最新の義足の動向
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(2) 日 本 義 肢 装 具 学 会 誌. Vol. 36 No. 2. 2020. の計測とソケットへの再現を重要視した6) .. ている.臀部を覆わないことにより側方の安定性,支持性 に不安を訴える人や坐骨肢の押さえに違和感を訴える人も. その後,多くのデザインや形状が考案されたが,1987 年. いる.近年坐骨で支持をしない新たな概念の NU-Flex SIV. に AAPO と ISPO 米国支部で協議され,Ischial-Ramal-. ソケットが日本でも多くの講習会受講により広められてき. Containment Socket と統一名称が使われるようになった.. ている.. 1985 年には,UCLA の Staats は,Long と Sabolich の 2. 一番の長所は,坐骨を支持しないため,長時間座位をとっ. 人の理論の優れている点を受け継ぎ,臨床および教育的に. ても坐骨付近の不快感がないこと,最も近位部のトリミン. 洗練した UCLA CAT-CAM ABOVE KNEE PROSTHESIS. グが浅いことにより股関節可動域の制限が少ないことが挙. を作りだし,初めて UCLA の教育プログラムに取り入れ. げられる.このソケットは特に両側の大切断者にとって. 普及に努めた.以後,世界各国で伝達講習会が行われ,普. 利点があり,これを使用することにより,歩隔が狭まり,. 及の一途をたどった.. 立位姿勢が直立姿勢をとりやすく,座位での不快感がない. 日本では 1991 年 3 月,UCLA の講師 Christopher Hoyt. など従来の坐骨支持ソケットでは得られないものとなって. 氏によって初めてその理論と製作適合技術が紹介され,そ. いる.しかし唯一の問題としては,このタイプのソケット. れ以降,日本義肢装具士協会では毎年技術講習会を開催し. ではバキューム装置を使用することが必要で,電子制御で. ている.. 35 万円程度,荷重を掛けてバキュームさせるものでも 30. 坐骨収納型ソケットは,歩行中に大骨がソケット内で. 万以上が一般的であるので,このバキューム装置の価格が. 外転位となる四辺形ソケットの問題点を解決するため,い. 高価であることが問題といえる.. くつかの特徴を持っている.① 坐骨が内側にずれないよ. ⑴. うに坐骨結節内側から大転子直下の距離をソケットに再現. 四辺形ソケット 1950 年代以降に確立された吸着式四辺形ソケットは,大. している.これを骨 ML と称し,計測値に 10 mm 程度の. 部の坐骨結節直下の骨や筋組織の解剖学的な位置を重要. 加算値を加えてソケットを製作している.② 坐骨結節か. 視し,ソケットの前内側,前外側,後外側,後内側のコー. ら 40 mm 遠位の内外側径を計測し,軟部組織 ML として. ナーには歩行中に働く筋の活動を束縛しないように凹状の. ソケットを製作している.③ 外側の形状は大転子上方と. チャンネルが配置され,前壁は長内転筋,スカルパ三角,. 大骨骨幹部の形状を再現し,大骨の内転位保持を可能. 大直筋に適度に圧迫を加える役割を持ち,内側面では長. としている(腸骨-大骨角度).坐骨収納型ソケットの問. 内転筋,薄筋,大内転筋,ハムストリングスを収納し,進. 題点として指摘されていた回旋制御の問題を解決すべく,. 行方向に平行な面を作っている.後壁は,大殿筋,ハムス. 現在,日本義肢装具士協会主催の伝達講習会では,前内方. トリングスを収納し,坐骨結節が支持するための棚が作ら. の長内転筋のチャンネルを作り,前壁形状を四辺形ソケッ. れている.外側壁は側方の安定性を得るために他の壁より. トのごとく製作することにより,以前の坐骨収納型ソケッ. も高く,標準的な断端では大転子中央までの高さとなる.. トよりも回旋制御の問題もなく良好なソケットとなってい. 収納される筋は,大胆筋膜張筋,外側広筋,大殿筋となる.. る.このソケットは歩行中だけでなく,座位時での坐骨の. 坐骨収納型ソケットが登場するまで長い期間大義足ソ. 突き上げも少なく,四辺形ソケット使用から坐骨収納型ソ. ケットの主流を成してきたが,歩行中の安定性の向上,座. ケットに変更した際に座位時の快適性を指摘する方が多. 位時の坐骨部の突き上げ感の減少を求め,坐骨収納型ソ. い.断端の収納部分が多いことにより,使用者が安心感,. ケットの使用率が増えている.. 安定性を感じることが多い反面,股関節の可動域の制限が. ⑵. 四辺形ソケット同様にあることが問題であるといえる.. 坐骨収納型ソケット 以前は IRC ソケットと呼んでいたが,JIS 用語の改訂に. ⑶. MAS ソケット. 合わせて現在では坐骨収納型ソケットと用語が統一されて. Ortiz が坐骨収納型ソケットに改良を加え考案したもの. いる.歴史的には,1975 年 Long4)は,多くの大切断者. である.従来の坐骨収納型ソケットに比べ,前壁,後壁の. の歩行が体幹を側屈させていることに疑問をもち,X 線上. トリミングラインを低くし,股関節可動域が格段に向上し. で大骨が健側と同様に内転位を保持する重要性(Long’s. ている点と,大殿筋部分がソケットに収納されないため,. Line)とそのためのソケット形状を示した.その後 1985 年,. 臀部のシルエットが健側に近く特に女性には喜ばれる点で. Normal Shape-Normal Alignment という概念を発表し,100. あるといえる.このソケットは,骨 ML, 内側 AP, 外側 AP. 名の大切断者の断端を計測し,91 から 92 人に大骨の. に加えて,坐骨肢から前外側へ向かう Diagonal ML をソ. 外転が見られ,その原因は四辺形ソケットのトップ面の形. .また坐骨収納型ソ ケットに再現することが求められる7). 状が,A-P 方向に狭く M-L 方向に広いことにあると指摘. ケットでは坐骨結節を内側から後方にかけて収納する形状. した.彼は“義足歩行において側方への安定性は健側と同. を作っていたが,MAS ソケットでは耳たぶのような形状. 5). じように大骨に内転位を与える”ことを提唱した .. で坐骨結節部の後方は覆わず,内側からカウンターを効か. 次に Sabolich は 900 を超える数の非四辺形ソケットを. せるような特徴的なデザインとなっている.本来の坐骨収. 製作し,CAT-CAM ソケットを考案した.大骨の内転位. 納型ソケットを IC(Ischial Containment)と呼び,MAS. 保持のために骨性ロックを重要視し,骨 ML, 軟部組織 ML. ソケットを IRC(Ichial Ramal Containment)と呼ぶ論文も. ─. 104 ─.
(3) 野坂:最新の義足の動向. 散見されている.. 削り,全体の周径を 3∼5%小さくする調整は主に後壁で行. ⑷. う.バキューム装置と決まられたライナーを用いるものを. NU-Flex SIV ソケット Fatone によって開発考案された新しい概念のソケット. NU-Flex SIV ソケット(Northwestern University Flexible. である8) .最も革新的なことは,坐骨支持を全くせずに歩. Sub-Ischial Vacuum Socket)と称している.新規切断者で. 行可能にしている点であるといえる.彼女らは坐骨下支持. 大きなボリューム変化が見込まれる場合,低活動で吸引の. ソケットと呼んでいる.従来の坐骨収納型ソケットでは関. 適合の利益が乏しい場合,吸引装置が高価で利用できない. 節可動域の制限と快適性の問題があり,この坐骨下支持ソ. 場合などでは,吸着式のものを推奨しているがそれらを NU-. ケットを使用することにより股関節可動域の拡大と快適性. Flex SIS ソケット(Northwestern University Sub-Ischial. の向上があること,また吸引式懸垂により断端とソケット. Suction Socket)と呼び,明確に区別している.この場合に. の接点を確実に維持することができることを挙げている.. 用いられるライナーはメーカー推奨のサイズのものを使. それを可能にするために内側の坐骨結節部部分では坐骨結. 用するが,やはり円筒形のものだけで,Medi Relax 4seal. 節よりも 25 mm 低いトリミング,外側では大転子よりも. Liner か Össur Seal-In XTF(追加 Seal を使用)を推奨し. 50 mm 低いトリミングを基本としており,ライナーは円錐. ている.. 状のものは禁忌で,円筒状のライナーを使用する.ライ ナーの優先順位では Medi Relax 3C Cushion Liner, 次に. 1-2-2. 懸垂方法. Össur Seal-In XTF を推奨している.ライナー選択は断端. 差込式ソケットでは,通常ソケット以外に懸垂帯が必要. 末から 5 cm 近位の周径を計測し,計測よりも 1 サイズ小. となる.吸着式ソケットでは断端近位部にコンプレッショ. さいライナーを選択する.座位時でライナーを近位部で折. ンがかかるようにソケット近位部の周径を 3∼5%程度小. り返しし,その上から採型することが特徴である.ライ 表 1. ナーを装着するときつく感じるがソケットとライナーの間. 前額面での 1 歩行周期での移動範囲17). にバキューム装置で陰圧を掛けるため,実際には吸引後は それほどきつく感じないということが特徴である.陽性モ. 坐骨収納型. MAS. 5.5 4.5. 5.6 4.4. 4.7 4.1. 左右方向(cm) 上下方向(cm). デル修正は,近位部の軟部組織 ML に合わせるよう外側を. 図 1. 四辺形. 平地歩行における前額面の重心の軌跡17) ─. 105 ─.
(4) 日 本 義 肢 装 具 学 会 誌. Vol. 36 No. 2. 2020. さく製作し,ソケット遠位部に吸着バルプを使用しソケッ. ケット装着時で前額面の左右方向での重心の移動距離など. ト内に外部から空気が入らないようにすることで,懸垂機. に差があるものの最大でも 1 cm 未満とわずかな差であっ. 能を持たせている.ライナー式では,下義足同様にピン. た(図 1).歩行中の体幹の側屈角度変化はわずかな差で. 式ライナーとピン無しライナーとに分かれる.ピン式ライ. あった.平地での歩行分析後,被験者に平地での歩きやす. ナーは,遠位部にピンを接続するためのアタッチメントが. さについて坐骨収納型ソケット装着時を 10 段階評価で 8. 必要となる.ピン無しでは,シールインライナーを用いる. の評価とした場合の他の 2 種類のソケット評価について聞. か,または NU-Flex SIV ソケットなどで用いられるソケッ. き取り調査を行った.その結果,四辺形ソケットが 6 程度,. ト近位部でライナーを外ソケットに折り返して他のスリー. MAS ソケットは 8 程度であった.現在使用しているソケッ. ブで空気の流れを抑え,ソケット遠位部にバキューム装置. トが坐骨収納型ソケットであることが原因とも考えられる. を用いて陰圧状態を保持する方法等がある.. が,四辺形ソケットが少し歩きづらかったようであるが, 平らな歩行路ではわずかな差であるとの感想であった.. 2. 大)義足ソケットの機能評価 ソケットの形状は,前述したように四辺形ソケット,坐. 2-2. 横方向斜面での歩行分析12). 骨収納型ソケットへ変化している.MAS ソケットは他の. 義足側が高い斜面ではソケットの違いで前額面での重心. ソケットに比べ,外観・股関節の可動域に大きな利点があ. の軌跡および胸腰部の側屈角度変化に特徴的な変化は見受. るが,四辺形ソケットと坐骨収納型ソケットの間での運動. けられなかった.ここでは,義足側が低い状態での左右方. .筆者は,通常行われて 学的分析結果の報告は少ない9-16). 向斜面での結果についてのみ報告する.. いる平地での歩行分析以外に,ソケットの内外側の安定性. 義足側が低い左右方向の斜面路で歩行分析を行ってみる. をより明らかにするために左右方向に傾斜がついた斜面で. と,表 2 に見られるように前額面での重心の移動距離が,. . の歩行分析を行い,若干の差異を報告した17) 2-1. 表 2. 前額面での 1 歩行周期での移動範囲17). 平地での歩行分析17). 平地においてケーデンス steps/min に規定して歩行分. 左右方向(cm) 上下方向(cm). 析を行った.複数歩の平均は表 1 に示すように 3 種類のソ. 図 2. 四辺形. 坐骨収納型. MAS. 7.8 6.1. 7.1 3.4. 7 3. 義足側が低い左右方向斜面における前額面の重心の軌跡17) ─. 106 ─.
(5) 野坂:最新の義足の動向. 坐骨収納型ソケット,MAS ソケットに比べ四辺形ソケッ. 者を対象に歩行分析を行い,同様の結果が得られるか分析. ト装着時に上下方向の移動距離が 3 cm 程度大きくなって. が必要である.さらに MAS ソケットについては,多くの. いた(図 2).今回 1 被験者で各ソケット 5 回の歩行計測. 股関節周りの可動域を許すため,坐骨収納型ソケットより. 結果での評価であったため統計処理は行っていないが,重. も義足側が低い左右方向の斜面での歩行実験では優れてい. 心移動が 3 cm も異なっていたことは興味深いと考えてい. るように感じるとの感想があった.ただ坐骨収納型ソケッ. る.また図 3 に見られるように胸腰部の側屈では,四辺形. トよりも MAS ソケットの方が坐骨結節部分の体重支持が. ソケットが他の 2 種類のソケット装着時よりも義足側の立. 少ないため,長時間での歩行に関しては,多少心配である. 脚相前半での義足側への側屈が早く行われており,上下移. との意見があった.. 動が大きくなっている要因であると考えている.. また Klotz らは 4 名の大切断者に義足無し,四辺形ソ. 左右方向斜面での歩行分析後,被験者に歩きやすさにつ. ケット,坐骨収納型ソケット,MAS ソケット装着時にお. いて坐骨収納型ソケット装着時を 10 段階評価で 8 の評価. ける股関節の屈曲伸展,内転外転の可動域の総和について. とした場合の他の 2 種類のソケット評価について聞き取り. 比較検討しており,ソケット無しとは,すべてのソケット. 調査を行った.その結果,四辺形ソケットが 5 程度,MAS. が有意に可動域が少なかったが,ソケット装着時では,. ソケットは 9 程度であった.現在使用しているソケットが. MAS ソケットが他の 2 つに比べ可動域が有意に大きい結. 坐骨収納型ソケットであることが原因とも考えられるが,. .我々も同様に 2 名の大切断者に四辺形, 果となった18). 四辺形ソケットがかなり歩きづらかったようである.. 坐骨収納型,MAS, NU-Flex SIV ソケットを製作した.林. 左右方向に傾斜のついた斜面での歩行分析を行った結. が股関節の可動域を検査した結果が表 3,4 のごとくであ. 果,臨床で大切断者の方々から四辺形ソケットがでこぼ. り,四辺形および坐骨収納型ソケットに比べ,MAS が優. こ道では歩きづらいとの意見が多いことと一致する結果に. れており,それらを上回る可動域を確保できているのが,. なったのではと考えている.今後はさらにより多くの被験. . NU-Flex SIV ソケットであるということがいえる19). 3. 義足膝継手について 膝継手は立脚相と遊脚相に分けて機能の分類がされてい る.立脚相制御装置は,大きく分けて static stabilizing と dynamic stabilizing に分けることができる.static stabilizing には,マニュアルロック,荷重ブレーキなどがこれ にあたる.dynamic stabilizing には,低∼中活動者向けの バウンシング機構と中∼高活動者向けのイールディング機 構があり,平地だけでなく下り斜面などに安全性の高いも 図 3. 義足側が低い左右方向斜面における前額面の 17) 胸腰部の側屈角度変化(一部改変) 表 3. 悪い場合には,立脚相において軽度屈曲位でロックするバ. 被験者 A における 4 種類のソケット装着時における股関節可動域について. 屈曲 伸展 内転 外転 屈伸可動域 内外転可動域. 表 4. のが多い.一般的には,健足の筋力,体幹バランスなどが. 四辺形. 坐骨収納型. MAS. NU-Flex SIV. 75 ,10 35 7 65 42. 80 ,9 35 15 71 50. 89 ,9 40 15 80 55. 110 ,7 46 15 103 61. 被験者 B における 4 種類のソケット装着時における股関節の可動域について. 屈曲 伸展 内転 外転 屈伸可動域 内外転可動域. 四辺形. 坐骨収納型. MAS. NU-Flex SIV. 70 ,10 19 15 60 34. 70 ,9 23 12 61 35. 80 ,10 25 15 70 40. 106 ,6 47 25 100 72. ─. 107 ─.
(6) 日 本 義 肢 装 具 学 会 誌. Vol. 36 No. 2. 2020. ウンシング機構が適している.この機構では,低活動の切 断者が下り坂,でこぼこ道などを歩行する場合にも高い安 定性を発揮する.しかし階段を左右別々に 1 歩ずつ下る動 作をすることはできない.活動レベルが中程度以上で健足 の筋力,体幹バランスが良い場合には,下り坂や階段下り の際に荷重を掛けながら膝をゆるやかに屈曲させることが できるイールディング機構が適している. 遊脚相制御として歩行速度への追従性のある可変摩擦機 構や流体制御装置などがある.流体制御装置には空圧・油. 図 4. 圧の抵抗を利用するものが数多く製品化されている.コン. 異なる膝継手使用時におけるケーデンス 100 での 膝継手角度変化. ピュータ制御膝としては,遊脚相のみをコンピュータ制御 するものとしてインテリジェント膝継手がある.また立脚 相,遊脚相ともにコンピュータ制御するものとしてオッ トーボックの C-Leg, Genium, Össur の Rheo-Knee, ナブテ スコの Allux などがあり,立脚相では高い信頼性のある イールディング機構を有している.オットーボックの Kenevo は低活動者向けのもので,ロック,セミロック,バウンシ ング機構,イールディング機構に設定変更することができ, 立位から座位,座位から立位へのアシストモードが働き, 転倒のリスクを軽減する機能がある.昨年の ISPO の発表 で電子制御膝継手の価値について,転倒のリスク回避がで きることで,経済効果が高いとの評価をしており,今後電. 図 5. 子制御の膝継手に関する評価については,単なる歩行評価. 異なる膝継手使用時におけるケーデンス 100 での 膝継手角度変化(電子制御中心). ではなく,さまざまな観点での評価と適応に関する議論が 者の歩行例を示している.C-Leg では,平地での歩行では. 必要であると感じている. またオットーボック Genium に関しては,他の電子制御. 立脚相後半までほぼ膝伸展位となっているが,Genium で. 膝継手と異なり,初期接地において 4 度の膝屈曲角が付い. は膝 4 度屈曲位で初期接地するため,立脚相での健常者の. た状態で接地する機構となっており,歩行中の膝継手角度. 膝角度変化同様に軽度膝軽度屈曲パターンを示している.. 変化だけを着目すると健常者の歩行にかなり類似した波形. C-Leg, Genium ともにケーデンス 100 steps/min では油圧. を示している.しかし,図には示していないが,義足側の. シリンダを電子制御しており,遊脚中期での膝最大屈曲角. 股関節角度変化を注目すると足部など他の要因の問題なの. 度が 65 度になるよう(設定で変更可能)になっている.こ. か,健常者が初期接地直後に股関節屈曲位を保持するよう. れらの膝継手では健常者の通常の歩調よりも速い状態でも. な同じ波形パターンを示すことはない.. 対応可能であることが確認できている.. 図 4 には機械的摩擦装置+伸展補助装置のものとして, オットーボック 3R15+21B30 を 3R15 とした大切断者の. 文. 献. 1 歩行周期の膝継手角度変化を示しており,遊脚相制御に. 1 )澤村誠志.切断と義肢.第 2 版.医歯薬出版,274-312, 2016.. 空圧を用いた 3R106 とバウンシング機構と遊脚相制御に 油圧を用いた 3R60 の大切断者の歩行例を示している.. 2 )Kristinsson, Ö. The ICEROSS concept : A discussion of a philosophy, Prosthet. Orthot. Int. 17, 49-55 (1993).. ケーデンス 100 steps/min 程度の通常歩行よりも若干遅め. 3 )Staats, T.B. Advanced prosthetic techniques for below-. の歩行において,3R15 では摩擦抵抗を調整しても遊脚中. knee amputations, Orthot. Prosthet. 41, 46-57 (1987).. 期に踵の跳ね上げが生じ,歩調の速さが限界を超えている のが伺える.3R60 では,初期接地後に膝軽度の屈曲でロッ. 4 )Long, I.A. Techinical notes, allowing normal adduction. クがかかり,立脚相の後半で膝が膝屈曲角が減少後,前遊. of femur in the above-knee amputations. Orthot. Prosthet.. 脚期に膝屈曲になっていっている.3R106 と 3R60 ともに. 29, 53-54 (1975). 5 )Long, I.A. Normal Shape-Normal Alignment (NSNA). ケーデンス 100 steps/min 程度であれば適切な遊脚相制御. above-knee prosthesis. Clin. Prosthet. Orthot. 9, 9-14 (1985).. が行われているのが伺える. 図 5 には機械的摩擦装置+伸展補助装置のものとして,. 6 )Sabolich, J. Contoured Adducted Trochanteric-Controlled Alignment Method (CAT-CAM) ; introduction and basic. オットーボック 3R15+21B30 を 3R15 とした大切断者の. principles. Clin. Prosthet. Orthot. 9, 15-26 (1985).. 1 歩行周期の膝継手角度変化を示しており,立脚相・遊脚 相ともに電子制御の C-Leg と Genium を用いた大切断 ─. 7 )Ortiz, M. New evolution in transfemoral socket design 108 ─.
(7) 野坂:最新の義足の動向. 14)野坂利也. M.A.S. socket. IPSO 2006 Asian Prosthetics and Orthotics. 他.工学的観点から見た最近の義足ソケッ. ト,義装会誌 14,187-192(1998).. Workshop in Korea, 55-67, 2006. 8 ) Fatone, S. et al. Northwestern University Flexible. 15)Hachisuka, K. et al. Subjective evaluations and objective. Subischial Vacuum Socket for persons with transfemoral. measurements of the ischial-ramal containment prosthesis.. amputation-Part 1 : Description of technique. Prosthet.. J. UOEH, 21, 107-118 (1999).. Orthot. Int. 41, 237-245 (2017).. 16)Traballesi, M. et al. Energy cost of walking in trans-. 9 )野坂利也.坐骨収納型ソケットと四辺形ソケットの比. femoral amputees : Comparison between Marlo Anatomical. 較評価 第 1 報─歩容による分析─.日本義肢装具学会. Socket and Ischial Containment Socket. Gait & Posture,. 第 7 回大会講演集.41-42,1991.. 34, 270-274 (2011).. 10)東江由起夫. 17)野坂利也.大義足ソケットと日常生活動作.義装会. 他.坐骨収納型ソケットの適合評価 第. 誌 26,15-20(2010).. 2 報─ X 線及び筋電による分析─.日本義肢装具学会第. 18)Klotz, R. et al. Influence of different types of sockets on. 7 回大会講演集.43-44,1991.. the range of motion of the hip joint by the transfemoral. 11)野坂利也.四辺形ソケット,坐骨収納型ソケット,断. amputee. Ann. Phys. Rehabil. Med. 54, 399-410 (2011).. 端形状ソケット装着時の歩容の分析について,義装会誌. 19)林諒一郎.Northwestern University Flexible Subischial. 6,309-323(1990). 12)東江由起夫. 他.坐骨収納型ソケットの適合評価─ X. Vacuum Socket と他ソケット装着時における大義足. 線及び筋電による分析─.義装会誌 9,222-227(1993). 13)東江由起夫.最近の大義足のソケット.総合リハ. 44,2020.. 26,23-30(1998).. ─. 歩行の運動学的比較.北海道科学大学大学院修士論文,. 109 ─.
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