平成 29 年度
第 8 回 大阪府理学療法士会
南河内ブロック
新人症例発表会
演題募集期間
平成 29 年 8 月 1 日~9 月 30 日
〈お問い合わせ・お申込み先〉
南河内ブロック新人症例発表会事務局
担 当:吉川昌太(社会医療法人さくら会 さくら会病院)
E-mail:[email protected]
(府士会ホームページもご参照ください)
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大会長挨拶 第8 回大阪府理学療法士会 南河内ブロック新人症例発表会開催にあたり 大会長 藤川 薫 今年度も南河内ブロック会員・役員の先生方の協力により、平成30 年 1 月 21 日に富田林市のすばる ホールにて第 8 回大阪府理学療法士会 南河内ブロック新人症例発表会を無事開催することとなりまし た。今年度は11 演題の応募がありました。南河内ブロック全会員数が 400 名以上のスタッフがいる中で の11 演題(応募資格は、基本 3 年目以下の先生方にはなりますが)という演題数が多いか少ないかの判断 はできませんが、応募していただいた11 名の先生方や指導していただいた先生方は向上心を持ったエネ ルギーのある理学療法士の 1 人ではないかと思います。今回の発表やディスカッションが今後の臨床の 場面で必ず活かされることを心より願っています。また、今回の新人症例発表会での最優秀演題につい ては、7 月に予定されている大阪府理学療法士学術大会のブロック代表演題として選出予定です。平成 29 年度は南河内ブロックから選出された城山病院の大澤 春花先生の「複合靱帯損傷術後の膝関節可動域 制限に対し、腱振動刺激が有効であった一症例」がみごと大阪府理学療法士学術大会にてブロック演題 の優秀演題に選出されました。発表された先生はじめ指導にあたった先生、また新人症例発表会の運営 スタッフの先生方の協力・努力があったからこその最優秀賞かと思います。この場をかりて関係した先 生方に厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。 今年度も昨年度同様に昼休憩を挟まずに連続して発表会を実施することになりました。昨年度試験的 に実施し、一定の成功を収めたと考えましたので、今年度もそのような形にて実施させていただきます。 空腹感と闘いながらの発表会になるかもしれませんが、どうぞご理解の上ご参加よろしくお願いいたし ます。また、参加する先生方には、発表する先生方に対して積極的なご意見・アドバイスを頂けると非 常に参考になると思いますので、積極的な発言をどうぞよろしくお願いいたします。 平成 30 年度は以前より議論されていたブロック制度の解体による支部化への移行期となる予定です。 あまり士会活動に興味がない先生方も多いかもしれませんが、良い機会ですので、支部化に伴いもう少 し士会活動・地域連携に対して興味を持っていただければと思います。また、支部化に移行することに より、変更点も出てくることが予想されますが、理学療法士として今後も責任感とプライドを持って働 くことには変わりないと思いますので、日々の業務に追われるだけでなく広い視点を持った理学療法士 を目指し、日々自己研鑽をしていただきたいと考えます。 最後に、本大会が発表者及び参加者の皆様方にとって実りのあるものになるよう願っております。2
目 次
1.大会長挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.目次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
3. ご参加の皆様へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
4.演題発表要領・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
5.すばるホールアクセス概要図・・・・・・・・・・・・・ 5
6.会場配置図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
7.大会タイムテーブル・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
8.大会プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
9.演題抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
10.大会運営委員一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
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ご参加の皆様へ
1. 参加費について
無料
2. 参加者受付について
受付は 9 時 10 分より行います。
3. 質疑応答について
1)症例発表時の質問については、座長の進行・指示に従ってください。指名されましたら、
必ず先に施設名と氏名を告げてから、簡潔明瞭に質問するように心掛けて下さい。
2)質疑応答時間は限られていますので、時間内に終えられない場合等はセッション終了後に
演者へ個別に質疑をお願いします。
4. 新人教育プログラム、生涯学習プログラムについて
本大会は新人教育プログラム、生涯学習ポイントの対象外です。発表者については新人教育プログ
ラム「症例発表」ポイントが履修となります。
5. 留意事項について
1)発表会場内での飲食はご遠慮ください。
3 階の会議室での飲食は可能ですのでそちらをご利用ください。
2)発表会場内での携帯電話のご使用はご遠慮ください。
3)ごみは各自、持ち帰りいただくようお願い致します。
6. その他
1)ネームカードの携帯について
会場に入場の際は、必ずネームカードの入ったホルダーを首から下げ、確認できるように
してください。また、大会終了後にはホルダーを回収しますのでご協力お願い致します。
2)アンケート用紙について
受付の際に配布しますアンケート用紙は、お帰りの際に回収致しますのでご協力お願い致します。
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演題発表要領
演者へのお願い
1.発表者は自身のセッション開始の
10 分前までに「次演者席」にお越し下さい。不測の事
態で発表時間が間に合わない場合は、速やかに大会受付までご連絡ください。ご連絡がなく発表時間
までに来られない場合は、発表を放棄したものと判断致します。
2.発表時間は
7 分以内、質疑応答は 8 分以内で時間設定しています。進行については座長の指示に従っ
て下さい。
3.発表時間終了
1 分前にベルが 1 回、終了時にベルが 2 回鳴ります。ベルが 2 回鳴りましたら、速やか
に発表を終了してください。
4.発表規定について
①発表データを CD−R で提出して下さい。受付終了後、所定の機器にて試写と動作確認を致します。
※USB メモリー、外付けハードディスクなどでのデータ提出はセキュリティの都合上出来ませんので
ご注意下さい。
②発表機材 Windows PC、プロジェクターは準備致します。
持ち込み PC による発表は出来ませんので、ご了承下さい。
③使用ソフト パワーポイント 2010 バージョンをご使用下さい。
④注意点
・必ず事前にご自身でウィルスチェックを行って下さい。
・発表データは、必ず作成した PC 以外で画像などを確認してからお持ち下さい。
・コピーしたデータは、発表終了後、主催者側で責任を持って消去致します。
5.演者は新人教育プログラムのうち「症例発表」の単位が認められます。申請希望される方は新人症例
発表運営委員までお問い合わせ下さい。
座長へのお願い
1.大会当日は、座長も受付を行ってください。
2.座長は、該当セッション開始の
10 分前までに「次座長席」にお越し下さい。
3.発表時間は 1 演題につき 7 分間の口述発表と、8 分間の質疑応答を設定しています。担当セ
ッションの進行に関しては、座長にすべて一任致します。
4. 発表の内容が抄録と大幅に異なる場合は、その場で建設的指導を行い、セッションを進行して下
さいますようお願い致します。
5. 該当セッション以外は控え室のご利用下さい。
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すばるホール アクセス概要図
住所:〒584-0084 大阪府富田林市桜ケ丘町 2 番 8 号 お問い合わせ先:Tel:0721-25-0222 Fax:0721-25-0550 ●最寄り駅: 近鉄長野線 「川西駅」徒歩 8 分 南海高野線南海「金剛駅」下車、南海バス 「小金台二丁目」下車、徒歩 8 分 ●高速道路: 南阪奈道路 「羽曳野」 : 阪和自動車道 「美原南」●駐車場のご案内(すばるホール内)
料金 :1 時間ごとに 100 円(最初の 2 時間は無料)
駐車場営業時間:8:30~22:00(臨時に営業を短縮する場合あり)
収容台数 :収容台数 266 台
・屋内駐車場
1F 屋内駐車場 56 台(内 身体障害者専用 7 台)・B1 屋内駐車場 59 台・B2 屋内駐車場 33 台
・屋外駐車場 118 台(内臨時駐車場 21 台)
● 駐輪場:駐輪場は、すばるホール東側に併設しております。
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会場配置図
受付 正面玄関7
大会タイムスケジュール
9:30 会場・受付開始 10:00 開会式 10:10第1セッション
座長:出水 精次 先生 (医療法人はぁとふる 運動器ケア しまだ病院) ・左立脚期の反張膝に対し、ヒール歩行を実施した症例 さくら会病院 浦 光恵 ・踵骨骨折後、疼痛が強く荷重位での筋力改善に難渋した症例 PL 病院 山内 由梨 ・リトルリーガーズショルダーを呈し、投球時の肘下がりに着目した一症例 高村病院 大田 彩夏 ・病的骨折を受傷した多発性骨髄腫の利用者に対して多職種と連携を行ったことで ADL 向上できた一例 富田林病院 大田 和哉 11:10 休憩 11:20第
2 セッション
座長:西岡 幸弥 先生 (独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター) ・くも膜下出血後に脳血管攣縮を呈し脳梗塞を併発した一症例 城山病院 大城 勇輝 ・機能的電気刺激を用いた歩行練習により歩行速度が向上した一症例 さくら会病院 河野 汐莉 ・姿勢アライメントに着目した介入より短期間で歩容が改善した 筋萎縮性側索硬化症の一症例 近畿大学医学部附属病院 麻野 紗也加 ・感覚入力が有効であったlateropulsion を呈した一症例 城山病院 納 みなみ 12:20 休憩8
12:40第
3 セッション
座長:白石 匡 先生 (近畿大学医学部附属病院) ・強皮症による下腿切断術後、肺高血圧症を呈した症例のリハビリテーションの経験 富田林病院 衣田 健太 ・慢性閉塞性肺疾患患者に対する理学療法の経験 大阪はびきの医療センター病院 中原 千里 ・姿勢制御能力向上により歩行獲得に至った症例 さくら会病院 前河 大輝 13:30 大会長あいさつ・優秀演題発表・表彰式 13:40 閉会式9
大会プログラム
第 1 セッション <10:10~11:10> 座長: 出水 精次 先生(医療法人はぁとふる 運動器ケア しまだ病院) ・左立脚期の反張膝に対し、ヒール歩行を実施した症例 さくら会病院 浦 光恵 ・踵骨骨折後、疼痛が強く荷重位での筋力改善に難渋した症例 PL 病院 山内 由梨 ・リトルリーガーズショルダーを呈し、投球時の肘下がりに着目した一症例 高村病院 大田 彩夏 ・病的骨折を受傷した多発性骨髄腫の利用者に対して多職種と連携を行ったことで ADL 向上できた一例 富田林病院 大田 和哉 第 2 セッション <11:20~12:20> 座長:西岡 幸弥 先生 (独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター) ・くも膜下出血後に脳血管攣縮を呈し脳梗塞を併発した一症例 城山病院 大城 勇輝 ・機能的電気刺激を用いた歩行練習により歩行速度が向上した一症例 さくら会病院 河野 汐莉 ・姿勢アライメントに着目した介入より短期間で歩容が改善した 筋萎縮性側索硬化症の一症例 近畿大学医学部附属病院 麻野 紗也加 ・感覚入力が有効であったlateropulsion を呈した一症例 城山病院 納 みなみ 第 3 セッション <12:40~13:30> 座長: 白石 匡 先生(近畿大学医学部附属病院) ・強皮症による下腿切断術後、肺高血圧症を呈した症例のリハビリテーションの経験 富田林病院 衣田 健太 ・慢性閉塞性肺疾患患者に対する理学療法の経験 大阪はびきの医療センター病院 中原 千里 ・姿勢制御能力向上により歩行獲得に至った症例 さくら会病院 前河 大輝10
演題抄録
【
座 長
】
出水 精次 先生 (医療法人はぁとふる 運動器ケア しまだ病院)
西岡 幸弥 先生 (独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター)
白石 匡 先生 (近畿大学医学部附属病院)
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左立脚期の反張膝に対し、ヒール歩行を実施した症例
浦 光恵1)檜垣 英里 1) 木下 篤1) 1)社会医療法人さくら会 さくら会病院 リハビリテーション科 【Key words】反張膝、ヒール歩行、人工膝関節全置換術 【はじめに】 人工膝関節全置換術(以下 TKA)患者では、術前の歩容が術後でも問題となることがある。今 回、術前より認めていた左立脚期での反張膝が術後も残存した症例を担当した。伊藤らは裸足 とヒール歩行を比較し、ヒール歩行で荷重応答期における膝関節屈曲角度が増大することを報 告している。そこでヒール歩行を 実施す ること で 歩容の再 学習 を 試みた の で以下に 報告す る。 【症例紹介】 本症例は痛みなく歩けるようになりたい、そして綺麗に歩きたい と望まれ 両側同時 TKA を行 った 70 歳代の女性である。術前の歩行は屋内外独歩自立であった。関節可動域(以下 ROM)は両 側共に膝関節屈曲 135°、伸展 0°であった。筋力は徒手筋力検査法(以下 MMT)で両側共に膝 関節伸展4 であった。疼痛は Numerical Rating Scale(以下 NRS)にて荷重時と運動時で右膝 関節は 1、左膝関節は 2 であった。大腿脛骨角(以下 FTA)は右 183°、左 194°であった。歩容 は左荷重応答期に反張膝を認め、Double knee action の消失がみられた。【経過及び治療】 術後のFTA は左右ともに改善した。術後 4 週目で両膝関節の荷重時痛と運動時痛は消失し、 両膝関節屈伸の ROM は術前と同様まで改善した。両膝関節伸展の MMT は両側共に 4 まで向 上したが、左 荷重応答期の反張膝は術前と同様に認められた。そこでヒール歩行訓練を毎日 10 分間、午前と午後に 2 週間実施した。ヒール靴はヒール高 7cm のものを使用した。前足部へ の重心移動を意識させ、左荷重応 答期に 大腿四 頭 筋の収縮 を促す よう介 助 しながら 実施し た。 評価は動画撮影を行いヒール歩行を実施する前後の歩容を視覚的に評価した。 【結果・考察】 治療2 週間後の歩容は左荷重応答期での左膝関節屈曲、下腿の前傾が増加し、左立脚中期で は身体重心の上昇が認められた。 ヒール歩行では足関節が底屈位に固定されて下腿が前傾するため、股関節屈曲、膝関節屈曲 位となる。そのことにより左荷重応答期における膝関節伸展モーメントが増大し、大腿四頭筋 活動が増加する。よってヒール歩行を反復することにより膝の動的安定性が向上し左荷重応答 期の反張膝が改善した可能性がある。またヒール歩行が左荷重応答期の課題特異的トレーニン グとなり、大腿四頭筋の筋発揮がタイミングよく行われ Double knee action の再獲得に至っ た可能性がある。
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踵骨骨折後、疼痛が強く荷重位での筋力改善に難渋した症例
~アライメントに着目して~
山内 由梨 医療法人宝生会 PL 病院 リハビリテーション科 【Key Word】 踵骨骨折 疼痛 アライメント 【はじめに】 左踵骨骨折を呈し職場復帰を目指したが、距骨下関節外側部の疼痛が強く、荷重位での筋力 改善が 進ま ない症 例を 担 当した 。足 部のア ライ メ ントに 着目 し、テ ーピ ン グ、足 底板(アーチ パッド)を使用することで疼痛が軽減、筋力改善したことで、職場復帰が可能となったため、 ここに報告する。 【症例紹介】 30 歳代、男性。職業、造園業。仕事中に 3mの高さの木から転落、左踵骨骨折を受傷した。 Bohler 角 10°と転位が大きく、スタイマンピン 2 本と骨セメントでの固定術を施行。術後 3 週間シーネ固定で完全免荷の指示があった。術後 4 週目より関節可動域 (以下 ROM)訓練、全 荷重開始となった。術後 6 週目で退院となったが、疼痛により左下肢への荷重が困難な状態で あり両松葉杖歩行での退院、週 4 回の外来理学療法開始となった。術後 9 週目で独歩可能とな ったが、疼痛が強く荷重位での筋力増強運動は困難であった。術後 13 週目より足部のアライ メントに着目して理学療法を行い、術後 17 週目でアライメントが改善した結果疼痛が軽減し、 術後 22 週目で職場復帰となった。 【理学療法評価】 足底板挿入前の術後 6 週目の ROM は左距踵関節内反 5°外反 5°、徒手筋力検査 (以下 MMT)左足関節底屈 2 左足趾屈曲 3。アキレス腱部、距骨下関節外側部の荷重時痛がフェイス スケール(以下 FRS)4 であった。足底板を挿入開始した術後 13 週目の ROM は左距踵関節 内反 10°外反 10°、MMT 左足関節底屈 3 内反 4 外反 3 左足趾屈曲 3、leg heel alignment(以 下 LHA)右外反 10°左外反 5°。アキレス腱部の荷重時痛は消失したが距骨下関節外側部の FRS3 であった。他動での外反で疼痛出現はなかった。足底板を挿入し理学療法実施後の術後 22 週目の ROM は左距踵関節内反 10°外反 19°、MMT 左足関節底屈 5 内反 5 外反 5 左足趾 屈曲 5、LHA 左外反 10°FRS0 となった。 【理学療法及び結果】 荷重時に距骨下関節外側部の疼痛が強く、足関節底屈筋力改善のための荷重位での訓練、歩 行訓練が困難であったため、まずは疼痛を軽減させることを優先した。テーピングで舟状骨を 引き上げ、内側アーチパッドと横アーチパッ ドの足底板を挿入した。足底板で足部のアライメ ントを整えることで、荷重位で足趾の筋力トレーニング、バランス訓練が可能となった。その 結果、足趾屈筋の筋力改善し足底板除去後も内側縦アーチ低下が軽減、疼痛が消失し、足関節 底屈の筋力増強運動が可能となり筋力改善した。 職場復帰には、木登り動作、草刈り動作、不整地を歩行する動作が必要であったが、職場復 帰後は疼痛なく仕事での動作が可能であった。 【考察】 唐澤は踵骨骨折後の荷重時痛に対して、関節可動域の改善だけではなく、後足部のアライメ ントや荷重時の足関節筋群の筋安定化機 構に注目したアプローチが必要と報告している。今回 足趾屈筋の筋力低下により内側縦アーチが低下し、外反強制された状態で荷重がかかることで 疼痛が出現していると考え、テーピング、足底板を使用した。足趾屈筋の筋力改善したことで、 足底板除去後も内側縦アーチ低下が軽減した。アライメントに着目して理学療法を行った結果、 疼痛が消失し、荷重位での足関節 底屈筋 の筋力 増 強運動が 可能と なり筋 力 改善した と考え る。13
リトルリーガーズショルダーを呈し、投球時の肘下がりに着目した一症例
大田 彩夏 1)、楯野 徳志1)、荒木 武智 1) 1)医療法人昌円会 高村病院 リハビリテーション科 【Key Words】リトルリーガーズショルダー、インピンジメント症候群、肘下がり 【はじめに】 受診から約 1 か月間の安静を経て徐々に競技復帰するも疼痛再燃を繰り返していた。リハビリ テーション(以下リハビリ)介入時はチーム事情により捕手にて投球継続しながらも肘下がり に着目し、疼痛改善に至ったので報告する。 【症例紹介・経過】 14 歳男児、投手であり野球経験は 5 年。H28 年 9 月頃(中学 1 年)から右肩に疼痛出現。ポジ ションを捕手に変更し野球を続けていた。H29 年 3 月末に疼痛悪化、4 月(中学 2 年)に当院受 診しリトルリーガーズショルダー・インピンジメント症候群の診断を受ける。発症以前より投 球制限に関するガイドラインよりも超 える投球数であったことがわかった。そこから約 1 か月 間の安静にて徐々に競技復帰するも疼痛再燃を繰り返していた。7 月 24 日からリハビリ開始 するがチーム事情により練習・試合に捕手として出場を続ける。本人の意思も考慮しリハビリ 目標を、疼痛なく投手での復帰とした。 【理学療法初期評価】(7 月 24 日) ROM(右/左):肩関節屈曲 155°/180°、外転 100°/180°、 2nd内旋25°/40°、水平屈曲テスト(Horizontal flexion test:以下 HFT):65°/115°、MMT:肩甲帯周囲筋 3 レベル、Neer・Hawkins:陽性、JSS:55 点、疼痛:①トップポジション移 行期での肩峰下インピンジメント による 疼痛② 加 速期~ボ ールリ リース 時 の骨端線 部の疼 痛。 投球動作:早期~後期コッキング期にかけて肘下がり・肩関節過水平外転 (hyper abduction: 以下 HA)がみられる。 【治療経過】 肘下がりの原因が内旋制限となる棘下筋・小円筋・後方関節包の伸張性低下に対し、超音波療 法・ストレッチを実施。可動域改善と並行して肩甲上腕関節の協調性向上を目的にエクササイ ズ実施。 【中間評価】(8 月 24 日) ROM:肩関節屈曲・外転 180°/180°、2nd内旋 35°/40°、HFT95° /115°、Neer・Hawkins:陰性、MMT:肩甲帯周囲筋 4 レベルと機能面での治療効果が得ら れ、①の疼痛は消失、②の疼痛については肘下がり・HA の軽減に伴い疼痛軽減するも、投球 数増加にて残存した。SEBT・スクワットにて右下肢の支持性低下がみられたためステップ長 の拡大に向け、動作の中での下肢筋力トレーニングを実施した。 【最終評価・治療結果】(10 月 19 日) 初期段階での肩関節機能面の改善に伴い①疼痛軽減・肘下がりと HA 軽減、中間評価以降にて SEBT 全 4 方向での距離の増大がみられ下肢の支持性向上がみられた。それに伴いステップ長 が拡大、投球動作時の肘下がり・HA はさらに軽減した。JSS:88 点。投球数増加に伴う疼痛 の訴えがなくなり、投球制限を設定し投手として試合出場可能となった。 【考察・まとめ】 今回着目した肘下がりの原因として、❶2ndでの内旋制限❷右下肢の支持性低下を挙げた。❶ が原因にてインピンジメントによ る疼痛 が生じ 、 また外転 ・内旋 運動低 下 にて HA での代償、 肘下がりが生じた。❷では下肢の支持性低下にてステップ長が短く 肘が上がりきる前にテイク バックが終了し肘下がりが生じた。❶❷アプローチ後投球増加時においても肘下がり・疼痛は みられず、投手としての試合出場が可能となった。 今後は再燃を繰り返さないよう、環境要因にも目を向けトータルコンディショ ニングの観点を 重視しながら介入していくことが重要であると考える 。
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病的骨折を受傷した多発性骨髄腫の利用者に対して
多職種と連携を行ったことで
ADL 向上できた一例
大田 和哉 1)2)、前田 和輝1 ) 1) 社会福祉法人恩賜財団 大阪府済生会 富田林病院 リハビリテーション科 2) 社会福祉法人恩賜財団済生会支部 大阪府済生会 富田林訪問看護ステーション 【Key word】多職種連携、訪問リハビリテーション、 ADL【はじめに】今回,多発性骨転移の多発性骨髄腫利用者に対して,病的再骨折リスクに注意し て訪問リハビリテーション(以下訪問リハビリ)実施し,病院,地域スタッフと連携したことで ADL 向上に至った症例を経験したので報告する.尚本報告にあたり,利用者並びに家族に対 し説明と同意を得ている. 【症例紹介】70 歳代後半男性.妻と同居.要介護 4.両大腿骨近位部,両上腕骨に骨転移を認 めた.安静度は主治医から両下肢接地程度の部分荷重.両上肢制限なし. 【経過】X 年に多発性骨髄腫と診断され入院.退院後は外来にて化学療法治療となるが, X+3 ヶ月後に起因不明の右大腿骨病的骨折を受傷.受傷後外来通院が困難となったため入院加療と なった.X+10 ヶ月後からリハビリ開始となり,病棟の離床状況としては X+1 年 6 ヶ月後から ベッド上端座位.X+2 年 6 ヶ月より短時間であるが標準型車椅子座位で過ごしていた.動作レ ベルとしては移乗動作軽介助レベルであった.X+3 年後自宅退院となり,退院後から訪問リハ ビリを週1 回の介入となった. 【理学療法評価】FIM:訪問リハビリ開始時 66 点(減点項目:車椅子移乗、移動).MMT(Grade): 広背筋 R5/L5,体幹屈曲 3.訪問リハビリ開始時 HOPE:本人は車椅子で自由に動きたい.妻 は食卓で一緒に食事できるようになってほしい. 【介入】利用者の残存機能を用いて代償的な動作で移乗動作訓練・ 指導を行い,ADL 拡大を 図った.具体的には主治 医から捻転負荷による骨 折の可能性が高いと指示 を受けていたため, 体位変換,移乗動作時の捻転動作,過荷重が生じないように動作確認・指導を実施.動作指導 前では主治医に移乗動作内容を説明し,了承を得た後に本人に動作指導を行った.動作指導内 容としては,主として右下肢を捻転しないようにプッシュアップに合わせ下肢のアライメント を調整するように指導を行った.また,トイレ・車椅子移乗動作をできる ADL からしている ADL へ移行するため,地域スタッフと動作・環境調整・リスク管理の情報 共有を行った. 【結果】FIM:訪問リハビリ終了時 88 点(改善項目:トイレ動作・車椅子移乗、移動 ),本人・ 妻の HOPE 獲得し,本人は「今の生活で満足。」と話された. 【考察とまとめ】本症例は当ステーションの強みである院内外の連携,特に主治医と密な連携 を行ったことで病的再骨折のリスクが非常に高い中,積極的に訪問リハビリを展開することが できた.その結果 FIM は向上し,ADL 向上を図ることができた.また,本人・家族の HOPE を獲得することもでき,QOL 向上に繋がったことも考えられる.
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くも膜下出血後に脳血管攣縮を呈し脳梗塞を併発した一症例
1) 医療法人春秋会 城山病院 リハビリテーション科 大城 勇輝¹⁾ 高見 武志¹⁾ 藤川 薫¹⁾ 【key word】くも膜下出血 脳血管攣縮 歩行 【はじめに】 くも膜下出血(以下 SAH)を発症し, 術後の脳血管攣縮により脳梗塞を併発された 症例を担当した .独歩獲得を目標に歩行周期から遊脚期の問題点が立脚期に与える影 響について考え ,理学療法を実施した結果 ,歩行に改善が見られたので以下に報告す る. 【症例紹介】 60 代女性.頭痛自覚し救急要請,左内頚動脈-後交通動脈分岐部瘤破裂による SAH の 診断で緊急入院.Hunt and Hess 分類 GradeⅢ,WFNS 分類Ⅲ度.翌日に開頭クリッ ピング術施行した.術後 2 日目に脳血管攣縮により左内包~放線冠にかけて潅流障害 認め,同部位に 脳梗塞併発.術後 3 日目より理学療法開始となり端坐位まで施行.術 後 8 日目より歩行練習開始.発症前,日常生活動作(以下 ADL)は自立しており,飲 食店を営んでいた.【理学療法評価】
術後14 日目は Japan Coma Scale(以下 JCS):Ⅰ-2.脳卒中機能評価法(以下 SIAS):56/76 点,機能的自立度評価法(以下 FIM):63/126 点,Brunnstrom stage (以下 BRS)右上肢Ⅳ 手指Ⅳ 下肢Ⅴ 徒手筋力検査 (以下 MMT)にて右上肢 4 体幹 3 下肢 4 であり触診にて右腸腰筋・大殿筋・大腿四頭筋・内外腹斜筋の筋緊張低下を認 めた.表在・深部感覚ともに右上下肢にて軽度鈍麻 .歩行は後方 より軽介助,連続し て 20m 歩行可能であった.右股関節は常時軽度外旋位であり,右 Msw~Tsw にかけ ての体幹後傾と,右 LR~Mst にかけて膝関節屈曲運動が見られず伸展固定し,その際 股関節内転に伴う骨盤外側スラストが生じ,体幹の右側屈を認めた.また,10m 歩行 では 25,85 秒 33 歩(24m/min).片脚立位保持時間は両側ともに約 3 秒であった. 【理学療法と結果】 端坐位にてリーチ動作を行い内外腹斜筋 を促通し体幹の安定性向上を図った .また ステップ練習,段差昇降練習を行い,腸腰筋・大 殿筋・中殿筋を促通し立位・歩行時 における股関節周囲の安定性向上を図った .結果,術後 30 日目では SIAS:62/76 点, FIM:106/126 点と改善認め,BRS 上肢Ⅴ 手指Ⅴ 下肢Ⅴ.MMT では体幹屈曲・股関 節屈曲・伸展 4 膝関節伸展 5 であった.表在・深部感覚は著明な鈍麻なし.歩行は監 視であり右 Msw~Tsw での体幹後傾と,右股関節の外旋・外転が軽減し,右 LR~Mst にかけて膝関節の伸展固定 が改善に至った.10m 歩行では 9,18 秒 18 歩(67m/min). 片脚立位保持時間は両側約 10 秒と改善認めた. 【考察】 本症例は,右股関節周囲筋の筋緊張低下により常時 股関節外旋 位を呈しており,右 IC~LR での大殿筋・中殿筋の筋出力発揮に影響していた.まずステップ練習にて股関 節正中位での腸腰筋を促通し,Psw~LR までを反復して行うことで股関節のアライメ ントの改善を図った.遊脚期のアライメントが改善したことにより右 IC~LR での股 関節外旋が改善し殿筋群の筋出力が向上.また段差昇降にて立脚期での大殿筋の筋出 力向上を図ることで立脚初期の安定性が得られ,歩行能力の改善に繋がったと考える.
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機能的電気刺激を用いた歩行練習により歩行速度が向上した一症例
河野汐莉1)山内美和1)木下篤1) 1)社会医療法人さくら会 さくら会病院 【Key words】脳卒中 歩行速度 機能的電気刺激 【はじめに】機能的電気刺激(functional electrical stimulation;以下,FES)は麻痺肢の神経や筋へ電 気刺激を行うことで,歩行非対称性や 6 分間歩行距離,生理的コスト指数が改善することが報 告されている.片麻痺患者の歩行は麻痺側下肢での推進力が低下しており,代償的に非麻痺側 下肢の推進力に依存することになり,前方推進力の左右非対称性が大きくなると言われている. 推進力の形成に重要な因子に,立脚後期に形成される足関節底屈モーメントと股関節伸展角度 が報告されており,介入方法を決定するうえで重要な治療ターゲットになると考えられている. 今回,左片麻痺を呈した患者の ヒラメ筋に対する FES により歩行の推進力向上を試みたので 報告する. 【症例紹介】 右視床出血を呈した 70 歳代男性で 21 病日目に当院回復期病棟へ転院した.FES 開始時の 麻痺側下肢の運動機能は Brunnstrom recovery stage はⅣ,Stroke Impairment Assessment Set の hip-flexion test は 3,knee-extension test は 2,foot-pat test は 2 であった.Modified Ashworth Scale は足関節背屈 2,関節可動域は左股関節伸展 5°,左足関節背屈 10°であった. 左下肢の表在感覚,深部感覚は軽度鈍麻であった.また病棟では油圧式足継手装具を装着し杖 歩行見守りであった. 【方法】 123 病日目から通常理学療法に加え,FES として IVES(オージー技研株式会社)のセンサ ートリガーモードを使用した歩行練習を 1 日 15 分を 2 セット,7 日間実施した.歩行練習は T 字杖を使用し,歩行練習中は疲労に合わせて適宜休憩を挟んだ .電極はヒラメ筋のモーターポ イント上に貼付した.通電間隔は歩行中の麻痺側 立脚中期から後期にかけて ,徒手的にタイミ ングを調整した.評価は介入前と 介入後で実施した .主要評価項目は 10m歩行速度・歩数, Symmetry Index(以下,SI)を用いた.各評価は杖歩行と杖・油圧式足継手装具歩行の 2 条 件で行った. 【結果】 杖歩行の条件では,初期評価時と最終評価時で 10m 歩行速度は 0.40m/秒から 0.49m/秒に増 加した.歩数は 35 歩から 30 歩へ減少した.1 週間後のフォローアップでは 0.50m/秒に増加 した.SI 立脚時間は-48.8 から-45.0 へ増加した. 杖・油圧式足継手装具歩行の条件では初期評価時と最 終評価時で10m 歩行速度は 0.40m/秒 から 0.50m/秒に増加した.歩数は 38 歩から 31 歩へ減少した.1 週間後のフォローアップで は 0.53m/秒に増加した.SI 立脚時間は-51.9 から-47.1 へ増加した. 【考察】 片麻痺患者の歩行速度低下については,麻痺側立脚期後半の床反力前方成分の減少,足関節 底屈モーメントの減少,足関節底屈筋の活動の低下が関連すると多くの先行研究で報告されて いる.今回,麻痺側立脚中期から後期にかけてヒラメ筋に対して FES を行うことで,足関節 底屈モーメントが増大し,10m歩行速度が増加した可能性がある.また,フォローアップ後も 効果は持続したことから FES が立脚終期におけるプッシュオフのタイミングの合図となり, リズミカルな歩行を学習したことも考えられる.
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姿勢アライメントに着目した介入により
短期間で歩容が改善した筋萎縮性側索硬化症の一症例
麻野紗也加1)、中路一大 1)、長谷和哉 1)、福田寛二2) 1)近畿大学医学部附属病院 リハビリテーション部 2)近畿大学医学部リハビリテーション科 【Key words】筋萎縮性側索硬化症(ALS)・姿勢アライメント・歩容 【はじめに】 筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対するリハビリテーション(リハ)は、先行研究において有効性 が示されているが、アライメントに着目した報告は少ない。今回、姿勢に主眼をおいた介入を 行った結果、一定の効果を認めた症例を経験したため以下に報告する。 【症例紹介】 70 歳代女性。2 年前に右上肢筋力低下を初発症状として発症した。徐々に右上肢以外の筋力 低下も認めるようになり、今回ラジカット点滴加療目的にて当院入院となった。ADL は上肢 機能を要す動作は修正自立~軽介助、下肢機能は良好で独歩自立であった。 【理学療法評価】 初期評価において、右上肢優位に可動域制限や筋力低下を認め、右肩関節屈曲・外転 90°、 上肢 MMT 右 2、左 3 であった。下肢は可動域制限を認めず MMT4~5 に保たれていた。座位・ 立位姿勢は、首下がりや胸椎後弯に対して視線を確保するために体幹後傾や腰椎過伸展にて代 償していた。重心動揺検査では静止立位の重心位置が-43.7mm 後方へ偏位していた。歩行では 立脚終期の短縮や、push off の不足により歩幅が減少しており、また体幹を立脚側へ傾斜させ、 努力様に下肢を振り出すことで遊脚期が延長し推進力が乏しい状態であった。10m 歩行は自由 速度 28.5m/分(29 歩)、最大速度 41.5m/分(23 歩)であった。 【治療介入と結果】 理学療法・作業療法を 1 日各 2 単位、約 10 日間実施した。姿勢に着目した介入として、ま ず、胸椎後弯改善や肩甲帯屈曲を伸展方向へ誘導する目的で、肩甲帯周囲に弾性包帯を装着し た。その結果、肩甲骨が内転位へ調整され、姿勢アライメントが改善したことで歩容や歩行速 度に変化を認めた。以降は運動療法を中心として菱形筋や肩甲挙筋などの肩甲骨周囲筋に 対し てアプローチし、また首下がりに対しては頭頚部伸筋群への筋力トレーニングを行った。それ に加え、重心の後方偏位改善や歩行の推進力向上を目的として、立位での前足部への荷重練習 やステップ肢位での重心移動練習を実施した。最終評価時、矢状面では脊柱の過度の彎曲が軽 減し、重心位置は 0 を基準として 14.1mm 前方へ移動した。歩行では、姿勢アライメント変化 に伴う立脚終期での股関節伸展可動域の増加や歩幅拡大により、10m 歩行は自由速度 53.4m/ 分(19 歩)、最大速度 57.6m/分(19 歩)へと向上した。 【考察】 姿勢アライメント改善の要因として、頭頚部伸筋群や肩甲帯周囲筋の収縮効率改善により首 下がりや肩甲帯屈曲が軽減し、頭部質量重心が身体軸上へ移動したと推察される。姿勢変化に 伴う重心位置の前方移動に加え、重心移動練習による効率的な歩行の再学習や、歩幅拡大に伴 う前方への床反力の増大により推進力が得られたことで、歩容改善や歩行速度向上に繋がった と考える。 ALS は進行性の難病だが、姿勢アライメントに着目した介入が動作能力向上の一助となるこ とが示唆された18
感覚入力が有効であった
lateropulsion を呈した一症例
納 みなみ1)、熊原 啓 1)、藤川 薫 1) 1)医療法人 春秋会 城山病院 リハビリテーション科 【Key word】lateropulsion、主観的視覚垂直、主観的身体垂直 【はじめに】 今回、左延髄外側梗塞により lateropulsion(以下 LP)を呈した症例を担当した。 LP のアプローチとしては、姿勢制御に関わる機能の中で、障害されてない機能で代償的 なアプローチを行うことが有効だと考えられている。 本症例は、LP により端座位保持が困難であった。そこで、姿勢制御に関わる評価を行い、 アプローチ方法を選択した。本症例に対しては、体性感覚入力による治療を取り入れる事で、 即時的に端座位保持獲得が可能となった為、ここに報告する。 【症例紹介】 50 歳代女性。起床時に頭痛、嘔気、左半身の痺れを自覚し救急搬送。 MRI にて左椎骨動 脈閉塞を認め、 左延髄外側梗塞と診断。 著明な運動麻痺は認めず左半身の運動失調、LP を 認めた。2 病日目より理学療法介入開始し、4 病日目、右半身温痛覚障害も出現認めた。 【理学療法評価】介入時、Burke Lateropulsion Scale:背臥位0 点、端座位 2 点。指鼻指試験・膝打ち試 験・踵膝試験にて左側陽性を認めた。また眼振・眩暈の訴えを認め、持続開眼が困難であっ た。4 病日目、右上下肢に重度温痛覚障害が出現。寝返り・起居:物的支持下にて軽介助、 端座位:中等度介助を要した。端座位では体幹左傾斜を認め、頸部は右側屈位であり、左側 への転倒傾向を認めた。また「少し傾いているのは分かるけど、先生が言うほどは傾いてな い。真ん中には自 分で戻 せない。」と主観的身 体 垂直(以下、SPV)が体幹傾斜側への偏倚 を示唆するような訴えを認めた。11 病日目に主観的視覚垂直評価(以下、SVV)実施し、 結果は正常範囲内であった。 【治療と経過】 本症例は表在感覚・SVV には障害を認めず、体性感覚入力と視覚代償でのアプローチの選 択が可能であった。しかし眼振・眩暈の影響により持続開眼が困難であり視覚的代償を用い たアプローチは実施不可能であった。また、左側からの体性感覚入力は、左側背側脊髄小脳 路障害により無意識的な固有感覚経路が障害されている点、左半身運動失調を認めている点 から困難であると判断し右側からのアプローチを選択した。 坐位での LP に対し、体性感覚入力として右側面に簡易的な壁を用い、垂直の指標を提示 し、壁に寄り添うように姿勢修正を促した。その結果「こんなに傾いていたのね、ここがま っすぐね。」と SPV での正中位を認識するような発言を認めた。また、右側からの感覚入力 が無い条件下でも偏倚を自己認識する事で、即時的な変化が観察され、翌日から自己修正が 可能となり、効果が持続した。 【考察・まとめ】 本症例は発症直後より LP が出現し、端座位保持が困難であった。右側面に簡易な壁を設 置する事で、右側からの 表在感覚情報により、正 しい垂直軸の認識 に繋が った。その結果、 SPV の偏倚を自己認識し、端座位保持が可能となった。 本症例は姿勢制御機能を評価し、残存機能を治療に用いる事で、姿勢認知の修正が可能と なった。今回の評価から治療選択までの過程は 今後のLP の治療に対する一助となったと考 える。
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強皮症による下腿切断術後、肺高血圧症を呈した症例のリハビリテーションの経験
衣田 健太1⁾ 和正 直人 1⁾ 1)社会福祉法人恩賜財団大阪府済生会 富田林病院 リハビリテーション科 【key word】強皮症、肺高血圧症、生活指導 【はじめに】 本症例は強皮症(以下 SSc)に伴う、右下腿切断術後、肺動脈性肺高血圧症(以下 PAH)を合併し た症例である。SScPAH は肺血管病変の特殊性や、拡張障害を主とする心筋障害の併存から予後不 良とされているが、PAH に対する運動療法は運動耐容能・予後の改善に効果的と散見される。治療目 標に運動耐容能の維持向上とQOL 改善を挙げ、SSc 病態に着目した理学療法を行い、PAH 悪化な く自宅復帰できた症例を報告する。 【症例紹介】 60 歳代女性。X 年に SSc と診断、X+1 年1月に SScPAH 合併、SSc による血管閉塞のため右下腿 潰瘍の悪化を繰り返し右下腿切断となった。術後断端の化膿遷延のため退院が遅れ、X+3 年 8 月にリ ハビリ目的で当院に転院。義足歩行練習、自宅環境調整を中心に理学療法を4 か月間実施し、3 年ぶ りに自宅復帰した。退院後の自宅生活は労作強度も強く、寒冷期の退院 から SSc 由来のレイノー現象 を惹起、PAH 悪化し X+4 年(=Y)に再入院。運動療法、生活指導を中心に理学療法を実施、Y+42 日目で自宅復帰した。 【理学療法評価】 入院時の主訴は労作時呼吸困難、NYHA 心機能分類Ⅱ、WHO 肺高血圧機能分類Ⅱ、血液所見 BNP402.1 と上昇あり。心臓超音波検査より、心嚢水貯留、TR-PG89.2mmHg、右室から左室への圧 排、LVEF61.0%、スワンガンツカテーテル検査にて肺動脈平均圧 44mmHg、右心負荷および PAH の 所見を認めた。初回 6 分間歩行距離(以下 6MWT)は 120m であった。 【治療・結果】 薬物治療併用下に 13 病日より理学療法介入。有酸素運動は歩行練習を中心にレジスタンストレー ニングと併用して実施。運動処方については、自覚強度(Borg 指数 15 を上限)、6MWT で得られた心 拍応答を指標に運動負荷量を設定。また寒冷期のため防寒具を活用し、レイノー現象予防などの生活 指導、自宅で行える有酸素 運動として階段昇降練習を処方した。結果、NYHA 心機能分類Ⅰ、WHO 肺高血圧機能分類Ⅰ 、BNP121.5、心嚢水軽減、TR-PG54.9mmHg、右室から左室への圧排軽快し、 右心負荷、PAH 所見の改善を認めた。最終 6MWT は 194m と延長し退院。退院以降の 6 ヶ月間、 PAH 悪化なく経過している。 【まとめ】 本症例に対し運動療法を実施したが、6MWT の改善過程より、薬物療法が退院時の運動耐容能向 上に奏功した印象がある。しかし SSc 由来のレイノー現象は肺動脈に及び PAH の悪化を助長するが、 寒冷期を含めた退院後の 6 カ月間を無事に経過されている点は理学療法効果であったと考える。運動 療法のみならず、自宅生活を想定した包括的な指導は患者のQOL改善に重要であったと考える。20
慢性閉塞性肺疾患患者に対する理学療法の経験
~短期間での患者教育に着目して~
中原 千里 1) 相田 利雄1) 藤井 宏匡 1) 1) 大阪はびきの医療センター リハビリテーション科 【Key word】 慢性閉塞性肺疾患 患者教育 呼吸困難感 【はじめに】 今回、慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)の症例を担当し、病態理解や自己管理などの患者 教育や個人に合わせた理学療法の展開が重要と感じたので報告する。 【症例紹介】 70 歳代、男性。身長 160.9cm、体重 51.5kg、BMI 19.9。%FVC 84.4%、FEV1/FVC 35.8%、%FEV1 38.3% GOLD 分類Ⅲ。修正 MRC scale grade 1。 労作時(特に坂道や階段昇降など)で呼吸困難感が増加してきたため、精密検査や在宅酸素 療法(以下 HOT)見極め、呼吸リハビリテーション目的で入院となった。呼吸リハビリテ ーションは今回が初回であり、介入期間は 6 日間であった。コミュニケーション・モチベー ションともに良好。運動意欲が高く、より高い運動負荷をかける傾向があった。 【理学療法評価】 6 分間歩行試験(以下 6MWT)では距離 490m、試験終了時 SpO2 94%、脈拍 108bpm、 呼吸数 12 回、Borg scale 呼吸困難感 4~5、下肢倦怠感 0 であった。 等尺性膝伸展筋力 0.534kgf/kg。呼吸筋力 % PImax 140%、%PEmax 176%。 NRADL テスト 96 点(減点項目 階段・買い物外出)。COPD アセスメントテスト 16 点。 【経過および治療】 安静時・労作時ともに低酸素血症はなく、HOT 導入は回避となった。6MWT は年齢・体 格相当の結果であり、身体機能に明らかな問題はなかったが呼吸困難感がみられた。呼吸努 力の増加が呼吸困難感の原因であると考え、まず病態把握など自己の身体的特徴を理解して もらうことが重要であると考えた。病態を理解しても らった上で、歩行訓練や階段昇降など の運動療法を実施した。 また、一般的に指導として行われる口すぼめ呼吸や腹式呼吸の指導をしたが、呼気延長に よる努力性の増加をみとめ「吸いにくい」と呼吸困難感の増加を訴えた。指導方法について も検討しながら、呼吸法については換気効率の安定に着目して、極力努力性の少ない深大呼 吸の指導を行った。 介入期間中では、身体機能やBorg scale など客観的指標に明らかな変化はなかった。しか し、「頑張りすぎないようにします。」「早めに休憩します。」など意識の変化がみられ、入院 中も呼吸や休憩に注意しながら散歩を行っていた。退院時には「息苦しさが減った。」と喜 ばれており、自宅での継続を促した。ただし、運動を行うにあたって、今後病気の進行など を考慮すると過負荷になる可能性がある。評価結果をもとに Borg scale 4 での運動を推奨し た。 【まとめ】 今回、初回入院である COPD 患者に対して患者教育に着目し、病態に合わせた理学療法 を行った。薬物療法などの変更も行われ、これらも呼吸困難感改善の一因である可能性も示 唆されるが、患者教育を行い運動や動作への意識づけをすることで、より効果が得られたも のと考える。指導についても一般的に口すぼめ呼吸や腹式呼吸の指導が行われているが、患 者によって病態が異なるためそれぞれに合わせた理学療法の必要性があると感じた。
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姿勢制御能力向上により歩行獲得に至った症例
前河大輝 社会医療法人さくら会 さくら会病院 リハビリテーション科 【Key words】頚椎症性脊髄症 姿勢制御 体性感覚 【はじめに】 頚椎症性脊髄症患者の罹病期間は長く,機能的予後は不良とされている.今回、深部感覚障 害のため歩行困難となった症例ついて,姿勢制御に着目し訓練を行った結果,歩行能力に改善 を認めたため考察する. 【症例紹介】 70 歳後半の女性.3 年前より四肢に感覚障害が出現.徐々に歩行障害が進行し入院 2 ヶ月前 より歩行困難となり手術目的にて入院.画像所見による圧迫高位は第 1 頚髄,第 4~6 頚髄で あり,第 1~7 頚椎に対し椎弓切除術(後方除圧法)を施行.入院前は自宅内を這って移動し て お り 臥 床 時 間 が 長 い 状 態 で あ っ た . 日 本 整 形 外 科 学 会 頸 髄 症 治 療 成 績 判 定 基 準 ( 改 訂 ) (Japanese Orthopaedic Association score:以下 JOA score)は術前 3/17 点,回復期入院時 (術後 15 日)6/17 点であった.【理学療法評価】
回復期入院時,触覚 C6~8,L4~S2 領域で中等度鈍麻,位置覚・運動覚ともに右側優位で 股関 節 ~ 足関 節 で 中等 度 鈍麻 で あ り, ズ レ は末 梢 側の 方 が より 大 きか っ た .Manual Muscle Test(以下 MMT)は頚部 3~4(回旋 2),体幹 3,上肢 3~4,下肢 3~4(外転,底屈 2)で 右側が弱く,四肢に痙性麻痺を認めた.Functional Balance Scale(以下 FBS)は 25/56 点で 立位・方向転換項目で減点,閉脚閉眼立位 5 秒,閉脚開眼立位 1 分であった.歩行は足部接地 が一定せず歩行器軽介助,10m歩行は 40.1 秒,32 歩であった.FIM 運動項目は 44/91 点であ った. 【理学療法】 鏡の使用や筋出力のタイミングを細かく口頭誘導するなど視覚的・聴覚的フィードバックを 加えながら,立位・ステップ動作を用いた姿勢制御訓練を行った. 【結果】 回復期入院から 4 週後,触覚 C6~8,L4~S2 領域は軽度鈍麻となり,位置覚・運動覚はと もに股関節~足関節で軽度鈍麻となりズレ,左右差が軽減した.MMT は体幹,股関節,足関 節に多少の改善は認めたが痙性麻痺は残存した.FBS は 37/56 点で立位,方向転換項目に改善 を認めた.閉脚閉眼立位 1 分保持可能となった.歩行は歩行器自立,独歩見守り~軽介助で可 能となり,10m歩行は 20.5 秒,28 歩と向上した.FIM 運動項目 56/91 点,JOA score8/17 点 であった. 【考察】 姿勢制御は視覚系,体性感覚系,前庭迷路系より入力を得て行われる.本症例の歩行能力低 下は,加齢的変化による頚部のアライメントが徐々に変化したことで,後索・側索部が圧迫に よる損傷が生じたことから,深部感覚障害の影響が強いと考えられた.固有受容器を活性化し て関節の安定性を向上させるのに有効である閉鎖運動を用い,さらに視覚的・聴覚的フィード バックを加え反復することで,姿勢制御に必要な抗重力筋の筋出力のタイミングが向上したこ とで立位保持能力が向上したと考え る.また,静的から動的へ移行し重心移動に伴う筋出力を ステップ動作にて促したことで,ステップ位置の正確性が向上し,歩行スピード,歩幅が改善 したことで歩行動作の安定性向上へと繋がったと考える.