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通信用埋設硬質ビニル管の劣化特性

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Academic year: 2022

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(1)

通信用埋設硬質ビニル管の劣化特性

NTTアクセスサービスシステム研究所 正会員 ○小松 宏至 NTTアクセスサービスシステム研究所 谷川 浩 NTTアクセスサービスシステム研究所 松宮 直規

NTTの管路設備は110年を超える長い歴史(最初の管路設備は明治30年布設の鋳鉄管)がある。総延長は約67 万kmにおよび、ユニバーサルサービスを提供するための通信網を確保するために、日本全国を網の目状に張り巡ら されている。昭和30年代前半までは主に金属管(鋳鉄管、鋼管)が用いられてきたが、経済性に優れ、軽量、腐食 しにくい、ケーブル引き込み時の摩擦抵抗が小さい、等の長所を有する硬質ビニル管の適用が昭和38年より開始さ れた。その後、高度経済成長期を経て現在に至るまで、硬質ビニル管の使用量は増加し、現在では全管路延長に対 して40%を超える約30万kmを有し、NTT保有の管路設備においては最もその割合が高い管種となっている。

通信用管路設備は、全国各地の様々な環境条件下に埋設されており、常時、土圧、車輌荷重、地下水、土壌温度 等周辺環境の影響を受けている。このため、数十年にわたる長期間の使用を考えた場合、材質の変化が生じる可能 性がある。本研究では、100ヶ所を超える現場より、実使用の埋設管を撤去収集し、体系的に分析すると共に、劣化 促進試験を実施して、通信用埋設硬質ビニル管の長期間の経年劣化特性を明らかにした。

1.通信用硬質ビニル管の撤去管収集分析

地中に埋設されていた実使用の管路を、撤去工事等 に併せて収集し、引張強さ、伸び率、衝撃強さ等の主 要特性値についての試験を実施すると共に、埋設期間、

周辺環境等との相関分析を実施した。

本研究において収集、分析した撤去管数量と試験項 目およびその結果について、とりまとめて表 1 に示す。

衝撃強度が大きく低下している他は、おおよそ許容 値を満足している。また、2項目(伸び率、軟化温度)

で経年的な劣化傾向が見られるものの、その程度はわ ずかであり、経年劣化の影響を考慮する必要性は低い。

2.耐衝撃性能劣化要因の検証

耐衝撃性能は、管布設時の振動等による破損防止を 目的としており健全に埋設した場合には性能低下は許 容される項目であるが、他項目の先行指標となってい ないことを確認するために、要因・メカニズムの把握 を目的として、撤去サンプルに加えて促進劣化サンプ ルを作成し、①化学変化(低分子量化)、②地下水の影 響、③紫外線の影響、に対する分析を実施した。

(1) 化学変化(低分子量化)に関する検討

硬質ビニル管の主原料である塩化ビニル樹脂の化学 的変化の有無を確認するために、撤去管に対する重合 度試験を実施した(図 1)。試験は JIS K 6721 の手法に

より実施している。なお、図中では落錘衝撃試験の合 否毎に平均重合度測定データを区別して表示している。

高分子材料は経年劣化すると重合度が低下するため、

本試験により劣化判断の指標となる。試験の結果、平 均重合度は経過年数と共にわずかに低下傾向を示して いるものの、衝撃試験の結果との相関性は認められな い。また、一般的な平均重合度(1000 程度)はいずれ のサンプルも確保している。以上より耐衝撃性能低下 は重合度には依存していないことが確認された。

(2) 地下水の影響に関する検討

硬質ビニル管の主原料であるポリ塩化ビニル樹脂は、

一般に耐水性能が高く、吸水性は小さいが、埋設管路 のように、数十年間にわたる長期間地下水に曝された 場合には吸水による特性変化の可能性がある。

吸水による影響を確認するために、高温水(60℃)

浸漬サンプルの衝撃試験を実施した(図 2)。試験は JIS K 7111 の手法により実施している。試験の結果、浸漬 サンプルは新品と比較して衝撃強さの低下が見受けら れるものの、その程度がわずかであるとともに 、浸漬 期間 4 週間を超えて衝撃強さの低下傾向が停止した。

また、落錘衝撃試験の結果、浸漬期間 4 週間で合格率 が低下したものの、その後回復した。以上の結果より 経年的な劣化に対する水の影響は小さいと考えられる。

キーワード 硬質ビニル管、地中埋設管、塩化ビニル、酸化劣化、紫外線

連絡先 〒305-0805 茨城県つくば市花畑 1-7-1 NTT アクセスサービスシステム研究所 TEL029-868-6210 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑805‑

Ⅵ‑403

(2)

(3) 紫外線の影響に関する検討

塩化ビニル樹脂を含む高分子材料の多くが、紫外線 の照射によりその機械的特性を低下させる。これらの 分析のために劣化生成物としてのカルボニル基および ポリエン基について、反応前物質であるメチレン基に 対する吸光度比を求めることによって劣化度を定量的 に評価した。紫外線照射サンプルに対する分析結果を 図

3

に示す。カルボニル基が紫外線照射時間とともに 増加すること、併せてシャルピー衝撃強さが低下する ことを確認できた。

撤去サンプルに対しても同様の傾向が確認され、耐 衝撃性能の低下が紫外線照射により促進された酸化劣 化によるものと推定できた。しかし、撤去サンプルは いずれも地中埋設管であるため、布設後に紫外線照射 を受けることはない。このため、布設前の保管状況あ るいは運搬状況に関するヒアリング調査を実施した。

調査の結果、平均的に1カ月程度の暴露状態が確認さ れ、これが原因であると確定することができた。

3.まとめ

通信用埋設硬質ビニル管の長期間の使用性能につい て、以下の通りの結論を得た。

(1) 地下に埋設された通信用硬質ビニル管に、耐衝撃 性の低下が確認された。

(2) 耐衝撃性能低下は、布設前の保管あるいは運搬時 の紫外線照射による劣化が原因と想定される。埋 設されてからは経年的に進行するものではない。

(3) 併せて実施した試験により、紫外線の照射による 材質脆化(引張強度増加、伸び率低下)を確認し た。しかし、保管状況のヒアリング調査結果にお ける紫外線に曝される想定最大期間においては、

その劣化程度はわずかであり、使用上問題ないレ ベルである。

以上より、通信用埋設硬質ビニル管は、使用上大き な問題は無く、長期間にわたって使用できる管種と考 えてよい。

参考文献

・高分子材料の耐久性に関する研究(北海道工業開発 試験所報告)、1981.3、工業技術院

・硬質塩化ビニル管の長期寿命の評価について、2007.3、

塩化ビニル管・継手協会

表 1 収集撤去管数と試験項目および結果

落錘 シャル ピー 検討Ⅰ

1979

1985

35 35 35 35 24

検討Ⅱ 1996

2000

95 94 83 94 94 94

検討Ⅲ 2006

2008

16 16 16

(28)

5

(29) 146 146 134

(28)

99

(29) 129 118 99.3 98.6

18.7

- 100 100 試験結果

(合格率:%)

衝撃 軟化

温度 引張

強度 伸び

検討

1/2

偏平 検討

時期

実施した試験

注 1) 表中の数字は撤去した個所数を示す

注 2) 表中カッコ内数字は屋外曝露試験供試体数を示す

図 1 化学変化に関する検討(重合度試験)結果

図 2 地下水の影響に関する検討結果

図 3 紫外線の影響に関する検討結果

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

0 10 20 30 40

平均重合度

経過年数 検討Ⅰデータ(衝撃試験合格)

検討Ⅰデータ(衝撃試験不合格)

検討Ⅲデータ(衝撃試験合格)

検討Ⅲデータ(衝撃試験不合格)

0 20 40 60 80 100

0 5 10 15 20 25

新品 1 2 4 8 12

落錘衝撃試験合格率(%

衝撃強(kgf・cm/cm2

60℃温水浸漬時間(w)

0 5 10 15 20 25

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

新品 24h 48h 96h 192h 384h 768h 衝撃強kgf・cm/cm2

メチレンにする吸光度比

紫外線照射時間 カルボニル

ポリエン

シャルピー衝撃強度

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑806‑

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参照

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