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ボケとツッコミという視点で捉える研究論文

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Academic year: 2021

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(1)IPSJ Magazine. [巻頭コラム] ボケとツッコミという視点で捉える 研究論文 ▪サンキュータツオ  芸人という職業柄,世の中で起こっている出来事を「おもしろいか」「おもしろくないか」 で判断することが多いです.さらに,それらを「ボケ」的か「ツッコミ」的かで捉えようと します.  たとえば芸能人の不倫や,企業による個人情報の漏えい,とある国が核開発などを秘密裡 にしていたことが発覚したとします.その現象は「ボケ」です.「けしからん!」とか「記 者会見しろ」「謝罪しろ」というのは「ツッコミ」です.ボケが謝罪したら,ネタでいう「ど うもありがとうございました」という締めの挨拶です(採り上げた例に他意はありません) . なかなか謝罪しないボケは貴重です.  最近は「ツッコミ高ボケ低」の時代です.小さいボケに鬼のようなツッコミが入りまくり, ちょっとした失敗をしただけでもボケ側が土下座などしないと締めの挨拶になりません.た だし,あまりに大きいボケの前に,ツッコミの声が小さくなってしまうこともたまにありま す.あまりに衝撃的な事件だったり,議論されている政治的問題のボケが大きすぎて,どん な正論も通じなくなってしまう.どうにもバランスが悪い.こういう社会が良いか悪いかは 分かりませんが,おもしろくはありません.  ツッコミには芸が必要です.一番いいのはツッコミもおもしろいことです.世の中で,ま だその仕組みや現象が理解できていないものは「ボケ」です.つまり学問の対象となるよう な問題はすべて「ボケ」です.これに対して,なぜそういうことが起こっているのか,何が. 巻頭 情報処理 Vol.57 No.4 Apr. 2016.

(2) ■ サンキュータツオ 学者芸人・漫才師(米粒写経). 1976 年東京生まれ,一橋大学非常 勤講師.早稲田大学大学院博士後 期課程修了(文学修士) .漫才コン ビ「米粒写経」として活躍.著書 に『学校では教えてくれない! 国 語辞典の遊び方』 『ヘンな論文』 .. 起こっているのか,あらゆる角度でボケを解体,解明,または調査していく作業が「ツッコ ミ」です.つまり研究はすべて「ツッコミ」ですね.ただ,みんながそんなに興味のない小 さい「ボケ」に対して, 「ツッコミ」続けている,そういったものを論文として発表した場合, それは私にとって「おもしろい論文」ということになります.  タイトルだけでもご紹介すると「将棋倒しの速さ」「花札の図像学的研究」 「パイナップル 果汁を含むゼラチンゼリーの作成」 「縄文時代におけるクリ果実の大きさの変化」「起き上が るカブトムシの観察」などです.だれしもがスルーしていた「ボケ」に切り込んだ「ツッコミ」 が, 「研究領域」というステージの外側,つまり客席から見ていると,思わず笑ってしまう レベルでおもしろいです.だからなんなんだよという心の声が漏れてしまいそうです.昨年 の情報処理学会論文誌にも, 「複数ナップサック割当て問題の厳密解法」という論文があり ました.ボケを加工し自らツッコむ,究極のピン芸を見た気がしました.   『ヘンな論文』という本を著しましたが,世の中にはこういったボケとツッコミを両立さ せている論文が無数に存在しており,それを収集するのが私の趣味です.科学コミュニケー ションには,こうした門外漢(観客側)から見たステージ(研究,論文)という視点が必要 なようです.  みなさん,どんどんツッコミましょう!. 情報処理 Vol.57 No.4 Apr. 2016. 巻頭.

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