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精神薄弱児の認知的活動性について

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Academic year: 2021

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(1)Title. 精神薄弱児の認知的活動性について. Author(s). 木村, 健一郎. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 24(2): 88-99. Issue Date. 1974-01. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4667. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . I VO .24 No ,2. lof Hokka i do Un i i ion IC) i journa t r s ve on (Sect y ofEducat. January ,1974. 精神薄弱児の認知的活動性について 木. 一. 健. 村. 郎. 北海道教育大学函館分校特殊教育教室. Kenichi ive Ac t vi ty t ro KIMURA: on the Cogni in Nl l dren l ly Retarded Chi enta. 次. 目. 4) Sokol ov , E, N.: 刺 戟 の. は じめに. 1 江. 神経モデル. 認知の動機づけの側面 認知過程に内在する動機づ. 5 ) 検 討. 精神薄弱児の認知的活動性 1 ) 精神薄弱児の定位反射に. けの要因 1 ) Hebb ,D.○ , の考え方 2 ) Hunt . McV.: 認知的 ,J. 関する研究 2 ) 検 討 おわりに. 動機づけ. l 3) Ber yne , D, E.:認 知 的. 葛藤理論. は. じ. め. に. 精神薄強児の行動には, 臨床的に, 与えられた課題に対する注意の集中やその持続性に乏 しいこ と, あるいは無気力で, 生き生きとした活動性がみうけられないことな ど, その程度に相異がある. が 特徴的に観察することができる. 落着きが なく, 何事をするにも他律的で依存的で, 自ら自発的 に活動するということがきわめて乏 しい. 特に新しい状況や課題に直面 したときに, これらの行動 特徴が 顕著に認められる.. これらの行動特徴が認められるということは何を意味しているのであろうか. どのような過程が その基礎に存在 しているのであろうか. それは, 精神薄弱児をとりまいている環境 や, 与えられる 課題が, 彼らにとっ て何ら意味をもっ ていない, 処理すべ き課題として積極的に受けとられていな いこと, 言葉を換えていえば, 環境とのかかわり合いの希薄さを示 していることにほかならない. 学習の基本には, 受手にとっ て与えられるものが, 受手にとっ て現状 を問いかける課題と して投. ぜられることがなければならない (狩野, 19 97 ) とすれば, この精神薄弱児の環境とのかかわり合 いの希薄さが, 彼らの学習や発達の遅滞を生じさせていることの基礎に存在するとい うことができ. よう. 叉逆に彼らの学習や発達の遅滞が環境とのかかわり合いの希薄さを生じさせているとも考え られるので, 両者は悪循環を呈 しているものと考えることができる. ここでは, 精神薄弱児の環境とのかかわり合いの強さ, その行動的なあらわれとしての認知的活. 動 性 が, どの よ う な 要 因 に よ っ て 規 定 さ れ て い る の か を 問 題 と す る. そ の こ と に よ っ て, 上 記 の 悪. 循環を断ち切る手だてを考えてゆきたい. その手がかりとして知覚 レベ ルの認知活動 に 焦 点 を あ. 一 88 一.

(3) . 第 24 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和4 9年1月. て, 精神薄弱児にとって何が課題となるのか, 何が刺戟的なのか, どのような刺戟が 彼らの認知的 な活動性を高めるのか, それは何故か, いわば認知の動機づけの側面を対象とする。 この認知の動機づけの側面は, 認知発達が生得的な自然発生的なもの であるという考え方から,. 認知発達を学習過程として位置 づけ, その学習の推進力を外的な動機づけの要因に求めることがで きないとして, 認知過程 (学習過程) そのものの中に動機づけの要因を求めている認知的動機 づけ の考え方と軌を一にする。 それ故, 以下において, 認知活動を動機づけている諸要因を明らかに しようと試みている認知的 動機づけの考え方と, それと関連する研究を概観する. 更にその考え方を精神薄弱児の研究に適用. することによっ て, 認知の動機づけの側面からみた精神薄弱児の特性と, 認知的活動性を規定して. いる諸要因を明らかにしていくための研究方法を検討 し, 今後の方向と課 題を明らかにしたい. 1. 認知の動機づけの側面. 2 2 ) 194 従来精神薄弱児の認知に関する研究は, St 7) らによる内因性精神薄弱児と r au s s , A, A, ( 外因性精神薄弱児の知覚特性についての研究が, その代表的なものと考え られる。 彼らは色々な刺. 戟図形を提示 して, その知覚の仕方から, 外因性の精神薄弱児の知覚が断片的でまとまりに欠けて いる。 図 (負gu ) と地 (g r e r ound) の関係が未発達であり, 分化されていないとの知見を提出 して いる。 叉その後の同系統の研究, 例えば図形模写に関する研究等から, 精神薄弱児の知覚が幼児の 知覚ときわめて類似していること, 即ち未分化で対象を再体制化することが困難であるなどの認知 特 性 を 明 ら か に して い る。. こ れ らの 研 究 は, 直 面 す る環 境 を どの よ う に 受 け 取 っ て い る の か, ど う知 覚 して い る の か, と い. う観点から精神薄弱児の認知特性を明らかに しようとしているわけである. ここでは外界をどのよ うに知覚しているか, どのように受け取っ ているのかという。 いわば認知の静的な側面を問題と し て い る とい う こ と が で き よ う。. だが認知には動的な側面がある。 われわれ人間は, 環境に適応 した行動をするためには, われわ れをとりまく外界の状態やその変化をとらえ, その状況に応じて適切な行動をとらねばならない.. そのため受容器を通して得た情報を有機体の中で整理, 調整 し, 自己にとっ て意味あるものにまと めあげる必要がある。 この直面する環境を処理す る活動, 即ち認知活動は, 人間の行動としては最. も基本的なものであり, 生物学的にみても意 味ある活動である。 この活動によっ て外界の一般的な パターン, い わゆる認知構造がつく りあげられる。 この認知構造の変化を学習, あるいは認知発達 と 考 え る こ と が で き る。. このように認知はただ単に外界の反映では なく, 入来した刺戟を先行経験に依拠 しつつ, 自己に. とっ て意味あるもの, まとまりのあるものと して再構成, 再統合することによっ て, 自己と環境と の間の調和をとっ ていく動的な過程であり, その活動によっ て自らの世界を拡大し認知の仕方を変 え て い く, い わ ば 認 知 の 学習 過 程 と い い う る も の で あ る。. このように認知を動的な側面においてとらえたときに, そこに動機 づけの要因を介入させること ができる。 どのような要因がこの認知過程を動機 づけているのだろうか. この観点は精神薄弱児の. 研究, 特に治療, 教育を考える時に重要 なものとなるであろう。 最近の認知的動機づけの立場に立 っ て考えてみると, 人間を含む高等動物は, 活動的で好奇心が強く, たえず環境との情報的な交渉 をしている存在としてとらえられている。 精神薄弱児の場合, すくなくともはじめの行動特性にみ られるように, 常に環境との情報的な交渉をもっ ている存在としてはとらえることができないと思 われる。 彼らの限られた, 慣れ親しんでいる環境に依拠 し, その限りでは安定 しているが, 自ら目 -8 9一.

(4) . I VO .24 No .2. i i i lof Hokka ido Uni t t jouana s ver on I C) on (Sec y of Bducat. January ,1974. 己発展的な活動性を示すことは少ない. それ故, 精神薄弱児の学習や認知発 達を考える場合, この 認知活動を動機づ けている要因が 何なのか, という認知の動機 づ けの側面からの研究が重要な意味 を も つ も の と 思 わ れ る の で あ る.. この認知活動をささえている動機 づけの要因に関 しては, いわゆる伝統的な動機 づけ理 論 (動因 低減理論) では説明 し得ない行動の再認識から出発 した認知的動機 づけ (内因的動機づけ) の考え 方から多くの示唆をうけることができる. そこでは環境を処理する活動 (認知活動) が, 従来の伝 統的理論でいう三種類の刺戟, ①, ホメオス タティ ク (生理的) な欲求, ②, 苦痛刺戟, ③, それ らと条件 づけられた中性刺戟, とは無関係に, むしろそれらの動因から自由なと きほど顕著にあら われることから, 外的な動因によらず, 認知過程そのものの中に動機づ けの要因を求めている. n. 認知過程に内在する動機づけの要因. ・行動の 認知過程に内在する動機づ けに関する研究は, 従来の伝統的動因理論では説明のつかなし. 発見, 実際には再発見から出発した.. 1 9 ) (1964) は, そ の 著 書 の 中 で, そ れ らの 行動 に つ い て の 証 拠 と して, マ ッ ギ ル A . Mur ray , .j. i i t on) の研究 で明らかにされた, 環境的な刺戟作用を求 大学における感覚遮断 ( s ens ory depr va d d i S l t め る 行 動, Ma , . の適度な新奇さを求める行動, Bu e r ,R. のサルの好奇心に関する研究,. t inger Har l ow, H. F. の サ ル の 操 作 活 動 に 関 す る 研究, Fes , L. らに よる 認 知 的 不 協 和 理 論 を あ げ,. ins i in t i i r ) に動機 づ けられた行動の存 外因的 (ext ) 動機 づけによる行動のほかに, 内因的 ( c r ns c 2 ) (1958) は, 環 境 を 処 理 す る 認 知 活 動 は, 最 も 基 本 的に 3 th 在 を 指 摘 して い る. Woodwor , R. E.. 動機づ けられている活動であり, 動因理論では説明し得ないとして, 環境に対処している有機体に 強調点をおいた動機づ けの考え方の必要性を指摘している。 即ち, 動因理論では説明し得ない 行動 の理解こそ, 人間の行動を理解する うえできわめて 重要であることが認識され, 動機づけの考え方 の吟味が必要となっ たのである.. これらの活動 がどのような動機づ けの要因によっ て駆動されているのか。 特に環境を処理する活. 動 (認 知 活 動) を 中 心 に, そ の 要 因 を 明 ら か に す る た め に, Hebb,D.○. の 考 え 方, Hunt . McV. ,1 lov, E, N. の 刺 戟 の 神経 モ デ ル の 考 lyne の 認 知 的 動 機 づ け, Ber , D. E. の 認 知 的 葛 藤 理 論, Soko. え方を検討する.. 1) Hebb , D. 0. の 考 え 方. 1 0 ) (1946) は, ヤ ー キ ー ス 霊 長 類 生 物 学 研 究 所 に お け る チ ン パ ンジ ー の 行 動 観 察 か Hebb , D. 0 ら, 恐 れ の 行 動 が どの よ う に し て 生 じる か を 検 討 して い る. そ れ に よ る と チ ン パ ン ジ ー の 見 知 ら ぬ. 人に対する恐れ (人見知り) の行動は, 生後3~4ヶ月 頃まではほとんどあらわれない。 何ら痛刺 戟 と 連 合 し て い な い の に, 4 ヶ 月 以 後 に 自 然 に あ ら われ る よ う で あ る. と こ ろ が 4 ヶ月 頃 ま でに た. く さ ん の 人 々 に 接 し て き た チ ン パ ン ジ ー は, 4ヶ月を過ぎても人見知りは出現しないことを 観察し て い る.. そ こ か ら 彼 は 次 の よ う に 推 論 し て い る. チ ン パ ン ジ ーは, 彼 の 過 去 経 験 の な ご り と して, 皮質の. ing pat i l負r tern) 叉 は 認 知 構 造 t ca 神 経 発 火 パ タ ー ン (cor. ive s ture) を つく り あ げ truc ognit. ているにち がいない. 人見知りを引きおこす対象は, その神経発火パターン (認知構造) と不調和 であるとい うあり方で受容器を興奮させるところの入来刺戟 である. それ故この認知構造 が学習さ れるまでは, 不調和刺戟は不可能であり, 人見知りは生じない。 叉その認知構造と 一致する刺戟対 象 (こ こ で は 4 ヶ月 ま で チ ン パ ン ジ ー と 接 触 し て い た 人) に つ い て も 人 見 知 りは 生 じな い。. 更にその推論を確める ために, 大人のチ ンパ ンジーに不調和を生じさせることによっ て, 恐れを 一 90 -.

(5) . 第 24 巻 第 2 号 方. 、 旭 一口 C) 北海道教育大 学紀要( 第一部C 子か. 昭和49年1月. 生じさせることができるかどうかを観察した。 不調和を生じさせるために 頭しかない人 間のマネ , キ ンや, 麻酔によっ てぐっ たりと して動かない仲間のチ ンパ ンジーを呈示した その結果強い恐れ . を示すことを観察している。 そこから, 学習の結果である認知構造 と 入来刺戟との不調 和が動因 , 状態を引きおこ し, 適度な不調和は興 味を与え, 大きな不調和は恐 れを引きおこすという考え方を 提 出 し て い る。 ′ He bb. =) ( 19 58) は, 上述の認知構造と入来刺戟との間のある種のくいちがいが, 動機 づ ,D.○。 けの効果をもつことの理論的な根拠を, 生理学的な知見を基礎として 次のように 述 べ て い る , 。 ”脳幹の非特殊投射系一その活動が喚起 である一は, 上行路によると同様に, 下行路によ っ て も 興奮する. この喚起が一般 的な動因状態であると想定するならば, 喚起すなわち動因が 原初的な , 要求の存在にではなく, 皮質の複雑な手がか り機能 ( ion) に 依 存 す る と い う 事 例 の あ る cue funct ことを期待しなければならない。” そして高等動物の動機づけの重要なものがこの事例にあて は ま る と して, 上 記 の チ ンパ ン ジ ー の 人 見 知 りを 引 用 し てい る つ ま り 人 見 知 りは 。 , 以 前 の 経験 に よっ. て形成されている媒介過程と新しい感覚イ ンプッ トとのあいだのある種の くいちがいにあると考え て い る.. こ の よ う な 考 え 方 に 立 っ て, Hebb は環境に対処している有機体は 常に活動的な存在であるこ , とを説明してい る。 刺戟は手がかり機 能と喚起機能の両方をもち この喚起機能が有機体を活動的 , にするのであると考えている。 更に認知過 程すなわち手がかり機能の中に有機体を活動的にさせる. 動機 づけの要因を認めている。. 2) Hunt ,j . McV,; 認 知 的 動 機 づ け. Hunt 1 2 )( 19 60 ) は, 「経験と動機づけの発達」 という論文の中で, 伝統的な動因理 論 , McV. ,j が, 人間を含む高等動物の行動や学習を説明するには限界があることを示 し 新しい動機づけ理 論 , の構築の心要性を指摘 している。 そこでは Hebb の考え方を中心に, 関連する理論 を 紹 介 し , Pi t の認知発達における均衡理論との関連のも とに 不調和-くいちがい原理 (incol age igrui ty- , dissonance p l inc ip r e ) の動機づけ効果を認め, それが有機体と環境とのかかわり合い, 即ち情報 informat ion-process ing) に 内 在 して い る こ と を 示 し 認 知 的動 機 づ け の 考 え 方 を 提 処 理 の過程 ( ,. 出 して い る。. ) (1961) は 上 述 の 検 討 を 更 に 発 展 さ せ Hebb の考え方と Piaget の認知発 1 3 Hunt . McV. ,j , ,. 達における均衡理論とを結びつけ, 認知的動機づけの考え方をより明確化 している。 P i t は認 age 知発達に主な関心を払っており, そこに関与する動機づけに関しては表面だって述べていないが , そ の 考 え 方 の 中に 動 機 づ け の 要 因 を た どる こ と が で き る と い う の で あ る Piaget に よ れ ば 。 , われ. われ人間は白紙の状態で環境に対処するのではなく, 自分の中にある既成の概念や枠組みによっ て 環境を理解しようとする。 この図式 (シエマ) は外界を同化 (a i imi l t s s a on) する はたらきを通じ. て形成される。 シエマが形成されると外界における同化可能な対象を次々に同化しようとする。 し か し こ の シェ マ に よ る 同 化 に は 必 然 的に 調 節 (accomodat ion) 即 ち シェ マ の 修正の 過 程 が 伴 な ぅ 。. こうしてシェマは次第に分化し, 豊富になる。 つまり認知発達あるいは行動の変化は, 環境を同化 シしていく過程で, 自らのェマを調節していくこと, 即ち均衡化の過程から生ずるの だ と し て い 0 ) 2 る。 主 体 と 客 体 と の 間 に お こ な われ る 相 互 作用 間 の 均 衡 で あ る。 (Piaget J , 。 1952). こ の Pi t は認知発達を学習過程として位置 づけ, そこに Hebb の aget の考え方を基礎に, Hun. 考え方を導入し, 過去経験によっ て形成される認知構造と新しい感覚イ ンプッ トとの間のくいちが い が動機づけ効果をもつことから, 環境と主体との相互作用の 中に認知発達, 学習を駆動する要因 が 含 ま れ て い る と して い る。 つ ま り, 既 存 の シェ マ に よ り環 境 を 同 化 す る 過 程 で シ ェ マ の 修 正 を , - 91 一.

(6) . VO I .2 .24 No. i i i on IC) ido Univer lof Hokka t on (Sect s 1ouma y of Educat. january ,1974. 必要とする事態, 即ち入来する刺戟とシ≠マとの間にくいちがい が生じたときに, シェマの修正の ための認知活動が動機づけられるのだと考えること ができる. Hunt の言葉で言え ば, われわれは 過去経験の結果つく りあげられた認知 的標準との 間に過度なずれを も つも のに対しては 興味や関心. ・くことにな がひきおこされる. これ が自発的な探索をさそい, より高次の認知 的標準を形成してし る. 当初は適度な ずれ があっ て興味をよ びおこされたものでも, 探索につれて既存の標準との間に 等価 が成りたつよ うになると, 次第にそれは低 下してくる. このように興味や関心が連続的に変化. すること, ことばを かえて言えば, 認知的標準 がより高次なものへと徐々に変化すること, つまり 学習ないし発達が生ずることを意味しているというのである. そ こ か ら Hunt は認知的標準 (情報処理の方略) と入来する情報との適度な ずれ, 不調和 が動機 づけ効果をもち, 認知活動を喚起するのだと考えている. 即ち主体と環境との情報的な交渉の うち に発達を推進する力が内在しているとい うのである. このような推進力 を Hunt は内発的 (認知 的) 動機づけ, 叉は情報処理の活動に内在 する動機づ けとよんでいる. D E lyne 3) Ber , . : 認知 的葛藤理論. は, 有機体 がホメオス タティ ク な欲求や, それらと条件 づけられた刺戟とは独立に, そ の有機体に とっ て比較的新奇な環境 を探索するとい う探索行動に着目し, その行動に影響を与える 刺戟特性を明らかにすることによっ て, 認知活動の動機づ けについて検討している. Ber lyne. Ber ( b ) lyne ) に お い て, 過 去 の 実 験 を ま と め て 理 論 的 な 検 討 を 行 な っ て い る が, 探 , D. E.(1663. 索行動の高低 は, 一部において物理的な刺戟強 度によっ て影響されることは 確かだが, 探索行動の ’ ”不調 和 ’ ” , と い う よ うな 言葉 で 述 べ ら 最 大 の 決 定 因 は, 一 般 に “ 新 奇 さ, , 不 明 瞭 さ, , , 変 化“. れる一群の刺戟 特性であるとしている. そしてこれらの刺戟 特性のすべてを集合的に指す言葉とし ive Property) と 名 づ け てい る. そ れ la t i l ive) と い う 語 を 用 い, 照 合 特 性 (Co at て, 照合的 ol はこれらの刺戟 特性 がその刺戟としての意味をもつのは, それが現在や過去に属する要素である う と, 一つの刺戟 場面の異なる部分に同時に存在している 要素である うと, 異なる刺戟要素からくる )1965) 3 lyne 情 報 の 照 合 あ る い は 比 較 に 依 存 す る か ら で ある. (Ber , D. E.. 更にこの照合特性は対 立する反応が同 時に刺戟される という葛藤状態 を伴なうとしている. つま り照合特性には不確定度 が存在 しているために, 互いに競合するよ うな反応傾向 が同時に生じ, 互. いに葛藤する状態に入ることを示している. これらの刺戟特性と探索行動の関係の分析から, 照合特性に接する有機体には, 互いに相反する 反応傾向 が生ずるために, 高度の葛藤状態に 入る. この葛藤にもとづく 知的好奇心 (好奇動因) ,知. 覚的レベ ルにおいては知 覚的好奇心により動機 づ けられて, 探索行動 が惹起されるとい う認知的葛 藤理論を提出している.. ing reaex) と して 知 られ て ient i ) (1960 lyne ( a ) ) は, 探 索 行動 が 定 位 反 射 (or 更 に Ber , D, E.. いる心理 生理的変化と 一致することに着目し, 心理生理的な反応を示標として, 刺戟の探索行動に ) L i4 反 l lyne apatek 与 え る 影 響に つ い て 検 討 し て い る. Ber , Craw, Sa , & eW s (1963) は, 定 位 射. に対応する 中枢事象として, 有機体の 覚醒状態をとりあげ, この状態の 示標として GSR を用い ノ ま GSR の発 て, 新奇性, 複雑さ, 不調和性な どの照合特性の賦活効果を調 べて いる. 実験デ ー タむ 5 ) (1965) に お い て, 照 l 1 lyne &, McDone r 生 と そ の 大 きさ に 影 響 す る こ と を 示 して い る. 叉 Be 合特性が EEG の ア ル フ ァ ・ ブ ロ ッ キ ン グ の 発 生 と そ の 持 続 に 影 響 を 与 え る こ と を 示 して い る. そ. こから照合特性には 賦活ポテ ンシ ャルがあっ て, その刺戟に出会うこと で有機体の賦活水準が上昇 する. つまり好奇 心が生ずる. しかし刺戟の賦活ポテンシャルは, その刺戟 が一定時間有機体に受 容されることで漸減し, それに伴っ て上昇した賦活水準も定常 水準に下 降する. 有機体には賦活水. - 92 -.

(7) . 第 24 巻. 第2号. 北海道教育大学紀要 (第一部C). 昭和49年1月. 準の最適な レベル があると考えられ, この定常水準への回復が報酬となるので 照合特性の高い刺 , 戟をみることを好むのだ と解釈している。. l 結局 Be r yne は探索行動を規定 している動機 づけの要因は, 主として外部環境のもつ照合特性 に依存すると考えている。 lov E. N.: 刺 戟 の 神 経 モ デ ル 4) Soko ,. Berlyne は刺戟の照合 特性が定位反射に影響を与えることを明らか l にしているが, Soko ov ,E , 2 1 )( N。 1963 ) は定位反射の発生の機序に ついて, 刺戟の神経 モデルという概念を提出 している 。 神経モデルとは, 何回もく り返し与えられた 刺戟の特性についての情報を保持する細胞の一定の系. であると考え, 定位反射の発生のいろいろな刺戟条件を検討し 神経モデルの特性と定位反射発生 , の機序を考えて いる。 そこから定 位反射はその瞬間に与え られた刺戟と 以前に形成された刺戟の , 神経モデルとが整 合しないときに発生する反応であることを示 している 。 更に同一刺戟 が厳格に一定の時間間隔をもっ て, く り返し提示された場合 定位反射がそれに対 , して消失した後に, 刺戟が普通の時点にあらわれないと定位反射が出現する このことからく り返 . し刺戟するうちに, 神経系には将来やっ てくる作用のうち, 最も確率の高い作用についての予期 が 形成されると仮定している。 この予期と実際に作用する刺戟との照合 が行なわれ それが一致 しな ,. いときに定位反射が生じ, 一致するときには定位反射は生じないと考えている 。 l 即ち Soko ov は, 定位反射を生じさせる新奇な刺戟は, 相対的なものであり, 神経モデルと入 力刺戟との照合比較があっ て, はじめて意 味があるとして, 新奇性を規定しているものと しての経 験の重要性を指 適している。 5). 検. 討. 環境を処理する活動 (認知活動) を動機づけている要因を探ぐるために いくつかの考え方を概 , 観してきたが, その対象とする活動の レベルや種類, 理論構成上の概念の設定にそれぞれ違いがあ ると思われるが, ある共通な考え方がその基礎に存在するように思 われる。 それは認知活動を動機づけている要因が, 従来の伝統的な動因とは無関 係に 入来する環境 刺戟 , の性質と, その刺戟を受けとる主体の側が既に過去経験の集約と してもっ ているもの 即ち “ 中枢 ,. “ 認 知 構 造 (Hebb) “ 図式 (シェ ’ ’ の 神 経 発 火 パ タ ー ン, マ), , ある い は “ , ,(piaget), ′情報 処 理 の “ ” t “ H k l 方 略, 刺 戟 の 神 経 モ デ ル, ov) と の 間に成 立 す る く い ち が い, , (So o , ( un ), , 不調 和, ,. ” 不整合 ” ずれ に存在するということである それが有機体の注意を喚起し , , , , 。 , その状態を解 消するための認知活動が惹起されるという考え方である。. Be l r yne においては, 探索行動を生じさせる刺戟 特性に関心を払っている。 刺戟のもつ照合特性 が有機体の内部に葛藤を生じさせる。 この葛藤が知覚的好奇心 (好奇動因) を生じさせ 探索行動 , を駆動するのだと考え, この好奇動因を生じさせるのが, 外部環境のもつ照 合特性であるとしてい l る. つまり, Be r yne は, 伝統的な動因理論に おける三種類の刺戟に, 新たに照合特性を加えたこ とになり, 探索行動を従来の動因論の枠組の 中で考えようとして いるわけだが この方 向 に よ れ , ば, 従来の動因では説明し得ない行動に対し, 次々に新しい動因を設定しなければならなくなる . Be l r yne は, 照合特性が葛藤を生じさせるという側面に重点を おき, 照合特性が意 味をもつべき照 合, 比較の側面を軽視しているように思われる。 叉照合特性を外部環境の特性として 考 え て い る が, Sokol ov のいうように, 照合特性は相対 的なものであり その刺戟を受けとる主体の過去経験 , によって, その意 味が定 まると考えられる。 照合特性が意 味をもつには, 有機体の過去経験が重要 な役割を荷なっ ている。 入来する刺戟と過去経験により形成されている認知バタ ーンとの照合 比 , 較 に よ っ て, は じ め て 照 合 特 性 が 意 味を も つ の で あ る。 そ れ故 Ber lyne の照合特性は 刺戟その , ,.

(8) . Vol .24 No .2. i ion (Sect i ido Univer on IC) l t lof Hok s journa ( a y of Educat. Janua ly,1974. ものの特性ではなく, 長期間の過去経験の集約として有機体 が既に形成している 認知 バターンとの 照合, 比較による不一致, 不調和によるものと考える ことができると思われる. Hebb や Hun t らは÷ 環境に対処している有機体は常に活動的である ことを示してい る. 即ち環. 境刺戟は有機体にとっ て常に処理す べき課題としてあらわれ, 有機体の注意を喚起していると考え lyne のいう照合特性のように, 長期にわたる ら れ る. そ れ 故, 認 知 活 動 を 規 定 し て い る の は, Ber 過去経験により学習されたものとの 照合による不一致のほ かに, 日常連続的に 刺戟に接しているな l ov が, か で あ ら わ れ て く る も っ と 短 期 間 に お け る 照 合 に よ る 不 一致 を 考 え る こ と が で きる. Soko. 反 復刺戟の提示によっ て, 次にくるであろう事象の予期を形成し, この予期との整合, 不整合が定 位反射の発生を規定するとあるように, 有機体は次に 生起する事象を常に予 期しな がら環境に対処 していると考える こと ができる. それ故認知活動 の動機づ けを考える 場合, この両者を考えに 入れ ておく必要 があるように思われる. l l , Soko Hebb ov な どに よ り, 入 来 刺 戟 と 既 に 形 成 さ れ て い る 認 知 構 造 と の 間に 成 立 す , Beryne. る不 一致, 不調和 が動機づけの効果をもつことの生理 学的な根拠が検討されているよ うに, その不 一致, 不調和 が有機体にとっ て覚醒効果をもつこと が明らかにされている. それは主として新奇な 刺戟に対して有機体が示す最初の反応としての定位反射の研究によっ て明らかにされてい る. 定位 f ing re ient ov に よ り は じ め て 記 載 さ れ て い る と い う。 新 しい 刺 戟 に 対 し rex) は, Pavl 反 射 (or tr f r ex) e < あ れ は 何 だ ろ う 反 射 > (what is i , 即ち目や頭を刺戟 の方に向ける 反応である. その. 後の研究 からこの反応には多くの生理 心理的な反応 が随伴すること が明らかになっ ている. 皮質の 電気的活動の変化, 皮膚の電気的な ポテンシャ ルの変化, 末梢血管の収縮と頭の 血 管 の 拡 張, 呼 吸, 心臓の活動の変化, 筋緊張の上昇な ど, いわゆる覚醒水準の上昇 が伴なうとい うことである. それ故, 認知活動, 特に知覚的な レベ ルにおける認知活動 の高低をこれらの覚醒状態の変化として とらえ, その示標として EEG, GSR, 脈波, などを用いて客観的に 観察することが可能である. lyne 達 の 認 知 的 動 機 づ け の 考 え 方 は, 知 覚 的 な レ ベ ル か ら出 発 し, よ り 高 次 の 認 Hunt や Ber. 知活動である概念学習や思考のレベルにその考え方 が妥 当するかを検討している. この認知過程あ るいは学習過程に内在する動 機 づけの存在は, 教授学習過程に影響を与えつつある. 従来学習を動. 機づけているものは, 生理的動因や苦痛刺戟 それから派生する二次的な社会的動因であるとして, それを基礎に賞罰原理 が支配的であるが, 学習過程に内在する動機 づけの要因を求める 研究から, 逆にこの認知的動機づけを用いる学習に より, 学習意欲を解発し, 自発的な学習を進めようとの試 1971 ) らは, 概念学習における認知的動機づ みがなされつつある. 日本においても波多野・稲垣 ( けの効果につい て, 実験教育的な 研究を行なっ ている. 5 )( 4 )( 196 5 ) らは, 視知覚活動を規定している条件を, 刺戟の性質と主体 ) 北島1 1967 叉狩野1 の準備状態とのかかわりのうちで成立する課題性の強さに あるとして, 視知覚活動を課題解決の構. 成のなかでとらえ, 学習の 基礎機構, 情報処理機構を 探索している. 認知活動は, 有機体が主として環境を処理 する活動であり, 適応上もっ とも基礎的 な 活 動 で あ り, 特に認知発達 や学習と密接に結びついている活動である. それ故, この認知活動を動 機づける 要因の分析から, 学習の機構や認知 構造を明らかにしていく手がかりとなると同時に, 学習や認知 発達を促進 させるための操作しうる 刺戟条件 や環境条件の性質を明らかにしうるものと 思われる. この認知の動 機づけの側面の研究を, 精神薄弱児の研究の中に導入することによっ て, 精神薄弱 児 の 主 要 な 問 題 に つ い て, 新 しい ア プ ロ ー チ を 示 し う る の で は な い か と 考 え て い る. こ の 章 に お い. て紹介した諸研究には, 精神薄弱児の研究への新しい接近方法が示唆されていると思う.. - 94 一.

(9) . 第 24 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部C) m. 昭和4 9年1月. 精神薄弱児の認知的活動性について. 第n章に おける理論的な枠組にのっ とっ て精神薄弱児の 認知的な活動について考えてみ ると ど , のように 考え られるであろうか, 考えられることは, ①, 精神薄弱児に ついて予想しうる中枢神経 系の欠陥や, 生育史に おける経験の貧弱さの相 乗作用の結果, 彼らの認知構造が未分化で貧弱なた め, 直面している環境や, 与えられる刺戟が適度な不調和, 不一致として 即ち課題として成立し , ないからだ。 そのために環 境との積極的な交 渉をもたないのだ と考えることができよう 叉微細 . 。 な 不 調 和, 不 一 致 に 対 す る 感 受 性 が 低 い の で は な い か と も 考え られ る ② Soko l ov の 指 摘 の よ う 。 ,. に, 環境に対処している有機体には, 次に生起する事象のうち, 確率の高い 作用についての予期が 形成され, この予期との照合によっ て, 認知活動が 規定されるとしたならば 精神薄弱児には こ , , の予期や期待, 即ち入来する刺戟に対する準備状態が形成さ れにくい。 そのためにその場その場の 刺戟に影響され, 環境と課題的に交 渉することが乏しいのだと考えることができよう ③ 逆に精 . , 神薄弱児の認知活動の不活発性の原因が, 上記のように考えられるとすれば 彼らの認知構造の発 , 達にあっ た適度な差異, 不調和をもっ た環境条件を用意したり, 彼らの中に予期 期待などの準 備 , 状態をあらかじめ形成しうるような環境条件を設定することによっ て, 彼らの認知的活 動 性 を 高 め, ひいては彼らの認知 発達や学習の促進を生じさ せることができるのではないかと予想される 。 しかしそれははるかかなたの 問題であっ て, 精神薄弱児の認知発達の レベルをどのように 考える か, どのように してその レベルを知ることができるか, 叉それと適度な差異 不調和をもっ た環境 , 条件とは何か, 適度とはどの程度か, 神経系は予期を形成 し準備状態を生 じさせるというが 精神 ,. 薄弱児は構造的にこの予期が形成されにくいのか, あるいは環境条 件をうまく操作すれば形成され ると考えられるのか, 更にもっ と基本的な問題として,i精神薄弱児の認知 的活動性の低さをこれま で前提として論じてきたが, はたして本当にそうだ ろうか, 認知活動には知覚 的レベルから高次の 思 考 レ ベ ル ま で多く の レベ ル が あ り う る が, 全 て の レ ベ ル で低 い の か も し そ う で な い と す れ ば ど ,. の レベルで低いのか, 等々。 多くの解明すべき問題が存在する 。 当面, 知覚的な レベルにおける精神薄 弱児の認知活動に焦点をあて, その高低を規定 している要 因を認知過程に内在する動機づけの考え方に立脚 して考えていきたい。 ここでは認知 活 動の最も基 礎的なものと考え られる定位反射を対象とし, 環境との接触の強さ (認知的活動性の強さ) を測定. するものとして, 定位反射の中枢事象である賦活状態を指標として検討していきたい 以下精神薄 。 弱児の定位反 射に関する研究を概観し, 当面の研究課題を明らかにしたい 。 1) 精神薄弱児の定位反射に関する研究. 1 )( 8 精神薄弱児の定位反射に関する 研究は Lu i r a 1962 ) から出発し, その後の研究 はこ . , A. R L i の ur a の研究結果の追試という形 で行なわれている 。. は, 精神薄弱児が注意の欠陥によっ て特徴づけられるとして, この注意の欠陥を精神薄 弱 児の定位反射の特質と 結びつけて検討している。 彼によると, 定位反射として血 管反応や GSR の Luria. 記録を行なっ た実験に おいて, 弱い刺戟と中等度の刺戟をきわめて多く与えた場合 正常児ではそ , れはいつも定位反射をもたらすのに, 精神薄弱児ではそのような反応をもたらさない たとえ定位 。 反射が生ずるに しても, 原則としてきわめて不安定 で, 正常児では定位反射の消去が刺戟を10回か ら12回く り返したあとにはじめて始まるのに 対して, 重症の精神薄 弱児では, そうした反応が1回 か2回しか保持されず, その後ただちに 消失することを示 している。 こ の定位反射の弱さが 精神 , 薄弱児が授業の開始後すぐに共通の活動から脱落 したり, 注意を集中して課題を行なわず あるい , は機械的にやっ てしまうとい う能動的な注意の弱さの基礎にある 過程を示すものであ ると考えてい - 95 -.

(10) . l Vo .2 .24 No. i i i f Educat ido UnIVer l of Hokka t on (Sect on IC) s Journa yo. janua ー w, 1974. る. 即ち精神薄弱児の定位反射の弱さを本質的な特性であると考えているわけ である.. ia 以 後 の 主 と して ) (1979) は, 精 神 薄 弱 児 の 定 位 反 射 の 特質 に つ い て, Lur Heal and johnson9. アメリカで行なわれた研究を. Review. している が, 精神薄弱児の定位反射の弱さについ ての. ia の 知 見 は, い ま だ 確 か な も の で あ る とい う 一 致 を 見 て い ない こ と を 指 摘 して い る. Lur. ia Lur. は定位反. 射がほとんど生起しない こと, その消去 (慣れ) の速さを定 位反射の弱さの証 拠として あ げ て い. ter ら の GSR と EBG を 指 標 と し た 研 究 で は, 精 神 薄 弱 児 が 普 通 児 よ り も 慣 れ s る が, Baumi ion) が よ り 遅 く 生 じ る こと を 見 い 出 して い る。 Hea1 と Johnson は, 精 神 薄 弱 児に お tuat (habi. l ov に よ い て 慣 れ が 速く 生 ず る と い う よ り は, む し ろ ゆ っ く り と して い る と い う知 見 の 方 が, Soko. べている. 即ち, 多分精神薄 弱 っ て提出された神経モ デルの考え方に適合 するように思われると述 児の慣れがよりゆっく りとしているのは, 1回の刺戟提示による情報の入来が少ないので, 神経モ デルを形成するために多く の試行を必要と するからであろうと解釈している. ) (1961) は, Hea 7 l らの 解 釈 と こ の 領 域 に お け る デ ータ を つ け L S & Johnson,j EI iot 1 t . T. , . . 加 え る こと を 目 的 と し て, 次 の 3 つ の 仮 説 を た て て 実 験 を 行 な っ て い る.. ①, 新しい刺戟に対する定位反射の大きさは, 普通児と比較して精神薄弱児の場合 は よ り 小 さ. . ②, く り返し刺戟 に対する定位反射の慣れの程度は, 普通児と比較して精神薄 弱児の場合はより. ゆ っ く り と して い る.. ③, 不適切 (局外) 刺戟に対する定位反射は, 普通児と比 較して精神薄 弱児の場合はより大きい 反応を示すだろ う. て 2つのタイ プの刺戟に対する C . A. が同一の普通児と精神薄弱児, それぞれ15名を対象とし , 0回提 示された。 ここで 4 0dB) が1 定位反射(血管反応を指標として)を比較している。 ①, 音刺戟 ( 拠はなかっ た。 ②, ては明確な証 は両グルー プともに十分な定位反応 が生じた. 慣れの程度につい 被験者に 単純な仕事を課し, そこに局外刺戟 (光刺戟) を10回提示する. 結果は両グルー プとも局 外刺戟に 対して定位反射を示さなかっ た. 結局上記の仮説は全て支持されなかっ た. このことは, i r a の知見を支持しない結果を示している。 精神薄弱児の定位反射 が弱いとい う Lu する定位反射について, 精神薄弱児と普通児 iot &, Tohn EI 1 s on , は, 検討の中で, 音刺戟に対 , との間に差を見い出ずことに 失敗したのは, 刺戟の強度 が関係しているからかもしれないことを示 rer に よ れ ば, 67dB の音刺戟に対 しては, 両者の間に相違 ausen & Kar 唆 し て い る 例 え ば C1 , . ia は 普 通 児に お い て は, た っ た 1odB の音に対しても十分な定位反射を が み ら れ な い. 一 方 Lur. 示すことな どの知見を引用 し, 最近の音刺戟を用いた研究は, 刺戟強度 が強く, 両者の相違をおお いかく しているのではないかと考え, 刺戟強度と定位反射の 大きさとの関係について, システマテ. ィクな分析の必要性を指適している. 7 ) 19 Cabe ) は, 刺戟強度の定位反応に対する効果を検討して Fenz W. D. and Mc 71 , , M. W. ( い る.. 施設入所の精 神薄弱児, C . A 13 .6 才, それぞれ30名を対象と . A.14 .2 才, 普通学校 生徒, C. ) に 対 す る GSR の 慣 れ の パ タ ー ンに つ い て, 両 群 の し, 三 種 類 の 音 刺 戟 (35dB, 70dB, 10odB, 比 較 を 行 な っ て い る. そ の 結 果 に よ る と, 10odB と 70dB の音に対しては, 全ての子供達に慣れ. 0dB の刺戟強度に が 生 じ た が, 35dB の音に対しては, 反応にほと んど変化 がみられな かっ た. 7. 対し, 普通児達は精神薄弱児よりも, その最初の反応 が非常に大きく, 慣れの過程を通じて精神薄 弱 児 の 反 応 を ぅ わ ま わ っ て い る. 一方 10odB の音に対しては, 普通児よりも精神薄弱児の方がよ 70dB) に対しては定位反射 り大 きな反応を示している. その結果から精神薄 弱児は適度な刺戟 ( 一 96 -.

(11) . 第 24 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部C). 昭和49年1月. は弱い が強度の刺戟 ( 1 0odB) に対してはよ り大きな定位反射を示すと 結論している。. このことから精神薄弱児の定位反射の弱さは, 少なくとも GSR に関しては 本質的な欠陥であ , るとは考えられない. 普通児と同等かあるいはさらに強い GSR の変化を生じさせるこ と が で き る. それ故刺戟 に対する反応性の欠陥は, 少なくとも一部において, モチベーショ ナルな欠陥であ る と 考 え る こ と が で き る と 述 べ て い る. 2) 検. 討. の研究では, 新しい刺戟に対する定位反射のあらわれ方に焦点をあて, その結果精神薄弱 児の定位反射の弱さが特徴 的であり, それを精 神薄弱児の本来的な欠陥であると考えている. しか Lur ia. しここで問題となるのは, 定位反射に影響を与える刺戟条件や, 定位反射の発生の心理学的な機序 に つ い て は ほ と ん ど関 心を 払 っ て い な い こ と で あ る。 こ の こ と が Lur ia 以 後 の 研究 に お い て そ ,. れぞれの知見の間に一致がみられないという結果を生じさ せているのではないかと考えられる 実 . 1 iot t や Fe 際に EI nz らは, 彼らの研究結果から刺戟条件を考慮に入れて考えざるを得なくなり, 定位反射に影響を与えている要因として, 刺戟の物理的な強度に関心を払っている。 確かに物理的な刺戟強度 が定位反射に影響を与えうる条件として考えられる. だが物理的な刺戟 強度が, そのまま直線的にわれわれにかかわるのであろうか。 そうではないと 考えられる 例えば 。 日常強度な刺戟状況の中で生活している有機体にとっ ては, その強度刺戟はなんら刺戟的ではない. ように, 主体の過去経験とのかかわりの中で, その刺戟のもつ刺戟性の強さが定まる と 考 え ら れ る. 即ち物理的な刺戟強度は主 体的条件とのかかわりのなかで, 心理学的な刺戟強度に変換され , この心理的刺戟強度によっ て定位反射の活動が規定されると考えること が できる. この考え方につ 6 )(1 7 )(19 いては, 木村o狩野1 969 ) 70 ) において物理的な複雑刺戟の認知活動に与える効果 , 木 村1 が, 主体の以前の学習によっ て影響されることを, 視知覚活動を通して検討している 。 それ故精神薄弱児の定位反射を考える場合に, その条件として物理 的な刺戟強度ではなく むし , ろ心理的な刺戟強度を問題としなければならないと思 われる。. 上記の観点は, 第ロ章での検討の枠組みの中 で定位反射を考えていく 方向である。 定位反射を単 に生理的な反応としてみるのではなく, 環境を処理するための認知活動としてとらえる必要がある l と 思 われ る. Soko ov の定位反射のと らえ方はこの方向である. そのように 考えた場合 認知過程 , に内在する動機づけの要因を定位反射に影響を与える条件として考えることができる。 lyne の照合特性のように主 体の長期にわたる過去経験の結果形成されている認 そ の 場 合に, Ber. l 知構造との照合を問題とする場合と, Soko ov の指適した短期間に おける連続的な環境との接触に より形成される知覚バターンと直後の刺戟との照合を問題とする場合がある。. 従来の精神薄弱児の定位反射に関する研究は, その条件が統制されていないが, 前者の場合に よ る研究であり, 後者の場合の研究はほとんど見受けることができない. 以上の検討から精神薄弱児の定位反 射を規定している条件を, 刺戟と主体の過去経験とのかかわ り合いの中で検討 していく必要があると思 われる.. 当面, 以下の課題を出発点として, 認知に内在する動機 づけの要因が, 精神薄 弱児の定位反射に どのような影響をもたらすかを検討し, そこから問題のほり下げと展開を考え 精神薄弱児の認知 ,. 的活動性の特徴や, それらを規定 している諸要因を明らかに していきたい. ia の精神薄弱児の定位反射の弱さについては いまだ確かな知見が提出されているとは ①, Lur ,. 思われない。 定位反射は刺戟強度によっ て影響を受けることが知られているが Soko l ov の定位反 , 射の発生機序にもとづき, 精神薄弱児の定位反 射を規定してい る条件を明らかにすること . ②, 系列刺戟あるいは反復刺戟により予期を生じさせ, それとの整合, 不整合状態を生じさせ る 一 97 一.

(12) . 1 VO .2 ,24 No. i ion(Se i on I C) ido Uni ct t lof Hokka ver s Journa y of Bducat. january ,1974. ことによっ て, その定位反射に与える影響を検討すること。 ③, 精神薄弱児の定位反射に関する研究の多くは, 主として聴知覚においてなされている が, 視 l r 知覚につい て, Be yne の図型刺戟い わゆる照合特性に対し, 精神薄弱児がどのような反応を 示す . わ. お. に. り. 認知発達を学習過程としてとらえ, その過程に 内在する動機 づけの要因を求め, 逆にその要因を 操作することによっ て, 認知発達や学習の促進を計る という認知的動 機 づけの考え方が提出されて いる. その考え方を認知発達の遅滞, 学習の遅滞, それに伴な う認知的活動性の低さを主症状とす る精神薄弱児の治療・ 教育に適用 できないものか, というの が問題の出発点であっ た。 この小論では, 認知過程に内在する動機 づけの考え方の基礎にある考え方を明らかにし, 精神薄 弱児の研究に適用することについての意味を考え, 研究の方向 づけを行なっ た. 次いでその考え方 の枠組みのな かでの研究として精神薄弱児の定位反射に関 する研究に焦点をあて, 今後の研究課題 を提出した。 いまだ思慮浅く, 参照したデ ータも少なく, このように考えること が妥当かどうかの 自 信 は な い. 実 験 を 行 な っ て い く 過 程 で確 か な も の と し て い き たい と 考 え て い る.. 上記の点を含め, 叙述の拙劣さ, 論理の飛 躍な ど自分勝手な推論 があると 思われる. 大方の ご批 判 をお願い する次第である。 文. 献. l l i ioc a ) l ty 1 ,1960( ) Berlyne, D.E,:Con日ict , McGraw‐Hi ,and cur ,arousa i i d ep d l t b c behav or i t s l b l o r a n emi i o r a i e x M a s e E r o e sr y D t m p l : t o n a y , ln Koch v a , o n e p 2) Ber y , , , H l l G i 8 M 1 1 ) s(Bd ) Psycho.鰹p〆:A study o士 ascience . Vo.5 c rawー , 96 ① l inking ion in th ey & Son 3) Berlyne, D. B.: Structure and direct ,1965 回 (思考の構造と方向: . Wi. 明治図書). 4) 3) より引用 5 ) 3) より引用. l l l l arded i ing reaex in int ectua e y avarage and ret 1 ent iot t 6) BI 、j . T.: The or , & Johnson , L.S N 負 V I M 3 D 1 7 6 A 1 o l t 9 7 O i J e c d i l me r e n t l uus ldr ロ ー evantan an rreevants l , . 332- . , en t o a re , , , chi , , , 336 i ldr tardedch enandnonre- i sinre C , M, W :Habi tuat one on ofthe GSR tot 7) Fenz , w, D, & MC abe ‐ 4 3 6 4 4 0 7 M D 5 7 1 1 A t 9 7 7 d b J e c t ec s tar ed suj , , . . . en. . mer 8 ) 波多野誼余夫・稲垣佳世子:発達と教育における内発的動機づけ, 明治図書, 1971 i tent i on i earnning and at el t sin retardat t on de丘c . ln N. R. 9 ) Heal .J ,T.:lnhibi ,L, w. & .ohnson I d i V 4 1 0 f M l 9 7 l i t t n i t r a O d l a r a o w n e 1 i B t r e BI t n v e o s( ) . , , .: nerna o a e ft .psychoI Rev o h 0) Hebb 1 . 1946, 53, 299-276 , D、 0.: n t e nature o ear l s cho o extbook ofp ≦卵,1958(白井他訳 紀伊国屋書店) 11) Hebb y , D. ○.:Thet i int i i t erpretat ons d h D l va on i B t n ve opment of Mot , 1960 . H M n a e e v : r c x e e e t . Somere p 1 2 ) un,j . c. i l ty l l d Deve r sona opmentand pe ngsin chi ln p, H. Mus sen (Ed):Readi .1965 152-198 i l l i r ence e 13) Hunt gence and Bxpe .1961 . McV.:lnt ,j. 3 3‐7 3 967 ,4 14 ,1 ) 狩野 陽:学習の基礎機構, 北海道大学教育学部紀要 1 5 1 5) 北島象司:知覚情報処理系と してはたらく 心理学的機構の分析的研究, 北海道大学教育学部紀要 196 11, 171‐190. 96 9 2 3回大会発表論文集1 ) 16 ,日本心理学会第3 ) 木村健一郎。狩野 陽:視知覚活動の脳波を指標とする分析{ ,認知に内在し対象に起因する動機づけの因子について, 北海道大学教育 学部紀要 1970 17 17 ) 木村健一郎, 123-128. 96 2 i a 18 ) Lur , 山口他訳 三一書房 ,A.R,:精神薄弱児-その高次神経活動の特質-1 l l i i i -Ha 964(動機と情緒, 八木訳岩波書店) i t t c e en vat on on and Emo 1 9) Murray, E,J .1 . Pr .: Mot i in l L i i A s l l i b d U i rm and Co i r a r h t e l n c L e e n e P i e : s c o e g a o ,1952 (知 能 の 心 理 学, t } py g age. . , Par 20 , ) いすず書房). - 98 一.

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参照

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