基礎・基本の習得を目ざす授業の実践的研究(II)
17
0
0
全文
(2) . 北海道教育大学紀要 (教育科学編) 第5 3巻 第1号 lo fHokka i i fEducat i i I ido Un I tyo Journa ver s on (Educat on) VO . .53 .No. 平 成 14 年 9 月 Sept ember .2002. 基礎・基本の習得を目ざす授業の実践的研究 (ロ). icing studies o The pract fthe class whi ch ainQ to acquire the basics ics educat ion = ・n mathemat. 大 久 保 和 義 (北海道教育大学札幌校) 阿部 島貫. 要. 美 幸 (札幌市立苗穂小学校) 静 (札幌市立東苗穂小学校). 山本. 哲 雄 (元札幌藤女子短期大学). 庄 司 ひ さ 子 (札幌市立真駒内緑小学校) 森井. 厚 友 (北海道教育大学附属札幌小学校) 亮 子 (札幌市立ぁゃめの小学校). 末原. 久 史 (札幌市立日新小学校). 平野. 村上. 友 宏 (札幌市立幌西小学校). 酒巻. 智 (札幌市立日新小学校). 関根. 基 樹 (札幌市立石山東小学校). 長谷. 亜 紀 (札幌市立百合が原小学校). 約. 算数教育 における基礎・基本について研究グループを作り研究を進めてきている‐ 今回の報告は 前号に引き続き, このグループでの研究成果の発表である. 基礎・基本の捉え方は内容的なものと 学び方・考え的なものが考えられる.論文の前半では学び方の基礎・基本について考察する.算数・ 数学教育では学び方を育成することは問題解決能力を育成することが, ほぼ同義語と考えてよいだ ろう. そ の と らえ か ら, ここ で は, 問題 解 決力 を育 てる た めの 基 礎・ 基 本 につ い て 考察 する 問 題 .. 解決を行うとき, 通常5つの段階が考えられるが, その段階を基に基礎・基本について述べる. また, 実践例では2つの実践を取り上げる‐ 実践例1はこの会として実施した研究授業である . 特に, 単元を通して, 学び方の基礎・基本の中でも既習を活用して計算方法を作り出せることを学 ばせたいというのが教師の願いである. 実践例2は立体の体積を求める学習で 考え方の基礎・基 , 本として柱体を底体積がいくつ分という見方でとらえること, また学び方の基礎・基本として個の 考えを基に全体で解決したり, よりよい解法方法を求めていくことに焦点を当てている.. 1. はじめに 前号 ( ( 2 )参照) では, 今年度から実施される 新学習指導要領のもとで算数・数学の基礎・基本がどのよう にとらえているかを概観し, さらにこの会として算数・数学教育の基礎・基本のとらえを示した その考え . を要約すると, 第1に, 子 ども一人一人の能力や個性を生かし また子ども自らが考える能力ととらえ 第 , , 2 に 単に知識・技能だけでなく 思考力・判断力・表現力 (数学的な思考力) を含むものと考え 第3 に , , , , 基礎・基本として問題解決能力, 学び方も含むものと考えた. さらに, こう したとらえの元に,子ども達が基礎・基本を習得する算数の授業のあり方を考察した 基礎・ . 基本は単に1時限の授業で達成されるものではなく, もっ と長い時間をかけて (学年を通して .または単元 , を通して) 習得されるべきものであること, 算数科の学習は各領域がスパイ ラル形式で積み上げられていく. 77.
(3) . 大久保和義.山本哲雄.阿部美幸‐庄司ひさ子‐島貫 静‐森井厚友・末原久史・平野亮子・村上友宏‐酒巻 智・関根基樹・長谷亜紀. 特 徴 があ り, そ こ に は, 領 域 固有の学 びのス タイ ルがあ り, そ れ ぞ れで の基 礎 ・基 本 の と らえと, 指 導 のあ. り方, また, 単位時間での問題解決過程と, 基礎・基本の習得の関連について述べるとともに, その具体化 について実践的な研究を行い, その報告をしてきた. 本論文では, 2章で前号での学 び方に関する基礎・基本についてもう少し具体的に論じる. 3章で基礎・基本をテーマに実践してきた授業について述べる.. 2. 学 び方としての基礎・基本 2. 1 自ら学ぶ子の育成 平成8年に出された中央教育審議会第一次答申で, 「ゆとり」 の中で自ら学び自ら考える 「生きる力」 の 育成が21世紀に向けての教育の基本として提言され, その後, 数次の答申を元に平成10年に教育審議会の最 終答申が出されて, それを受けた形で新学習指導要領がこの4月 から実施される. そこでは, 今日の社会の 変化が激しい中で, 自らが課題を見つけ, 主体的に問題を解決する力の育成が求められている‐ 自ら学び自ら考える力の育成は,答申で示された「自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力」 , る‐ もちろん, こう すなわち, 「生きる力」 を育成する上で中核となる基礎・基本ととらえられるべきであ‐ した 「学び方」 の指導は教科だけではなく学校のすべての領域, 活動の中で考えられなければならないが, この章では, 特に算数科の学習を通して育てられる 「自ら学ぶ力」 について考察する. 「自 ら学 べる」 子 ども を 育 てる た め に は ま ず も っ て 教 師 がそ の こ と の 重 要 性 を 充 分 に認 識 し そ の た め , ,. にはどのような指導をすればよいのかをきびしく考える必要があろう. 算数教育実践研究会では先に述べたように, これまでに「基礎・基本」 に関する基本的な考え方として 「内 容に関する基礎・基本」 と 「方法に関する基礎・基本」 を考えてきた. 前者については各学年の指導内容及 び4つの評価観などが, 後者については学び方(問題解決能力な ど) が該当するものと考えてきた. したがっ て, 上記のような子どもが自ら学ぶための 「学び方」 の育成 は会の主題 「基礎・基本の習得を目指す授業の 実践 的研 究J の 中 で重 要 な位 置 を 占める も の と考 え, そ の 要件 と なる こと につ い て述 べ る.. 2. 2 問題解決力の育成 今回の学習指導要領の改定で,算数科では, 数量や図形についての基礎的・基本的な知識・技能を習得し, ・力など創造性の基礎を培う とともに, 事象を数理的 それを基にして多面的にものをみる力や論理的に考える に考察し, 処理することのよさを知り, 自らそれを次の学習とか日常生活に活用する態度を育てることが基 本方針としてあげられている. この基本方針が, 求められる学び方の姿であり, 実現が求められていること である. 算数科では, その 「学び方の育成」 のために問題解決力の育成を推進してきた. 問題を解くことを 通じて, 学級で共有し得る新しい見方・考え方や知識・技能を生み出す力, そのようにしてお互いをよりよ く更新し自ら伸 びていこうとする態度が, 算数科でめざす問題解決である. その問題解決力育成という課題 のもとで, これまで 「学ぶ力の育ち」 が図られてきた. そう した意味では, 算数科では 「学ぶ力を育成する こと」 と 「問題解決力を育成すること」 はほぼ同義語として考えてよいだろう. ここでは学び方の育成とい う視野に焦点を当てることにする. 通常, 問題解決学習を行う とき, 5つの段階をふまえることが多いので, その5つの段階のそれぞれにおけて育成されるべき基礎・基本を示そう. 1 ) 問題の設定: ( 単元や本時の導入な どで, 学習対象となる問題作りをする段階 ・学習の目標を定めたり, 学ぶ順序を定めたりする力. 78.
(4) . 基礎・基本の習得を目ざす授業の実践的研究 (n). ・教 師の 授 業展 開 の ね らい を読 み とる力 2 ( ) 問題の理解:. 状況を把握し, 何が問題なのかを理解する段階 . 問 題 か ら自 分 の 問い を見つ け だす力. ・仲間と何が問題かを共有する力 ( 3 ) 解決の計画: 理解した問題に対して, 解決に必要な方向性を定める段階 ・既習の内容や経経験を思い出す力 ・ 見 通 しをもつ 力 ・ 自力 で解 決 しよう とす る力 ( ) 解 決の 実行 : 4. 解決の計画を元に, 問題の解決を試みて, 一応の結論を導く段階 ・計画の基に解決を実行する力 ・既習の経験や内容を活用・工夫する力 ・自分の考えを仲間にわかるよう に表現する力 ・自分の考えと仲間の考えとの異同を認め, 異同の背景にある本質を明らかにする力 ・ 自 分の 実行 をふ り 返る力. 5 ( ) 解決の検討: 過程や成果を適切に評価し, 分かっ たことや検討すべきことを明確にする段階 ・考えの異同を越えて, 他者の考えに共感する力 ・解 決を 検討 し, よ り よ い 結 果 を導 く力 ・一 般化, 拡 張 できる力 ・ その 授 業 で学 ん だこ と, 仲 間の 考 えと 自 分の 考 え の 良さ を比 較 し, 自 己評 価 できる力. これらの各段階での基礎・基本として, 関心・意欲・態度にかかわる面, 数学的な考え方にかかわる面, 思考力・判断力・表現力にかかわる面, 知識・技能にかかわる面等が考えられる. 以下に, それぞれの段階 での主な学び方を, 節を設けて述べていくが, 数学的な考え方については, 幅が広いので次号以降で取り上 げる こ と にする.. 2. 3 問いが連続的に発生する文脈作り 社会でよりよく生きようとか, 困難に打ち勝とうとすると, そこで生ずる問題を主体的に解決することが 求められる. そのためには, まず何が問題かを明らかにする力が必要になる‐ 算数の授業では, 提示された 問題から, 自分にとっ ての真の問いはなにかを明らかにすることが, その後の主体的な解決への活動に大き く影響する‐ そうした意味では, 自分自身の問いをもつことが学び方の基礎・基本といえる. 算数の授業を 参観 して いる と, と き に教 師が子 ども に何 を させ よう と して いる の か が, 見 え な い こ と がある. 問い の 自覚 や 共 有 は, 子 ども の立 場 か らす れ ば, 今こ の 場 面 で, 何 を, な ぜ, と いう 目 的の 自覚 共 有 に直結 している , .. 子どもが自ら問いをもてるようにすることが, その瞬間に, 何をしたいかという子どもの意欲をかき立てる の であ る.. 例えば, 3学年での分数の学習を考えよう. 前時で1 3d / l等の量を表す分数を学習し, 本時はそれ以外に 日常から1 /4というの分数を使う場面を見つけてくる学習である. 子どもはケーキを分けたり, リン ゴを4 人 で 分 けたり する 等, 思 い思 い の場 面 を見 つ けて き て, 分割 する と き に使う 分数の 意 味を学習 して い っ た.. 79.
(5) . 大久保和義・山本哲雄‐阿部美幸・庄司ひさ子‐島貫 醇・森井庫友‐末原久史・平野亮子・村上友宏‐酒巻 智・関根基樹‐長谷亜紀. 「 「 この学習 で は, 「同 じ大きさ に 分 ける.」 , テ ー プ図な ど で 長さ が違 っ ても1/4が考 え ら れる‐」 つ ま り, …… の1/4 」 で 「の」 が 重 要 だ, と いう こ と を 自 分達 で 気付 い て いく 学 習 であ っ た. こ の 学習 を 進 めるう ち に子 「 ども か ら 「 1/4は 分か っ た が, 2/4と か5/4と か いう 分数 はあ る の です か.」 , 1/4が4 つ で1 と い っ て い い の です か.」 と いう 質 問 が 出さ れた. こ の 教 師 は, 日 ごろ か ら手 作 り の 教 具 を用 い て, 子 ども の 説 明 を助 け, 言葉 だ けでなく, いろ いろ な活動 をさ せる こ と によ り, 具 体 的な 理解 を 図 っ て いる. ま た, 学習 を通 して生 じた 疑 問 に対 して は, み んな に問 いか ける こと を促 している. そ して そこ で生 じた 問 題が子 ども達 に 共有 さ れ, 次 の学習 へ とつ な が っ ていく よう 配慮 して いる‐. 子 どもに問題が的確にとらえられれば, いくつかの困難があってもその問題の解決に向かって焦点化され た思考活動が始まる‐ 算数の授業で問題にされる子どもの問いの多くは, その子にとって未知を意識する場 面で発生する. 教師は, その問いが連続的に発生するよう計画する必要がある. 2. 4 既習を生かし活用する力の育成 2. 4. 1. 既習 の 基礎 ・基 本を次 の学 習 に活 かす. 子ども達にとって, 新たな問題を解決するのに, その手がかりを既習の学習内容, 方法に求めることは自 然なことである. 例えば, 2学年でのかけ算, 『4の段』 を構成する学習を考えてみよう. すでに学習 して いる か け算 は, 2, 5, 3 の段 である. 既習 の学習 での か け算 の秘密 を基 に, 児 童 はいる いる な作 戦 (図で 表示 する, 4 と び で 数え て いく, 4 ずつ 足 して いく, 前 の 答え に4を加 え ていく 等) を用 い て, 自分 で4 の. 段を構成していくことが考えられる. このように, かけ算に関する既習の性質を活用して, 九九を構成した り, 新しい考え (4 x 2 = 2 x 4, 4 x 5 = 5 x 4などからかけ算の交換性) を発見したりするなどが考え ら れ, その こ と に対 する 喜 び, 成 就 感 を 味わわせる こと がで きよう. そ の こ と が次 時の 学習 へ の意 欲にもつ. ながると考えられる. 学習指導では, ともすれば, その単元で学習することをどう児童に理解させるかという目前の目標に目が いきがちである. 学習内容や学び方等が次の学習, または日常の生活でも活用されることを念頭に指導にあ たることで, その目前の目標がやがて容易に達し得る. それが生きる力を育てる学習指導である. 例えば, 2 学 年 の10000ま で の 数 で, 1000か ら3桁の数を引く計算を扱う. 前の単元で3位数十3位数の計算で百の 位 の 繰り 上 がり がない 計算 は既習 である. 授 業 で は, 『 1000円 をも っ て かいも の に行 きま した. 295円の お か しと358円のミカ ンをか いま した.』 と いう 場 面 提 示 を して, そ こ か ら どんな 問題 が考 え ら れる か, を子 ども 「 に聞い た. いく つ かの 問 題 が考 え られた. 子 ども か ら出 てき た 問 題 は, 「あ と いく らか える で しょ う.」 , い く らか っ た で しょ う.」 等 で 「おっ り がいく ら で しょ う.」 と いう 問題 はす ぐに は出て こ な か っ た. こ れ は,. 2学年の子どもはまだ, 自分でお金をもって買い物をするという経験が浅いことが原因かも知れない. おっ り がいく らか を問 題 に した この授 業 で のね らい は次 の2 点 であ っ た. ①見積 り をする こ と によ り て, この 2つ のも の を買 える か どう か をす ぐに判 断する‐ ②1000-3 位 数. の ひき算 の 計算 がで きる.. ①に関しては, これからの生活で大切な考え方になる. 本授業では既習として買っ た代金を求める 3位 数十 3位数 の筆算を学習しているので, 筆算をしてから, 買えることを判断しようとする子どもが大多数 であ っ た. しか し, 日 常の 生 活 で, 買 える か買 え な い か を素早く判 断する こ と も必 要 に な っ て こよう. 「1000 円で買 える か買 え ない か早く 判 断でき な い かな‐」 という 問い か けに対 して, 「できる よ. だっ て, お か しと 「 ミ カ ンを買 っ て も600いく らに しかな らな い.」 , う ん, 700円 に はな らな い か ら買 える よ.」 等 の 考 え が 出さ れ, さ らに, 「何 で買 っ た の が700円 にな らな い と い える の かな.」 と いう 教 師の 質問 に対 し, 「だ っ て ね, お か しは300円く らい で, ミ カ ン は400円よ り 安 いよ.」 と いう こ と か ら納 得さ れ, こ の 考 え 方 の 便 利 さ が 理解. 80.
(6) . 基礎・基本の習得を目ざす授業の実践的研究 (B). さ れ たよう に思う. もち ろ ん, こ のよう な 考 え方 は 繰り 返 し学習 を 進 める こ と によ っ て, ま た, 子 ども がそ のよ さ を 実 感 する こ と によ っ て 育 っ て いく も の であろう. そ の た め に は, 教 師 が絶 え ず意 識 し, 適切 な機 会 を逃 さ ず 子 ども にそ のよう な場 面 を提 示 して いく こと が 大切 であ る. ② に 関 して は, 既習 の 学 習 か ら, ほと ん どの 子 ども は, 295十358=・ 653の 計算 はで き て い た. 次 に, 1000 -653の 計 算 を する こ と に な る が, 既習 の500-278の解 決 に用 い た 様々 な 作 戦 (位 の 部屋 作 戦, 線作 戦, 筆. 算作戦など) を活用して解決をしていっ た (繰り下がりが3回あるために子どもにとっ て抵抗が大きかっ た が-)‐ このク ラス の子 ども たち は, 新 た な 問 題に対 して既習 と どう 関連 づ ける か につ い て の 学習 がよ く な さ. れていた. これは教師の姿勢によるものと思う. 新しい単元等を学習する際, 既習で関連することを学習し て き て いる か ら, そ の 内容, 方法 は子 ども が使 える はず である と 教 師 が考 える と す れ ば, そ れ は 間違 い であ 「 ろう. 「こ れ に似 た 問 題, 勉 強 して こ な か っ た か な.」 , 前 に学習 した こ と を 使 え な い か な.」 等, 特 に低,. 中学年では意識して学習する内容, 方法を既習とどう関連づけていくかの指導があっ てこそ, 子どもにその よう な力 が育 っ て いく の であろう. 2. 4. 2. 既 習 の力 を 発展 さ せ, 拡 張 さ せる 生 か し方. 一方で, 新たな問題を解決するのに, 既習の考え, 方法を活用するだけでは単純に乗り越えられない場合 が殆どである‐ そこでは既習を問い直したり, 既習の意味を発展させ拡張する見方や考え方が必要になる. 例 え ば, 5 学年 で 『円の 面 積』 を 求める の に, そ れま での学習 で は 「求積 を する と き に は習 っ た形 に直 せ ば よ い‐」 こ と を 学 ん で き て いる. した が っ て, 円の 求積 でも, 何 と か 今ま で に習 っ た 図 形 に 変 形 しよう と す る が, 今ま でみ た い にう まく い かず, 何 と か そ の点 を 克服 する こ と が必 要 になる. 多 く の子 ども は 円を扇 ,. 形に分割し, それを組み合わせて, 平行四辺形, 長方形, 台形等に近い形に変形して, 求めようとするが, 扇 形 の 弧の部 分の 処 理 に困 っ ている. しか し, そ の 分割 を小 さく する こ と によ り, 円の 面積 公 式 にた どり着. くという過程を経ることになる. 分割を小さくする, という考えは決して易しくはないが, 今までに何度か そ の こと を 子 ども が見 つ け て いる 授 業 を 参 観 して いる. た と え ば, 「円 の 回り を1000等 分す る と ほ と ん ど ,. 三角形でそれを互い違いに組み合わせていく と長方形になる. また横の長さは, 円周の半分でたては半径に なる.」 ということを主張する. このような考えが出てくるためには, 既習として子ども達に等積変形の活 動 を 十 分 にさせ てお く こ と, ま た, いろ いろ な学習 の場 を通 して, 既習 だ けで は解 決 が 困難 な 時 に どのよ , う にそ れを のり 越 え て いく か の 経験 をさ せ て いく こ とも 大 事 であ る. 2. 5. 表 現力 を育 て る た め に. 自分 の考 え た こ と や 感 じた こ とを 的確 に述 べ たり, 相 手 に伝 える た め に 言葉や 式 図 表 グラ フ等 に , , , ,. 表わすことの重要さを知るには, まず子どもの表現力を育てる必要がある. 自分の考えを表現する力も算数 学習 での 基 礎・ 基 本 と して重 要 な力 である‐ そ の た め に は, 次 のよう な授業 作 り が求 め ら れる . 2. 5. 1. そ の子 なり の考 え を大切 に した 授 業作 り. 教育実習の研究授業では,算数を専攻にしていない学生でも算数を選ぶ場合は多い.その理由を聞くと 「算 , 数 は答 え が 1つ でや り や す い」 と いう 答 え が 返 っ てく る. た と え ば 「1/21 の ジ ュ ース と1/31 の ジュ ース , を 合わ せる と 全 部 で何1 になる で しょ う」 という 問 題を提 示 した とす る. ベ テラ ンの先 生 であ れ ば 例 え ば , 「2/5」 と いう 反応 をする 子 ども を期 待 して 授 業 を展 開する しか し 実習 生 は機械 的 である 子 ども達 に 「こ . , ‐ の 問 題 の式 は どう なり ま す か」 と 問 い か け, あ る子 ども が 「1/2+1/3」 と 答える や 否や 他の 挙 手 した子 ど , 「 「 「 も の い い で す」 と いう 声 を 耳 に, 即 座 に そう です ね」 と 答 え , 1/2+1/3」 の解 き 方 を求 める. 自力 解 決の 時 間を与 え た上 で, 1/2十1/3=3/6十2/6=5/6と 計算 してい る 子 をあ て て 「そう です ね 1 は 6と同 , , じで1/3は2/6と 同 じで した ね. 同 じ分母 な ら計算 でき ま した か ら 分母 を揃 える こと こ と が大 事 な んです ね」 ,. 81.
(7) . 大久保和義・山本哲雄‐阿部美幸‐庄司ひさ子・島貫 瀞・森井厚友‐末原久史・平野亮子・村上友宏・酒巻 智・関根基樹・長谷亜紀. と して, あ と は 練習 を行う, と いう バ タ ー ンと なる. このよう な方 法 で算 数の 指導 がなさ れた ら, 子 ども は,. 「算数は正しい式を作っ て 計算をして答えを出す教科で 計算する力がもっとも大切だ」 という思いをい , , だくに相違ない. 実習生同様に, それを悪いことではないと思う先生も中にはいる だろう. しかし, 式が立 てられない子は, 算数を苦手とし, また形式的な計算ができなければ算数は面白くないということになる. それでは学び方など育つはずもなく, 算数嫌いが増えるのも当然となる. な ぜ, こう いう 式 になる か, 式 を たてる に しても 子 ども そ れ ぞれの 思い があ り, ま た 計算 の結 果 は1つ で. も, そこに, たどり着くまでには子ども一人ひとりの考えがあり, 自分なりの方法やアイディアで解決する ことの楽しさを味わわせることが大切である. 2. 5. 2. 解 決 の 手 だて と なる 表 現 をも た せる こ と. 子どもが問題を解決するとき, 既習の活用等, 問題に直面したときに解決するための手段や方法をもっ て いることが必要である. 特に, 問題場面を, 図, 数直線, 線分図, 表などを使って表すことが必要である. 子どもは線分図, テープ図のような言葉は知っているが, 多くの場合, それを使っ て問題場面を適切に表現 できる ま で に は育 て ら れて い な い.. これらの表現は, その表現が実際に必要になる以前の学年から計画的に教科書には盛り込まれている. 残 念ながら, それを使わなくても解ける学年段階では, それらの表現は子 どもが自ら使える道具 (媒介表現) とみ なさ れず, 取り 上 げら れない ことも多 く, 解 決の 手 だてと して使 える ま で育 て られて いな い. 従 っ て,. それが実際に必要な学年で, 改めて表現力を高めることが必要になる. その場合, 下学年の内容を振り返り, 確認するような授業設計が必要になる. また, その表現をその子なりに使える楽しさを味わう機会を持つこ とが, 表現を解決の手だてとして使える道具にまで育てることを忘れてはならない. 例えば, 5学年での次の問題を考えてみよう. 「 2/5m の重さ が2/3kg の 木材 がありま す. この 木材 l m の重 さ は何 kg です か.」 0. 1/5. 3/5. 4/5. ^=V. 1. (m). △. ( kg ). この図 (二数直線, 比例数直線とも言う. デカルトも用いている) から, 子どもは次のように考えを進める こ と が期 待 できる. 3/8は3/4の 半 分) で求 め ら れる. ( ァ ) l m は2/5m が2つ と 後1/5m だ か ら全 体の重 さ は, 3/4十3/4+3/8( 名) 1/5m で3/8kg だか ら, l m はそ の 5倍 だか ら, 3/4÷2 × 5 (ま た は3/8× 5) となる. ( ) 2 m 分 は3/4kg の5 倍 で, l m 分 はそ の 半 分だか ら, 3/4× 5 ÷ 2 であ る. ゥ 国 2/5の5/2倍が1 だか ら, l m の重 さ は3/4x5/2で求め ら れる.. この例は, 問題から多様な算数の考えを得る上で, 数直線のような媒介表現 (道具) が必要になることを示 している. 図, 数直線, 線分図, 表などの媒介表現 (道具) を身に付けることは, 子どもの算数的な見方, 考え方の幅を広げることになる. そして, 自分なりに考えた過程を, 式, 表, 図, 言葉, 具体物の操作等で, 人にわかるように表わすことができるようになることは, 筋道立てた思考や説明をする上で大切である. 2. 6. ノ ー トの取 り 方や 活用 を 図 る. 算数科ではノートはあたりまえの用に使われるが, 意図的にノートを指導の手だてとして使っ ている先生 方は意外に少ないのではなかろうか. しかし, 子 どもの育ちを図る先生方の間では, むしろノートでの表記. 82.
(8) . 基礎・基本の習得を目ざす授業の実践的研究 (ロ). やその活用こそが日々の子育てを支える地道な指導方略となっ ている. 実際, ノートの内容についての暖か くしかも詳細な言葉がけを通じて, 子 どもはその日の学習をふり返り, 表現のよさを認め, 問いが連続的に 発生する課題意識をもてるようになる. ノートの内容は, 子 どもにふり返りの機会を与えて, 学ぶ意欲の伸 長を促すばかりでなく, 教師の側からみても, その子をどう育てるかを考える機会を提供している. ノ ー トをとる 内容 と して は, 問 いの 連 続 的な 発生 を基 礎 に した学習 の 流 れ, 自分 なりの探究の文脈を意識 さ せる こ と な ど本質 的 に重 要 な こと と 考 える. そ の ため に は, 今日の 学習 課 題と して 話 題 にさ れた こと と, 自 分なり に考 えた こ と, 分か っ たこ と, そ して 感 じたよ さ な どがは っ きり わ かる よう にノ ー トに 表現 できる. ことが必要になる. 具体的には, 以下のようなことが子どもなりの言葉で表現できる指導が必要である. ・考 え て わ か っ た こ と, でき た こ と, 気付 い たこ と ・ま だ, は っ きり しな いこ と, 迷 っ て いる こ と t友 達 の 考 え 方, 発 表を 聞い て わ か っ たこ と, 感心 した こ と. ・その授業以前の自分と, 今日の授業での自分とを比べて, 自分がどう変わっ たかを語ることを特に大切 にする‐ ・他 者 と 自 分 との異 同を述 べ た 感 想 を特 に大切 にする.. 特に, 子どもの考えを育てるために, 次のような指導も必要である. ・ 算 数の 言葉, 図, 表な どを使 っ て, 自 分の 考 え を 表 現する. ・ノ ー トを利用 して自 分の 考 え を発 表する. ・ 復習 する とき に, 自 分 でわ かるノ ー ト作り をする. ・ 新 しい 課題 を解 決する と き に以前 に書 い たノ ー トを 使う‐ ノ ー トに自 分の 考 え を記 す 指 導 で は, そ の 表現 はそ の 学年 の 発達 に応 じたも の と なる. 例 え ば, 1 学年 な ら ば, 問 題の 場 面 状況 を把 握 する の に, 絵と か 図で 表 わす こ と 考 え ら れる. 2, 3 学 年 な ら 図, テ ー プ図 を. 利用して問題場面を構造的に表現, 問題をつかんだり, 計算の意味を理解したり, 解決していく手がかりと する が考 え ら れる. そ こ では, 1つ の 考 え方 にいつ ま でも 固 執 する の では なく, よ り よ い 考 えへ と高 め て い く 指 導 が 必要 になる. 例 え ば, 1学 年 で 「た だ し君 はシー ルを32ま いも っ て い ま す. 24ま いも らう と シー ル はぜ んぶ でな んま い に なる で しょ う.」 と いう 問 題 で は, 次 のよう な考 え (ノ ー トでの 記述) が考 え られる. 1. 絵作戦 :32個, 24個 の ○ を書 い て, そ れを 全部 数 えて 答え を 出す 2‐ 図作 戦 : キ ュ ー ブの 図を使 っ て, 10の かたま り と1 の か たま り を そ れ ぞ れたす 3. 位 の 部屋 作 戦 :10のく ら いと 1の 位 の 部屋 を用 いて そ れ ぞ れの 部屋 の 数を加 える. いずれの方法(作戦)でも答えは出せる. 比較してそれぞれの方法のよさがみえてくる. 絵作戦は場面にあっ ているが, 書くのは大変である. 図作戦, 位の部屋作戦の簡潔さは絵作戦と比較してわかるものである. こ のような経験を積み重ねることによって, 子ども達にもよりよい考え方, 表し方, 解決方法を求めようとす るようになる. 問題場面を図, テープ図, 数直線, 線分図等で表わし, それを用いて問題を解決し, 説明を す る こ と によ っ て, 算 数 ら しい筋道 だ っ た考 え方 が 際 だ っ よう に なる. ノ ー ト活用 の 要 点 は子 ども の 「ふ り 返り」 と 教 師 による 「励 ま し」 である. た と え ば 見通 しを書 かせ る ,. とする. 子どもは既習を振り返ることなく見通しを容易 にもてないものだし, せっかくもてた見通しも認め ら れる こ と が な けれ ば報 わ れない. 特 に, 終 末 時 の子 ども 自身 によ る 振り 返 り は そ の後 の 学習 へ の 課題 意 , . . 識をつなげる自己評価の機会となるし, その課題意識に対する励ましはその課題意識を適切に方向付け 暗 , 黙の約束として意味をなす. 子どもによるふり返りでは, 自分 自身の本時の学習での学びを整理したり 授 , 業に対する自分の取り組み等を書くことが行われる. その子どもの学び方を記録として残すことは その子 , の授 業 に対 す る 自 己評価 と しても貴 重 である. ま た, 教 師 がそのノ ー トを見 る こと によ っ て そ の学 びを知 ,. 83.
(9) . 大久保和義‐山本哲雄‐阿部美幸‐庄司ひさ子・島貫 櫛・森井厚友・末原久史・平野亮子‐村上友宏・酒巻 智‐関根基樹‐長谷亜紀. り, 次の授業設計に生かすことができるし, 次の授業への子どもの問いを奨励できる. 単元の終了時には, その単元の学びを自分なりに整理することによっ て, その単元での学習を整理できるし, 新しい課題を解決 するときの資料として活用するのに役立つ. 2. 6. コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ン能力 を育 て, 高 める. 自 分 の解 決 を元 に, ク ラス の 他の 児童 と積 極 的 にコミ ュ ニ ケー シ ョ ンする こ と を通 じて, より よ い考 え を. 得ようとする. それは学習の本質である. 同時に社会勉強の場としての学校で, その根幹をなす教室は, コ ミ ュ ニ ティ を 作り, そ の 中 で, 共有 し, 共 感 し得る 考 え を 発展 さ せ て いく 場 である. ク ラス 全 体 で個々 の子. どもの考えを交流したり, その考えを議論することによってクラスの全員がより高い次元に高めていく活動 が できる, そのよう な学 級 経営 を したい. 子 ども の社 会性 (社 会力) を育てる には, コミ ュ ニケ ー シ ョ ン は. 不可欠である. 算数科でも共に学び合うという意識の中で, 自分の考えや方法を積極的に述べ, 共感しえる よう にコミ ュ ニケ ー シ ョ ンを成 立さ せ て いく こ と が大切 である. そ の た め に は, 自 分の 考 え をも っ て, 仲 間. にもわかるように表現することが大切であり, 自分の見方や考え方にこだわり, 他者に説明したいという姿 勢 を 持ち な が らも, 互 い の 考 え を認 め 合 い, そ れ ぞれのよさ に共 感 しえる コミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン態 度 が必 要 で ある. 授 業 で仲 間 と の コミ ュ ニ ケー シ ョ ンをもつ 場 と して は, 主 に自力 解 決 を行 っ た 後 の小 集 団 による 交流. (小交流) , またクラス全体での交流 (全体交流) が考えられる. 早く解決した子ども同士が解法を比較検 討し合ったり, 考えに行き詰まっている子が, 考えるヒントを得るために他の子と交流することは必要であ る.. ノートの記述を互いに読みあったり, 自分の考えを要領よく説明し合ったり, 疑問を投げ合ったり, 相違 を明確にしあっ たりするなど, 互いの考えのよさを認めあうために行うものであり, 誰もが誰かに関われる ところに力点がある. 誰がどのようなことを全体交流で話すべきか, 互いに見極めができる機会ともなる. 全体交流では, 全体で多様な考えを出し合い, その妥当性とか, それらの解に含まれる相違性, 共通性を 見つけたりしながら, お互いの考えを共有したり, 全体でそれらの解を, よりよい考え, 表現に練り上げて いくことに力点が置かれる. 全体交流で子 ども達は, いろいろな考え方や解決方法を出し合い, よりよい解 決方法を追求することによって, 自分の気付かなかっ た解法を知ることによっ て, 自分の考え方や見方を豊 かにしたり, 多面的な見方をしたり, よりよい考え方や解決方法を求めていこうとする態度を育てていくこ と に なる.. 2. 7 子どもがよさを感得するために 算数を学習するに当たって,ただその内容や方法を教えられて理解するのではなくて,既習を活用したり, その内容や方法を自分で考え出したりして, よりよいものに改善していく過程を通して, 数学的な考え方と か, 処理の仕方のよさとか, 学ぶ楽しさを味わうことが大切である. このような学習を通して,「簡潔になっ 「 て わ かり や す い」 , いつ でも 使 える 方法 だ」 等 の よさ が分 かり, 児 童 が, さ らにも っ とや っ て み たい と いう,. どちらかというと知識・技能などの認知的な面に対して,情意的な面を重視したものといえよう.たとえば, 三角形の面積を求める学習では, それまでの長方形, 正方形, さらには平行四辺形の面積を求めた活動を土 台として, いろいろな等積変形, 倍積変形等の活動を行っ て, どの考え方もいつの公式に整理できることを 学ぶ. この学習では, いろいろとある考え方から, 自分たちでその面積公式を作り出すことのなり, それに 「 よ っ て, 「いろ いろ な 考 え 方 も 1つ の 公 式 に整 理 できる.」 , 面 積 が簡 単 に見つ ける こと が で きる.」 と いう よさ を感得 さ せる こ と によ っ て, 「違う 図形 でも 面積 を 求め て み た い.」 と いう 子 ども 達 の 学習 へ の 意 欲につ. ながることが期待できよう. 学び方を育てるには, こう した体験も大切にしたい.. 84.
(10) . 基礎・基本の習得を目ざす授業の実践的研究 (亘). 3. 実践例 実践例 1. 4学年. 「わり算」. 藤原 (長谷) 亜紀. 1 ( ) 単元 につ い て. 整数の除法は, 3年生で除数が1位数の場合については一応完成 している. 3年生では, わり算の意味理 解, 除数 が1位 数 の場 合の わ り 算の 仕 方, そ して筆 算 につ い て は, 「立 てる」 「か ける」 「ひく」 「おろ す」 の 手 順 を 繰り 返す こ と によ っ て 商 が求 め ら れる こ と を 理解 して き ている.. それを受け, 本学年では, 除数が2位数, 3位数の除法について扱い, それらの計算が3年生で学習して きた基本的な計算を基にしてできることを理解していくことに価値があると考え, 単元を構成した. ま た, 計算 の段 階を細 かく 分 け, 子 ども たち がそ こ で学 ん だこと を生 か し 活用 しな がら 次の 学習 をつ , , く っ てい ける よう 単 元 を構 成 して いる‐ 子 ども たち はわ り 算 の 問 題 に直面 した とき,「絵 (具 体 的な) を かく」「10ずつ な どのま とま り をつ くる」「た し算 をす る」 「ひき 算 を す る」 「か け算 を す る」 「筆 算 を す る」 な どと い っ た3 年 生 で の 学習 経 験 をつ か っ て. 解決に向かうと考えられる. 本単元ではただ単に, 商を求めるアル ゴリ ズムを子どもたちに教え込んだり, 身に付けさせたりするので はなく, 単元を通して子どもたち自身に計算の仕方を自由に考えさせ, そこから筆算と対応させることを繰 り 返す こ と で, 除法 の 意 味理解 を 深 めてい き た い と 考 えた.. 2 ( ) 本単元での基礎・基本 本単元での基礎・基本は 「除数が2位数, 3位数の除法についての理解を深め それを用いる能力を伸ば , す こ と」 と 考 える. ま た, そ れを次 の よう に具 体化 して と らえ た.. 本単元での基礎・基本をより具体化すると…… ☆除法の意味 (等分除・包含徐) と計算方法の理解 ☆仮商の見つけ方とその修正 (概数の考え方と, 乗法をつかって) ☆数を柔軟に見ていく力 (単位の考え方). ☆類推の考え方 ○ 除数が2位数, 3位数の除法についての理解を深める 具 体 的 に は, 「わり 算 の 意 味, つ ま り包 含徐 ・ 等 分 除につ いて の 理解 を 深 める こ と」 と 「計算 の仕 方 を , 理解 する こ と」 である と 考 える.. 前学年で学習した除法についての理解を深めるためには, まず子どもたちに除法の計算の仕方を自由に 考えさせ, その中でこれらの計算が前学年で学習した計算を用いて処理できることに気付いていくことが できると考える. この学習を通して, 学び方 (学び方の基礎・基本) としても重要な既習を活用すること で計 算 方法 を つく り 出せる こと にも気 付 かせ てい き た い.. そのために, 単元のはじめには 「わり算の問題づくり」 を設定し 3年生で学習した乗法九九を利用 し , た 除法 につ い て 振り 返る 場 をつ く っ た. そ の 中で 除法 の 問 題を解 決 する 際 どのよう な解 決方法 があ っ , ,. たのを振り返る‐ これから学習する除法についての解決方法を子どもたちが広 げていけると考える . また, 単元を通して一つ一つの解決方法を丁寧に扱う. 被除数が大きくなっ ても 束に (単位ごとに) , して分け, 分けられなければ束をくずして (下の単位にして) 分ければ解決できるということに気付き ,. 85.
(11) . 智・関根基樹・長谷亜紀 大久保和義・山本哲雄・阿部美幸・庄司ひさ子・島貫 師・森井庫友・末原久史・平野亮子‐村上友宏・酒巻 ◆ ,. こ れ らの 学習 を通 して 除法 の意 味につ い て の 理解 がさ らに深まる と考 え ら れる.. ○ 除法を用いる能力を伸ばす 除数の桁数が増えても, 計算を進めるときの考え方や手順は同じである. しかし, 除数が2位数になる と 「商を立てる」 の段階で, 商の見当をつけたり修正したりする必要がでてくるため, 格段に難しく感じ る子どもたちがでてくると考えられる. そのため, 仮商の見つけ方, 仮商の修正の仕方を筋道を立てて考 えさ せ, 理 解 さ せ て い き たい と 考える.. 商を立てる際,概数の考え方などをつかって,商を見積もることも重要な学習事項であるので大切に扱っ ていきたい. また, 見積もっ た商 (仮商) が大きすぎた場合や, 小さすぎた場合には, 商を修正していく ことも子どもたち自身に考えさせていきたい. 本単元では, 除数が2位数, 3位数で商が2位数になる場合の除法も学習する. 商が2位数になるとき, 被除数をどのように見るかで計算 (筆算) の仕方が変わっ てくる. したがって, 単元を通して数を柔軟に 見る力 も 育 て て い き たい.. } 単元目標 ( 3 ・除数が2位数, 3位数の除法の計算の仕方を進んで見つけようとする. ・除数が2位数, 3位数の計算の意味を既習を基に考え,筆算の形式をそれらと関連付けることができる. ・除数が2位数, 3位数である除法の筆算ができる. ・除数が2位数, 3位数の計算の仕方を理解するとともに, 除法の性質 (除数・被除数に同じ数をかけて も 同 じ数 でわ っ て も, 商 は変 わ らな い) につ いて も 理解 す る.. 18時間) 4 ( } 単元の構成 ( -. 省略. -. ) 12/18 { 5 ) 本時の目標と本時の展開 ( 次ページ参照 } 実践を振り返って (授業後の検討で問題になったこと) ( 6 ① 本単元の基礎・基本については, 特に 「除法の意味」 を重視する必要があること. 「 「 せる 場 面 本 時の展 開 でも, 問 題 文の 「分 ける」 , ~ずつ」 な どの 言葉 の 意 味 か ら 割 り算」 を 意識さ. があった. 言葉の表現からだけでなく, 問題場面をイメー ジする体験や活動を3年生から多く取り入れ る こと で, “包 含 除”, “等 分 除“ の違 い をと らえ て解 決す る力 が伸 びていく. ②. 144÷12 ) に必要 な 考 え方 と して, 次の こ と が考 え ら れる こと. 本時 の計算 の 仕 方 の 理解 ( ァ. 「見 通 し」 … … 「商 が10よ り 大き なり そう」 なの はな ぜか. イ. 「ひき算」 で考 える ……12個 ずつ引 い て いく 考 え に着 目さ せ る. ウ. 「図や 絵」 の 表現 で考 える …… 「144を100や10の かた まり」 で表現 する.. エ. 「筆算」 で考える…… 「商の見積り→実行→修正」 の過程で簡易な方法や正しい手順を経ることな ど. 86.
(12) . . . 基礎.基本の習得を目ざす授業の実践的研究 (n). { ) 本時の目標と本時の展開 ( 5 12/18 ) ・3 位 数÷2位数で商が2位数になる除法の計算の仕方がわかる. 子どもの意識と活動. 教師のかかわり. ー が あ り ま す。1 <る に ン デ ィ ーがあります 2こ の方 4こ の キ ャ ンデ 144 このキ 2 この方 ・<るに. 同じ数ずつ分けるとひとふくろなんこずつ分けることができますか。. /;′ 証言 . 4 4ー2 にな =ー ーーr …} 一 、 ノ. // / 前の時間と同じやり方ででき \. /. \ そう だ ぞ1 違 建 い は 何 か な‐…・/ノ \ / /′. r 商が め★きぞ 緋 =- ー′ハー、′ \ 【 ,低 ー 商の予想をするようなげ 商の予 想をするよう な げ 1 1 かける こ と で 前時との か け る こと , 前時との 1 1 違いを明確にする。. 4÷1 2の , 答 え の 出 し方 を 考 え よう ! 1 44 ÷12 の答えの出し方を考えよう. <きせ算でゃってみ圭三〉. 冬き かぃてゃ てみ疑う>. 144 ÷ 12 = 12. 1 4 4一⑮ 翻 ⑲ →茎⑲⑩⑬. 寧. ;;;÷. \ ニニ. l i 1 - - 話す 一介. ⑲⑩⑩⑩◎. かける か騰 向械 掴 , 数がどの数字からはじめた のか, またな ;. かけ算で解決に向か -か け算 解決 っ た子には,. 1 数 が どの 数 字 か ら は じめ た の か, ま た な = ぜその数字からはじめた ぜ そ の 数 字 か ら は じめ た のかをは きり = の か を はっ きり. ⑩⑩⑩⑬ ・oの か た ま り14個 を12ふ く ろ に 分 け る. i できるよう で き る よ う に働きかける に 働 き か け る。. ⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑲⑲⑲. く ききでも てみよ三\ ノ. あまり→⑩⑩. 144 ÷ 12 = 12. 10の か た ま り を 動こし て さ ら に12人 に 分 ける ①①①①①①①①①①. 144一12ニー32. 72而12=60. 132-12=120. 60-12=48. 120一12=108. 48‐12=36. 1⑩1 1⑩1 1⑩1 1⑱=◎ ◎ ◎ ◎ー◎ー◎-◎-⑲…. 0 8-1 1 2=9 6. 3 6-1 2=2 4. 96一12=84. 24一12=12. 重◎ @=①=①=①=①=① ⑪昌 三q ⑩ ①=①壷. 8 4一1 2=7 2. 2一2ニー 1 2. ①①①①①①①①①①. ①①①①. ⑲ ⑱ ⑱ ⑩ ⑲ ⑩ ⑬ ⑱ ⑩. ① ① ① ① ① ① ① ① ①. ⑩ ①. ‐. 離. 考えた ‘は, の考え方 の 1 共通点に, 目が向くよう にかかわる。 =. の. \ み よ う〉 く 筆 算 で や っ てみ 雫ぎ. 1 2) 1 4 4 144. 0 商 に 見 当 を つ け, か け ざん で 商 を. 見つ けて 計算. 0. 1) (1. 1 全体交流では, それぞれの考えのつ な が り に 目 が 向 く よ う にかかわる ながりに目が向くよう に か か わ る。 1 」-----------. 1. 12. 0 3年生 の学習 を. 12) 144. 鶏こ上の位から. 12. 計算. 24 24. ・. 0. 87.
(13) . 大久保和義‐山本哲雄・阿部美幸・庄司ひさ子‐島貫 醇・森井厚友・末原久史・平野亮子‐村上友宏‐酒巻 智・関根基樹・長谷亜紀. /穀類書く 嫌 大変そ 鼓さ\ く 〉 わかりやすいね けど,. 。. く響きでやると簡単そぅだ三 >. くききでの方法でもできる リ ジ. 商が10をこえるわり算も, 今までのやり方 を使えばできるんだね。 ) (商が十の位になるわり算もあるんだね。. 「数や計算」 の基礎・基本を 「位取りの考え」 と考える.. ③. 数の分解として考えていくとき, 筆算の位取りと結びつけることが要点である. 144÷12. 144÷12. / \. /\. 72. 72. ↓. ↓. 6 + 6. 〕語. ,. 120 24. ↓ =. ↓. 24. 10 十 2 =12. 12. 0. また, 図や式などで考える場合を含めて, 「子どもの方法を大切にする」 ことと 「筆算のよさ」 に気 づく ことを大切にした展開が必要である. 〈授業者の反省〉 本 時の柱 が 「商 が2 位 数になる」 と いう こ と だ っ た の で, その こ と を は じめ に子 ども た ち と は っ きり させ て. 0以上 おけば, その後の活動においても, それを意識した解決方法が出てきたように思う. それは, 「商が1 な ん だか ら… …」 という 意 識 をもつ こと によ っ て,. (本時の展開後に続く.) か け ざ ん で の 解 決 の 子 → 12×10=120 ひき算 での解 決の子→. 144-120=24. 12×11=132. 12×12=144. 24‐12=12. 12-12=0. 10 ( ). ( 11 ). (12 ). とい っ たよう に120を一 つ の 区切 り と して, 解 決 に 向 かう こ と が で き た と思う し, 商 が10以 上 と いう こ と を. 意識することことは, 筆算にも結びつくことであり, 答えが2位数になることの確認が甘かった. 2. 6学年 「立体の体積」 関根 ( 1 } 本単元における基礎・基本について 実践例. 基樹. ・求積公式の便利さに気づき, 問題解決に活用しようとする. (関心・意欲・態度) ・角柱や円柱の体積の求め方を, 直方体や立方体の体積の求め方をもとにして考えることができる. (考 え方) ・柱体や錐体の体積を求めることができる. (表現・処理) ・柱体や錐体の体積の求め方がわかる. (知識・理解) ま た, 上 記 の 中 でも 「考 え方 の 基 礎・ 基 本」 がす べ て の基 礎・ 基 本の 中核 である という 仮説 をも ち, 一 方,. 88.
(14) . 基礎・基本の習得を目ざす授業の実践的研究 (亘). 「学 び方 の基 礎 ・ 基 本」 と して 下 記 の こ と を重 視 し そ の二 点 を 強く 意 識 しなが ら こ の 実 践 にの ぞ んだ ‐ , ,. 考え方の基礎・基本として ①. 柱 体 を 「底 体 積」 が いく つ 分 と いう 見 方 が できる こ と ・. 学び方の基礎・基本として ②. 学 級 全 体 で問 題を解 決 して いこ う, よ り よ い方 法 を見 つ けて いこう と いう意 識 を もつ こ と. ( ) 考え方の基礎・基本について 2 基礎・基本の設定にあたっ て. ①. 中学校では, 「平面図形の運動による空間図形の構成」 において, 「角柱や円柱は, その底面である多角 形や 円 が一 定方 向 に動 い た結 果 と み ら れる」 こと な どを扱う こ と にな っ て いる.. 本単元ではそのことを意識して, 5学年で学習してきている単位体積のいくつ分で角柱や円柱の体積を 求める方法から, 底面積を利用して体積を求める方法へとつながりをもってとらえさせたいと考えた. 柱 体と は, そ れと底 面 積 が 同 じで高 さ がl cm の 立 体 (こ れを 仮 に 「底. 体積」 と呼ぶ) をいくつ分か積み上げたものである, という見方を大切に したい と考 え た. その と き 「底 体積」 は高さ がl cm である か ら,「底 体積」. / / / / / 「. の 数値 は底 面積 の 数値 と 同 じに なる し, いくつ 分 は高 さ とい い 換 え ら れる こ と か ら, 公式 「柱 体の 体積 =底 面 積 x 高さ」 が導 か れる と いう こ と に気. 「底 体積」. づかせたいと考えこの考えを基礎・基本に設定した. ②. 基礎・基本をおさえるための手立て. 5 年 生 の 時 に学習 して いる 「底 体積」 の 考 え 方 (用 語 と して はお さ え て い な い) に 子 ども たち の 目 が , 向く か どう か が最 大 の ポイ ン トである. 自然 に 目 が 向い て いく こ と が望ま しい が そう な らな い場 合 に は , ,. 「底面積に高さをかけると 本当に体積になるのだろうか?」という発問で目を向けさせたいと考えた 「底 , ‐ f本積」 という言葉も子どもたちの言葉で置き換えてもよいと考えた. ま た, 6 年 生 であ っ て も, いろ いろ な 立 体の 「底 体積」 や 「底 面積」 を 具 体物 と して用 意 して おき 思 ,. 考の支えとなるようにしたいと考えた.. ③ 授業風景 教師の予想に反して, 四角柱の体積を求めるところから, 何人かの子どもは5年生の直方体と立方体の 体積 の 学 習 を思い 出 し, 「底 体積」 に目 を 向 けて い ま した. しか し こ こ で は や はり 「四角 柱 は 直 方 体 と , 同 じ だ から, (た て) × (横) × (高 さ) で求 め ら れ る よ.」 と いう 考 え が 支 持さ れ 「底 体積」 につ い て ,. 話し合う場にはならなかっ たh 次の時間には違った反応が出てきた.三角柱の体積を求める場面で,公式を知っ ている子どもたちの「(底 面 積) × (高 さ) で求 めら れる よ.」 と いう 意 見 に, み んな が納 得 しか けた 時 「何 かお か しい な ?」 と 言 っ , た 子 がお り, こ こ がチ ャ ンス だと 思 い 「底 面 積 に 高 さ を か ける と 本 当 に体 積 に なる の ?」 と いう 切 り , , 返 しの 問い か けを 行 っ た‐. 何人かの子どもが公式の 「おかしさ」 に気付き, 黒板で説明しようと したが 内容的にも難しく なか , , なかみんなに伝わらなかった. そこで, 用意してあった具体物 (三角柱や四角柱の底体積と底面積) を提 示 する と, こ れな ら ばと具 体物 片 手 に説 明 を始 め た. こ こま で, 仲 間が何 を言 っ ている の かよく 分か っ て. 89.
(15) . 大久保和義・山本哲雄‐阿部美幸‐庄司ひさ子・島貫 醇・森井原友・未原久史‐平野亮子.村上友宏・酒巻 智‐関根基樹‐長谷亜紀. いなかった子どもたちも, 具体物による説明によって理解できるようになり, 鎖く子が一気に増えた. そ して, 公式 でいう 「底 面積」 と いう の は, 本 当 は 「底 面積 xl」 す な わち 「底f容積」 の こと な ん だと いう. 結論に何とか辿り着くことができた. 苦 労 して手 に入 れた 「考 え方」 だ っ た だ けに, そ れ. /〈\ / / F;> 底面積×3(高さ)?. 以降のいろいろな角柱や円柱の体積を求める時にも, 常に 「底体積」 を意識しながら学習を進めていくこと が でき た. ち なみ に, 子 ども たち がつ けた 「底 体積」 の名 前 は, 「底 面積」 に対 抗.してと いう こ と で や はり 「底 体積」 , で扱 っ た.. ( } 学び方の基礎・基本について 3 基礎・基本の設定にあたって. ①. 難しい問題にみんなで知恵を出し合って解決していくことは楽しいことである. 解決が困難であるよう な問題に出会った時, たとえ自分だけでは解決できないとしても, みんなの考えを聞き, それをもとに自 分の考えを深め, みんなで解決することのよさ (楽しさ) に気付かせたいという願いを持って設定した. み んな で 問 題を解 決 して いく こ と は楽 しいこ とだという気持ちこそ, すべての学習活動の原動力となる の ではな い かと考 える.. ②. 基礎・基本をおさえるための手立て. 自力解決や小交流で全員が自分の考えを持ち, それらを全体交流することによっ て, 全員で解決してい く授業を目指したい. それによっ て, 自分で解決したことに対しても, よりよい解決を追求していこうと する 意 識 を学 級 に育 てて い き たいと 考 える.. 全員が自分の考えを持つためには, 既習を使え ば何とかなりそうだ, というある程度の見通しを持たせ て自力解決に取り組ませることが大切だと思う. それでも見通しが持てない子どもには, 教師が積極的に 関わり, 見通しを持たせる必要がある. 今回は, 単元の導入として, 6年生で学習した立体について, ど の順番に学習していったらよいかという時間を設定し, そこで一人一人にある程度の見通しをもたせるよ うに考えた‐ 場 合 によ っ て は, グルー プ交流 や小 交流 を行 っ て見通 しを 持た せる ことも 考 え ら れる‐ 今 回 は, 子 ども. たちが自分が交流したい仲間のところにノートを持っ て移動し, たくさんの仲間と交流するという形を と っ た.. 全員が自分の考えを持ち, 全員が課題解決に向かうことによって, 後の全体交流や練り合いが成立する のだと思う. また, 当然のことながら, 仲間の意見をしっ かり聞こうという気持ちや, 間違いも大切にしようという 気持ち, 同じような考えでも自分の言葉で意見を言おうという気持ちを育てることも大切にしたいと考え る.. ③ 授業の展開 単元の導入に, 机の上に6つの立体を並べて, 「どの順 番 で体積 の学 習 して いこう か?」 と 問い か けた.. 90.
(16) . 基礎・基本の習得を目ざす授業の実践的研究 (n). 最初は, 適当に答えていた子どもたちも, 自力解決の時間になると様々な角度から順番を考え, ノート に次々 と そ の理 由 を書き 始 めた‐ 1 番 目 は, 全員 一 致 で 四角 柱 を 選 んで い た. 理 由 は, 「直 方 体 と同 じ方 法 で求 めら れ る から.」 と いう も の が ほと ん どであ っ た. その 他 にも,「先 に 柱 体 から考 えよ う.」「底 面 の 形 が簡 単 なも の から考 え よ う.」「錐 体 は 難 しそ う だ から, 後 の 方 がい い.」 と いう よう な考 えや, な かに は面積 の学習 を 思 い 出 して, 「三角 柱 を 求 めら れ れ ば, 他 の. 角柱も多分求められる.」 という考えも出された. 小 交流, 全体 交流 を経 て, 図のよう な順 番 に学習 して いく こ と に決ま っ た.. 図 自分たちで学習の順番を決めていくという活動を通して, どの子どももこれからの学習に見通しをもつこ とができたと思う. 小交流は, 単元を通してほぼ毎時間行っ た. 子どもたちは, 活発に交流し合い, 自分の考えをさらに高め ようとする姿も多く見られた. 三 角 柱 のf本積を 求 める 場 面 で は, 自 分た ち か ら, 「小 交 流 を した い 1」 と 言 い 出 し 後 の 全 体 交 流 につ な , げて い っ た.. { 4 ) 実践を振り返って 「底体積」 がいくつ分という見方 (考え方) をどの子どもにもできるようになっ てほしいと教師が強く意 識 し, そ の ね らい に 沿 っ た 授 業 を展 開する こ と のよ っ て, 子 ども の 理解 が深ま っ たよう に思う. そ れは 子 , ども たち の 発表やノ ー トの 中 に, 「底 体積」 と いう 言 葉や 図 がたく さ ん 出て き た こと か ら 分 かる .. また, 子どもたちにとっては決して簡単とは言えない 「底体積」 の概念の獲得を支えたのは, 全員で解決 しようという意識だっ たように思う. 自分だけでは解決できない問題でも, みんなで考えを出し合い それ , を真剣 に聞き合い, そして練り合うことの繰り返しによっ て解決できるという意識がなければ 「底体積」 , の概 念 の習 得率 はこ れ ほ ど上 が らな か っ た と考 える.. 小交流の場面で, 見通しを持てないでいる仲間にも自分の考えを伝え, 見通しを持たせてあげようとする 子ども同士の姿もからも, 全員で解決しようという意識を強く感じ取ることができた. 教師側としても, 単元を貫く目標 (基礎・基本) がはっ きりした状態で授業に臨むことができたので 一 , 貫性を持っ て子 どもたちにかかわることができたと思う. { ) 成果と課題 5 本実践では, 教師がこの単元を通して子 どもにどのような力をつけさせたいのか (すなわち 基礎.基本 , は何なのか) を事前にはっきりさせ, それを強く意識しながら授業に臨んだことによっ て 子どもの理解も , 深ま っ たよう に思う. こ れ は言い 換 える と, 今ま での学習 の 目標 と いう も の が 暖昧 であり や や 一貫 性 に , ,. かけ, 単元を貫くものではなかっ たのではないかとも考えらる. 何が単元の基礎・基本なのかということは難しい問題であるが, 単元を貫くようなものとして考えれば ,. 91.
(17) . 大久保和義・山本哲雄・阿部美幸・庄司ひさ子・島貫 評・森井厚友‐末原久史・平野亮子‐村上友宏‐酒巻 智・関根基樹・長谷亜紀. 今 回のよう に 「考 え 方の 基礎 ・基 本」 と 「学 び方の 基礎 ・ 基 本」 を 中心 に据 える こ とも 一つ の 方法 である と 思う.. 単元や学級の実態によっ ても基礎・基本の捉え方は変わるかも知れないが, まずは教師自身が, この単元 の 基 礎 ・基 本 は何 か と いう こ と を, 事前 に は っ き りさ せ, 強く 意 識 して授 業 に 臨 むこ と が大切 なの で はない. かと思う. それを繰り返していくうちに, 基礎・基本というものが少しずつ見えてくるのではなかろう か. 基礎・基本の習得状況をどう見取るかということに関しての評価のあり方についても, 今後の課題として 残っている. 学習内容的に関しては客観的な評価が比較的容易であるが, 考え方, 学び方に関する評価のあ り 方 につ い ても 今後 研 究 を して いき た い と 考 え ている.. 4. 今後の課題 この小論では, 学び方の基礎・基本に焦点をあてて論じてきた. 問題解決での問題設定, 問題の理解, 解 決の計画, 解決の実行, 解決の検討の各段階で, 子 どもが学 び方を身に付ける上で重要と思われることを取 り上げてきた. ただし, 算数授業を通して学び方として大変重要と 思わ れる,「数学 的 な考 え方」 に関 して は, 紙 面の こと も あり 今 回 は取 り 上 げて いな い. こ の 項 目 に関 して は次 回 以 降で考察 したい.. 主体的な解決を目指す学習を進める上で, そのき基礎・基本として個々の子どもが自分なりの問いをもっ たり, ま た そ の 問い をク ラス で 共有 したり する こと が大切 である. その た め に, 教 師 が子 ども に どのよう に. 問題をなげかける か, 特にどのような発問をするかが大きく影響すると考えられる. また, 子どもが考えを .発展させるときも教師の関わり方が大きく影 進めたり, また, 全体交流で個々の子どもの考えを深めたり, 響する. その場合も教師の発問が最も大事になってこよう. そう した意味では, 基礎・基本の習得と教師の 発問のあり方の研究も重要になってこよう. さらに, 今時の学習指導要領から取り上げられている算数的活動は, 子どもが課題を見つけたり, 自分の 見通しに基づいて自分なりの考えを確かめたり, 子ども同士で考えを出し合い, よりよい考えにまとめたり するのに役立つ活動のように思える. そう した意味では, 学びの中で算数的活動を積極的に取り入れること で, 学び方の基礎・基本の習得を促進できると考えられる. 算数的活動と学び方の基礎・基本の習得とのか かわりに関する研究を進めることも大事になってこよう.. 参考文献 9 9 9 1 ) 1) 文部省 小学校学習指導要領解説 算数編, 東洋館出版社 ( 2001 ), pp. 87‐102. 基本の習得を目 ざす授業の実践的研 究 (工), 北 海道教育 大学紀要, 52巻( 2) 大久保 和義他, 基礎・基本の習. (札幌校教授). 92.
(18)
関連したドキュメント
今日のお話の本題, 「マウスの遺伝子を操作する」です。まず,外から遺伝子を入れると
学校に行けない子どもたちの学習をどう保障す
現実感のもてる問題場面からスタートし,問題 場面を自らの考えや表現を用いて表し,教師の
「心理学基礎研究の地域貢献を考える」が開かれた。フォー
そればかりか,チューリング機械の能力を超える現実的な計算の仕組は,今日に至るま
婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける 環境をつくる」、「多様化する子育て家庭の
目的 これから重機を導入して自伐型林業 を始めていく方を対象に、基本的な 重機操作から作業道を開設して行け
子どもが、例えば、あるものを作りたい、という願いを形成し実現しようとする。子どもは、そ