インバータの上手な使い方
(電気ノイズ予防対策について)
インバータの上手な使い方(電気ノイズ予防対策について)
1. はじめに
汎 用 イ ン バ ー タ は , パ ワ ー デ バ イ ス や 制 御 技 術 の 進 展 に よ る 継 続 的 な 製 品 開 発 に よ り , 産 業 界 の 合 理 化 ・ 省 エ ネ ル ギ ー 化 の ニ ー ズ に 応 え る 産 業 用 モ ー タ の 可 変 速 装 置 と し て 需 要 が 拡 大 し , そ の 後 , 産 業 機 械 の 高 付 加 価 値 の ニ ー ズ に 相 ま っ て め ざ ま し い 発 展 を 遂 げ て ま い り ま し た 。 こ の よ う に 便 利 な イ ン バ ー タ も , 設 置 台 数 の 増 大 や 人 の 居 住 環 境 及 び 作 業 場 所 の 近 く で 使 用 さ れ る ケ ー ス の 増 大 に 伴 っ て , 周 辺 の 電 子 機 器 に 与 え る 電 気 ノ イ ズ の 障 害 や , モ ー タ か ら 発 生 す る 騒 音 が 問 題 と な る こ と が あ り ま す 。 騒 音 に つ い て は ,10kHz以 上 の 高 キ ャ リ ア 周 波 数 PWMを 採 用 し た 低 騒 音 タ イ プ の イ ン バ ー タ に よ っ て 解 決 さ れ つ つ あ り ま す 。 電 気 ノ イ ズ は , イ ン バ ー タ を 含 め た 装 置 と し て 検 討 す る こ と に よ っ て 予 防 で き ま す 。 し か し , 設 置 条 件 に よ っ て は ノ イ ズ の 影 響 を 受 け る 場 合 も あ り ま す 。 こ の パ ン フ レ ッ ト で は イ ン バ ー タ の ノ イ ズ 問 題 に つ い て , 発 生 原 理 か ら 具 体 的 な 対 策 方 法 な ど に つ い て 易 し く 解 説 し て い ま す 。 ご 一 読 の 上 , ノ イ ズ 問 題 の 予 防 対 策 を さ れ る こ と を お 薦 め い た し ま す 。2. ノイズとは
イ ン バ ー タ が 発 生 す る ノ イ ズ に つ い て , そ の 発 生 原 理 , ノ イ ズ の 影 響 を 受 け や す い 機 器 へ の 影 響 の 概 要 を 以 下 に 説 明 し ま す 。2.1 インバータのノイズ
図1は , イ ン バ ー タ の 概 略 構 成 図 で す 。 イ ン バ ー タ は , コ ン バ ー タ 部 で 交 流 を 直 流 に 変 換 (順 変 換)し , イ ン バ ー タ 部 の 6個 の ト ラ ン ジ ス タ の ス イ ッ チ ン グ に よ る PWM制 御 で 三 相 の 可 変 電 圧 , 可 変 周 波 数 の 交 流 に 変 換(逆 変 換 )し て モ ー タ を 可 変 速 制 御 し ま す 。 こ の6個 の ト ラ ン ジ ス タ の 高 速 の オ ン ・ オ フ に よ り ス イ ッ チ ン グ ノ イ ズ が 発 生 し ま す 。 高 速 の オ ン ・ オ フ は , ス イ ッ チ ン グ ご と に イ ン バ ー タ , 入 出 力 電 線 や モ ー タ と 大 地 間 に 存 在 す る 浮 遊 容 量 (C)を 経 由 し て ノ イ ズ 電 流 (i)が 流 れ ま す 。 こ の ノ イ ズ 電 流 の 大 き さ は , i=C・ dv/dt と な り , 浮 遊 容 量(C)と dv/dt(ト ラ ン ジ ス タ の ス イ ッ チ ン グ 速 度 )に 関 係 し ま す 。 ま た , こ の ノ イ ズ 電 流 は ト ラ ン ジ ス タ の オ ン ・ オ フ ご と に 流 れ る の で キ ャ リ ア 周 波 数 に も 関 係 し ま す 。 な お , 制 御 回 路 の た め の 電 源 用DC/DCコ ン バ ー タ も ト ラ ン ジ ス タ に よ る ス イ ッ チ ン グ を 行 っ て い る た め , ノ イ ズ 発 生 源 に な り ま す 。 こ れ ら の ノ イ ズ の 周 波 数 帯 は , 数 十MHzに わ た り , AMラ ジ オ , 工 場 無 線 , 電 話 な ど の 通 信 機 器 に 影 響 を 与 え る こ と が あ り ま す 。図 1 インバータの概 略 構 成 図
2.2 ノイズの種 類
イ ン バ ー タ の 発 生 す る ノ イ ズ は , 主 回 路 の 配 線 を 通 し て 電 源 側 及 び モ ー タ 側 へ 伝 搬 さ れ , 電 源 変 圧 器 か ら モ ー タ ま で の 広 い 範 囲 に 影 響 を 与 え ま す 。 ノ イ ズ の 伝 搬 ル ー ト は , 図2に 示 す よ う に い ろ い ろ あ り ま す が , 大 別 す る と , 伝 導 ノ イ ズ , 誘 導 ノ イ ズ , 放 射 ノ イ ズ の3つ の ル ー ト に な り ま す 。 ① ~ ③ は 伝 導 ノ イ ズ , ④ は 誘 導 ノ イ ズ , ⑤ は 放 射 ノ イ ズ で す 。 以 下 に , 詳 細 に 説 明 し ま す 。 図 2 ノイズの伝 搬 ルート2.2.1 伝 導 ノイズ
イ ン バ ー タ 内 で 発 生 し た ノ イ ズ が , 導 体 を 伝 わ っ て 周 辺 の 機 器 へ 影 響 を 与 え る の が 伝 導 ノ イ ズ で す 。 ① の 主 回 路 を 伝 わ っ て 電 源 を 経 由 し て の 伝 達 が あ り ま す 。 ま た , ア ー ス 線 を 共 通 接 続 し た 場 合 に は , ② の ル ー ト を 経 由 し て の 伝 達 が あ り ま す 。 ま た , ③ の よ う に , セ ン サ の 信 号 線 や シ ー ル ド 線 を 経 由 す る ノ イ ズ も あ り ま す 。 図 3 伝 導 ノイズ2.2.2 誘 導 ノイズ
ノ イ ズ 電 流 の 流 れ て い る イ ン バ ー タ の 入 力 側 や 出 力 側 の 電 線 に 周 辺 機 器 の 電 線 や 信 号 線 を 近 付 け る と , 電 磁 誘 導(図 4)や 静 電 誘 導 (図 5)に よ っ て 周 辺 機 器 の 電 線 や 信 号 線 に ノ イ ズ が 誘 導 さ れ ま す 。 こ れ が ④ の 誘 導 ノ イ ズ で す 。 図 4 電 磁 誘 導 ノイズ 図 5 静 電 誘 導 ノイズ2.2.3 放 射 ノイズ
イ ン バ ー タ 内 で 発 生 し た ノ イ ズ が , 入 力 側 や 出 力 側 の 主 回 路 電 線 , 接 地 線 が ア ン テ ナ と な っ て 空 中 に 放 射 さ れ 周 辺 機 器 や 放 送 ・ 無 線 通 信 に 影 響 を 与 え る の が ⑤ の 放 射 ノ イ ズ で す 。 放 射 ノ イ ズ は , 配 線 に 限 ら ず モ ー タ の フ レ ー ム や イ ン バ ー タ の 収 納 盤 も ア ン テ ナ と な る こ と が あ り ま す 。 図 6 放 射 ノイズ3. インバータが電 子 機 器 や同 一 システム機 器 に与 える影 響 について
こ こ で は 急 速 に 適 用 分 野 の 拡 大 を 続 け て い る イ ン バ ー タ が , す で に 設 置 さ れ て い る 電 子 機 器 や イ ン バ ー タ と 同 一 シ ス テ ム に 組 み 込 ま れ た 機 器 に 与 え る 影 響 及 び 対 策 に つ い て 紹 介 し ま す 。(詳 細 は 「4.3具 体 例 」を ご 参 照 く だ さ い 。 )3.1 AMラジオへの影 響
(1) イ ン バ ー タ を 運 転 す る と 近 く の AMラ ジ オ に 雑 音 が 入 る 場 合 が あ り ま す 。 (* FMラ ジ オ , テ レ ビ に は ほ と ん ど 影 響 を 与 え ま せ ん 。) (2) イ ン バ ー タ か ら 放 射 さ れ る ノ イ ズ を ラ ジ オ が 受 信 す る こ と が 考 え ら れ ま す 。 (3) イ ン バ ー タ の 電 源 側 に ノ イ ズ フ ィ ル タ を 設 置 す る な ど の 対 策 が 効 果 的 で す 。3.2 電 話 への影 響
(1) イ ン バ ー タ を 運 転 す る と 通 話 中 の 電 話 に 雑 音 が 入 り 内 容 が 聞 き 取 り に く く な る 場 合 が あ り ま す 。 (2) イ ン バ ー タ 及 び モ ー タ か ら 放 出 さ れ る 高 周 波 漏 れ 電 流 が 電 話 ケ ー ブ ル の シ ー ル ド 線 に 入 り 込 ん で 雑 音 が 発 生 す る も の と 考 え ら れ ま す 。 (3) モ ー タ の 接 地 端 子 を 共 通 接 続 し , イ ン バ ー タ の 接 地 端 子 に 戻 す と 効 果 的 で す 。3.3 圧 力 センサへの影 響
(1) イ ン バ ー タ を 運 転 す る と 圧 力 セ ン サ が 誤 動 作 す る 場 合 が あ り ま す 。 (2) ア ー ス 線 を 介 し て ノ イ ズ が 信 号 線 に 侵 入 す る こ と が 考 え ら れ ま す 。 (3) イ ン バ ー タ の 電 源 側 に ノ イ ズ フ ィ ル タ を 設 置 す る , 入 出 力 電 線 や 接 地 線 と 制 御 回 路 配 線 を 分 離 す る な ど の 対 策 が 効 果 的 で す 。3.4 位 置 検 出 器 (パルスエンコーダ)への影 響
(1) イ ン バ ー タ を 運 転 す る と パ ル ス エ ン コ ー ダ が 誤 動 作 し て 停 止 位 置 ず れ が 発 生 す る 場 合 が あ り ま す 。 (2) モ ー タ 動 力 線 と エ ン コ ー ダ の 信 号 線 が 一 緒 に 束 ね ら れ て い る と き に 発 生 し 易 く な り ま す 。 (3) 動 力 線 と エ ン コ ー ダ の 信 号 線 を 分 離 し , 誘 導 ノ イ ズ , 放 射 ノ イ ズ の 影 響 を 下 げ る こ と が で き ま す 。 ま た , イ ン バ ー タ の 入 出 力 端 子 に ノ イ ズ フ ィ ル タ を 設 置 す る こ と も 対 策 と し て 効 果 が あ り ま す 。3.5 近 接 スイッチへの影 響
(1) イ ン バ ー タ を 運 転 す る と 近 接 ス イ ッ チ (静 電 容 量 形 )が 誤 動 作 す る 場 合 が あ り ま す 。 (2) 静 電 容 量 形 近 接 ス イ ッ チ の 耐 ノ イ ズ 性 が 低 い こ と が 原 因 と し て 考 え ら れ ま す 。 (3) イ ン バ ー タ の 入 力 端 子 に フ ィ ル タ を 接 続 し た り , 近 接 ス イ ッ チ の 電 源 の 0V側 を コ ン デ ン サ で 接 地 す る な ど の 処 理 が 効 果 的 で す 。 ま た , 磁 気 式 な ど の ノ イ ズ 耐 量 が 高 い 近 接 ス イ ッ チ に 交 換 す る 対 策 も あ り ま す 。4. 対 策
ノ イ ズ 対 策 は , 強 化 す る ほ ど 効 果 が あ が り ま す 。 し か し , 適 切 な 対 応 策 で あ れ ば 簡 単 な 手 段 で 解 決 で き る 場 合 も あ り , ノ イ ズ の 程 度 や 設 備 の 状 況 に 応 じ た 経 済 的 な 対 策 を 実 施 す る こ と が 必 要 で す 。4.1 事 前 の処 置
イ ン バ ー タ を 制 御 盤 に 収 納 す る 場 合 , 又 は イ ン バ ー タ(盤 )を 設 置 す る 場 合 , 事 前 に ノ イ ズ に 対 し て 配 慮 す る こ と が 大 切 で す 。 一 度 ノ イ ズ に 起 因 す る ト ラ ブ ル が 発 生 す る と , そ の 解 決 の た め の 機 材 , 時 間 な ど 大 き な 出 費 が 必 要 と な り ま す 。 ノ イ ズ に 対 す る 事 前 の 処 置 と し て は , ① 主 回 路 と 制 御 回 路 の 配 線 を 分 離 す る 。 ② 主 回 路 配 線 を 金 属 管(コ ン ジ ッ ト パ イ プ )に 収 納 す る 。 ③ 制 御 回 路 に シ ー ル ド 線 , ツ イ ス ト シ ー ル ド 線 な ど を 採 用 す る 。 ④ 適 確 な 接 地 工 事 , 接 地 配 線 を 施 す 。 な ど が あ り , こ れ ら の 処 置 に よ っ て , 大 半 の ノ イ ズ ト ラ ブ ル を 回 避 す る こ と が で き ま す 。4.2 対 策 の仕 方
ノ イ ズ 対 策 に は , 伝 搬 経 路 に 応 じ た 処 置 方 法 , 及 び ノ イ ズ の 影 響 を 受 け る 機 器 で の 対 処 方 法 が あ り ま す 。 基 本 的 な 対 策 は , ノ イ ズ の 影 響 を 受 け る 側 の 機 器 に つ い て は , ① 主 回 路 及 び 制 御 回 路 の 配 線 を 分 離 す る な ど , ノ イ ズ の 影 響 を 受 け に く く す る 。 一 方 , ノ イ ズ を 発 生 す る 側 の 機 器 の 処 置 と し て は , ② ノ イ ズ フ ィ ル タ の 設 置 な ど , ノ イ ズ の レ ベ ル を 下 げ る 。 ③ 金 属 配 線 管 , 金 属 製 制 御 盤 の 採 用 な ど , ノ イ ズ を 封 じ 込 め る 。 ④ 電 源 用 絶 縁 変 圧 器 の 採 用 な ど , ノ イ ズ の 伝 搬 ル ー ト を 断 つ 。 な ど の 方 法 を 採 用 し ま す 。 表1に ノ イ ズ ト ラ ブ ル 防 止 方 法 , そ の 目 的 , 対 策 の 対 象 と な る ノ イ ズ の 伝 搬 経 路 な ど を 整 理 し て 示 し ま す 。4.2.1 配 線 と接 地
イ ン バ ー タ を 収 納 す る 制 御 盤 の 内 外 を 問 わ ず , 主 回 路 及 び 制 御 回 路 の 配 線 は 極 力 分 離 し , 制 御 回 路 の 配 線 に は シ ー ル ド 線 , ツ イ ス ト シ ー ル ド 線 な ど , ノ イ ズ が 侵 入 し に く い 電 線 を 使 用 す る と と も に , 配 線 距 離 が 最 短 と な る よ う に し ま す(図 7参 照 )。 主 回 路 配 線 及 び 制 御 回 路 配 線 の 束 線 は も ち ろ ん , 並 行 配 線 に も な ら な い よ う に 注 意 し ま す 。図 7 配 線 分 離 の仕 方 主 回 路 配 線 は , 金 属 配 線 管 を 採 用 し , 接 地 配 線 す る こ と に よ っ て , ノ イ ズ の 伝 搬 を 防 止 し ま す (図 8参 照 )。 シ ー ル ド 線 の シ ー ル ド は , 原 則 と し て 一 点 の み を 制 御 回 路 配 線 の 基 準(コ モ ン )側 に 接 続 し , 多 点 接 続 に よ る ル ー プ の 形 成 を 避 け ま す(図 9参 照 )。 接 地 は , 漏 電 に よ る 感 電 防 止 は も ち ろ ん , ノ イ ズ の 侵 入 , 放 射 防 止 の 効 果 が あ り ま す 。 接 地 工 事 は , 主 回 路 電 圧 に 応 じ てC種 接 地 工 事 (AC300~ 600V), D種 接 地 工 事 (AC300V以 下 )と し , 各 接 地 配 線 は , 専 用 接 地 を 設 け る か , 又 は 接 地 点 ま で 各 々 別 個 に 布 設 し ま す 。 図 8 金 属 配 線 管 の接 地 図 9 シールド線 の処 理
表 1 ノイズ障 害 防 止 方 法 ノ イ ズ 障 害 の 防 止 方 法 ノ対 策 の ね ら い 伝 搬 経 路 イ ズ を 受 け に く く す る ノ イ ズ の 伝 達 を 断 つ ノ イ ズ を 封 じ 込 め る ノ イ ズ レ ベ ル を 下 げ る 伝 導 ノ イ ズ 誘 導 ノ イ ズ 放 射 ノ イ ズ 配 線 及 び 設 置 主 回 路 , 制 御 回 路 の 配 線 分 離 ○ ○ 最 短 配 線 距 離 ○ ○ ○ ○ 平 行 配 線 , 束 線 の 回 避 ○ ○ 適 切 な 接 地 ○ ○ ○ ○ シ ー ル ド 線 , ツ イ ス ト シ ー ル ド 線 の 採 用 ○ ○ ○ 主 回 路 シ ー ル ド ケ ー ブ ル の 採 用 ○ ○ 金 属 配 線 管 の 使 用 ○ ○ ○ 制 御 盤 盤 内 機 器 の 適 性 配 置 ○ ○ ○ 金 属 製 制 御 盤 ○ ○ ○ ノ イ ズ 対 策 用 機 器 ラ イ ン フ ィ ル タ ○ ○ ○ ○ 絶 縁 変 圧 器 ○ ○ ○ ノ イ ズ を 受 け る 側 の 処 置 制 御 回 路 用 パ ス コ ン の 採 用 ○ ○ ○ 制 御 回 路 用 フ ェ ラ イ ト コ ア な ど の 採 用 ○ ○ ○ ラ イ ン フ ィ ル タ ○ ○ そ の 他 電 源 系 統 の 分 離 ○ ○ ○ キ ャ リ ア 周 波 数 を 下 げ る ○ ○ ○ ○
4.2.2 制 御 盤
イ ン バ ー タ を 収 納 し た 制 御 盤 は , 一 般 に 金 属 製 で あ り , こ の 金 属 箱 を 設 置 す る こ と に よ っ て イ ン バ ー タ 自 体 か ら の 放 射 ノ イ ズ を 遮 へ い す る こ と が で き ま す 。 ま た , 同 じ 制 御 盤 内 に プ ロ グ ラ マ ブ ル コ ン ト ロ ー ラ な ど , ほ か の 電 子 機 器 を 設 置 す る 場 合 に は , 各 機 器 の 配 置 に 十 分 注 意 し , 場 合 に よ っ て は イ ン バ ー タ 本 体 と 周 辺 機 器 の 間 に 遮 へ い 板 を 設 け る な ど の 処 置 を 行 い ま す 。4.2.3 ノイズ対 策 用 機 器
電 路 を 伝 搬 す る ノ イ ズ や 主 回 路 配 線 か ら 空 中 伝 搬 す る ノ イ ズ を 低 減 す る に は , ラ イ ン フ ィ ル タ や 絶 縁 変 圧 器 を 採 用 し ま す(図 10参 照 )。 ラ イ ン フ ィ ル タ に は , 電 源 ラ イ ン に 並 列 接 続 す る 容 量 性 フ ィ ル タ , 直 列 接 続 す る 誘 導 性 フ ィ ル タ な ど の 簡 易 形 の フ ィ ル タ , 及 び ノ イ ズ 規 制 に 対 す る た め の 本 格 的 な フ ィ ル タ(LCフ ィ ル タ )が あ り , 目 的 と す る ノ イ ズ 低 減 効 果 に 応 じ て 使 い 分 け ま す 。 絶 縁 変 圧 器 に は , 一 般 的 な 絶 縁 変 圧 器 , シ ー ル ド ト ラ ン ス な ど が あ り , ノ イ ズ 伝 搬 を 阻 止 す る 効 果 が 異 な り ま す 。c) 入力用LCフィルタ
図 10 各 種 フィルタ及 び接 続 法4.2.4 ノイズを受 ける側 での処 置
イ ン バ ー タ と 同 一 の 制 御 盤 内 又 は 周 辺 に 設 置 さ れ た 電 子 機 器 自 体 で の 耐 ノ イ ズ 性 の 強 化 も 大 切 で す 。 こ れ ら の 機 器 の 制 御 回 路 配 線 に は , ラ イ ン フ ィ ル タ , 又 は シ ー ル ド 線 若 し く は ツ イ ス ト シ ー ル ド 線 を 使 用 し , ノ イ ズ の 侵 入 を 阻 止 す る と 共 に , ① 信 号 回 路 の 入 出 力 端 子 部 に コ ン デ ン サ 又 は 抵 抗 器 を 並 列 接 続 し , 回 路 イ ン ピ ー ダ ン ス を 低 く す る 。 ② 信 号 回 路 に 直 列 に チ ョ ー ク コ イ ル を 挿 入 す る , フ ェ ラ イ ト コ ア ビ ー ズ に 貫 通 さ せ る な ど , ノ イ ズ に 対 し て , 高 イ ン ピ ー ダ ン ス と す る 。 な ど の 処 置 を し ま す 。 ま た , 信 号 基 準 線(0Vラ イ ン )又 は 接 地 線 を 太 く す る こ と も , 有 効 な ノ イ ズ 対 処 法 で す 。4.2.5 その他
伝 搬(発 生 )す る ノ イ ズ の レ ベ ル は , イ ン バ ー タ の キ ャ リ ア 周 波 数 に よ っ て も 変 化 し , キ ャ リ ア 周 波 数 が 高 く な る ほ ど ノ イ ズ の 発 生 レ ベ ル も 高 く な り ま す 。 キ ャ リ ア 周 波 数 の 変 更 が で き る よ う に な っ て い る イ ン バ ー タ で は , 駆 動 時 の 電 動 機 騒 音 レ ベ ル と の 兼 合 い で , キ ャ リ ア 周 波 数 を 下 げ る こ と に よ っ て , ノ イ ズ の 発 生 を 低 減 す る こ と が で き ま す 。4.3 具 体 例
本 項 で は , イ ン バ ー タ を 運 転 す る こ と に よ り 発 生 し た ノ イ ズ ト ラ ブ ル 対 応 の 具 体 例 を 表2に 示 し ま す 。 表 2 対 策 の具 体 例 No . 相 手 機 器 現 象 対 策 ポ イ ン ト 1 AMラ ジ オ イ ン バ ー タ を 運 転 す る とAMラ ジ オ 放 送 (500~ 1500k Hz) に 雑 音 が 入 っ た 。 < 推 定 原 因 > イ ン バ ー タ の 電 源 側 及 び 出 力 側 配 線 か ら の 放 射 ノ イ ズ をAMラ ジ オ が 受 信 し た も の と 考 え ら れ ま す 。 ① イ ン バ ー タ の 電 源 側 にLC フ ィ ル タ を 設 置 し ま す 。 ( 簡 易 的 に は 容 量 性 フ ィ ル タ を 設 置 す る 場 合 も あ り ま す ) 。 ② モ ー タ と イ ン バ ー タ 間 を 金 属 管 配 線 し ま す 。 入力用 LCフィルタ 注 ) 入 力 用LC フ ィ ル タ と イ ン バ ー タ 間 は 極 力 短 く し ま す 。 (1m以 内 ) ① 配 線 の 放 射 ノ イ ズ を 低 減 し ま す 。 ② 電 源 側 へ の 伝 導 ノ イ ズ を 低 減 し ま す 。 ま た は シ ー ル ド 配 線 し ま す 。 注 ) 山 間 部 な ど 電 波 の 弱 い 地 域 で は 十 分 な 改 善 が 期 待 で き な い 場 合 が あ り ま す 。 2 AMラ ジ オ イ ン バ ー タ を 運 転 す る とAMラ ジ オ 放 送 (500~ 1500k Hz) に 雑 音 が 入 っ た 。 < 推 定 原 因 > イ ン バ ー タ の 電 源 側 動 力 線 か ら の 放 射 ノ イ ズ をAM ラ ジ オ が 受 信 し た も の と 考 え ら れ ま す 。 ① イ ン バ ー タ の 入 力 側 , 出 力 側 に 誘 導 性 フ ィ ル タ を 入 れ ま す 。 零 相 リ ア ク ト ル へ の 巻 回 数 は 可 能 な 限 り 多 く し ま す 。 ま た イ ン バ ー タ と 誘 導 性 フ ィ ル タ の 配 線 は 極 力 短 く し ま す 。 (1 m 以 内 ) ② 更 に 改 善 が 必 要 な 時 は ,LC フ ィ ル タ を 設 置 し ま す 。 入力用 LC フィルタ 出力用 LC フィルタ ① 配 線 の 放 射 ノ イ ズ を 低 減 し ま す 。表 2 対 策 の具 体 例 (続 き) 対 策 No . 相 手 機 器 現 象 ポ イ ン ト 3 電 話 40 m 離 れ た 一 般 の 民 家 換 気 扇 を イ ン バ ー タ で 駆 動 し た ら40m 離 れ た 民 家 の 電 話 に 雑 音 が 入 っ た 。 ① モ ー タ の 接 地 端 子 を 共 通 接 続 し て , イ ン バ ー タ 盤 に 戻 し イ ン バ ー タ の 入 力 端 子 と 接 地 間 に1 μ F の コ ン デ ン サ を 入 れ ま す 。 ① 音 声 周 波 数 成 分 の た め 誘 導 性 フ ィ ル タ やLC フ ィ ル タ は 効 果 が 期 待 で き な い 場 合 が あ り ま す 。 ② 電 源 ト ラ ン ス が V 結 線 で200 V 系 の場合 , 対 地 電 位 が 異 な る た め 下 図 の 様 に コ ン デ ン サ の 接 地 に は 注 意 が 必 要 で す 。 < 推 定 原 因 > イ ン バ ー タ 及 び モ ー タ の 高 周 波 漏 洩 電 流 が 柱 上 ト ラ ン ス の 接 地 を 通 し て 戻 る 途 中 , 電 話 ケ ー ブ ル の シ ー ル ド ア ー ス 部 に 流 れ , 静 電 誘 導 に よ り 雑 音 が 入 っ た も の と 考 え ら れ ま す 。 4 光源リレ ー イ ン バ ー タ を 運 転 す る と 光 電 リ レ ー が 誤 動 作 し た 。 イ ン バ ー タ と モ ー タ が 同 一 場 所 に 設 置 ( 天 井 走 行 用 ) さ れ て い る 。 < 推 定 原 因 > イ ン バ ー タ の 入 力 電 源 線 と 光 電 リ レ ー の 配 線 が30 ~ 40m に 亘 り 約 25 ㎜ の 間 隔 で 平 行 に 配 線 さ れ て い た た め , 誘 導 ノ イ ズ が 入 っ た も の と 考 え ら れ ま す 。 な お , 設 置 状 況 か ら 配 線 分 離 は で き ま せ ん 。 ① 暫 定 対 策 と し て , 天 井 部 に あ る 光 電 リ レ ー の 検 出 部 電 源 回 路 の0V端 子 と 天 井 配 置 の フ レ ー ム 間 に0.1 μ F の コ ン デ ン サ を 入 れ ま す 。 ② 恒 久 対 策 と し て は , 地 上 部 に あ る24V 電 源 を 天 井 部 に 設 置 し 接 点 信 号 で 地 上 側 へ 渡 す よ う に し ま す 。 ① 配 線 分 離 を し ま す 。 (30cm以 上 ) ② 分 離 で き な い 場 合 は ド ラ イ 接 点 信 号 な ど で 信 号 の 授 受 が で き る よ う に し ま す 。 ③ 動 力 線 と 弱 電 信 号 線 を 近 接 し て 平 行 配 線 す る こ と は 絶 対 に 避 け る 必 要 が あ り ま す 。
表 2 対 策 の具 体 例 (続 き) No . 相 手 機 器 現 象 対 策 ポ イ ン ト 5 光 電 リ レ ー イ ン バ ー タ を 運 転 す る と 光 電 リ レ ー が 誤 動 作 し た 。 < 推 定 原 因 > イ ン バ ー タ と 光 電 リ レ ー は , 十 分 離 れ て い る が 電 源 が 共 通 接 続 さ れ て い る た め , 電 源 線 か ら 伝 導 ノ イ ズ が 入 っ た も の と 考 え ら れ ま す 。 ① 光 電 リ レ ー の ア ン プ の 出 力 コ モ ン 端 子 と フ レ ー ム 間 に0.1 μ Fの コ ン デ ン サ を 入 れ ま す 。 ① 誤 動 作 す る 側 の 弱 電 回 路 部 分 に 着 目 す る と 比 較 的 簡 単 に , ま た , 安 価 に 対 策 で き る 場 合 が あ り ま す 。 6 近 接 ス イ ッ チ ( 静 電 容 量 形 ) 近 接 ス イ ッ チ が 誤 動 作 し た 。 < 推 定 原 因 > 静 電 容 量 形 近 接 ス イ ッ チ は ノ イ ズ 耐 量 が 低 い た め 電 路 伝 導 ノ イ ズ , 放 射 ノ イ ズ に 弱 い こ と が 原 因 と 考 え ら れ ま す 。 ① イ ン バ ー タ 出 力 側 にLC フ ィ ル タ を 設 置 し ま す 。 ② イ ン バ ー タ 入 力 側 に 容 量 性 フ ィ ル タ を 設 置 し ま す 。 ③ 設 置 ス イ ッ チ のDC 電 源 の 0V ( コ モ ン モ ー ド ) 線 を 機 械 の 筐 体 に コ ン デ ン サ を 介 し て 接 地 し ま す 。 出力用 LCフィルタ ① イ ン バ ー タ 側 の 発 生 ノ イ ズ を 低 減 さ せ ま す 。 ② ノ イ ズ 耐 量 の 高 い 近 接 ス イ ッ チ ( 磁 気 式 な ど ) と 交 換 し ま す 。 7 圧 力 セ ン サ 圧 力 セ ン サ が 誤 動 作 し た 。 < 推 定 原 因 > 筐 体 か ら シ ー ル ド 線 を 経 由 し て ノ イ ズ が 回 り 込 み , 圧 力 セ ン サ の 信 号 が 誤 動 作 し て い る も の と 考 え ら れ ま す 。 ① イ ン バ ー タ 入 力 側 にLC フ ィ ル タ を 設 置 し ま す 。 ② 圧 力 セ ン サ の シ ー ル ド 線 を 機 械 の 筐 体 か ら , 圧 力 セ ン サ0V 線 ( コ モ ン モ ー ド ) へ 接 続 変 更 し ま す 。 入力用LCフィルタ ① セ ン サ 信 号 の シ ー ル ド 線 は , そ の 系 統 の 共 通 点 へ 接 続 し ま す 。 ② イ ン バ ー タ か ら の 伝 導 ノ イ ズ を 低 減 し ま す 。
表 2 対 策 の具 体 例 (続 き) No . 相 手 機 器 現 象 対 策 ポ イ ン ト 8 位 置 検 出 器 ( パ ル ス エ ン コ ー ダ ) パ ル ス 変 換 器 か ら の 誤 パ ル ス 出 力 で ク レ ー ン の 停 止 位 置 ず れ が 発 生 し た 。 < 推 定 原 因 > モ ー タ 動 力 線 と エ ン コ ー ダ の 信 号 機 が 一 括 に 束 ね て 配 線 さ れ て い る た め , 誘 導 ノ イ ズ に よ り 誤 パ ル ス を 出 力 す る も の で す 。 ① イ ン バ ー タ 入 力 側 に ,LC フ ィ ル タ と 容 量 性 フ ィ ル タ を 設 置 し ま す 。 ② イ ン バ ー タ 出 力 側 にLC フ ィ ル タ を 設 置 し ま す 。 出力用 LCフィルタ 入力用 LCフィルタ ① 動 力 線 と 信 号 線 を 分 離 で き な い 場 合 の 対 策 事 例 で す 。 ② イ ン バ ー タ 出 力 側 の 誘 導 ノ イ ズ , 放 射 ノ イ ズ を 低 減 し ま す 。 9 プ ロ グ ラ マ ブ ル コ ン ト ロ ー ラ (PLC) PLC の プ ロ グ ラ ム が 動 作 不 良 と な っ た 。 < 推 定 原 因 > イ ン バ ー タ とPLC の 電 源 が 同 一 系 統 の た め , ノ イ ズ が 電 源 を 通 し てPLC に 入 っ た も の と 考 え ま す 。 ① イ ン バ ー タ の 入 力 側 に 容 量 性 フ ィ ル タ とLC フ ィ ル タ を 設 置 し ま す 。 ② イ ン バ ー タ の 出 力 側 にLC フ ィ ル タ を 設 置 し ま す 。 ③ イ ン バ ー タ の キ ャ リ ア 周 波 数 を 低 く し ま す 。 出力用 LCフィルタ 入力用 LCフィルタ ① 電 路 伝 導 ノ イ ズ , 誘 導 ノ イ ズ , を 全 般 的 に 低 減 し ま す 。
■ 関 連 資 料 <技 術 資 料 > JEM 1468 汎 用 インバータの外 形 寸 法 記 号 (1996) JEM-TR 148 インバータドライブの適 用 指 針 (汎 用 インバータ)(2008) JEM-TR 169 一 般 用 低 圧 三 相 かご形 誘 導 電 動 機 をインバータ駆 動 する場 合 の適 用 指 針 (1990) JEM-TR 217 汎 用 インバータの用 語 及 び標 準 仕 様 (2001) JEM-TR 201 特 定 需 要 家 における汎 用 インバータの高 調 波 電 流 計 算 方 法 (2007) JEM-TR 226 汎 用 インバータ(入 力 電 流 20A以 下 )の高 調 波 抑 制 指 針 (2003) <報 告 書 > 平 成 18年 度 「電 動 機 ・インバータに関 するユーザ調 査 」報 告 書 (2007) <パンフレット> 伸 びゆくインバータ(毎 年 更 新 ) インバータ定 期 点 検 のおすすめ(2001) 400V級 インバータで汎 用 モータを駆 動 する場 合 の絶 縁 への影 響 について(1994) インバータの上 手 な使 い方 (電 気 ノイズ予 防 対 策 について)(2008) 汎 用 インバータの高 調 波 抑 制 対 策 について(2004) ● インバータ業 務 専 門 委 員 会 サンケン電 気 (株 ) 住 友 重 機 械 工 業 (株 ) 東 芝 シュネデール・インバータ(株 ) 東 洋 電 機 製 造 (株 ) (株 )日 立 産 機 システム 富 士 電 機 システムズ(株 ) 三 木 プーリ(株 ) 三 菱 電 機 (株 ) (株 )明 電 舎 (株 )安 川 電 機 (五 十 音 順 ) ● インバータ技 術 専 門 委 員 会 サンケン電 気 (株 ) 住 友 重 機 械 工 業 (株 ) 大 洋 電 機 (株 ) 東 芝 シュネデール・インバータ(株 ) 東 洋 電 機 製 造 (株 ) 戸 上 電 機 製 作 所 (株 ) (株 )日 立 産 機 システム 富 士 電 機 システムズ(株 ) 三 木 プーリ(株 ) 三 菱 電 機 (株 ) (株 )明 電 舎 (株 )安 川 電 機 (五 十 音 順 ) (社 )日 本 電 機 工 業 会 では、インバータの技 術 向 上 、標 準 化 、市 場 の動 向 への対 応 を図 る目 的 で 技 術 ・業 務 両 面 にわたって委 員 会 を設 置 し、産 業 界 に貢 献 すべく活 動 を行 っています。