NII-Electronic Library Service MEMOIRS
eF
S▲GAMI IN8TITVTB OF TECHNOLOGy Vo1
.
15,
No.
1,
1980 パタ
ー ン
認 識
に
お け る
曖 昧
さ
・主 観
の
定 量 化
廣
田
薫
*Analytical
Expression
ofAmbiguity
andSubjectivity
in
Pattern
Reeognition
Kaoru
HIROTA
*In
the
field
of pattern recognition,
there
exist several unwieldy problems whichhave
been
avoidedconsidering actively , such as
(
1
)ambiguityof
objects ,
(2)
8ubjec も
ivity
ofob8ervers
.
In
thispaper these problems are
discussed
positivelyba8ed
on thefollowing
way ofthinking
:All
the
things weean
interfere
are expressedby
the
coneept of probability, and the cases we cannotintervene
are unifiedby
using s(》calledFuzzy
concept.
Moreover ,
the
careful study ofthese
problems
Inakesit
clear that (1
)so−
calledFuzzy
concepts can be derived from the notion of probability,
(2
)whereasit
is
impossible
to
derive
the concep 七〇f
probability onlyfrom
a membershipfu
ロction ofFuzzy
sets.
However ,
it
is
shown
that
(1
)the
Fuzzy
conceptis
equivalent to the concept of probability,
if
,in
addition to the皿 embership
function,
a certainkind
of countable−
family
offunctions
is
given,
(2
)thereis
a possibilityof obtaining excellent results
by
the aPPropriate use ofthis
extendedFuzzy
expression・
1
.
ま え が き パ ター
ン認識や意思 決 定 な どの 分 野で は, これまで の 自然 科 学に は み ら れ な か っ た極めて扱い に くい問題 点が い くつ か存 在する。 いわゆる曖 昧さ や主 観と呼 ば れるも のが そ れで あり, これ ら を解決 し な け れば,
これ以 上の 研 究 進 展 が 難 しい ところまできて い るようにみ うけ られ る。 こ の種の 問題に関 し て は,
従来の確率統計の 概念 を 漠 然と用い た り,Fuzzy
概 念の提案が な さ れ た り,
他に も主観 確 率・
多 値 論理・
量 子 論 理 な どの適 用 が 試み られ て きた。 け れ ど も認識や決 定に 固有な性 格を深く掘り下 げた緻密な考 察は殆ん ど なされて お ら ず, その結 果 本質 的な結 論は得 ら れていない 。 本 論 文で はこ の点に焦 点を あ わせ, 認識 決 定に おける主 観や曖 昧 さの考 え 方か ら定 量化ま で を述べ,
今 後の研 究の糸 口をみつける ことを 目 的 とする。2
で は, 論 点を明確にする た め,
パ ター
ン認 識の モデ * 講 師 情 報工 学 科 1979 年 12 月20
日受理 ル 化 を し, 従来避 けて通っ て ぎた問 題 点 (1)対 象の曖 昧 さ (2
)多様 性 (3
)個 性や主 観 (4
)知 識の進 展 を, 積 極 的 に取 りあげる必 要 性 を 述べ る。3
で は, 事 象が単一
の 場 合に 限 定し, これ らの問 題 点を考 察定量 化 する。 そこ で は , 介 入で きる場面は 全て確率概念で説明 し,
実 際上 の 介入が 困難ま た は無 意味 な 場 面 を, い わ ゆ るFuzzy
概 念で集 約 する とい う新ら しい立場が と ら れ る。 これは , 必要以上 に複雑な量を理 論に持 ち 込 まず, 現実に と ら え うる明 確 な 量のみで , 有用 な理論展 開を可 能にするとい う意 味で, 確 率の み或い はFuzzy
のみ に固 執し た狭い 考 え 方か ら脱 皮し た有用 な手法である。 4 で は,
こ の立 場の意 義 を さ ら}こ 明確に するた め,
確 率 概 念とFuzzy
概 念を比較 する。 まずFuzzy
概 念は 確率 概 念から導け るこ と を 示 し, 新 らしい 考え方とい う事を否 定 する。一
方Fuzzy
は役に 立たぬ とい う従来の批 判に対 して, メ ソバー
シ ッ プ関 数の み で は,
た し か に不 十分であるこ と を 示し, 確 率 概 念 以上 の論議に は, 漠 度 関数をは じ め と するモ ニ ター
と呼ぶ 関 数の組 が 必 要 なこ と を理論 的に示 す。 これを拡張Fuzzy
表 現と呼び, 観点は異な る が,一 25 一
N工 工一
Eleotronio Library相 模工 業大学 紀要 第
15
巻 第1
号 理 論 的に は確率 表 現と等 価 なこと を示す。5
で は, 複 合 事 象の場合の演算につ い て, 局 所情報を適宜取り入 れて 大 局情報を 中 心に考える とい うパ ター
ン認 識の原 則に従 っ て確率表 現に よ る定 量 化 を する。 最 後に, これ を拡張Fuzzy
表 現で と ら え る手法を述べ, 今後のFuzzy
研 究 の活 路 も与え る。
2.
パ ター
ン認識
の モ デ ル化と問
題 点議 論の論 点を明 確にするため, パ タ
ー
ン認識の一
つ の モ デル を述べ , そこ に存 在 する問 題 点を指 摘 する。情報 科学で は認識 を, 「扱 うべ き対象と, それ らを観 測 する認識主体が存 在し, 主 体が その対 象 を 観 測 す るこ とに よ り
,
自 己の内部にその情 報モデル を構 築 するこ と。」 と定義 する 1) 。 こ こ で は人 間 が認識 主 体で, 手 書 ぎ 文字を観測対 象と し て,
自分の持つ 交字の知 識に基づ き,一
つ の情報モ デルを構成 するパ ター
ソ認 識の場 面 を 考察 する (図1
参照 )。 構 成された情報モ デル が 明 確 な もの であれ ば, 具体 的 に文 字が何か を識別できるこ と になるが, 現実に は暖 昧 な情 報モ デル の場 合で さえ も, 何 等か の手法で処 理をす るのが 普 通で あ る。 以 上の状 況で, 非 常に扱い に くいが 避 けて通 れ ない。 次の本 質的 問 題 点が存 在し て お り, こ れ ら を 理論 的に解明 する こ と は, 研 究 進 展に極め て 大 き な効 果を 及 ぼ す もの と考え ら れ る。 旨 (1) 扱う対 象 の性質に, 真偽の 二値のみで は説明で ぎぬ暖 昧さが存在 する。 (2
) その暖昧さも,一
般 的に は多 様 性に 富ん だか な り複雑な もので あ る。
(3
) 認 識 主体の側に も, 主観や個性と称 する複雑か つ 多 様 性に富ん だ ものが 存在し, 個 々 の主体に よ り構造にい くらかの差 違が存 在する。 (4
) 主観や個 性は, 過 去の経 験 な どに よっ て形 成 さ 対 象6
主 体− − ロ
りi
回 團
i
L_________一
」 情 報モ デル 図1
パ ター
ン認 識の一
モデル れ る が, 学習や忘却とい う時間 的変化,
い わゆる 知識の進展 が み ら れ る。
これ らの 扱い に くい 問題点を 既 成の 手法のみで扱お う とすると,
確 率 統 計の理 論に従 うこ とに なろ う。 こ の 観 点か ら, ベ イ ズ決定理論な どを は じ め とする統計的 手 法が, パ ター
ソ認識の場面にそっ くり導入 さ れ , 基 本 的 に ある程度 良好な 結果 を 得て い る。一
方で は,
近年LA .
Zadeh
に より,Fuzzy
概 念 が 提案され 2) , その応 用 も試みられてい る。 け れ ど も, い ず れ も完全 な 結 果 を 得 る 迄 に は 至 っ て お らず,
そ の大 きな原 因とし て , 認 識 とい う問題が持つ一
連の特有な性 質を 十分に考 慮し た緻 密な考 察 が 行 なわれてい ない こ と が あ げ られる。 これ ら の問題 点を, ま えが きで述べ た 立場に よ り逐次解明し て い く。3.
単
一
事象
の 評価3−1.
曖 昧 さ と主 観の定量化 最も簡単 な 場 合 とし て, 事 象 も評 価 者 も, 共に単一
の 場 合を考える。 例えば 図 1に おい て,
主体 が ある一
人の 評価者であり, その人 が 与 え られ た 文字が a か否か を判 定 する場 面 な どを考 え れ ばよい 。こ の場合
,
その 事 象が真な ら 1,
偽な ら0
とい う二値 定 量 化は よく行わ れ る。 けれ ども, パ ター
ン認識固 有の 問 題と し て曖 昧さが あ り,
どちら と も決め かね る場合も 多い (曖 昧情 報モ デル の確立)。 そこで,
多様 性も考慮 し て,
曖 昧 さの程 度 を 【O
,1
】 実 数 区 間で表現し, 1に 近い ほ ど真らし く, 0に近い ほ ど偽らしい と考 える こ と にする。 (こ の定 量 化は,Fuzzy
のそ れと同一
である。) しか し, 問 題は これで解決するほ ど単純で は な く,
曖 昧さの程 度 を 示 す 数 値 が一
義 的に決ま る と は 考 え に く い 。 はっ きりa と わ か る文字に対す る評 価値の1
や, 逆 の場 合の評価値の0
は確 定 するか もしれ ないが, 曖昧な 場合は, 仮に80
% 程 度a らし い と い うことで,0 .
8
と 評 価 し て も, し ば ら く後で 同一
の文字を0 .
7
と 評価 する こ と は よくある。 実際の アγ ヶ一
ト調 査で は, 同一
被験 者の同一
対象に 関する二 回 の評価 値が0.
8 か ら0 .
2
と い うように, 反 転する こ ともしば しば あ る。 従 っ て, 曖 昧さの評価値は, 確 定 的な もので なく複雑 な 要 因で変動 する もの と考 える のが自 然であろ う。
そ こで各 要 因ω を パ ラ メー
タ, またその全体をパ ラメー
タ空 間 と呼 ん で9
= {ω}と記 すこ とにす れ ば, 各パ ラメー
タω に [0,1
】 評 価値 μ(ω)を対 応 さ せ る。一 26 一
NII-Electronic Library Service パ タ
ー
ン 認 識にお ける曖 昧さ・
主 観の定量化 (廣 田 薫) y :fl−一
→ [0
, 1】 w w (1
) ω ト→ P (ω) なる写像μに よ り, 瞹 昧さを 定 量化するこ と がで きる こ こで 各 評 価値 μ(ω)は,
パ ラメー
タ ω が変わ る ごとに 変 化を す るラ ソ ダム変 数で あり,
どの パ ラメー
タがどの 位 頻 繁に用い ら れ る か は, 確率密 度関数P
(ω)1
。P
(・)d
・一
・・P
(・)・ ・(・) に よ り表現されるもの と す る
。
また , 各パ ラ メー
タ ω を,
我々 の心の 中に 形 成さ れ た.
つ の判断規 準に対応 す るもの と考えれば,P
(ω)は,
その判 断 規準 を どの程度 好んで用い る か とい う, 我 々 の癖を示 す 指 標 と考 え ら れ, 個性や主観
を 反 映す る もの とい え る。 μ( ω)は, 試 行 の た びに (例 え ば 文字が提示 されるた びに)値が変わ る ラ ソダム変 数と して とら え られる か ら,
い くつ か の統 計 量 が 定 義 され る。
例えば, 平 均値E
【t、】−1
μ(・)P
(・)d
・(
3
}●
9 ぽ,
我々 がその事象の 曖 昧 さに 関して持つ 第1
情報を与 え, ま た分 散・
1
・亅一
1
。 (・(・)−
E [・・])2P (・)d
・ (・) は,
我々 がその 事象を評 価 する際, どの程 度の確 信を持 っ て (或い は 再現性を持っ て) 判断し てい るか を 示す第2
情報を与 えるもの と解 釈で きる。実際に は,
9
やP
(ω)は, 評価者の心の 中に潜 在 する ものであり,
通 常 その構 造は未 知で, 推 定も殆ん ど 不 可 能であろ う。 けれ ども,
認識の場 面で 重 要 なのは, 仮定 された9
やP
(ω)の 推定で は な く, い くつ かの μ(ω) の標本値そ れ 自身, 或い はそ れ らを もと に推 定 し た平均 や分 散 な どの値であ り, これらの量 が 具 体的処理 にど う 用い ら れ るか の解 析である。3−
2.
複数 評 価 者に お け る パ ラメー
タ 空聞議 論を や や
一
般化し て,
評 価 者が複 数の場 合 を考え る。 具体 的に は,
図1
で複数の評 価 者が提示 された文字 を a で ある か否か を 判 断し,
評 価 者集 団と して統一
見解 を出 す 場 合などを想 定 す れ ばよい。
↑ あ る 対 象X
上のFuzzy
集 合は μ:X
→ [0
,1
]なる 対 応づ けで定 義さ れ る。
こ こ こ で は, 対 象が単一
なの で
X
は 唯一
つ の要 素か ら成る。 (1
)の9
は対 象の集 合で な く
,
認 識主 体の 判 断 規 準集合で ある か ら,Fuzzy
集 合 と誤っ て解釈し て は い け ない。 この場 合は,
パ ラメー
タ空 間 9 を, 判 断規準の集 合 θ=
{θ} と, 評価 者 集 団A
= {α}の直 積 と考 え る。 9=
θxA (5
) 各 評 価 者a は,
判 断 規 準 集 合θ を持ち, 評価者a の規 準 θ に よ る評 価 値は , (1
}の代 りに次の対応 μ(θ,
a)で表 現さ れ るこ と に な る。
μ:
9 =
θ×A −
→ [O
,1
] w,
w (6
) (θ,
α)「一一
→ μ(θ,
α) 評 価 者αが, u 規準θ を選 好する確 率 密 度 も (2)の 代りに1
。 ・(・1
・)・・一 … (・1
・)・ ・ (・) なる P (θia
)を 用い るこ とになる。 ま た,
評価 者 集 団A
= {α}の中で,
特定の評価 者α が選 好され る 確 率を, 密 度 関 数の形 式でP
(α)と記せ ば,1
!
(繭 一 … (・)・ ・(・) と与え ら れ る。 (実 際は,
A
は有限集合A
・={αba2,
… ,
a。}で あり,
ΣP
。i=1
, Pai≧0
なる総 和形式 表示できる が,
本 論 文で は 積 分 形式で 統…
して い る 。〉 する とθと a の結 合確 率 密 度P
(θ,
a)は,
」
P
(θ,a)=
」P
(θ1a
)P
(α)(9) で 与え ら れ , パ ラ メ
ー
タ空 間 ρ=AX
θ の確 率を与 える ことが (7
), (8
)より』
P 贓盛
;
盤
P 伽 )d
”lda
= 1}
a
・・ を み たすこ とか らわ か る。 な お評 価 者 集 団A に よ り, θ なる判 断 規 準が 選好さ れ る確率 密度P
(θ)は,
・(の
一
〜
・(… )d
・一
〜
!
(・1
・)・(・)面 (・・) で与え られ, (10
)より1
。 P (のd・一
… (の・・(・2 ) を み たす。 さ らに 判 断規 準θを とる評価 者がα である確 率密 度
P
(α[の は ,Bays
の定理 よ り,P
(α1
θ)= P (θ,
α)!P
(θ) で 与え られ, (11
)よ り次 を みたす。1
!
(・1
のd・一
・,
・(・[の・・ (13
) (14)なお 以 上 の パ ラメ
ー
タ空 間 9= θxA の確 率の 議 論 で,
現 実に与えられ るのは,A
に おけるP
(α)のみ であ り, 他は 理論の便 宜上仮 定さ れ た もの で ある こ とに注 意一 27 一
N工 工一
Eleotronio Library相 模工業大学 紀要 第
15
巻 第1
号t・
雪 を する必 要がある。3−3.
モー
メン ト解析 前 節の単一
事 象 複数評 価者の場合につ い て,
パ ラメー
タ空 間 ρ= θ×A
の確率を 用 い て モー
メ ソ ト解 析を す る。評 価 者a のその事 象に 関 する評 価の平均 値と分 散は,
E
【・(・ ・)i
−!
。・( ・・
の・(el
・)de
(・5
)・[・(・ の
1
−∫
。(・ (… )− E
[・( α)])2P (・1
のd
・ (16
} で与 え られる。 ま た, その事 象に関 する評価 者集 団A
全 体の平 均値と分散はE
【・1
−
∬
。 μ伽 )・(… )d
・面一
s
’E
[u(・
・
α)】P
(α)d
α ・[・1
−∬
。 (・伽 )一
・回 )2P (e・の伽 (17) (18
) (19
)一
1
。v 【・(
・
・
の エP
(・>da
・1
。E
[・(・
la )12
xP (α)面一
E
[μP
(20
) で与 え られる。 現 実の問題で は,
知り う るのは μ(θ,
a)の標 本 値お よ びP
(a)の分布だけで あ り, 標本値からEl
μ(・
, a)1
,yl
μ(・
,a)】を推 定し, その推 定値とP
(のをもとにす れ ば,
(18), (20)よ りE
[μ】,V
[μ】を推 定する ことがで きる。 以 上 で は平 均 分 散のみ述べ た が,一
般化は可 能であ り, 例 え ばth
次モー
メ ン トM
η【 μ】や平 均値ま わ りの n 次モー
メン トMe
”【μ1
は, A θ で与え られ るが, 難か し くなる。 ところで n≧m とする と, あるこ と よ り1
≧M 肌
[μ】≧Mn
[μ1
≧0 を得る。 全 く同 様に1
≧MoZm [Pt】≧Mo2n
[μ】≧01Mlo2m
+i 【μ11
≦Motm
[μ]Mn
[・】一
∬
。 ”・(・・ a)・(・・のd
…聯
】一
∬
(・(e・ ・田 ・】> n・ (… )伽 (21
) (22) n 大ほ ど意 味づけ や精 度の良い推 定は μ(e, α)の値が 【O,
1】に (23
) (24) (25
) を得る。 さ らに %一
→ 。。 と して 1iln Mo” [μ】= 0 (26
) 鷲→
co がい え る。
(24)〜
(26
)よ り, 次数n が大きいほどモー
メ ン ト の値が小さ くな り, 極 限で零にな るこ とがい え た。 これ は,
モー
メ ソ ト の うちで も平 均値や分散 な どの低 次 モー
メ ン トに 主要情 報が集 約し て い る こ と を 理論的に保 証するものであり, 現 実の意 味 との調 和 がと れ てい る。
実際の場 面で は, 三 次 モー
メ ン トくらい で,一
次との比 が10−
3 位になるこ とも多 く, 平均 値と分 散だけの議 論 で,
大 部 分の情報が表 現さ れ ることも多い こ とが わか っ てい る。こ こまでで,
2
節で述べ た四つ の問題点の うち, 最 初 の三つ の 解 答を与えた ことに なる。 残りの一
つ,
す な わ ち学習 忘 却に よ る知識の進 展につ い て は述べ て い な い が,
その 場 合は さらに も う一
つ の要 因である時 間T
を加 え,
パ ラメー
タ空 間を,9 =
θ×A
×T
で表 現し, 5
節 で述べ る複合事 象の評 価に も関 連した議 論 を することに なる。 しか し複雑にな るので 省 略 する。3−
4.
対 象が複数の場 合 これまで は, 扱 う対象が唯一
つ の場合であっ たが, こ こで は複数の場 合を考える。 具体的には, 図1
で多 くの 文字が提示さ れ る場 合を考えれば よ い。扱う対 象を,
X =
{X}で あ らわせ ば, 各対 象X と各パ ラ メー
タ ω ご とに評価値が得ら れ る の で, (1
)或い は の代 りにμ;
Xx9
−
→ [0
,1
】 ω u (27 ) (x,ω)i
−
→ μ(x,
ω) なる写 像を考え るこ とになる。 こ の関 係は図 2 (a}の よ うに あら わ せ る。 ま た, 各 対象X ご とに, 前節の モー
メ ン ト解析が でき,
平 均値や 分散は, 対 象X の 関数と し て, 図2
(b
), {c)の ように与 え られ ることに なる。こ こ で
,
従来の二値 論理と 比較する た め対象が X, y,
Z 三個の場 合を考え る。X =
{x,
y,
z} (28
) こ の場 合, 二値論理 で は,
扱 うべ き部 分 集 合はφ, {x}
,
{y},
{z},
{x,
v
}, {v, z}, {x, x}, {x,v
,z}=x
(29
) の8
(= 23)個である。 これ らは全てX
か ら {O,1
}へ の 写 豫として表 現できる。 例えば {X,v
}は X(x)=X(y}=1
, Z (z)=o
(30) で, 対応 規則が与え られた写 像X
一 28 一
1
曜
匪一
NII-Electronic Library Service パ タ
ー
ン認識に お ける曖昧さ・
主 観の 定 量 化 (廣田 薫 ) (a) 評 価 値 Cb)平 均 値 図2
複 数 対 象 単一
事 象の評 価 〔c)分 散 Z:X −
→ {0,1
} (31
) と同一
視で ぎる。 (31}を (27)と比較する と, パ ラメー
タ空間 9 が 加 わ っ て い る こ と (個 性 や 主 観の考 慮 ),
{O,1
}二 値が [0
,1
】無限多 値に なっ て い る こ と (対 象 の曖 昧さ多 様 性の考慮)が わか る。
その結 果, 扱 う対 象 が (28
)の三個の場 合で も,
場 合の 数 が 23= =8
個か ら,
連 続 無 限に ふ えて し ま うこ とに なる。 従 っ て , 実 際の場 面で は, 曖昧 さや主 観 を 考 慮し た場 合, 扱 う対 象X
を,
単に 「ものの集ま り」 と み るだけで な く,
その位 相構 造,
代数 構 造,
順序構 造な どに注fi
し た解析が必 要になる。 パ ター
ソ 認識に お い て は , 特に パ ター
ソ相互問の 類似 性い わ ゆ る位相構造が重要であり, 位 相 解析的 手法1)がOCR
実用機の有効な手法の一一
つ で あ るこ と は 良 く知ら れて い る。
4. 確
率 表 現と拡
張Fuzzy
表 現 (漠度
関 数の提案) 単
一
事 象の表 現 を 終 えた ところで,
本 論 文の 立 場 と意 義を よ り明確にする た め, 確 率統 計概 念とFuzzy
概 念 の両 面か ら考察して み る。Zadeh
は,
Fuzzy なる概念を導入 し2) , 個々 の事 象は 真 偽の いずれか に分れ るので はな く, その中間の暖 昧な 状態に あるこ とを 積 極 的に捉えよ う とした。Fuzzy
概 念 は [0,
1ユ実数値で表現され, 本論文で は図 2 (b
)の平均 値がそ れに対 応す るといえ る。 し か しFuzzy
概 念だ け で は, [0,1
]の中に確定し た唯一
つ の値しか許さぬ ので,
現 実の意 味と結びつ きに くい。
例えば暖昧さの程 度 は, 平均0 .
8
だが分 散0 ,
1
程 度の変 動があるとい うよ うな ラ ソダム ネス を 入 れ ない と, 現 実 的意 味づけは不能 であろ う。一
方,Fuzzy
概 念の 有用 性 を認めぬ 立 場 の学 派の メ丶達 は,
従 来の確 率 概 念と 二値 論理 を 用 い る だ け で充分と 主 張 して譲 らなか っ た。 例 えば, 曖 昧 さの程 度0 .
8
は, 真 ;1
の確 率 が0 .
8
で 偽=0
の確 率 が0.
2
の 結 果で ある と考 え られるとい うもの である。 本論 文に おい ても, 各 判 断 規 準ω を, さ らに 分 割して考 えてい けば, 究 極 的に は1
と0
の 二値 と確 率 分 布のみで の議 論 もで きる。 こ の 意味で は, 本論 文で もFuzzy
概 念が従 来に なかっ た全 く新らしい 内 容の概 念とい うこ とを 否 定した こ と に な るe し か し, 認 識の場 面で 重 要なのは,1
の確率0.
8,0
の確率0.
2
とい うよ うな 0と1の値し か と ら ぬ評 価い う もの ではない。 直接と ら え得る の は,
0 .
8,0.
75
或い は0.
85
とい う変 動 を 伴っ た [0,1
】の 中間値である。
従っ て 0,
1 の 二値に な る ま で判断 規準を 分 割 するの は無駄 で あ り, 議 論 を 複 雑にする だけで ある。 本 論 文では, こ の観 点か ら, 思 考の原 点を [O,
11
の値をとる μ とパ ラ メー
タ空 間ρの確率P
におき, 介 入で き る場 面は全て確率 概 念で,
実 際上介入 が困 難 或い は 無 意 味な場 面だけを,
い わ ゆ るFuzzy
概 念で集約 す る とい う立場を取っ た。 これに よ り,
必要以上に複 雑な量を 理論 体 系に持ち込 む 必 要 が な くな り,
しか も実 験 的に捉 え うる明 確 な 量 だ け を 基 礎に し て, 有 用 な 理 論 展 開 を 可 能に し た。 こ こ に , 確率だけに 固執 し た 世 界 か ら脱皮 し よ う と す る考え方の 芽 生え が存 在するとい えよう。 本 論文で は, パ ラ メー
タ空間9
の確 率P
(ω)と,
対 象X
とパ ラ メー
タ空 間 9 の直 積か ら [0,1
】へ の写像 μ(X,
の (以 下これ を 定 義 関 数と呼ぶ)の二つ が 基 本で あ る が, その別な表 現も可能である。
簡 単のた め, しばら くは 瓢を一
つ 固 定 して考 え,
省 略し て記 すこ とに しよ う。 実 際の場 面で重 要なのは, 評 価 者が誰かとか, どの 判 断 規 準を用いたか で は な く,0.
7
とか0 .
8
とい う評 価一
29一
N工 工一
Eleotronio Library相 模工 業大学紀 要 第 15 巻 第
1
号 P(ω)tt
.
・
.
.
も』
層
tt 一fitV
)tL O O
,
5 1 図 3 定 義関数μ に よ る パ ラメー
タ空間9
の [O,11 表 現 値 自 身である と考え,9
の構 造は考え ぬこ とにする と,
(1)で与え られ る定 義 関数μに よ りパ ラメー
タ空 間9
を 【0
,1
】に移して考え られる。9
上の確率 密 度P
(ω)は, μ に よ り 【0
, 1]上の確率 密 度f
(α)に移されf
(・)d
・一
∫
.P
(・)dw
P =
{ω[α≦μ(ω)〈or 十da
} (32
)1
:
f
(・)d
・一
∫
。P ( ・)…=
・・f
(・)… 認 ) と与え ら れ る (図 3 参照)。
こ の立 場 で は,
全ての情 報 が ∫(a)で表現されるこ とになる。 またモー
メ ン トも, 次式に よ り保存さ れてい る。1
:
・mf (・)d
・・・
・
:」
。P ( ・剛 ・)
d
・ −Mm
[”] こ こ で,f
か ら p へ の変換9 (の一
∫
:
e…f
(・)d
・ を考えれば, 逆変 換が存 在し てノ(・)
一
(・1
・・)∫
二
e−
・’・・(t
)dt
(34
} (35 ) (36
) で与えられ, ノとg
の対 応は1
対1
である。一
方,響
L
司 一 i・Mn
[P }(・・) なる関 係 が, (
34
)に よ り成立 し, さ らに p(t)は常に・(の一
罍
。斎
蠅 が(
99
) と,Taylor
展 開が 可 能になる。 また, こ こ で級数を 中 途で 打 ち 切 れ ば, 例えば n = ・2
まで で打ち切る とg
(t)=
=
1
十i
五」【Pt
]t−
(112
)M2 【μ】ti→−
o(t2)= (
112
){(1
十iE
[ge】t)2{一
(1− V
[μltt
)}十〇(t2
)(
39
} と近 似 表 現 される。 (38
)に よ り全ての モー
メ ン トを与 え れ ば, g(t
)が 再現できるので, ∫(α}の持つ情報と全 ての モー
メ ソ トの持つ 情報 が 等 価 なこ とがい え た。(μ(ω} ,
P
(ω)〉イ (α>e {亙レ亅 ,
1
匠 2 回,M3
[F], M4 [Pt],…
}÷ →{
E
[P 】 ,レ 「 [μ
1
,
Me3
[μ1
,
Mo4
[μ】,
…
}
(
40
> 以上 は, 対 象 X を一
つ 固 定した議 論だ が, 全て の対象 毎に議論 が 成 立 する の で, (μ(x! ω〉,P
(ω))→f
(x,α)H {
E
[μ(x,・
)LM2
レ(m,・
】,15fa
[幽 ,・
>L
…
} (41
) を 得て, 各 対象の毎の全て の モー
メ ソ トを与え ること が 等 価な表現であるこ とが わか る (図2
(b
), (c>参照 )。
し か も3−3
で述べ た よ う に,
重 要 な 情 報は, 平均や分散 な どの低次モー
メ ン ト に集 約して い るこ とが わ かっ てい る。 (f
(m,α)は,
各 毋 毎に α にっ い て [0,
1】上の確率 密度 関 数・あ・・ (1
:
f
(・,・)d
・一 ・・
ノ(・… )・ ・Z
・d
・h
・ ・・…一
・uzz牒 合 論で・, ・≦f
(・, ・)…1
:
f
(・, α)d
α≦1
とな る の で,
こ の観点からは表 現不十 分で あ り,
情 報 が不足 し て い る とい えよ う。) 以上で は, 確 率の観 点か ら各対象 X ごとのモー
メ ソ ト を導出し た が, 逆に最初に適当 な 条 件の もと で{m (x), mE 〈x)
,
M3 (x),
ml (x),…
}(42) なる [
0,1
】の値を とる関数の組を与えて, 各 対象x ご とに一
つ の確率分 布 を導出 する ことも 可 能で あ るt。 こ の立 場に 立っ たと き, (42
)の関 数の組を モ ニ ター
と呼 び m (x)を級 格関数 (membershipfunetion
),v(x)ニ M2 (x)
一
(m (x))2 (≧0
)(43} を漢度関 数 (vagueness
function
) と呼 ぶことにする。 こ の m (x)は, Zadeh の い うFuzzy
集合の メ ン バー
シ ッ プ関数その ものであり, 曖 昧さ と主 観に 関 する第一
情 報を与 える。 しか し m (X)のみで は, 現実に有 用 な 情 報 の幾つ かを減 殺する結 果に なり, 少 くと も第二情報の漢 度 関 数 V(X)を 積 極 的に用いぬ と有用な議論は で き ない 。 従来のZadeh
の理論が, 現 実を う ま く反 映で き ず, 批 判 も多 くきかえ る原 因は, こ の点に難 点が あっ たか ら と い え よ う。
こ こ で (μ(X
,
ω),P
(ω))に よ る表 現を確率表 現 {m (X),
m ! (x),…
}のモ ニ ター
に よ る表 現 を, 拡 張Fuzzy
表 現と 呼 ぶこ と に す る
。
Zadeh のFuzzy
概 念も,
拡 張Fuzzy
†
その 必 十条 件: (23)相 当 の 単調性, (
42
)に よ る (38
)相当の 式 p (t,
x)が tの 正 定 符 号 関 数, ψ(t,
x)≡
P
(一
励,
X)がtの 単 調 非 減少, の 三 条件。NII-Electronic Library Service パ タ
ー
ン認識にお ける瞹 昧さ・
主 観の 定 量 化 (廣田 薫 ) 表 現に よ り修正す れば, 確 率 概 念 と 同 等 以 上の成 果 が 期 待で きる こ とを, 理 論 的に保証 し たこ とに なる。5
.
複合事象
の評 価5−1,
判断 規 準の多様 性一
大 局 情 報 と局 所 情 報 これ ま で は,
単一
事象のみ を考え た が,
以下では複 合 事 象の場合に拡張 し て考える。 例 え ば, 図1
の例で , 提 示 さ れ た文字が, ra か ま た はb
か ?」 とか , 「前にb
が 提示 された こ と を知 っ て, 提示文字が a か ま た はb
か ?」 な ど を 想起す ればよ い 。 し か し, 事 象が複 雑に な ればな る ほ ど,
我々 の判断 は, 二 値論 理的な単純明快な もの では な くな る。
例え ば, ある観 点か ら}t a らし く, 他か らはb
らしい とい う 両 立 しない 評 価, a よ りb
らしく,b
よ りc らし く, か つ c よ りa ら しい とい う三 段論 法 (或い は推 移 律 )の不 成 立 な ど, 例 を あ げ れば際限 が ない 。 本 論 文で は,
これ ら をパ ラメー
タ空 間ρに よ り解決す る。 各パ ラメー
タ毎に一
つ の 判 断 規 準 が 対 応 す る と考え るこ とに よ り,
全 体と し て非 常に多 様 な 判 断が可 能にな る。 個々 の判 断 規準問には , 上 述の矛 盾 も生 じ う る が, 確 率 密 度 関 数 P (W)に よ り調和が保た れ るこ とに なる。
次に 判断 規 準の 多様 性を 考察し よ う。 確 率 統計手法で は, 平均 値か らの全体のずれ を最小に す る平 均自乗誤 差最小 とい う,
平 均 値 操 作 重 視の評 価 規 準が よく用い ら れ る。一
方,Fuzzy
集 合 論で は, 複 合 事 象の基 本 演 算は max min で あり, 各対 象ごとの最 大最 小 を 重 視 する。 具 体 例 として, 文字パ ター
ソが 二変 数 関 数f
(X,
y)で 表 現さ れ た とし よう。 こ の場 合, 二つ の文字パ ター
ンf
とgの間の距 離が重 要に な る。 例えば,
d
・(f
・・9)一∬
lf
(・… )一
・(・・
y
)肋 (44
)d
・(f
・
・)一
・∬
(f
(… v )一
・(… z)) 2d ・d
・・’f2 (45 ) な ど は, 平 均値 操 作 重 視によ る距 離であ る。 他 方d
.(f
,
9 )=
max げ (x,
Z)−
9(飭 z)1
(46
) は,
x 演 算 を 重視し て構 成さ れ た 距離尺 度で ある。 これ ら はい ず れ もよ く用い られてい るが, 各々 の尺 度に は くせ がある。 例えば,f
とg
の差が一
様に εとい う小 さ な 値 な ら,d。
。
で は差が εと小さい が, 必 や ゐ で は 大 きな差を生ずる。一
方, ノとg
が一
点で大 きく異 な り 他で は一
致して い る場 合は,dlS
?d2
で は差は零で ある が,d.
で は 大 き な 差 が 出て事 情 が 逆になる。
一
般に,
平均値 規 準は,
全体の意 見を一
様に と りあげ る多数 決原理につ なが り, 逆に各点ごとの max は, 少 数で も優れ た もの は重 視 する と い う少 数 意 見の尊重 に つ な がる。 パ ター
ン認 識で は,
多数 決 原理 は大局情報に よ る 評 価, 優れ た少数 意 見は 局所 情 報とお きか え られるQ 大 局 情 報 を 中 心に して,
局所 情 報 も取 り入 れ る とい うこ と は,
パ ター
ソ認 識の 大 原 則であり , 本論文の確 率を基 盤に し てFuzzy
概念 も 適 宜 取り 入れ る と い う方 針と一
一
致する。
以 下で もこの 方 針で解 析をする。
5−
2.
複合事象の基 本 演算一
確 率表現 {0,1
}二値 古典 論理に おい て, 二つ 命題を 合 成 して腹 合命題 を作ろ う とする と, 論 理 的に は16
通 り可 能で あ る。 (二命 題をベ ン図 表 現 すれ ば, 全 領 域は22=4
個に わかれ る。 各々 の領 域に0
か1
を 指定す る二とに よ り, 24= ・16 通 り可能に な る。
)その うち,
AND と OR は,
基 本 的か つ重要である。AND
は, 両 者 と も真の と きは じめ て真とい う非 観 的 演 算,OR
は 少 く と も一
つ 真 な ら ば真 とい う楽 観 的演 算と し て特徴づけら れ た。 これ らの 演 算は , ス イッ チ ソ グ 回路などで, 中心的役割をは たす と同 時に , 論理学的にみ ても, 古 典 論理 を完備プー
ル束 として特徴づける重要な演 算で あっ た。 従っ て, 曖 昧さ や主観の入っ た複 合 事象に関 し ても,
これ らの 拡張概 念 の考察は重 要で ある。
扱う対象をX , パ ラ メー
タ空間 をP
と記せ ば,
二つ の 事 象A
とB
は, (27
) と 同様に, 次の定 義関 数 PtA(x,
ω),
PtB(Xt ω)に よ り表 現さ れ る。 μ且 :Xx9
− 一
→
[0
,1
] (47
) μB :X
×9 −
→ [0,1
】 (48
) (PtA
(x,
ω), peB(X, ω), P (ω))を, A とB の確率表 現と呼 ぶ。
本 論文で は,
評価規 準ω を 評 価の原 点 と考えるの で,AND
の拡 張A
∩B を, A とB の評仙の ・J
・さい ほ うを とる定 義 関 数 ttA∩B(x, ω)StA∩B(コヶ
,
ω)=
min {μA(x,
ω),
PtB(x,
ω)}(
49
)に よ り定 義 をし
,
他 方OR
の拡 張AUB
は,
逆にStA UB (x
,
ω)=
max {μ遠(x, ω),PtB
(x, ω)} (50
) で定義するこ と にする。こ の定 義は, 各 判断 規 準 (局所 的 》ごとに評 価 を与え る ため
,
大 局 的 (モー
メ ソ トやモ ニ ター
)は安 定 し た演 算に な る。 ま た, 論理学 的にも, (49
), (50
)は最 適な拡 張で あり, こ れ をもとに 完 備 擬 プー
ル 束が構成で きる 3) 。一 31 一
N工 工一
Eleotronio Library相 模工業 大 学紀要 第
15
巻 第1
号 こ の他に も,
多値 {O, 1】に し て,
は じ め て可能な演 算な ども考え られるが, これ 以 上の言 及は控える。5−3.
複合 事 象の拡張Fuzzy
表現 単一
事 象と 同 様, 複合事 象 の 場 合 も, 確率 表現 (μ4 (m, ω), μB(Xl ω),P
(ω)}に対する拡張FUZ2y
表 現が可 能である。
(以下で は, 二事 象の場合だけを 述べ る が, 無 限 事 象の場 合で も,
任 意 有 限 個の組 合せ全てを 考 慮 す れ砕t
’
よし、
o) 4 節と同じ 立場に立て ば, 全て の情 報は, 各 対 象x ご とに次で 示 され る [O
,ll
× [O
,1
】上の確率密 度関数 ノ(x; α,
β)に よ り表現される。 ・・一 ・・師 一い
・d
・D
。=
{姻α≦μ4(Xt ω)くα+d
α,
β≦μB(x,
ω)<β+〔1
β}1
:
1
:
/伽・
β)蝉一
!
。P
(・)伽 一 ・f
(x;α, β)≧0
(51
) (52
) (53
) (54
) また,
モー
メ ン トも次に示 すよ うに保存 さ れて い る。1
:
1
:
・・βザ (凧 β》岬一
∫
。鯔 ・)…B(… )噴 ・)… 躍 ω (55
) こ のf
(X;α,
β) は,一
対一
の対 応で次の g(X ; S,t
)に 変 換さ れ る。 ・{・・・… t)一!
:
1
:
・xp (・(・・+tβ))f
(x・・・…P
)d
・dP
(56 )f
(…,
β)一
(・!・・}・S
二
.
.
i
二
.
.
、・xp (− i
(・s+βt
)) ×屮(x;s, t>dsdt
(57
) こ こで, p(x;8,t
)は 自由に微 分でき,∂n
・
+號
i
鴇
…
語
・t)L
_
o− i
−+−M
「inBm(x)(
58
) の関 係が得 られ, さ らに二変数Taylor
展開が で きて, P(x;s,t
)一
蕩÷
加
(
簍
)
雌
悔
脚 (59 ) の関 係 を 得る。 従っ て, 各 対 象x 毎に全て の モー
メ ソ ト を与えるこ とに よ り, 全ての情報 が 表 現 され る。
逆に考え て, {伽 鰡(X)}究
.
m−
o なる対 象X の関数の無 限 行 列 を与え, n ≦n’ , m ≦mt →1
=
ml }(x)≧?η置型}(x)≧m 畳km
’
(x)≧0
(60
) な る単 調性 と, (59
) 相当の式が 8 と t trこ つ き正定 符号 関 数であるこ と や, iP(X ;一
画一it
)が, S,t
の単調非 減少 関数で ある とい う三条 件か ら,
各 対象x ご とに [0,
1
]×[O
,1】の確 率 分 布を 構 成 す るこ と がで きる。 そこで, 無限関数行 列 {m :X
{X)}凱凋一
〇 を A とB のモ ニ ター
と呼 び, これに よる表現 をA
とB
の複 合事 象の 拡張Fuzzy
表 現と呼ぶ。
また,
主 要 関 数の うちVAB (x)= mli
}
(x)−
mk}
(x)m島
}
(x)(
61
) を, 共漠度関 数 (co−
vaguenessfunction
)と呼ぶ。 拡 張Fuzzy
表現に よ る基 本演 算の表 現を, (50
)のAUB
のモ ニ ター
{m2UB (X)}宥一
1 の構 成 法に限 定 し て述 べ る。 (他の演 算の表 現 も全 く同様に し て可 能で ある。) { 盟 (x)}:,
m=
o な るモ ニ ター
か ら , (59
), (57
)に よ り ノ(X;α, β)なる分 布が得 られる。 これか ら,AUB
の 分布f
(x;γ)は,0
≦r≦1
と して, ・岡一
1
:
・(・1・・,
・Pl
・β・∫
:
f
・・・・ ・・・
…d
・ ・62
・ に より構成され,
求め るモ ニ ター
?n2uB (X)は,M :・・(・)−
1
:
r ・f
(x・γ)dr
(
63
) で計 算され る。実際に は
,
全ての モ ニ ター
か らでな く,
級格関 数や漠 度関数な どの具体的な意味を持つ 関 数のみを 与 えて構 成 するこ とが 重要であ り, 例 を 示 して述べ る。 対 象X
は実 数であり, 事 象.4
は 「1
に近い数」,B
は 「− 1
に近い数」を あ らわ す もの とする。一
例 としてそ の確 率 表現が次式で与え られ た とする (図4
(a)参 照 )。9
= [0 ,1
]×[0,1]∋ tO=(ξ,η),
P
((ξ,
η))=1
(64)PtA(x,
(ξ,η))
=
{1
十(x− 1
)2}一
1 ×[min (1
,(x− 1
) 2 )・
ξ十(
112
)max (1,2 −
(x− 1
)2)](
65
) μB(x, (ξ,η))= {1十(x十1) 2 }−
1x [mi11 (1
, (x÷1
)2)・
η +(1
!2
)max (1
,2−
(x+1
) 2 )1
(66
) 拡張Fuzzy
表 現で は, 級格 関数は enA(x)=
・
11
{1
十(x− 1
)2} (67) MB @)己1
!{1
+(ec十1
)2} (68) で与え ら れ (図4(b
)), 漠 度 関 数は VA(x)=
(1112
)[min {mA (x),
(1−
MA (x))}}2 (69
)VB(x)
=
(1
!12
)【min {mB (x),
(1−
MB (x))}】2 (70
) で,
共 漠 度 関 数は零と与えられる。 こ の ときAUB
の一
32一
NII-Electronic Library Service パ タ
ー
ン認 識 に お ける曖昧さ・
主観の 定量化 (廣田 薫 ) StA(x,
(ξ,
η}) (StB(x,
(ξ,
η))) o 0 0.
5 1.
5 (x=−
1) (x=−
1.
5,
− O.
5
) (x=
・
−
2,
0》3
(x=−
3,
1},
十cx) (∬=−
Q。「一
トD。} 1 ξ(η》一
3−
2−
1 0 1 2 3 (a)A
とB
の定義関 数 (確率表現 ) (b)A と B の級 格 関 数 (Fuzzy 表 現) M.
、 。B(x)一
3−
2−
1 0 1 2 3 VA リB(X)一
3−
2−
10123 (C)AUB の級格関 数 図 4A=
「1
に近い数」, 〔d
)AUB
の漠 度 関 数 B=
「−
1 に 近い数 」,
お よ びAUB
級 格 関 数は, (67
), (68
)のみ を 用い たZadeh
流 儀のFuzzy
演 算で は, 図4
(c) の 中央に不 自然な と が りを 有 するもの しか 得 られぬ が, (69), (70)お よび共 漠 度 零 の知 識ま で 用 い て,
離 散 分布近似を す れ ば 同図 を得 る。 さらに, 全ての モ ニ ター
或い はそれ と等 価な (64
)〜
(66
)の確 率 表 現を用いれば,
同 図 の双 峰 性の 滑 らか な 曲 線 を 得て, 「1
また は一1
に近い数」の第1
情 報 と し て ふ さ わ しい もの にな る。 またAUB
の漠 度 関数は, 図4
(d
)で 与 え られ,Fuzzy
演算 の恒 等 的 零で は , 評 価の真の漠然度 を全 く反 映でぎぬが, 第2
情報の漠 度 ま で を用い れば,
の よ うに真の値に近い ものを 得る。
この例はFuzzy
演算だけで は 不十分なこ と, 現 実に と ら え う る漠度関数ま で を積極 的に用 い る必 要性, 拡 張Fuzzy
表 現 或い は確率表現が 自然であるこ と な ど を主 張 するものである。
6.
む す び 暖 昧さ や主 観 とい う, パ ター
ン認 識 特 有の扱い に くい 問題に 焦 点をあて て, そ の積極 的 介入の必要 性か ら 定 量 化まで を,
扱 える範 囲は全て確率を 用い , 上際上介入 が 困 難または無 意 味の場 面 を,Fuzzy
概 念で 集 約 するとい う新 らしい立 場で 述べ た。Fuzzy
概念を確率 概 念よ り導 出し て新らし い概 念とい うこ と を 否 定は したが, 必 要 以 上の煩 雑さを持ち込まずに理論展開の 見 通 しを 良 くする た め に, 併用 す れ ば 極め て有 効 な事 を 示 し た。一
方, 本 論文の 手法を確 率とFuzzy
両観点か ら 考 察 し,Fuzzy
一 33 一
N工 工一
Eleotronio Library相 模 工業 大 学 紀 要 第
15
巻 第1
号 概 念に 本質的に 欠 けて い る漠 度 関 数の重 要 性 を 指摘し, モ = ター
に よ る拡 張Fuzzy
表 現の概 念を提 案し た 。 こ れは, 従 来のFuzzy
批 判に一
つ の解 決 を 与 え た もの で,
理論 的に は確 率 表 現と拡張Fuzzy
表 現は等価なこ と を 示し, 実 際 の場 面で は , 意 味づけの 明 確 な 級 格 関 数 や漠 度 関数を逐次 用い て近 似を良 くする とい う意味で, (修正 され た)Fuzzy
手 法か ら, 確率 統 計 手 法に優る成 果 を 得る可能性がある事を 理 論 的に保証 し た 。 こ の 意 味 で, 確 率も古 典 論理のみ に固 執し た り,Fuzzy
概 念の み で全て を押し通 そ うとする考え 方か ら脱 皮 し,
現 実の場 面にふ さわ しい新ら しい考 え 方の芽 生 え を 示 唆し た こと になる。 本 論 文で は, 基 本 思 想 を 明 確にする た め, 数 学 的厳密 さに 欠 けた表 現も一
部に み られ る。 しか し, 主 張 を 厳 密 化 し た確 率 集 合 論や, パ ター
ソ認 識・
意 思 決 定へ の応 用 も, 現在研究 中であ り,
そ れ ら も 逐 次発表さ れ, ま た は され てい く予定である。
)1
) 2 )3
文 献 飯島泰蔵:‘
‘
パ ター
ン認 識” (昭48
),21,195,
コ ロ ナ社.
L .
A .
Zadeh : ‘‘
Fuzzy
Setg
”Inf.
&
Control
8
,
338−353
(1965
).
KHirota
: t℃oncepts ofProbabilistic
Sets
”IEEE
77
CH
1269−
OSC
,1361−1336,
(1977
)〔New
Orleans
).
本 論 文に関 連 した著 者 関 係の 文献の一
部 )4
) 5 )6
) 7 廣田 :“
確 率 集合論 の 論 理 学 的 基 礎 付 け” 電 子 通 信 学 会 論 文 誌, ,79
/2Vol 。
J62−D
No .2,73−80.
貭 田;“
単一
確 率 集 合 の 主 観エ ン トロ ピー
による 解 析”
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