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外国にルーツをもつ子どもと保護者への神戸での実践と課題

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外国にルーツをもつ子どもと保護者への神戸での実践と課題

Practice and Challenges for Children and Their Parents in Kobe

Having Roots in Foreign Countries

神戸定住外国人支援センター(

KFC

) 

志 岐 良 子

Kobe Foreigners Friendship Center

KFC

) 

Yoshiko SHIKI

1.活動の誕生とその背景 神戸定住外国人支援センター(以下

KFC

) とは、地域に暮らす多様な文化的背景を持つ 人々が、「ともに生きる」ことができる社会を 目 指 し て、 活 動 す る 団 体 で あ る。

KFC

は、

1995

年の阪神・淡路大震災の後、ボランティア によって設立された「兵庫県定住外国人生活復 興センター」と「被災ベトナム人救援連絡会」 が

1997

年に統合して設立された。当初、

KFC

の前身団体は震災救援が目標であった。しかし 現在は、外国にルーツをもつ人たちの日常的な 支援に取り組むことを主な目的としている。 神戸には、日本の過去の歴史(アジア植民地 支配)や経済の国際化の流れから、日本で定住 し、家族と暮らす人がいる。しかし日本は、ま だ残念ながら、かれらが地域で安心して暮らせ る社会にはなっていない。

KFC

は、マイノリ ティの人権が尊重される社会、そして人々の 様々な違いが認められた公正な社会が必要であ ることを示し、豊かな社会の実現を果たしたい と考えて活動している。

KFC

が当初に始めた支援は相談事業であっ た。その後、日本語のサポートをしながら震災 の仮設住宅への申込み時のサポートや行政の手 続き等を支えていった。その中で、かれら(大 人たち)から日本語学習支援の要望が高まった が、それと同時に子どもたちの勉強(学校の宿 題)も見て欲しいという要望も出たことから、

2005

年 か ら 子 ど も の 学 習 支 援 も す る よ う に なった。ここでは、ベトナム、フィリピン、中 国、ミャンマーなど多種多様な地域から日本に きた人たちと子どもたちの支援を行っている。 私は阪神大震災の後、ボランティア活動に 行った先で、ある

NPO

が事務局の仕事を募集 していると聞き、そこで仕事をすることになっ た。 し か し そ の 活 動 の 中 で

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の 代 表 と 出 会ったことがきっかけで、結果として

KFC

の 活動に取り組むことになった。私が

KFC

に参 画した当時は、(

KFC

は)外国にルーツをもつ 子どもの支援は行っておらず、私は別の支援活 動を行っていた。しかし後に

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が(上記の) 外国にルーツをもつ子どもたちの学習支援を立 ち上げることになった際、私がその担当になっ た。 2.外国にルーツをもつ子どもたちと保護者へ の支援−現状と課題 ⑴ 日本語・学習・学校生活の支援 外国にルーツをもつ子どもたちの学習支援 は、当初、小学生の子どもたちから中学生まで を対象としていた。しかし現在では、就学前の 子どもたちのサポートも行っている。子どもた ちの中には、小学校に上がる時点で日本語の語 彙数が少ない子もいる。

KFC

でそのことを検 討すると、子どもたちが小学校に上がって勉強 することがハードルとなるのではないか、とい う声があがった。そこで今では、私たちは未就 学児のために、3ヶ月間に

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回程度だが、学習 の場を提供している。なお、これらの学習支援 において、過去にここで学んだ卒業生たちが、 今度は支援者として、子どもたちの学習をサ ポートしてくれている。 また学習以外の面では、学校のお便りや書類 などを、保護者も子どもも充分に理解できない

【特集 公開シンポジウム】

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― ケースがあるため、そのサポートを行ってい る。高校の奨学金の申請手続きなども(日本語 が複雑であるため)サポートしたりする。子ど もに渡される学校の書類には、保護者が理解し なければならないもの、サインしなければなら ないものが多い。しかしそれらは、外国にルー ツをもつ親子にとって、理解し難しいことが多 い。

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としては、公立学校と連携してこの 支援を行っている。確かに地域の全ての学校と 連携することは難しい。しかし可能な限り、近 隣(長田区)の子どもや保護者たちの状況につ いては、支援のつながりを保ちたいと考えてい る。 ⑵ 見えてきた課題 a 教科学習 課題をあげるとすれば、いろいろな意味で教 科学習の難しさがある。子どもたちにとって、 日常会話は1∼2年程度で習得が可能である が、教科学習に関しては5∼7年くらいはかか ると言われている。かれらが日本の教科学習に ついていくのは難しい。さらにかれらが日本の ことに、どこまで興味をもって学ぶことができ るのか、という問題もある。例えば日本の社会 科(地理・歴史等)を学ぶことに対して、興味 がわかない子どももいる。また同じく社会科 で、その名前をカタカナで覚えるべきものがあ るが、フィリピンルーツの生徒などにとっては 「なぜ?英語で覚えればいいのに?」という戸 惑いもある。 またそもそも、母国では学習していない、あ るいは指導方法が母国とは異なる教科もある。 そのため、外国にルーツをもつ子どもたちは、 それらの授業についていくのが難しい。例えば 母国では絵を描く経験がなかった子どもたちが いたり、プールで泳いだ経験がない子どもたち がいたりする(母国の体育の授業ではプールの 指導はないなど)。また、私は子ども食堂の支 援もしているが、例えば子どもたちは日本とは 包丁の使い方が違って、手前から切るように教 えられていたりするが、日本の学校ではそうで はない指導がされている。よって、かれらが家 庭科で食材の切り方を学ぶ時に戸惑いはないか 等を考えることがある。 b 「しつけ」をめぐる問題 保護者たちの子どもの「しつけ」に関する意 識の違いも考えねばならない重要な点である。 例えば以前、保護者に定規で叩かれて、背中に 傷がある子どもがいた。しかし保護者にとっ て、その行為は「悪いこと」とは認識されてい なかった。また実際、その母国では、学校の先 生が子どもを叩くことが容認される文化もあ り、子どもたちは叩かれることを「仕方ない」 「そんなものだ」と思ったりもしていた。この ような「しつけ」は、子どもが私たちに言って くるケースもあれば、私たちが家庭訪問をする 中で分かるケースもあった。 私たちとしては、保護者に対して、子どもの 「しつけ」について理解はするという立ち位置 を見せつつも、日本の社会では、それはしては いけないことであるという話をするようにして いる。 c 日本の子どもたちとの関係−アイデンティ ティに関して 外国にルーツをもつ子どもたちは、日本に長 くいると、母国へのアイデンティティを確立す ることが難しくなることがある。だが往々にし て外国にルーツをもつ子どもたちは、母国のア イデンティティを自分の中にもちつつ、日本で 暮らしていくことに葛藤を抱えているのではな いだろうか。 かれらが外国をルーツとしていることに誇り をもち、自信をもって生きていくためには、周 りの子どもたちのかかわり(関係性)が重要だ と考える。外国にルーツをもつ子どもたち同士 で仲良くなり、そこで自国のアイデンティティ をもてたり、自分に自信をもったりする子ども たちもいる。しかし日本人の子どもたちは、か れらと深い関係性を築けているだろうかと感じ ることもある。実際に、日本の学校や友達にう

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― まくなじめず、母国に帰った子どももいる。 d 進学面の課題 さらに、進学という側面でも課題がある。近 年では、外国にルーツをもつ子どもたちの中で も、大学進学を考えている子どもたちは多く なっている。しかし、現実としては、経済や学 習面の問題等から、中退する子どもも多い。

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が事務局を担う定住外国人子ども奨学金 では、高校生を対象に、人数は少ないが奨学金 の支援も行っている。日本で学んで、多くが日 本で働いて暮らしていきたいと考えている。 3.今後に向けて ⑴ 社会との連携 a 学ぶ機会の保障 子どもの修学に熱心な外国人の保護者は多 い。しかし子どもたちの日本語や他教科の学習 経験は、国によっても家庭環境によっても様々 である。またその状況は、日本政府で受け入れ た難民申請の種類によっても違う。 例えば難民の子どもたちの中には、学校に 通ったこともなく、いきなり日本の学校に来る 子もいる。そのような子どもは、学力を伸ばす 機会自体がそれまでになかったわけである。か れらのよりよい学習機会を担保するためには、 一からその能力を伸ばす環境が必要となる。 また、難民として渡日した人たちは、他の外 国人とは違って、日本語学習を一定期間受ける 機会や、日本の年金システムについて学ぶ機 会、そして日常生活の決まり事(ゴミ出し等) について学ぶ機会がある(学ぶ機会がそれぞれ 異なっている)。このように学びの格差を乗り 越える必要がある。 b 「やさしい日本語」 外国にルーツをもつ人たちへの支援としての 最初に必要なことの一つは、情報提供である。 そして様々な場面での通訳の支援、例えば、医 療を受ける際の言葉の支援、日常生活に必要な 言葉の翻訳なども必要になる。しかし残念なが ら、日本ではそれらの支援が充分に整っていな い。 「やさしい日本語」の普及が、日本の社会に もっとあってもいいのではないだろうか。たと えば学校で子どもと家庭に配布するプリントの 日本語は難しい。「(その行事は)いつあるのか」 「何時集合なのか」「何をもっていく必要がある のか」・・・そういう大事なところだけを、や さしい日本語で書くという方法もあるのではな いだろか。 また「やさしい日本語」の普及は、子どもた ちのみならず外国にルーツをもつ人全てにも安 心・安全を提供できるだろう。日本は災害が多 い国であるが、災害に関する情報が正しく伝わ らなければ、かれらが災害弱者にもなる可能性 もある。実際に

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では、外国にルーツをも つ人たちが災害から自分の身を守るための取り 組み(防災のイベント、防災訓練)も行ってい る。正しい情報を正確に伝えることは、かれら を災害から守ることになる。 ⑵ 学校との連携 a 宗教・文化の尊重 子どもたちおよびその保護者の国の宗教や文 化に対する学校側の理解や尊重も、もっと必要 ではないだろか。日本の公教育では、かれらの 宗教や文化に充分に重きを置いているだろうか と考えることがある。しかしかれらはそれらを 非常に大事に思っている。ここに温度差を感じ ずにはいられない。 例えばムスリムの子どもで、宗教上の理由か ら肌が見えないようにスカートの中にスパッツ を着用していて、学校では先生から駄目だ(脱 ぎなさい)と言われて、そのことを知った保護 者が困惑した事例もあった。

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はこのよう なことがあった場合に、日本の学校に掛け合 い、子どもたちが生活しやすくなるための取り 組みをしている。 これらのことを見ても分かるように、子ども たちの宗教や文化を学校が理解し、先生たちも その情報を共有して下さればうまくいくはずだ

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― が(実際は必ずしもそうではないため)、課題 は残っている。 b 家族をゲストティーチャーに 宗教上の理由から、他の子どもたちと一緒に 給食を食べられず、お弁当を持参する子どもた ちがいる。しかしそのお弁当には、日本にはな いスパイスが中に入っていたりするので、他の 子どもたちの目を気にして食べにくいという子 どももいる。しかしかれらは、同じ教室でみん なと一緒に昼食を取りたいという葛藤もある。 このような課題を乗り越えるためには、例え ば、今はコロナ禍なので難しいかもしれない が、その子たちの保護者(お母さんら)を家庭 科でゲストティーチャーとして学校で迎えて、 食を共にすることを提案したい。先ほど挙げた ような、日本にはないスパイスを含むものの、 日本の子どもたちにとってもなじみのある食べ 物をみんなでつくる機会をもつのはどうだろう か(例えばサモサなど)。 ⑶ 地域との連携 地域との連携を考えるにあたり大事なことの 1つは、その地域の自治に関する「キーパーソ ン」を見つけ、その方々との信頼関係をつくり、 支援の協力を得られるように努力していくこと ではないだろうか。 例えば外国人の地域での受け入れをめぐっ て、まず問題に上がるのは「ゴミの出し方」で ある。地域では、外国にルーツをもつ人たちと の生活習慣のトラブルを懸念する人もいる。実 際に、地域の中で日本人と外国人との暮らしの 中での衝突もある。このようなことがあった場 合、ここ神戸では、地域の自治会の相談セン ターに(地域から)相談が寄せられることがあ り、その対応について

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のスタッフが相談 に乗ることもある。 しかしどの地域でも、外国にルーツをもつ人 たちの受け入れに理解のある「キーパーソン」 がいれば、外国にルーツをもつ人たちが安全に 暮らせる生活に向けて、力を貸してくれる人が 見つかりすい。 最後になるが、日本に暮らす人たちが、外国 にルーツをもつ人たちをもっと理解する機会が 必要ではないだろうか。

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でも年に数回の 講演会を開いて、相互理解を深める取り組みを 行っている。 外国にルーツをもつ人たちを支えたいと考え る人はいると思うが、何から始めたらよいか分 からない人も多いだろう。しかし私自身、当初 から外国にルーツをもつ子どもたちの支援を始 めたわけではなかった。大事なことは、誰もが そのような誰かを支える小さな「きっかけ」を もつことだろう。 注記)本稿は森田美佐氏、磯部香氏に聞き書き をしてまとめて頂き、その内容を確認した ものである。

参照

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