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根室市初田牛および常呂川河口遺跡から出土する玉類の石質と起源

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Academic year: 2021

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(1)Title. 根室市初田牛および常呂川河口遺跡から出土する玉類の石質と起源. Author(s). 岡村, 聡; 菅原, いよ; 加藤, 孝幸; 加藤, 欣也; 立田, 理. Citation. 北海道教育大学紀要. 自然科学編, 59(1): 19-29. Issue Date. 2008-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/937. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(自然科学編)第59巻 第1号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(NaturalSciences)Vol.59,No.1. 平成20年8月 August,2008. 根室市初田牛および常呂川河口遺跡から出土する玉類の石質と起源. 岡村 聡・菅原 いよ・加藤 孝幸*・加藤 欣也・立田 理** 北海道教育大学札幌校地学研究室 *アースサイエンス株式会社 **北海道埋蔵文化財センター. LithologyandSourceofBeadsExcavatedfromtheHatsutaushi20 andtheTokoroRiverEstuarySitesinHokkaido. OKAMURASatoshi,SUGAWARAIyo,KATOHTakayuki,KATOKinyaandTATSUDAOsa. DepartmentofEarthSciences,SapporoCampus,HokkaidoUniversityofEducation,SapporoOO2−8502. *EarthScienceCo.,Ltd. ** HokkaidoArchaeologicalOperationsCenter. ABSTRACT The62beadsfromtheHatsutaushi20SitefromthelateJomonperiod,andl13beadsfromthe. TokoroRiverEstuarySitefromthelatestJomontoEpi−Jomonperiodweredescribed,andrepresenta−. tivebeadswereanalyzedinchemicalcompositionswithX−rayfluorescencespectrometryandelectron probemicroanalyzermethods.Mostofthebeadsfrombothsitesconsistofchloritizedrocksformedby Al−metaSOmatismofserpentinitemasses.RodingiteswithachloritezoneoccurintheKamuikotanTecto− nicBelt.Thechloritebeadshavefeaturesthatdifferfromthechloritezoneassociatedwiththeroding−. ites,andwereprobablybroughtfromthePaleozoicserpentinitemasses,SuChastheHidaMarginalBel andthe Siberian continent.. 1 はじめに 遺跡から出土する玉類の石質分析は,非破壊に よる鑑定を前提としており,ルーペや実体顕微鏡 を用いた観察によることが多い。この方法は基本 的かつ重要な手段であるが,玉類は着色や研磨,. 穿孔など古代人によってさまざまな加工が施され ているため,肉眼鑑定に不可欠な素材の自然状態 の色,形態,表面構造を残していないことが多く, 鑑定を困難にしている。. 藁科・東村(1991)は,蛍光Ⅹ線分析法によっ てヒスイ製玉類の産地を求めている。しかし,彼. 19.

(3) 岡村 聴・菅原 いよ・加藤 孝幸・加藤 欣也・立田 理. らは微量成分元素を対象としているため,合地 (1991)が指摘しているように,主成分の含有量. 町教育委員会,1996)。特に続縄文時代は,土器 の模様が多様に見られることから文化の変遷がよ. を求め,それから分子式を計算し,鉱物の同定を. くわかっている遺跡である。本研究で取り上げる. 行うことができないという問題点がある。本論文. 試料は,縄文晩期∼続縄文時代(B.C.1000∼. では,根室市初田牛20遺跡および北見市常呂川河. A.D.600)の出土遣物である。. 口遺跡から出土した玉類について,実体顕微鏡を 用いた肉眼鑑定および蛍光Ⅹ線分析装置とエネ ルギー分散型Ⅹ線分析装置を用いた石質分析を 行った。今回の蛍光Ⅹ線分析装置は,主成分元. 3 肉眼鑑定 初田牛20遺跡および常呂川河口遺跡出土の玉類. 素の組成分析を行うことが可能であり,エネル. について肉眼鑑定を行った。鑑定結果を表1に,. ギー分散型Ⅹ線分析装置による微小領域の組成分. 代表的な写真を写真1,2に示す。初田牛20遺跡. 析と併用することで,より正確な岩種の同定が可. の玉類62点のうちほとんどが緑泥石岩であり,一. 能となった。その結果,従来ヒスイ・蛇紋岩と同. 部がタルク(滑石)からなる。緑泥石岩は暗緑色. 定されていたものの多くが,蛇紋岩起源の緑泥石. を示すものと乳白色を示すものがある。しばしば,. 岩であることが明らかとなった。. 自形∼半白形性の細粒結晶であるスピネルを含 む。タルクは淡緑色を示し,緑泥石岩に比べ透明. 2 分析試料. 度が高く明るい色を示す。スピネルの細粒結晶を 含む。. 根室市初田牛20遺跡は,墓址が2基,集石造構. 常呂川河口遺跡の玉類113点では,92点が緑泥. が1基の遺跡である。これらの遺構は,出土遣物. 石岩であり,3点がタルク,1点がタルク化蛇紋. から縄文時代後期終末頃(B.C.1000頃)のもの. 岩,5点が蛇紋岩,2点が泥岩,2点が珪化岩,. であることが判明している(北海道根室市教育委. 5点がアルミノ珪酸塩岩,および玄武岩,はんれ. 員会,1989)。墓の周辺からほぼ完全な形の土偶. い岩,珪質頁岩が各1点であった。緑泥石岩は,. が出土している。この道跡は平成20年3月18日に. 濃緑色および暗緑色を示し,しばしば自形性の細. 道指定有形文化財となっている。本道跡から出土. 粒結晶であるスピネルを含む。タルクは赤褐色を. した玉類は,2つの墓墳から副葬品として見っ. 示すものと,濃緑色を示すものがある。しばしば. かっており,63点は1号墓の膝の付近から連なっ. 自形性の細粒結晶であるスピネルを含む。タルク. た状態で検出された。本分析では破損している2. 化蛇紋岩は赤褐色を示し,無色透明の斑点が認め. 点を対象としていない。孔は両側から穿たれたも. られる。蛇紋岩は濃緑色∼褐色を示し,脈状の組. のと,片側からのみのものとがある。残りの1点. 織が見られる。泥岩は灰色∼乳白色を示し均質で. は2号墓の左耳から出土している。全体に丸みを. ある。珪化岩は淡桃色を示す酸性凝灰岩である。. 帯び,滑らかに作られている。上部には穴が開け. アルミノ珪酸塩岩は淡褐色∼白色を示し,細粒結. られており二条の丸みを持った溝がつけられてい. 晶であるザクロ石を含む。玄武岩は暗褐色を示し,. る。下部には突起部分が突き出ている。. 単斜輝石・斜長石の自形∼半白形結晶を斑晶とす. 常呂川河口遺跡では,旧石器時代∼アイヌ文化. る二既状組織が認められる。はんれい岩は暗褐色を. 期(B.C.20000∼A.D.1900;本州の時代区分で. 示し,自形∼半白形の不透明鉱物と粒間に透明鉱. は旧石器時代∼江戸時代)までの遺跡が見つかっ. 物が認められる。珪質頁岩は暗灰色を示す。. ており,多数の墓が見つかっている(北海道常呂. 20.

(4) 根室市初田牛および常呂川河口遺跡から出土する玉類の石質と起源 表1−1初田牛20遺跡の肉眼鑑定結果 試料番号 1※. 岩種名. 備. 考. 試料番号 岩種名. 備. 考. 緑泥石岩 gr,Chl>Serp. 34. 緑泥石岩 Wh,Chl,Spn. 2. 緑泥石岩 gr,Chl. 35. 緑泥石岩 Wh,Chl,Spn. 3. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 36. 緑泥石岩 Wh,gr,Chl,Spn. 4. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 37. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 5. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 38. 緑泥石岩 Wh,Chl,Spn. 6. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 39. 緑泥石岩 Wh,Chl,Spn. 7. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 40. 緑泥石岩 gr,Chl. 9. 縁泥石岩 gr,Chl 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 41※. 42※※. 緑泥石岩 Wh,Chl,Spn. 10. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 43. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 緑泥石岩 gr,Chl. 44※. 緑泥石岩 Wh,Chl,Spn. 8※※. タルク. Talc.Spn. 12※※. 緑泥石岩 gr,Chl〉Talc,Spn 45. 13. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 46. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 14※. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 47. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 15. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 48. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 16. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 49. 緑泥石岩 gr,Chl. 17. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 50. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 18. 緑泥石岩 gr,Chl. 51. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 19. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 52. 緑泥石岩 gr,Chl. 53※※. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 21※※. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 54. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 22. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 55. 緑泥石岩 Chl>Serp. 23※※. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 56. 緑泥石岩 gr,Chl. 20. 24※. 緑泥石岩 gr,Chl>Talc,Spn 57. 25. 緑泥石岩 Wh,Chl,Spn. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 試料なし. 58※. 緑泥石岩 Wh,gr,Chl,Spn. 26. 緑泥石岩 Wh,Chl,Spn. 59. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 27. 緑泥石岩 Wh,gr,Chl,Spn. 60. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 28※. 緑泥石岩 Wh,Chl. 61. 緑泥石岩 Chl>Serp. 29. 緑泥石岩 Wh,gr,Chl. 62. 緑泥石岩 gr,Chl. 30. 緑泥石岩 Wh,Chl,Spn. 63. 緑泥石岩 gr,Chl,Spn. 31. 緑泥石岩 Wh,gr,Chl. no.9※ タルク. 32. 緑泥石岩. 33. 試料なし. Talc,Spn,垂飾. Wh,Chl,Spn. ※:全岩分析(ⅩRF). ※※:全岩分析(ⅩRF)+鉱物分析(EDS). Serp:蛇紋石,Chl:緑泥石,Talc:タルク,Spn:スピネル gr;緑色,Wh;白色,br;褐色 不等号は鉱物の量比を示す 試料番号:調査報告書による. 21.

(5) 岡村 聴・菅原 いよ・加藤 孝幸・加藤 欣也・立田 理 表1−2 常呂川河口遺跡の肉眼鑑定結果 試料番号 P201⑥※※ F’−88※※. P47床③−1※※. 岩 種 名. 考 備 gr,Talc,Spn タルク化蛇紋岩 br,Talc,Chl br,Talc,Chl タルク タルク,勾玉. P47床③−2※※ 緑泥石岩 P47床③−3※※ タルク PlO2a※※ 907P※ J’−55−1※※ J’−55−2. P263a※ 934P−1※ 934P−2※ 934P−3※. 934P−4 934P−5 934P−6 934P7 934P−8 934P−9 934P−10 934P−11 934P−12 934P−13 934P−14 934P−15 934P−16 934P−17 934P−18 934P−19 934P−20 934P−21 934P−22 934P−23 934P−24 934P−25 934P−26 934P−27 934P−28 934P−29 934P−30 934P−31 934P−32 934P33 934P−34 934P−35 934P−36 934P−37 934P−38 934P−39 934P−40 934P−41 934P−42 934P−43 934P−44 934P−45 934P−46 934P−47 934P−48 934P−49 934P−50. 22. 緑泥石岩 玄武岩 珪化岩 珪化岩 珪質頁岩 緑泥石岩 縁泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 縁泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩. 試料番号. gr,Chl. 934P−51 934P−52 934P−53 934P−54 934P−55 934P−56 934P−57 934P−58 934P−59 934P−60 934P−61 934P−62 934P−63 934P−64 934P−65 934P−66 934P67 934P−68 934P−69 934P−70 934P−71 934P−72 934P−73 934P−74 795P. gr,Chl,Spn. C−70※※. Chl gr,Talc,Spn. Chl,Spn Aln、Qz Aln、Qz. gr,Chl gr.Chl.Spn. gr,Chl gr,Chl gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn. 700P−1※. 700P−2 700P−3 700P−4 700P−5 C’−93※. 24号−1. gr,Chl. 24号−2. gr,Chl,Spn. 24号−3. gr,Chl. 24号−4. gr,Chl,Spn. 24号−5. gr,Chl gr,Chl gr,Chl. gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl. gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn. 緑泥石岩gr,Chl. gr,Chl,Spn. 122a号−1※※ 122a号−2※※ 122a号−3 122a号−4 122a号−5. 700P1 700P−2 700P−3 700P−4 B’−88Ⅱ−1 B’−RRⅡ−2 B’−88Ⅱ−3 B’−88Ⅱ−4 95RP※ 545号墓※ T−01※※※. 岩 種 名 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 縁泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 泥岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 はんれい岩 蛇紋岩 蛇紋岩 蛇紋岩 蛇紋岩 蛇紋岩. 備. 考. gr,Chl gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl,Spn gr,Chl,Spn. gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl gr,Chl 管玉 管玉 管玉 管玉 管玉. アルミノ珪酸塩岩 Pyr,管玉. アルミノ珪酸塩岩 アルミノ珪酸塩岩 アルミノ珪酸塩岩 アルミノ珪酸塩岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩 緑泥石岩. 泥岩 緑泥石岩 緑泥石岩. Pyr,Gar,管玉 管玉 管玉 管玉. Chl Chl Chl Chl Chl Chl Chl Chl 管玉. br,Chl Chl. ※:全岩分析(ⅩRF). ※※:全岩分析(ⅩRF)+鉱物分析(EDS) ※※※:鉱物分析(EDS). Chl:緑泥石,Talc:タルク,Spn:スピネル,Aln:明欝石, Pyr:葉ろう石,Gar:ザクロ石 gr;緑色,Wh;白色,br;褐色 試料番号:調査報告書による.

(6) 根室市初田牛および常呂川河口遺跡から出土する玉類の石質と起源. グラムを使用した。FP法は,出所不明の未知試. 4 全岩および鉱物の化学分析. 料の分析や,試料の形状・重量に関係なく前処理 なしで定量できるメリットがある。この方法では,. 根室市初田牛20遺跡のうち代表的な14点につい て全岩化学組成分析,6点について構成鉱物の化. ラフな表面構造を持つ不定形試料のため精度良い. 学組成分析を行った。常呂川河口遺跡では,代表. 定量分析は期待できないが,分析結果の合計を100. 的な19点で全岩化学組成分析,9点で構成鉱物の. 重量%に補正することによって,主成分元素の. 化学組成分析を行った。. 相対的含有量を見積もることができる。Ⅹ線管. 球はエンドウインドウ型のRh管球を用い,測定 はヘリウム環境下で行った。測定時間は1試料に. 4.1 分析方法. つき約10分である。試料は未処理のものをそのま. 玉類のうち代表的な試料の全岩化学組成を明ら. ま測定試料とし,内径38mm,高さ31mmの円柱. かにするために,Ⅹ線を励起線源とする蛍光Ⅹ線. 状プラスチック製カップに装填するが,Ⅹ線が. (ⅩRF)分析を行った。さらに構成鉱物の化学 組成を分析するために,走査型電子顕微鏡とそれ. 照射されるカップの下面は,一重のポリプロピレ. に付設のエネルギー分散型Ⅹ線分析装置(EDS). ンフィルムが張られている。試料はできるだけ動. を使用した。. かないように固定し,フタをして金属ホルダーに 入れ試料室にセットし測定を行った。FP法によ. ⅩRF分析で使用した装置は,北海道教育大学 札幌校のバナリテイカル社(旧フィリップス社). る分析はバナリテイカル社製のソフトウェア. 製MagiXである。本装置では,試料全体の広領. IQ+を用いた。代表的な分析結果を表2に示す。. EDS分析に用いた装置は,北海道教育大学札. 域にⅩ線を照射し,試料から発生する固有Ⅹ線. 幌校の電子顕微鏡(JEOLJSM−T330A)に付設. (蛍光Ⅹ線)を検出し定量分析を行う。この方 法は試料の全岩化学組成を分析するのに使われる. した0Ⅹford社製LinkISIS300である。加速電圧. が,今回は,標準試料を必要としないフアンダメ. は15kV,補正はZAF補正法によった。試料は,. ンタル・パラメータ(FP)法による半定量プロ. 前処理として炭素蒸着を行った。これは非導電性. 表2 初田牛20遺跡・常亡引11河口遺跡の代表的な全岩化学分析借 初田牛20遺跡 試料番号. 常呂川河口遺跡. PlO2a P263a Cし93 907P 958P J’−55 122a号−1F’−88 P201⑥. no.9 8. SiO2(wt%) 64.86 35.04. 34.21. TiO2. 83.90. 10.59. 0.16. A1203. 1.06 15.93. Fe203. 3.95. 6.47. 19.93. 3.11. 4.69. 8.28. 24.03. 3.71. MgO. 28.63. 39.79. CaO. O.15. 0.38. Na20. 0.24. K20. 0.20. Ni. O.13. 16.99. 30.43. 0.49. 25.64. 27.30. 0.40. 66.77. 63.89. 0.48 29.41. 1.15. 21.22. 0.28. 0.45. 6.91. 0.53. 1.77. 2.95. 0.28. 0.35. 0.54. 0.86. 5.82. 0.49. 5.32. 1.23. 0.94. 0.19. 0.28. 0.26. 0.34. 0.20. 0.21. 0.99 8.35. 0.03. 0.12. 0.21 0.04. Cr P205. 0.60. SO2. 0.08. 岩種名. 4.41. 26.05 27.52. 2.57 1.30. 0.97 1.06. 1.02. 0.05. 0.63 0.60. 64.30. 0.04. 1.26. 0.12 0.52. 66.92. 0.28. 22.51 17.98. 0.11. MnO. 45.69. 0.90. 1.88. 15.15 0.20. 4.16 0.24. 28.91. 0.49. 6.90. 0.26. 2.41. 0.31. 3.54. 26.21. 1.02. 0.19. 1.79. 0.19. 0.71. 0.13. タルク 緑泥石岩 緑泥石岩珪質頁岩沈積岩玄武岩 泥岩 珪化岩孟蒜孟去竃浣ヒタルク. 「−」は検出されなかったことを示す. 23.

(7) 岡村 聴・菅原 いよ・加藤 孝幸・加藤 欣也・立田 理 表3−1 初田牛20遺跡の鉱物の代表的な化学分析値 No.9. 14. 1. スピネル タルク. 蛇紋石 緑泥石 緑泥石 スピネル 緑泥石 緑泥石. SiO2(wt%). 0.88. 65.40. 47.97. 45.92. 37.09. 0.82. 36.52. TiOz. O.03. 0.14. 6.63. 0.23. 0.47. 0.11. 0.27. 0.10. A1203. 6.33. 0.47. 3.70. 9.03. 14.77. 11.54. 22.80. 18.39. FeO. 30.37. 3.53. 2.85. 3.59. 22.60. 25.12. 11.57. 5.07. MnO. O.84. 0.10. 0.12. 0.22. 0.62. 0.09. 0.09. MgO. 2.11. 29.98. 35.66. 39.41. 19.51. 5.58. 25.57. 34.86. CaO. O.05. 0.01. 0.69. 0.30. 0.45. Na20. 0.39. 0.11. 1.27. 0.90. 0.86. K20. Cr203. 0.37. 0.51. 0.67. 0.00. 0.27. 0.98. 0.43. 1.75. 0.10. 0.98. 0.19. 0.00. 0.00. 0.16. 1.20. 56.19. 0.14. 0.29. 0.13 22. 4. 9. 0.07. 1.08. 28. 28. 0.45 4. 0.31. 28. 28. Si. O.031. 8.000. 2.528. 7.493. 6.749. 0.028. 6.218. 6.533. Ti. O.001. 0.013. 0.263. 0.028. 0.064. 0.003. 0.035. 0.012. Al. O.264. 0.068. 0.230. 1.736. 3.168. 0.458. 4.576. 3.568. Fe. O.900. 0.362. 0.125. 0.490. 3.438. 0.707. 1.648. 0.698. Mn. O.025. 0.010. 0.005. 0.034. 0.018. 0.013. 0.012. Mg. O.111. 5.465. 2.801. 9.585. 5.290. 0.280. 6.490. 8.557. Ca. O.002. 0.002. 0.039. 0.052. 0.087. 0.200. 0.065. Na. O.027. 0.025. 0.130. 0.284. 0.305. 0.005. 0.169. 0.214. K. O.000. 0.042. 0.066. 0.090. 0.406. 0.004. 0.212. 0.040. Cr. l.658. 0.000. 0.000. 0.020. 0.172. 1.495. 0.019. 0.038. 0.005. 0.010. 0.158. 6.193. 19.788. 19.872. Ni Tota1. 3.020. 13.987 41. 58. タルク スピネル スピネル スピネル 緑泥石 SiO2(wt%). TiO2. A1203. 65.60. 3.25. 1.44. 0.96. 0.25. 0.16. 0.91. 0.25. 0.37. 1.27. 11.05. 16.15 12.16. 37.96. 0.49. 5.71. FeO. l.85. 30.87. 65.13. 19.15. MnO. O.10. 0.75. 0.78. 0.34. 0.07. MgO. 30.28. 3.55. 0.73. 10.15. 29.98. CaO. O.01. 0.16. 0.04. 0.06. Na20 K20 Cr203. 0.79. 0.58. 0.08. NiO. 0.06 O.57. 1.57 0.93. 0.27. 0.09. 0.22. 54.51. 29.05. 57.73. 0.19. 0.48. 0.29. 4. 4. 4. 0.53 0.34. 酸素数. 22. Si. 7.997. 0.114. 0.059. 0.032. 6.514. Ti. O.023. 0.004. 0.028. 0.006. 0.048. Al. O.071. 0.236. 0.061. 0.426. 3.267. Fe. O.188. 0.904. 2.229. 0.524. 1.745. Mn. O.011. 0.022. 0.027. 0.010. 0.011. Mg. 5.501. 0.185. 0.045. 0.495. 7.670. Ca. O.002. 0.006. 0.002. 0.002. 0.288. Na. O.187. 0.039. 0.007. K. O.009. 0.012. 0.005. 0.009. l.509. 0.940. 1.494. O.056. 0.005. 0.016. 0.008. 14.043. 3.036. 3.418. 3.006. Cr Ni Total. 「−」は検出されなかったことを示す. 24. 1.10. 59.13. NiO. 酸素数. 0.08. 39.67. 28. 0.311 0.116 0.047 20.018. 0.061 2.998. 19.640. 0.041 19.779.

(8) 根室市初田牛および常呂川河口遺跡から出土する玉類の石質と起源 表3−2 常呂川河口遺跡の鉱物の代表的な化学分析値 P47床③−2. J’−55. 明箸石. 122a号−2. 122a号−1. P47床③−3. タルク スピネル 葉ろう石 ザクロ石 ザクロ石. 角閃石 緑泥石. SiO2(wt%). 3.98. 32.85. 36.80. 64.10. 2.05. 67.12. 42.84. TiOz. O.64. 0.82. 0.13. 0.10. 0.22. 0.23. 1.82. 0.60. 73.89. 36.67. 24.09. 1.33. 2.79. 32.00. 24.69. 19.48. FeO. 8.40. 16.65. 4.09. 6.11. 44.29. 0.34. 12.58. 38.75. MnO. O.47. 1.13. 0.30. 0.08. 1.03. 0.16. 0.18. 0.18. MgO. O.32. 0.88. 32.71. 27.15. 1.37. CaO. l.77. 6.25. 0.58. 0.02. 0.53. A1203. 13.36. 0.41. 0.09. 0.36. 0.53. 0.37. 0.91. 3.81. 1.75. Na20. 1.60. 1.13. 0.86. 0.91. 0.65. K20. 8.78. 2.55. 0.24. 0.02. 0.59. 0.35. Cr203. 0.37. 0.03. 0.20. 0.17. 46.49. 0.01. NiO. 1.04. O.00. 37.08. 0.13. 0.05. 0.33. 酸素数. 11. 24. Si. O.279. 4.982. 6.038. 7.946. 0.077. 7.690. 6.199. 6.116. Ti. O.034. 0.094. 0.016. 0.010. 0.006. 0.020. 0.198. 0.074. A1. 6.104. 6.555. 4.658. 0.195. 0.124. 4.321. 4.210. 3.787. Fe. O.493. 2.111. 0.561. 0.633. 1.397. 0.033. 1.523. 5.346. 0.016. 0.022. 0.025. 2.881. 0.101. 28. 22. 4. 22. 24. 24. Mn. O.028. 0.145. 0.042. 0.008. 0.033. Mg. O.033. 0.198. 7.999. 5.016. 0.077. Ca. O.133. 1.016. 0.102. 0.003. 0.021. Na. O.217. 0.332. 0.272. 0.219. 0.047. K. O.785. 0.493. 0.049. 0.004. 0.029. 0.051. Cr. O.020. 0.004. 0.026. 0.017. 1.387. 0.001. Ni. O.000. 0.127. 0.012. 0.005. 0.043. Tota1. 8.126. 16.057. 19.765. 14.050. 3.199. 12.155. 15.903. 16.246. 緑泥石. タルク スピネル 緑泥石. F’− 88. タルク 65.80. 33.66. 65.10. 0.48. 0.16. 0.13. 0.15. 7.35. A1203. 0.73. 25.29. 0.80. 9.13. 19.85. FeO. 4.50. 25.55. 4.14. 19.74. 11.02. MnO. O.18. 0.52. 0.09. 1.12. 0.95. MgO. 27.00. 1.56. 28.97. 6.47. CaO. O.17. 6.81. 0.03. Na20 K20 Cr203. 0.77. 1.91. 0.49. 0.38. 4.56. 0.15. 0.02. 0.10. 62.78. TiO2. 0.094. 0.105. 0.290. 0.704. 0.369. 0.27. 29.20. 1.45 0.87. 0.13 10.99 18.47. 酸素数. 22. 28. Si. 8.094. 6.348. 7.99. 0.016. Ti. O.018. 0.023. 0.01. 0.004. 1.056. Al. O.106. 5.621. 0.12. 0.362. 4.468. Fe. O.462. 4.030. 0.43. 0.555. 1.761. Mn. O.019. 0.082. 0.01. 0.032. 0.154. Mg. 4.951. 0.439. 5.30. 0.324. Ca. O.022. 1.376. 0.004. Na. O.184. 0.699. 0.12. 0.009. K. O.060. 1.096. Cr. O.026. Total. 0.056. P201⑥. 0.20. SiO2(wt%). 0.011. 13.944. 19.716. 22. 4. 28 5.579. 0.414 0.177. 0.02. 0.001. 2.679. 0.01. 1.668. 2.789. 14.005. 2.970. 19.076. 「−」は検出されなかったことを示す. 25.

(9) 岡村 聴・菅原 いよ・加藤 孝幸・加藤 欣也・立田 理. 試料に炭素を真空蒸着することによって電子線照. るクロム鉄鉱をしばしば含む。緑泥石はSiに乏. 射による試料面の帯電を防ぐ効果がある。この炭. しくFeに富むPycnochloriteから,Siに富み. 素膜は測定後アセトンやアルコールにて容易に取. Feに乏しいTalc−Chloriteの広い組成幅を示す。. り除くことができる。電子線は最小領域2−3ミ. タルク(P201⑥,P47床③−1,P47床③−3). クロンまで絞りこまれ,試料中鉱物の微小領域の. SiとMgを主成分とするタルクからなり,Fe. 化学分析が可能である。電子線照射によって発生. を少量含む(FeO=4∼6%)。細粒結晶である. する元素特有の波長を示す固有Ⅹ線を検出する. クロム鉄鉱をしばしば含む。一部,緑泥石組成を. ことによって元素の定性・定量分析を行うが,正. 示す。. 確な定量分析を行うためには,試料表面を平滑に. タルク化蛇紋岩(F’−88). する必要がある。今回の試料は穿孔されたリング. タルクとともに緑泥石を示す領域が広く認めら. 状形態を持っているが,測定にあたっては,でき. れる。タルクはFeを少量含む(FeO=4%)。. るだけ平滑な部分を選んで非破壊分析を行った。. 全岩組成はSiと Mgに富み,Alは少量. 合計重量が100%近くにならない場合が多いが,. (A1203=2.9%)である。緑泥石はSiに乏しく. 分析結果から推定される予想鉱物の理想化学式と. Feに富むPseudothuringite組成を示す。. の対応は概ね良く,この方法が鉱物の同定と含有. アルカリ玄武岩∼はんれい岩(沈積岩)(907P,. 元素の半定量分析に十分使用可能であることが検. C’−93). 証できた。代表的な分析結果を表3に示す。なお, 合計重量は100%に換算している。. 907Pは玄武岩で,K,Pに富むアルカリ岩組 成である。C’−93の全岩組成は,Ti,Fe,Pに 富むことから,燐灰石とイルメナイト∼磁鉄鉱か. 4.2 分析結果. らなるアルカリ岩由来の沈積岩と考えられる。. 4.2.1 初田牛20遺跡. 珪化岩(J’−55−1). タルク(垂飾no.9および試料番号41). SiとMgを主成分とするタルクからなり,Fe. 酸性凝灰岩が熱水変質を受けた明答石化岩。全 岩組成はSi,Al,K,Sに富み,明答石を主と. を少量含む(FeO=2∼4%)。スピネルの細粒. し石英および角閃石類が含まれる。マグマ起源の. 結晶はCrとFeに富むクロム鉄鉱からなる。. 酸性熱水の関与によって生成される鉱物組み合わ. 緑泥石岩(試料番号1,8,12,14,21,23,24,. せである。. 28,42,44,53,58). アルミノ珪酸塩岩(122a号−1,122a号−2). 緑泥右を主成分とし,細粒結晶であるクロム鉄. 凝灰岩∼泥岩を源岩とする変成岩。全岩組成は. 鉱をしばしば含む。試料番号1において極少量の. SiとAlが主成分であり,アルミノ珪酸塩鉱物で. 蛇紋石が確認される。試料番号24においてはタル. ある薫ろう石(パイロフィライト)を主成分とし,. クが少量含まれる。緑泥石の化学組成は変化に富. ザクロ石を含む。. み,Penninite,Talc−Chlorite,DiabaniteのSi に富む組成から,一部はRipidonite∼Pycno− chloriteのSiにやや乏しくFeに富む組成領域を 示す。. 5 考察 5.1玉類の源岩と原産地 今回鑑定した試料は,いずれの遺跡においても. 4.2.2 常呂川河口遺跡. 緑泥石岩が大半を占め,初田牛20遺跡は垂飾と試. 緑泥石岩(P47床③−2,PlO2a,934P−1,934P−2,. 料番号41を除く60点で全体の92%,常呂川河口遺. 934P−3,C−70,700P−1,545号墓,T−01). 跡では92点で81%を占める。これらは,緑泥右か. 緑泥石を主成分とする。自形性の細粒結晶であ. 26. らなるが,クロム鉄鉱をしばしば含み,まれに蛇.

(10) 根室市初田牛および常呂川河口遺跡から出土する玉類の石質と起源. 紋石を不均質に残していることから,蛇紋岩を起. これは玉に使用される緑泥石岩とは見かけが異な. 源とし,緑泥石の集合に交代された岩石と考えら. り,極めて小規模にしか産していないことから,. れる。自形∼半白形性のスピネルを含むので,も. 両道跡から出土する玉類の原産地とは考えにく. ともとはダンかんらん岩であったと考えられる。. い。. タルクは初田牛20遺跡では垂飾と試料番号41の. したがって,このような大規模にAlが付加さ. み,常呂川河口遺跡では約2%と極少量である。. れるような蛇紋岩体は,古生代の古い岩体,例え. これらもしばしばスピネルを含むので,緑泥石岩. ば日本では糸魚川地域を含む飛騨外縁帯(青海一. と同様,蛇紋岩を起源としたであろう。. 蓮華帯)やシベリヤなどの大陸地域などが挙げら. タルク化蛇紋岩は,常呂川河口遺跡に1試料の. れる。新潟県姫川地域の蛇紋岩体の一部には緑泥. み含まれ,蛇紋岩が不均質にタルク化を受けた岩. 石岩化した岩体が報告されており(大村ほか,. 石と考えられる。緑泥石を含んでいるので,緑泥. 1983),今後,これらとの比較検討が必要である。. 石への交代作用を受けたと考えられる。 その他,アルカリ玄武岩∼はんれい岩質沈積岩. 謝 辞. はアルカリ岩マグマを起源とした火成岩である。. 珪化岩は,酸性凝灰岩を起源とし明答石を含むこ. 北見市ところ埋蔵文化財センターの武田 修氏. とから熱水変質作用による珪化作用によってでき. と根室市歴史と自然の資料館の猪熊樹人氏から. た岩石である。前者の原石は常呂帯仁頃層群のア. は,貴重な試料をお借りした。北海道塩蔵文化財. ルカリ玄武岩に由来する可能性がある。後者の珪. センターの花岡正光氏と土肥研晶氏には追跡発掘. 化岩に関しては,常呂近傍では西側に紋別∼上士. 現場での有益な助言を頂いた。斜里町B&G海洋. 幌地溝帯(八幡,1997など)と呼ばれる中新世火. センターの合地信生氏からは石質分析を行う上で. 山岩類が分布し,しばしば酸性の熱水変質岩を産. 有益な助言を頂いた。紀要編集委員によるコメン. するので,この地帯からもたらされた可能性が高. トは本稿を改善するにあたり大変有益であった。. い。アルミノ珪酸塩岩は葉ろう石を含むことから,. 以上の方々にお礼申し上げます。. 花崗岩・流紋岩などと接触する場所にできるの で,西側の酸性岩近傍に由来する可能性がある。 引用文献. 5.2 緑泥石岩の由来 両道跡から出土した玉類のうち緑泥右岩,タル ク,タルク化蛇紋岩は,いずれもクロム鉄鉱に代 表されるスピネルを含む。したがって,これらの. 岩石の源岩は超塩基性岩(おそらくダンかんらん 岩)であり,蛇紋岩化作用を受けた岩体が,何ら かの熟変成作用∼Al交代作用を受けたことを示 唆している。旧石器時代を示す美利河1遺跡でも,. 合地信生(1996)常呂川河口遺跡出土のヒスイ玉につい てのⅩ線スペクトル解析.常呂川河口遺跡:常呂川河. 口右岸苦岩掘削護岸工事に係る発掘調査報告書, 626−632.. 北海道根室市教育委員会(1989)初田牛20遺跡発掘調査 報告書.68p. 北海道常呂町教育委員会(1996)常呂川河口遺跡:常呂 川河口右岸掘削護岸工事に係る発掘調査報告書.(1)− (7).. Katoh,T.andNiida,K.(1983)Rodingitesfromthe. 従来かんらん岩と記載されていた玉類が緑泥右岩. Kamuikotantectonicbelt,Hokkaido.J.Fac.Sci.,Hok−. であることが報告されている(岡村ほか,2003)。. kaidoUniv.,Ser.ⅠⅤ,20,151−169.. 北海道には,神居古澤帯に日本最大の蛇紋岩体が 分布し,蛇紋岩にともなうロジン岩の反応帯とし て幅数10cm以下の規模で帯緑暗灰色の緑泥右帯 が出現する(Katoh and Niida,1983)。しかし,. 岡村 聴・加藤孝幸・寺崎康史(2003)今金町実利河1 遺跡から出土した玉類の石質と起源.北海道考古学, 39,77−82.. 大村一夫・山地英喜・岩槻 修・吉田亘弘・山戸武史 (1983)新潟県姫川地域の蛇紋岩一岩盤評価の前に−.. 27.

(11) 岡村 聴・菅原 いよ・加藤 孝幸・加藤 欣也・立田 理 応用地質,24,9−24. 八幡正弘(1997) 東北北海道鉱床区における新第三紀 の紋別一上士幌地溝帯.北海道立地下資源調査所報告, 68,43−56.. 藁科哲男・東村武信(1991)フゴッペ貝塚出土の嘉翠製 垂飾玉の産地分析.フゴッペ貝塚:北後志東部地区広. 域営農団地農道整備事業用地内埋蔵文化財発掘調査報 告書,554−562.. 村. ︵. 岡. い. よ. 孝. 幸. 欣. 也. 原 藤. ︵. 加. ︵. 菅 加. 聡. 藤 田. 立. ︵ ︵. 28. 札幌校教授). 札幌校2007年皮卒業生). 理. アースサイエンス株式会社) 札幌校大学院生). 北海道埋蔵文化財センター).

(12) 根室市初田牛および常呂川河口遺跡から出土する玉類の石質と起源. 写真1 初田牛20遺跡の玉類. 写真2 常呂川河口遺跡の玉類. 29.

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