高速液体クロマトグラフ法による牛乳および 乳飲料中のナトリウム,カリウム,マグネシウム, カルシウムイオンの同時測定
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(2) )について報告する. 方法:分析カラムは , ( ! ,""
(3) 製)を用い, 移動相は ! # 硫酸, ! # 硫酸銅( )溶液(
(4) ),間接紫外部 $ 法により% で. に測定できる高速液体クロマトグラフ法(. 測定を行った .標準溶液の分析法バリデーションは ,保持時間,ピーク面積を用いて,併行精度,室 内再現精度,検出限界濃度,直線性,添加回収実験を実施した.. . 分以内に同時分析できることが認められた.各イオンの併行精度は相 &以内,室内再現精度は ! &以内を示した.検出限界濃度( )は , ,; ,%;# ,; ,であった .検量線は ! の濃度範囲で , つのイオ ンは良好な直線性を示した( ''( ) .添加回収率は添加濃度 で つの金属イオンすべ てにおいてほぼ &を示した . 本
(5) 法を用いて , 品目の牛乳および 乳飲料中の つのイオンを測定した .実測平均濃度 標準偏差( )を見ると , は! , は !!であった .これらの試料の実測 結果: つの金属イオンは. 対変動係数が. 濃度と表示濃度を比較した . 本.
(6) 法は ,牛乳および乳飲料中のナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウムイオンを. 同時分析する方法として,煩雑な前処理の必要のない,簡易で迅速な分析法であることが認められた .. 緒. からの摂取量)は増加するものと考えられる.その. 言. 場合,カルシウムの過剰摂取によって起きる健康障. !年国民健康・栄養調査結果 によると ,カ ルシウムの平均摂取量は 歳以上で通常の食品を摂. シウム血症,他のミネラルの吸収障害など )を考慮. 取する(すなわち,補助食品等を摂取しない)場合. すると ,カルシウムは過剰摂取についても配慮が必. ). 要なミネラルである.現行では ,カルシウムの許容. ). 平成. は. !( で ,食事摂取基準の目標量( . 害( 泌尿器系結石 ,ミルクアルカリ症候群 高カル. 配慮が必要なミネラルである.一方,補助食品等か. (歳以上で 日)% と定めら れているが ,カルシウムの濃度が ) の. らカルシウムを摂取している者は平成. 乳飲料も市販されており,摂取量によっては許容上. は. 限摂取量を超える場合も考えられる.. を下回っており,カルシウムは摂取不測についての. 上限摂取量は. !年度調査で ' &で ,食生活や栄養素摂取の多様化に伴って. 次に ,ナトリウムの平均摂取量は平成!年現在 , 日 であり,目標量(食塩相当量)の男性 未満,女性 ( 未満を上回っている .食塩摂 取量は平成 年以降年々減少傾向にあるものの,ナ. カルシウム強化食品やサプリメントで不足分を補う 傾向にあり,今後,補助食品等からのカルシウムの 摂取量( 顆粒,錠剤,カプセル ,ド リンク状の製品 からの摂取量及び通常の食品に強化されている部分. 山口県立大学 生活科学部 栄養学科 川崎医療福祉大学大学院 医療技術学研究科 臨床栄養学専攻 川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床栄養学科 山口県山口市桜畠丁目 山口県立大学 (連絡先)楊井理恵 〒
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(10) . 楊井理恵・角田佳代・藤井俊子. )の) . (. )標準溶液は ,. トリウムは日本人の食事の中で過剰に摂取しがちな. オン(. ミネラルであるので ,高血圧,がん等の一次予防の. 和光純薬工業株式会社製を用いた .超純水( 比抵抗. ネラルについては ,食品や飲料中のミネラル量を的. 値( #,・- )は ,超純水製造装置(ミリポア , +. ! $ )から採取したものを用いた.移動相に 用いた蒸留水, 硫酸,硫酸銅( )は和. 確に把握する必要があり,そのためには簡易で迅速. 光純薬株式会社製を使用した .. 目的からも過剰摂取への対策を必要としている. このように ,摂取不足や過剰摂取が懸念されるミ. な測定法の確立が必要である.食品成分表に記載さ れている食品中の無機質の測定法は ,ナト リウム とカリウムは原子吸光法 ,カルシウムとマグ ネシ ウムは干渉抑制剤添加−原子吸光法で測定されて. *. いる .原子吸光法では試料の前処理が複雑であ. . り, 分析に. ! 時間を要する.近年では ,キャ
(11) + )を用いて金属イオン. ピラリー電気泳動法(. 測定法に関する研究が行われはじめており ,牛 乳 ,ミネラルウォーター ,水道水 ,リ ンゴ酢 ,オレンジジュース 中のナトリウムイオ. ),カリウムイオン( ),マグネシウムイ オン( # )およびカルシウムイオン( )の. ン(. 濃度について報告されている.高速液体クロマトグ.
(12) )では ,酸性雨中の陰イオン( , "%および " )および 陽イオン( , , # および )の同時測定について,弱酸型陽. ラフ法(. イオン交換カラムを用いた報告が見られた .. 小倉ら は ,陰イオン・陽イオン同時分析カラム を用いてミネラルウォーター中の陰イオンおよび陽. . イオンを同時分析しているが ,この場合 分析に約. 分を要している.. 本研究では ,最近開発された陽イオン分析カラム を用いて ,生体試料及び 食品中の主要ミネラルで. , ,# および の同時分析を
(13) 法で試行する目的で,先ず, , ,# および の標準混合溶液の分析法バリデーショ. ある. ンを実施した .次に ,牛乳および乳飲料のうちカル. 品目の試料( 特定保健用食品 % 品目,通常の食品 品目). シウムの表示がある. . 品目,栄養機能食品. . について , つの金属イオンの濃度を測定した .牛 乳や乳飲料中の. は牛乳タンパク質であるカゼ. インと結合し安定なカゼインミセルとしてコロイド 状に分散しているため ,前処理として除タンパク操 作が必要である.本研究では ,酢酸を用いての徐タ. 品目中の つの金属イオン. ンパクを行った .試料. と は濃度表示があったので ,実. のうち,. 測値と平均値の差について検討した. 方. .試薬および試薬調製法. 法. ),カリウムイオン( ), マグネシウムイオン( # )およびカルシウムイ ナトリウムイオン(. ) 標準溶液を超純水を用いて,先ず ,各 の 標準混合溶液を調製した .この 標準混 合溶液から超純水で ! の濃度になる ように希釈し ,メンブランフィルター( /#! , ,東洋濾紙株式会社製)を用いてろ過後,超 音波洗浄器を用いて 分間脱気したものを分析に供 標準溶液は ,上記の各金属イオンの. した .. ! ,硫酸 銅( )%'' を加えて溶解し(
(14) ) ,) に定容した . 移動相は,蒸留水に. . 硫酸. .試料および分析試料の調製法. . 試料の概要を表 に示す.. と超純水 をビー カーに取り, ! &酢酸で
(15) に調整後,遠心分離 ( %) , 分)した.上清をろ別し(ワット マン , ), のろ液を超純水で に定 容した( 倍希釈試料).これを メンブランフィ ルターでろ過し ,超音波洗浄器で 分脱気したもの 試料の調製は ,試料. を分析に供した.. .分析装置と分析条件 )分析装置. / 01;送液ポンプ , 0 1;脱 /2$0;カラムオーブン," 01; データ処理機, ワークステーション( 0 ) ; オートインジェクター, 0/1;コミュニケー ションバスモジュール ,3# 0;分析カラム , ( 内径, ;長さ , ! ;""
(16) 製). 検出器,. 気装置,. )分析条件. ℃;測定波長,% ;注入量, ;流速, . 測定温度,. .分析法バリデーション. 分析法バリデーションのうち,併行精度,室内再現 精度,検出限界,直線性および添加回収率を調べた. )併行精度(
(17) ) 短時間の間に同一条件下で測定する場合の精度を 併行精度という.本研究では ,各金属イオンが. . の標準混合溶液を ,同一日に続けて. . 回分. 析し ,保持時間,ピーク面積の相対変動係数(標準偏. ,41 /15 , 4/ ,& )で表した.. 差/平均値 以下.
(18) 牛乳および乳飲料中金属イオンの 表. ! , および . 同一施設内において,試験日,試験実施者,器具, 機器等を変えて測定する場合の精度を室内再現精度. 日間 日 回( 6 % )分析し , 保持時間,ピーク面積の 4/で表した . . の標準混合溶液を. )検出限界( ). 度を検出限界濃度という.検出限界の設定には ,シ. % : とする. のが一般的であるため ,本研究ではベースラインに おけるノイズ面積の平均値の )直線性( ). % 倍値を用いた .. てピーク面積の測定値から求め,回帰直線と相関係 数で示した . )添加回収実験(
(19)
(20) ) 添加回収率(. & )は ,添加後試料のピーク面積を. 添加前試料のピーク面積と標準混合溶液のピーク面. に標準混合溶液(各 )を添加した. 添加後試料の調製法は , 倍希釈試料 に 各金属イオンが の標準混合溶液を) 加え ,超純水で に定容した.これをメンブ ランフィルターでろ過し ,超音波洗浄器で 分脱気 したものを添加後試料として分析に供した .. 一定の濃度範囲内で試料中の分析対象物の濃度 ( 量)と直線関係にある測定値を与える能力を調べ た .本研究では ,各金属イオンの濃度が. の標準混合溶液につい. 積の和で除して百分率で表した.本研究では ,試料. 試料中に存在する分析対象物の検出可能な最小濃 グナル対ベースラインノイズ比を. %. 試料の概要. )室内再現精度( ). という.本研究では ,各金属イオンが.
(21) による同時測定. ! , ,. .平均値の差の検定. つの金属イオンのうち,試料には と の濃度表示があったので,試料中の と の.
(22) . 楊井理恵・角田佳代・藤井俊子. . 表示濃度と実測濃度の両群について,関連 群の平 均値の差の検定 を行った .. 併行精度は ,移行時間,ピーク面積のいずれにお いても. 4/が &以内となり,すべての金属イオ. ンできわめて精度が高いことが認められた .室内再. 結果および考察. 現精度は ,移行時間,ピーク面積のいずれにおいて. .標準混合溶液の クロマトグラム. の
(23) クロマトグラムを示した. 図 に金属イオン標準混合溶液(各. も ). 4/が ! &以内となった .. )検出限界. 7 * は , ,; ,%;# ,; ,であった.
(24) + による報告では , つの金属イオンのすべ てが ,! )% ,お よび , 等となっており ,また ,
(25) では ,'; , ;# ,; , であったので ,本研究成績は検出限界濃度がこれ 表 に示したように,検出限界濃度. . らに比べてかなり低い値を示した .. 図. 表. 標準混合溶液の クロマトグラム(各 ) ,
(26) ; , ; , ; , .. 検出限界濃度. 標準偏差( 分)をピーク出現 ,% %; , !; # ,( ; ,' (であった .小 倉らによる
(27) による分析 では 分析に 分 を要したが ,本法では 種類の金属イオンは 分以 保持時間の平均値. 順にみると ,. 内に同時分析できることが認められた .. .分析法バリデーション )併行精度と室内再現精度. . %. 併行精度を表 に ,室内再現精度を表 に示した. 表. 併行精度. )検量線. !. 標準混合溶液の回帰直線と相関係数を表 に示 した . 表. 表. 回帰直線と相関係数. 室内再現精度. 設定濃度範囲で各金属イオンのいずれも良好な直 線性を示し ,相関係数はすべてのイオンで. ''(以. 上を示した .以後の試料中の金属イオン濃度これら の回帰直線を用いて測定した . )添加回収率 添加回収率(. & )を表 に示した..
(28) 牛乳および乳飲料中金属イオンの 表. 添加濃度. 添加回収率( ). .
(29) による同時測定 表. !. 試料の金属イオン濃度. つの金属 &を示した .. の添加回収率は. イオンすべてにおいてほぼ. .試料の クロマトグラム. 0 倍希釈試料,3 に乳飲 倍希釈試料について
(30) クロマトグラ. 図 の に市販牛乳の 料の. ムを示した.いずれの試料でも妨害ピークは認めら れず ,各金属イオンは同時分析が出来ることが認め られた .. ).反対に , は表示濃度よりも実測濃度が低いものがほと 方がかなり高いものが あ った( んどであった . 終わりに 図. 倍希釈試料の クロマトグラム ,試料
(31) ; ,試料
(32) . ,
(33) ; , ; , ; , .. 摂取不足や過剰摂取が懸念されるミネラルについ ては ,消費者は食品や飲料中の表示に注目すること が多い.本研究では ,摂取過剰が問題になっている ナトリウムでは ,個別に見ると表示濃度よりも実測. .金属イオン濃度表示値と測定値の平均値の差の 検定 試料中の. . と. . 度を表 に示した .. 濃度の方がかなり高いものがあったが ,表示濃度と 実測濃度で差が認められなかった .カルシウムは表. の表示濃度および 実測濃. は両群に有意差が認め. 表示濃度と実測濃度における関連 群の平均値の 差の検定を行った結果,. は実測濃度が表示濃度に対 して有意に低いことが認められた( ! ) .試料 中の と の表示濃度と実測濃度を個別に 比較したところ, は表示濃度よりも実測濃度の. 示濃度が実測濃度よりも平均値では有意に高かっ た .これらのことから ,食品や飲料中の濃度を比較 的簡易に測定できる方法の開発が望まれるので ,本.
(34) 法は有効であると考えられた.. られなかったが ,. 本研究に御協力いただいた川崎医療福祉大学医療技術学 部臨床栄養学科期生大森美紀氏,小宮聡美氏,西原佑美 氏に感謝します..
(35) . 楊井理恵・角田佳代・藤井俊子 文 献. )厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室:平成年国民健康・栄養調査結果の概要.臨床栄養, ( ), , . )第一出版編集部編:厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準( 年版).初版,第一出版株式会社,東京, , . )厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室:平成年国民健康・栄養調査結果の概要.臨床栄養, ( ), , . )第一出版編集部編:厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準( 年版).初版,第一出版株式会社,東京, , . )香川芳子 監修;五訂食品成分表 .初版,女子栄養大学出版部,東京, , . )本水昌二,森本浩司,桑原正良,小畑義光,泉国辰:キャピラリー電気泳動による
(36) ,
(37) ジ( ヒド ロキシベンジル) エチレンジアミン
(38) ,
(39) 二酢酸を用いる金属イオンの分離とカルシウム及びマグネシウムイオンの定量.分析化学,. , , . ) , ,! !" ,# $ %& ' ( ) #&:"$&" *& + " ' $ $ ,$ $ & ' && &$ ,""- ' -*$$ $ .
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(45) . ,:; , , . )佐藤康博:キャピラリー電気泳動による環境水試料の無機イオン分析.キャピラリー電気泳動ジャーナル 20 アド バン ス, , .. )楊井理恵,河辺聡子,藤井俊子:飲用水中カリウム,ナトリウム,カルシウム,マグネシウムイオンのキャピラリー電 気泳動法による同時分析.川崎医療福祉学会誌, ( ), , .. )3' !& ,<$$ = 41 ,3$$ ) .- ,<& ' ' !$$ = :0>-& + $- &$& -*& & *& + - &$ -& -*$$ $-&* . ( ), , ..
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(51) ,.
(52) 牛乳および乳飲料中金属イオンの.
(53) による同時測定. . )小倉豊,佐藤真治,三苫惠民:陰・陽イオン同時分析カラム /%$ "*B23D2 の開発. !. " , , , . )市原清志:バイオサイエンスの統計学.第 刷,南江堂,東京, , . ( 平成 年 月日受理).
(54)
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