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修士論文の和文要旨 研究科 専攻大学院情報理工学研究科基盤理工学専攻博士前期課程 氏名福田大起学籍番号 論文題目 87 Rb 原子の光誘起衝突過程が抑制された D1 遷移用光ポンピング光源の構築 要 旨 我々の研究室ではボース アインシュタイン凝縮体 (BEC) の連続的生成を目的と

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修 士 論 文 の 和 文 要 旨

研究科・専攻 大学院 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 博士前期課程 氏 名 福田 大起 学籍番号 2033094

論 文 題 目 87Rb 原子の光誘起衝突過程が抑制されたD1遷移用光ポンピング光源の構築

要 旨

我々の研究室ではボース・アインシュタイン凝縮体 (BEC)の連続的生成を目的として研究を行っている。BEC の生成はレーザーによる原子の冷却や磁気光学トラッ プ(MOT)などの様々な要素によって構成されている。気 体原子を冷却する手法としてレーザーによる冷却があ る。原子の運動を考慮してレーザーの周波数を調整する ことにより、原子は光を吸収する事により励起し指向性 を持って減速され、自然放出により等方的な放射を伴い ながら緩和する。このサイクルを繰り返すことによって 気体原子は冷却される。本研究では原子の冷却に用いる 遷移として、87Rb の 52S1/2,F=2→52P3/2,F”=3 を利用するた め、その際、原子はいずれの磁気副準位においても冷却 光を感じ、MOT 中の原子は内部状態が単一に定まらない。

一方、795nm の D1 遷移の円偏光レーザーを用いると、サ イクル中の光に作用しない状態に原子を効率的に集める光 ポンピングが可能となり、その後の応用実験に向けた単一 内部状態が実現できるようになる。また、原子集団が極低 温・高密度化されてくると、光誘起用衝突による加熱や光 会合によるトラップからの原子数損失が生じるため、損失

を抑制した光ポンピング光の離調の取り方が重要となってくる。そこで、本実験では、GHz 程度ま で離調を掃引可能な波長安定化光源の開発を目指している。現段階では系を構築し、FM サイドバンド 分光を用いた光源の波長安定化とファイバー型電気光学変調素子を用いた遠離調操作を試みている段 階である。

(2)

87 Rb 原子の光誘起衝突過程が抑制された D1 遷移用光ポンピング光源の開発

学籍番号 2033094

氏名 福田 大起

基盤理工学専攻 物理工学プログラム

主任指導教員: 岸本 哲夫 准教授 指導教員: 斉藤 弘樹 教授

提出日 令和 4 3 11

(3)

i

目次

第1章 序論 1

1.1 研究の背景 . . . 1

1.2 本論文の目的 . . . 1

1.2.1 本研究室の目的 . . . 1

1.2.2 本研究の目的. . . 2

第2 原理 3 2.1 ボースアインシュタイン凝縮体(BEC)の生成原理 . . . 3

2.1.1 BECの理論的背景. . . 3

2.2 実験に関する基本原理 . . . 4

2.2.1 ドップラー冷却 . . . 4

2.2.2 磁気光学トラップ(MOT)の基本原理. . . 6

2.2.3 光源の周波数安定化 . . . 8

2.2.4 光ポンピング. . . 10

2.2.5 光誘起衝突過程 . . . 11

第3 実験系 13 3.1 外部共振器レーザー(ECDL) . . . 13

3.2 Servo回路 . . . 14

3.3 FMサイドバンド分光の系の作成 . . . 14

3.4 光誘起衝突過程抑制へ向けた準備 . . . 15

第4 実験結果 17 4.1 FMサイドバンド分光 . . . 17

4.2 ファイバー結合型EOMによる周波数変調 . . . 18

4.3 ±1次サイドバンドによる吸収線の観測 . . . 19

第5 まとめと今後の展望 20

参考文献 21

(4)

謝辞 23

(5)

iii

図目次

1.1 先行研究における原子数損失の周波数依存性 . . . 2

2.1 簡略化のための二準位系 . . . 5

2.2 ドップラー冷却と共鳴周波数のシフトについて . . . 5

2.3 光による基底状態の原子の励起と、自然放出を伴う励起状態の原子の緩和の過程 . 6 2.4 ドップラー冷却における原子の運動と光の照射方向の関係 . . . 6

2.5 磁気光学トラップの概略図. . . 7

2.6 飽和吸収分校の概略図と原子の速度分布. . . 8

2.7 87Rbのエネルギー準位構造と三準位系を考えた際のクロスオーバー. . . 9

2.8 FMサイドバンド分光法を用いた周波数安定化の概略図 . . . 10

2.9 遷移選択則の概略図 . . . 10

2.10 光ポンピングの概略図 . . . 11

2.11 二原子の、原子間距離とエネルギー構造. . . 11

2.12 赤方離調における二原子の、原子間距離とエネルギー構造 . . . 12

3.1 実験に用いているECDL . . . 13

3.2 servo回路の回路図. . . 14

3.3 FMサイドバンド分光法の実験系 . . . 15

3.4 周波数変調を確認する実験系 . . . 16

3.5 ファブリペロー共振器 . . . 16

4.1 FMサイドバンド分光の系の概略図 . . . 17

4.2 FMサイドバンド分光によるエラーシグナルとRb原子の吸収線[1] . . . 18

4.3 ファブリペロー共振器を用いて確認した周波数変調の様子 . . . 18

4.4 キャリアと±1次サイドバンドによる吸収線の様子 . . . 19

(6)

第 1

序論

1.1 研究の背景

 ボースアインシュタイン凝縮体(Bose-Einstein Condensates:BEC)に関する理論は1925

にS.N.Boseの論文を受け、A.Einsteinによって構築された。その理論は有限の質量を持つボース

粒子は、ある温度を境に粒子が相転移をし、エネルギーが最低となる一粒子状態を巨視的な数の粒 子が占有すると結論付けられた。その後、1985年にはS.ChuによってNa原子の3次元的なレー ザー冷却が行われ[2]、これにより原子を数百µKに冷却することが実現し、1987年には先のレー ザー冷却と磁場によって原子が感じるポテンシャルを利用した磁気光学トラップ(MOT)により、

原子の冷却と捕獲を同時に行えるようになった[3]。しかし、MOTではレーザー冷却の過程に生 じる自然放出によって原子が反跳を受けることによる反跳限界温度が存在することや、捕獲され た原子同士の衝突などによる加熱が生じることによって原子がトラップから外れてしまうために BECの実現は困難であった。この問題は1990年代に原子間の弾性衝突を利用し、高いエネルギー を持つ原子を取り除く事により原子集団を冷却する手法である蒸発冷却が導入され始めた。これ により、1995年にはJILAE.CornellC.Wieman87Rb [4]MITW.Ketterleらに よってNa原子でのBECの生成が実現した [5]

1.2 本論文の目的

1.2.1 本研究室の目的

 現代においてBECの生成技術は確立されており、BECは重力測定や磁力計などさまざまな 計測の分野において高感度な干渉計として活用されている。BECの生成過程はMOTを行った 後、圧縮磁気光学トラップ(CMOT)へ移行し、光双極子トラップ(ODT)によって蒸発冷却を行 いBECを実現している。しかし、これらの過程を経てBECを生成し、物理量を測定するために は一度の測定に数十秒の時間を要してしまう。そこで、本研究室では実験条件を空間的に変化させ

(7)

第1 章 序論 2 て、段階的に冷却することで効率的にBECを連続生成することを目的としている。

1.2.2 本研究の目的

 本研究の目的は、87Rb原子のD1遷移に対応した光ポンピング光源の開発である。光を用い た原子の冷却では原子が光と作用してしまうことによる冷却限界温度が存在する。本研究の目的と している光ポンピングでは冷却した原子を光と相互作用しない状態へ掃き寄せることにより、ドッ プラー冷却よりも低温かつ単一内部状態な原子集団の形成を目的としている。しかし、MOT中の 原子集団のような高密度な原子集団では個々の原子が独立した状態ではなく、他の原子と相互作用 を生じてしまう。そのため、相互作用によって生じるポテンシャルにおける原子の光の吸収と放出 の過程において加熱が生じてしまう光誘起衝突過程と呼ばれる過程が存在する。この加熱によるエ ネルギーがMOTのトラップポテンシャルよりも大きくなってしまった際に、トラップ内の原子集 団の原子数損失につながる。また、光誘起衝突過程による自然放出光を原子集団内の他の原子が吸 収することによって加熱されてしまい、同様にMOTから脱離してしまう。光誘起衝突過程には周 波数による依存性があり、先行研究では光会合分光を行ったのち、光誘起衝突過程による影響が抑 制された周波数の探索を行っている [6]。そこで、本研究では光ポンピングを行うための光源とし

1.1 先行研究における原子数損失の周波数依存性

て、87Rb原子のD1遷移に対応し、周波数の掃引が可能な光源を作成することを目的とし実験を 行う。

(8)

第 2

原理

2.1 ボースアインシュタイン凝縮体 (BEC) の生成原理

 先の章でも記したようにBECの生成はMOTからCMOTへ移行し、蒸発冷却を行うことに よって高密度かつ極低温化を図ることによって達せられている。この節ではBEC生成における条 件をボース分布関数から展開し説明を行う。本節では[7] [8]を参考にした。

2.1.1 BEC の理論的背景

 ボースアインシュタイン凝縮(BEC)はボース粒子がある相転移温度以下になった際に、最低 エネルギーを固有エネルギーとして持つ状態を巨視的な数の粒子が占有する現象である。すべての 粒子はボソン(ボース粒子)とフェルミオン(フェルミ粒子)に分類することができ、粒子全体のス ピンが整数であればボース粒子、半奇数であればフェルミ粒子として分類されている。複数の粒子 からなる状態を記述した波動関数において、ボース粒子は任意の二粒子の入れ替えについて波動関 数が対称であり、入れ替えの前後で同じ状態で記述することができる。一方でフェルミ粒子は任意 の二粒子の入れ替えについて波動関数が反対称になっており、入れ替えの前後で系の波動関数が異 なってしまう。この性質によりボース粒子はフェルミ粒子とは異なり一つの状態に複数の粒子が占 有することが可能になる。

 以下では粒子間で相互作用しないボース粒子について考える。複数のボース粒子からなる系は一 粒子状態において以下のようなボース分布関数で表される。

fB = 1

exp[(ϵ−µ)/kBT]1 (2.1)  µは化学ポテンシャルであり、T は粒子の温度、kBはボルツマン定数である。系全体について の粒子数は単位体積当たりの一粒子状態密度ν(ϵ)と系の体積V を用いて以下のようになる。

N =

0

V ν(ϵ)

exp[(ϵ−µ)/kBT]1 (2.2)

(9)

第2 章 原理 4  多くの場合、化学ポテンシャルはµ= 0であるため、相転移温度Tcの時、式2.2は以下のよう に書き換えることができる。

N =

0

V ν(ϵ)

exp(ϵ/kBTc)1 (2.3)  ここで、BECの生成の基準となるパラメーターとして位相空間密度ρを粒子数密度n=N/V を用いて導入する。位相空間密度ρは熱的ド・ブロイ波長λd = (2π¯h2/mkBT)1/2を一辺の長さ に持つ三次元の立体内に含まれる粒子数を表す量として定義されている。ここで、¯hはディラック 定数、mは原子の質量である。BECは相転移によって生じることから相転移時の位相空間密度は 以下のようになる。

ρ=3d(Tc) = 2.612. . . (2.4)

 以上のことから、位相空間密度は温度の減少に伴い増加し、粒子数密度の増加に伴い上昇するこ とから、高い位相空間密度を得るためには低温かつ高密度な系である必要がある。

2.2 実験に関する基本原理

本研究では原子を光に作用しない状態へ掃き寄せる光ポンピングに用いる光源の作成を目的と して実験を行っている。そのうえで必要なレーザー冷却や磁気光学トラップ(MOT)、光源の周波 数安定化の手法を説明する。基本的な原理として、飽和吸収分光法、それを利用することによって 周波数の安定化を図る手法としてFMサイドバンド分光法を紹介する。その後、光ポンピングに ついて説明を行い最後に光誘起衝突過程の概要について記す。この節は [9] [10] [11] [12]を参考に した。

2.2.1 ドップラー冷却

ここではレーザーを用いて運動する原子を冷却する過程を簡単に説明するために、一次元方向 にのみ運動する原子のエネルギー準位を二準位系として考える(2.1)。基底状態の原子はエネ ルギー準位間のエネルギー差に対応した光を吸収することにより励起する。この光を共鳴光と呼 び、共鳴光の周波数を共鳴周波数と呼ぶ。原子が静止している際の二準位系において、共鳴周波数 に対応した角周波数をω0と表すことにする。速度vで運動している原子に、周波数ω0の光を図

2.2(a)のように照射すると、ドップラー効果によって原子の感じる周波数は原子の運動に対向する

光の場合+kv、同方向の場合−kvだけシフトする。ここでkは光の波数である。また、共鳴光を 吸収した原子はエネルギー保存則により励起状態へ遷移し、運動量保存則から吸収した光の運動方 向とは逆方向で吸収した光の運動量と同じ大きさの運動量を受け取る(2.3()())。その後、

励起状態の原子は自然放出を伴うことにより、励起状態から脱励起を起こす事によって基底状態 に緩和する(2.3()())。自然放出は等方的にランダムに生じるため、自然放出による光に よっても反跳を受け運動量を受け取るが、これによる運動量の変化は冷却の過程において平均化さ れほとんどが無くなる。図2.2の関係と図2.3の過程を上手く利用することにより、実際のドップ

(10)

2.1 簡略化のための二準位系

基底状態を|g⟩、励起状態を|e⟩で表している

2.2 ドップラー冷却と共鳴周波数のシフトについて

(a)ドップラー冷却における光と原子の関係 (b)ドップラー効果による二準位間のエネルギーシ フト(ドップラーシフト)(c)ドップラー効果による共鳴周波数のシフト

ラー冷却では対向させるレーザーの周波数を共鳴周波数よりも負に離調することによって、原子の 進行方向と対向する光が原子に共鳴しやすくなる。このように原子の運動による光の周波数シフト を上手く利用し、原子の速度を減らす冷却方法がドップラー冷却と呼ばれている。この冷却方法の 温度の下限は先の脱励起の過程における反跳の大きさによって決められる。原子の自然幅:Γを用 いてドップラー冷却の限界温度TDは以下の様に表せる。

TD= ¯ 2kB

(2.5)

87RbD1遷移の場合Γ = 2π×5.75MHzであるので、ドップラー冷却限界温度は138µKとな る。

(11)

第2 章 原理 6

2.3 光による基底状態の原子の励起と、自然放出を伴う励起状態の原子の緩和の過程

2.4 ドップラー冷却における原子の運動と光の照射方向の関係

2.2.2 磁気光学トラップ (MOT) の基本原理

磁気光学トラップ(MOT)はレーザーによる輻射圧と磁場勾配による原子の感じるポテンシャル によって原子の冷却と捕獲を同時に行う手法である。本節では原子が磁場中にさらされることに よって生じるエネルギーシフト(ゼーマンシフト)や、磁場勾配と冷却に用いる光の関係について 説明を行う。

ゼーマンシフト

磁場中に存在する原子について考える。簡単のために、先程のドップラー冷却と同様一次元方向 として三次元空間におけるz軸方向にのみ考える。z軸方向の磁場によって原子は以下のようなポ テンシャルを感じる。

U =gFµBmFBz (2.6)

gF はランデのg因子であり、µB はボーア磁子、mF は原子の磁気量子数、Bz はz軸方向の磁場 の大きさを表している。また、この際の磁場の方向を原子のエネルギーシフトする向きの軸として 量子化軸と本論文では呼ぶことにする。

(12)

MOTの系の概略

磁気光学トラップの概略図は図2.5(a)のようになる。ここでσは量子化軸(本論文では磁場の 向き)に対して左回りの円偏光を表している。量子化軸に対して右回りの円偏光はσ+と表すこと にする。先の小節では磁場中の原子について考えた。実験では原子に磁場を与える役割としてアン チヘルムホルツコイルを用いて磁場勾配を形成している。アンチヘルムホルツコイルとは巻数や大 きさが同じであり、流す電流の向きが逆になっているコイルのペアである。このコイルのペアによ

り、図2.5(b)のような磁場勾配を作ることが可能である。コイルの中心部では磁場がなく、中心

から離れるにつれて磁場の大きさが大きくなっている。この磁場勾配中の原子の二準位として全角 運動量F=0、と全角運動量F=1の二準位系を考えると式2.6よりゼーマンシフトしたエネルギー は図2.5(c)のようになる。

2.5 磁気光学トラップの概略図

(a)アンチヘルムホルツコイルとビームの偏光の関係 (b)アンチヘルムホルツによるx−z平面 の磁場勾配 (c)F=0F=1を二準位系とした際のアンチヘルムホルツコイル中の原子のゼーマ

ンシフト

(13)

第2 章 原理 8

この様に磁気副準位への共鳴は遷移選択則からσ+であればmF = +1のシフトした二準位間の エネルギー差に対応し、σ であればmF =−1のシフトに対応する。これにより、σの円偏光 を原子の共鳴周波数より負に離調を取ることにより、原子がコイルの中心に行くにつれて光の影響 を受けにくくなることから、磁場の極小点に原子集団を生成することが可能となる。このような磁 場によるエネルギーシフトを用いた冷却と磁場の極小点に原子を捕獲する手法を磁気光学トラップ と呼んでいる。

2.2.3 光源の周波数安定化

本節では光源の発振周波数を原子の共鳴周波数に調整するための手法として用いられるFM イドバンド分光法について説明を行う。また、FMサイドバンド分光法における周波数の基準を得 るための背景知識として飽和吸収分光法について初めに説明を行う。

飽和吸収分光法

光源の周波数を原子の共鳴周波数に合わせるために、基準となる原子の共鳴周波数を得る必要が ある。運動している原子は先の節で記述したように共鳴周波数に対して原子の持つ速度に応じた周 波数シフトが生じる。一方で、周波数シフトを無視することができれば目的とする周波数を得るこ とができる。そこで、この周波数シフトを無視して原子の共鳴周波数を得ることのできる手法が飽 和吸収分光法である。飽和吸収分光法は図2.6(a)のような系によって実現することができる。こ

2.6 飽和吸収分校の概略図と原子の速度分布

(a)飽和吸収分光法の系の概略図 (b)PumpIP umpとProbeIP robeの強度と原子の飽和強 度Isatとの関係 (c)飽和吸収分光における原子数分布の遷移

こでも説明の簡略化のために原子を二準位系として考える。運動する原子は速度に応じた分布を

(14)

持つ。図2.6(c)では基底状態の原子数をNg(v)とし、励起状態の原子数をNe(v)として表してい る。運動する原子はその速度に応じて吸収する周波数に広がりを持っている。飽和吸収分光の系に

おいて、Pump光とProbe光は静止した原子の共鳴周波数ではないときに、対応する速度を持つ

原子によって吸収される(2.6(c))。これにより、基底状態にある原子は励起され励起状態へ遷移 し、フォトディテクター(PD)が受けるProbe光の強度は減少する。一方で、光源の周波数が静止 する原子の共鳴周波数のときには原子の飽和強度Isat以上の強度をもつPump光を原子が吸収す ることにより、原子セルを透過するProbe光の強度は他の場合に比べ上昇する。Pump光の強度 の指標となる飽和強度は以下のような式で表すことができる。

Isat = ¯3Γ

12π2 (2.7)

これにより、PDから得られる信号では原子運動による周波数シフトの影響が軽減された信号を得 ることができる(2.6(c))。この信号はドップラー効果の影響を受けていないことからドップラー フリーと呼ばれ、この信号が光源の周波数を安定化させるための基準として扱われる。

しかし、実際の原子は二準位系ではなく、複雑なエネルギー準位の構造を持っている(図2.7(a))。 そのため、二準位系では考慮していなかった第三準位への励起も考慮する必要がある。これによ り、実際の実験ではクロスオーバーと呼ばれる信号を見ることができる(2.7(b))

2.7 87Rbのエネルギー準位構造と三準位系を考えた際のクロスオーバー

FMサイドバンド分光法

先の飽和吸収分光法によって得られたドップラーフリーなシグナルを用いて光源の周波数を安 定化させる手法としてFMサイドバンド分光法と呼ばれる方法がある。図2.8のような系によっ て光源にフィードバックをかけている。電気光学変調器(Electoro Optical Modurator:EOM)

(15)

第2 章 原理 10

よってProbe光に±ωmの変調をかけ、PDからの信号をMixerで復調する。それにより、飽和吸

収分光法によって得られた信号は微分され、servo回路を通じて光源にフィードバックをかける信 号として使われる。

2.8 FMサイドバンド分光法を用いた周波数安定化の概略図

2.2.4 光ポンピング

本研究では単一内部状態へ原子を掃き寄せるための方法として光ポンピングという技術を導入 している。これは磁場により誘起された原子の磁気副準位と、光の偏光状態によって生じる遷移 選択則を利用している。原子の量子化軸に対して右回りの偏光をσ+、左回りの偏光をσ とすれ ば、遷移選択則は図2.9の様に、磁場中の原子が受ける光の偏光がσ+偏光の場合には磁気量子数 が増える方向に、σ偏光の場合には減る方向に、π偏光の場合には励起状態と同じ磁気量子数へ の遷移が生じる。 実験では磁場中の原子に対しσ+偏光の光を入射することを想定している。こ

2.9 遷移選択則の概略図

れにより原子は基底状態よりも磁気量子数が増えるように遷移していく。これにより、最終的には 図2.10のような遷移先の状態が存在しない磁気量子数へと遷移する。これにより、遷移先の存在 しない状態の原子は光と相互作用することなく、その状態に留まる。

(16)

2.10 光ポンピングの概略図

2.2.5 光誘起衝突過程

 最後に光誘起衝突過程の概要について記す。この節は [13]を参考にした。原子間距離R R < λ0/2πのような原子集団では原子間の双極子-双極子力による相互作用によって図2.11のよ うなエネルギー構造を持っている。双極子-双極子力による影響を受けた原子ペアは式2.8のよう

2.11 二原子の、原子間距離とエネルギー構造

なポテンシャルのシフトが生じる。

V±=±C3

R3 (2.8)

このポテンシャルを考慮した際に原子が光を吸収、放出する過程で加熱が生じてしまう現象が光誘 起衝突過程である。図2.11は原子間距離が近い原子のペア|S+S⟩を基底状態、|S+P⟩を励起 状態として考えているエネルギーの構造であり、励起状態のエネルギー準位から上下にずれた位置 にある構造は先の二準位の共鳴周波数に対し、負に離調をとった場合(赤方離調)と、正に離調を とった場合(青方離調)それぞれの光によるエネルギーの共鳴構造を表している。レーザー冷却の 過程では原子の共鳴周波数に対して赤方離調をとった周波数のレーザーを用いるため、赤方離調で のエネルギー構造について考える。図2.12のエネルギー準位構造では、ある原子間距離よりも原 子間距離が小さくなった際に原子ペアは、自身らによって作られるポテンシャルの勾配によりポテ

(17)

第2 章 原理 12

2.12 赤方離調における二原子の、原子間距離とエネルギー構造

ンシャルの低い原子間距離へと移動し緩和する。これにより、励起した際のエネルギーよりも低い エネルギーの状態から緩和することにより、このエネルギー差∆E に応じたエネルギーは原子ペ アに均等に分配される。そのため、∆E/2が原子集団のトラップポテンシャルよりも大きい際には トラップから原子が脱離してしまい、原子数損失が生じてしまう。 ポテンシャルの勾配による加 速によって原子数損失が生じる領域に原子間距離が到達するために要する時間はポテンシャルの勾 配による運動方程式を積分することによって得ることができる。

t(R0) = M 4

1/2R0

0

dR (C3

R3 −C3

R30 )1/2

(2.9) この式はレーザーと分子のポテンシャルの共鳴周波数差∆τ と原子の共鳴周波数とレーザーの周波 数差∆を用いて書き直すと以下のようになる。

t(R0) = ∆τ

5/6

ΓM1 (2.10)

この時間と自然放出の関係から原子集団での損失レートは以下のようになる。

γ = ∆τ

5/6

(2.11) 実験ではこのような原子の加熱を生じさせないレーザーの周波数を調査するために、安定した波長 に対して任意の離調をとり、掃引できる仕組みが必要である。

(18)

第 3

実験系

3.1 外部共振器レーザー (ECDL)

3.1 実験に用いているECDL

本実験では光源として研究室で作成した外部共振器レーザー(ECDL)を用いている。ECDL はLDの外側に共振器の構造を持ち、波長λが共振器長Lに対して式3.1を満たすときにLD で光が増幅され発振する。

= 2L (3.1)

しかし、以上の条件ではECDLは様々な波長が条件を満たし、発振してしまうため、LDへ戻 る波長を実験に用いる波長に近くする必要がある。この波長の選択をホログラフィック反射型 回折格子を用いることによって行っている。本実験で用いているECDLLittrow 型と呼ばれ る形式のもので、外部共振器内に設置した回折格子を操作することによって共振器長を調整し、

LDへ戻る波長を回折格子で回折した1 次光に限定することによって狭い線幅での光源を実現 している。回折格子の操作には圧電素子(PZT素子)を用いており、印加する電圧を制御するこ とによって共振器長の制御を行っている。本実験ではLD としてeagleyard Photonics社製の

(19)

第3 章 実験系 14

EYP-RWE-0840-06010-1500-SOT02-0000を用いており、波長840nmでの動作が適している。目 的としている波長は87RbのD1遷移に対応した波長795nmの光源であるため、PZT素子による 共振器長の調整を行うことによって目的の波長を発振している。

3.2 Servo 回路

本実験ではFMサイドバンド分光法を行う事によって得られたエラー信号によって原子の共鳴 周波数付近にレーザーの発振周波数を安定化させている。本研究室ではservo回路を用いてPZT 素子にフィードバックをかけることによってECDLの共振器長を操作している。

3.2 servo回路の回路図

3.3 FM サイドバンド分光の系の作成

周波数安定化のために本実験ではFMサイドバンド分光法を採用しており、図3.3は実験系の概 略図である。図中のPBS①によってレーザーを周波数安定化の系とポンピングを行う冷却原子集 団を生成している系に分けている。本研究では周波数の安定化を目的としているため、周波数安定 化のための系の構成について説明を行う。PBSで分けた光をファイバーカップラーを通じてファ

(20)

3.3 FMサイドバンド分光法の実験系

イバー結合型EOMへ入射し、その後周波数安定化のためのFMサイドバンド分光を行う系へと 入射している。FMサイドバンド分光においてPDで得られた信号はAC成分とDC成分を分け、

DC成分に関してはオシロスコープで確認し、AC成分に関してはmixerに入れ復調している。こ れによって得られたエラーシグナルをもとにservo回路でPZT素子にフィードバックをかけるこ とによって周波数の安定化を図る。

3.4 光誘起衝突過程抑制へ向けた準備

光源の周波数を安定化しながら周波数を掃引する取り組みとしてEOMを用いた周波数掃引を 行う。本実験に用いるEOMiXBlue社製のfiber EOMであるNIR-MPX800-LN-05-00-P-P-

FA-FAを用いる。ファイバー結合型EOMによって光源のキャリアから±ωの角周波数の位置に

サイドバンドが形成される。このサイドバンドに対してFMサイドバンド分光を行う事によって サイドバンドが原子の共鳴周波数に調整され、光源のキャリアは原子の共鳴周波数からファイバー EOMによる変調分だけずれた位置で発信することが可能になる。

 スペックシートによれば今回用いるファイバー結合型EOMは入射光と透過光の強度比が4.6dB である[14]。ファイバー EOMを出射後の光の強度は飽和吸収分光ではPump光と原子の飽和強 度の関係とProbe光から原子の飽和強度以上の強度が必要である。今回用いる遷移は87RbD1 遷移であるので飽和強度はIsat = 4.484(5)mW/cm2である。この変調を確認するために図3.4 うな系を組み実験を行った。実験に用いているファブリペロー共振器は実験室で作成したものであ り、フリースペクトルレンジ(FSR)1GHz程度である。ファブリペロー共振器は図3.5のよう な構造を持っており、共振の条件を満たす波長のみが共振器ミラーを透過することによって信号を

(21)

第3 章 実験系 16 得ることができる。

3.4 周波数変調を確認する実験系

3.5 ファブリペロー共振器

(22)

第 4

実験結果

4.1 FM サイドバンド分光

FMサイドバンド分光を行った結果について記す。実験は図4.1のような系で行った。EOM thorlabs社製の EO-PM-R-15-C1を用いている。このEOMの共振周波数は15MHzに設計され ているため、変調周波数としてファンクションジェネレーターからの変調周波数を15MHzとして 実験を行った。

FMサイドバンド分光によって得られた信号は図4.4(a)のようになった。実験によって得られ

4.1 FMサイドバンド分光の系の概略図

た吸収線は図4.4(b)に示すように参考にしたRbの吸収線のスペクトルと比較した際に傾向と して87RbD1遷移に対応した信号であることが確認できる [1]。また、FMサイドバンド分光法

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第4 章 実験結果 18 による微分信号は吸収線の増加傾向に対応した信号になっていることが確認できる。

4.2 FMサイドバンド分光によるエラーシグナルとRb原子の吸収線[1]

4.2 ファイバー結合型 EOM による周波数変調

 ファイバー結合型EOMによる変調を確認するためファブリペロー共振器を用いた測定を行っ た。結果は図4.3の様になった。 ファブリペロー共振器のFSR1GHzであるため、キャリア

4.3 ファブリペロー共振器を用いて確認した周波数変調の様子

の信号の間隔を基準に±800MHzの位置にファイバー結合型EOMによる±1次のサイドバンド を確認することができた。

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4.3 ± 1 次サイドバンドによる吸収線の観測

 最後に、ファイバー結合型EOMによって生成されたサイドバンドによって87RbD1遷移 に対応した吸収線による微分信号が得られるかの確認を行う。先のFMサイドバンド分光によっ て得られた吸収線は5S1/2, F = 2から5P1/2, F = 2,3とこれらの遷移間のクロスオーバーによる 信号であり、5P1/2, F = 2,3の間の共鳴周波数差は約816.6MHzであるからキャリアによる吸収 線に、サイドバンドによる吸収線が干渉しないようファイバー結合型EOMによる変調を900MHz に設定し、サイドバンドによる吸収線の様子を確認した[11]。その結果が図4.4である。赤線で示 した信号はファイバー結合型EOMによる変調を与えなかった場合の吸収線であり、橙色で示した

信号は900MHzの変調を与えた際の信号である。橙色の信号ではキャリアによる吸収線の左右に

±1次のサイドバンドによる吸収線を確認することができた。また、青色の信号は900MHzの変調 を与えたレーザーを用いたFMサイドバンド分光法による微分信号であり、吸収線のディップの位 置に対応するように微分信号を確認することができた。

4.4 キャリアと±1次サイドバンドによる吸収線の様子

(25)

20

第 5

まとめと今後の展望

本研究では光誘起衝突過程を抑制するための光源開発を目的としている。光誘起衝突過程を抑制 した周波数を探索するために、先行研究では光会合分光後、最もトラップ中の原子の存在確率が高 い周波数を中心に1GHzの領域を10MHz間隔で掃引することによって光誘起衝突過程による原子 数損失の影響を観測していた[6]。そのため、本研究では先行研究と同様に1GHz程度の領域を自 由に掃引することが可能な光源の開発を目的としている。実験では周波数掃引のためのファイバー 結合型EOMの動作確認を行い、また、生成されたサイドバンドによる吸収線とその微分信号を確 認することができた。今後はこの微分信号を用いてレーザーの周波数を安定化し、実際にMOT の原子集団に対して照射することによって原子数損失の様子を観測する。また、現在はFMサイド バンド分光法によって微分信号を得ているが、今後は吸収線のオフセットの影響を受けない変調移 行分光法を用いることを予定している。変調移行分光法について現在では、周波数安定化のために 有用なS/N比の微分信号が得られていないため、ロック回路やフォトディテクターなどの周辺機 器のノイズ対策や、分光に用いている系のパス調整などの改善を行っている。

(26)

参考文献

[1] moglabs. Dlc performance.

[2] S. Chu et al. Three-dimensional viscous confinement and cooling of atoms by resonance radiation pressure. Phys. Rev. Lett.,55, 48–51, 1985.

[3] E. L. Raab et al. Trapping of neutral sodium atoms with radiation pressure. Phys. Rev.

Lett.,59, 2631–2634, 1987.

[4] M. H. Anderson et al. Observation of bose-einstein condensation in a dilute atomic vapor.

Science,269, 198–201, 1995.

[5] K. B. Davis et al. Bose-einstein condensation in a gas of sodium atoms. Phys. Rev. Lett., 75, 3969–3973, 1995.

[6] A. Urvoy et al. Direct laser cooling to bose-einstein condensation in a dipole trap. Phys.

Rev. Lett.,122, 203202, 2019.

[7] 田崎 晴明. 統計力学Ⅱ. 培風館, 2008.

[8] 町田 一成. ボーズ・アインシュタイン凝縮. 吉岡書店, 2005.

[9] C. J. Foot. Atomic Physics. Oxford University Press, 2005.

[10] 白鳥 智彰. 87Rb原子のD1遷移用冷却光源の周波数安定化と光学系の構築. 電気通信大学大 学院,平成30.

[11] D. A. Steck. Rubidium 87 D Line Data. Oregon Center for Optics and Department of Physics, University of Oregon, 2001.

[12] R. Grimm, M. Weidem¨uller, Y. B. Ovchinnikov. Optical dipole traps for neutral atoms, 1999.

[13] W. John.Cold and Ultracold Collisions in Quantum Microscopic and Mesoscopic Systems.

Cambridge University, 2003.

[14] iXblue. Modulator datasheet nir-mpx800-ln series.

(27)

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謝辞

私は大学院から電気通信大学に入学し、この二年間は岸本研究室にて研究活動に勤しませていた だきました。この二年間は多くの方からのご指導、ご協力をいただきました。

指導教員である岸本先生には、日々の研究室活動の中で物理や工学、実験に関する知識や技術な ど、本当に多くのことを教えていただきました。学生一人ひとりが十分に理解できるよう、修学段 階にあったご指導をいただけたことに心から感謝をしております。また、実験を効率よくすすめる ための論理的な思考や見積もりなど、日常の会話の中でも参考になる考えや知識など多くのことを 学ばせていただけたと感じております。今の自分では十分に活かしきれるものではないかと思いま すが、これからの日々の中で実践し自身の糧にできるようにしたく思います。二年間、本当にお世 話になりました。

 丹治先生、Kali先生には大学院輪講の際に大変お世話になりました。丹治先生には大学院輪講 だけでなく、研究活動に関しましても大変お世話になりました。先生方は大学院輪講では発表者の 理解を促すだけでなく、参加者全員にとって有意義な時間になるようフィードバックをしていただ き、私自身冷却原子に対する理解が深まったと感じております。本当にお世話になりました。

 同期の本田くんには研究室に配属されてから現在に至るまで、研究室以外の時間でもお世話にな りました。特に、研究においては多くの知識や必要な電気回路に関する知識や技術を教えていただ き感謝しております。研究室以外の時間ではネットを介して楽しい時間を過ごすことができたこと にも感謝しています。

修士1年の浦川くん、竹内くんは日々の些細な会話に付き合ってもらったことに大変感謝していま す。こうして謝辞を書いている今、私自身の気持ち的には配属された当初よりも仲良くなれている のではないかと感じております。ありがとうございました。これからも頑張って研究に励んでくだ さい。

学部4年生の秋山くん、井指くん、大野くんも、日々の些細な会話に付き合ったもらえたことに感 謝しています。研究に関係のない互いの趣味や興味のある知識など純粋に友人感覚で関わることが できたと感じています。また、研究に関してもわからないことを率直に聞いてくれたりと、自身の 知識不足を実感させてくれることが多々あり、自分自身学びになったと感じています。それぞれ異 なる道に進むようですが、体に気をつけて頑張ってください。

こうして謝辞を書いていると上記の方々だけでなく、より多くの方への感謝の思いを自覚します。

私に物理の面白さを教えてくれた恩師や冷却原子に興味を抱かせてくださった恩師、私が感じてい る研究に関する面白さを支離滅裂に聞いてくれた友人たち、そして何よりそのような出会いに巡り

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合えるよう不自由なく育ててくださった両親には感謝の気持でいっぱいです。ありがとうございま した。

最後になりますが、今までのすべての出逢いと両親に感謝の言葉を贈り結びとさせていただきま す。ありがとうございました。

参照

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