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発表要旨(3) 激変する多文化社会の現状と課題 ─ 現場からの報告

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Academic year: 2021

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発表要旨(3) 激変する多文化社会の現状と課題 ─

現場からの報告

著者

大村 昌枝, 一條 玲香

雑誌名

東北文化研究室紀要

58

ページ

22-23

発行年

2017-03-30

URL

http://hdl.handle.net/10097/00121748

(2)

発表要旨③

激変する多文化社会の現状と課題 ─ 現場からの報告

(公財)宮城県国際化協会(MIA)次長兼企画事業課長 大 村 昌 枝 東北大学大学院教育学研究科 博士後期課程 一 條 玲 香 宮城県国際化協会(MIA)は、主な事業として多文化共生への取り組み、国際交流の推進、 国際交流活動団体との連携、国際協力、海外移住者支援などを行っている。 宮城では日本人男性と結婚した外国人女性が多いということを背景に、MIAが行っている「み やぎ外国人相談センター」には、家庭生活に関する相談が多く寄せられている。国際結婚移住女 性が多く、散住しているという同じ特徴をもつ、岩手・宮城・福島の国際化協会では平成19年か ら21年まで、このような地域特性をもつ多文化共生社会の担い手の発掘、育成、連携を目的に研 修を行ってきた。 東日本大震災では、平時からの連携や関係が試されたともいえる。地域の日本語教室は、情報 が集まるキーステーションとして機能しており、災害時には地域の外国人のセーフティネットと して働いていた。また災害用語を習得することで自助力を向上させる場でもある。また震災以前 から、顔の見える関係を築いていた地域在住外国人が被災外国人のもとへのナビゲーターを務め てくれた。さらに、地域の外国人は、同胞支援を行なったり、母国からの支援物資を受け入れる アンテナとなったり、自らボランティアとして働いていた。震災で、見られた外国人の活躍は、 平時においても見られ、多くの海外出身者が支援される側から支援する側に回っている。 宮城では、震災以前よりも外国籍住民が増えている。技能実習生や日本語学校留学生として、 ベトナム、ネパール、インドネシア出身者が増えている。また数は少ないが中古車販売などに携 わるムスリムも増加している。震災以前は、結婚移住女性など比較的「顔の見える関係」が築き やすい人たちを対象としたエンパワメントプログラムが多かったが今年度は、「見えない地域住 民にしない」ことをスローガンに技能実習生と地域をつなぐプログラムを実施した。東日本大震 災では、地域の人々と外国人住民が顔の見える関係でつながっていることが重要だということが 実証されたこともあり、外国人が多様化してく中、地域において「見えない地域住民にしない」 ことがこれからの大きな課題である。 ―エンパワメントとメンタルヘルス― 本発表では、MIAにおける外国人支援の取り組みをエンパワメントとメンタルヘルスの視点 から考察する。メンタルヘルスの予防モデル(Caplan, 1964)において、健康な人を対象とする 一次予防では、リスク要因の低減と保護要因の拡大が指摘されている(Cowen, 1996)。エンパ ワメントは、保護要因を拡大する一次予防として位置づけられる。 移住に伴うリスクとして、社会経済的地位の低下やソーシャルネットワークの断絶、言葉の問 −22− 三九

(3)

題などがある。これらは、移住者の自立性の低下を招き、他者への依存性が増すことで自尊心を 低下させる。移住者は、移住に伴う障壁のため本来の能力を十分に発揮できない状態にあるとい える。このようなその人が持っている能力を引き出すことがエンパワメントである。エンパワメ ントは、依存を引き起こす支援ではなく、自立を助ける支援であり、非支援者を支援者に変える 側面ももっている。MIAの活動をエンパワメントの視点から捉えると、「力をつける活動」と「力 を発揮する活動」の2つに分けることができる。「力をつける活動」として、日本語学習支援、 エンパワーメントカレッジ、ストレスケア教室、介護塾などが挙げられる。「力を発揮する活動」 として、通訳サポーター、相談センター相談員、国際理解講座講師、各種シンポジウムや研修会 などで外国人からの発信の場を設けることなどが挙げられる。このようなエンパワメント活動を 通して、外国人は支援されるだけでなく、支援する側にも回ってる。またこのように支援する側 になることで、自分の力を発揮することが自尊心を高めることにつながっていた。エンパワメン トか活動を通じて、外国人の社会参画を後押していくことが、地域社会にとっても本人のメンタ ルヘルスにとっても非常に重要であると言える。 −23− 2016年度 東北文化研究室 公開講演会 シンポジウム 北の多文化社会を生きる ─ 現場と研究の架橋に向けて 三八

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