線型代数学演習第 5 回
(A ターム水曜 4 限,理 2,3 1–7 組)土岡 俊介 2016 年 12 月 7 日
• 小木曽先生の授業の成績+レポート(最終日12/21に配布)によって成績が決まります.
• 配布される解答はhttp://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~tshun/2016a.html にもあり ます.またそこからメッセージフォームにリンクを張っています.匿名で要望等あれば,お 気軽にどうぞ.
• Aタームは必修のため人数が多いので,配られた解答を元に各自理解を深めてください.答 案(の書き方など)をみて欲しい人は,演習終了時に提出してください.
• ボーナス問題を正解した人には何かしら差し上げます(先着順).興味のある人は知らせて ください.
• 演習開始後45分から出席をとります.出席状況によっては,最終成績で不可になりそうな 人を可にするくらいの考慮をするかもしれません.
• 問題を解く順序はありませんが,§4は解きましょう.
• 授業あるいは線型代数の理解を深めることが目的なので,自分にあった問題に取り組んでく ださい.友達と議論したり,webを調べるのもご自由に.
1 概要
(S1) 授業では,固有多項式,ケーリー・ハミルトンの定理,最小多項式,行列の対角化可能必要 十分条件を扱いました.
(S2) 今日は試験対策と復習をし,abc予想を紹介します(これは線型代数と無関係). (S3) 今日も,基礎体はK =Cとします.
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2 確認
(A1) 以下の行列 A, B について,それぞれ対角化可能かどうか調べ,対角化可能な場合は P−1AP, Q−1BQが対角行列になるような可逆行列P, Qを求めよ.またR−1AR=Bとな る可逆行列Rが存在するかどうか調べよ.
(a). A=
5 6 0
−1 0 0 1 2 2
, (b). B =
1 3 2 0 −1 0
1 2 0
,
(A2) 2つの2×2行列A, Bがあって,うまく可逆行列P, Q選ぶと,
P−1AP = (1 0
0 2 )
, Q−1BQ= (2 0
0 1 )
となった.このときR−1AR=Bとなる可逆行列Rが存在するかどうか答えよ.
(A3) 以下の行列Aが,
a 1 0 0 b 0 0 0 c
対角化可能になるためのパラメータの条件は何か?
(A4) ケーリー・ハミルトンの定理について,以下の”証明”:
定義 χA(t) = det(tEn −A) に t = A を代入すると,χA(A) = det(A−A) = 0.
(Q.E.D.)
が証明になっていない理由を述べよ.
(A5) ケーリー・ハミルトンの定理を用いて
1. χA(t) =t3−2t2−3t+ 6となる行列AのA−1をpA2+qA+rE3の形で求めよ.
2. χB(t) =t3−2t2となる行列BのB1000を求めよ.
(A6) Aをn×n行列とする.
1. Aの固有多項式χA(t)と最小多項式φA(t)の定義は何か?
2. χA(t)̸=φA(t)となるAの例を1つ挙げよ.
3. φA(t)はχA(t)を割り切ることを示せ.
4. χA(t)はφnA(t)を割り切ることを示せ.
(A7) Aをn×n行列とする(ここでn≥1).以下の同値性を証明せよ:
1. χA(x) =xn 2. An =O
3. ある自然数m≥1が存在してAm=Oとなる(このような行列はべき零行列(nilpotent matrix)と呼ばれる)
(A8) n×n行列Aが零行列でないべき零行列ならば,Aは対角化不可能なことを示せ.
2
(A9) 今,この 723教室で演習を受けている学生の集合を V とする.V にどのような加法 + :V ×V →V と,スカラー倍R×V →V を定義したとしても,V は決してR線型空間 の公理を満たさないことを示せ(ボーナス問題).
(A10) 対角化可能なn×n 行列 A, B は,AB = BAであれば,A と B は同時対角化可能で ある(ある可逆行列P が存在して,P−1AP とP−1BP が共に対角行列になる)ことを 示せ.(ボーナス問題,ヒント:A が対角化可能⇔ Cn = ⊕
α:Aの固有値
Vα だが(ここで Vα={v∈Cn|Av =αv}はAの固有値αの固有空間),FBが各Vαにどう作用するか考 えてみる).
3 最低限解けて欲しい問題
(X1) det
−1 6 3 0
0 2 5 −2
3 −1 4 5
2 0 1 3
を求めよ. (X2)
0 2 1
−4 6 2 4 −4 0
の固有値を求めよ.
4 解き残っているボーナス問題
第2回の(C6.3) n×n行列Aについて,rank(A) =n−1ならばrank(A) = 1e を示せ(ヒント:ケーリー・
ハミルトンの公式の証明を思い出す).
第2回の(C9)の一部 A, Bをn×n行列とするとき(ここでn≥2),ABg=BeAeを示せ(ヒント:ケーリー・ハ ミルトンの公式の証明を思い出す).
第3回の(B3) 自己線型写像f :V →V が,ある自然数m≥1についてfm = 0となるとき,idV −f は 同型写像であることを示せ(ヒント:実は簡単).
第3回の(B4) K成分n×n次行列のなすK 線型空間をMn(K)と書くことにしよう(和は行列の和で,
スカラーc倍は行列のすべての成分をc倍する).任意の K 線型写像f : Mn(K) → K は,あるA ∈ Mn(K) を用いてf(X) = tr(AX) と書かれることを示せ(ヒント:V が 基底 v1,· · · ,vn を持つ K 線型空間のとき,線型写像 f : V → W を定めることと,
f(v1),· · ·, f(vn)∈W を定めることは同値).
第4回の(C2) 複素数α∈Cについて,lim
n→∞αnが存在する条件は「|α|<1またはα = 1」である.では n×n行列Aについて, lim
n→∞Anが存在する条件は何か?(ヒント:ジョルダン標準形).
第4回の(C3) n×n行列Aが,
(X Y O W
)
と区分けされているとする(ここでXはm×m行列,Y は m×(n−m)行列,Oは(n−m)×m零行列,W は(n−m)×(n−m)行列).Aが対角 化可能ならば,Xも対角化可能であることを示せ(ヒント:最小多項式).
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