Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
コンポジットレジン系材料と牛歯エナメル質の摩耗特性
Author(s)
田中, 健介; 染屋, 智子; 笠原, 正彰; 原田, 麗乃; 木
下, 英明; 武本, 真治; 大山, 貴司; 吉成, 正雄; 服部,
雅之
Journal
歯科学報, 117(3): 255-255
URL
http://hdl.handle.net/10130/4253
Right
Description
目的:審美修復材料としてのコンポジットレジン は,直接修復用や間接修復用として歯冠修復材に応 用されている。その応用範囲は,コンポジットレジ ンの強度向上に伴い臼歯部にまで広がっている。他 方,長石系陶材や二ケイ酸リチウム系セラミックス のような硬質の歯冠修復材は咬合により対合歯を摩 耗させることが知られている。しかし,ガラスやシ リカを含むフィラーが成分として含まれるコンポ ジットレジンのエナメル質に対する摩耗については 未だ不明な点が多い。本研究では直接修復用および CAD/CAM 冠用コンポジットレジンに着目し,牛 歯エナメル質との摩耗特性を調査することを目的と した。 方法:摩耗試験は上部試料に7種類の直接修復用コ ンポジットレジン(D-CR)と5種類の CAD/CAM 冠用コンポジットレジン(C-CR)を用い,下部試 料の対合歯には#1200で研磨した牛歯エナメル質を 用いた。D-CR は半径5mm の半球状型に積層充填 法で作製し,C-CR は切削加工により半径5mm の 半球状試料を作製した。すべての上部試料はダイヤ モンドを砥粒とするラバーカップで研磨した。摩耗 試験は,上部試料から10N の荷重を負荷し,スト ローク回数3万回の二体摩耗試験で行った。摩耗量 評価は3D レーザー顕微鏡(OLS4000,Olympus) を用いて行った。また,各コンポジットレジンは 走査型電子顕微鏡(SU6600,Hitachi)によりフィ ラーの粒径や形状を観察するとともに,ビッカース 硬さ(Hv)を調べた。 結果:摩耗試験の結果,2種類の D-CR がコンポ ジットレジン自体の摩耗量が大きく,同時に対合の エナメル質の摩耗量も大きかった(p<0.05)。そ のほかの D-CR および C-CR の摩耗量およびエナメ ル質の摩耗量に有意差は認められなかった。摩耗量 の比較的大きかった D-CR のフィラーの形状はハイ ブリッド型で不定形のものが認められ,フィラー粒 径は大きいもので約10μm であった。D-CR および C-CR の Hv は50−95,65−105の範囲であり,C-CR の方が大きい傾向にあった。以上の結果から,硬さ は C-CR の方が D-CR より大きい傾向にあったが, コンポジットレジンおよびエナメル質の摩耗量は一 部の D-CR を除いて,C-CR と D-CR とは同等であ ることが明らかになった。 目的:ファイバー強化型コンポジットレジンポスト (FRC ポスト)は,メタルポストと比較して弾性係 数が象牙質と近似し歯根破折の危険性が低いとされ ている。しかし臨床においてポストと象牙質との接 着不良による脱離が多いと報告されており,このこ とから FRC ポストの維持には FRC ポストと根部 象牙質との接着が重要であると考えられる。本研究 の目的は,根部象牙質に対する接着性レジンセメン トの接着強さと FRC ポストの維持力について調査 し,それらの関係について明らかにすることとし た。 方法:牛前歯歯根部象牙質を#600まで平らになる ように研磨した。被着面に対して根管洗浄を模して 次亜塩素酸ナトリウムと EDTA で処理し,支台築 造用レジンで作製した円板状の試料を各接着性レジ ンセメントで合着した。使用したセメントは前処理 を施すアドヒーシブタイプ2種とセルフアドヒーシ ブタイプ3種とした。試料は37℃湿潤環境下に1週 間静置した後に,万能材料試験機でせん断試験を 行った。最大破断荷重から各接着性レジンセメント のせん断接着強さを算出した。根管充填後の牛歯歯 根に直径3.0mm のドリルで深さ4mm のポストス ペースを形成した。このポストスペースに FRC ポ ストと支台築造用レジンで作製したポスト試料を各 種接着性レジンセメントで合着した。使用したセメ ントは接着強さで用いたものと同様とした。試料は 37℃湿潤環境下に1週間静置した後に,万能材料試 験機で引張り力を付与した。最大破断荷重をポスト の維持力とした。せん断接着強さとポスト維持力と の相関の有無は,スピアマンの順位相関を用いて統 計処理を行った。有意水準は5%とした。 結果および考察:せん断接着強さとポストの維持力 ともにアドヒーシブタイプの接着性レジンセメント で値が大きく,セルフアドヒーシブタイプで小さ かった。統計解析の結果,接着性レジンセメントの せん断接着強さとポストの維持力との相関係数(r) は0.93であり,その相関は強かった。このことか ら,接着性レジンセメントの接着強さは,ポストの 維持力に大きく影響することが明らかになった。