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10年間の対沖縄人イメージの変化: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

10年間の対沖縄人イメージの変化

Author(s)

国吉, 和子

Citation

沖縄大学紀要 = OKINAWA DAIGAKU KIYO(6): 1-18

Issue Date

1989-03-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/5725

(2)

10年間の対沖縄人イメージの変化

国吉和子 1.目的

本研究では、1976年と1986年に行なった調査結果を基に、10年間の対沖

縄人イメージの変化をみることが主なねらいである。

沖縄が本土復帰してまもない1976年に、全国の大学生を対象とした対県人

イメージに関する調査を行なった。そこで、沖縄や、鹿児島、大阪、東京、宮

城など、それぞれの都府県人に対するイメージ調査がなされ、各都府県人に対

するその都府県出身者のイメージと、それ以外の都府県出身者のイメージが測

定され、各々について両群間の比較分析がなされた。その結果、両群間のイメ

ージのずれは、とりわけ、対沖縄人イメージにおいて顕著にみられることが明

らかにされた。そして、そのことは、沖縄県が、他の都道府県と異なり、長い

間歴史的に隔絶された状況下にあって、沖縄県内外の人々の相互交流や`情報の

交換などが極めて困難であったことから当然の結果であると受けとめられた。

ところで、復帰後の沖縄県の社会・経済的変動は目まぐるしいものがある。

沖縄社会のこの加速的変化の状況のなかで、県内外の人々の相互交流もまた、

急速な勢いで深められてきていることは言うまでもないことである。

今回の報告では、そのことを踏まえて、特に対沖縄人イメージの調査結果の

分析に焦点をしぼり、10年前との比較から、沖縄県出身者と県外出身者(いず

れも沖縄県在住)の間で、「沖縄の人」に対するイメージが変化したかどうか、

変化したとすればどのように変化したか、また、それぞれのイメージの構造、

そして、以前に著しかった両群間のイメージのずれがどれだけ変化したか、等

をみていくことにする。 1

(3)

沖縄大学紀要第6号(1989年) 2.方法

1)対象:今回(1986年)の調査では県内の大学1年生を対象とした。

沖縄県出身者が128人、県外出身者が74人、計202人であった。また、10

年前の1976年の調査でも、大学1年生(全国)が対象であったが、県内の被

調査者数は、沖縄県出身者が86人、県外出身者が45人、計131人であった。

なお、県外出身者は、いずれの年においても、沖縄での居住期間が1年未満の

者であった。

2)調査の時期:今回の調査は1986年5月末~6月初めに、前回は1976

年12月にそれぞれ実施された。

3)調査項目:本調査ではSD尺度を用いたが、評価(E)と、力量(P)、

活動(A)の3主要次元に相当すると思われる形容詞対を各5対ずつ選定し、ま

た、その他のものを5対加えて、計20対の形容詞対で構成されていろ。これら

の形容詞の配列は無作為になされた。なお、10年前との比較のために、1976

年に用いたSD尺度を今回もそのま邑使用した。

4)調査方法:前回と同じ要領で、「沖縄の人」に対してどのようなイメ

ージを抱いているかを20個の形容詞対を用いて、7段階で評定させた。

3.結果と考察 1)対沖縄人イメージの因子概造(1986年)

今回実施した調査で、「沖縄の人」に対する沖縄県出身者群(以下、県内群

とする)及び沖縄県以外の出身者群(以下、県外群とする)の評定結果を各々、

主因子法により因子分析し、バリマックス回転を行なった結果は表1,2の通

りである。抽出された因子を±500の負荷量を基準にして、両群の因子構造

を比較分析していく。

まず、イメージの最も重要な側面として、第1因子では、県内群の場合、晴

に厚い-薄情な」の項目と、「温かい-冷たい」の項目がかなり高い負荷量をも

(4)

表1「沖縄の人」に対するイメージの因子分析結果(回転後) (沖縄県出身者群)-1986年一 ち、また、「リラックスする ̄緊張する」とか、「近い_遠い」にも負荷が高 くなっていろ。「沖縄の人」に対して情の厚さや温かさなどのプラスのイメー ジが出ていて、これらがイメージの最も重要な部分となっている。この第1因

子は「温情性因子」と命名することができよう。また、寄与率が高く、全体の

39パーセントがこの因子で説明される。

-万、県外群の場合でも、第1因子では県内群とほぼ類似した傾向が認廼ら

3 第1因子 第2因子 第3因子 第4因子 第5因子 情に厚い-薄情な 温かい 冷たい リラックスする-緊張する 近い 明るい 協力的 遠い 暗い 競争的 親しみ易い-親しみ難い 良い 開放的 好きな 悪い 閉鎖的 嫌いな やわらかい-かたい 粘り強い-くじけ易い 強い 勤勉な 理論的 新しい 複雑な 速い -弱い 怠惰な 感情的 古い 単純な 遅い ○一。●---ウーゥ■●■■■-■C---●--◇。‐ ̄-- ̄~-● ̄●■●■■●●の ̄ ̄●■ ̄ ̄。 独立的 積極的 依存的 消極的 寄与率 、664、096、121-.072-.210 642、141-.045、170-.371 、570、066 -.098-132089 、531、356三.166-.015、000 414、245、098046-332 .394、168-.003-.070-.045 ■巳一一一口●■●-中‐● ̄一○・●。▲□。●。●-●●■●○一■■●●---℃c--C--●--●-●●■--●。-●●寺一一CO--C---c----●■--。色一⑪●●◇-P--■▲●CD●■●-。●'■■I■--●●- .433.607、030-.041、019 .452591203-.105、062 .063、571195188-.046 .473、569、89-036-068 086、497、052-.017、061 ■●已●●=古●。■●-。。■●--●●●-●■。●-●。●-●+●。■--●■-●---- ̄--●●◇-●●⑥--● ̄。--。■-▲ ̄●--●◆●⑤の ̄ロ●●● ̄ ̄■P ̄ ̄ ̄ ̄ ̄●●ら●● ̄●● ̄の ̄ ̄や●●● ̄● ̄■● .176-.011、726-.083、166 -.029、196566 二 、089-.100 -.106、128、533045256 .001-.149-.011642117 -.180、257-.239、551-171 -.119-008.238-028、495 -.151、183.027 ● e 341、452 、009、086110016105 020060112、067、068 39.0%176126

(5)

沖縄大学紀要第6号(1989年) 表2「沖縄の人」に対するイメージの因子分析結果(回転後) (県外出身者群)-1986年一

れろ。「温かい-冷たい」や、r情に厚い-薄'清な」の項目などに目立って負

荷が高く、県内群の場合と同じく「温`盾性因子」と名づけることができる。ま

た、この因子の対沖縄人イメージの説明力も全体の38パーセントを占め、高率

となっている。

次に重要な側面として、第2因子では、県内群の場合、「親しみ易い-親し

み難い」、「良い-悪い」、「開放的一閉鎖的」、「好きな-嫌いな」などの 4

妬-国王

第1因、子 第2因子 第3因子 第4因子 第5因子 温かい 情に厚い 良い 協力的 冷たい 薄』清な 悪い 競争的 やわらかい-かたい 明るい 開放的 暗い 閉鎖的 リラックスする-緊張する 親しみ易い-親しみ難い 近い一一遠い 好きな 嫌いな 粘り強い-くじけ易い 強い 積極的 複雑な 新しい 速い 勤勉な 理論的 独立的 弱い 消極的 単純な 占い 遅い 怠橘な 感情的 依存的 802322、132-.065-.023 .726、143、203、030-.253 .538、106、481、134、177 .495、145、128、071-.072 、304-701-.097、010-.019 .259、651112、117、181 .155、590、198、086、004 .143、467、345、355-.036 293、001、678、210、194 .073、041、646-.117.026 399210、641、318.087 077-002138、658224 -.034、255、461、526-.197 -026、277-.035、416-036 、052-.354-066、367-.021 .046、168、098-.102、631 -.215-.158、067、066、621 、005-.098、110、229、429 -001237-.070100、401 ●二●。---。■■■Lウマ已■●P。●巴■■▼◆ウ■■缶台■-。●。●●。■●●●●白一一古■◆●▲西■■■。■●の白■■勺■◆-●甲一一●●■。●● ̄■●■● ̄の■⑤■ ̄ ̄●S■ ̄~の●凸■● ̄。-Sc。● ̄句●●● 、039-051、044、055、107 寄与率 38.1%15.911.09.47.8

(6)

項目に負荷が高くなっていろ。対人関係での親しみ易さが重視され、「親近性

因子」と命名されよう。それに対し、県外群では、この「親近性因子」は第3

因子となっていろ。第2因子では、「やわらかい-かたい」や、「明るい-暗

い」、「開放的一閉鎖的」などの項目に高い負荷を示し、沖縄人の明るさや開

放的性格が特徴的とみなされている。この因子は「明朗性因子」と解釈できよ

う。

さらに、説明力は低いが、第3因子では、県内群の場合、「粘り強い-くじ

け易い」の項目に最も高く負荷し、次いで、「強い-弱い」とか、「勤勉な-

怠惰な」などの項目に高い負荷量が認められろ。この因子は「タフネス因子」

と解釈することができる。また、第4因子では、「理論的一感情的」、「新し

い-古い」などの項目に高く負荷し、「近代性因子」と命名できよう。一万、

県外群の場合は、第3因子が「親近性因子」、第4因子が「タフネス因子」と

なっている。

以上、両群のそれぞれの因子構造の特徴をみてきたが、ここで、特に重要度

の高い第1因子と第2因子に注目して、詳細に両群の比較をしてみろと、まず、第

1因子が、県内群、県外群ともに「温情性因子」となっているものの、その内容

が異なる。

県内群の場合、第1因子で県外群には見られない「近い」とか、「リラック

スする」などのような親和性を表わす項目にも高い負荷が認められろ。

また、、県内群では、第2因子が「親近性因子」となっているのに対し、県外

群では「親近性因子」は第3因子となって、県内群よりもその重要度が低くな

っている。

このようなことは、沖縄県出身者の方が県外出身者よりも他者との親和を重

視する傾向にあることを示唆しているものと言えよう。

(7)

沖縄大学紀要第6号(1989,年) 2)対沖縄人イメージの樹造的変化 10年前の1976年に行なわれた調査での対沖縄人イメージの因子分析結果は 表3,4の通りである。ここでは、その結果と、1)で見た1986年の対沖縄 人イメージの因子構造を比較分析し、両群の1o年間の変化をみていく。特に 重要度の高い第1因子と第2因子の変化に焦点を当てながら、イメージ構造の 特徴的変化をみていくことにする。 表3「沖縄の人」に対するイメージの因子分析結果(回転後) (沖縄県出身者群)-1976年一 6 第1因子 第2因子 第3因子 第4因子 第5因子 温かい 情に厚い 良い 好きな 冷たい 薄情な 悪い 嫌いな 親しみ易い-親しみ難い 協力的 競争的 やわらかい-かたい 粕I)強い-くじけ易い 独立的 強い 勤勉な 速い 依存的 弱い 怠惰な 遅い ,明るい 複雑な 暗い 単純な ●● ̄■■ ̄ ̄●● ̄■●●-■.● ̄ ̄亡二■■=--■■■■●●七二■■炉=●●。-C--匂● ̄ ̄■●■Ⅱ ̄ 理論的 新しい 積極的 感情的 古い 消極的 .823-.033、279、013、132 .746、024、282-.008、165 .638、037-.060-.295、106 .623、177-.002-.439、359 .607、045、007-.084、524 .497、049、402-.316、117 .486-.144、144、044、103  ̄ ̄ ̄句一一一一■' ̄●ロCCC ̄■ ̄■。■■申■■ ̄■■ ̄ ̄b ̄ ̄'■ ̄ ̄ ̄■■。● ̄■● ̄●●●● ̄ ̄■ ̄ ̄ ̄ ̄●■■■ ̄Cl■、●CQ。●■■■ ̄■U、 ̄- ̄ ̄●@-●a二●。●⑥--●江ニー■_吉● ̄,■-●1 -.041.835046、006.047 -.110、731-.067、294、067 、195、709-.005、037-.030 .000.578、003、105、190 -.291、363-.061、137-.061 、111、144、611-.071、127 -.159、144-.604、081、106 ●!■・-● ̄● ̄。■ ̄● ̄ ̄- ̄■-●~。!■!■■■--C-l■D-℃■0-■!■ ̄⑰U■ ̄ ̄ ̄。 ̄ ̄。■● ̄ ̄■■ ̄■■● ̄。■ご句・ ̄ ̄● ̄■ ̄ ̄ ̄Cp---l■DC■DC●■■ ̄ ̄ ̄●■■■■'■ ̄CD。■- ̄●●◆CDb--Q -.188、088-.294、615-.076 、046、371-.103、603-.181 -.293.294、108、390、103 近い 遠い リラックスする-緊張する 、192012-.077、004、765 191、098、149-.167、419 開放的 閉鎖的 、168-.059、090-.005-.069 寄与率 42.0%26.29.98.27.9

(8)

表4「沖縄の人」に対するイメージの因子分析結果(回転後)

(県外出身者群)--1976年一一 まず、県内群では、第1因子において10年間に'変化がみられろ。1976 年には第1因子が「温I清性」と「親近性」の合体した因子構造であったのに対 し、10年後の1986年には、それが第1因子(温'清性因子)と第2因子(親近 性因子)に分割される傾向にある。しかしながら、第1因子でr清の厚さ」と か、「温かさ」などに負荷が高いということは、沖縄県出身者の「温'清性」重 視の傾向が今なお保持されていることを示唆している。 7 第1因子 第2因子 第3因子 第4因子 第5因子 好きな 良い 嫌いな 悪い 親しみ易い-親しみ難い 近い 猿い 、834-.027、126、111、129 .817、089、238、315085 .726、112、319、083、154 .583、190、103-.184、037 新しい 古い 速い 複雑な 勤勉な 遅い 単純な 怠惰な  ̄仁ユロ仁。■■--●●●■ ̄ ̄●●●の ̄ ̄ ̄ ̄● ̄■口■ ̄■l ̄ ̄■■ ̄・●●ロー ̄ ̄●● ̄■ 明るい 情に厚い 開放的 暗い 薄情な 閉鎖的 リラックスする-緊張する 温かい 積極的 粘り強い 独立的 強い 冷たい 消極的 くじけ易い 依存的 弱い ●- ̄■L。●=亡=■_● ̄■●●●■●■■●◆ ̄ ̄■ ̄ ̄C-CcC ̄ ̄ ̄● ̄'■、 ̄●● ̄■■ 協力的 競争的 やわらかい-かたい  ̄ ̄●●●。●●CCC●● ̄ ̄ ̄・ ̄■ ̄ ̄-1■ ̄●●●●◆■ ̄ ̄。 ̄Ⅱ■ ̄ ̄ ̄ ̄●●●●●● 理論的 感情的 、039、863.097、001、047 .096、752、137、088、088 .007.565-.174、328-.121 .229、555、152、588、032  ̄。■。1■● ̄ ̄の ̄●--●●●●●C ̄■●● ̄● ̄■ ̄CCcC● ̄ ̄ ̄● ̄cc●●● ̄ ̄■■ ̄ ̄●●●● ̄ ̄ ̄●● ̄ ̄ ̄ ̄●● ̄●■■● ̄■●●pCC●●。。●● ̄-■●●。●- ̄cc ̄■印一■凸0 .153-.201、769、053、110 .338、197、651-.299、166 -.182-.095、627、192、315 、372-.004、601-.096、072 .331、284、563-.065、147 .189、160、497-.140一.151 ●■。●CD● ̄■■。●-口●m-pC ̄●■.●●●●●・ヰー●● ̄--■-■=-■■CCC●●--■■-⑤--■■■-●●●----●。-c,■●■ ̄ ̄-●●-■-----●●● ̄■●●●■- ̄--● .113、170-.065、758、207 .076、004-.075、652-.156 -.056、102-.042、581、351 ⑤---..-Ⅱ..,一口ロー・-.-..■・・・・・巳一・,■-■■--■・・-■ロ■---.■-.c・◆------..C--p--■・山一・の。・・-..--.■--つ●■⑤ ̄●cc● ̄ ̄ ̄● ̄● 、254、072、225、048、851 .433-.069、082、204、496 0ロー■--,■-----●・-■P■-●●●・・・●●・-一・・・・-■-■●・●。U■C-C●U■・・・◆-つ一・・・一℃-.句-つ-■・●・-..-.-●●-■-■■●・●・-C-.つ●-- ̄●ロロ 、085.176、171、036-.021 寄与率 40.6%20.914.010.38.3

(9)

沖縄大学紀要第6号(1989,年) 一方、先述したように、「親近性」を示す項目が第2因子に移行する傾向に あり、その重要度がや>低下してきている。そして、1976年には第1因子で、 「良い-悪い」とか、「好きな-嫌いな」などの感情的コミットメントを表わ す項目にも負荷が高かったのに対し、1986年にはそれらの項目が第2因子の 方で高い負荷量を示している。これらのことは、この10年間の都市化現象のな かで、沖縄社会でも人間関係の希薄化が進み、対人関係における感情的コミッ トメントが減少しつ>あることを反映しているものと考えられろ。 また、県内群の1976年における第2因子の「タフネス因子」は、1986年 には第3因子に移行していろ。これは、1976年の第1因子が2つに分割され たためとも考えられるし、あるいは、この頃よく言われるように、若者の「粘 り強さ」とか、「勤勉さ」などに対する価値意識の低下のためとも解釈できろ。 ところで、県外群においては、1976年には第1因子が、「好きな-嫌いな」 とか、「良い-悪い」、「親しみ易い-親しみ難い」などの項目にかなり負荷 が高かった(親近性因子)のに対し、1986年には、「温かい-冷たい」や、 「情に厚い-薄情な」など(温情性因子)に負荷が高くなっている。そして、 親近性は第3因子の方で負荷が高くなっている。 このように、県外群では、以前にはあまり重視されなかった「温I清性」(1976 年には第3因子)が第1因子に移行している。この変化は、急速な都市化の進 行のなかで、人間関係の回復を求める傾向が生起していることの反映とみるこ

とができよう。沖縄社会でも都市化が進みつ>あるとはいえ、共同体的色彩を

今なお帯びL人間関係の濃さを未だに残していろ。こうしたなかで、「温情性」 は県外出身者にとっても沖縄の人に対するイメージの最も重要な側面となって きていろ。しかしながら、県外群においても、1976年には第1因子で負荷が

高かった「好きな-嫌いな」という感情的ゴミットメントを表わす項目が、10

年後には第3因子のなかに移行していろ。若者の「コミットしない」という対 人認知傾向の一端をうかがわせていろ。 8

(10)

また、県外群の場合、10年前には、「新しい_古い」や「速い-遅い」など、 「近代性」(第2因子)が重視されたが、1986年にはそれが第5因子に移行 し、ほとんど重視されなくなった。高度経済成長の時期が過ぎ、物質的豊かさ の時代のなかで、現在では、「速さ」とか、「新しさ」などはそれ程重要な意味 をもたなくなった。そしてまた、「近代性」ということがもの老見る基準とし て成立し難くなったことなどが変化の理由としてあげられよう。 さらに、県外群の、「明るい-暗い」や「開放的一閉鎖的」などの項目で構 成される「明朗性因子」が、第3因子から第2因子に移行し、以前よりもイメ ージの重要な部分になってきている。現代の若者の根の明るさを志向する傾向 が反映されているのかも知れない。 3)対沖縄人イメージの量的変化 図1,2は、1976年と1986年の対沖縄人イメージの両群のプロフィールで ある。10年間の変化をみるために、1976年の因子別配置(全国)に合わせて 各々のプロフィールを描いている。 全体的傾向として、県内群の場合でも、県外群の場合でも、イメージが積極 的な方向へ移行していることが認められるが、その度合は県外群において顕著 である。20項目のうち、県内群は11個がプラスの方向へ、8個がマイナスの 方向へ変化し、1個は変化がみられない。県外群では18個がプラスの方向へ、 2個がマイナス方向へ変化していろ。 統計的に有意に変化したものでは、県内群は8個で、そのうち、4個がプラ ス方向へ、4個がマイナス方向へ移行していろ。県外群でも8個が有意に変化 しているが、そのうち、7個までがプラスの方向へ、1個はマイナス方向へ変 化している。 ところで、県内群で有意にプラスの方向へ変化した項目は、「積極的一消極 的」、「新しい-古い」、「開放的一閉鎖的」、「独立的一依存的」などの項 9

(11)

沖縄大学紀要第6号(19189年) 図1「沖縄の人」に対するイメージの年間比較 (沖縄県出身者の場合) 項目毎の均値 遠い 親しみ難い 悪い 嫌いな 緊張する 薄情な 冷たい 依存的 くじけ易い 怠惰な 弱い 単純な 暗い 固い 閉鎖的 消極的 遅い 感情的 古い 競争的 近い 親しみ易い 良い 好きな リラックスす 情に厚い 温かい 独立的 粘り強い 勤勉な 強い 複雑な 明るい やわらかい 開放的 積極的 速い 理論的 新しい 協力的 亜P<OO1 mP<01 葱P<05 -1976年 --.1986年 -10- 項目毎の平均値 1976年 (、-86)(、-128;1986年 差

(12)

図2「沖縄の人」に対するイメージの年間比較 (県外出身者の場合) 項目毎の平均値 765-4321 遠い 親しみ難い 悪い 嫌いな 緊張する 薄情な 冷たい 依存的 くじけ易い 怠惰な 弱い 単純な 暗い 固い 閉鎖的 消極的 遅い 感情的 古い 競争的 近い 親しみ易い 良い 好きな リラックスする 情に厚い 温かい 独立,的 粘り強い 勤勉な 強い 複雑な 明るい やわらかい 開放的 積極的 速い 理論的 新しい 協力的 、P<・O1 UP<、05 -1976年 --1986年 -11- 項目毎の平均値 1976年 (、-45)(、-74)1986年 差 241 4 8 1 8 2 0 9 4 5 4 2 6 3 2 0 3 1 129 8 6 9 0 9 0 1 3 5 0 7 8 0 7 5 5 9 巳 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ■ ● ● ● ■ ● ● 454 4 4 4 5 3 4 3 4 3 5 4 4 4 2 3 3 4 218 0 8 4 2 2 6 6.7 2 2 1 6 0 4 8 6 6 05 3 2 3 8 6 4 1 1 0 2 6 3 3 8 5 1 1 3 ● ● ● ● ● ■ ● ● ● ● 甲 ● ● 0 0 ● ■ ● ● ● 44 4 4 4 4 4 3 4 3 4 3 4 4 4 3 3 3 3 4 ご屯な ちなな正本なな $ 033 4 0 7 6 0 6 3 7 3 2 1 0 3 22 7 5 175 6 3 0 4 5 1 0 2 3 4 4 5 2 83 3 5 +++ + + + + + + + + + + + + + + +

(13)

沖縄大学紀要第6号(1989年) 目である。

「積極的一消極的」の項目では評価が上昇はしているものの、1986年でも

中性点(4点)より低い「消極的」寄りの評価に留まっていろ。また、「新し

い-古い」の項目でも中性点に近い値であるが、10年前と比べろとプラスの方

向へ変化している。この変化は沖縄社会の近代化の進行を反映しているものと

考えられろ。

「開放的一閉鎖的」の項目では、県内群は以前にも中性点より幾らか高い得

点を与えていたが、1986年にはさらに評価が高くなり、沖縄人の開放的性格

が強調されていろ。「独立的一依存的」の項目でも10年間には幾分プラス方向

へ動いていろ。

一方、県内群のマイナス方向へ変化した項目は、「速い-遅い」や、「粘り

強い-くじけ易い」、「情に厚い-薄'清な」、「勤勉な-怠惰な」などである。

10年間の都市化の進行と、復帰後、県外者との相互交流が深まるなかで、沖縄

の人ののんびりした、執着しない行動傾向に対して、県出'身者の受けとめ

方が、,厳しくなってきたものと考えられる。また、「'清の厚さ」などに対する

評価の低下は、沖縄社会でも都市化とともに人間関係が次第に希薄化している

ことを示唆していろ。

ところで、県外群では、とりわけ、「親しみ易い-親しみ難い」や、「好き

な-嫌いな」の項目でかなりプラスの方向へ変化していろ。以前よりも沖縄の

人に親近感を抱くようになってきた。また、「良い-悪い」や、「温かい-冷

たい」、「開放的一閉鎖的」、「協力的一競争的」などの項目においてもプラ

スの方向へ有意に変化じていろ。これらの項目においては、1976年でも全て

ポジティブな評価であったが、10年後の1986年にはそれがより強調されて積

極的に評価されていろ。

県外群の有意に変化した項目のなかで、「速い-遅い」の項目だけはマイナ

スの方向へ変化している。これは以前においてもや>ネガティブな評価であっ

-12-

(14)

たが、1986年にはさらに強調されてマイナスの方向へ変化している。沖縄の 人ののんびりした行動は、県外者にとってはとくに目につき易く、否定的なも のとして受けとめられているのだろうか。 4)両群間の対沖縄人イメージのずれの変化 図3,4は、1976年と1986年のそれぞれにおける県内群と県外群の間のイ メージのずれをみるためのプロフィールである。 項目毎の評価傾向は、どの年においても両群とも類似のパターンを示してい るが、県内群の方が評価の方向がより明確であるのに対し、県外群の方は中I性 点を中心にしてプラスとマイナスの方向のゆれが小さい。県外群の沖縄県での 居住期間が1年未満ということからすると、それは当然の結果であるといえる。 また、両群間に有意差が認められるのは、20項目中、1976年には10個、 1986年には12個となっている。親近性や温I清性に関しては依然として両群間 に有意差がみられる。また、「独立的一依存的」、「粘り強い-くじけ易い」、 「理論的一感情的」などの項目では、1976年には両群間に差がみられなかっ たが、1986年には差が生じてきていろ。一方、「やわらかい-かたい」では 逆に、10年間で有意差がみられなくなった。 ところで、両群間のずれの大きさの変化を大まかに考察してみろと、1976 年(図3)には両群間の対沖縄人イメージのずれはかなり大きかったが、10 年後の1986年には(図4)、そのずれが縮小傾向にある。評定尺度の20項 目のうち、13項目で両群内のずれが縮小していろ(表5)。 このような両群間の認知の縮小傾向は、主として県外群の変化によって生じ てきたものである。3)で見たように、県内群では10年間に対沖縄人イメージ の量的変化はみられるものの、それ程大きい値ではなく、一方、県外群におい ては、そのイメージがプラスの方向へかなり変化している。 項目別にみていくと、際立って縮小傾向を見せているのは、「親近性」と「温 -13-

(15)

沖縄大学紀要第6号(1989年) 図3「沖縄の人」に対するイメージの群間比較 (1976年の場合) 765432 遠い 親しみ難い 悪い 嫌いな 緊張する 薄情な 冷たい 依存的 くじけ易い 怠惰な 弱い 単純な 暗い かたい 閉鎖的 消極的 遅い 感情的 占い 競争的 近い 親しみ易い 良い 好きな リラックスする 情に厚い 温かい 独立的 粘り強い 勤勉な 強い 複雑な 明るい やわらかい 開放的 積極的 速い 理論的 新しい 協力的 “P<,001 mP<01 顧P<05 一沖縄県出身者群 一県外出身者群 -14- 県内者と県 外者のずれ 爪正立木立立 水正江正本本ネ ボエな正江正本 本正 正正 広工 34443035648605061185 5857122220045018409 1 ● ● c ● ● ① 211111

(16)

図4「沖縄の人」に対するイメージの群間比較 (1986年の場合) 7654321 遠い 親しみ難い 悪い 嫌いな 緊張する 薄情な 冷たい 依存的 くじけ易い 怠惰な 弱い 単純な 暗い かたい 閉鎖的 消極的 遅い 感情的 占い 競争的 近い 親しみ易い 良い 好きな リラックスす 情に厚い 温かい 独立的 粘り強い 勤勉な 強い 複雑な 明るい やわらかい 開放的 欄極的 速い 理論的 新しい 協力的 …P<、001 “P<01 画P<05 一沖縄県出身者群 一県外出身者群 -15- 県内者と県 外者のずれ 江卒正水正江本正な取工正正 本正な京まzな なな な西江 正広江 84947254900742旧033烟097365754411212806.4 ■ ● ● ▲ ● ● 1

(17)

沖縄大学紀要第6号(1989年)

'清性」に関する項目においてである。「親しみ易い」とか、「良い」、「好き」

などでは、県内群のイメージでは以前の積極的評価があまり変化していないが、

県外群では、さらにプラスの方向へ変化している。また、「温かい」や、「情

に厚い」などでは、県内群の積極的イメージがや>低下し、県外群では逆にプ

ラスの方向へ変化していろ。

その他に、「協力的」、「積極的」、「やわらかい」などの項目でも両群間

のずれが縮小傾向にある。それは、「協力的」、「やわらかい」では県外群の、

また、「積極的」で県内群の、それぞれプラス方向への変化によって生じたも

のである。 表510年間の両群間のイメージのずれの変化 (注)-は''11群間のずれが縮小ltIJlr1I、 +は噸大傾1711を,]くす。 他方、「粘り強い」や、「感'清的」、「単純な」などの項目のように、逆に イメージのずれがや>増大しているものもある。これは、「粘り強い」では、 -16- 項目 (1986年-1976年) 項目 (l986lI:-1976年) 近い 遠い 親しみ易い-親しみ難い 良い 好きな 悪い 嫌いな リラックスする-緊張する 情に厚い-薄情な 温かい 冷たい 独立的一依存的 粘り強い-くじけ易い 勤勉な-怠惰な 5050688934 1849136121 ●●●●白■●●●■ ++ 強い 複雑な 明るい 弱い 単純な 11商い やわらかい-かたい 開放的 積極的 速い 理論的 新しい 協プ]的 閉鎖的 消極的 遅い 感怖的 iい 競輪的 2163368245 0223132205 ●■●●●●●● +++++

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主として県内群の消極的イメージがさらにマイナスの方向へ変化したこと、ま た、「単純な」、「感`盾的な」などでは、主に県外群の消極的イメージがプラ ス方向へ変化したことなどによるものである。

ところで、「目的」の項でもふれたように、沖縄では、特に復帰後、急激な

社会。経済的変動に伴い、沖縄県内外の相互の人的交流や'情報交換などが盛ん

になってきている。そのような状況下で、県内外の人々の相互理解は、復帰前

や復帰直後の頃と比べろと、かなりの深まりを見せていろと言える。ここで見

られた県内群と県外群の間の対沖縄人イメージのずれの縮小傾向は、そのこと

を示唆していると理解することができよう。このような認知的ずれの縮小傾向

が相互の社会的適応の円滑化を促進することは確かである。 4.要約 本研究では、1976年と1986年に実施した対沖縄人イメージの調査結果を基 にして、10年間のイメージの変化をみてきた。今回はとくに、沖縄県出身者群 と県外出身者群(両方とも沖縄県在住)の間でその比較分析を行なった。主な 結果は次の通りである。

①1986年の調査の因子分析結果では、県内群では第1因子が温情性因子、

第2因子が親近性因子、第3因子がタフネス因子、第4因子が近代性因子、県

外群ではそれぞれ、温'盾性因子、明朗性因子、親近性因子、タフネス因子など が析出された。

②10年間に際立ってイメージの変化がみられたのは、県内群では、以前の

第1因子(温情。親近性)が2つの因子に分割される傾向にあること、また、県外

群では、以前に第3因子であった温情性因子が第1因子に移行したことである。

③全体的傾向として、対沖縄人イメージは両群ともプラスの方向へ変化して

いるが、とりわけ県外群においてそれが顕著である。

④両群間のイメージのずれは、10年間に縮小傾向にある。

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沖縄大学紀要第6号(1989年) 参考文献 岩下豊彦19838,法によるイメージの測定川島書店 国吉和子1978対都道府県人イメージの都道府県相互の比較分析(未発表資料)

国吉和子1980沖縄県人に対するイメージの痔tltと構造沖縄汰洋紀要第1号(通巻22号)、67-84

国吉和子1981県人間の距離意識に関する研究与那嶺松助教授記念論文集、35ト866

清水利信.斉藤耕二1959因子分析法日本文化科学社

安本美典・本多正久1981因子分析法培風館

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参照

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