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2014 Institute for Global Environmental Strategies. 無 断 転 載 を 禁 ずる 公 益 財 団 法 人 地 球 環 境 戦 略 研 究 機 関 (IGES) IGES は アジア 太 平 洋 地 域 における 持 続 可 能 な 開 発 の 実

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Academic year: 2021

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IGES Working Paper No.2013-08

「緑の贈与」の効果分析

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©2014 Institute for Global Environmental Strategies. 無断転載を禁ずる。 公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES) IGES は、アジア太平洋地域における持続可能な開発の実現を目指し、実践的かつ革新的な 政策研究を行う国際研究機関です。 執筆者: 蒲谷 景 (グリーン経済領域 研究員 ) 松尾 雄介(グリーン経済領域 タスク・マネージャー) 小嶋 公史(上席研究員) 倉持 壮 (気候変動とエネルギー領域 研究員) この出版物の内容は執筆者の見解であり、IGES の見解を述べたものではありません。

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目次

Abstract(英語要約) 1. はじめに 1 2. 効果分析の手法およびデータ 2 2.1. リファレンスケースの設定 2 2.2. 緑の贈与による効果の推計方法 5 3. 分析結果 6 4. 結論 10 参考文献・参考ウェブサイト 10

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Abstract

For the purpose of accelerating the introduction of renewable energy in Japan, we have proposed the Green Gift scheme which attempts to encourage grandparents to make a present of renewable energy facilities (e.g. photovoltaic panels) or relevant investment securities to give to their children or grandchildren by means of a gift tax reduction. Those who receive such a gift can benefit from redemption payment or income from the sale of electricity over the years, and those who make the present can leave assets and property to their offspring in an environmentally-friendly way. The size of this scheme is estimated to be up to JPY16 trillion over 15 years according to the questionnaire. The objective of this paper is to estimate and demonstrate the positive impacts of this Green Gift scheme in terms of renewable energy share, employment opportunities, costs for importing fossil fuels and CO2 emissions reduction. In line with the scenario developed by the Energy and

Environment Council, we firstly established reference cases between the year 2016 and 2030 on energy demands, renewable energy installation and its cost, fossil fuel imports, CO2 emissions and

employment in the renewable energy sectors (i.e. residential photovoltaics, mega-solar, onshore wind-farming, small-medium size hydropower, geothermal and biomass). Then, we estimated the impacts of additionally investing JPY1.07 trillion per year into the above six renewable energies equally (i.e. JPY178 billion for each). Assuming that energy demand until 2030 is fixed at the level of the reference case, and that thermal power generation can be reduced in response to the increase in renewable energy, it is estimated that the total renewable energy installation and subsequent renewable energy power generation for 15 years would reach approximately 46 million kW and 1 trillion kWh, respectively. Estimated job opportunities were around 990,000 and more than JPY 8 trillion could be saved in costs for importing fossil fuels, which would contribute to emissions avoidance of more than 600 million t-CO2 over 15 years.

Judging from these positive impacts, the Green Gift scheme could be a major policy option in overcoming the financial barriers to achieve the renewable energy targets by 2030, currently discussed by the government.

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1 1. はじめに 東日本大震災を経てエネルギー供給の在り方の見直しを迫られた日本は、固定価格買取 制度(以下FIT)を導入するなど、再生エネルギー(以下再エネ)を重要なエネルギーとし て普及させる方向に舵を切った。一方、本格的な再エネの普及には、中長期的に約38 兆円 (年2 兆円以上)とされる巨額の投資が必要とされる。2013 年度時点では、FIT により大 規模な資金が再エネ分野へ流入しているものの、FIT 価格の見直し等に伴い、今後の投資は 年間1 兆円以下に留まると見られる1。これは、必ずしも十分な規模とは言い難く、抜本的 な再エネ普及には更なる投資を誘発するような新たな仕組みが求められている。 我々は、上記課題への解決策として、贈与(相続)マネーを再エネ分野に導く「緑の贈 与」を提案している。 緑の贈与は、端的にいえば「祖父母が子や孫に対して資産継承する際、現金ではなく、 風力、太陽光等の再エネを対象とした投資証券や、太陽光パネルなどの再エネ設備を贈る」 というものである。 例えば、ある祖父母が孫の誕生を機に、息子家族に 200 万円の贈与を行うとする。この 際、現金ではなく 200 万円分の再エネ証券、又は太陽光パネルの現物を購入し、それを息 子へと贈与する。再エネ証券等を受け取った息子には、償還金や太陽光による売電収入が 年間十数万円、約10 年以上に亘って入ることとなり、孫が成長する際には、一定規模の現 金贈与を受けたのと同様の効果を得る。このような構図により、祖父母側は、環境に貢献 しつつ自らの財産を次世代に引き継ぐことができ、また、子供(孫)側では再生エネルギ ーを経由して現金に相当する資産を受け取ることができる。 本稿では、この緑の贈与の効果について、環境、経済の両面から分析を行う。 図1 緑の贈与スキームのイメージ 1 Bloomberg 2013 年 2 月 6 日

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2 2. 効果分析の手法およびデータ 2.1. リファレンスケースの設定 緑の贈与による追加的な効果を試算するにあたり、まず、再生可能エネルギーの発電量 や設備導入量とそれに伴う雇用創出、さらに、化石燃料費用や CO2排出量に関するリファ レンスケースを設定する。 2016 年から 2030 年までのエネルギー将来展望に関するリファレンスケースとして、 2012 年のエネルギー・環境会議におけるシナリオ詳細データの「成長ケース-25 シナリオ」 を採用する(図2)。本シナリオは、2010 年代の実質経済成長率を 1.8%、2020 年代のそれ を1.2%と設定し、2030 年において原子力発電の割合が概ね 25%程度となるような電源構 成を想定している2。なお、本データでは、2010 年、2020 年、2030 年の値が断続的に示さ れているのみであるため、本分析においては、欠損区間について、それぞれ線形的な変化 を仮定して内挿する。 この発電量予測に基づき、次に再生可能エネルギーの設備導入量を推定する。本分析で は、コスト等検証委員会の「発電コスト試算シート」における設備利用率を用いて、以下 の数式(1)で推計する。 𝑄𝑖,𝑡=(𝐸𝑟𝑖,𝑡− 𝐸𝑖,𝑡−1) 𝑖× 8760 (1) 図2 リファレンスケースにおける各エネルギー源の発電量 2 飽くまで緑の贈与の効果を試算する上でのリファレンスである。 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030 億kWh 再エネ 原子力 水力 天然ガス 石油 石炭

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3 ここでは、Q:設備導入量(kW)、E:発電量(kWh)、r:設備利用率、i:再生可能エネ ルギーの種類(住宅用太陽光、メガソーラー、陸上風力、洋上風力、中小水力、地熱、バ イオマス)、t:年次を表し、8,760 は 1 年間の総時間を意味する。 また、同じく「発電コスト試算シート」から、各再生可能エネルギーの設備導入費用の 上限値と下限値を取得し、その中間値を求めて、設備導入量に乗じることで、各再生可能 エネルギーへの年間投資額を算出する(数式 2)。なお、ここでも、データの欠損区間につ いては線形補正している。 𝐼𝑖,𝑡= 𝑄𝑖,𝑡× 𝑝𝑟𝑖,𝑡 (2) 本式では、I:再生可能エネルギーへの投資額(円)、pr:再生可能エネルギーの設備導入費 用(円/kW)を表す。再生可能エネルギーの設備導入費用の推移を図 3 に示す。 さらに、「発電コスト試算シート」の「新政策シナリオ」におけるそれぞれの化石燃料単 価を用いて3、欠損区間を線形補正した上で、各年の各発電量に乗じ、化石燃料費用を推計 する(数式3)。 出典:コスト等検証委員会「発電コスト試算シート」より作成。 図3 再生可能エネルギーの設備導入費用

3 国際エネルギー機関(International Energy Agency: IEA)の『World Energy Outlook

2011』に基づくシナリオ。「発電コスト試算シート」では、まず、燃料費に諸経費を加え、 それらに必要燃料量を乗じた値に3%の割引率を適用し、2010 年、2020 年、2030 年の各 年から稼働年数である40 年間の累積費用を算出する。そして、これを送電端での累積電力 量で除することで、円/kWh という単位での燃料費用を計算している。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 2010 2014 2018 2022 2026 2030 万円/kW 住宅用太陽光 メガソーラー 陸上風力 中小水力 地熱 バイオマス

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4 出典:コスト等検証委員会「発電コスト試算シート」より作成。 図4 火力発電所における kWh あたりの燃料費用 𝐹𝑗,𝑡= 𝐸𝑗,𝑡× 𝑝𝑓𝑗,𝑡 (3) ここでは、F:化石燃料費用(円)、pf:化石燃料単価(円/kWh)、j:化石燃料の種類(石 炭、石油、天然ガス)である。また、化石燃料の発電量あたりの単価の推移を図4 に示す。 再生可能エネルギー部門における雇用創出については、雇用を建設製造と運営管理で区 別し、建設製造においては各年の設備導入量に対して新しく単年雇用が創出されることに 対し、運営管理では累積導入量に対して継続的に雇用が増加していくものとして、以下の 式(4)で推計する。 𝐿𝑖,𝑡 = (𝑄𝑖,𝑡× 𝑓𝑐𝑖) + ∑ ( 2030 𝑡=2016 𝑄𝑖,𝑡× 𝑓𝑚𝑖,𝑡) (4) 本式では、L:雇用(人・年)、fc:建設製造の雇用係数(人・年/kW)、fm:運営管理の 雇用係数(人・年/kW)を表す。雇用係数としては、Institute for Sustainable Futures (2009、10 頁)の設備導入量あたりの値を参照する4。建設製造については、設備導入量よ りも売上との関連が強いであろうとの考えから、設備導入量あたりの雇用係数を2010 年に 4 年次が統一されたデータの取得が困難のため、ここでは年次の一致性については考慮しな い。また、水力発電については、中小水力発電のみのデータが得られず、代用可能な値も 取得困難のため、ここでは水力発電全体としての値を採用する。 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 2010 2014 2018 2022 2026 2030 円/kWh 石炭 石油 天然ガス

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図5 運営管理の雇用係数

おける導入費用で除して売上あたりの雇用係数を求め、期間中一定とする。一方、運営管 理については、設備導入量あたりの雇用係数を用い、その将来的な値については、Institute for Sustainable Futures(2009、28 頁)に基づいて補正したものを用いる5。運営管理の雇

用係数の経年推移を図5 に示す。

化石燃料の使用に伴うCO2排出量については、次式(5)で推計する。

𝐶𝑖,𝑡 = (𝐸𝑗,𝑡× 𝑐𝑗) × (1 ℎ⁄ 𝑗,𝑡) (5)

C:CO2排出量(t-CO2)、c:CO2排出係数(g-CO2/MJ)、h:熱効率を意味する。CO2排

出係数については、上述の「発電コスト試算シート」の「新政策シナリオ」における炭素 排出係数に44/12 を乗じたものを用いる。また、熱効率については、中央環境審議会(2012) を参照に筆者らが推計した。 2.2. 緑の贈与による効果の推計方法 リファレンスケースの各種値に対し、緑の贈与による効果を推計する。

5 Institute for Sustainable Futures(2009、10 頁)では、運営管理の雇用係数について、

「雇用/MW」とされているが、この「雇用」がどのような意味を持つか同資料からは判然 としないため、本稿では「雇用」を「人・年」と解釈する。なお、ここでの雇用係数にお いては設備利用率も勘案されているが、同文献の設備利用率と本稿で想定する設備利用率 とは必ずしも一致しない。 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 2010 2014 2018 2022 2026 2030 人・年/MW 住宅用太陽光 メガソーラー 陸上風力 中小水力 地熱 バイオマス

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6 本分析では、緑の贈与を通じ、15 年で 16 兆円の資金が得られると仮定し6、年間資1 兆 700 億円を住宅用太陽光、メガソーラー、陸上風力、中小水力、地熱、バイオマスの 6 種の 再生可能エネルギーに対し均等に配分する。現況では太陽光と風力が主力であるために、 それらを重視した投資配分も考えられるが、将来的にはこれらの市場飽和に伴い、その他 の再生可能エネルギーへの投資が拡大するかもしれないなど、一定の不確実性があるため、 ここでは均等配分の仮定を置く。 年間投資額の増加は再生可能エネルギーの設備導入量を増やし(数式 2)、設備導入量の 増加は再生可能エネルギーの発電量を増やすため(数式 1)、総発電量を固定し、固定価格 買取制度を前提とした場合には、再生可能エネルギーのシェアが拡大して、従来エネルギ ーのシェアが縮小することになる。従来エネルギーの削減については、大規模水力発電や 原子力発電が基本的に稼働の継続を想定したものであり、火力発電ほど調節が容易でない ことから、ここでは化石燃料による発電量を削減する。削減方針としては、エネルギーポ ートフォリオの観点から各化石燃料には最低限の需要があり、それが現状であるという仮 定を置いて、現在の化石燃料シェアを維持するように削減することとする。これに伴い、 化石燃料費用やCO2排出量は減少する(数式4 および 5)。一方、再生可能エネルギーの設 備導入量の増加により、雇用創出は拡大することになる(数式3)。 最終的に、以上より推定された各値をリファレンスケースの各値と比較し、緑の贈与に よる効果を推計する。 3. 分析結果 緑の贈与による資金を 6 種の再生可能エネルギーに均等に配分した場合のそれぞれの毎 年の追加的導入量を示す(図 6)。住宅用太陽光、メガソーラー、陸上風力は導入費用が減 少傾向を示すため、導入量が毎年増加し、2020 年を境に、この導入費用の年変化率が変わ るため、図のような傾きの変化が生じている。2016 年から 2030 年まで合計で、緑の贈与 による再生可能エネルギーの追加的導入量は4,626 万 kW に上る。 これを踏まえて、次に、各年の発電量を示す(図7)。リファレンスケースにおける 2030 年の再生可能エネルギーのシェアが18.8%であるのに対し(図 2)、緑の贈与を導入した場 合には、その値は 31.1%まで増加すると推定された。この再生可能エネルギーのシェアに つき、2012 年のエネルギー・環境会議におけるシナリオ詳細データの「低成長ケース-ゼ ロシナリオ(追加対策後)」では40%と示されているため、同資料に基づくならば、31.1% は技術的には十分可能であると考えられる。2016 年から 2030 年まで合計で、緑の贈与に よる再生可能エネルギーの追加的発電量は1 兆 548 億 kWh に上る。 6 緑の贈与による調達ポテンシャルは、高齢者へのアンケートにより合計で約 16 兆円規模 であるとの結果を得ている。この16 兆円は 1 年間で全て実現するというよりは、中期的(10 ~15 年間)に実現することが妥当であると考えられる。

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7 図6 緑の贈与による再生可能エネルギーの追加的導入量 図7 緑の贈与を導入したときの各エネルギー源の発電量 0 50 100 150 200 250 300 350 400 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030 万kW/年 バイオマス 地熱 中小水力 陸上風力 メガソーラー 住宅用太陽光 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030 億kWh 再エネ 原子力 水力 天然ガス 石油 石炭

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8 各ケースにおける化石燃料の15 年間累積費用を図 8 に示す。現在の化石燃料シェアを維 持するように削減した場合、天然ガスで最も高い削減効果が見込まれ、費用削減は合計で 8.2 兆円と推計された7 続いて、緑の贈与による各年の追加的雇用創出効果を図 9 に示す。運営管理における雇 用係数からもわかるように(図 5)、バイオマスにおいて雇用創出効果が大きく上昇する。 再生可能エネルギー部門全体では、2016 年から 2030 年の 15 年間累計で、99.2 万人とな る。 CO2の15 年間累積排出量は図 10 のようになる。緑の贈与を導入し、上述のように化石 燃料を削減した場合、石炭において最も高い CO2排出削減効果が示され、削減量は合計 6 億トンと推計された。単純年平均では CO2排出削減は 0.4 億トンとなり、この値は 2012 年の国内総排出量13 億 4,100 万トンに対して約 3%の値となる8 以上の緑の贈与の15 年間累積効果を表 1 にまとめる。 図8 化石燃料の 15 年間累積輸入費用 7 緑の贈与による費用削減効果として、本稿では化石燃料費用の削減のみを取り上げたが、 火力発電設備の資本費やCO2排出等の社会的費用、各種電源の発電に伴う運転維持費など、 その他の発電関連コストについても削減できる可能性が期待される。 8 環境省ウェブサイトより。 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/2012sokuho_gaiyo.pdf 石炭 石炭 石油 石油 天然ガス 天然ガス 0 10 20 30 40 50 60 70 80 リファレンスケース 緑の贈与 兆円

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9 図9 緑の贈与による各年の追加的雇用創出 図10 CO2の15 年間累積排出量 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030 万人 バイオマス 地熱 中小水力 陸上風力 メガソーラー 住宅用太陽光 石炭 石炭 石油 石油 天然ガス 天然ガス 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 リファレンスケース 緑の贈与 億t-CO2

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10 表1 緑の贈与の効果 単位 リファレンス ケース(A) 緑の贈与 (B) 緑の贈与の効果 (B)-(A) 再生可能エネルギー 導入量 万kW 5.8×103 10.4×103 4.6×103 再生可能エネルギー 発電量 兆kWh 2.3 3.3 1.1 再生可能エネルギー 部門における雇用創出 万人 119 218 99 化石燃料費用 兆円 74 66 ▲8 化石燃料使用による CO2排出量 億 t-CO2 54 48 ▲6 4. 結論 本稿では、エネルギー・環境会議の「成長ケース-25 シナリオ」における 2016 年から 2030 年までのエネルギー将来展望に基づき、コスト等検証委員会の「発電コスト試算シー ト」における各再生可能エネルギーの設備利用率や設備導入費用、化石燃料単価等を用い て、緑の贈与による年間1 兆 700 億円の再生可能エネルギーに対する追加投資の効果を分 析した。その結果、緑の贈与の効果は、現在与党(自民党)内で議論されている再エネ普 及目標数値(2030 年に 35%)等を実現するに当たり、資金面での課題をクリアする上での 主要施策になるポテンシャルを有することが示唆された。 ただし、表 1 に示された値は、飽くまで本稿で設定した仮定に基づくものであることに は一定の留意が必要であり、今後、様々なステークホルダーとの対話などを通じて、より 精緻な分析が望まれる。たとえば、本分析では緑の贈与による資金を 6 種の再生可能エネ ルギーに均等に配分するという仮定を置いているが、費用対効果や立地などを踏まえた現 実的な導入ポテンシャルなどを考慮した投資配分シナリオなども検討する必要がある。そ の際には、本分析では対象外とした洋上風力についても考慮するべきであろう。さらに、 本稿では税収への影響やその他の経済に対する波及効果などについては触れていないが、 これらも今後の重要な分析課題である。 参考文献・参考ウェブサイト エネルギー・環境会議「シナリオ詳細データ」 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy09/sentakushi/database/index.html コスト等検証委員会「発電コスト試算シート」 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy09/archive02.html 中央環境審議会(2012)「2013 年以降の対策・施策に関する報告書(地球温暖化対策の選 択肢の原案について)」https://www.challenge25.go.jp/roadmap/from2013.html

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Institute for Sustainable Futures (2009) Energy Sector Jobs to 2030: A Global Analysis, Institute for Sustainable Futures.

図 5  運営管理の雇用係数

参照

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