.1 5 3.97 .78 .90 -19・

(24)

女 d性 同 J性 愛 *ま Table5 男性向性愛および女性向性愛態度の各下位尺度におけるピアソンの相関係数(r)(N=254) 男性同性愛 「嫌悪・拒否J 1""ネガティブ・イメージJ 1""容認・寛容」 「嫌悪・拒否」 .55*合 -.62士 * 「ネガティブ・イメージJ .52士会 -.53*合 「容認、・寛容」 -.51** ー.56*会 pく.01

(25)

Table6同性愛態度の各下位尺度におけるヒ。アソンの相関係数(r)(N=254) 「嫌悪・拒否」 「ネガティブ・イメージ」 「容認・寛容」 p<.Ol 「嫌悪・拒否J

r

ネガティブ・イメージJ

r

容認・寛容」 .59合 * ・.62** 圃

2

1

・ .59** -.62*士 -.56*士 -.56合 *

(26)

第2節 GIおよび同性愛知識と同性愛への否定的態度との関連 1.仮説の検証 GIおよび同性愛知識と同性愛への否定的態度との関連,そして GIおよび同性愛知識の同性愛へ の否定的態度に対する交互作用について検討するため, GI (GSと合致・非合致)と同性愛知識(多・ 少)の群分けを独立変数,同性愛への否定的態度を従属変数とした,

2

要因分散分析を施した

(

T

a

b

l

e

7

)

。 なお, GIについては理論的中央値4を,同性愛知識については中央値 5.00を基準として採用した。 また,男性はHL,女性はLHをGS合致GI群に,そのほかの群をGS非合致GI群とした。 その結果, 否定的態度得点に対して同性愛知識の主効果が有意で、あり

(F

(1, 250) =5.24, p

<

.05) (Figure1) ,知識多群よりも知識少群のほうが同性愛に対する否定的態度得点が高いことが認 められた。 以上の結果より,同性愛態度に対してGIの主効果が認められなかったため,仮説1は支持されな かった。また,同性愛態度に対して GIおよび同性愛知識の交互作用が見られなかったため,仮説2 は支持されなかった。

(27)

Table7 GIと同性愛知識による否定的態度得点および2要因分散分析結果

(

N

=

2

5

4

)

GI GS合致GI群 GS非合致GI群 主効果 多群 少群 多群 少群 同性愛知識

(

n

=

3

2

)

(

n

=

3

1

)

(

n

=

9

2

)

(

n

=

9

9

)

GI 同性愛知識 交互作用 2.13 2.28 1.95 2.21 1.84 5.23* .54 否定的態度 (.64) (.71) (.55) (.64) 多群<少群 上段:平均値,下段:標準偏差 * p<.05 -23・

(28)

5.00 4.50 4.00 否 3.50 定 的 3.00 態 度 2.50 2.00 1.50 1.00 知識多群 知識少群 Figurel 否定的態度に関するGIと同性愛知識の 2要因分散分析結果

(29)

2.補足分析 ①同性愛を男性同性愛および女性同性愛に分けた分析 否定的態度得点に対して同性愛知識の主効果が有意で、あることが確認されたため,男性同性愛に対 しでも女性愛同性愛に対しでも同性愛知識の主効果が見られるか否かについて検討するために,女性 同性愛に対する否定的態度と男性同性愛に対する否定的態度とに分け, 2要因分散分析を施した

(

T

a

b

l

e

8

T

a

b

l

e

9

)

。その結果,男性同性愛の否定的態度得点と女性同性愛の否定的態度得点両方に 対する同性愛知識の主効果が有意であり (F(1,

2

5

0

)

=5.53

p<

.

0

5

;

F

(

1

2

5

0

)

=4

.4

3

p<

.05)

(

F

i

g

u

r

e

2

)

,男性同性愛の否定的態度得点に関しでも,女性同性愛の否定的態度得点に関しでも, 知識多群よりも知識少群のほうが高いことが認められた。 さらに,男性同性愛,女性同性愛に対するどの態度に同性愛知識の主効果が見られるかについて, 同性愛に対する態度を「嫌悪・拒否J,Iネガティブ・イメージJ,I容認・寛容」に分け, 2要因分散 分析を施した

(

T

a

b

l

e

1

0

)

。その結果,男性「嫌悪・拒否」得点に対する

G1

の主効果が有意傾向,向 性愛知識の主効果が有意であり

(F

(

1

2

5

0

)

=3.80

p<

.

1

0

;

F

(1,

2

5

0

)

=4.01

p<

.

0

5

)

(

F

i

g

u

r

e

3

F

i

g

u

r

e

4

)

GS

非合致

G1

群よりも

GS

合致

G1

群のほうが,そして知識多群よりも知識少群のほう が男性「嫌悪・拒否J得点が高いことが認められた。また,男性「容認・寛容」得点に対する同性愛 知識の主効果が有意で、あった

(F

(1,

2

5

0

)

=6.86

p<

.

0

1

)

(

F

i

g

u

r

e

4

)

。すなわち,知識少群より も知識多群のほうが男性「容認・寛容J得点が高いことが認められた。さらに,女性「容認・寛容j 得点に対する同性愛知識の主効果が有意で、あり (F

(

1

2

5

0

)

=7.74

p<

.

0

1

)

(

F

i

g

u

r

e

4

)

,知識少 群よりも知識多群のほうが女性「容認・寛容」得点が高いことが認められた。

-2

5

(30)

Table8

各変数の記述統計量

(N=254)

m

i

n

.

Max.

M

SD

a

男性否定的態度 女性否定的態度 1 1

4

.

3

3

4

.

3

3

2

.

1

7

2

.

0

5

.

6

5

.

6

3

.

8

9

.

8

9

(31)

Table9 GIと同性愛知識による各得点および2要因分散分析結果

(

N

=

2

5

4

)

GI GS合 致GI群 GS非合致GI群 主効果 多群 少群 多群 少群 向性愛知識

(

n

=

3

2

)

(

n

:

;

:

:

3

1

)

(

n

=

9

2

)

(

n

=

9

9

)

男性同性愛 否定的態度 2.20 (.63) 2.33 (.74) 女性同性愛 2.05 2.22 否定的態度 (.69) (.70) 上段:平均値,下段:標準偏差 pく.05 GI 向性愛知識 2.29 1.97 * 1.98 5.53 (.57) (.67) 多群<少群 2.13 1.54 * 1.92 4.43 (.55) (.65) 多群<少群 -27・ 用 一 作 一 2 互一泊 ホ ︿ 一 .06

(32)

白女性同性愛 国男性同性愛 5.00 4.50 4.00 3.50 2.50 3.00 2.00 1.50 否 定 的 態 度 知識少群 Figure2 男性同性愛と女性同性愛の否定的態度に関する GIと同性愛知識の2要因分散分析結果 知識多群 1.00

(33)

Table10 GIと同性愛知識による各得点および2要因分散分析結果 (N=254) GI GS合致GI群 GS非合致GI群 主効果 同性愛知識 (n=32) (n=31) 多群 少群 (n=92) (n=99) 多群 少群 GI 同性愛知識 交互作用 2.84 2.93 2.42 2.84 3.80t * .20 男性「嫌悪・拒否J 4.01 (.98) (.89) (.79) (.92) 非 合 致 く 合 致 多 群 く 少 群 男性「ネガティブ・ 1.80 1.80 1.64 1.85 .45 1.35 1.35 イメージ」 (.62) (.75) (.56) (.63) 男性「容認・寛容」 4.04 3.74 4.12 3.82 .51 6.86 .00 (.67) (.86) (.72) (.81) 少群く多群 女性「嫌悪・拒否」 2.40 2.57 2.26 2.43 1.44 2.07 .00 (.93) (.79) (.74) (.86) 女性「ネガティブ・ 1.83 1.79 1.66 1.86 .33 .73 1.55 イメージ」 (.73) (.75) (.64) (.63) 女性「容認・寛容」 4(..6098) (3..7701) 4(..5157) 3.90 1.50 7.74 .19 (.65) 少群く多群 上段:平均値,下段:標準偏差 Tp<.1O,*pく.05, pく.01 -29・

(34)

5.00 4.50 1.50 4.00 3.50 2.50 3.00 2.00 男性﹁嫌悪・拒否﹂ 1.00 GS非合致群 Figure3 男性同性愛と女性同性愛への態度における下位尺度 に関するGIと同性愛知識の2要因分散分析結果 GS合 致GI群

(35)

5.00 4.50 4.00 3.50 3.00 2.50 2.00 1.50 1.00 固知識多群 ロ知識少群 男性「嫌悪・拒否」 男性「容認・寛容」 女性「容認・寛容J Figure4 男性同性愛と女性同性愛への態度における下位尺度 に関するGIと同性愛知識の2要因分散分析結果

-3

1

(36)

②男女別にGS合致GI群と GS非合致GI群に分けた分析 次に,男女で GS合致GI群と GS非合致 GI群とに分け,同性愛の否定的態度との関連を検討す るために,同性愛知識とともに独立変数とした上で

2

要因分散分析を施した

(

T

a

b

l

e

1

1

T

a

b

l

e

1

2

)

。 その結果,男性においてのみ,同性愛への否定的態度得点に対する同性愛知識の主効果が有意であり (F

(

1

1

5

9

)

=4.5

,1

p<

.

0

5

)

(

F

i

g

u

r

e

5

)

,男性において,同性愛の否定的態度得点に関して,知 識多群よりも知識少群のほうが高いことが認められた。 そして,有意な結果が見られた男性についてのみ,同性愛の否定的態度を男性同性愛の場合と女性 同性愛の場合とで分け,

2

要因分散分析を施した

(

T

a

b

l

e

1

3

)

。その結果,男性において,男性同性愛 の否定的態度得点に対する同性愛知識の主効果が有意であり (F(l,

1

5

9

)

=

4

.

6

6

p<

.

0

5

)

(

F

i

g

u

r

e

6

)

, 男性において,男性同性愛の否定的態度得点に関して,知識多群よりも知識少群のほうが高いことが 認められた。なお,女性においては,男性同性愛の否定的態度得点についても,女性同性愛の否定的 態度得点についても,有意な結果は認められなかった。 さらに,有意な結果が得られた男性における男性同性愛に対する態度を, I嫌悪・拒否J, Iネガテ ィブ・イメージJ,

I

容認・寛容」に分け,

2

要因分散分析を施した

(

T

a

b

l

e

1

4

)

。その結果,男性「嫌 悪・拒否J得点に対する知識の主効果が有意傾向で、あった (F

(

1

1

5

9

)

=3.03

p<

.10)。しかし, GIと同性愛知識の交互作用が有意で、あったため

(F

(

1

1

5

9

)

=4.12

p<

.

0

5

)

,この主効果は限定 的なものとなる。交互作用が有意で、あったため,単純主効果検定を施したところ,知識多群において, GIの単純主効果が有意であり

(F

(

1

1

5

9

)

=

5

.

7

6

p<

.

0

5

)

, GS被合致 GI群において,同性愛 知識の単純主効果が有意で、あった

(F

(

1

,.

1

5

9

)

=

1

1.

7

6

p<

.

0

1

)

(

F

i

g

u

r

e

7

)

。すなわち,知識多群 において, GS非合致GI群よりも GS合致GI群のほうが男性「嫌悪・拒否」得点が高く, GS非合 致 GI群において 知識多群よりも知識少群のほうが男性「嫌悪・拒否」得点、が高いことが認められ た。また,男性「容認・寛容」得点に対する同性愛知識の主効果が有意で、あり

(F

(

1

1

5

9

)

4

.

5

9

p<

.

0

5

)

(

F

i

g

u

r

e

8

)

,知識少群よりも知識多群のほうが男性「容認・寛容」得点が高いことが認めら れた。

(37)

Table11 GIと同性愛知識による否定的態度得点および2要因分散分析結果(男性)

(

n

=

1

6

3

)

GI GS合 致GI群 GS非 合 致GI群 主効果 向性愛知識 否定的態度 多群 少群 多群 少群

(

n

=

2

4

)

(

n

=

2

5

)

(

n

=

5

2

)

(

n

=

6

2

)

2.24 2.34 (.56) (.76)' 2.04 (.58) 2.40 (.61) 上段:平均値,下段:標準偏差 p<.05 -33・ GI 同性愛知識 交互作用 .46 4.51ま 1.49 多群く少群

(38)

Table12 GIと同性愛知識による否定的態度得点および2要因分散分析結果(女性)

(

n

=

9

1

)

GI GS合 致GI群 GS非合致GI群 主効果 多群 少 群 多群 少 群

(

n

=

8

)

(

n

=

6

)

(

n

=

4

0

)

(

n

=

3

7

)

同性愛知識 GI 同性愛知識 交互作用 1.77 2.01 (.76) (.40) 否定的態度 上段:平均値,下段:標準偏差 1.83 (.49) 1.89 (.56) .03 .92 .28

(39)

5.00 4.50 4.00 3.50 2.00 3.00 2.50 1.50 否 定 的 態 度 1.00 知識少群 Figure5 否定的態度に関するGIと同性愛知識の 2要因分散分析結果(男性) -35・ 知識多群

(40)

Table13 GIと同性愛知識による各得点および2要因分散分析結果(男性)

(

n

=

1

6

3

)

GI GS合致GI群 GS非合致GI群 主効果 多群 少群 多群 少群

(

n

=

2

4

)

(

n

=

2

5

)

(

n

=

5

2

)

刀(=62) GI 同性愛知識 交互作用 向性愛知識 男性同性愛 2.34 2.38 2.09 2.52 .26 4.66* 3.14 否定的態度 (.55) (.80) (.60) (.63) 多群<少群 女性同性愛 2.15 2.30 2.00 2.27 .67 3.88t .35 否定的態度 (.63) (.73) (.57) (.64) 多群<少群 上段:平均値,下段:標準偏差 十p<.10,pく.05

(41)

5.00 4.50 4.00 3.50 3.00 2.50 2.00 1.50 1.00 男性同性愛 否定的態度 Figure6 国知識多群臼知識少群 女性同性愛 否定的態度 男性同性愛と女性同性愛の否定的態度に関する GIと同性愛知識の2要因分散分析結果(男性) -37・

(42)

Table14 GIと同性愛知識による各得点および2要因分散分析結果(男性) (n=163) GI GS合致GI群 GS非合致GI群 主効果 向性愛知識 多群 少群 多群 少群 GI 同性愛知識 交互作用 (n=24) (n=25) (n=52) (n=62) 3.06 3.02 2.55 3.10 2.06 3.03t 4.12脅 男性「嫌悪・拒否」 (.86) (.93) (.79) (.88) 多群<少群 知識多群;合致<非合致, 非合致群;多群<少群 男性「ネガティブ・ 1.80 1.80 1.65 2.00 .05 2.35 2.35 イメージ」 (.58) (.81) (.58) (.67) 3.84 3.67 3.94 3.54 .02 * .75 男性「容認・寛容」 4.56 (.60) (.90) (.79) (.78) 少群<多群 上段:平均値,下段:標準偏差 TP<1O,p<05

(43)

男 4.00 生3.50 嫌 悪 3.00 A U 回 0 9 “ 拒 否 ﹂ 回知識多群 日知識少群 5.00 4.50 2.00 1.50 1.00 GS合 致GI群 GS非合致GI群 Figure7 男性「嫌悪・拒否」に関する GIと同性愛知識の2要因分散分析結果(男性) -39・

(44)

d

5.00 4.50 男 4.00 d性 3.50 Hぅ 廿 言忍 3.00 寛 2.50 容 2.00 1.50 1.00 知識多群 知識少群 Figure8 男性「容認・寛容」に関する GIと同性愛知識の2要因分散分析結果(男性)

(45)

③青年のGIを男性性(高,低)

x

女性性(高,低)の4群に分けた分析 補足分析②において, GIと同性愛知識の交互作用が有意であることが男性において示された。そ こで,さらに細かく検討するために,青年のGIをGS合致群と GS非合致群とに分けるのではなく, 男性性(高,低)

x

女性性(高,低)の

4

(HH

HL

LH

L

L

)

に分類し,同性愛知識(多, 少)とともに独立変数とし,男性同性愛態度および女性同性愛態度を従属変数とする 2要因分散分 析を施した (Table15,Table16, Table17)。なお, GIの群分けについては理論的中央値4を,向性 愛知識については中央値5.00を基準として採用した。また,性別によってGSと合致する GIが異な ることから(男性は

HL

,女性は

L

H

)

,男性と女性とに分け,同性愛態度については「嫌悪・拒否J, 「ネガティブ・イメージJ,i容認・寛容Jの各領域に分けて分析を行った。その結果,男性において, 男性「嫌悪・拒否J得点,男性「容認・寛容」得点,女性「容認・寛容」得点に対して,知識の主効 果が有意で、あった (F(1, 155) =7.12, p< .01 ; F (1, 155) =6.45, p< .05 ; F (1, 155)ニ5.62, p< .05) (Figure9, Figure10)。なお,男性「容認・寛容Jの主効果に関する図については, Figure8 と同様である。結果から,男性「嫌悪・拒否」得点に関しては,知識多群よりも知識少群のほうが高 く,男性「容認・寛容」得点および女性「容認・寛容」得点に関しては,知識少群よりも知識多群の ほうが高いことが認められた。なお, iネガティブ・イメージ」については,有意な結果は認められ なかった。また,女性においては,どの従属変数においても有意な結果は得られなかった。 -41・

(46)

Table15 男女別における

GI

,同性愛知識, 男性同性愛および女性同性愛態度の記述統計量 mIn. Max. M SD 男性 男性性 1 6 3.87 .96 (n = 163) 女性性 1 5.71 3.45 .94 同性愛知識

10 5.08 2.15 男性「嫌悪・拒否」 1 5 2.91 .89 男性「ネガティブ・イメージ」 1 4 1.83 .66 男性「容認・寛容」 1.2 5 3.73 .79 女性「嫌悪・拒否j 1 5 2.45 .77 女性「ネガティブ・イメージ」 1 4 1.86 .69 女性「容認・寛容」 1 5 3.80 .83 女性 男性性 1.71 7 3.85 1.00 (n=91) 女性性 1.29 6.43 3.65 .82 向性愛知識 1 9 5'.54 1.91 男性「嫌悪・拒否」 1 5 2.33 .82 男性「ネガティブ・イメージ」 1 3 1.65 .53 男性「容認・寛容」 2.80 5 4.33 .60 女性「嫌悪・拒否」 1 4.6 2.26 .88 女性「ネガティブ・イメージ」 1 3.4 1.62 .58 女性「容認・寛容」 2.80 5 4.36 .61

(47)

GI 同性愛知識 Table16 GIと同性愛知識による各得点および2要因分散分析結果(男性) (n=163) H H HL LH LL 主効果 多 群 少 群 多 群 少 群 多 群 少 群 多 群 少 群 GI 同 性 愛 知 識 交 互 作 用 (n=9) (n=10) (n=24) (n=25) (n=8) (n=7) (n=35) (n=45) 否 一 ブ 容 一 否 拒一ィ J 寛 一 拒 士 ア ジ 一 ・ 一 悪 一 ガ ニ 認 一 悪 嫌 一 ネ メ 一 容 一 嫌 ﹁一﹁イ一﹁一 性 一 性 性 一 性 男 一 男 男 一 女 2.40 3.28 (.84) (.89) 1.56 2.26 (.58) (.71) 3.06 3.02 (.86) (.93) 1.80 1.80 (.58) (.81) 2.58 3.06 (.80) (.86) 1.80 1.49 (.61) (.51) 2.58 3.07 .67 .7.12帥 1 .61 (.79) (.85) 多群<少群 1.65 2.02 .51 2.26 2.55 (.53) (.62) 3.87 3.12 3.84 3.67 4.13 3.83 3.91 3.57 1.11 6.45含 .63 (.85) (1.06) (.60) (.90) (.61) (.88) (.82) (.66) 少群<多群 2.07 2.46 2.49 2.66 2.13 2.09 2.39 2.55 1.80 1.30 (.75) (1.14) (.79) (.82) (.35) (.63) (.68) (.77) .22 女性「ネガティブ・ 1.49 2.18 1.85 1.84 1.90 1.66 1.73 2.01 .08 1.76 1.77 イメージJ (.71) (.78) (.70) (.80) (.65) (.53) (.65) (.65) 4.13 3.34 女性「容認・寛容」 (.82) (1.21) 上段:平均値,下段:標準偏差 〉<.05

<.01 3.89 3.60 (.75) (.86) 4.18 4.00 (.64) (.91) 3.94 3.68 .72 5.62* (.85) (.72) 少群<多群 .60 -43・

(48)

Table17 GIと同性愛知識による各得点および2要因分散分析結果(女性) (n=91) GI H H HL LH LL 主効果 同性愛知識 (多 群 少 群n=8) (n=6) (多群n=8) (n少群=12) (多 群 少 群n=8) (n=6) (n多 群 少 群=24) (n=19) GI 同 性 愛 知 識 交 互 作 用 男性「嫌悪・拒否」 男性「ネガティブ・ イメージ」 男性「容認・寛容」 女性「嫌悪・拒否」 2.40 2.27 1.53 2.37 2.18 2.57 2.45 2.48 1.88 2.25 (.74) (.70) (.43) (.92) (1.11) (.66) (.74) (.86) 1. 70 1.43 1.45 1.65 1.83 1.83 1.66 1.63 .84 .03 (.69) (.43) (.28) (.51) (.75) (.41) (.56) (.47) 4.03 4.50 4.40 4.17 4.63 4.03 4.43 4.33 .20 .67 (.48) (.64) (.65) (.82) (.56) (.65) (.52) (.52) 2.21 2.32 1.70 2.38 2.13 2.23 2.28 2.29 .68 .50 (1.10) (1.05) (.83) (1.03) (1.27) (.63) (.68) (.83) 1.42 .51 1.92 .83 女性「ネガティブ・ 1.61 1.62 1.45 1.70 1.78 1.60 1.59 1.65 .17 .06 .66 イメージJ (.83) (.44) (.28) (.52) (.86) (.51) (.62) (.52) 4.43 女性「容認・寛容」 (.56) 上段:平均値,下段:標準偏差 4.29 (.67) 4.43 (.49) 4.23 (.68) 4.65 (.63) 4.17 (.66) 3.97 (.50) 3.64 (.56) .10 .50 1.47

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