単相3レベルインバータ駆動コンデンサ電動機の解
析
著者
李 鍾洙, 篠原 勝次
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
36
ページ
53-58
別言語のタイトル
An Analysis of Capacitor Motor Driven by
Single Phase Three-Level lnverter
単相3レベルインバータ駆動コンデンサ電動機の解
析
著者
李 鍾洙, 篠原 勝次
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
36
ページ
53-58
別言語のタイトル
An Analysis of Capacitor Motor Driven by
Single Phase Three-Level lnverter
単相3レベルインバータ駆動コンデンサ電動機の解析
李 鍾 沫 * ・ 篠 原 勝 次
(受理平成6年5月31日)AnAnalysisofCapacitorMotorDrivenbySingle
PhaseThree-Levellnverter Jong-SooLEEandKatsujiSHINOHARAS
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1 . ま え が き 現代社会では日常生活において多くの電機製品が使 用されている。その回転機としては単相電動機の使用 が多い。そこで単相電動機は大部分コンデンサ分相形 誘導電動機(コンデンサ電動機)を使用しているのが 実情である。コンデンサ電動機は起動時と運転時の特 性が異なり,しかも起動時間が短いので制御システム としてのデータが必要な時は実験より計算で状態を把 握することが要求される。 このコンデンサ電動機の速度制御は一次電圧制御が これまで使用されてきた。ここでは相補形トランジス タインバータでこの電動機を運転した時の解析法につ いて述べる。 最初にコンデンサ電動機の基本回路(1)の回路方程式 から瞬時方程式を導いた。この方程式と単相3レベル 相補形トランジスタインバータ'2)のPWM電圧波形よ りコンピュータプログラムによる起動特‘性を計算し, その結果を検討した。2.回路とその動作
本研究の特性解析に使用した単相3レベルインバー タと単相コンデンサ電動機の回路は次の通りである。 *韓国永進専門大学電気科 2.1インバータ主回路 図1はインバータとコンデンサ電動機の接続図であ る。ここでインバータ端子OA間には3レベルPWM 電圧波形が印加される。この相補形トランジスタイ ンバータではインバータのベース信号波形から出力波 形を求めることが出来る。またベース信号において正 と負の波形が独立して動作するので確実な中性点電位 が得られる(21。このインバータには3個の動作モード が存在する。 即ち図1でTR1とTR3のオン期間はTR1だけ オンする時,TR1とTR3が共にオンする時,TR 3だけオンする時の3種類である。TR2とTR4の オン動作もTR1とTR3のそれと同一である。 2.2トランジスタへの信号波形 図1の単相3レベルインバータのトランジスタのベー ス信号波形を図2に示す。図2(a)はPWM信号発生 用の信号波esとキャリア三角波erの関係を表す。 同図(b)一(e)は各トランジスタのベース信号波形を示 す。同図で(b)はTR1を,(c)はTR3を,(d)はTR2 をそして(e)はTR4をそれぞれ駆動する。ここで(c) と(e)は中性点の電位確保用信号であるのでPWM出 力波形とは異なっており,正負区間のスイッチングの 役割をする。(c)(e)の方形波はスイッチング素子のス54 イッチング電力損失を少なくするためである。このイ ンバータ方式はスイッチング素子の直列接続のNPC 方式(3)ではなく並列接続のNPC方式であるのでスイッ チング損失が少<安定な中性点電位を確保することが できる。また動作の安定‘性を増すためにスイッチング 素子がエミッタ共通アースとなっている。また,イン バータの容量を大きくする時は図1のTR2とTR4 をNPNトランジスタに置き替え相補動作形で構成す れぱよい。図1のインバータ出力波形は図2(b)の信 号と同図(。)の信号が反転する波形となる。また図2 の信号は全て出力波形の半周期ずつであるので,図1 のインバータのトランジスタは出力波形の半周期のみ / スイッチング動作を行う。 図2トランジスタのベース信号波形 TRI 坐エ E A TR3 0 3.駆動系の定式化 3.1コンデンサ電動機の定式化 TR4
④
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Eq-L ヱ 】 u 【 TR2 (e) 図1インバータとコンデンサ電動機の接続図 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) (a) 図 3 コ ン デ ン サ 電 動 機 の 等 価 回 路 回転子の巻線は固定子の起動巻線の座標方向と主巻 線の座標方向による静止直交座標関係で回路方程式が 表示される。回転子の量を固定子巻線に固定した静止 座標で表せば次の通りである。ここで(a)と(b)は固定 子に関して,(c)と(。)は回転子に関する表示である。 a)回転子の磁化電流による変圧器起電力と起動巻 線における電圧降下との和 b)回転子の磁化電流による変圧器起電力と主巻線 における電圧降下との和 c)回転子の起動巻線方向の電圧降下と起動巻線に 流れる電流による変圧器起電力と主巻線により回 図3はコンデンサ電動機の等価回路である。コンデ ンサ始動コンデンサランモータであるので,起動時と 運転時のコンデンサの値は異なっている。この電動機 の回路方程式は(1)式で表示される。 Zs=Rs+jaLs=Rs+jXsZ
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上
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JcUc ZM=Rm+jのLm−Rm+jXm ZmM=j⑳Mm=jXmM Zms=jajMs=jXms Z2=R2+jajL2=R2+jX2│illlU
(b) (c) (1)I
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Ⅱ
(d)李・篠原:単相3レベルインバータ駆動コンデンサ電動機の解析 55 転子の起動巻線方向に誘起する速度起電力との和 d)回転子の主巻線方向の電圧降下と主巻線に流れ る電流による変圧器起電力と起動巻線により回転 子の主巻線方向に誘起する速度逆起電力との和 上記の四つの関係から,固定子の起動巻線の電流 1s主巻線の電流1m,回転子の起動巻線方向の電流Ix, 主巻線方向の電流Iyに関して,すべりsで回路の電 圧方程式は(2)式となる。 V=(Zs+Zc)1s+Zms(Is-Ix) V=ZMIm+ZmM(Im-Iy)
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a =Z21y (2) 但し,a=有効起動巻線の巻数/有効主巻線の巻数 (2)式に(1)式の定数関係を代入して,係数jajを微 分係数Pで書き直せば瞬時電圧電流方程式は(3)式と なる。"
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O=is-pio (5) 但し,Kl=L2+LM,K2=Lm+Mm,K3=Ls+Ms, K4=aL2+Ms/a Wl=α'(1−S),W2=‘u(1−S)Ms, W3=⑳(1−S)Mm, 3.2コンデンサ電動機駆動系の定式化 コンデンサ電動機の瞬時状態を解析するには静止座 標による微分方程式で表示する必要がある◎本研究に 使用したインバータのPWMの出力電圧ECに対する 電圧と電流の状態方程式は(6)式となる。(6)式の係 数行列は(7)式で表示される。 U(s)=DC(t)+pEC(t) U(s)=[EC,EC,0,0,0]T C(t)=[is,im,ix,iy,io]T D= E=R 州 ・ O O O 壱
○ R m ○ ○ ○ ○ W 3 − a R 2 − W l K , ○一』、旦○WlK4−R2○
a ○ ○ ○ ○ ○ K 3 ○ 一 M s ○ ○ ○ K 2 ○ 一 M m ○等 ○ ‐ K ’ ○ ○
○ M m ○ − K , ○ ○ ○ ○ ○ 一 1 (6) (7) (6)式から(8)式が得られ,その時の状態変数は(9) 式となる。 px(t)=Ax(t) (8) x(t)=[EC,is,im,ix,iy,io]T (9) ここで係数行列Aは次式なる。+の(T-t,,)の(t,1−t鋤)…①(t2-t,)△U, +の(T-t,,)の(t,1-t")…。(t2-t,)の(t2)BX(0-) =Hx(0−) インバータによる供給電圧の周期性でX(T−) 56 インバータによる供給電圧の周期性でX(T−)とX (0−)の値が一致しなければならないので,(12)式の 最終行より(13)式が得られる。 (12) t21≦t<T, pX(t)=AX(t) X(t)=の(t-t2,)│△U22+の(T-t2,)[△U2!+…… …+の(t2-t,)[△ひ,+の(t,)Bx(O_)]…]| X(t_)=の(T-t2,)△U創 十①(T-t2,)の(t21-t20)△U2。
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(13) C唾○○
a 睡恥一氏○ KKK
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R 泌恥一仏1 曲恥一脇○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ K4K‘(Rs+Rc)W3MsaR2MsW1KlMsK4 表 1 電 動 機 定 数 K6 K6 K6 K6 K6 K6C−辿血一lLl旦里1哩幽1,−&血○
K, K5 aK5 K5 K5 K5 MsMs(Rs+Rc)W3K3aR2K3WlKlK3Ms A= 5 . 計 算 結 果 この微分方程式の数値解析に使用した単相コンデン サ電動機の(4極%馬力)の定数を表1に示す'1)。 初期値x(0−)は(13)式で連立方程式のガウス消去 法による計算から求まる。そして,この初期値を利用 して(8)式の微分方程式をルンゲクッタ・ジル法で解 くことにより(9)式の状態変数の値が求まる。 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) 単位:Q O≦t<t, pX(t)=AX(t) x(t)=の(t)x(O+)=の(t)[△ひ。+Bx(O_)] =の(t)Bx(0−) x(t,)=の(t,)Bx(O_) t,≦t<t2 pX(t)=AX(t) X(t)=①(t-t,)[△U,+X(t2)] x(t,)=の(t-t,)[△u,+の(t,)+Bx(O_)] (1)式の基本式で表1の定数による計算した電流の 実効値('1と本論文で求めた(8)式の瞬時値計算による 実効値は一致した。図4はEC=141.42〔V〕の時の インバータ出力波形である。この波形は図2(a)のス イッチング位置を時間で表わした3レベルPWM電 圧波形である。図5,図6は図4のPWM電圧によ る(8)式の計算結果である。図5,図6はそれぞれす (H−I)x(0−)=04.状態変数法による数値計算
図2の駆動信号によるインバータの出力波形(5パ ルスの3レベル)において状態変数の計算区間は1周 期の間で行った。その時の区間の分割点は全部で22点 となる。 即ち,to=Oからt22=T(=2汀)までである。i 番目のスイッチング区間における電圧差で表示すると (10)式となる。△Ui=[EC(i+1)一Eo(i),0,0,0,0,0]T
遷移行列①(t)は(11)式で計算される。最初のスイッ チングの位置と1周期の終りのスイッチング位置をつ なぐ接続行列Bは単相インバータの1周期だから単 位行列となる。。
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(11) 、! (8),(9),(10),(11)式より各時刻における状態 方程式は(12)式となる。 抵 抗 リアクタンス 磁化リアクタンス 備 考 主 巻 線 Rm=2.02 Xm=2.79 XmM=66.8 起動巻線 Rs=7.13 Rc=9.0 Rc=3.0 Xs=3.22 Xc=172.0 Xc=14.5 Xms=92.9 運転時 起動時 回 転 子 R2=4.12 X2=2.12 巻 数 比 a=1.18、
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李・篠原:単相3レベルインバータ駆動コンデンサ電動機の解析 8b TIHE(庵e亡) 図6固定子電流波形(S二二1) 1 2 3 。 。 ■ TIHE(口巧eに) TIHE(応e仁) 32 1 23 。 ● ● 2ハハ胴
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ソ ︽UO﹃と4,︲bno α︶E] (b)V
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1 2 3 ● ● ● TINに(ロ竜e仁〕 TI1uIE(応ec) TIHE(廊巧eE〕 図5固定子電流波形(S二=0.04)/
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I b I 658 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) くりが0.04及びlでの(a)起動巻線電流,(b)主巻線 電流,(c)固定子全電流である。図6で,(8)式より計 算した瞬時波形はコンデンサ電動機の起動時の特‘性を よく表わしている。この状態変数を使用する方法はコ ンデンサ電動機の運転状態の解析に有用であることが わかった。