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源氏物語「浮舟」における三条西家の注釈書間の系譜

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(1)国際経営・文化研究 Vol.17 No.1 November 2012. (研究ノート). 源氏物語「浮舟」における三条西家の注釈書間の系譜. 齊 藤 鉄 也 キーワード. 三条西家 源氏物語 注釈書 計量言語学 可視化. 1.はじめに 源氏物語に対しては、平安時代末期頃の源氏釈[12] を嚆矢として、その注釈書が書かれている。 本論文では、注釈書のうち室町時代後期から安土桃山時代にかけての三条西家に関係する源氏物語 の注釈書を取り上げ、その注釈書間の継承関係を明らかにするために、記述統計学を用いて調査を 行った。調査の対象とした注釈書として、三条西家に関係する弄花抄[9]、細流抄[7]、明星抄[2]、 孟津抄[4]、岷江入楚[8]を取りあげた。加えて、これらの注釈書で引用されている河海抄[6]と花 鳥余情[1]も対象とした。 近年では、情報処理技術が発達し、計量言語学[17]といったコンピュータと統計学を利用した言 語学の研究が発展している。源氏物語は長編小説であり、本文や注釈書の研究に関して、54帖全体 を対象とした研究には膨大な時間がかかる。また、取り合わせ本として伝世されているため、各巻 ごとに本文系統や書写時期が異なることもあり、54帖全体を対象とした大規模で統一的な手法を用 いた研究も難しい。今後は各巻に対して、または、書写が同一の筆者と想定される巻に対しての研 究の進展が予想できる。その際には、写本本文全文の電子化やその研究手法、特に大量の文字デー タに対する研究手法が必要となり、そのデータに対する推定や検定といった統計学や検索といった 情報学からのアプローチは、ひとつの研究手法として有効であろう。 以下、第2章では、本論文の調査対象となる巻と注釈書の概要を述べる。第3章では、注釈書の 調査方法とその調査結果を述べる。第4章では、今後の課題となり得る調査結果を述べる。第5章 はまとめである。 尚、国文学の論文の場合、縦書きが通例であるが、本論文は表やグラフといったデータ処理の図 表を記載する都合上、横書きを採用した。また、同様に、書籍の名称を記述する場合には『 』(二 重鉤括弧)を通例とするが、本論文では全て省略した。 2.本調査の目的と調査対象 本調査の目的は、国文学の分野でコンピュータを利用した方法論を探索することにある。そこで、 さいとう てつや:淑徳大学 経営学部 経営学科 准教授. — 63 —. 1.

(2) 源氏物語「浮舟」における三条西家の注釈書間の系譜. 本論文では「浮舟」(第51帖)を取り上げ、その注釈書の注釈内容の本文文字列の比較を行い、そ の注釈書間の継承関係を明らかにすることを目標とした。そのため、注釈数や注釈の位置、注釈内 容の文字列の比較といったコンピュータで処理可能な形式的な側面に着目した。この手法では、意 味の処理をすることを行わないため、物語の内容を踏まえた議論をすることはできないが、意味や 解釈を考える研究の前段階として、研究に必要な本文に関する事前情報を提供し、データに裏付け られた議論をすることができる。これは、大量の文字データを対象とする研究では、研究の効率を 考える上で有効な示唆を与えることができるだろう。 その調査対象は、室町時代後期より安土桃山時代にかけての三条西家の源氏学の注釈書である。 これらの注釈書は血縁関係にある著者によって執筆され注釈が発展してきたので、その内容の継承 関係を明らかにし易いという利点がある。 本調査では、その注釈書間の継承関係を本文とその注釈のデータに基づいて比較するため、以下 に、対象とする源氏物語の巻と、注釈箇所の位置を表す本文、注釈書について述べる。 2. 1.対象とする巻 源氏物語は54帖に及ぶ長編小説であるので、その全ての巻に関して書かれた注釈を対象とするこ とは困難である。そのため、本論文では、54帖のうち、第三部の宇治十帖を構成する巻のひとつで ある「浮舟」を取りあげた。巻のタイトル「浮舟」は、登場人物の女性が詠んだ和歌から名付けら れている。また、その和歌を詠んだ女性を浮舟と呼ぶ。以下、巻名を表記する場合には括弧付きの 「浮舟」、人物名を表記する場合は括弧無しの浮舟と表記する。浮舟は宇治十帖の後半部分の6帖の 最重要人物であり、源氏物語最後の女主人公とも言う。 「浮舟」の内容は、浮舟が薫と匂宮との三角 関係に陥り、そのことに苦悩し、死を決意する、という場面が述べられている。 浮舟に関係する内容は上記の6帖に渡って書かれているが、この6帖全体を調査対象とすること は、調査規模が大きく、研究の初期段階において実施する探索的な調査には不適切である。そのた め、内容が比較的まとまっているひとつの巻を対象とすることが適切である、と言える。 「浮舟」は その巻のひとつで、浮舟の三角関係に陥るきっかけから死を決意することになる心理的なプロセス が比較的まとまって書かれているので、本研究の調査対象として選択した。 2. 2.対象とする写本 本調査では、三条西家に関係する注釈書を対象としたため、本文上で注釈箇所を示す基準となる 写本を三条西家証本(日大本)[10]とした。三条西家証本は、三条西実隆がふたりの息子と共に書写 した写本であり、現在までに「夕霧」を欠く53帖が伝世している。 「浮舟」の本文は青表紙本系統 の本文を持つ[5]。「浮舟」の書写は、三条西実隆が晩年にあたる享禄3年(1530年)に行っている。 三条西家証本は影印本として出版されているので、本調査では、まず、本文の変体仮名を通行字体 に改め翻刻し、その本文データを基準とし、それに対して各注釈書の注釈位置を決定した。 2 2. 3.対象とする注釈書 本調査で対象とした三条西家に関係する注釈書は弄花抄、細流抄、明星抄、孟津抄、岷江入楚で ある。加えて、これらの注釈書で引用されている河海抄と花鳥余情も対象とした。これらは既にそ の概要や位置づけ、書誌、翻刻された本文がそれぞれ出版されているので、利便性の高さから出版 されている書籍を採用した。以下に、各注釈書の概要を述べる。. — 64 —.

(3) 国際経営・文化研究 Vol.17 No.1 November 2012. 2. 3. 1.弄花抄 弄花抄は三条西実隆により永正7年(1510年)に成立した注釈書である。本調査で対象とした注 釈書は、内閣文庫本を底本とし、陽明文庫本で校合した翻刻された本文を持つ[9]。 2. 3. 2.細流抄 細流抄は、三条西実隆により永正7年(1510年)から10年間に成立した注釈書である。本調査で 対象とした注釈書は、内閣文庫蔵細流抄を翻刻した本文を持つ[7]。 2. 3. 3.明星抄 明星抄は、三条西公条により天文8年(1539年)から10年の頃に成立した注釈書である。本調査 で対象とした注釈書は、無刊記版本を底本とし、高松宮家御所蔵本で校合した本文を持つ[2]。 2. 3. 4.孟津抄 孟津抄は、九条稙通により天正3年(1575年)7月に成立した注釈書である。本調査で対象とし た注釈書は、内閣文庫本「孟津」を底本にし、九条家旧蔵本(天理図書館蔵)で校訂され翻刻され た本文を持つ[4]。 2. 3. 5.岷江入楚 岷江入楚は、中院通勝により慶長3年(1598年)に成立した注釈書である。本調査で対象とした 注釈書は、国会図書館蔵の寛永20年飛鳥井雅章筆の写本である。この写本は、三条西家旧蔵本を書 写した本文を持つ[8]。 2. 3. 6.河海抄 河海抄は、四辻善成により貞治年間(1362年―1367年)の初めの頃に成立した注釈書である。 本調査で対象とした注釈書は、文禄本(天理図書館蔵)を底本にし、不忍文庫本(桃園文庫蔵)と 叡山東塔真如蔵本(天理図書館蔵)を参照して定められた翻刻した本文を持つ[6]。 2. 3. 7.花鳥余情 花鳥余情は、一条兼良により文明4年(1472年)に成立した注釈書である。花鳥余情は文明4年 に執筆した初稿本と文明8年に執筆した再稿本、文明10年に執筆した献上本の本文が存在する。本 調査で対象とした注釈書は、初稿本系統の本文を持つ松永鵬氏蔵四条隆量筆本を翻刻した本文を持 つ写本である[1]。 3.注釈書間の継承関係の調査方法 本調査では、「浮舟」の巻に対して、物語本文と、対象となる注釈書の本文及びその注釈内容を一 覧表にまとめ、その注釈内容の比較を行った。具体的には、コンピュータで注釈書間の関係を処理 できる注釈数や文字数、文字列といった形式に着目し、比較した。そのため、コンピュータでは処 理できない注釈内容の意味の調査や比較は行わない。 ここでは、まず、三条西家証本の本文に関して述べる。次に、各注釈書の「浮舟」の注釈の全体 像を把握するために、(1)注釈総数、(2)場面毎の注釈数の分布を明らかにした。最後に、注釈 書間での内容の継承関係を把握するために、注釈内容を比較し、引用や追加した(1)注釈数、 (2). — 65 —. 3.

(4) 源氏物語「浮舟」における三条西家の注釈書間の系譜. 割合を明らかにした。注釈内容は引用した注釈書を示す略称が明示されていない場合があるため、 注釈本文自身の比較を行っている。 3. 1.「浮舟」の本文 ―凡例にかえて― 三条西家証本の「浮舟」は186丁(頁)からなり、和歌を含めた本文の行数は1826行、本文の文 字数は32146文字である。本文は一丁10行で1行あたり平均17.6文字である。これには、本文中で は「<」の記号で書かれている「おおがえし」を含み、その繰り返す対象となる文字数を数えてい る。本文に書き忘れた補入文字がある場合は、行数として数えている。異文表記「イ」がある場合 は、該当する異文の文字数を数えていない。 小学館の新編全集[14]によれば「浮舟」は33の場面からなる。それぞれの場面の平均的な行数は 55.3行である。最小の行数を持つ場面は18行であり、 「薫が女二の宮に浮舟引取りの了解を求める」 内容である。最大の行数を持つ場面は127行あり、 「中将の君が来訪し、弁の尼と語る。浮舟が苦悩 する」内容である。 「浮舟」に含まれる和歌の数は22首あり、その内訳は浮舟が詠んだ数は13首、匂宮の和歌は6首、 薫の和歌は3首である。本文中の和歌は1文字下げて書かれ、和歌の末尾には、そのまま本文が続 いている。 3. 2.各注釈書の注釈総数 ここでは、「浮舟」に関する各注釈書を計量的な視点から述べる。そのため、ここでは注釈の本文 中の位置や内容ではなく、形式的に注釈数を記述している。注釈の中には注釈位置を示す本文だけ 記述され、注釈内容が記述されていない項目も存在している。ここでは、注釈内容が存在している 注釈を対象としている。 3. 2. 1.「浮舟」全体の注釈の様相 まず、対象とする7つの注釈書の注釈の総数と本文行数に占める注釈の平均を、表1にまとめた。 本文行数に占める注釈の平均は、本文1行当たりの注釈の数を表している。 注釈書名. 河 海 抄. 花鳥余情. 弄 花 抄. 細 流 抄. 明 星 抄. 孟 津 抄. 岷江入楚. 注 釈 数. 67. 86. 159. 348. 359. 523. 900. 注釈平均. 0.036. 0.047. 0.087. 0.191. 0.197. 0.286. 0.493. 表1:各注釈書の注釈数一覧. この表1からは時代が進むにつれて、注釈数が増加し、注釈書に存在する注釈の密度が増加する ことを示している。特に弄花抄以降の注釈書は、血縁関係がある人物達によって執筆されている。 4. このことから、注釈書を執筆するに際して、これまでの注釈書から引用し、結果的に注釈の量が増 加する傾向を示唆している、と言える。例えば、弄花抄の注釈密度から、本文100行につき10箇所 の注釈が存在し、岷江入楚では、本文100行につき50箇所の注釈が存在している。このことからは、 岷江入楚は諸注釈書を集成することを意図して執筆され、引用された注釈も多く注釈数が増加した、 という推測ができる。また、細流抄と明星抄の注釈数が似ているため、このふたつの注釈書の注釈 は似ている可能性がある、と言える。 次に注釈文字数に関して表にまとめた。表2の合計、平均、最大、最小とはそれぞれ注釈の文字. — 66 —.

(5) 国際経営・文化研究 Vol.17 No.1 November 2012. 数の合計文字数、平均文字数、最大文字数、最小文字数である。最頻階級とは注釈を、階級の幅を 10文字として作成した度数分布のうち、最も度数が多い階級を表している。50%階級とは相対累積 度数分布が50%を超える階級を表している。 注釈書名. 河 海 抄. 花鳥余情. 弄 花 抄. 細 流 抄. 明 星 抄. 孟 津 抄. 岷江入楚. 合 計. 3461. 2737. 4103. 6087. 6877. 13375. 34316. 平 均. 51.7. 31.8. 25.8. 17.5. 19.8. 25.6. 38.1. 最 大. 903. 295. 163. 121. 131. 347. 1414. 最 小. 1. 4. 2. 2. 2. 2. 3. 最頻階級. 10. 20. 20. 10. 10. 10. 20. 50%階級. 30. 30. 20. 20. 20. 20. 30. 表2:各注釈書の注釈文字数一覧. この表2の注釈文字数の合計という点からは、単純に、それまでに存在する注釈書を引用して注 釈の量が増加する、とは言えない。例えば、河海抄と花鳥余情の間では文字数が減少している。ま た、注釈文字数の平均という点からは、細流抄が最小値になっているので、単純に増加する傾向に はない、と言える。注釈の文字数からは、単純にこれまでの注釈を引用して内容を精緻化した、と いったことは言えず、文字数だけからは注釈書間の単純な継承関係を判断できない。その一方で、 前後の傾向と異なり文字数が変化しているということは、これまでとは異なった注釈書を執筆する ために注釈の意図や目的に変化が起こり、その結果として、注釈項目や注釈内容が変化したことが 推測できる。 また、各注釈書において注釈文字数の最大値と最小値の差が大きいことから、注釈の文字数は幅 広い分布を示している、と言える。加えて、最頻階級の値と50%を超える階級が30文字以内に収ま っていることから、どの注釈書も30文字以内の注釈が半数を占めていることを表している。これら のことから、注釈文字数の分布は、頂点が左に寄り右に裾が広い山型をしていることを示している。 この例として、明星抄と孟津抄、岷江入楚の注釈文字数分布のグラフを図1に挙げる。図1では、 横軸に注釈文字数をとり、縦軸に度数をとっている。横軸の単位を、注釈の分布数に応じて、200 字までの注釈を10文字単位で、200文字以上は100文字単位、500文字以上は500文字単位で区切っ ている。 250. 明星抄. 200. 孟津抄. 岷江入楚. 150 100. 5. — 67 —. 1000. 500. 400. 300. >1000. 図1:明星抄と孟津抄、岷江入楚の注釈文字数の分布. 200. 180. 190. 170. 160. 150. 140. 130. 120. 110. 100. 80. 90. 70. 60. 50. 40. 30. 20. 0. 10. 50.

(6) 源氏物語「浮舟」における三条西家の注釈書間の系譜. 3. 2. 2.「浮舟」の場面ごとの注釈の様相 次に「浮舟」の場面ごとに注釈の量の差を調査した。33の場面の行数は異なるため、ここでは、 場面ごとの行当たりの注釈数を集約した、注釈の平均と標準偏差、変動係数を表3に示す。各注釈 書の場面ごとの注釈数の一覧は煩雑になることを避けるため、付録A-1の表にまとめた。 変動係数は、注釈数の標準偏差を平均で割った数値であり、注釈書の場面ごとの注釈数のばらつき を表している。具体的には、変動係数が大きい場合には、注釈の多い場面と少ない場面が存在し、あ る場面に注釈が集中し、ある場面には注釈が存在しないといったことがあり得ることを表している。 注釈書名. 河 海 抄. 花鳥余情. 弄 花 抄. 細 流 抄. 明 星 抄. 孟 津 抄. 岷江入楚. 平 均. 0.037. 0.041. 0.087. 0.182. 0.194. 0.281. 0.487. 標準偏差. 0.034. 0.031. 0.040. 0.067. 0.070. 0.074. 0.074. 変動係数. 0.94. 0.76. 0.45. 0.37. 0.36. 0.26. 0.15. 表3:各注釈書の場面ごとの行当たり注釈数一覧. 場面ごとの注釈数の平均が増加していることは、3. 2. 1.で述べた注釈総数の増加に対応して いる。一方で、変動係数は、時代が下るごとに低下しているので、注釈文字数のばらつきが低下し ていることを表している。これらのことからは、時代が下るごとに、本文全体に注釈が行き渡るこ とを示している、と言える。場面ごとの注釈数の変化の例として、明星抄と孟津抄、岷江入楚の注 釈数の平均のグラフを図2に挙げる。図2では、横軸に場面をとり、縦軸に平均をとっている。 1. 明星抄. 0.8. 孟津抄. 岷江入楚. 0.6 0.4 0.2 0. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33. 図2:場面ごとの明星抄と孟津抄、岷江入楚の行当たりの注釈数. 3. 3.注釈書間の継承の様相 3. 2.では、全注釈数や文字数、場面ごとの注釈数といった注釈の概要を述べた。ここでは、注 釈内容の文字列の比較を行い、注釈書間での引用の様相を明らかにする。. 6. 3. 3. 1.注釈書間の継承の様相 注釈内容には、引用した注釈を表す省略記号が記載されている場合もある。例えば、弄花抄を引用 した場合には、 「弄」と記載されている。また、記載せずに引用を行っている場合もある。加えて、 内容を引用した注釈に加えて、内容を追加した注釈も記載されていることがある。このため、調査に 当たっては省略記号を参考にしながらも、文字列を比較して、引用している注釈書の確認を行った。 表4の縦軸は引用した注釈書の一覧であり、横軸は注釈書名である。縦軸は注釈書名と注釈内容 を表す記号を表している。花鳥余情を例として説明すると、花鳥余情の注釈数は全部で86あり、そ のうち98.8%は新規の注釈項目であることを表している。注釈書の引用の割合を、注釈されている. — 68 —.

(7) 国際経営・文化研究 Vol.17 No.1 November 2012. 本文中の位置に基づいて計算すると、注釈総数に占める引用の割合の合計は100%を超える。これは、 引用に加えて自説を追加した注釈をそれぞれ異なる注釈として数えた場合に該当する。その結果、 表4の引用の割合の合計は100%となっていない。 注釈書間の注釈内容の本文を比較した結果、岷江入楚の「浮舟」の注釈において「秘」とは明星 抄を指していることがわかった。そのため、岷江入楚においては、明星抄からの引用は37.7%とな る。また、岷江入楚の冒頭の私註に関する注意書きでは、宇治十帖においては「私」 「今」は中院通 勝の自説を記し、「箋」は三条西実枝の聞書を表している。 「新規」は記号が記されていないが、中 院通勝の自説を記していると考えられるので、「私」 「今」と同じ意味を表している。これらをまと めると、岷江入楚においては39.4%が新規注釈内容となる。 注釈書名. 花鳥余情. 弄 花 抄. 細 流 抄. 明 星 抄. 孟 津 抄. 岷江入楚. 注釈総数. 86. 159. 348. 359. 523. 900. 89.1%. 91.7%. 4.3%. 82.4%. 32.9%. 河 海 抄. 4.6%. 0.6%. 1.1%. 8.6%. 6.8%. 花鳥余情. 5.7%. 2.6%. 0.3%. 6.3%. 9.2%. 14.4%. 0.8%. 12.6%. 17.1%. 93.5%. 1.1%. 0.1%. 5.4%. 0.1%. 2.1%. 6.4%. 新 規. 98.8%. 弄 花 抄 細 流 抄 明 星 抄 孟 津 抄 私. 0.6%. 今. 0.1%. 箋. 44.4%. 秘. 37.6%. 表4:各注釈書の注釈内容の引用一覧. 表4からは、明星抄と岷江入楚を除き、80%以上が新規追加の内容となっている。各注釈書を執 筆する際に各著者は、これまでの注釈を参考にしながらも、注釈箇所や内容において新規追加を行 っていることは明らかである。明星抄に関しては、細流抄からの引用が93.5%であるので、本調査 で採用した参考文献の細流抄[7]と明星抄[2]は、内容が良く似た注釈書であることが明らかになっ た。細流抄の成立に関しては、参考文献[3]に詳しく述べられているように、様々な改訂が行われ ていることが明らかであるので、この調査だけでは、細流抄と明星抄が良く似た注釈書であるとは 結論することはできない。岷江入楚に関しては、各注釈書から引用を行っているので、これまでの 注釈書を集成することを意図したことが推測できる。 花鳥余情に関しては河海抄を引用せず、ほぼ全く新しい注釈書を執筆しようとしている、と推測 できる。正確には、花鳥余情には紫明抄[6]や異本紫明抄(光源氏物語抄)[16]から河海抄が引用し た内容がわずかながらある。このため、執筆の際に河海抄を参考にしているが、その内容は河海抄 が新規に追加した内容ではなく、源氏釈や紫明抄から引用した内容である、と言える。 弄花抄に関しては、注釈数が花鳥余情と比較し倍増しているから考えても、河海抄や花鳥余情と いった既存の注釈書を参考にしながら、自説を加えて執筆したと推測できる。 細流抄に関しては、弄花抄と比較して注釈数が倍増していることから考えても、弄花抄と同様に 既存の注釈書を参考にしながら、自説を加えて執筆したと推測できる。. — 69 —. 7.

(8) 源氏物語「浮舟」における三条西家の注釈書間の系譜. 明星抄に関しては、新規の注釈数の割合が非常に低い一方で、細流抄の引用が非常に高い割合を 示していることに加え、その注釈の項目数も非常に近いので、このふたつの注釈書間には極めて密 接な関係があることが推測できる。 孟津抄に関しては、弄花抄を中心にこれまでの注釈書を踏まえながらも、細流抄と比較して新規 の注釈数も倍近く増えていることから、自説を加えて執筆したと推測できる。 岷江入楚に関しては、「秘」または「明」で表された明星抄と「箋」で表された聞書からの引用と 「新規」「私」「今」で表された新規注釈数がそれぞれ30%以上を占め、これまでの注釈を集成し、さ らに自説を加えて執筆したと推測できる。 孟津抄と岷江入楚とを比較すると、孟津抄は明星抄の引用の割合が低いことに対して、岷江入楚 はその割合が高い。この点で、このふたつの注釈書は、弄花抄、細流抄、明星抄といった三条西家 の注釈書を踏まえながらも、孟津抄は新規の注釈を増やす意図、岷江入楚は注釈を集成する意図が 伺える、と推測できる。また、孟津抄は先行する注釈書である細流抄や明星抄の引用をほとんどし ていないこと、岷江入楚は先行する注釈書である孟津抄をほとんど引用していないこと、も明らか になった。この注釈書間の引用の例として、明星抄と孟津抄、岷江入楚の注釈内容の引用の割合の グラフを図3に挙げる。図3では、横軸に場面をとり、縦軸に割合をとっている。 100.0%. 明星抄. 孟津抄. 岷江入楚. 明星抄. 孟津抄. 箋. 80.0% 60.0% 40.0% 20.0% 0.0%. 新規. 河海抄. 花鳥余情. 弄花抄. 細流抄. 図3:明星抄と孟津抄、岷江入楚の注釈内容の引用割合一覧. 3. 3. 2.注釈書間の引用の詳細 次に、引用元となっている注釈書から見て、以降の注釈書へ継承されている注釈数の割合を表5 にまとめた。縦軸が引用元となっている注釈書名である。横軸が引用先となっている注釈書名であ る。河海抄を例にとして、この表を説明する。河海抄の注釈内容の0.0%が花鳥余情に継承されてい る。これは、つまり、花鳥余情は河海抄の注釈を引用していないことを表している。また、河海抄 の注釈内容の11.6%が弄花抄に継承されていることを表している。 引 用 元 河 海 抄 花鳥余情. 8. 弄 花 抄. 花鳥余情. 0.0%. 弄 花 抄. 細 流 抄. 明 星 抄. 孟 津 抄. 岷江入楚. 11.6%. 2.3%. 1.1%. 65.2%. 87.0%. 11.6%. 10.5%. 1.2%. 38.4%. 95.3%. 28.7%. 1.7%. 37.9%. 87.4%. 98.9%. 1.7%. 0.3%. 7.6%. 91.0%. 3.6%. 細 流 抄 明 星 抄 孟 津 抄. 表5:引用元である注釈書から引用の割合. — 70 —.

(9) 国際経営・文化研究 Vol.17 No.1 November 2012. 表5からは、3. 3. 1.とは異なる視点から、注釈書間の引用の継承の様相が明らかになってい る。3. 3. 1.では引用先の注釈書からの引用元の注釈書の継承の割合を示し、3. 3. 2.では引 用元の注釈書から引用先の注釈書の割合を示している。つまり、3. 3. 1.と3. 3. 2.では、注 釈内容の引用の向きが異なっている。 河海抄に関しては、継承されている注釈項目が花鳥余情から明星抄までは少ないことに対して、 孟津抄と岷江入楚では多いことが明らかになった。花鳥余情に関しては、弄花抄から孟津抄までそ の注釈内容を選択して引用していることが伺えるが、岷江入楚はほぼ全ての注釈内容を引用してい ることが明らかになった。弄花抄に関しては、弄花抄以後に執筆された注釈書では花鳥余情と並び 引用されていることが明らかになった。細流抄に関しては、細流抄と明星抄がほぼ同一の注釈書で あることが明らかになった。明星抄に関しては、ほぼ全ての注釈内容を岷江入楚が引用しているこ とが明らかになった。このことからは、細流抄、明星抄、岷江入楚の順で注釈内容が継承されてい ると言える。孟津抄に関しては、岷江入楚がほぼ引用していないことが明らかになった。このことは 岷江入楚を執筆する際に孟津抄は重視されない可能性が推測できる。岷江入楚に関しては、孟津抄を 除くほぼ全ての注釈内容を引用していることから、注釈書の集成を意図していたことが伺える。 4.その他の調査結果 ここでは注釈書の継承関係とは異なる視点から、今後の課題となり得る調査結果をまとめる。各 節はそれぞれ直接的に関連する内容ではなく、独立した内容となっている。 4. 1.注釈箇所の重複 今回対象とした7つの注釈書が注釈している箇所の重複具合を次の表6にまとめた。表中の重複 数とは、同一箇所を注釈している注釈書の数を表す。 重複数. 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 度 数. 866. 471. 154. 166. 126. 77. 39. 8. 表6:注釈の重複箇所の頻度分布. 重複数が7の場合は、全ての注釈書が注釈を加えている箇所の数を表している。但し、これは必 ずしもその注釈内容が同一であることを示していない。少なくとも各注釈書でとりあげ、注釈が必 要となる場所を表している、と言える。 この例としては、小学館の新編全集[14] では場面4の「宇治の便りで匂宮、浮舟の行方を知る」 の3行目、三条西家証本では本文90行目の「小さき童、緑の薄様なる包文の」という本文の「包文」 という単語がある。この単語に関しては全ての注釈書が注釈をし、時代が下るごとに、それまでの 注釈内容を引用しながら自説を加えている。この引用の様相を、各注釈書の注釈項目と注釈内容の 一覧は煩雑になることを避けるため、付録A-2の表にまとめた。 反対に、重複数が1の場合の内訳は、岷江入楚が341、孟津抄が121、弄花抄が4、花鳥余情が 2、河海抄が2、明星抄が1である。このことからも岷江入楚と孟津抄が独自に注釈を加えた箇所 が多いことがわかる。. — 71 —. 9.

(10) 源氏物語「浮舟」における三条西家の注釈書間の系譜. 4. 2.引用本文の相違 本研究の注釈の位置を決める基準となる本文は三条西家証本とした。各注釈書には注釈箇所を示 す本文引用されている。この引用本文と三条西家証本の本文と比較すると、異なる箇所がある。こ れを表7にまとめた。. 異文箇所. 河 海 抄. 花鳥余情. 弄 花 抄. 細 流 抄. 明 星 抄. 孟 津 抄. 岷江入楚. 4. 3. 4. 12. 3. 13. 17. 表7:引用されている本文との異文箇所の数. 2. 2.で述べたように享禄3年(1530年)に三条西家証本は書写されている。また、弄花抄や 細流抄の執筆時期は永正7年(1510年)から10年の間である。約32000文字ある本文全体からみ れば少ないが、異文箇所の存在は、弄花抄以降の三条西家の関係者が執筆している注釈書であって も、三条西家証本またはその親本とは異なる写本を利用して注釈書を執筆している可能性を示して いるかもしれない。 5.まとめ 本調査では、源氏物語の注釈書間の継承関係を明らかにするために、室町時代後期から安土桃山 時代の三条西家の関係者によって執筆された注釈書を取り上げ、コンピュータを用いて引用箇所や 文字の一致といった外形的な比較を行った。 今回の調査では、本文の内容の分析を行わず、コンピュータで処理可能な形式的な処理だけで、 各注釈書の関係を明らかにすることを目的とした。その結果、注釈の総数や位置、文字列の比較と いった形式的な比較だけであっても、各注釈書間の関係を表やグラフで可視化し、その関係を把握 することができた。具体的には、本調査にとりあげた「浮舟」に関係する注釈書の調査結果からは、 時代が下るごとに注釈数が増加し、注釈書として発展する様子が伺えた。その内容に関しては、既 存の注釈書を参考にし、内容を継承しながらも、新しい項目を付け加えていく様子が伺えた。但し、 その継承は単純に増加する傾向にはなく、注釈書ごとに異なることが明らかにすることができた。 今回の調査では「浮舟」の本文やその内容を対象とせずに、注釈項目や注釈内容に関して調査し たが、これはコンピュータを用いた調査方法として、文字数や文字列の一致の判定が容易であるこ とに基づいている。今後は、本文を対象とした、利用されている単語の頻度や分布の調査を行うこ とを計画している。これらの基礎的な調査を行うためには、今回の調査で試行錯誤を行った方法論 ではまだ不十分であり、方法論を探しながら、本文の特徴を表す基本的なデータの積み重ねを行う 必要がある、と考えている。. 10. — 72 —.

(11) 国際経営・文化研究 Vol.17 No.1 November 2012. 付録A A-1.「浮舟」の本文及び注釈数一覧 表中の略称は次の通りである。「場」とは場面、「行」とは行数、「歌」とは和歌数、「段」とは段落数、以下、本文でと りあげた注釈書名の二文字である。小学館新編全集. 場. 概 要. [14]. の小見出し、場面及び段落数によった。. 段. 河海. 花鳥. 弄花. 細流. 明星. 孟津. 岷江. 1. 匂宮、浮舟の素姓を問い、中の君を恨む. 32. 行. 歌. 1. 1. 1. 4. 10. 10. 13. 18. 2. 薫、悠長にかまえて、浮舟を放置する. 22. 1. 1. 2. 2. 7. 8. 11. 11. 3. 薫なお中の君に心寄せる中の君の境涯. 32. 1. 0. 1. 2. 7. 7. 11. 13. 4. 宇治の便りで匂宮、浮舟の行方を知る. 79. 1. 4. 5. 12. 25. 25. 25. 40. 5. 匂宮、大内記から薫の隠し女のことを聞く. 57. 1. 0. 2. 2. 13. 13. 12. 28 14. 1. 6. 匂宮、宇治行きの計画を大内記に相談. 32. 1. 1. 0. 3. 4. 4. 6. 7. 匂宮、大内記の案内により宇治に赴く. 32. 2. 1. 2. 1. 3. 3. 5. 12. 8. 匂宮、浮舟と女房たちをのぞき見る. 81. 4. 1. 10. 11. 16. 17. 23. 33. 9. 匂宮、薫をよそおい浮舟の寝所に入り契る. 50. 2. 0. 1. 4. 7. 7. 8. 20. 10. 翌朝、匂宮逗留を決意 右近終日苦慮する. 113. 5. 2. 8. 13. 21. 21. 37. 46 17. 11. 匂宮、浮舟と春の日を恋に酔い痴れる. 42. 2. 2. 2. 4. 1. 7. 8. 12. 12. 翌朝、匂宮名残を惜しみつつ京へ帰る. 57. 2. 3. 3. 3. 5. 11. 13. 15. 24. 13. 匂宮二条院に戻り、中の君に恨み言を言う. 58. 2. 0. 2. 6. 10. 10. 16. 26. 14. 匂宮、病気見舞に来訪の薫と対面する. 33. 15. 薫、浮舟を訪れ、その大人びたことを喜ぶ. 95. 16. 薫の浮舟をしのぶ吟誦に、匂宮焦慮する. 41. 17. 匂宮再び浮舟に忍び、対岸の家にこもる. 18. 2. 1. 1. 1. 8. 9. 9. 15. 2. 5. 3. 3. 11. 17. 17. 32. 42. 2. 4. 0. 4. 8. 9. 10. 21. 69. 2. 5. 1. 3. 6. 9. 10. 14. 31. 匂宮、隠れ家で浮舟と耽溺の二日を過す. 87. 2. 5. 7. 8. 5. 14. 14. 25. 40. 19. 匂宮帰京後病臥 宇治では上京の準備進む. 21. 2. 0. 1. 3. 3. 3. 7. 11. 20. 匂宮と薫の双方より文あり浮舟の悩み深し. 77. 5. 5. 4. 2. 8. 23. 23. 19. 43. 21. 薫、女二の宮に浮舟引取りの了解を求める. 18. 2. 0. 0. 1. 2. 2. 6. 9. 22. 薫の準備の様子、ことごとく匂宮に漏れる. 24. 2. 0. 0. 2. 2. 3. 4. 13. 127. 3. 4. 6. 13. 31. 31. 44. 85. 84. 5. 3. 6. 13. 23. 24. 27. 56. 3. 1. 2. 8. 12. 13. 28. 41. 1. 0. 2. 9. 8. 8. 17. 31. 23. 中将の君来訪、弁の尼と語る 浮舟苦悩. 24. 薫、随身の探索によりはじめて秘密を知る. 25. 薫、匂宮の裏切りを怒り、浮舟を詰問する. 70. 26. 右近、東国の悲話を語る 侍従匂宮を勧む. 56. 27. 警固の厳重なるを聞き、浮舟の苦悩ます. 46. 1. 4. 1. 3. 3. 3. 13. 20. 28. 内舎人、薫の命により警備の強化を伝達す. 40. 1. 4. 0. 2. 4. 4. 8. 19. 29. 浮舟死を決意し、匂宮の文殻を処分する. 44. 2. 6. 2. 3. 5. 6. 10. 20. 30. 上京の日迫る 浮舟、匂宮の文にも答えず. 28. 1. 0. 0. 0. 5. 5. 6. 13. 31. 匂宮、厳戒下の宇治に赴くが浮舟に逢えず. 86. 4. 4. 6. 7. 14. 18. 22. 39. 32. 浮舟死を前に、匂宮と薫を思い肉親を恋う. 34. 1. 2. 2. 2. 2. 7. 8. 10. 21. 33. 浮舟、匂宮と中将の君に告別の歌を詠む. 59. 3. 4. 3. 0. 7. 9. 11. 18. 28. 1. 1. 11. — 73 —.

(12) 源氏物語「浮舟」における三条西家の注釈書間の系譜. A-2.包文の注釈の例 注釈書名. 注釈項目. 注釈内容. 河 海 抄. つ<みふみ. たてふみの事也. 花鳥余情. つ<みふみのおほきやかなる. 河海云たて文の事也云々 今案たて文は別也つ<み文はたき物なとのや うに文をうすやうにてつ<む事也嫁娶の後朝の艶書なとはみなつ<み文 也そのつ<みやう旧記にみえたりこ<のたんは(に)又すく<<しきた てふみとりそへてあふなくはしりまいるとみえたりたてふみつ<みふみ 二やうにありとみえたり(侍り). 弄 花 抄. つ<みふみ. 花ー. 細 流 抄. つ<みふみ. 花鳥しかるへきつ<み文は浮舟の文也たて文は右近か文なるへし. 明 星 抄. つ<みふみ. 花鳥説可然、つ<み文は浮舟の文也 たて文は右近か文なるへし. 孟 津 抄. ちいさきわらはのみとりのうすやう. 年始の礼の文也花鳥説可用也 河海に云たて文事也云々 花今案たて文. なるつ<み文のおほきやかなるに. は別也つ<み文はたき物なとやうに文をうすやうにてつ<む事也嫁娶の 後朝の艶書なとはみなつ<み文也其つ<みやう旧記にみえたりこ<の段 は又すく<<しきたて文とりそへてあふなくはしり参るとみえたりたて ふみつ<みふみ二やう有と見えたり. 岷江入楚. みとりのうすようなるつ<み文. 河たて文の事也 河海云たて文の事也云々今案たて文は別也つ<み文は たき物なとように文をうすやうにてつ<む事也嫁娶の後朝の艶書なとは 皆つつみ文也此つ<みやう旧記にみえたりこ<の段に文(又)すく<< しきたて文とりそへてあふなくはしり参るとみえたりたて文つ<み文二 ようにありとみえたり弄 秘花鳥の説可然つ<み文は浮舟の文也たて文 は右近か文なるへし箋. 謝辞 日頃、ご指導をいただいている淑徳大学国際コミュニケーション学部文化コミュニケーション学 科宮川葉子教授に感謝致します。 参考文献 [1] 伊井春樹編,「源氏物語古注集成第1巻 花鳥余情松永本」, おうふう, 1978/04 [2] 中野幸一編,「源氏物語古註釈叢刊第四巻 明星抄・種玉編次抄・雨夜談抄」, 武蔵野書院, 1980/12 [3] 伊井春樹,「源氏物語注釈史の研究」, 桜楓社, 1983/10 [4] 野村精一編,「源氏物語古注集成第6巻 孟津抄下巻」, おうふう, 1984/02 [5] 池田亀鑑著,「源氏物語大成第六冊校異編」, 1985/03 [6] 玉上琢弥編,山本利達,石田穣二校訂,「紫明抄・河海抄」, 角川書店, 1991/02, 1968/06 [7] 伊井春樹編,「源氏物語古注集成第7巻 内閣文庫本細流抄」, おうふう, 1993/09/10 [8] 中田武司編,「源氏物語古注集成第15巻 岷江入楚第五巻」, おうふう, 1993/9, 1984/01 12 [9] 伊 井 春 樹 編,「 源 氏 物 語 古 注 集 成 第 8 巻 弄 花 抄 付 源 氏 物 語 聞 書 」, お う ふ う, 1993/10, 1983/04 [10] 岸上慎二, 杉谷寿郎, 岡野道夫, 阿部好臣編,「日本大学蔵源氏物語 第十巻」, 八木書店、 1996/03 [11] 中野幸一編,「源氏物語古註釈叢刊第九巻 岷江入楚」, 武蔵野書院, 2000/09 [12] 渋谷栄一編,「源氏物語古注集成第16巻 源氏釈」, おうふう, 2000/10, 1980/11 [13] 伊井春樹編,「源氏物語注釈書・享受史辞典」, 東京堂出版, 2001/09. — 74 —.

(13) 国際経営・文化研究 Vol.17 No.1 November 2012. [14] 阿部秋生、秋山虔、今井源衛、鈴木日出男校注,「新編日本古典文学全集25 源氏物語6」, 小 学館, 2002/08 [15] 鈴木一雄監修、石埜敬子編,「国文学『解釈と鑑賞』別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 No.25 浮舟」, 至文堂, 2002/11 [16] 中野幸一編, 栗山元子共編,「源氏物語古註釈叢刊第一巻 源氏釈・源氏物語奥入・光源氏物語 抄」, 武蔵野書院, 2009/09 [17] 石川慎一郎、前田忠彦、山崎誠編,「言語研究のための統計入門」, くろしお出版, 2011/11 (受理 平成24年9月18日). 13. — 75 —.

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参照

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