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Peter Rabbit 物語シリーズにおける家・母親・子ども―Tom Kitten を中心に

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Peter Rabbit 物語シリーズにおける家・母親・子ども

-Tom Kitten を中心に

福 本 由紀子

はじめに

イギリス児童文学において、「家」あるいは「館」という居住空間が物語の なかで重要な位置を占めている作品は数々見られる。児童文学における「家」 の様相を論じるために、ルーシー・ボストン(Lucy M. Boston, 1892-1990)の 作品をはじめとして、イーディス・ネズビット(Edith Nesbit, 1858-1924) やケ ネス・グレアム(Kenneth Grahame, 1859-1932)、J. M. バリ(J. M. Barrie, 1860-1937)、フィリパ・ピアス(Phillippa Pearce, 1920-2006)など、これまでにもい くつかの作品を考察してきた1。特に「Peter Rabbit 物語シリーズにおける「子 ども部屋」空間の広がり 1 」2では、ビアトリクス・ポター(Beatrix Potter, 1866-1943) によって書かれた、主に動物を主人公とした物語絵本 “Peter Rabbit Books”(次章参照)のなかから、ウサギが登場する物語 The Tale of Peter Rabbit (1902)、The Tale of Benjamin Bunny (1904)、The Story of a Fierce Bad Rabbit (1906)、The Tale of the Flopsy Bunnies (1909)の 4 作について、子どもの王国

である理想の「遊び空間」ないしは「子ども部屋」、洋服に表象される母親像、 子どもの冒険等の観点から分析した。そこでは、主人公のウサギたちが活動す る場所は「子どもが自らの世界として遊ぶ空間」であり、彼らの冒険が子ども 部屋での安全で守られた遊びの世界の延長であることが明らかとなった。子ど もは大人の保護がなければ生きていけないのだという現実、また、窮屈ではあ るが子どもを包む母の愛情がある家、居心地の良い場所、危険な目にあって消 耗した体を休める避難場所である家に必ず戻るという、「子ども部屋」での遊 びとしての冒険のあり方が示されると同時に、物語の始点と終点となる母ウサ ギのいる「家」は、母の統治の下、保護と安全、回復が約束された場所であり、 かつ子どもたちにとっては、大人に管理された、遊び=冒険の禁じられた窮屈

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な場所でもあることが示された。また、子ウサギの着ている洋服に表象される、 母親の愛情と束縛の両面が浮き彫りとなった。 ポターの絵本シリーズでは、主な登場動物として、ウサギ、リス、フクロウ、 ネズミ、ハリネズミ、ネコ、イヌ、カエル、アヒル、キツネ、アナグマ、ブタ 等が挙げられる。主要な動物たちには印象的な性格付けがなされ、各動物にふ さわしい役割が与えられていると考えられる。したがって本稿では、母親と子 どもの関係において意義が見いだされると思われる、子ネコの物語を取り上げ て考察したい。ネコが主要登場人物となっている物語は、The Story of Miss Moppet (1906)、The Tale of Tom Kitten (1907)、The Tale of Samuel Whiskers or the Roly-Poly Pudding (1908)の 3 作である。これらの物語において「家」とはど のような場所なのか、また子ネコ(子どもたち)の遊びの空間や母親像がどの ように描かれているのか、他の作品との比較も含めて探ってみたい。

Ⅰ. Peter Rabbit Books の分類

ビアトリクス・ポターの著作のなかで、“Peter Rabbit books” とされる一連の シリーズは、Nursery Rhymes 絵本 2 冊を含み、またポターの死後出版されたも のは省くと、23巻が現在においても出版されている。また、2015年には、1914 年に執筆された The Tale of Kitty-in-Boots が発見され、クエンティン・ブレイク (Quentin Blake, 1932- )の挿絵をつけて初めて出版された。 ここでシリーズ全体を概観するため、主要な登場動物、話型、主な活動場所、 家の形態、主人公と家族の関わり、服装、主要な登場人物(人間)の項目にお いて作品を分類する。「主要な登場動物」には名前のついているものは( ) に入れる。「話型」とは物語のパターンのことであり、①家から出発し、外で 冒険をし、また家に戻ってくる ②家(とその周辺)でのできごと ③外での 冒険のみ、の 3 つに分類する。「家の形態」としては、①動物の住みかとして の家 ②人間の家 ③両方の要素(住居自体は動物の住みかだが、内部は人間 の家のような内装)を持った家、の 3 つとする。「主人公と家族の関わり」に おいては、その関わりの程度を大・中・小とし、そのほかに、夫婦としてのみ 登場する場合、また家族の関わりなし(×)で分ける。「服装」については、

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動物の登場人物が人間と同様の服を着ているかどうかで分け、△は着ている者 (人物明記)といない者がいる場合である。ページの都合上、分類表は本論の 末尾に掲載する。 この分類において、主人公となる動物の種類に着目すると、家を出て外で冒 険し、また家に戻ってくるという、冒険物語の典型ともいえるパターン(話型 ①)の場合、その主人公となっているのはウサギが最も多い。最もよく知られ ている第一作の The Tale of Peter Rabbit がそもそもこのタイプにあたる。また、 出来事がほぼ家の中で起こる場合(話型②)、主要動物は圧倒的にネコとネズ ミとなる。さらに、遠くへ旅に出る(そして帰ってこない)という物語の場合 (話型③)、主人公はブタとなる。このようなポター作品における動物と話型と の関係は非常に興味深く、動物の特徴や登場人物のモデルとされる人物などか らこのような関係が生じていると考えられ、別稿で今後論じたい。 次に、家の形態としては、ウサギ穴など各動物の従来の住みかをベースには しているものの、その多くが、台所や寝室などの部屋の機能や内装は人間の家 と同じものを用いている。また、人間の家そのものに擬人化された動物が住ん でいる場合は、湖水地方にあるポターのヒルトップ(Hill Top Farm)の家やヒ ルトップのあるソーリー村(Sawrey)を背景やモデルに描いたものが多い(分 類表では「家の形態」欄に( )として記述)。ヒルトップの写真等と比較す ると、ポターの描く動物たちと同様、丁寧に観察され正確に描写されているこ とがわかると共に、彼女の暮らしがそのまま物語に映し出されていることが推 察される3 「話型」と「家の形態」と「家族との関係」を照合してみると、「家→外での 冒険→家」パターン(話型①)の場合、家は動物の住みかと人間の家の内部と の混合であり、主人公と家族との関わりが比較的大きいといえよう。ここから、 冒険をする主人公は人間を投影させたもの、つまり擬人化の程度が高く、動物 の冒険といえどもそれらは人間の子どもの冒険を暗示しているのだと考えられ る。したがって、その動物(子ども)と家族、主に母親との関係が強調される ものとなる。 さらに、ほぼすべての作品に衣服を着た動物が登場する。そのなかで、特に 大人として出てくる動物はすべて服を着ており、子どもの場合、物語中での服 の着脱がストーリーに大きく影響している。衣服は人間化を表すだけではなく、

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成熟を示すコードでもあると述べられるように(灰島 96)、衣服によって象徴 される事柄は多岐にわたる4

分類表における上記の概要をふまえ、次章ではネコの登場する、家での冒険 (話型②)における母親と子どもと服装との関係を探りたい。

Ⅱ.子ネコの物語における母親と子どもと服装

ここでは、子ネコの物語 3 作 The Story of Miss Moppet、The Tale of Tom Kitten、 The Tale of Samuel Whiskers or the Roly-Poly Pudding を他の物語と比較しながら、 順に分析する。

1. The Story of Miss Moppet

The Story of Miss Moppet は、子ネコのミス・モペットが、子ネコなど怖がら ないネズミにからかわれる物語で、言葉の難易度や物語構成の単純さ、物語の 長さからみて、ポター作品のなかでも特に幼い子ども向けに書かれたものだと 考えられる5。モペットはネズミを追いかけながら食器棚に頭をぶつけ、布巾 でネズミをうまく捕まえたかと思いきや、うまく逃げられてしまう。最後は、 モペットをからかうように食器棚の上で踊っているネズミの場面で閉じられる。 このようなシンプルで短い物語であるが、次作の The Tale of Tom Kitten で重要 となる子どもの遊びと洋服との関連がすでに見てとれる。 ミス・モペットは洋服は着ておらず、首にピンクのリボンを巻いている。こ れはペットのネコがつける首輪のようにも見え、またモペットが全く言葉を発 しない(彼女の心情は作者の語りとしてのみ描かれる)ため、擬人化の程度は 低い。ネズミをつかまえるために布巾を頭にかぶり、ネズミを捕らえると、そ れを包んでボールのおもちゃのように投げて遊ぶ。このように布巾で遊ぶ様子 が、のちの洋服を脱ぎ散らかす子ネコたちの姿につながる。一方、ネズミのほ うは、最初からジャケットを着て、蝶ネクタイよろしく赤いリボンまで着けて いる。ネズミも言葉は発しないが、指差したりからかったりするような動作と その服装から、明らかにモペットよりは賢く年上であるかのように見えるので ある。背景描写も最低限に抑えられているため、モペットの布巾とネズミの衣

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装が絵の中に効果的に浮かび上がり、物言わぬ 2 人の登場人物について知る手 がかりとなっている。

2. The Tale of Tom Kitten

次に、本論の中心となる The Tale of Tom Kitten を取り上げる。 3 匹の子ネコ ミトン、トム、モペット(Mittens, Tom Kitten, Moppet)は、母親ミセス・タビ サ・トゥイチット(Mrs. Tabitha Twitchit6)にティパーティ用のよそゆきの服を 着せられるが、遊んでいるうちに服はめちゃくちゃになり、脱げた服はアヒル たちに取られ、怒った母親に寝室に追いやられ、けれども子ネコたちは寝室で も大暴れ、という筋書きである。 彼らの洋服についてみると、タビサ・トゥイチットはティパーティに向けて 薄紫のドレスにエプロンをしている。パーティの準備をしながら子どもたちの 面倒を見なければならないにもかかわらず、着飾ったこの服装は、Kutzer (93)の指摘する「ばかげた形式主義と、家庭生活への非現実的な期待」を表 すものでもあろう。 子ネコたちは家のなかでじっとしていることはできず、“They[=kittens] had dear little fur coats of their own” (7)と服を着ないで、戸口で転げ回って自由に 遊んでいる。ここから、子ネコたちの受難が始まる。母親の都合で理由も聞か されず、窮屈な洋服を着せられてしまうのである。母親は “(Mrs. Twitchit) fetched the kittens indoors, to wash and dress them〔. . .〕scrubbed their faces〔. . .〕 brushed their fur〔. . .〕combed their tails and whiskers” (8-15)と、子ネコたちを 清潔に見栄え良くしていく。モペットとミトンに “pinafore and tuckers”(16) を着せていることから、おそらくこの 2 匹が女の子であろうことがわかる。そ れに対して、トムは “all sorts of elegant uncomfortable clothes”(16)という、子 どもには動きにくい、しかし大人にとっては上品だと思われる洋服で飾られる。 彼が成長して太っていたためボタンが弾け飛ぶが、これはテキストでは表現さ れていないトムの母親の命令への拒絶、もしくは子どもの状態を顧みず自らの 都合を押しつける大人の一面を表すものだろう。MacDonald(101)は、「子ネ コとしての本質の解放」の表れだと指摘する。けれどもボタンはすぐに母親に よって縫い付けられ、これはトムが母親に抑え込まれてしまったことを示す。 そもそも子ネコのなかでもトムだけに “Thomas” という人間の名前が与えら

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れ7、人間の子どもの要素が強調される。また、この作品の献辞には “Dedicated to all Pickles—Especially to those that get upon my garden wall” とあり、ポターは 「自由で元気に満ちあふれた人…好奇心を抑えきれずにビアトリクスの花壇や リンゴ園に飛びこんでくる、いたずら好きな子ネコや小さな子どもたち」のこ とを好んで “Pickles” と呼んでいたようで(Lear 218)、子ネコとやんちゃな人 間の子どもとが重ねられていると考えられる。また、ピーター・ラビットの姉 妹がフロプシー、モプシ-、コットンテール(Flopsy, Mopsy, Cottontale)とい うペットに見られがちな名前を与えられているなかで、やんちゃな主人公ピー ターのみが人間の名前であるのと同様であり、母親と(人間の)子どもの関係 が暗示される。

さらに母親の厳しい命令は続く。“Now keep your frocks clean, children! You must walk on your hind legs. Keep away from the dirty ash-pit, and from Sally Henny-penny, and from the pig-stye and the Puddle-ducks.” (20)と、洋服を汚さないよう 行動を制限され、さらに洗練されたように見せかけるために二本足歩行するよ うに強制され、汚れそうな場所には行かないようにと遊び場所を制限された子 どもたちは、“unsteadily” に歩き回る。Kutzer(93)は、これらは子ネコの本 質に背く実行不可能な命令であり、ポターは親の厳しさとその間違った行動を、 タビサがパン焼きフォーク(母親の権威を表す)を手にした絵(21)で皮肉っ ているのだと指摘する。 子ネコたちはできるだけ母親の言いつけどおりにしようとするが、モペット とミトンの洋服ははだけ、シミ汚れがつき、襟飾りは外れてしまう。トムもな んとかズボンをはいて二本足で歩き、“he was all in pieces”(28)となるまで頑 張るが、ボタンも帽子もあちこちに落とし、洋服も脱げてしまう。この状態は、 行儀良くさせようとする母親と自由に遊ぶことを望む子どもの関係そのもので ある。また、子ネコたちの落とした洋服をアヒルのドレーク一家(Rebecca, Jemima, Mr. Drake Puddle-duck)が拾い、持ち帰ってしまうわけだが、これら アヒルたちは、ティパーティに来るかしこまった夫人たちに対して、庶民的な 人々を皮肉混じりに描いているのだと考えられる。そして結局、子ネコたちは 洋服をすべて失い、庭の石垣に座っているところを母親に見つかる。

当然母親は怒り、子どもたちをたたいて寝室におしこめる。その時に “Iʼm affronted”(47)と言うのである。誇りを傷つけられ恥ずかしく思うと告げる

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母親からは、最初に子ネコたちを着飾ったのは子ネコたちのためではなく、 “dignity and repose”(51)である大人のティパーティにめかしこんで来る友人 たちに、母親自身が子どもたちを自慢したいがためであったことが窺える。そ してやってきた友人たちに、“they (=children) were in bed with the measles”(48) と苦しい言い訳をすることになる。猪熊(103)が「社交の無意味さにたいす るポターの皮肉な眼が物語のおかしさを裏打ちしている」と述べ、Scott(1992, 195)が「母ネコは、子ネコたちの動物としての本質を束縛し抑制するという、 社会的な期待を象徴している」と考察するように、衣服を通して当時の社会規 範や社交を皮肉ると共に、その結果として抑圧される子どもの姿を描いている。 また、子どもたちが賑やかに暴れる寝室は、部屋中にちらばった洋服やちぎ れかけたベッド飾りと共に描かれる。元気な子どもそのものの姿を隠し、体裁 を繕おうとした母親の見栄や、行儀のよい窮屈な大人の世界と自由奔放な子ど もの世界が対照的に表現される。親の理不尽な要求に束縛された家庭生活から 逃げ出したい子どものパワーが、家庭生活のうわべの上品さを破壊するさまが 見て取れる。

ここで The Tale of Peter Rabbit の場合と比較すると、ピーターや姉妹たち子 ウサギが家から外の世界へと出て行き、また家に戻るという物語のパターンを 取っていること、「家」や日常生活に関する要素が物語の主軸となっているこ と、子ウサギたちが母親にしっかりと洋服を着せられて外へと送り出され、 “you may go into the fields or down the lane, but donʼt go into Mr. McGregorʼs garden” (10)と行き先に関しても命じられていること、外で遊んだり冒険をしたりす るなかで洋服をすべて脱いでしまうことなど、物語構成や主な展開において類 似点が多い。子ネコや子ウサギが服を着ることは、人間の子どもになることで あり、子どもにとって窮屈な洋服を着せられることは、行儀のよさを求める教 育つまりは大人からの束縛を意味する。逆に、洋服を脱ぐことは本来の動物に 戻る=子どもらしさを取り戻すこと、束縛からの解放=自由を示す。ここには、 子どもの生活における二面性が映し出されているわけである。さらに、ピー ター・ラビットの場合は、母親の着せた洋服がピーターを命の危険に陥れるこ とになり、それはつまり母親の愛情 / 束縛が子どもを脅かすことにもなるとい う状況にまで至る。子ネコのトムの場合はそこまで深刻なことにはならず、洋 服はのびのびと自由に遊ぶ邪魔になるくらいであるが、MacDonald(101)は

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「ピーター・ラビットの衣服が彼の個性を表す一方で、子ネコのトムの衣服は、 彼の従順でない動物としての本質を曲解している」と指摘する。どちらの場合 も、母親の束縛や抑圧が洋服によって象徴され、子どもたちはそこから逃げだ し自由を得る、という構図は同じである。

3. The Tale of Samuel Whiskers or the Roly-Poly Pudding

最後に、同じく子ネコのトムの登場する The Tale of Samuel Whiskers or the Roly-Poly Pudding8 (以後 The Tale of Samuel Whiskers とする)を取り上げたい。 これは The Tale of Tom Kitten の最後に、“I think that some day I shall have to make another, larger, book, to tell you more about Tom Kitten!”(52)と予告された、子 ネコのトムのまた別の物語である。これはポターの絵本シリーズのなかでもか なり長く複雑なストーリーとなっているが、一言で言えば、古くて大きな家で 迷子になったトムが、ネズミたちに捕らえられ、危うく「ねこまきだんご」(a kitten dumpling roly-poly pudding9)にされて食べられそうになるという、トム の災難の物語である。

ここでも、“She [=Tabitha Twitchit] used to lose her kittens continually, and whenever they were lost they were always in mischief!”(13)とあるように、いたずら好き な子どもたちに手を焼く母親の姿が見られる。彼女は青いワンピースにエプロ ンを着け、ショールをかけた(もしくは大きな襟付きワンピース)姿で、のち にいとこのミセス・リビーが訪ねてくることを念頭においた、少しおしゃれな 普段着姿である。 パンを焼く間、邪魔されないように子ネコのモペットとミトンを押入に閉じ 込めておくが、鍵はかけない。この際、子どもたちは服を着ておらず、家で自 由に過ごしている様子が窺える。近くにいないトムを母親が探し回っている間 に、案の定、モペットとミトンはいたずらを始める。 母親タビサが、トムがネズミに捕らえられてしまったのではないかと涙なが らに探す一方で、訪ねてきたミセス・リビーは “He [=Tom]ʼs a bad kitten, Cousin Tabitha; he made a catʼs cradle of my best bonnet last time I came to tea.” (20)と、トムのいたずらを咎める。この時の彼女の服装は、薄紫地に小花柄

のドレスにグレーのエプロン、ブルーのショールを肩にかけ、紫のボンネット を被るといった格好である。平服のタビサと着飾ったリビーという服装の違い

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が、トムへの態度の違いに対応している。

一方、青い上着を着たトムは母親に押入に閉じ込められないように、炉の煙 突のなかへ逃げていた。母親から逃亡するトムは、ピーター・ラビットや前作 The Tale of Tom Kitten の時と同様に上着を身につけ(しかし上着のボタンは留 めておらず、前作で成長して上着がもう小さくなっていた様子が思い出され る)、以前と変わらない母親の規制を示している。トムは自由気ままに遊ぶは ずが、入り組んだ煙突のなかで迷子になり、煤だらけで大ネズミのすみかに出 てしまう。

煙突のなかで煤だらけで迷子になるという設定は、チャールズ・キングズリ (Charles Kingsley, 1819-75)の The Water-Babies (1863)の主人公トム(Tom) を思わせる。子どもでありながら煙突掃除をして働く、この主人公の名前は同 じくトムであり、大きな屋敷に無尽に張り巡らされた煙突で迷子になる。子ネ コのトムの物語との類似性がかなり見られるため、以下に挙げる The Water-Babies のトムがサー・ジョン・ハーソヴァー(Sir John Harthover)の屋敷で煙 突掃除をする場面と、子ネコのトムが煙突のなかで彷徨う場面を比較したい。 How many chimneys he swept I cannot say; but he swept so many that he got quite tired, and puzzled too〔. . .〕in old country-houses, large and crooked chimneys which had been altered again and again, till they ran one into another〔. . .〕 So Tom fairly lost his way in them; not that he cared much for that, though he was in pitchy darkness, for he was as much at home in a chimney as a mole is underground; but at last, coming down as he thought the right chimney, he came down the wrong one, and found himself standing on the hearthrug in a room the like of which he had never seen before. (The Water-Babies 15-16)

The chimney was a very big old-fashioned one. It was built in the days when people burnt logs of wood upon the hearth〔. . .〕

Tom Kitten was getting very frightened! He climbed up, and up, and up. Then he waded sideways through inches of soot. He was like a little sweep himself. It was most confusing in the dark. One flue seemed to lead into another.

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head over heels in the dark, down a hole, and landed on a heap of very dirty rags. When Tom Kitten picked himself up and looked about him—he found himself in a place that he had never seen before, (The Tale of Samuel Whiskers 41-49) 入り組んだ煙突、そのなかを動き回り迷子になる少年と子ネコ、迷った挙げ句 今まで見たこともないような場所に飛び出してしまう点、又その時の驚きなど、 片方が煙突掃除という仕事中であり、片方が遊びの探検であるという違いはあ るにせよ、非常に似通った設定となっている。さらにこの後、少年トムは屋敷 の美しい少女と出くわし、泥棒と間違えられて這々の体で逃げ出すことになり、 一方、子ネコのトムは大ネズミの夫婦の住みかに出てしまい、危うく食べられ そうになる。 その後の展開を服装という点で比較すると、少年トムは煙突掃除ですっかり 汚れ、“A little ugly, black, ragged figure” (17)という風体で屋敷を飛び出したあ と逃げ続け、川まで来ると、魚になって水の中を泳ぎ回りたいと洋服を脱ぎ捨 てて川に入り、「水の子」(“water-baby”10)となる。その時のトムの様子は、 “Tom was quite alive; and cleaner, and merrier, than he ever had been. The fairies had washed him, you see, in the swift river, so thoroughly, that not only his dirt, but his whole husk and shell had been washed quite off him, and the pretty little real Tom was washed out of the inside of it, and swam away” (43)と、煤で汚れた惨めな姿から 美しい「本物の」トムが現れる、つまり新たに生まれ変わって自由を得たわけ である。

子ネコのトムのほうは、青いワンピースにエプロンの普段着で靴を履いた、 ばあさんねずみのアナ・マライア(Ana Maria)に、“His coat was pulled off, and he was rolled up in a bundle, and tied with string in very hard knots”(52)と、身ぐ るみはがされ縛り上げられる。アナ・マライアと夫のひげのサムエル(Samuel Whiskers)(モスグリーンのジャケットに黄色いズボンとベストを身に付け、 首には赤いスカーフを巻き、靴を履いている)は、トムを材料に「ねこまきだ んご」を作って食べようとしたのである。アナ・マライアの服装は、トムの母 タビサとほとんど同じであり、衣服だけみると、子どもを心配する側面と拘束 する側面という、表裏一体の母親の二面性を象徴しているようでもある。また、 サムエルの服装は、The Story of Miss Moppet に登場するモペットをからかうネ

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ズミの服装(グリーンの上着に赤いリボン)とも重なり、どちらも子どもをか らかう(脅威となる)大人の服装と見ることができる。 すんでのところで、トムはイヌのジョン (John Joiner)によって助け出され る。つまり、子ネコのトムも「水の子」となったトムと同様に、服を脱いだ状 態となり、最終的に命は助かる(この事件のあとも、最後までトムは服なしの 状態で描かれる)。Scott(1994, 79)が「衣服と、衣服が象徴する社会的自己 とは拘束である。衣服は人の本質を表現するための手段となるというよりも、 本質を損ない隠してしまうものである」と述べるように、服装が子どもの本質 や個性を妨げるものとして用いられ、それを取り去ったことで子どもはのびの びと自由に行動でき、その本来の姿が現れるのであろう。 このように、この二作品は全体の物語としてはまったく違った内容でありな がら、興味深い類似点が見られる。ポターが幼少期に The Water-Babies を楽し んで読んでいた(Lear 30)ことは明らかにされているため、彼女が現状から 逃げ出したい主人公の登場する物語を構築する際、The Water-Babies における 人物の諸相が心を過ぎったであろうことは想像に難くない。煤で汚れた洋服を 脱いで生まれ変わる少年トムを、衣服を脱いで動物としての本来の自分を取り 戻して危機から脱する子ネコのトムと重ね合わせたのかもしれない。

The Tale of Samuel Whiskers に話を戻すと、トムは安全だと思われる家のなか で冒険をすることになる。子どもにとって安全で守られた家は、遊び場所とし ての魅力にあふれた “a nice convenient place” (36)であると同時に、危険の潜 んだ場所でもある。子ネコのトムもピーター・ラビットと同様に、母親の束縛 から逃亡するが、そこはマグレガー(Mr. McGregor)の畑のような外の世界で はなく、家の中にある危険な世界、焼け死ぬかもしれない炉や煙突、敵(ネズ ミ)の潜む壁のなかであった。そこには家の二面性が見て取れる。日々の家庭 生活を母親や姉弟と送る部屋と、壁のなかや屋根裏、煙突のなかという危険な 場所、子どもを追いやることにもなる母親の料理(baking)とネズミの料理 (roly-poly pudding)が示す、ネコの世界とネズミの世界が、一つの家の中に存 在する。それらは、家の中の明るく美しく広々とした様相と、秘密を含んだ闇 の部分とを象徴している。Kutzer(97)は「ポターは、家庭生活は我々が想像 するよりも豊かで複雑なものであり、隠れた闇が存在すると同時に居心地のい い場所にもなりうると考えている」と指摘する。富裕層の住むロンドンのボル

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トン・ガーデンズ(Bolton Gardens)で、19世紀の典型的な中産階級の家庭と して、経済的には豊かに暮らし、乳母と家庭教師によって躾られ、同年代の子 どもたちと触れ合うこともなく抑圧された子ども時代を過ごした、ポターの考 える家庭生活の本質が物語に反映されているのだといえよう。 最 終 的 に ト ム は 助 け 出 さ れ、 ネ ズ ミ た ち は す ぐ に バ レ イ シ ョ(farmer Potatoes)の納屋に引っ越す(追放される)こととなり一件落着、なのである が、モペットとミトンが成長してネズミ取りの名人になる一方、トムは終生ネ ズミを怖がることになった。これは、ピーター・ラビットが次作の The Tale of Benjamin Bunny でマグレガーを怖がって畑での冒険を楽しめないでいることと 似ている。ハッピーエンディングと言えないことはないが、やはり家における 闇の部分が強調されたまま閉じられた印象が強い。 ネズミとの遭遇事件以後トムの着衣は描かれないが、結局この物語で扱われ る服装に、The Tale of Tom Kitten に見られたような母親からの抑圧はそれほど 感じられない。むしろ、上着の前をはだけたまま着ているトムには、自由ない たずらを満喫する様子が感じられる。また、上着が小さくなるほど成長した息 子への、母親の気遣いも見られない。子どもたちへの配慮つまりは束縛や抑圧 よりも、家事や社交に熱心な母親像のほうが強調される。けれども、命の危険 にあるかもしれない息子を心配する母親の愛情もまた同時に感じられるのであ る。

おわりに

最後に、ポターの作品に登場する「母親」について触れておきたい。絵本シ リーズは23作にもなり、そのなかで家族、特に夫婦を描いている作品が多いに もかかわらず、「母親」が登場する作品は少なく、本論で考察した作品のみで ある。これは、ポター自身が子どもを持たなかったことからくるのか、自身の 母親への反抗心からくるのか、もしくは彼女が描きたかったのは親子の愛情の 物語ではなく、子どもの自由な遊びや冒険、人生における悲喜こもごもであっ たのか、その考察は今後の課題としたい。Kutzer (44)は、The Tale of Peter Rabbit における母の守りが却ってピーターを危険に陥れることになったことを、

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「ピーターの上着は彼の社会的自己のみならず、母親に支配された、家庭にと らわれた自己を示している。このことはピーターを抑圧し、マグレガー氏が彼 を脅かすのと同様に、彼を「殺してしまう」恐れもある。もし、ピーターの母 親が野生的な息子を家庭のなかに捕らえ、飼い慣らすことにそこまで固執しな ければ、ピーターは庭でそれほどの危険に会わずに済んだであろう」と述べて いる。このようなピーター・ラビットの母親に潜む子どもにとっての脅威や、 子ネコのトムの母親タビサ・トウィチットの示す明暗の要素が混ざり合った母 親像には、ポター自身の家庭生活での負の要素、親の過度な期待や束縛も込め られているにちがいない。ポターは洋服を脱ぎ捨て、奔放さを取り戻し、自由 を満喫して生きられる場所を、子ウサギや子ネコに託して求めたのである。

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Pe te r R ab bi t シ リ ー ズ 分 類 表 * 話 型 (話 の パ タ ー ン )  ① 家 — 冒 険 — 家   ② 家 ( と そ の 周 辺 ) で の で き ご と   ③ 外 で の 冒 険 の み * 家 の 形 態   ① 動 物 の 家   ② 人 間 の 家   ③ 両 方 の 要 素 ( 住 居 自 体 は 動 物 の 住 み か だ が 、 内 部 は 人 間 の 家 の よ う な 内 装 ) * 服 装 : ○ 着 て い る 、 △ 着 て い る 場 面 も あ る 、 × 着 て い な い タ イ ト ル ・ 出 版 年 主 要 な 登 場 動 物 話 型 主 な 活 動 場 所 家 の 形 態 主 人 公 と 家 族 の 関 わ り 服 装 主 な 人 間 の 登 場 人 物 1 Th e Ta le o f P et er R ab bi t, 19 02 ra bb its ( Pe te r, Fl op sy , M op sy , C ot to nt al e, M rs . R ab bi t) ① w oo d, M cG re go rʼs ga rd en ③ sa nd -b an k un de r th e ro ot o f a fi r-t re e 大 ○ M cG re go r 2 Th e Ta le o f S qu ir re l N ut ki n, 1 90 3 sq ui rr el( N ut ki n) , O w l( O ld B ro w n) ③ tr ee s, o w lʼs h ou se ③ ho llo w o ak -t re e 中 × × 3 Th e Ta ilo r o f G lo uc es te r, 19 03 m ou se , c at ( Si m pk in ) ② ta il or ʼs sh op a nd hi s h ou se ② × ○ ta ilo r 4 Th e Ta le o f B en ja m in B un ny , 1 90 4 ra bb its ( Pe te r, B en ja m in , M r. B en ja m in B un ny ) ① w oo d, M cG re go rʼs ga rd en ③ sa nd -b an k un de r th e ro ot o f a fi r-t re e 大 ○ M cG re go r 5 Th e Ta le o f T w o B ad M ic e, 1 90 4 m ic e( To m T hu m b, H un ca M un ca ) ② do ll ʼs-ho us e ② nu rs er y 夫 婦 △ (n ur se ) 6 Th e Ta le o f M rs . T ig gy -W in kl e, 1 90 5 he dg eh og ( Ti gg y-W in kl e) ② he dg eh og ʼs ho us e ③ rock × ○ Lu cy 7 T he T al e of t he P ie a nd t he P at ty -Pa n, 1 90 5 ca t( R ib by ), d og( D uc he ss ) ② R ib by ʼs ho us e ② × △ (c at ) × 8 Th e Ta le o f M r. Je re m y Fi sh er , 1 90 6 fr og ( Je re m y Fi sh er ), ne w t ( Is aa c N ew to n) , t or to is e ( A ld er m an P to le m y) ① po nd ③ da m p ho us e at a po nd × ○ × 9 T he S to ry o f a Fi er ce B ad R ab bi t 19 06 ra bb it ③ ou ts id e / × × m an w ith a gu n 10 Th e St or y of M is s M op pe t, 19 06 ca t( M op pe t), m ou se ② in si de a h ou se ② × △ (c at : ri bb on , m ou se : ja ck et ) × 11 Th e Ta le o f T om K itt en , 1 90 7 ca ts( M itt en s, T om K itt en , M op pe t, Ta bi th a Tw itc hi t), pu dd le -d uc ks ① Ta bi th aʼ s ho us e, ga rd en ② (H ill T op ) 大 ○ ×

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12 T he T al e of J em im a Pu dd le -D uc k, 19 08 pu dd le -d uc k( Je m im a) , f ox , do g( K ep ) ① fa rm , f ox ʼs ho us e ② (H ill T op a nd Sa w re y) 小 ○ fa rm er ʼs w ife an d ch ild re n 13 Th e Ta le o f Sa m ue l W hi sk er s or th e R ol y-Po ly P ud di ng , 1 90 8 ca ts( M itt en s, T om K itt en , M op pe t, Ta bi th a Tw itc hi t, R ib by ), m ic e( A nn a M ar ia , Sa m ue l W hi sk er s) ② Ta bi th aʼs h ou se ② (H ill T op a nd Sa w re y) 大 ○ Fa rm er Po ta to es 14 Th e Ta le o f t he F lo ps y B un ni es , 1 90 9 ra bb its ( B en ja m in , F lo ps y, bu nn ie s) , m ou se ( Th om a-si na T itt le m ou se ) ① ra bb it ʼs ho us e, M cG re go rʼs g ar -de n ③ 大 ○ M cG re go r 15 Th e Ta le o f G in ge r a nd P ic kl es , 1 90 9 do g( Pi ck le s) , c at( G in ge r) an d m an y m or e an im al s ② sh op s ② (S aw re y) × ○ × 16 Th e Ta le o f M rs . T itt le m ou se , 1 91 0 w oo d-m ou se( Ti ttl em ou se ), in se ct s, to ad ( Ja ck so n) ② m ou se ʼs ho us e ③ a ba nk u nd er a he dg e × ○ × 17 Th e Ta le o f T im m y Ti pt oe s, 1 91 1 gr ey s qu ir re ls( Ti m m y Ti p-to es , G oo dy ), c hi pm un k ( C hi pp y H ac ke e) ① w oo d ③ to p of a ta ll tr ee 夫 婦 ○ × 18 Th e Ta le o f M r. To d, 1 91 2 fo x( To d) , b ad ge r( To m m y B ro ck ), r ab bi ts( B ou nc er , B en ja m in , F lo ps y, b un ni es , Pe te r, C ot to nt al e) ① w oo d ③ ・ a st ic k ho us e in th e co pp ic e ・ a po lla rd w ill ow ne ar th e la ke ・ an e ar th am on gs t t he ro ck s at th e to p of B ul l B an ks u nd er O at m ea l C ra g 大 ○ × 19 Th e Ta le o f P ig lin g B la nd , 1 91 3 p ig s( A u n t P et ti to es , Pi gl in g B la nd , A le xa nd er , Pi g-w ig ) ③ ou ts id e ② 中 ○ I ( na rr at or ), Po lic em an , Pe te r Th om as Pi pe rs on , gr oc er

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20 A pp le y D up pl yʼ s N ur se ry R hy m es , 19 17 m ou se( A pp ly D ap pl y) , r ab -bi t( C ot to nt al e) , h ed ge ho g ( Pr ic kl ep in ), m ol e( D ig go ry D el ve t), p ig , g ui ne a-pi g ② ho us es , o ut si de ③ × ○ × 21 T he T al e of J oh nn y To w n-M ou se , 19 18 m ic e( Jo hn ny T ow n-m ou se , Ti m m ie W ill ie ), c at ① to w n, c ou nt ry ③ (H aw ks he ad , Sa w re y) 中 ○ (to w n m ou se ) ca rr ie r, co ok , bo ys , p ar lo ur m ai d( Sa ra h) 22 C ec ily P ar sl ey ʼs N ur se ry R hy m es , 19 22 ra bb it ( C ec il y Pa rc el y) , go os e, p ig , c at( Pu ss y) , d og , m ic e ② ③ ho us es , o ut si de ③ 中 ○ × 23 Th e Ta le o f L itt le P ig R ob in so n, 1 93 0 ca ts( Su sa n, P er cy ), d og s ( St um py , B ob , T im ot hy G yp ), pi gs ( D or ca s, P or ca s, Ro bi ns on ), Sh ee p( Si m R am ) ③ se as id e to w n , D ev on sh ir e fa rm , sh ip , l an d of t he B on g tr ee ② 中 ○ I ( na rr at or ), fi sh er m an (S am )a nd w ife (B et sy ), M um by , C ap ta in B ar na ba s B ut ch er

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Notes

1  拙論として「Edith Nesbit の作品における子ども部屋の意義」(『甲南女子 大学大学院英文学論集 XIV』、1997)、「砂の妖精 Psammead-- 魔法と子ど もたち --」(『甲南女子大学大学院英文学論集 XV』、1998)、「The Wind in the Willows 再読 --Toad の冒険と館 --」(『甲南女子大学大学院英文学論集 XVI』、1999)、「『ピーターパン』論 -- 子ども部屋を飛び立った子どもたち --」(『英米児童文学ガイド』日本イギリス児童文学会編、研究社、2001)、 「『トムは真夜中の庭で』論」『現代英米児童文学評伝叢書10 フィリパ・ピ

アス』KTC 中央出版、2003)等がある。 2  『大阪国際児童文学館紀要 第19号』(2006)

3  特に、本論の中心となる The Tale of Tom Kitten には母屋の内部も正確に描 写され、“The entrance porch with its large Brathay slate walls, the stone-flagged floors, oak paneling and deep-set windows” など、当時の実物通りに描かれて いる。また、“a beautifully rendered flowered washbasin, the caned chair where Tabitha washes her kittensʼ faces, the new clock in the hall, the wall mirror” など の備品や家具も忠実に描写されている(Lear 219)。The Tale of Samuel Whiskers では、ヒルトップの家が背景となり、“the architectural details of the house, its thick walls, the secret tunnels the rats had made behind the chimney, and its many cupboards, as well as the kitchen roof through which she had fallen. The hall of Hill Top and its furnishings〔. . .〕the half-landing, the upper hall and stair carpets, the claret curtains, the grandfather clock, the raised-panelled front door and the old timbers of the attic” など、農家の内部が正確に描写されて いる (Lear 223-24)。

4  The Tale of Peter Rabbit と The Tale of Benjamin Bunny での衣服の分析は拙論 「Peter Rabbit 物語シリーズにおける「子ども部屋」空間の広がり1」『大阪

国際児童文学館紀要 第19号』(2006)にも詳しい。

5  この作品は The Story of a Fierce Bad Rabbit と同様に、最初は折りたたみパ ノラマ式(panoramic foldout form)の形で、本というよりはおもちゃのよ うに出版され、1916年に他のシリーズと同様の小型本の形で再出版された。

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6  母ネコの名前はポターがよく立ち寄っていた家のネコの名前をもらってつ けた。また、子ネコのトムの絵は、ポターがウィンダミアの石工のネコを 借りて描いたものが一貫して使われたとされる(Taylor 109)。

7  トムという名前と意味に関しては、McDonald が “Tom Kitten〔. . .〕is a name similar to Tomcat, Peter Rabbit, or Benjamin Bunny—a combination of a formal, human first name with an animal last name. The name Tom is also suggestive of a kind of carefree, rugged outdoor boyishness.” (99-100)と指摘 している。 8  この物語はポターがヒルトップの家を購入してすぐ、家の中にはびこるネ ズミに悩まされ、その後も続くネズミとの闘いからうまれた物語である (Taylor 110; Lear 223)。 9  “roly-poly pudding” とは、バター入りのビスケット用の生地を薄く長方形 に延ばし、ジャムや果物を塗って巻き、蒸すか焼くかして作った渦巻き模 様の菓子のこと。

10 “water-baby” の 様 子 に つ い て は 以 下 の 通 り で あ る。“Tom〔. . .〕found himself swimming about in the stream, being about four inches, or--that I may be accurate--3.87902 inches long, and having round the parotid region of his fauces a set of external gills〔. . .〕the fairies had turned him into a water-baby.” (The Water-Babies 37-38)

Bibliography

<使用テキスト>

Kingsley, Charles. The Water-Babies, A Fairy Tale for a Land-Baby. first published in 1863; Edited by Brian Alderson, With an Introduction by Robert Douglas-Fairhurst, Oxford: Oxford University Press, 2013.

Potter, Beatrix. The Tale of Peter Rabbit. London: Frederick Warne, first published in 1902; 1989.

---. The Tale of Squirrel Nutkin. London: Frederick Warne, first published in 1903; 1989.

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---. The Tailor of Gloucester. London: Frederick Warne, first published in 1903; 1989. ---. The Tale of Benjamin Bunny. London: Frederick Warne, first published in 1904;

1989.

---. The Tale of Two Bad Mice. London: Frederick Warne, first published in 1904; 1989. ---. The Tale of Mrs. Tiggy-Winkle. London: Frederick Warne, first published in 1905;

1989.

---. The Tale of the Pie and the Patty-Pan. London: Frederick Warne, first published in 1905; 1989.

---. The Tale of Mr. Jeremy Fisher. London: Frederick Warne, first published in 1906; 1989.

---. The Story of a Fierce Bad Rabbit. London: Frederick Warne, first published in 1906; 1989.

---. The Story of Miss Moppet. London: Frederick Warne, first published in 1906; 1987. ---. The Tale of Tom Kitten. London: Frederick Warne, first published in 1907; 2002. ---. The Tale of Jemima Puddle-Duck. London: Frederick Warne, first published in

1908; 1989.

---. The Tale of Samuel Whiskers or The Roly-Poly Pudding. London: Frederick Warne, first published in 1908; 1987.

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1917; 1989.

---. The Tale of Johnny Town-Mouse. London: Frederick Warne, first published in 1918; 1989.

(20)

---. Cecily Parsley’s Nursery Rhymes. London: Frederick Warne, first published in 1922; 1989.

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<参考文献>

Kutzer, M. Daphne. Beatrix Potter—Writing in Code. New York: Routledge, 2003. Lear, Linda. Beatrix Potter A Life in Nature. London: Penguin, 2007.

MacDonald, Ruth K. Beatrix Potter. Boston: Twayne Publishers, 1986.

Scott, Carole. “Between Me and the World: Clothes as Mediator between Self and Society in the Work of Beatrix Potter” The Lion and the Unicorn Vol.16 Number 2. Hanover: The Johns Hopkins University Press, 1992.

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Taylor, Judy. Beatrix Potter: Artist, Stroyteller and Countrywoman. London: Penguin, 1986.

猪熊葉子『ものいうウサギとヒキガエル』偕成社、1992. 灰島かり『絵本を深くよむ』玉川大学出版部、2017.

参照

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