胃がんを知ろう診断から治療まで 名古屋大学消化器外科小寺泰弘 胃がんは以前より日本人のがん櫂患数、がんによる死亡数などの指標で第一位の疾病でし た。また、世界で発生する胃がんの 3分の 2が日本、中国、韓国などの極東に集中してお リ、日本人にとって胃がんの克服は今でも大きな課題です。一方、その原因のひとつとして 胃の中で生息するへりコバクターピロリ菌による慢性炎症があげられており、この菌を抗 菌剤で除菌することによゆ慢性炎症が治癒し、少なくとも一部の種類の胃がんの誘因とな ることがわかってまいりました。食生活や衛生環境の変化により若い世代の人たちにこの ような菌の保菌率が落ちていることもあるのでしょうが、若い人たちが胃がんに櫂る頻度 は減っておりますが、わが国では高齢化が進んでおりますので日本全体としての胃がんの 頻度は横ばいです。 わが国の胃がん治療の成績は世界でもトップクラスであり、それには数多くの要因があり ますが、特に重要なのは検診が広く行われ、早期診断がなされていることです。特に内視鏡 で早期のがんを診断し、これを切除する技術には素晴らしいものがあります。内視鏡切除が 可能ながんには厳密な基準があり、多くのがんはこれを満たさないために手術が必要とな ります。手術における胃の切除範囲はがんができた場所や進行度で決まりますが、こうした 様々な術式を開腹で行うか腹腔鏡で行うかについても既に長期間議論が続けられてきまし た。最近では多くの施設で腹腔鏡下手術が取り入れられており、技術に習熟した施設であれ は体力の温存や早期の回復に加え、現在なお臨床試験の結果を待っているところではあり ますが、がんが治る確率についても開腹術に遜色がないのではないかとの期待が寄せられ ています。まだ保険収載されておりませんが、さらにここにロボットを使用できないかと言 うのが最近の話題です。 ただし、多くのがんがそうであるように、胃がんにおいても手術だけで得られる治療成績に は限界があります。現段階で薬物療法のみで胃がんを完治させることは困難ですが、手術に 加えて適切なタイミングで薬物療法を行うことでがんが治る確率をさらに向上させること が可能です。 本講演では、手術療法、薬物療法も含め、胃がん診療全般について御説明したいと思います。
胃がんを知ろう 診断から治療まで
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