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安藤ハザマ研究年報 Vl 表 1 試験体一覧 -1 表 1 試験体一覧 N.2 N.3 N.2 N.3 想定破壊形式曲げ降伏先行型想定破壊形式曲げ降伏先行型コンクリート圧縮強度 (N/mm 2 コンクリート圧縮強度 (N/mm

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Academic year: 2021

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1.はじめに

KG 構法は,既存躯体に取り付けたピン装置(KG ピン) を介して,制震デバイス(KG デバイス)を含む鉄骨造の ラーメンフレーム(KG フレーム)を取り付ける制震補強 構法である。 本構法ではピン装置を梁端部に貫通させた PC 鋼棒によ り圧着することとしているが,この場合,地震時に梁の 損傷によって PC 鋼棒の緊張力が減退することが考えられ る。そこで,梁端部に PC 鋼棒を定着した片持ち梁の実験 を行い,梁が損傷することよる PC 鋼棒の緊張力変化を調 べた。また緊張力変化の評価法について検討を行った。

2.実験概要

2.

1 試験体

表-1に試験体一覧を,図-2に試験体形状および配 筋図を示す。試験体は実大スケールの片持ち梁3体であ る。梁せいB Dを 650mm とし,梁端部の危険断面から 150mm の位置にアンボンド PC 鋼棒用の貫通孔(φ50)を設けた。 アンボンド PC 鋼棒(φ26)と定着プレートをセットした のち,貫通孔内にグラウトを充填し,養生後アンボンド PC 鋼棒に緊張力P=260kN(σ=P/As=490N/mm 2σ y=930N/mm 2 As:PC 鋼棒断面積)の緊張力を導入した。 試験体の実験因子は梁のコンクリート強度とアンボン ド PC 鋼棒の定着プレート板厚であり,基準となる試験 体 No.2 はコンクリート強度を Fc33,定着プレート板厚を 25mm とした。これに対し試験体 No.1 はコンクリート強度 を Fc18 とした。また試験体 No.3 は基準試験体 No.2 に対 して定着プレート板厚を 50mm とした。定着プレートの板 厚の変動に対してアンボンド PC 鋼棒の有効長さが等しく なるように梁幅を調整し,試験体 No.1 と試験体 No.2 の梁 幅Bb を 400mm,試験体 No.3 を 350mm とした。定着プレー トの大きさは□‐220mm × 220mm とした。 試験体の設計にあたっては,梁の損傷が最も厳しい状 況における PC 鋼棒の緊張力変化を調べるため,梁曲げ降 伏を先行させながら躯体に十分な損傷が生じさせる方針 とし,鉄筋コンクリート造建物靱性保証型耐震設計指針 式1)(以下,靱性保証指針)によって求めたR p=20.0 × 10-3rad におけるせん断耐力V uが曲げ略算式による曲げ終 局強度Qmuの概ね 1.10 倍となるようにあばら筋を配置し た。表-2に使用鉄筋の材料試験結果を示す。

2. 2 実験方法

図-3に加力装置図を示す。片持ち梁先端に取り付け た油圧ジャッキにて正負交番繰り返し載荷を行った。加 力方向は,下端主筋引張時を正加力とした。加力は部材角 (スタブと加力点との相対変位)による変形制御とし,加 力サイクルは表-3に従った。 図-1 KG 構法の概要

1.はじめに

KG 構法は,既存躯体に取り付けたピン装置(KG ピン) を介して,制震デバイス(KG デバイス)を含む鉄骨造のラ ーメンフレーム(KG フレーム)を取り付ける制震補強構法 である。 本構法ではピン装置を梁端部に貫通させた PC 鋼棒によ り圧着することとしているが,この場合,地震時に梁の損 傷によって PC 鋼棒の緊張力が減退することが考えられる。 そこで,梁端部に PC 鋼棒を定着した片持ち梁の実験を行 い,梁が損傷することよる PC 鋼棒の緊張力変化を調べた。 また緊張力変化の評価法について検討を行った。

2.実験概要

2.1 試験体

表‐1 に試験体一覧を,図‐2 に試験体形状および配筋 図を示す。試験体は実大スケールの片持ち梁 3 体である。 梁せいBDを 650mm とし,梁端部の危険断面から 150mm の 位置にアンボンド PC 鋼棒用の貫通孔(φ50)を設けた。 アンボンド PC 鋼棒(φ26)と定着プレートをセットした のち,貫通孔内にグラウトを充填し,養生後アンボンド PC 鋼棒に緊張力 P=260kN(σ=P/As=490N/mm2,σy=930N/mm2, As:PC 鋼棒断面積)の緊張力を導入した。 試験体の実験因子は梁のコンクリート強度とアンボン ド PC 鋼棒の定着プレート板厚であり,基準となる試験体 No.2 はコンクリート強度を Fc33,定着プレート板厚を 25mm とした。これに対し試験体 No.1 はコンクリート強度 を Fc18 とした。また試験体 No.3 は基準試験体 No.2 に対 して定着プレート板厚を 50mm とした。定着プレートの板 厚の変動に対してアンボンド PC 鋼棒の有効長さが等しく なるように梁幅を調整し,試験体 No.1 と試験体 No.2 の梁 幅Bb を 400mm,試験体 No.3 を 350mm とした。定着プレー トの大きさは□‐220mm×220mm とした。 試験体の設計にあたっては,梁の損傷が最も厳しい状況 における PC 鋼棒の緊張力変化を調べるため,梁曲げ降伏 を先行させながら躯体に十分な損傷が生じさせる方針と し,鉄筋コンクリート造建物靱性保証型耐震設計指針式1) (以下,靱性保証指針)によって求めた Rp=20.0×10-3rad におけるせん断耐力 Vuが曲げ略算式による曲げ終局強度 Qmuの概ね 1.10 倍となるようにあばら筋を配置した。表‐2 に使用鉄筋の材料試験結果を示す。

2.2 実験方法

図‐3 に加力装置図を示す。片持ち梁先端に取り付けた 油圧ジャッキにて正負交番繰り返し載荷を行った。加力方 向は,下端主筋引張時を正加力とした。加力は部材角(ス タブと加力点との相対変位)による変形制御とし,加力サ イクルは表‐3 に従った。

外付け制震補強構法(KG 構法)の開発

その 5 PC 鋼棒緊張力確認実験

古谷祐希

*1

田畑卓

*1

大谷昌史

*2

牧田敏郎

*3

野中康友

*4 KG 構法はピン接合形式による外付け制震補強構法である。本構法ではピン装置を梁端部に貫通させた PC 鋼棒に より圧着することとしているが,この場合,地震時に梁が損傷することによって PC 鋼棒の緊張力が減退すること が考えられる。そこで本報では,梁端に PC 鋼棒を定着した片持ち梁に対して加力を行い,梁の損傷による PC 鋼棒 の緊張力変化を調べた。その結果, PC 鋼棒に導入した緊張力は変形の増大とともに低下し,その程度は既存 躯体のコンクリート強度および定着プレート厚さに影響されることが分かった。また,緊張力の低下について 評価式を提案し実験結果との適合性を検討した。 キーワード: 制震補強,PC 鋼棒,緊張力,梁部材,曲げせん断実験,損傷 *1 建築研究第一部 *2 技術部 *3 構造設計部 *4 技術本部

図‐1 KG 構法の概要 論 文 *1 建築研究第一部 *2 技術部 *3 構造設計部 *4 技術本部

外付け制震補強構法(KG 構法)の開発

その 5 PC 鋼棒緊張力確認実験

古谷祐希

*1

・田畑 卓

*1

・大谷昌史

*2

・牧田敏郎

*3

・野中康友

*4 KG 構法はピン接合形式による外付け制震補強構法である。本構法ではピン装置を梁端部に貫通させた PC 鋼棒により圧着することとしているが,この場合,地震時に梁が損傷することによって PC 鋼棒の緊張 力が減退することが考えられる。そこで本報では,梁端に PC 鋼棒を定着した片持ち梁に対して加力を行い, 梁の損傷による PC 鋼棒の緊張力変化を調べた。その結果, PC 鋼棒に導入した緊張力は変形の増大ととも に低下し,その程度は既存躯体のコンクリート強度および定着プレート厚さに影響されることが分かった。 また,緊張力の低下について評価式を提案し実験結果との適合性を検討した。 キーワード:制震補強,PC 鋼棒,緊張力,梁部材,曲げせん断実験,損傷

(2)

2

計測項目は,加力点における梁の鉛直変位とした。また 図-4に示すように梁主筋,あばら筋及びアンボンド PC 鋼棒の主要な位置でのひずみ計測を行った。

3.実験結果

3.

1 履歴性状および破壊性状

表-4に実験結果一覧,図-5にせん断力‐部材角関 係,写真-1に部材角+ 1/25rad 時の破壊状況を示す。図 -5中の破線は曲げ終局強度計算値Qmu,一点鎖線は靱性 保証指針式によるせん断耐力計算値Vuを表している。 試験体 No.1 では,部材角 2.1 × 10-3rad においてせん 断ひび割れが梁端から 400mm 程度の位置で発生した。ま た部材角 5.8 × 10-3rad において主筋が降伏し,部材角+ 1/100rad の加力サイクルにおいて最大耐力に達した。正 加力においては部材角 30.0 × 10-3rad まで耐力を維持し ていたが,その後せん断ひび割れの幅が大きくなり荷重 が低下した。一方,負加力においては,上端主筋に沿っ て付着ひび割れが進行し耐力が低下した。試験体 No.2 と 試験体 No.3 では,部材角 2.9 ~ 3.1 × 10-3rad でせん断 ひび割れが発生し,部材角 4.6 ~ 4.9 × 10-3rad で主筋が 降伏した。部材角+ 1/33rad まで耐力を維持したがその後 は No1 と同様に,せん断ひび割れ幅が大きくなり耐力が 低下した。最大耐力は各試験体で明確な差は確認されな かった。

3.

2 主筋およびあばら筋のひずみ性状

図-6に主筋とあばら筋のひずみ分布を示す。正加力 時では下端主筋が部材角 1/200 ~ 1/100rad のサイクルに おいて梁端部で降伏し,部材角 1/50rad のサイクルで梁 端から 600mm の位置まで降伏域が進展した。なお試験体 No.1 では付着劣化に伴い上端主筋の降伏範囲が若干狭く なっていた。あばら筋は部材角 1/100rad のサイクルで降 伏しており,主筋の降伏とほぼ同じタイミングであった。 表-1 試験体一覧 表-2 鉄筋材料試験結果 図-2 試験体形状および配筋図 計測項目は,加力点における梁の鉛直変位とした。また 図‐4 に示すように梁主筋,あばら筋及びアンボンド PC 鋼棒の主要な位置でのひずみ計測を行った。

3.実験結果

3.1 履歴性状および破壊性状

表‐4 に実験結果一覧,図‐5 にせん断力‐部材角関係, 写真‐1 に部材角+1/25rad 時の破壊状況を示す。図‐5 中の破線は曲げ終局強度計算値 Qmu,一点鎖線は靱性保証 指針式によるせん断耐力計算値Vuを表している。 試験体 No.1 では,部材角 2.1×10-3rad においてせん断 ひび割れが梁端から 400mm 程度の位置で発生した。また部 材 角 5.8 × 10-3rad に お い て 主 筋 が 降 伏 し , 部 材 角 + 1/100rad の加力サイクルにおいて最大耐力に達した。正加 力においては部材角 30.0×10-3rad まで耐力を維持してい たが,その後せん断ひび割れの幅が大きくなり荷重が低下 した。一方,負加力においては,上端主筋に沿って付着ひ び割れが進行し耐力が低下した。試験体 No.2 と試験体 No.3 では,部材角 2.9~3.1×10-3rad でせん断ひび割れが 発生し,部材角 4.6~4.9×10-3rad で主筋が降伏した。そ の後は部材角+1/33rad まで耐力を維持したが.その後は No1 と同様に,せん断ひび割れ幅が大きくなり耐力が低下 した。最大耐力は各試験体で明確な差は確認されなかった。

3.2 主筋およびあばら筋のひずみ性状

図‐6 に主筋とあばら筋のひずみ分布を示す。正加力時 では下端主筋が部材角 1/200~1/100rad のサイクルにおい て梁端部で降伏し,部材角 1/50rad のサイクルで梁端から 600mm の位置まで降伏域が進展した。なお試験体 No.1 では 付着劣化に伴い上端主筋の降伏範囲が若干狭くなってい た。あばら筋は部材角 1/100rad のサイクルで降伏してお り,主筋の降伏とほぼ同じタイミングであった。

試験体 No.1 No.2 No.3

想定破壊形式 コンクリート圧縮強度 (N/mm2) 22.8 37.9 39.0 断面 (mm) 350×650 定着プレート板厚 (mm) 50 主筋 4-D25 SD345 pt=0.99% あばら筋 2-D10 @150 SD295A pw=0.24% 2-D10 @200 SD295A pw=0.18% 2-D10 @175 SD295A pw=0.23% 曲げ終局強度 Qmu (kN) 257 257 257 せん断耐力 Vu (kN) 314 299 308 せん断余裕度 Vu/Qmu 1.22 1.16 1.20 付着耐力 Vbu (kN) 320 399 372 付着余裕度 Vbu/Qmu 1.24 1.55 1.45 実験因子 コンクリート強度 基準試験体 定着プレート板厚 25 4-D25 SD345 pt=0.87% 曲げ降伏先行型 400×650 12 50 90 0 30 0 30 0 65 0 40 0 25 0 25 0 35 0 15 0 15 0 65 0 52 0 65 65 D10 SD295 あばら筋 360 2020 178 483 16.9 D25 SD345 梁主筋 374 2073 180 553 18.5 種類 材質 使用箇所 降伏強度 σy (N/mm2) 降伏ひずみ εy (µ) 弾性係数 SE (kN/mm2) 引張強さ σu (N/mm2) 伸び (%) 表‐1 試験体一覧 表‐2 鉄筋材料試験結果 図‐2 試験体形状および配筋図 図‐3 加力装置図 図‐4 ひずみ計測位置 部材角 (rad) 1/400 1/200 1/100 1/67 1/50 1/33 1/25 Cycle ±1 ±1 ±2 ±2 ±2 ±2 +1 表‐3 加力サイクル ※1 曲げ終局強度Qmu:曲げ略算式による ※2 せん断耐力Vu:靱性保証指針式1)(Rp=20.0×10-3rad) ※3 付着耐力Vbu:靱性保証指針式1)(Rp=20.0×10-3rad) ※1 ※2 ※3 表-3 加力サイクル 図-4 ひずみ計測位置 図-3 加力装置図 計測項目は,加力点における梁の鉛直変位とした。また 図‐4 に示すように梁主筋,あばら筋及びアンボンド PC 鋼棒の主要な位置でのひずみ計測を行った。

3.実験結果

3.1 履歴性状および破壊性状

表‐4 に実験結果一覧,図‐5 にせん断力‐部材角関係, 写真‐1 に部材角+1/25rad 時の破壊状況を示す。図‐5 中の破線は曲げ終局強度計算値 Qmu,一点鎖線は靱性保証 指針式によるせん断耐力計算値Vuを表している。 試験体 No.1 では,部材角 2.1×10-3rad においてせん断 ひび割れが梁端から 400mm 程度の位置で発生した。また部 材 角 5.8 × 10-3rad に お い て 主 筋 が 降 伏 し , 部 材 角 + 1/100rad の加力サイクルにおいて最大耐力に達した。正加 力においては部材角 30.0×10-3rad まで耐力を維持してい たが,その後せん断ひび割れの幅が大きくなり荷重が低下 した。一方,負加力においては,上端主筋に沿って付着ひ び割れが進行し耐力が低下した。試験体 No.2 と試験体 No.3 では,部材角 2.9~3.1×10-3rad でせん断ひび割れが 発生し,部材角 4.6~4.9×10-3rad で主筋が降伏した。そ の後は部材角+1/33rad まで耐力を維持したが.その後は No1 と同様に,せん断ひび割れ幅が大きくなり耐力が低下 した。最大耐力は各試験体で明確な差は確認されなかった。

3.2 主筋およびあばら筋のひずみ性状

図‐6 に主筋とあばら筋のひずみ分布を示す。正加力時 では下端主筋が部材角 1/200~1/100rad のサイクルにおい て梁端部で降伏し,部材角 1/50rad のサイクルで梁端から 600mm の位置まで降伏域が進展した。なお試験体 No.1 では 付着劣化に伴い上端主筋の降伏範囲が若干狭くなってい た。あばら筋は部材角 1/100rad のサイクルで降伏してお り,主筋の降伏とほぼ同じタイミングであった。

試験体 No.1 No.2 No.3

想定破壊形式 コンクリート圧縮強度 (N/mm2 ) 22.8 37.9 39.0 断面 (mm) 350×650 定着プレート板厚 (mm) 50 主筋 4-D25 SD345 pt=0.99% あばら筋 2-D10 @150 SD295A pw=0.24% 2-D10 @200 SD295A pw=0.18% 2-D10 @175 SD295A pw=0.23% 曲げ終局強度 Qmu (kN) 257 257 257 せん断耐力 Vu (kN) 314 299 308 せん断余裕度 Vu/Qmu 1.22 1.16 1.20 付着耐力 Vbu (kN) 320 399 372 付着余裕度 Vbu/Qmu 1.24 1.55 1.45 実験因子 コンクリート強度 基準試験体 定着プレート板厚 25 4-D25 SD345 pt=0.87% 曲げ降伏先行型 400×650 12 50 90 0 30 0 30 0 65 0 40 0 25 0 25 0 35 0 15 0 15 0 65 0 52 0 65 65 D10 SD295 あばら筋 360 2020 178 483 16.9 D25 SD345 梁主筋 374 2073 180 553 18.5 種類 材質 使用箇所 降伏強度 σy (N/mm2) 降伏ひずみ εy (µ) 弾性係数 SE (kN/mm2) 引張強さ σu (N/mm2) 伸び (%) 表‐1 試験体一覧 表‐2 鉄筋材料試験結果 図‐2 試験体形状および配筋図 図‐3 加力装置図 図‐4 ひずみ計測位置 部材角 (rad) 1/400 1/200 1/100 1/67 1/50 1/33 1/25 Cycle ±1 ±1 ±2 ±2 ±2 ±2 +1 表‐3 加力サイクル ※1 曲げ終局強度Qmu:曲げ略算式による ※2 せん断耐力Vu:靱性保証指針式1)(Rp=20.0×10-3rad) ※3 付着耐力Vbu:靱性保証指針式1)(Rp=20.0×10-3rad) ※1 ※2 ※3 計測項目は,加力点における梁の鉛直変位とした。また 図‐4 に示すように梁主筋,あばら筋及びアンボンド PC 鋼棒の主要な位置でのひずみ計測を行った。 3.実験結果 3.1 履歴性状および破壊性状 表‐4 に実験結果一覧,図‐5 にせん断力‐部材角関係, 写真‐1 に部材角+1/25rad 時の破壊状況を示す。図‐5 中の破線は曲げ終局強度計算値 Qmu,一点鎖線は靱性保証 指針式によるせん断耐力計算値Vuを表している。 試験体 No.1 では,部材角 2.1×10-3rad においてせん断 ひび割れが梁端から 400mm 程度の位置で発生した。また部 材 角 5.8 × 10-3rad に お い て 主 筋 が 降 伏 し , 部 材 角 + 1/100rad の加力サイクルにおいて最大耐力に達した。正加 力においては部材角 30.0×10-3rad まで耐力を維持してい たが,その後せん断ひび割れの幅が大きくなり荷重が低下 した。一方,負加力においては,上端主筋に沿って付着ひ び割れが進行し耐力が低下した。試験体 No.2 と試験体 No.3 では,部材角 2.9~3.1×10-3rad でせん断ひび割れが 発生し,部材角 4.6~4.9×10-3rad で主筋が降伏した。そ の後は部材角+1/33rad まで耐力を維持したが.その後は No1 と同様に,せん断ひび割れ幅が大きくなり耐力が低下 した。最大耐力は各試験体で明確な差は確認されなかった。 3.2 主筋およびあばら筋のひずみ性状 図‐6 に主筋とあばら筋のひずみ分布を示す。正加力時 では下端主筋が部材角 1/200~1/100rad のサイクルにおい て梁端部で降伏し,部材角 1/50rad のサイクルで梁端から 600mm の位置まで降伏域が進展した。なお試験体 No.1 では 付着劣化に伴い上端主筋の降伏範囲が若干狭くなってい た。あばら筋は部材角 1/100rad のサイクルで降伏してお り,主筋の降伏とほぼ同じタイミングであった。 2

試験体 No.1 No.2 No.3

想定破壊形式 コンクリート圧縮強度 (N/mm2 ) 22.8 37.9 39.0 断面 (mm) 350×650 定着プレート板厚 (mm) 50 主筋 4-D25 SD345 pt=0.99% あばら筋 2-D10 @150 SD295A pw=0.24% 2-D10 @200 SD295A pw=0.18% 2-D10 @175 SD295A pw=0.23% 曲げ終局強度 Qmu (kN) 257 257 257 せん断耐力 Vu (kN) 314 299 308 せん断余裕度 Vu/Qmu 1.22 1.16 1.20 付着耐力 Vbu (kN) 320 399 372 付着余裕度 Vbu/Qmu 1.24 1.55 1.45 実験因子 コンクリート強度 基準試験体 定着プレート板厚 25 4-D25 SD345 pt=0.87% 曲げ降伏先行型 400×650 12 50 90 0 30 0 30 0 65 0 40 0 25 0 25 0 35 0 15 0 15 0 65 0 52 0 65 65 D10 SD295 あばら筋 360 2020 178 483 16.9 D25 SD345 梁主筋 374 2073 180 553 18.5 種類 材質 使用箇所 降伏強度 σy (N/mm2) 降伏ひずみ εy (µ) 弾性係数 SE (kN/mm2) 引張強さ σu (N/mm2) 伸び (%) 表‐1 試験体一覧 表‐2 鉄筋材料試験結果 図‐2 試験体形状および配筋図 図‐3 加力装置図 図‐4 ひずみ計測位置 部材角 (rad) 1/400 1/200 1/100 1/67 1/50 1/33 1/25 Cycle ±1 ±1 ±2 ±2 ±2 ±2 +1 表‐3 加力サイクル ※1 曲げ終局強度Qmu:曲げ略算式による ※2 せん断耐力Vu:靱性保証指針式1)(Rp=20.0×10-3rad) ※3 付着耐力Vbu:靱性保証指針式1)(Rp=20.0×10-3rad) ※1 ※2 ※3

(3)

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) -1/400 -1/200 -1/100(1) -1/67(1) -1/50(1) -1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.2 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 100 200 300 400 500 600 700 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.2 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.2

No.1 No.2 No.3

Qmc (kN) 80.8 69.6 73.3 Rmc (×10-3rad) 0.5 0.7 0.4 Qvc (kN) 160 206 199 Rvc (×10-3rad) 2.1 3.1 2.9 QBy (kN) 292 258 270 RBy (×10-3rad) 5.8 4.9 4.6 Qmax (kN) 301 304 305 Rmax (×10-3rad) 10.1 30.0 30.2 曲げ降伏 ↓ せん断破壊 付着破壊 曲げ降伏 ↓ せん断破壊 曲げ降伏 ↓ せん断破壊 梁引張主筋 降伏点 最大耐力 破壊形式 曲げ ひび割れ時 試験体 せん断 ひび割れ時 表‐4 実験結果一覧 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 せ ん 断 力 (k N ) 部材角(×10-3rad) M ax M ax By By Qm u Vu By:梁主筋降伏 M ax:最大耐力 Qmu:曲げ降伏耐力 Vu:せん断耐力 試験体No.2 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 せ ん 断 力 (k N ) 部材角(×10-3rad) By By M ax M ax Qm u Vu By:梁主筋降伏 M ax:最大耐力 Qmu:曲げ降伏耐力 Vu:せん断耐力 試験体No.3 図‐5 せん断力‐部材角関係

(a)試験体 No.1 (b)試験体 No.2 (c)試験体 No.3

写真‐1 部材角+1/25rad 時の破壊状況 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.1 (a)下端主筋(正加力時) (b)上端主筋(負加力時) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.3 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) -1/400 -1/200 -1/100(1) -1/67(1) -1/50(1) -1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.3 図‐6 主筋とあばら筋のひずみ分布 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 100 200 300 400 500 600 700 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.1 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 100 200 300 400 500 600 700 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.3 (c)あばら筋(正加力時) -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 せ ん 断 力 (k N ) 部材角(×10-3rad) ByM ax Vu Qm u By M ax By:梁主筋降伏 M ax:最大耐力 Qmu:曲げ降伏耐力 Vu:せん断耐力 試験体No.1 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) -1/400 -1/200 -1/100(1) -1/67(1) -1/50(1) -1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.1 3 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) -1/400 -1/200 -1/100(1) -1/67(1) -1/50(1) -1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.2 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 100 200 300 400 500 600 700 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.2 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.2

No.1 No.2 No.3

Qmc (kN) 80.8 69.6 73.3 Rmc (×10-3rad) 0.5 0.7 0.4 Qvc (kN) 160 206 199 Rvc (×10-3rad) 2.1 3.1 2.9 QBy (kN) 292 258 270 RBy (×10-3rad) 5.8 4.9 4.6 Qmax (kN) 301 304 305 Rmax (×10-3rad) 10.1 30.0 30.2 曲げ降伏 ↓ せん断破壊 付着破壊 曲げ降伏 ↓ せん断破壊 曲げ降伏 ↓ せん断破壊 梁引張主筋 降伏点 最大耐力 破壊形式 曲げ ひび割れ時 試験体 せん断 ひび割れ時 表‐4 実験結果一覧 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 せ ん 断 力 (k N ) 部材角(×10-3rad) M ax M ax By By Qm u Vu By:梁主筋降伏 M ax:最大耐力 Qmu:曲げ降伏耐力 Vu:せん断耐力 試験体No.2 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 せ ん 断 力 (k N ) 部材角(×10-3rad) By By M ax M ax Qm u Vu By:梁主筋降伏 M ax:最大耐力 Qmu:曲げ降伏耐力 Vu:せん断耐力 試験体No.3 図‐5 せん断力‐部材角関係

(a)試験体 No.1 (b)試験体 No.2 (c)試験体 No.3

写真‐1 部材角+1/25rad 時の破壊状況 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.1 (a)下端主筋(正加力時) (b)上端主筋(負加力時) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.3 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) -1/400 -1/200 -1/100(1) -1/67(1) -1/50(1) -1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.3 図‐6 主筋とあばら筋のひずみ分布 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 100 200 300 400 500 600 700 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.1 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 100 200 300 400 500 600 700 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.3 (c)あばら筋(正加力時) -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 せ ん 断 力 (k N ) 部材角(×10-3rad) ByM ax Vu Qm u By M ax By:梁主筋降伏 M ax:最大耐力 Qmu:曲げ降伏耐力 Vu:せん断耐力 試験体No.1 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) -1/400 -1/200 -1/100(1) -1/67(1) -1/50(1) -1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.1 表-4 実験結果一覧 3 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) -1/400 -1/200 -1/100(1) -1/67(1) -1/50(1) -1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.2 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 100 200 300 400 500 600 700 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.2 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.2

No.1 No.2 No.3

Qmc (kN) 80.8 69.6 73.3 Rmc (×10-3rad) 0.5 0.7 0.4 Qvc (kN) 160 206 199 Rvc (×10-3rad) 2.1 3.1 2.9 QBy (kN) 292 258 270 RBy (×10-3rad) 5.8 4.9 4.6 Qmax (kN) 301 304 305 Rmax (×10-3rad) 10.1 30.0 30.2 曲げ降伏 ↓ せん断破壊 付着破壊 曲げ降伏 ↓ せん断破壊 曲げ降伏 ↓ せん断破壊 梁引張主筋 降伏点 最大耐力 破壊形式 曲げ ひび割れ時 試験体 せん断 ひび割れ時 表‐4 実験結果一覧 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 せ ん 断 力 (k N ) 部材角(×10-3rad) M ax M ax By By Qm u Vu By:梁主筋降伏 M ax:最大耐力 Qmu:曲げ降伏耐力 Vu:せん断耐力 試験体No.2 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 せ ん 断 力 (k N ) 部材角(×10-3rad) By By M ax M ax Qm u Vu By:梁主筋降伏 M ax:最大耐力 Qmu:曲げ降伏耐力 Vu:せん断耐力 試験体No.3 図‐5 せん断力‐部材角関係

(a)試験体 No.1 (b)試験体 No.2 (c)試験体 No.3

写真‐1 部材角+1/25rad 時の破壊状況 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.1 (a)下端主筋(正加力時) (b)上端主筋(負加力時) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.3 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) -1/400 -1/200 -1/100(1) -1/67(1) -1/50(1) -1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.3 図‐6 主筋とあばら筋のひずみ分布 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 100 200 300 400 500 600 700 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.1 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 100 200 300 400 500 600 700 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) +1/400 +1/200 +1/100(1) +1/67(1) +1/50(1) +1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.3 (c)あばら筋(正加力時) -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 せ ん 断 力 (k N ) 部材角(×10-3rad) ByM ax Vu Qm u By M ax By:梁主筋降伏 M ax:最大耐力 Qmu:曲げ降伏耐力 Vu:せん断耐力 試験体No.1 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 200 400 600 800 1,000 1,200 ひ ず み (µ ) 梁端からの距離(mm) -1/400 -1/200 -1/100(1) -1/67(1) -1/50(1) -1/33(1) 降伏ひずみ 試験体No.1 写真-1 部材角+ 1/25rad 時の破壊状況 図-6 主筋とあばら筋のひずみ分布

(4)

4

3.

3 PC 鋼棒の緊張力計測結果

図-7に PC 鋼棒の残存緊張力比と部材角の関係を示 す。ここで,残存緊張力比は実験開始時に対する各部材角 時の緊張力の比とし,PC 鋼棒のひずみ測定値より求めた。 各 PC 鋼棒ではサイクルピークに着目すると,変形の増大 とともに緊張力が低下する性状を示しているが,いずれ も正負に非対称な履歴を示す点が特徴的である。例えば, 梁上側の PC 鋼棒では,正加力から負加力に向かう方向で は緊張力が低下あるいは横ばいなのに対して,負加力か ら正加力に向かう方向ではサイクルピークに向かって緊 張力が増大する傾向を示す。このことから,梁の曲げ圧縮 応力によって PC 鋼棒が直交方向に拘束されると緊張力は 回復し,圧縮応力が解放され引張応力下になると低下す る性状がうかがえる。 大変形領域ではコンクリートの損傷は進行したが,緊 張力の低下傾向は頭打ちとなる結果であった。また,試験 体相互では最終的な残存緊張力に明確な差を生じており, 既存躯体のコンクリート強度および定着プレート厚さの 影響が認められた。

4.残存緊張力の評価

本評価においては,梁の損傷による PC 鋼棒の緊張力の 低下は,曲げ応力により生じた材端ヒンジ域の引張りひ ずみの影響で梁幅方向(PC 鋼棒緊張方向)のコンクリー ト圧縮強度および圧縮剛性が低下することに起因すると 考える。

4.

1 コンクリート圧縮強度の低下率

圧縮直交方向の引張ひずみの影響を考慮したコンク リート圧縮強度を,飯塚ら2)の提案式(1)によって評価 する。同式によると,圧縮強度は図-8に示すように圧 縮直交方向の引張りひずみの増大に伴い低下することに なる。 ここで,βm:圧縮強度低下率,σmax’:直交方向に引張 力を受けるコンクリートの圧縮強度(N/mm2σ max:コン クリートの一軸圧縮強度(N/mm2ε t:圧縮直交方向の 引張ひずみ,εmax:コンクリート圧縮強度時ひずみ ところで,PC 鋼棒に導入した緊張力は定着プレートを 介して支圧力として既存躯体コンクリートに伝達される。

3.3 PC 鋼棒の緊張力計測結果

図‐7 に PC 鋼棒の残存緊張力比と部材角の関係を示す。 ここで,残存緊張力比は実験開始時に対する各部材角時の 緊張力の比とし,PC 鋼棒のひずみ測定値より求めた。各 PC 鋼棒ではサイクルピークに着目すると,変形の増大とと もに緊張力が低下する性状を示しているが,いずれも正負 に非対称な履歴を示す点が特徴的である。例えば,梁上側 の PC 鋼棒では,正加力から負加力に向かう方向では緊張 力が低下あるいは横ばいなのに対して,負加力から正加力 に向かう方向ではサイクルピークに向かって緊張力が増 大する傾向を示す。このことから,梁の曲げ圧縮応力によ って PC 鋼棒が直交方向に拘束されると緊張力は回復し, 圧縮応力が解放され引張応力下になると低下する性状が うかがえる。 大変形領域ではコンクリートの損傷は進行したが,緊張 力の低下傾向は頭打ちとなる結果であった。また,試験体 相互では最終的な残存緊張力に明確な差を生じており,既 存躯体のコンクリート強度および定着プレート厚さの影 響が認められた。

4.残存緊張力の評価

本評価においては,梁の損傷による PC 鋼棒の緊張力の 低下は,曲げ応力により生じた材端ヒンジ域の引張りひず みの影響で梁幅方向(PC 鋼棒緊張方向)のコンクリート圧 縮強度および圧縮剛性が低下することに起因すると考え る。

4.1 コンクリート圧縮強度の低下率

圧縮直交方向の引張ひずみの影響を考慮したコンクリ ート圧縮強度を,飯塚ら 2)の提案式(1)によって評価す る。同式によると,圧縮強度は図‐8 に示すように圧縮直 交方向の引張りひずみの増大に伴い低下することになる。





=

=

fc t m

EXP

k

max max ' max

2

.

0

ε

ε

σ

σ

β

(1) 3 / 1 max 16 . 0 ⋅

σ

= fc k (2) ここで,βm:圧縮強度低下率,σmax’:直交方向に引張 力を受けるコンクリートの圧縮強度(N/mm2),σ max:コン クリートの一軸圧縮強度(N/mm2),ε t:圧縮直交方向の 引張ひずみ,εmax:コンクリート圧縮強度時ひずみ ところで,PC 鋼棒に導入した緊張力は定着プレートを介 して支圧力として既存躯体コンクリートに伝達される。そ こで,上記のσmaxは PC 規準3)に準じ式(3)により評価す る。

75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.2 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.1 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.1 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.2 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.3 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.3 (a)PC 鋼棒(上側) (b)PC 鋼棒(下側) 図‐7 PC 鋼棒の残存緊張力比 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 0 2 4 6 8 10 βm εt / εm ax fc18 fc30 fc42 fc54 fc60 図‐8 圧縮強度低下率βm

3.3 PC 鋼棒の緊張力計測結果

図‐7 に PC 鋼棒の残存緊張力比と部材角の関係を示す。 ここで,残存緊張力比は実験開始時に対する各部材角時の 緊張力の比とし,PC 鋼棒のひずみ測定値より求めた。各 PC 鋼棒ではサイクルピークに着目すると,変形の増大とと もに緊張力が低下する性状を示しているが,いずれも正負 に非対称な履歴を示す点が特徴的である。例えば,梁上側 の PC 鋼棒では,正加力から負加力に向かう方向では緊張 力が低下あるいは横ばいなのに対して,負加力から正加力 に向かう方向ではサイクルピークに向かって緊張力が増 大する傾向を示す。このことから,梁の曲げ圧縮応力によ って PC 鋼棒が直交方向に拘束されると緊張力は回復し, 圧縮応力が解放され引張応力下になると低下する性状が うかがえる。 大変形領域ではコンクリートの損傷は進行したが,緊張 力の低下傾向は頭打ちとなる結果であった。また,試験体 相互では最終的な残存緊張力に明確な差を生じており,既 存躯体のコンクリート強度および定着プレート厚さの影 響が認められた。

4.残存緊張力の評価

本評価においては,梁の損傷による PC 鋼棒の緊張力の 低下は,曲げ応力により生じた材端ヒンジ域の引張りひず みの影響で梁幅方向(PC 鋼棒緊張方向)のコンクリート圧 縮強度および圧縮剛性が低下することに起因すると考え る。

4.1 コンクリート圧縮強度の低下率

圧縮直交方向の引張ひずみの影響を考慮したコンクリ ート圧縮強度を,飯塚ら 2)の提案式(1)によって評価す る。同式によると,圧縮強度は図‐8 に示すように圧縮直 交方向の引張りひずみの増大に伴い低下することになる。         ⋅       ⋅ − = = fc t m EXP k max max ' max 0.2

ε

ε

σ

σ

β

(1) 3 / 1 max 16 . 0 ⋅

σ

= fc k (2) ここで,βm:圧縮強度低下率,σmax’:直交方向に引張 力を受けるコンクリートの圧縮強度(N/mm2),σ max:コン クリートの一軸圧縮強度(N/mm2),ε t:圧縮直交方向の 引張ひずみ,εmax:コンクリート圧縮強度時ひずみ ところで,PC 鋼棒に導入した緊張力は定着プレートを介 して支圧力として既存躯体コンクリートに伝達される。そ こで,上記のσmaxは PC 規準3)に準じ式(3)により評価す る。

75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.2 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.1 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.1 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.2 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.3 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.3 (a)PC 鋼棒(上側) (b)PC 鋼棒(下側) 図‐7 PC 鋼棒の残存緊張力比 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 0 2 4 6 8 10 βm εt / εm ax fc18 fc30 fc42 fc54 fc60 図‐8 圧縮強度低下率βm

3.3 PC 鋼棒の緊張力計測結果

図‐7 に PC 鋼棒の残存緊張力比と部材角の関係を示す。 ここで,残存緊張力比は実験開始時に対する各部材角時の 緊張力の比とし,PC 鋼棒のひずみ測定値より求めた。各 PC 鋼棒ではサイクルピークに着目すると,変形の増大とと もに緊張力が低下する性状を示しているが,いずれも正負 に非対称な履歴を示す点が特徴的である。例えば,梁上側 の PC 鋼棒では,正加力から負加力に向かう方向では緊張 力が低下あるいは横ばいなのに対して,負加力から正加力 に向かう方向ではサイクルピークに向かって緊張力が増 大する傾向を示す。このことから,梁の曲げ圧縮応力によ って PC 鋼棒が直交方向に拘束されると緊張力は回復し, 圧縮応力が解放され引張応力下になると低下する性状が うかがえる。 大変形領域ではコンクリートの損傷は進行したが,緊張 力の低下傾向は頭打ちとなる結果であった。また,試験体 相互では最終的な残存緊張力に明確な差を生じており,既 存躯体のコンクリート強度および定着プレート厚さの影 響が認められた。

4.残存緊張力の評価

本評価においては,梁の損傷による PC 鋼棒の緊張力の 低下は,曲げ応力により生じた材端ヒンジ域の引張りひず みの影響で梁幅方向(PC 鋼棒緊張方向)のコンクリート圧 縮強度および圧縮剛性が低下することに起因すると考え る。

4.1 コンクリート圧縮強度の低下率

圧縮直交方向の引張ひずみの影響を考慮したコンクリ ート圧縮強度を,飯塚ら 2)の提案式(1)によって評価す る。同式によると,圧縮強度は図‐8 に示すように圧縮直 交方向の引張りひずみの増大に伴い低下することになる。





=

=

t fc m

EXP

k

max max ' max

2

.

0

ε

ε

σ

σ

β

(1) 3 / 1 max 16 . 0 ⋅

σ

= fc k (2) ここで,βm:圧縮強度低下率,σmax’:直交方向に引張 力を受けるコンクリートの圧縮強度(N/mm2),σ max:コン クリートの一軸圧縮強度(N/mm2),ε t:圧縮直交方向の 引張ひずみ,εmax:コンクリート圧縮強度時ひずみ ところで,PC 鋼棒に導入した緊張力は定着プレートを介 して支圧力として既存躯体コンクリートに伝達される。そ こで,上記のσmaxは PC 規準3)に準じ式(3)により評価す る。

75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.2 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.1 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.1 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.2 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.3 75 80 85 90 95 100 105 -40 -20 0 20 40 60 残 存 緊 張 力 比 (% ) 部材角 (×10-3rad) 試験体No.3 (a)PC 鋼棒(上側) (b)PC 鋼棒(下側) 図‐7 PC 鋼棒の残存緊張力比 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 0 2 4 6 8 10 βm εt / εm ax fc18 fc30 fc42 fc54 fc60 図‐8 圧縮強度低下率βm 図-8 圧縮強度低下率β m 図-7 PC 鋼棒の残存緊張力比

参照

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