『古今集遠鏡』の譯にみられる「やら」の特徴的用法について
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(2) . 夏井邦男: 『古今集遠鏡』の撒こみられる「やら」の特徴的用法について. うつし. 『古今集遠鏡』 の課にみられる 「やら」 の特徴的用法について 夏. 井. 邦. 男. 1.. 平安時代に盛んに用い られた 「にやあ らむ」 という一種の慣用句的語が, 院政・鎌倉時代か ら室 町時代にかけて 「や らむ」 となり, やがて 「や ら」 へ と助詞化して行く過程は, 国語史上の事実で ) ある1 , ただしこの場合, 「やらむ」 と 「やら」 とが同じ意味を表わす語として, 漠然と移 り変っ て行っ たと考えてしまっては問題が残るように思われるし また本居宣長が 『古今集遠鏡例言』 の , うつし 中で, 「らんの謬」 として 「ヤラ らんにあたれり」 と解説していることも .いわゆる中世語として , の 「や ら」 には認め られなかった概念要素を多分に含んだものと言えそうである , この小論では, まず最初に 『醒睡笑』 『中華若木詩抄』 『山谷詩集砂』 『狂言集』 などのものに まで遡 っ て, 「やらむ」 から 「や ら」 への具体的な交替の様相を眺めることによって 中世に於け , る 「や ら」 の意味的諸相を明確に浮き彫りにし, 更には宣長が 『古今集遠鏡』 の中で 「ヤラ」 とい うつし う謬を, どのような意識のも とで用いたのかとい う 言い換るな らば 彼の言語意識--助詞・助動 , 詞観とい ったものの一端に触れてみたいのである , 2,. 「やら」 の源流的意味を探るために, 『醒睡笑』 中にみ られる 「やらむ」 「やらう」 「やら」 を 抜き出してみると, 総計二十七例である その特徴として言えることは 疑問の意を表わす語を伴 , , なって用い られている 「や らん」 が圧倒的に多く二十例を数え それを受けずに単独で用い られて , いる例は上巻 と下巻とに二例ずつしか見 られないことである 更に注目したいことは この下巻の . , 二 例 と い う の が,. 「岩の懸路を手輿とやらん, またあをたとやらんいふに, 乗せて鼻かれたるが……」 <巻之七・似合うたのぞみ> などのように, 引用の 「と」 を受けた 「とや らん」 という並列的な意味を表わす型でみ られること である, 恐 らくは, これが並列の先駆的な姿であろう2 ) . 一方, 「や ら」 が上巻と下巻 とに一例ず. つ,. 「主見て, 『やれ, 誰が扶持人や ら知 らぬに怪我をするな』 と 」 , <巻之五・人はそ だち> 「『多く食うた らば, 咽に療ができぅかと思うてや ら 』 。」. <巻之六・推はちがうた> などのような文章にみ られるが, この二例に共通していることも, 疑問の語を伴なっ て用い られて いる点に於て先の 「や らむ」 の場合と同様である, しかも, いわゆる会話文中に用い られているこ とである. ここでは, 「やら」 という語が疑問の意味を表わす語としてまず登場している が, 不確 実なぼかした言い方をするため の 「や ら」 の用法は, まだ認められないことに於て, 大坪併治博士 )は妥当性を得たものと言えるだろう の見解3 ..
(3) . 「や ら」 の特徴的用法について 夏井邦男: 『古今集遠鏡』 の誰にみられる,. 『中華若木詩抄』 の場合の特徴として, まず気がつく ことは, 「やらむ」 と 「や ら」 とがほぼ二 対一の割合い (前者が三十例で後者が十六例) で用い られていること, つま り古い語である 「やら む」 の方が, まだ使用される頻度が高いけれ ども, 数字的には 『醒睡笑』 などよりも接近 してきて いるのである. 室町語として特有の 「やらう」 が, ほとん ど見 られないのも特徴的である. 湯沢幸 ) 吉郎博士によれば4 , 「『や らん』 は, 抄 物 で も そ の 形 で見 え る. ……(中略)……然れ ども抄物では, むしろ新しい 形 の 『ヤ ラ ウ』 が 多 く 現 れ る。」. として, 『史記抄』 『勅規桃源抄』 『四海入海』 などの例を挙げておられる か ら, 抄ものとしての )を物語るものなの であろうか. 性格の相違5 また 「やらむ」 あるいは 「や ら」 を, 同一文章中に二度用いた ものは六例ほ どみ られる が, この うち疑問の語を伴なっているのは, 次に挙げる用 例にみ られるだけ であって, 「一 睡ノ 後 ニ ハ。 主 客 相 忘 テ 何 レ ガ主 ヤ ラ。 何 レ ガ客 ヤ ラ。 知 ラ ヌ ソ。」. 残りは総て不確実の意味を表わす用法になっている, この種の表 現法は, 更に二つの 型に分けて考 え る こ と が 出 来 る よ う に 思 わ れ る, そ の ひ と つ は,. 「細 雨 ナ レ バ 目 ニ モ 見 ヘ ズ フ ル ヤ ラ ソ。 フ ラ ヌ ヤ ラ ソ。」. 「人 ヵ 許 ス ヘ キ ヤ ラ ソ。 許 ス マ ジ キ ヤ ラ ソハ。 知 ラ 子 ドモ 吾 ト許 シテ。」. などの用例にみ られるような 〔肯定十 ヤラソ〕 …… 〔否定十ヤ ラソ〕 の型であ り, 今ひとつは, 「百 千ノ 船 ドモ ニ 火 ガッイ テ 焼 ク ル ホ ドニ姻 ヤ ラ 浪 ヤ ラ 天 二脹 ルソ。」 「山 人 ハ。 早 キ ヤ ラ。 遅 キ ャ ラ。 分 別 ナ キ 也。」 「盈 夕月 ヤ ラ。 カ ケ 夕月 ヤ ラ。 イ マ タ 見 ワ ケ ヌ ソ。」. ◎◎. ◎◎. などの用例にみ られる確かな らぬ意をより強く示すような 〔A十ヤラ〕 …… 〔B十ヤラ〕 の型であ り, 二次的に派生 したものであったろう, そ して, この不確実な ぼかした意味を本来的に表わ して いたはずの両者の型の系統が, やがて現代語の事物をあオ これ列挙する並列の意を表現する用法へ と発展して行くことになるので ある, この過程は, 疑問の意味を表わす 「や ら」 が慣用句的な用 法 を呈して行くこと と併せて, 次の 『寛女三年版山 谷詩集秒』 のなかにより明瞭に眺めることが出来 る の で あ る.. 『山谷詩集秒』 の場合には, 疑問の意味を表 わす 「やらむ」 が第十六巻に 一例だけ しか見 られな いこと. 不確実な意を表わす 「や ら」 と疑問の意を表 わす 「や ら」 とは, 全巻を通してほ ぼ半々の 割合い (前者が三十五例で後者が三十四例) で用い られていること. 更に言い続けるの な ら, この. ことは前者の意を表わ す系統の 「や ら」 と後者の意を表わす系統の 「や ら」 とが, 意味上はっ きり と分化されて用い られていることを意味しているの ではないだろうか. 例 えば, 「やら」 の語を同. 一文章中に二 度用いるような時には, 「愉 花 ヤ ラ。 ナ ニ ャ ラ カ 有 ル カ. 銭ノ ヤ ウ ナ ソ。」. とい った第九巻の用 例にみ られる 〔A十ヤラ〕 …… 〔成句中のヤラ十疑問〕 …… 〔疑問〕 のような 変則的な型の一例だけ を例外とするのな ら, あとは疑問の 語を伴なわない で使用されるとい う傾向 にあったことか らも証明されるであろう. この事柄に関連 したことであるが, 本来不確実な意味を 表わしていた 系統の 「や ら」 は, さ らに一歩進ん だ意味として, 純粋に並列的な意を表 現するのに 用い られている. 第三巻にみ られる, 「サ キノ 雨ノ 残 り ヤ ラ。 夜 ヵ 深 タ ホ トニ 暁ノ 霧 ヤ ラ。 ウ チ ワ ニ ソ. などの用 例中の 「や ら」 は, 第二巻にみ られる,. 「去 ホ ト ニ。 薬 ヤ 針 ヤ ナ ソ ドハ. 不し入 ソ。」. 2. ク ソ。」.
(4) . 夏井邦男:『古今集遠鏡』 d 鋤こみられる 「やら」 の特徴的用法について な どの 「や」 で 置 き 換 え る こ と が で き そ う な も の に な っ てい る の で あ る ,. 次に 『狂言集』 にみられる特徴 としては, 「や らむ」 の語が , 「御手に持たせ給いたる, 御鉾は何のため や らん。」. <脇狂言・毘沙門> 「大嘗舎のまつりごととやらんに, いかにも大髭なる者に犀の鉾の役を仰せ付け らりょ うとあ. i っ て, … …‐. <鬼山伏狂言・髭 櫓> などの用例のように, 疑問の意 や不確実な意を表わす語としてごく僅かにみ られること 先日翻刻 . された 『大蔵虎明本』 (上巻のみ) では 総用例の約二十%ほどをまだ 「やらん」 が占めて いるか , ら, 現存最古の狂言台本と呼ばれる所以であると同時に 狂言の詞章の本質が筆録者の主張や時好 , 性とに よって流動性を有する傾向にあったことの一端を物語 ているものと言 えるだろう また っ . , 「やらむ」 に 格助詞 「と」 のついた 「とやらむ」 という語が 漠然と不確実な意味を表わす用法と , して, 『醒睡笑』 にみ られたことは既に指摘した通 りであるが この 『狂言集』 では 「とや ら」 の , 語で, 例 えば, 「あすは汝に言い付け成敗さしょうかと思えば 何やらこう胸の内へ折れ込うだようにあ た , っ が, … …」. <大名狂言・武悪> などにみ られる 「何やら」 の語とは別の 一種の慣用 句的用法として用 い られているのも特徴的で , あ る.. 「見させられい, いこう空もか きくもり, 何とや ら雪が降りそうにござるほどに ……」 , <小名狂言・木六駄 > 「た だ い ま の は, 何 と や ら申 しま した の 」 。. <大名狂言・富士松 > などの用例にみ られるのがそれである, この 「とや ら」 の語は , 「『牛は牛づれ, 馬は馬づれ』 とや ら言うが このようによう似合うたっオ は あ る まい ぞ 」 , 。. <脇狂言・佐渡狐> 「人に歌 を詠うでかけ られて, その返歌を致さ ねば 先の世で ロない轟に生まるるとやら申 , ,. します るに よ っ て, … …」. <大名狂言・注々頭> などの用例にみ られるある事がらを引用す るような場合の用法をも含めて 三十 四例 (全体の約二 , 十七%) をも占めてい るのである,. 「や ら」 の使われ方の意味的内訳けについて考えてみると 疑問の意味を表わしているのが九十九 , 例 (全体の約 七十三%) と多くを数えるのに 不確実な意を表わしている用法は並列の場合をも含 , めて二十八例 (約二十七%) に しかすぎないのである. 以上 ごく簡単に急ぎながらではあったが, 年代がそれほど隔たってはいないと思われる作品の中. に, 「や らむ」 から 「やら」 への交替の諸相を眺めてきた. 同種の意を表わす語の推移を考え る場 合に, もうひとつ考慮に入れなければならないことは, 例えば 『仮名草子伊曽保物語』 のなかで , 「魚 の 入 た ろ か, こ と の 外 に 重 く な り て, 一 足 も 引 か れ ず 」 。. <下巻・五・狼と狐の事> などのようにみ られる疑問 の 「か」 の語が, 『天草版伊曽保物語』 では, ta yara,fagiye yugcotoga canauanu ga nanto」 「Vuoga vou6 i t.
(5) . 夏井邦男: 『古今集遠鏡』 の謬にみられる 「やら」 の特徴的用法について. などのように 「や ら」 の語になっている事実である, このことが, 両書間に直接の 関係が認め難い こ と の ひ と つ の 所 以に も な っ て い る よ う で あ る が, しか し 『捷 解 新 語』 な どの 場 合に も, 「い か が お ほ しあ る や らこ こ ろ に か か るほ どに … …」. <第一・五> 「い く か め に も へ ん じ が ま い る や ら… …」 (幾日目). <第五・八>. 「さ ん しゎ い か が お ほ しめ す や ら… …」 (三更). <第六・二>. などの文章中にみ られた 「や ら」 の語が, 『重刊本捷解新語』 では,. 「なに ぶ んに 於 ほ しめ しま せ う か と こ こ ろ か か りに ぞ ん じま す るほ どに … …」. <第一・六> 「い く か め に へ ん しが ま い りま せ う か … …」 一一. (返事). <第五・九>. 「さ ん しに は い か が 於 ほ しめ さ れ ま す るカー …・」 <第六 ・二 >. などのように, やはり 「か」 の語にそれ ぞれ書き換え られているのである, 湯沢幸吉郎博士が, 疑問の意や事を確定 しないで言うのに用いる場合の 「やら」 は 「か」 と似た点が多いことを既に指 ) して お られ る の は, こ の 点 に も 理 由 が あ る の だ ろ う, 『捷 解 新 語』 の な か に, 摘6. 「そうあるや らさけもみがこころをあうして, そうあるかとをもいま るする」. < 第 三 ・→→ヒ >. などのように, 同一文中に 「や ら」 と 「か」 とが同 じ意味を表わす語 としての意識のもとに用い ら れていることもその好例となるだろう, ) 本来的に 「や ら」 と 「か」 とは, 明 らかに区別されて用い られていたはずの語である7 . この点 に就てはここで深く論及するつもりはないが, 「や ら」 の語が 「か」 よりも語調がやわ らかであり 疑問の語を伴なっ て用い られることが多かった し, 「や」 に疑問の意が強く意識されていたか ら, いわばそれは丁度 「や」 と 「か」 との相違に当るものであっ たろう, ところで本居宣長は 『古今集遠鏡』 のなかで, 「君やこし我やゆ きけむおもほえず 夢かうつ 一 一 う し. という ・和歌の謬を,. かねてかさめてか」 4. ュ フ ベ ノ 事 ハ オ マ ヘ ガ ワ シ ガ 方 へ 御 出 ナ サ ッ タ デア ッ タ ヤ ラ ア ッタヤ ラ. 叉 夢 デア ッ タ カ. ル ウ チノ 事 デア ッ タ カ. ボ ンマノ 事 デア ッ タ カ. 〔六四五〕. ワ シ ガオ マ ヘノ 方 へ 参 ッ タ デ. 眠 ッ タ 内 デア ッ タ カ. 目ノ サ メ テ 居. ドウ デア ッ タ ヤ ラ ワ シー ヤ ネ エ カ ラ 覚 エ マ セ ヌ … …. な どの よ う に して い る か ら, 「か」 の 語 は そ の ま ま で あ る の に 対 して, 「や」 の 方 は 「け む」 と 呼 うつ. 応した形でではあるが 「ヤラ」 の語に謎 されていることがわかる, そこで, どんな場合に疑問の表 現を用いるのか, また どんな場合に漠然とした不確実の表 現を用いるのかという 『古今集遠鏡』 の. うつし. ) の こ と が 問 題 に な っ て く る の で あ る, 謬8. 3 ,. 宣長は 『古今集遠鏡例言』 のなかで, 「らんの謬は, くさ ぐさあり, ……」 と して,. 春 た つ け ふ の 風 や とく らん な どは, 風 ガ トカ ス デ ア ラ ウ カ と謬 す, ア ラ ウ らん に あ た り,. ①. カ 上 の や に あ た れ り, 」 4.
(6) . 夏井邦男; 『古今集遠鏡』 の謬にみられる 「やら」 の特徴的用 法について ②. い つ の 人 まに う つ ろ ひ ぬ らん な どは, イ ッノ ヒ マ ニ 散 テ シマ ウ タ 事 ヤ ラ と 議 す ヤ ラ らん , に あ た れ り, ③ 人に し られ ぬ 花 や さ く らん な どは, 人 ニ シラ サ ヌ花 ガ 咲 タ カ シラ ヌ と 謬 す カ ツラ ヌ や と ,. ④. らん と に あ た れ り, 叉 上 に や 何 な どい ふ, う た が ひ こ と ば なく て , らん と 結 び た るに は, ド ウイ フ事 デ と い ふ 詞 をそ へ て う つ す も 多 し,. ⑤. 相坂のゆふつけ鳥もわがごとく 人や恋しき音のみ鳴 らんなどは 人ガ恋ツイヤラ声ラアゲ ,. テ ヒタ ス ラ ナ ク と う つ す, こ れ は と ぢ め の らん の 疑 ひ を 上 へ う つ して や と 合 せ て ヤ ラ , , , とい ふ 也, ヤ ラ は, す なは ち や らん と い ふ こ と 也 ,. 玉かづら今はたゆとや吹風の音にも人のきこえざるらんなどのたぐひも 同じく上 へうつ ,. して, や と 合 せ て, ヤ ラ と 議 して, 下ノ句 を ば 一 向 ニ オ ト ヅ レモ セ ヌ と 落 し つ け て と ぢ , , む, こ れ らは らん と う た が へ る 事は, 上 に あ りて 下 に は あ らざれ ば な り , , うつし. などのように註釈してい る. 勿論, 『古今集遠鏡』 の 「らむ」 の誰は 各巻を通してこれ らで一貫 , されていることは言うまでもないことである。 数字を挙げて言うのなら ① は三十五例 ②は四十 , , 五例, ⑧は十 四例, ④と⑤とを合せて十九例であるが, 「心あてにを らばやをらむ初霜のおきまどはせるしらぎく の花」 アノ ヤ ウ ニ 初 霜 ガオイ テ イ スイ リ ヤ ウ デ. 〔二七七〕. 花 ヤ ラ 霜 ヤ ラ ツ レヌ ヤ ウ ニ マ ガウ テ 見 エ ル. ラ ラ バ 折りモ セ ウ か=“,. 白イ 菊ノ 花 ハ タイ ガ. などの用例にみ られるような並列的な意を表わ したものを③に 含めると その総数は百十四例ほど , で あ る.. うつし. 今この小論では, ①と③との 「らむ」 の誕について論及す ることは主眼では ないので ②と④ の場 , 合に焦点を合せて話を進め ることにす る. まず②の場合には, 例えば, 「くるとあく とめかれぬものを梅ノ花いっのひとまにうつろひぬ らむ」 日 ガク レル ト云 テ ハ見 ニ. 此ノ梅ノ 花 ハ. 夜 ガア ケ ル ト云 テ ハ 見 ィ シテ. 〔四五〕. シ バ ツモ 目 モ ハ ナ サ ズ 二見 テ 居 ルノ. イ ツノ ヒ マ ニ 此 ヤ ウ ニ チーッ テ ツマ ウ タ 事 ヤ ラ. 「たちぬはぬきぬきし人もなき物をなに山びめの布さ らす らむ」 タ チ モ ヌイ モ セ ヌ 衣 ヲ 着 タ ト云 昔ノ 仙 人 モ 今 ハ 居 モ セ ヌノ ニ. ナ ソノ タ メ ニ 山 姫ノ アノ ヤ ウ. o. 二 布ラ サ ラ ツ ナ サ ル 事 ヤ ラ. 一一一一. 〔九二六〕. うつし. などの用例にみ られるように, 疑問の語と呼応 した 「らむ」 の謹として 「- -一事ヤラ」 という表現 が用 い られ て い る 例 が 多 い の で は あ るが, な かに は ,. 「秋風にはつ腐がねぞ聞ゆなるたが玉づさをかけてきつ らむ」 秋 風ノ 吹ク空 ニア レ始 メ テ腐ノ 声 ガサス ル ヂャ ガ. アノ 鳴 腐 ハ ドコ カ ラ. 〔二〇七〕. 腐 ハ遠 ハ 遠‐方カラノ状ラクビ 方 カ ラノ 状 ヘ掛テ持テ来ルト云 事. タ ガ状 ラ カ ケ テ キタ 事 ヂ ャ ヤ ラ. などの例のように, 指定の 「ヂャ」 を介しているものも数例み られる 「や ら」 はもともと語調 を , やわらげる語であることは先にも触れたが, ここでは むしろ疑問の対象が 「何」 であるのか分らな うつし. い意を一種の慣用 句的に表わそうと した打消性の語法ではなかったか, 宣 長が考えている誰の 「や ら」 には打消や否定の感情が 多いことに ついては後述する , 更に,. 「やどりせし花橘もかれなくになど時鳥こゑたえぬ らむ」 宿 カ ッ テ 居 タ 橘 モ マ ダ カ レモ セ ヌ ニ. ーーー. 〔一五五〕. △△△. 時 鳥 ハ ナ ゼ ニョ ソ ヘイ ソ デ声 モ セ ヌ ヤ ウ ニ ナ ッ タ ヤ ラ. 「むかしヘや今も恋しき 郭公ふるさとに しも鳴てきつらむ」. 〔一六三〕.
(7) . 夏井邦男; 『古今集遠鏡』 の謎にみられる 「やら」 の特徴的用法について 時鳥ヨ. ー 所 モ 多イ ニ 此 本トノ 在 所へ 鳴 テ 来. ー ソ チ モ オ レ ト同 シ ャ ウ ニ 昔 ガ今 デ モ 恋 ツイ カ △△△. タノ ハ 昔 ガ恋 、シイ ヤ ラ. をたれによす らむ」 「をみなべ し秋の野風にうちなびき心ひとつをたれによ = ラ ミ ナメ シガ. 秋ノ 野ノ 風 ニ ナ ビ ク ガ. 〔二三0〕. △△△ ヨ セテアノ ヤ ウ ニ ナ ビク ヤ ラ じラ ョ レ ニ′ 心 タ レニ. などの用例にみ られるように, 「事」 あるいは 「ヂャ」 などの語句を表わさないで, 直接準体言格 の語を 「ヤラ」 が受けているのも特徴的であると言えるだろう, うつし. このことに関連 して, 疑問の語を伴なわない 「らむ」 の謡の場合に も, 例えば, 「ひさかたのひかりの どけき春の日に しづ心なく花のちる らむ」 〔八四〕 日ノ 光りノ ノ ドカ ナ ュ ル リ ト シタ 春ノ 日 ヂ ャ ニ. ドウ 云 事 デ花 ハ 此 ヤ ウ ニ. サ ワ サ ワ ト心 ゼ. ワ シウ チ ル コ トヤ ラ. などのように, 理由や原因を尋 .ねる語句を補なって, 「一一事ヤラ」 で結ぶ誰が多いのは言うまで も な い こ と で あ る が,. 「秋風にかきなす琴の声にさへはかなく 人のこひしかる らむ」. 〔五 八 六〕. 目‐身 トヒ キ ナ ラ ス 琴ノ 声 ノ 秋 風 ノ 吹クヤ ウ ニ聞 エ ル ニマ デ 人 ガ恋 シイ ・ ・ らん. はかなく 此 ヤ ウ ナ チーョーッ ト. シタ 事 ニ マ デ ヂ キ ニ 此 ヤ ウ ニ 恋 シウ 思 フ ハ ドウ シタ コ ト ヂ ャ ヤ ラ 「わ か れ て ふ こ と は 色 に も あ らな く に 心 に しみ て わ び しか る らむ」 色 コ ソ 物 ニ シム物 ナ レ △△△△. 〔三八一〕. ドウ 云 コ ト デ 此 ヤ ウ 二 心 ニ シミ ジミ. 別 レ ト云 コ トハ 色 デ モ ナイ ニ. トツ ラ ウ 思 、ハ レル ヤ ラ. などの用例にみ られるように, 指定の 「ヂャ」 を介したり準体言格の語を直接に受けたりすること も, 先の疑問の 語を伴なっている 「らむ」 の謬の場合と全く同様である, ところが, こほ へ ぅ め の 花 あ り と や こ にぅくひすのなく」 〔三二〕 「を りつ れを 柚 こ そむ などの和歌では 「なく」 という語の 下に例えば推量の 「らむ」 が当然意味的に考え られるはずだか ら, 「や」 と省略されている 「らむ」 とが呼応した形として謬されなけれ ばな らないのに, 実際に. . テ 梅ノ 枝 ヲ 折 タ ニョ ッ メ 此 柚 ノ ニ ホ フノ ラ. ソ レ デ袖 ガ ニ ホ フノ デ コ ソ ア レ. 、 梅ノ花ガコ 二ア ル ト思 フ カ シテ. コ. 二梅 ノ 花 ハア リ モ セ ヌノ ニ. 島ク 鴛ガ来テ月. などのように 「鴬 がやって来て鳴く」 ということについては, 疑問も不確実な表現もと られていな い の で あ る,. うつし. 「ヤラ」 という語で誕を結ぶ用法は, この推量の助動詞の 「らむ」 だけに限ったことではない. 「ぬれてほす山路の きく の露のまにいつか千年を我はへにけむ」 〔二七三〕. 〆 … … … … 山 道ノ 菊ノ花 ノ 中 ヲ 分 テイ テ 其 菊ノ 露 ニ キ ル 物ノ ヌ レタ ラ 千 ス 間 ホ ドノ チ ッ トノ 「 マ デ ア ッ タ ニ イ ッノ マ ニ マ ア 千 年 モタ ッ タ 事 ヤ ラ. 」 「名取川せゞのう もれ木あ らはればいかにせむとかあひ見そめけ む ~ コ 世”間 ヘ ツ レテ名 ガターッ タ ラ G…. 〔六五0〕. 。。. ドウ セ ウ ト思 フ テ達ゞ ソ メ タ 事 ヤ ラ. な どの用 例 の よ う に, 「け む」 の 謬 と して も み られ る の は, 過 去 の こ と に つ い て 伝 え 聞 い た 不確 実. な意味と して把握 しようとした 意識のあ らわれであろう, 疑問の語を伴なっ た 「けむ」 の誕の多く. が 「ヤ ラ」 の 語 で 統 一 さ れ て い る の で あ る が, な か に は 次 に 挙 げ る用 例 の よ う に 「ヤ ラ」 と い う 謬. に は な らな い も の も み られ る.. 「あれにけりあはれいくよの屋どなれや住けむ人の 音 づれもせぬ」 此家ハ. アふ. ハ レ キ ッ ウァ レタ ワイ. 〔九八四〕. 此 ヤ ウ ニ シテ 何ソ年 ニ マ ア ナ ル 家 ナ レ バ. 昔シ住ソダ.
(8) . 夏井邦男: 『古今集遠鏡』 の謹にみられる 「やら」 の特徴的用法について 人ノ 音 ヅ レモ セ ヌ 事 ゾ. けん. サ ダメ テ 住ンダノv・ア ッ タ デ ア ラ ウ ニ. 「あかざりし袖の中にや入にけむわがたましひのなきこ. ちする」. 〔九九二〕. オノ コリ オ ホ ウ 存 ジテ 別 レマ ツタ オ マ ヘノ 袖ノ 中 ヘ ハイーッ テ. ワ シ ガタ マ ツヒ ハ. ア ナタ. ニ トッ テ ア ル カ 存 ジ マ セ ヌ … … ….. これらは疑問の語を伴なった 「けむ」 にも種類があることを意味す るものであって, この〔九八 四〕 ‘か らん の 意 の け ん9 ’ ’ に 相 当 しな い ) や 〔九九二〕 にみ られる 「けむ」 などは宣長の言葉で言 えを ‘ ものであろうか. 疑問の語を伴なわずに単独で用い られている場合の 「けむ」 の謡としては, ほと んど 「ヤラ」 の語がみ られないこともここで付け加 え; おく, 理由や原因を推測 したり想像 したりするような場合の 「けむ」 の語も, 先に 〔六五0〕 の用例で うつし. 示したように疑問の語と結びついた形として謬に 「一 --タ事ヤラ」 といった語句が表わさ れること うつし. が多いのも, 「らむ」 の場合と同様である. 謬の結びではないけれ ども, 「けさはしもおきけむかたもしらざりつ思ひ出るぞきえてかなしき」 . ケサ ハ マ ア 別 レ二 心 ガ 乱 しテ シテ. . 〔六四三〕. ドゥ シテ 起 テ キタ ヤ ラネ カ ラ オ ボ エ ナ ソ ダ ガ. 其 事ヲ 思ヒ ダ. 今サキ エ ル ヤ ウ ニ カ ナ シイ. などの用例では, 過去の原因や理由を推測し想像する場合, 「どうして」 という疑問の語句を補な った型として 「ヤラ」 の語が表わされる用法である, この種のものは, 先の 『古今集遠鏡例言』 に. 於ける 「らむ」 の謬の型にあてはめるとすれ ば, ③の場合にでも属すことの出来るものであ る. 宣 長が 「らむ」 と 「けむ」 とをいかに近いものと考えていたかを感 じさせてくれるのである, 「をまりえ こ ぐた な. しをぶねこぎかへり同 じ人にや恋渡りなむ」. 〔七三二〕. 堀 江 ヲ 往 来 ス ル 小 船ノ イ ク 度 モ 同 シ川 筋 ラノ ポリ 下り ス ル ヤ ウ ニ. ワ シハ マ ヘ 方ノ 同 シ人 ヲ. 叉 タ チ モ ドリ タ チ モ ドリ 此 ヤ ウ ニイ ッ マ デ コ ヒ シタ ウ 事 ヤ ラ. などの用 例中にみ られる誰の 「ヤラ」 も,「なむ」 の語よりは疑問的な推量の意を表わす 「にや」 の うつし. 語を恐 らくは 「やらん」 の語と同 じ意識の下に謹たものと考え られるし, また, 「春がすみた な びく山のさく ら花うつろはむと や色かはりゆく」 〔六九〕 霞 ガタ ナ ビイ テ・ 其 霞 へ 色ノ ウ ツーッ テ見 エ ルア ノ 山ノ 桜 花 ガ. チ ラ ウ トテ ヤ ラ. ゆく. 霞ノ 色 ガ. カハッテ キタ. 「白露を玉にぬくとやさ▲ がにの花にも葉にも総をみなへし」 )YY~ へ。 。. 露 ヲ 玉 ニ シテ ッ ナ グ トテ ヤ ラ. べ. 〔四三七〕. 蜘 ガ 女 郎 花ノ 花 ヘ モ 葉 ヘ モミ ナ総 ヲ 引 テ カ ケ タ. ニ うつし などの用 例に於ても, 不確かな断定の意を表わす 「とや」 の語の誰 「一 -- トテヤラ」 には, 漠然と した不確実な意味というよりはむしろ詠嘆的な気持ちが龍め られているような感じがする. 宣長は 『詞の玉緒・詞填紛四之巻』 の中で, 「疑ひのや」 に 「一-とや」 の語形をも含めて いるのである なげき が, 「歎のや」 をも設定して い るか ら, この方の意識が強かったのだろう, .・ 「うちつけにさ びしくもあるかもみぢ葉もぬしなきやどは色なか りけり」 〔八四八〕 亭 主 ガナ ク ナ ラ レタ レ バ 葉 ヲ見 タ レ バ. 庭ノ 紅 葉 サ ヘ. oo. ホ【ツ コ リ ト シタ 色 ガナイ ワイ. ニ ハ カ ニ マ ア ドウ ヤ ラ 此 屋 敷 ガサ ビ シウ 思 ハ ル. o.. 事カナ. ソ レュ ヱ コノ 紅. ,. などの用例中にみ られる 「ヤラ」 の語も一例だけのものではあるが, 目前の事実に対しての疑いの うつし 心が, 慣用句的な表現ではあっても, むしろ詠嘆の意 味としての謬に転じていると言えないだろう か, これも中世語と しての 「やら」 にはみ られなかったものである. 和歌の言葉のなかには疑問あるいは推量の意を表わす語句が全くみ られないのに, 「秋の山紅葉を ぬさとたむくればすむ我さへぞ旅 ご ちする」 … … … … 紅 葉ノ チ ル ヤ ウ ス ガ. 〔二九九〕. テ ウ ド旅 人ノ 道 ク ダリ 神 々 へ. 麻ラ チラ シテ 手 向 テ ュク ヤ 7.
(9) . 夏井邦男: 『古今集遠鏡』 の護にみられる 「やら」 の特徴的用法について ウ 二見 エ ル ニ ョ ッ テ. 住 デ居 ル コ チ マ デ ガサ. ドウ ヤ ラ 旅 ノ コ. 「恋しきがかたもかたこそありときけたてれをれどもなきこ … … … … ソ レニ オ レハ 恋 デ心 ガ心 デ ナ ケ レ バ. チ ガス ル. 〔一〇二四〕. ちする」. 立 テ ヰ テ モ ス ヮmッ テ ヰ テ モ. 此身体ガド. ウ ヤ ラ 無イ ヤ ウ ナ 心 モ チ ガス ル. な どに挙げた用例の謬には, 確かな根拠は無いけれ ども, 周囲の状況か らどうにか漠然とそのよう に判断されそうだといっ た意味が, 「ドウヤラ」 という成句中の語にようて 添え られている, この こ と は,. 「こりずまに叉もなき名はたちぬべし人にくか らぬょに しすまへば」 … … … … ソ レニ コ リ モ セ ズ ニ プ. 〔六三一〕. 叉 ドウ ヤ ラ名 ラ タ テ ラ レウ ヤ ウ ニ 思 ハ レル. ニ ク ウ ナイ 人 ガア ル デサ. 世ノ中ノ ナ ラ ヒ. うつ. などの謎のなかにみ られるように, 確実性の意を持っ た 「ぬべし」 の語を議 したと考えられる場合 と 酷 似 して い る, うつし. 誕のなかの 「ヤラ」 にみ られる今ひとつの特徴としては, 次に挙げる一 群の用例の中に於ても指. 摘され得ることだろう. 「たれこめて春のゆくへ もしらぬまにまちし桜もうつろひにけり」 … … … … ヒーッ コ モーッ テ バ カ リ 居 テ. 〔八0〕. 裾 テイ テ 日ノ 過 ク モ シ ラ ヌ マ ニ… … … … モ イ ク カ ヤ ラ 日ノ 春 モイ. 「秋風にあへ ずちりぬるもみぢ ばの ゆくへさだめぬ我ぞかなしき」. o ド 事 ヤー-ラ-、、シW や カ ナ、 、 シイ レヌ ガ . . ・. . ・ ・ . ・ レ ガ身 モ 行 末ノ ドゥ ナ ル馴 , . ・ … ・ ・オ サ. 〔二八六〕. 「つるかめも千年ののちは しらなくにあかぬ心にまかせはててむ」. 〔三五五〕. ÷ -. ア. … … … … ソ レモ ソノ 千 年 ノ 後 ハ ドゥ. ・ ル ヤ ラ シラ ヌ ガ… … …・. 「あしひきの山たちはなれゆく雲のやどり定めぬ世にこそ有けれ」 … … … … ト ソ ト行 末ノサ. 〔四三0〕. ドウ ナ ラ ウ ヤ ラ シ レヌ 世ノ 中 ヂ ャ ワ イ ノ. 「かずかずに 思ひおもはずとひがたみ身をしろ雨はふ りぞまされる」 おも はず ナイ ヤ ラ ワタ シ ガ 事 ラ シ ソセ ッ ニ 思 召 テ 下 サ ル ヤ ラ サ ウ モ ナイ. 〔七〇五〕. ド ハ ドウ ドウ モ コ ノ ホ ドハ ソ コノ. キ>夕 ゞ. シガ タ サ ニ … … … … … … うつし. これ らの用例の誰に共通して言えることは, 打消の語義を直接に強く表現したりは しないために, 先に疑問の語を 「ヤラ」 の語で漠然とぼかしておいて不確かな意を添えてか ら, それか ら否定する といっ た方法になっていることである, 否定性を多分に含んだ 「ヤラ」 という語の存在である. 「雲はれぬあさまの山のあさましや人の心を見てこそやまめ」 〔一〇五0〕 …・コ チノ ムハ ドゥ ヂ ャ ャ ラ 知レハ ス マイ ニ ア. カ ル ガル シウ 逢 事ヲ 止メ タノ ハ マ. ア マ リ ケ シカ ラ ヌ キ モノ ッ ブ レ夕 事 ヤノ. この用 例にみ られる 「ヤラ」 の語も, 打消の意志を表わす 「マイ」 の語と呼応 した形で用い られて おり, また疑問の「ヵ」 がやはり否定性の語を多く伴なって用い られる傾向にあったことと併せて, し これ らも宣長独得の挿 であると言えるだろう・ 以上, 粗雑な論になってしまったが, 「む」 「らむ」 「けむ」 のそれぞれの中に同一的範時のも うつし. のを認めた宣長 が, その誰と して 「ヤラ」 の語を設定 し, 更にその 「ヤラ」 という語調がもた らす うつし 情緒をいかに駆使 することに心を注いだのかという ことの一端を, この 『古今集遠鏡』 の誰のなか. に垣間見たつもりで ある, く註> 1 ) 浜田敷: 『日本文法講座3・文法史』 , 中世の文法. 8.
(10) . 夏井邦男: 『古今集遠鏡』 の謡にみられる 「やら」 の特徴的用 法について 2 ) 此島正年: 『国語助詞の研究』 f frか」 「やら」 . --助詞史の素描. 第3章並立助詞, 第2貨 . 「『か』 は本来, 事物を一つに決めることができないで それに当りそうなものを 『あれか これか』 と疑 , , いなが ら提出する表現から出発したもので, …… (中略) ……引用の 『と』 の下に 『か』 の添うこともある が, この 『とか』 が一語化して, 下の 『言う』 のような動詞なしに並立に用いられるようにもな た この っ . ばあいは 『か』 の択一の意はなくなり, 単なる並列の意で 『や』 とほぼ等しい 」 .. こ 助詞の機能と解釈 馴 鯖 暫し 』(解樫と鑑賞 昭和4 5年1 1月) 格助詞,. 「『やら』 が, ニヤアラム一ニヤラム一ヤラム一ヤラと変化したもので 『や』 は本来疑問の係助詞だ た , っ から, 『やら』 となってもその気持ちが残存しているのであろう 」 また このことについては 『日本文法 。 , 大辞典』(松村明編) な どにも 「 『やら』 は最初の段階では, 『や』 という疑問の意味が意識され 副助詞の , 機能をもって使われている。」 とある. 4) 『室町時代言語の研究』 第9章助動詞. 第22節 ヤラン ヤロウ ヤラ . 5) 土井窓生: 『吉利支丹語学の研究』 2 , 吉利支丹日本語学の 構造・特 質, 「文語の助辞 『やらん』 を, 下のある地方では 『やらう』 といふ 」 . 6 ) 『徳川 時代言語の研究』 第3 2「やら」 , 『江戸言葉の研究』 第39項 「やら」 , 7 )・此島正年:.『国語助詞の研究』 . 第5章係助詞. 第6頃不定の 「か」 「やら」 . 「江戸語における不定の 「ぞ」 と 「か」 との並行に対して それ以前の上方語では 「か」 の使用が少くて , , それに代るものに 「やら」 が用い● られたこと…… (中略) ……江戸語にもまた現代の東京語にも 「やら」 は 「か」 と同意に用いられるが, 「か」 と比べると語調がやわ らかく古風な感 じがして 使用頻度も低い 」 , 。 8) 『古今 集堂鏡例言』 によれば, 鞍ヒ書 ( 『古今集遺鏡』) は, 古今集の歌 どもを, ことごとくいまの世の俗語 (大かたは京わたりの詞) に謡せる也」 とある. 9 ) 『詞の玉緒』 巻之六論墳詞. ョ野方目謬雷1 第4 1段. (本学講師・函館分校).
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