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平成18年度

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Academic year: 2021

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(1)

介護予防力諸施策の調査・研究 (介護予防に関る本学シーズと現場ニーズとの連携及び新たな取組への提言)

③低体力・要介護高齢者を対象とした

脚筋力向上トレーニング機器の調査・研究

びわこ成蹊スポーツ大学

若吉 浩二

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Ⅰ. 緒言 今日,団塊の世代が定年を迎えるにあたって,ますます超高齢化社会に対する関心は高まっ ている.総人口に占める 65 歳以上の割合は,1990 年の 12.1%から 2000 年では 17.0%となり, 2014 年には,4 人に 1 人が 65 歳以上の高齢者という超高齢社会を迎えようとしている.これは世 界でも最も高い水準であり,高齢化のスピードも極めて速い.このように,社会保障や年金,医療 負担など深刻な問題が残るわが国において,高齢者が主体性を持って,生き生きと健康的な日 常生活を過ごせるような社会の実現が急がれる.そのような社会の実現のためには,それを実現 し得る環境を整備することはもちろん,高齢者自身の健康の保持・増進を図ることが強く求められ る. 高齢者が健康的な日常生活を送るためには,基本的な移動動作である歩行機能を維持・改善 することが重要な課題である.また,歩行能力を維持・改善することは,単に歩行能力の向上だけ でなく,身体活動能力や自立動作といった日常生活能力(ADL)の維持向上や疾病予防及び転 倒予防にもつながり,生活の質(QOL)をより向上させると考えられている1,2,4,7,8) しかし,起居・歩行動作と密接な関連があるとされる下肢筋力は,70 歳代では 20 歳代と比べて 30%の低下,筋断面積においては 40%の低下が生じるといわれている2).また,高齢者の歩行機 能低下の要因として,下肢筋力(足底屈・足背屈筋力の低下),バランス機能,股関節や膝関節 及び足関節などの関節可動域の低下などがあげられている 10,11).つまり、これらが複合的に作用 し合うことによって歩行機能は衰えてくると考えられている. 高齢者の運動処方として一般的に行われているウォーキングなどは,低強度の有酸素運動で あるため,加齢による筋力や筋量の低下を抑制するという点で不十分である4).また,近年では高 齢者においても筋力のトレーナビリィティが確認されており 5),高齢であっても筋力強化訓練を行 えば筋力が改善し,トレーニングを長期間行うことによって,その能力を維持できる可能性が示さ れている 2,4,6).さらに,歩行機能衰退の原因の一つとされるバランス能力の向上を図ることは,移 動動作や転倒防止にも有効に作用するため 3),日常生活能力(ADL)の維持・向上に好影響を与 えると考えられる.したがって,ある一定強度以上の筋力トレーニングを行うことにより下肢筋力を 強化させ,同時にバランス機能や関節可動域を高めていくことが,歩行機能の維持・改善に必要 不可欠と考えられる. ところが,実際に,低体力高齢者が下肢筋力トレーニングを行う場合,立位・歩行等の直立姿 勢や体幹が安定しない状態での運動になりやすく,転倒や圧迫による骨折などの二次障害を引 き起こす危険性が出てくる.加えて,下肢筋群の強化を目的としたトレーニング機器は数多く存在 するが,そのほとんどが高価なものであり,自治体や介護施設では金銭面や設備等の問題によっ て,高齢者の筋力トレーニングが実現困難となっていることが多い.また,多関節を同時に効率よ く伸展・屈曲運動させることが可能で,運動やトレーニングに不慣れな高齢者が安全かつ簡便に 取り組めるようなトレーニング機器はあまり存在しない.

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式脚伸展・屈曲トレーニング機器(健歩くん.竹井機器工業社製)が考案され,低体力高齢者の 歩行能力改善に好影響を与えることが示唆されている. そこで,本研究では,先行研究 9)で試作された健歩くんを用いて,10 週間の長期下肢筋力トレ ーニングを行うことで,1)介護認定を受けている高齢者の歩行能力に与える効果を明確にするこ と,2)歩行能力低下の原因の一つとされるバランス能力の改善に効果があるかを検証すること, 3)トレーニングに伴う筋肥大の可能性について検討すること,そして4)本トレーニング機器の新 たな開発やその活用に関する健康・福祉産業創出について検討を行うことを目的とする. 2

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Ⅱ.研究方法 1. 被験者 被験者は,在所介護施設を利用している 78 歳~94 歳の高齢者 12 名(年齢 83.1±5.0 歳)とし た.開始当初は14名であったが,2名(被験者B及びG)は退所したため,研究対象から除外した (表③-1参照).各被験者の歩行タイプは,12名中6名が「独歩が可能」,5名が「歩行器もしく は平行棒」,そして1名が「杖もしくは歩行器」であった.またそれぞれの歩行タイプ別の歩行レベ ルは,表③-2に示す.各被験者には,あらかじめ研究目的,方法,手順,実施期間及びそれに 伴う危険性について説明し,実験参加の承諾を得た. 2. トレーニング期間及び方法 2-1.トレーニング期間 トレーニング期間及び回数は,週平均 2.5 回(2週間で5回に設定)で 10 週間行い,最大回数 25 回を設定した.またトレーニングの成果を評価するため,測定は,トレーニング開始直前(2007 年 10 月 2 日),トレーニング5週間後(2007 年 11 月 22 日),そしてトレーニング 10 週間後(2007 年 12 月 21 日)の計3回実施した. 2-2.トレーニング方法 脚力向上トレーニング機器(健歩くん)を用いたトレーニングは,術後や病気で歩行が不自由な 人でも健康的に歩く能力を回復させることを目的としている.具体的には,ダイナミックな運動によ る神経系の回復,筋力の回復,関節可動域の増大,持久的な体力向上である.図③-1に示す ように,座位部が足部よりも高い位置にてスライドすることによる伸展運動用と,座位部が足部より も低い位置にてスライドによる屈曲運動用がある.また,両方の機能を有した電動式のトレーニン グ機器もある.今回の実験では,電動式を採用した. プログラムは,導入,筋力アップ,そして体力アップの 3 段階があり,トレーニングレベルとして, それぞれに 3 つのレベルが設定されている(図③-2 参照).表3には,それぞれのトレーニングメ ニューが具体的に示されている.表中の運動斜度は,体重当たりの負荷を%で示す. 3. 測定項目及び方法 3-1.立位時の足底重心動揺 重心動揺検査システムを用い,立位姿勢時の足底重心動揺を測定した(図③-3).被検者に 圧力板の上で安楽立位姿勢をとらせ,30 秒間姿勢保持を行うように指示した.自立による立位姿 勢を保持できない被験者には補助具を使用した.その際,視線を安定させるために,目線の高さ

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定は,トレーニング前,トレーニング 5 週間後と 10 週間後の計 3 回行った. 3-2.10m 歩行(5m往復歩行)のタイム計測及び動作撮影 補助具有,もしくは補助具無での5m往復歩行時の 5m 歩行タイム及び 10m 歩行タイムの計測 を行った.測定結果は,表③-4~6に示す.また,歩行動作を側方よりデジタルカメラを用いて 撮影した.撮影されたビデオ画像を参考に,歩行動作の能力の判定に用いた(表③-2).測定 は,トレーニング前,トレーニング 5 週間後と 10 週間後の計 3 回行った. 3-3.座位爪先ステッピング 膝関節が直角になるよう椅子に腰かけ,踵は床に着けた状態で,爪先をできるだけ早く上下に 動かし,10 秒間で繰り返し動かした回数の計測を行った.しかしながら,足首関節を上手に動か すことのできない被験者においては,足部の動く回数をカウントし,ステッピング数とした.測定は, トレーニング前,トレーニング 5 週間後と 10 週間後の計 3 回行った(表③-4~6参照). 3-3.CT による筋断面積の変化 トレーニング開始前とトレーニング 10 週間後に,被験者の大腿部及び腸腰筋の筋断面積を CT を用いて測定した.図③-4及び図③-5 に示すように,大腿部は,股関節関節裂隙から末梢に 15cm の位置を基準に,そして,腸腰筋は,第 4 腰椎(L4)錐体上縁を基準に,CT による断面図よ り面積を求めた. 4

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Ⅲ.結果及び考察 1.各被験者におけるトレーニング回数に伴うとトレーニングレベルの変化 各被験者は,1 週間に 2~3 回(平均すると、2.5 回/週)のトレーニングを行った.図2及び表3 に示すように,トレーニングメニューは,導入,筋力アップ,そして体力アップの 3 段階に設定され, それぞれに 3 つのレベルがあり,計 9 レベルとなっている.まず,被験者は導入からスタートし,各 被験者が「できた」「楽にできた」と主観的にトレーニング内容を評価した場合,次のレベルにステ ップアップする方式を採用した. 図③-6-1と6-2に,各被験者のトレーニングレベルの変化を示す.12 名中 5 名が最高のレ ベル9まで到達することができた.また,5 名の被験者はトレーニング回数が増すに連れ,レベルも アップし,5 名中 4 名が筋力アップメニューを行えるまでになっていた.しかしながら,2 名について は,レベル 1 の段階から向上することができなかった. 伸展運動と屈曲運動では,明らかに伸展運動が容易であるものの,屈曲運動がうまくできない 被験者が多く見られた.トレーニングレベルの向上がみられない被験者は,屈曲運動が困難な場 合が殆どであった. つまり,歩行能力と伸展・屈曲運動との関係をみると,伸展動作は力強くできるものの,屈曲動 作ができないため,上手く,力強く歩けない傾向がみられた.このことから,特に脚力向上トレーニ ングの屈曲運動を,時間をかけてトレーニングすることで,歩行動作の改善につながる可能性が あるものと思われた. 2.トレーニングに伴う歩行レベルの変化 表③-2に,トレーニングに伴う補助具による歩行タイプ別にみた歩行レベルの変化を示す. 独歩ができる被験者は,12 名中 6 名であった.その内 2 名(被験者 I と J)が自立(最低 20m 歩行 できる)であった.当然,図③-6のトレーニングメニューもレベル9となっている.その他の3名(被 験者 F,H,L)においては,歩行レベルが 1 段階向上していた.被験者 K については独歩では変 化がみられなかったものの,杖での歩行レベルは向上していた. その他の被験者 6 名は,歩行器と平行棒を補助具として使用する歩行タイプであった.トレー ニング開始前,トレーニング5週間後,そしてトレーニング 10 週間後を比較して,6 名中 5 名に歩 行器及び平行棒による歩行レベルが 1~3 段階も向上していることが判明した.残り 1 名の被験者 E においても,杖による歩行レベルに 2 段階の向上がみられた. これらの結果は,独歩の自立歩行が可能な 2 名を除いて,10 週間に亘る脚力向上トレーニング 機器を用いたトレーニングには大変効果があり,ほぼ全員の歩行能力が改善していることが判明 した.また,被験者 C 及び M では,トレーニングレベルに変化は見られなかったが,理学療法士 による主観的評価において歩行動作の改善がみられたことは,導入段階である基礎的な脚の伸 展・屈曲動作においても,歩行動作に好影響を与える可能性があると思われる.

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3.歩行タイム,ステッピング及び足低重心動揺の変化 表③-4~6に,歩行タイム,ステッピング及び重心動揺の測定結果を示す. 5m 往復歩行テストでは,5m 通過タイムにおいて,トレーニング実施前(20.2 秒)から 5 週間後 (17.0 秒),10 週間後(15.0 秒)と短縮傾向が見られ,トレーニング実施前と 10 週間後では有意な 短縮となった.また 10m 歩行タイムでは,開始前(45.9 秒)から 5 週間後(36.2 秒),開始前(45.9 秒)から 10 週間後(34.5 秒)に有意に記録が短縮された.これらの結果は,脚力向上トレーニング 機器での長期に亘るトレーニング効果として,歩行動作の改善傾向と併せて,歩行時間の短縮, つまり歩行速度の向上がみられた. 座位爪先ステッピングテストでは,左右ともトレーニング開始前,5 週間後,10 週間後と変化が 見られなかった.これは足首関節の動き,もしくは爪先の動きを俊敏に働かせる効果は,今回のト レーニングにおいて期待できるのではないと思われる.実際,脚筋力向上トレーニング機器でのト レーニング動作においても,1 ストロークに 2 秒前後を要するため,素早いものではく,股関節,膝 関節,足首関節の伸展・屈曲動作に係わる大筋群への刺激が中心となっている. 足底重心動揺においても,トレーニングに伴ったバランスに係わる効果的な変化をもたらす結 果は得られなかった.しかしながら,10 週間のトレーニングにおいて歩行能力の改善がみられた ことからも,さらにトレーニング期間を延長することで,バランス機能は高められる可能性があるも のと思われる.これについては今後,継続して研究する必要があると考える. 4.トレーニングに伴う大腿部及び腸腰筋の筋断面積の比較 表③-7に,トレーニング前とトレーニング実施 10 週間後の大腿部及び腸腰筋の筋断面積の 変化を示す.統計的に,トレーニング前後で断面積に有意な差は見られなかった.しかしながら, 被験者A,C,E及びJの 4 名に顕著な増加が見られた.特に被験者A及びEは,大腿部及び腸腰 筋の双方に筋断面積の増加,つまり筋肥大の傾向がみられた.図③-7 に,被験者Aの大腿部 のCTを示す.CTからも筋断面積の増加が分る.両被験者のトレーニングに伴うそれぞれの変化 をみると,トレーニングレベルは導入から筋力アッププログラムへ,10m歩行では 10 秒以上の短 縮,歩行動作も顕著にレベルアップしていることがわかる. これらの結果は,脚筋力向上トレーニング機器による伸展動作及び屈曲動作を行うことにより, 長期トレーニング実施に伴って筋断面積の増加,つまり筋肥大が生じる可能性のあることが推察 される.ただ,転倒や術後の影響で独歩が不可能になり,歩行能力が低下してしまうと,一挙に運 動不足に伴う脚部の筋萎縮が生じてしまう.このような高齢者に対して,いかに早期に運動を再開 するかが重要であり,そのためのトレーニング機器の開発が強く求められる.今回,用いた脚力向 上トレーニング機器は,本結果からも歩行能力の低い高齢者が安全に脚力をトレーニングする機 器として有効であると考えられる. 6

(8)

Ⅳ.成果と今後の可能性 本研究では下肢筋群伸展・屈曲動作の強化に有効と考えられる体重負荷式脚伸展・屈曲トレ ーニング機器を用いて,10 週間に亘る長期下肢筋力トレーニングを行うことで,1)介護認定を受 けている高齢者の歩行能力に与える効果を明確にすること,2)歩行能力低下の原因の一つとさ れるバランス能力の改善に効果がある可動を検証すること,3)トレーニングに伴う筋肥大の可能 性について検討すること,そして4)本トレーニング機器の新たな開発やその活用に関する健康・ 福祉産業創出について検討を行うことを目的とする.バランス能力にも焦点をあて,歩行能力改 善に与える影響を検証することを目的とした. 1. 本トレーニング機器を用いて長期間トレーニングを行った結果,トレーニングレベルの向上が ほぼ全員の被験者で見られ,尚且つ歩行能力の改善もみられた.また,有意に歩行速度の 向上が見られたことは,本トレーニングが,介護認定を受けている高齢者であり,尚且つ独歩 が不可能な高齢者においても,歩行能力の改善に有効であることが示唆された. 2. 足底の重心動揺を測定した結果,トレーニングに伴う変化は見られなかったことからも,10 週 間の範囲では,バランス能力の改善傾向を導き出すことは不可能と考える.また,本トレーニ ングがバランスの改善にあまり効果的でない可能性もあると考えられる. 3. トレーニングに伴う筋肥大は,一部の被験者に顕著にみられた.またその効果が得られた被 験者は,歩行速度や歩行動作の顕著な改善傾向が見られた. 4. 本トレーニング機器は,自立による独歩ができる高齢者においては,トレーニング負荷として 不十分な可能性があると考えられる.しかしながら,杖,歩行器もしくは平行棒等の補助具を 必要とし,尚且つ最大介助(最低 20mの移動動作を中,手を添え,さらに積極的に介助を行 う)もしくは中等度介助(最低 20mの移動動作中,手を添え,さらにわずかなバランスの介助 を行う)が必要となる低体力・要介護高齢者にとっては,大変,効果的なトレーニング機器とし て活用できることが判明した. 5. 特に,本トレーニング機器では,屈曲動作のトレーニングも行えることから,低体力・要介護高 齢者の歩行能力の改善に向けたトレーニングとして大変効果的であると考えられる. 6. 在所介護施設だけでなく,通所介護施設であるデイサービスやデイケア等の施設において, 歩行能力の低下が顕著に見られる高齢者に対して,本トレーニング装置を活用することで安 全に,効果的にトレーニングできるものと考える.

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7. 図③-1に示すトレーニング機器のように,よりシンプルな形で作成することが可能である.ま た,図③-8 に,トレーニング機器の原型図を示す.これを基本に色々なバージョンに改良す ることができるであろう.伸展運動用 20%~30%,屈曲動作用に 0%~5%程度の負荷がか かるようにすれば,十分,トレーニング効果は得られる.電動式も開発しているが現状では定 価ベースで 50 万円もかかってしまう.病院での聞き取り調査によれば,10 万円以下であれば, 多くの施設で導入可能とのことであった. 8. 企業への提案 ・ より安価な手動の脚力向上トレーニング機器の開発:10 万円以下が望ましい(図③-8 参照) ・ または,電動による脚力向上トレーニング機器の開発:20 万円以下が望ましい(図③-9 参照) ・ 通所介護施設であるデイサービスやデイケア等の施設において,本機を設置し,有料プ ログラムとしてトレーニング処方の実施は可能ではないか ・ 行政との連携により,高齢者医療費削減に向けた具体的取り組みとして,ハード面,ソフ ト面から事業化は可能ではないか 参考文献 1)秋山由里,植屋清見,竹内哲雄(2003)高齢者の歩行動作に関する体力科学及びバイオメカ ニクス~バイオメカニクス観点より~.体力科学 52(6).802 2)浅川康吉,池添冬芽,羽崎完,黒木裕士,高野一郎,神先秀人(1997)高齢者における下肢筋 力と起居・移動動作能力の関連性.理学療法学 24(4).248-253 3)金子公宥(1998)姿勢・歩行調整能の発育と退行.体育科学 26 4)久野譜也,坂戸洋子(2004)高齢者になぜ筋力トレーニングが必要か.体育の科学 54 (9).712-719 5)黒田善雄(2001)高齢者の体力と健康,その将来展望.保健の科学 43(6).420-423 6)南谷和利(2003)中高年者の健康のための運動,その条件.保健の科学 45(11).788-792 7)嶌田聡,青柳幸利(2004)足底の接地面積に着目した高齢者の歩行能力の定量評価.電子情 報通信学会論文誌 87(7).796-799 8)植松光俊,金子公宥(1997)高齢女性の自由歩行における下肢関節モーメント.理学療法学 24 (7).369-376 9)和田洋明(2005)下肢筋力トレーニングを用いた要介護高齢者における歩行能力改善の一考 察.奈良教育大学卒業論文 10)柳川和優,磨井祥夫,安部大治郎,渡部和彦(1998)青年と高齢者における歩行動作の比較 ―足部の運動特性に着目して―.体力科学 47(1).131-141 8

(10)

11)柳川和優,磨井祥夫,山口立雄,渡部和彦(2002)筋放電パターンから見た高齢者における 歩行動作の特徴.日本運動生理学雑誌 9(1).33-45

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表③-1.被験者の年齢,性別及び介護度

被験者 年齢(歳) 性別 介護度 A 94 女 要介護4 C 79 女 要介護3 D 80 女 要介護2 E 83 女 要介護3 F 78 男 要介護2 H 82 女 要介護2 I 87 男 要介護3 J 79 女 要介護2 K 82 女 要介護3 L 88 女 要介護3 M 78 女 要介護3 N 87 女 要介護4 平均 83.1 SD 5.0

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表③-2.トレーニングに伴う補助器具による歩行タイプ別にみた歩行レベルの変化

年齢 性別 被験者 (歳) 独歩 杖 歩行器 平行棒 独歩 杖 歩行器 平行棒 独歩 杖 歩行器 平行棒 A 94 女 3 2 2 1 2 1 C 79 女 5 3 3 1.5 2 1 D 80 女 4 2 3 1.5 2 1 E 83 女 4 2 1 3 2 1.5 2.5 2 1 F 78 男 3 2 2 H 82 女 2 1 1 I 87 男 1 1 1 J 79 女 1 1 1 K 82 女 2 2 2 1 2 1 L 88 女 2 1 1 M 78 女 4 2 4 1.5 3 1 N 87 女 4 2 4 1.5 3.5 1.5 平均 83.1 1.8 3.0 3.7 2.0 1.3 2.0 3.0 1.4 1.3 1.8 2.4 1.1 SD 5.0 0.8 1.4 1.0 0.6 0.5 1.4 0.9 0.2 0.5 1.1 0.7 0.2 歩行レベル 1:自立:最低20m歩行できる 2:監視:最低20m歩行するために傍らでの監視,指示または促しが必要となる 3:最小介助:最低20mの移動動作を手を添えるだけの介助で行う 4:中等度介助:最低20mの移動動作をてをそえ,さらにわずかなバランスの介助を行う 5:最大介助:最低20mの移動動作を手を添え,さらに積極的に介助を行う 6:全介助:最大介助を要しても20m以下の移動動作しかできない. または2人もしくは1人であっても力でからだを持ち上げる介助が必要 注意:判定は2名の理学療法士によりレベルの判定を行い,平均値を採用した 各補助器具による歩行タイプと歩行レベル トレーニング開始前 トレーニング5週間後 トレーニング10週間後

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表③-3.トレーニングレベルとそれぞれのトレーニングメニュー

レベル

運動様式

運動斜度

運動速度

伸展運動

5%

30 回

3 セット

ふつう

屈曲運動

2-3%

10 回

1 セット

ふつう

伸展運動①

5%

30 回

2 セット

ふつう

伸展運動②

10%

30 回

2 セット

おそく

屈曲運動

0%

10 回

2 セット

ふつう

伸展運動①

5%

30 回

2 セット

ふつう

伸展運動②

15%

30 回

2 セット

おそく

屈曲運動

0%

10 回

3 セット

ふつう

レベル

運動様式

運動斜度

運動速度

伸展運動アップ

3%

30 回

1 セット

ふつう

伸展運動①

20%

20 回

1~2 セット

ふつう

伸展運動②

20%

20 回

1~2 セット

おそく

屈曲運動②

-3%

10 回

1~2 セット

おそく

伸展運動アップ

3%

30 回

1 セット

ふつう

伸展運動①

25%

20 回

2~3 セット

ふつう

伸展運動②

25%

20 回

2~3 セット

おそく

屈曲運動②

-3%

10 回

2~3 セット

ふつう

伸展運動アップ

3%

30 回

1 セット

ふつう

伸展運動①

30%

20 回

3~4 セット

おそく

伸展運動②

30%

20 回

3~4 セット

はやく

屈曲運動①

-3%

20 回

2 セット

ふつう

屈曲運動②

-6%

20 回

2 セット

おそく

レベル

運動様式

運動斜度

運動速度

伸展運動アップ

3%

30 回

1 セット

ふつう

伸展運動①

25%

30 回

1~2 セット

ふつう

伸展運動②

25%

30 回

1~2 セット

おそく

屈曲運動①

-3%

10 回

1~2 セット

ふつう

屈曲運動②

-6%

10 回

1~2 セット

おそく

伸展運動アップ

3%

30 回

1 セット

ふつう

伸展運動①

25%

40 回

2~3 セット

ふつう

伸展運動②

25%

40 回

2~3 セット

おそく

屈曲運動①

-3%

20 回

2~3 セット

ふつう

屈曲運動②

-6%

20 回

2~3 セット

おそく

伸展運動アップ

3%

30 回

1 セット

ふつう

伸展運動①

25%

50 回

3~4 セット

ふつう

伸展運動②

30%

50 回

3~4 セット

おそく

屈曲運動①

-3%

20 回

3~4 セット

ふつう

屈曲運動②

-6%

20 回

3~4 セット

おそく

レベル1~3:導入プログラム

目的:ダイナミックな運動によって神経系の回復と筋肉の使い方を覚える

運動回数 反復セット

1

2

3

レベル4~6:筋力アッププログラム

目的:ダイナミックな動きの中で,筋力の回復と関節可動域の増大を図る

運動回数 反復セット

4

5

6

レベル7~9:体力プログラム

目的:筋力と持久的な体力を高める

9

運動回数 反復セット

7

8

(14)

表③-4.トレーニング実施前テスト結果(2007年10月2日)

被験者 5m通過(秒) 10m歩行(秒) 右(回数) 左(回数) 総軌跡長(cm) 単位軌跡 長 (cm/s) 単位面積 軌跡長 (1/cm) 外周面積 (cm2) 短形面積 (cm2) 実効面積 (cm2) A 22.5 48.1 22 19 33.3 1.1 12.8 2.6 6.0 1.9 C 31.1 59.1 21 0 11.6 0.4 78.7 0.2 0.4 0.1 D 39.4 110.7 10 27 142.2 4.7 26.6 5.4 11.9 3.1 E 20.8 48.0 29 20 124.1 4.1 9.3 13.4 35.2 7.9 F 19.8 41.7 12 12 62.3 2.1 8.0 7.8 24.0 7.2 H 12.2 28.5 16 16 45.0 1.5 34.4 1.3 4.6 0.8 I 9.2 21.9 32 34 83.8 2.8 5.0 16.9 47.1 9.6 J 13.2 29.2 25 23 119.9 4.0 24.9 4.8 9.6 2.9 K 11.0 22.7 21 20 66.8 2.2 20.2 3.3 8.6 1.8 L 10.4 22.3 19 18 78.8 2.6 32.1 2.5 6.8 1.5 M 29.1 63.2 24 26 54.7 1.8 75.9 0.7 2.1 0.5 N 23.8 55.0 15 14 40.8 1.4 11.4 3.6 14.4 2.6 平均 20.2 45.9 20.5 19.1 71.9 2.4 28.3 5.2 14.2 3.3 SD 9.5 25.3 6.6 8.5 39.8 1.3 24.8 5.2 14.2 3.1

表③-5.トレーニング開始5週間後テスト結果(2007年11月22日)

被験者 5m通過(秒) 10m歩行(秒) 右(回数) 左(回数) 総軌跡長(cm) 単位軌跡長(cm/s) 単位面積 軌跡長 (1/cm) 外周面積 (cm2) 短形面積 (cm2) 実効面積 (cm2) A 19.9 45.5 22 15 67.9 2.3 12.4 5.5 12.1 3.1 C 23.3 44.4 19 10 19.8 0.7 17.9 1.1 3.5 1.3 D 24.2 63.0 16 21 83.4 2.8 16.3 5.1 13.4 3.3 E 15.2 33.5 29 23 113.9 3.8 0.0 0.0 21.5 5.1 F 10.8 23.5 17 24 65.4 2.2 8.5 7.7 37.5 5.0 H 9.6 16.2 14 16 43.4 1.5 22.1 2.0 5.7 1.1 I 5.8 14.5 28 35 65.5 2.2 9.1 7.2 16.6 6.4 J 12.2 25.4 29 26 156.8 5.2 20.5 7.6 21.3 4.5 K 12.9 27.8 20 18 55.1 1.8 11.2 4.9 14.2 3.4 L 12.2 24.9 20 20 110.6 3.7 26.0 4.3 15.4 2.2 M 32.6 65.3 18 12 222.6 7.4 5.2 43.2 137.9 29.4 N 25.9 50.1 16 15 32.4 1.1 6.0 5.4 15.1 4.8 平均 17.0 36.2 20.7 19.6 86.4 2.9 12.9 7.8 26.2 5.8 SD 8.0 17.2 5.3 6.9 57.4 1.9 7.8 11.4 36.2 7.6

表③-6.トレーニング開始10週間後テスト結果(2007年12月21日)

被験者 5m通過(秒) 10m歩行(秒) 右(回数) 左(回数) 総軌跡長(cm) 単位軌跡 長 (cm/s) 単位面積 軌跡長 (1/cm) 外周面積 (cm2) 短形面積 (cm2) 実効面積 (cm2) A 17.5 36.4 25 21 45.2 1.5 13.1 3.5 10.3 2.0 C 17.2 37.4 20 14 122.5 4.1 7.9 15.4 47.3 9.8 D 17.3 54.7 20 23 90.0 3.0 15.5 5.8 15.9 3.7 E 16.1 37.9 18 14 130.0 4.3 11.7 11.1 26.0 7.7 F 14.7 32.9 22 19 51.0 1.7 12.4 4.1 10.2 2.8 H 11.8 27.9 20 19 48.4 1.6 15.2 3.2 10.7 2.1 I 6.5 16.2 28 26 56.5 1.9 20.1 2.8 7.4 1.6 J 13.7 28.5 26 24 133.4 4.5 11.9 11.2 33.6 6.0 K 9.5 22.1 24 26 103.5 3.5 20.5 5.1 12.4 3.2 L 14.4 30.1 17 18 95.3 3.2 25.5 3.7 12.3 1.8 M 20.6 45.2 12 14 84.8 2.8 6.2 13.8 41.7 8.5 N 20.8 45.2 16 16 39.7 1.3 6.4 6.2 26.5 3.7 10m歩行 ステッピング 重心動揺 ステッピング 重心動揺 10m歩行 10m歩行 ステッピング 重心動揺

(15)

表③-7.トレーニング開始前とトレーニング10週間後の大腿部及び腸腰筋の筋断面積の比較

年齢 性別 被験者 (歳) 右大腿 左大腿 右腸腰筋 左腸腰筋 右大腿 左大腿 右腸腰筋 左腸腰筋 A 94 女 52.21 54.96 4.78 6.46 69.43 68.82 4.92 6.99 C 79 女 61.65 60.16 6.76 8.41 64.50 62.90 6.66 7.88 D 80 女 56.32 75.02 5.00 4.06 59.13 74.22 4.51 3.98 E 83 女 55.28 49.97 6.43 7.08 58.89 53.40 6.94 7.73 F 78 男 105.24 95.09 11.72 9.84 96.36 90.90 11.04 9.54 H 82 女 78.48 73.50 4.26 4.65 75.51 73.10 4.14 4.67 I 87 男 96.00 86.30 7.80 8.33 94.06 86.30 7.22 7.24 J 79 女 62.08 55.64 4.61 4.93 61.71 61.60 5.04 5.22 K 82 女 55.09 49.91 2.44 1.94 55.81 48.28 2.18 1.90 L 88 女 56.20 55.10 6.01 5.91 54.22 53.87 6.30 5.95 M 78 女 71.60 65.91 8.27 9.38 66.06 63.26 7.80 9.17 N 87 女 62.99 51.29 4.09 3.93 68.70 58.77 6.93 5.98 平均 83.1 67.76 64.40 6.01 6.24 68.70 66.29 6.14 6.35 SD 5.0 17.2 15.0 2.4 2.4 13.8 13.0 2.2 2.2 注:被験者Nは測定部位が異なるため,比較不可能 トレーニング開始前(cm2) トレーニング10週間後(cm2)

(16)

屈曲運動用

伸展運動用

図③-1. 脚力向上トレーニング機器:健歩くん

(上 伸展運動用・下 屈曲運動用)

(17)

健歩くん運動の目的

導入プログラム

初級プログラム

中級プログラム

上級プログラム

筋力アッププログラム

体力アッププログラム

初級プログラム

中級プログラム

上級プログラム

初級プログラム

中級プログラム

上級プログラム

術後や病気で歩行が不自由な人でも健康的に歩く能力を回復させる

(1)筋力の回復

(2)関節可動域の増大

(3)持久的な体力アップ

(4)ダイナミックな運動による神経系の回復

脚の曲げ・伸ばしができるようにする リズムに合わせてできるようにする 伸展と屈曲の負荷を体で覚える

【進級について】

・「できた」、「楽だった」の場合は次のプログラムに進みます。

・「できた」、「適度だった」の場合はそのままのプログラムを続けます。

・「最後までできなかった」あるいは「きつかった」の場合は前のプログラムに戻ります。

ダイナミックな動きの中で,筋力の回復と関節可動域

の増大を目的とする

筋肉の使い方と筋力発揮に慣れる 基礎的筋力をつける スピードにあわせた筋力発揮を身につける

筋力と持久的な体力の増加を目的とする

(術後の体力回復や糖尿病などの代謝機能の改善)

ダイナミックな運動によって神経系の回復を

図り,筋肉の使い方を覚える

ゆっくり歩行運動に相当(8分から15分) ゆっくり歩行運動に相当(20分から25分) ゆっくり歩行運動に相当(30分から40分)

図③-2.トレーニングプログラムの流れとそれぞれの目的

(18)

図③-3.立位姿勢時の足底重心動揺

(上図:重心軌跡図,下図:重心変位図)

(19)

第4腰椎(L4)

錐体上縁

股関節関節裂隙

から末梢に15cm

(20)

腸腰筋断面部位

図③-5.左腸腰筋断面積計測(白く抜けたと

ころは筋肉の関心領域でCT画面上で自動的

に断面積を計測)

(21)

被験者A 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 トレーニング回数 トレー ニ ン グ レベ ル A 被験者C 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 トレーニング回数 トレー ニ ン グ レベ ル C 被験者D 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 トレーニング回数 トレー ニ ン グ レベ ル D 被験者E 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 5 9 13 17 21 25 トレーニング回数 トレ ー ニ ン グ レ ベ ル E 被験者H 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 5 9 13 17 21 25 トレーニング回数 トレー ニ ン グ 内 容 H 被験者F 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 トレーニング回数 トレ ー ニ ン グ レ ベ ル F

図③-6-1.各被験者におけるトレーニング回数に伴うトレーニ

ングレベルの変化

(22)

被験者J 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 5 9 13 17 21 25 トレーニング回数 トレー ニ ン グ レベル J 被験者K 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 5 9 13 17 21 25 トレーニング回数 トレ ー ニ ン グ レ ベ ル K 被験者L 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 5 9 13 17 21 25 トレーニング回数 トレ ー ニ ン グ レ ベ ル L 被験者M 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 5 9 13 17 21 25 トレーニング回数 トレー ニ ン グ レベル M 被験者N 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 5 9 13 17 21 25 トレーニング回数 トレー ニ ン グ レベル N 被験者I 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 5 9 13 17 21 25 トレーニング回数 トレ ー ニ ン グ レ ベ ル I

図③-6-2.各被験者におけるトレーニング回数に伴うトレーニ

(23)

大腿部

トレーニング

開始前

トレーニング

10週間後

図③-7.被験者Aの大腿部の筋断面図(ト

レーニング開始前と10週間後の比較.筋断

面積の増加が見られた例)

(24)
(25)

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